JPH07310012A - 複合材料の製造方法 - Google Patents

複合材料の製造方法

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JPH07310012A
JPH07310012A JP8479595A JP8479595A JPH07310012A JP H07310012 A JPH07310012 A JP H07310012A JP 8479595 A JP8479595 A JP 8479595A JP 8479595 A JP8479595 A JP 8479595A JP H07310012 A JPH07310012 A JP H07310012A
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Arimitsu Usuki
有光 臼杵
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茜 岡田
Shigetoshi Sugiyama
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度および耐熱性に優れた複合材料の
製造方法を提供する。また、マトリックスとしての樹脂
よりも優れた機械的強度や耐熱性を有する複合材料の製
造方法を提供する。 【構成】 陽イオン交換容量が50〜200ミリ当量/
100gの粘土鉱物と、銅イオン,水素イオン,アルミ
ニウムイオン等の無機陽イオンからなる膨潤化剤とを接
触させてこの両者をイオン結合させ,モノマーの溶融温
度以上の温度でモノマーにより膨潤する性質を有する複
合体とする接触工程と、該複合体とポリアミドモノマー
とを混合する工程と、該混合物を所定温度に加熱して前
記膨潤化剤の触媒作用のもとに重合する重合工程と、か
らなる複合材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度および耐熱
性に優れた複合材料の製造方法に関し、さらに詳しく
は、ポリアミドを含む樹脂組成物と粘土鉱物を構成する
珪酸塩層とがイオン結合を介して互いに結合し、それら
が均一に混合されてなり、樹脂のみの成形品よりも機械
的強度に優れた複合材料の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機高分子材料の機械的特性
を改善する目的で、炭酸カルシウムや粘土鉱物、雲母等
の無機質材料の添加・混合が検討されている。
【0003】しかし、これらの無機質材料は、添加・混
合した場合、有機高分子材料中での有機高分子母相との
間の結合が非常に弱いため、添加による脆化等の多くの
問題があり、また、無機質材料の添加量にも限界があ
る。この無機質材料と高分子材料との結合を強くする目
的で、該無機質材料のシランカップリング剤による処理
等が知られている。しかし、これらの方法により得られ
る有機高分子材料と無機質材料との結合は、ファンデル
ワールス結合によるものであって、両者の間のなじみを
良くする程度であり、補強効果や耐熱性改善のためには
充分のものとすることはできない。
【0004】これらの問題を解決するため、本出願人
は、先に、ポリアミドを含む樹脂と該ポリアミド中に分
散したアスペクト比の平均が5以上のひる石薄片とから
なる「ポリアミドを含む樹脂組成物」(特開昭57−8
3551号公報)を提案した。この組成物は、樹脂中に
アスペクト比(粒子の大きさ/厚さ)の大きいひる石薄
片を混入させることにより、有機高分子材料の機械的強
度を向上させようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この樹
脂組成物は、従来のものに比較して確かに機械的強度が
向上したが、ひる石薄片を得るために機械的粉砕を必要
とするため、充分なアスペクト比が得られない。しか
も、鉱物層と母相との結合力が弱いため、必要な強度を
得るには、脆化を犠牲にして添加量を多くする必要があ
った。
【0006】また、粘土鉱物の層間でポリアミドやポリ
スチレンなどの高分子を合成して複合材料を得ようとす
る試みがなされている(「高分子」,19,759,1
979; 「工業材料」,25,「3」,58,197
7)。しかし、これまでの方法では、有機高分子鎖が充
分には粘土鉱物の層間に侵入しないため、この層間距離
を拡大することができず、珪酸塩層と有機高分子とが均
一に、さらには、該珪酸塩の構成単位層が分子状に分散
することはなかった。また、このような場合には、層状
鉱物のアスペクト比を小さくするので、機械的強度向上
には逆効果になる。さらに、母相である高分子材料と層
間化合物との結合も充分ではないため、十分な補強効果
が得られなかった。
【0007】また、少なくとも1個のアミノ基を含有し
かつラクタムの重合触媒作用を有する有機化合物をイオ
ン交換反応で粘土に結合せしめた粘土・有機複合体の存
在下でラクタムを重合せしめる「粘土・ポリアミド複合
体の製造方法」(特開昭51−109998号公報)が
提案されている。しかし、この粘土・ポリアミド複合体
の製造方法により得られる複合体は、樹脂中の粘土は何
れも結晶単位層ごとに分離されたものではなく、粘土層
の層間距離が小さいため、引張り強さがマトリックスと
しての樹脂の強度以下である。すなわち、例えばナイロ
ン6の引張り強さ以下である(前記公報明細書中の実施
例で開示された引張り強度はナイロン6の30〜80%
である)。従って、この方法により得られる複合体は、
強度機械的強度および耐熱性が不十分であるという問題
を有している。
【0008】そもそも、従来より、ポリアミド中に粘土
を分散させハイブリッド化すると、もともとの樹脂より
も引張り強さ等の機械的強度が低下すると言われてい
る。前記特開昭51−109998号公報に開示された
方法により得られる複合体は、この従来の複合体の強度
低下を改善し、マトリックス樹脂単体で得られる成形体
の強度に近づけようとするものであり、換言すれば、何
れも複合化によりもともとの樹脂単体で得られる成形体
より機械的強度が低下するものである。このように、上
記方法では、マトリックス樹脂単体で得られる成形体の
強度より優れた強度特性を有する複合体を得ることがで
きないという問題を有している。
【0009】そこで、本発明者らは、上述のごとき従来
技術の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実
験を重ねた結果、本発明を成すに至ったものである。
【0010】(発明の目的)本発明の目的は、機械的強
度および耐熱性に優れた複合材料の製造方法を提供する
にある。本発明の他の目的は、マトリックスとしての樹
脂よりも優れた機械的強度や耐熱性を有する複合材料の
製造方法を提供するにある。
【0011】本発明者らは、上述の従来技術の問題点に
関して、以下のことに着眼した。すなわち、先ず、従来
より提案されている粘土−ポリアミド複合体は、ポリア
ミド中に粘土を分散させハイブリッド化すると、もとも
との樹脂よりも引張り強さ等の機械的強度が低下する。
これは、従来より提案されている粘土−ポリアミド複合
体は、粘土層とポリアミドの結合が弱く、粘土層の分散
性が十分でないので、引張り強さがマトリックスとして
の樹脂の強度以下(例えばナイロン6の引張り強さ以
下)となることが分かった。また、分散している粘土層
そのものの構成単位が大きいことが分かった。
【0012】本発明者らは、これら問題を解決する方法
として、樹脂中に分散させる珪酸塩層を構成単位の最
小とし、珪酸塩層とポリアミド分子鎖をイオン結合によ
り結合させることこと、珪酸塩層を樹脂中に均一に分
散させること、樹脂中に分散させる珪酸塩層間の距離
を100Å以上とすること、に着眼した。
【0013】また、これを実現する方法として、陽イ
オン交換容量が適量(例えば、50〜200ミリ当量/
100g)の粘土鉱物を用いること、ポリアミドモノ
マーと粘土鉱物以外に、ポリアミドモノマー分子を層間
に取り込む作用が大変強い触媒作用を奏する物質を共存
させること、粘土層間距離を重合前に適度に拡大する
ことができ、しかも珪酸塩層とポリアミド分子鎖とがイ
オン結合で結合されるような物質を共存させること、に
着眼した。そして、上記およびを満足する物質とし
て、 (a)銅イオン,水素イオン,アルミニウムイオン等
の無機陽イオンからなる膨潤化剤、または (b)炭素数が
12以上のアルキレン基とカルボキシル基とを有する有
機陽イオン(有機アンモニウムイオン)からなる膨潤化
剤に着目した。そして、予め前記所定の陽イオン交換容
量を有する粘土鉱物と前記膨潤化剤とを接触させてこの
両者をイオン結合させ、モノマーの溶融温度以上の温度
でモノマーにより膨潤する性質を有する複合体を作製
し、該複合体とポリアミドモノマーとを混合し、該混合
物を所定温度に加熱して前記膨潤化剤の触媒作用のもと
に重合することにより、機械的強度および耐熱性に優れ
た複合材料に到達し、本発明を成すに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の複合材料の製造
方法は、陽イオン交換容量が50〜200ミリ当量/1
00gの粘土鉱物と、銅イオン,水素イオン,アルミニ
ウムイオン等の無機陽イオンからなる膨潤化剤とを接触
させてこの両者をイオン結合させ、モノマーの溶融温度
以上の温度でモノマーにより膨潤する性質を有する複合
体とする接触工程と、該複合体とポリアミドモノマーと
を混合する工程と、該混合物を所定温度に加熱して前記
膨潤化剤の触媒作用のもとに重合する重合工程と、から
なることを特徴とする。
【0015】
【作用】本発明の複合材料の製造方法が、優れた効果を
発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明らかで
はないが、次のように考えられる。
【0016】本発明の複合材料の製造方法は、先ず、陽
イオン交換容量が50〜200ミリ当量/100gの粘
土鉱物と、銅イオン,水素イオン,アルミニウムイオン
等の無機陽イオンからなる膨潤化剤とを接触させてこの
両者をイオン結合させ、複合体とする(接触工程)。こ
れにより、粘土鉱物に膨潤化剤を吸着させて、モノマー
の溶融温度以上の温度でモノマーにより膨潤する性質を
有する複合体を得ることがきる。ここで、粘土鉱物は、
陽イオンの交換容量が50〜200ミリ当量/100g
と、反応させるモノマーとの接触面積が大きい粘土鉱物
である。該交換容量を上記範囲とすることにより、無機
陽イオンからなる膨潤化剤の交換吸着が充分に行え、し
かも粘土鉱物自身の層間の距離を重合前に適度に拡大す
ることができる。
【0017】次に、前記接触工程において得られた複合
体とポリアミドモノマーとを混合する(混合工程)。
【0018】次に、前記混合工程において得られた混合
物を、所定温度に加熱して前記膨潤化剤の触媒作用のも
とに重合する(重合工程)。これにより、ポリアミドを
含む樹脂中に均一に分子状に分散させた珪酸塩層とから
なり、珪酸塩層間の距離が所定値以上であり,かつ前記
珪酸塩層が前記ポリアミドの高分子鎖の一部とイオン結
合してなり、機械的強度および耐熱性に優れた複合材料
を得ることができる。
【0019】このとき、Cu2+,Al2+,H+ などの無
機陽イオンからなる膨潤化剤は、ポリアミドモノマー分
子を層間に取り込む作用、ラクタム化合物の開環重合開
始作用を有し、重合反応進行に伴い、生成ポリマーをも
層間に取り込む作用をも有する。これは、該膨潤化剤
が、上記モノマーを層間に取り込む力が強いことで粘土
層間距離が重合前にある程度拡げられ、その結果層間の
凝集力が減少させられるためではないかと考えられる。
このように、凝集力を減ずることによって、はじめて珪
酸塩を均一にかつ分子状に分散することができるものと
考えられる。
【0020】以上により、本発明で用いた銅イオン、水
素イオン、アルミニウムイオン等の無機陽イオンからな
る膨潤剤は、ポリアミドモノマー分子を層間に取り込む
作用が大変強く、粘土層間距離を重合前に適度に拡大す
ることができ、その結果層間の凝集力が減少させられる
ので、珪酸塩が超分散した複合材料が合成でき機械的性
質や耐熱特性に優れた複合材料が得られものと考えられ
る。
【0021】
【発明の効果】本発明の複合材料の製造方法は、接触工
程−混合工程−重合工程により、補強性に優れた複合材
料を得ることができ、重合後にさらに加熱溶融処理等の
強度向上処理を行うことを要せず、経済的かつ効率的で
ある。また、本発明の複合材料の製造方法により得られ
た複合材料は、機械的強度や耐熱性に優れた複合材料で
ある。さらに、本発明の製造方法によれば、上記のよう
な優れた複合材料が得られるというばかりでなく、従来
の複合材料製造工程を省くことができ、経済的かつ効率
的に製造することができる。すなわち、 (1)本発明の方
法によるイオンを吸着した粘土鉱物は、ラクタム化合物
などのポリアミドモノマーの重合触媒作用をするため、
新たな触媒添加やアミノ酸合成のための開環反応工程が
不要である。 (2)加熱重合過程で複合化できるため、粘
土鉱物の表面処理や混合の工程が省略できる。 (3)化学
反応を利用して珪酸塩層を分散させるため、粘土鉱物の
粉砕や混合方法が簡略化でき、しかも粉砕のしすぎのた
めのアスペクト比の低下もない。 (4)粘土鉱物はポリア
ミドモノマーを変質させることはなく、保存安定性に優
れているので、モノマーと予め混合したままでも、重合
後のポリマーと複合体の形でも保存や輸送が可能であ
る。
【0022】(発明の実施態様)本発明の複合材料の製
造方法について、以下に説明する。先ず、陽イオン交換
容量が50〜200ミリ当量/100gの粘土鉱物と、
銅イオン,水素イオン,アルミニウムイオン等の無機陽
イオンからなる膨潤化剤とを接触させてこの両者をイオ
ン結合させ、モノマーの溶融温度以上の温度でモノマー
により膨潤する性質を有する複合体とする(接触工
程)。これにより、粘土鉱物に膨潤化剤を吸着させて、
モノマーの溶融温度以上の温度でモノマーにより膨潤す
る性質を有する複合体を得る。
【0023】ここで、この接触方法としては、所望の
膨潤化剤を含む水溶液中に粘土鉱物を浸漬した後、該粘
土鉱物を水洗して過剰なイオンを除去する方法、予め
所定の膨潤化剤で交換した陽イオン交換樹脂と粘土鉱物
の水懸濁液を接触させてイオン交換する方法、などがあ
る。
【0024】また、粘土鉱物は、陽イオンの交換容量が
50〜200ミリ当量/100gと、反応させるモノマ
ーとの接触面積が大きい粘土鉱物である。具体的には、
モンモリロナイト、サポナイト、ハイデライト、ノント
ロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメク
タイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイ
ト、などがあり、天然のものでも合成されたものでも良
い。
【0025】ここで、本発明で用いる粘土鉱物の陽イオ
ンの交換容量を50〜200ミリ当量/100gとした
のは、該容量が200ミリ当量/100gを超える場
合、その鉱物の層間の結合力が強固なため、本発明の目
的とする複合体を得ることが困難となるからである。ま
た、粘土鉱物の陽イオン交換容量が50ミリ当量/10
0g未満の場合、本発明の製造方法において不可欠であ
る有機陽イオンまたは無機陽イオンからなる上記膨潤化
剤の交換吸着が充分に行えず、本発明の目的する複合材
料の合成が困難となるからである。なお、この粘土鉱物
は、ミキサー、ボールミル、振動ミル、ピンミル、ジェ
ットミル、叩解機等を用いて粉砕し、予め所望の形状・
大きさのものとしておくことが好ましい。
【0026】さらに、膨潤化剤は、粘土鉱物の層間を拡
げる役割および粘土鉱物に層間ポリマーを取り込む力を
与える役割を有するものであり、銅イオン(Cu2+),
水素イオン(H+ ),アルミニウムイオン(Al3+)等
の無機陽イオンの一種以上からなる膨潤化剤を用いる。
【0027】これらのイオン吸着した上記の粘土鉱物
は、ε−カプロラクタムなどのラクタム化合物の開環重
合の触媒作用を有する。そればかりでなく、ラクタムの
開環重合やアミノ酸あるいはナイロン塩の脱水縮合で生
成されるポリアミドを粘土の層間へ取り込む能力を有す
る。従って、これらのイオンを吸着した粘土鉱物を利用
することにより、本発明にかかる超分散複合体が合成さ
れる。
【0028】この重合反応の開始あるいは重合反応にお
いては、無機陽イオンは、(Cu・NH+ −)やアンモ
ニウムイオン(H3 + −) などの陽イオン基を形成
し、この陽イオン粘土層とイオン結合を形成する。
【0029】上記のような膨潤化剤として用いる無機陽
イオンは、ポリアミドモノマー分子を層間に取り込む作
用、およびラクタム化合物の開環重合開始作用を有し、
重合反応進行に伴い、生成ポリマーをも層間に取り込む
作用をも有する。上記イオンのみがポリマーを層間に十
分に取り込む作用、すなわち均一に分子状に珪酸塩をポ
リマー中に分散させる作用を有する理由は必ずしも明ら
かではないが、以下のようである。すわなち、Cu2+
Al2+,H+ などの無機陽イオンの場合は、上記モノマ
ーを層間に取り込む力が強いことで粘土層間距離が重合
前にある程度拡げられ、その結果層間の凝集力が減少さ
せられるためではないかと考えられる。このように、凝
集力を減ずることによって、はじめて珪酸塩を均一にか
つ分子状に分散することができるものと考えられる。
【0030】次に、前記接触工程において得られた複合
体とポリアミドモノマーとを混合する(混合工程)。こ
こで、ポリアミドモノマーは、複合材料の基体をなすも
のであり、重合後ポリアミドまたはポリアミドとそれ以
外の重合体との混合物になる原料であり、具体的には、
6−アミノ−n−カプロン酸,12−アミノドデカン酸
等のアミノ酸化合物、ヘキサメチレンジアミンのアジピ
ン酸塩等のナイロン塩化合物、ε−カプロラクタム,バ
レロラクタム,カプリルラクタム,α−ピロリジノン等
のラクタム化合物である。
【0031】また、複合体とポリアミドモノマーとの混
合は、通常の混合方法を採用することができ、具体的に
は、自動乳鉢や振動ミル等による機械混合により行う。
【0032】次に、前記混合工程において得られた混合
物を、所定温度に加熱して前記膨潤化剤の触媒作用のも
とに重合する(重合工程)。ここで、この重合は、混合
後直ちに所定温度に昇温して行ってもよいが、一旦モノ
マー融点直上に加熱し、その後均一に粘土鉱物をモノマ
ー中に分散させるとより効果的である。
【0033】以上のようにしてえられた複合材料は、直
接射出成形や加熱加圧成形などで成形して利用してもよ
いし、予め他のポリアミド等の高分子と混合して所定の
混合割合としてもよい。また、上記の重合反応を所定の
型中で進行させて成形体を得てもよい。また、ポリアミ
ドの重合工程においては、燐酸や水などの重合触媒をさ
らに添加してもよい。
【0034】本発明では、上記の方法により、ポリアミ
ドを含む樹脂と、該樹脂中に均一に分子状に分散させた
珪酸塩層とからなり、該珪酸塩層は厚さが7〜12Å
で,珪酸塩層間の距離が100Å以上であり、かつ前記
珪酸塩層が前記ポリアミドの高分子鎖の一部とイオン結
合してなる好適な複合材料を得ることができる。これに
より、引張り強度や弾性率などの機械的性質や、軟化温
度や高温強度などの耐熱特性により優れた複合材料を得
ることができる。この複合材料は、強度および耐熱性を
従来のナイロンよりも格段に向上させることができると
いう、従来にはない顕著な効果を有する。
【0035】すなわち、本発明の複合材料の製造方法に
より得られる複合材料は、ポリアミド分子鎖が珪酸塩層
とのイオン結合により橋かけされた構造を有するため、
その熱的あるいは機械的に変形させることが困難であ
る。そのために、引張強度や弾性率などの機械的性質、
軟化温度や高温強度などの耐熱特性が優れている。ま
た、層状の無機物質が均一に分散しているため、寸法安
定性、耐摩耗性、表面潤滑性、透水性、耐水性に優れて
いる。また、無機層状物質である珪酸塩が10Å程度と
いう分子レベルの厚さの単位で分散、すなわち、分子長
が10Å程度の珪酸塩を樹脂中に均一に分子状に分散し
ている。これにより、本発明では、ポリアミドを含む樹
脂中に、層状珪酸塩を分子レベルで、すなわち結晶単位
層ごとに分離された状態で均一に分散させたことによ
り、複合体の強度を向上させることができる。また、珪
酸塩層は、有機分子鎖と強く結合している。すなわち、
珪酸塩層は、ポリアミドの高分子鎖の一部とイオン結合
しているので、従来の無機質による複合材料に見られる
ような脆化のような悪影響を残すことがない。また、樹
脂中に分散した珪酸塩の層間の距離が100Å以上であ
る。このように、ポリアミドを含む樹脂中に、層状珪酸
塩を100Å以上の層間距離をもって分散させた複合材
料としたことにより、複合体の機械的強度および耐熱性
を向上させ、通常のナイロン以上の優れた強度および耐
熱性を得ることができる。
【0036】以上により、本発明の製造方法により得ら
れる複合材料は、機械的強度および耐熱性に優れた複合
材料とすることができたものと考えられる。
【0037】本発明の複合材料の製造方法により得られ
る複合材料における樹脂は、ポリアミドを含む樹脂であ
り、ポリアミドまたはポリアミドとそれ以外の重合体と
の混合物からなる樹脂である。
【0038】ここで、ポリアミドとは、酸アミド結合
(−CONH−)を有する重合体の総称で、具体的には
ナイロン66、ナイロン6、ナイロン11などがある。
この樹脂は、ポリアミド樹脂を含む割合が多ければ多い
ほど本発明の効果を顕著に奏することができるが、その
含有割合が10重量%(wt%)であっても本発明の効
果を奏することができる。
【0039】また、珪酸塩層は、高分子材料に機械的特
性および耐熱性を付与するものであり、厚さが7〜12
Åの珪酸マグネシウム層または珪酸アルミニウム層より
形成される層状フィロ珪酸塩鉱物である。これらの珪酸
塩層は、同形イオン置換等により負に帯電している。こ
の負電荷の密度や分布などによりその特性が異なるが、
本発明では、負電荷1価当りの層表面の占有面積が25
〜200Å2 の珪酸塩層であることが好ましい。
【0040】本発明により得られる複合材料は、上述し
たポリアミドを含む樹脂と、該樹脂中に均一に分子状に
分散させた珪酸塩層とからなる。
【0041】ここで、ポリアミドを含む樹脂中の珪酸塩
層の含有量は、樹脂100重量部に対して0.5〜150
重量部であることが好ましい。これは、該含有量が0.5
重量部未満の場合、珪酸塩層が少なすぎため充分な補強
効果が得られないからである。また、前記含有量が15
0重量部を超えた場合、樹脂成分が少ないため層間化合
物粉体が得られるに過ぎず、これを成形体として利用す
ることが困難だからである。なお、より好適には、珪酸
塩層の含有量が、樹脂100重量部に対して0.5〜2
5重量部である。さらに、最適には、珪酸塩層の含有量
が、樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部であ
る。これにより、ポリアミドを含む樹脂中に、層間の距
離が100Å以上の珪酸塩層をより均一にかつ分子状に
十分に分散させた複合材料を得ることができ、これによ
り、引張り強度や弾性率などの機械的性質や、軟化温度
や高温強度などの耐熱特性により優れた複合材料を得る
ことができる。この複合材料は、強度および耐熱性を従
来のナイロンよりも格段に向上させることができるとい
う、従来にはない顕著な効果を有する。
【0042】この複合材料は、負に帯電した粘土鉱物の
構成単位である珪酸塩層と、樹脂中のポリアミドの一部
が持つ正電荷を有する基とイオン結合を形成している。
該正電荷には、モノマー分子と無機分子との相互作用で
形成された陽イオン基(−NX+ 基:Xは、水素
(H)、メチル((CH3)3)、銅(Cu),アルミニウ
ム(Al)などの少なくとも一種以上からなり、併せて
+3価になる)などがある。
【0043】すなわち、従来技術の粘土・ポリアミド複
合体の製造法により得られる複合体は、粘土層が本願発
明のように大きな層間距離をもって分散されたものでは
ないので、引張り強さがマトリックスとしての樹脂の強
度以下(例えばナイロン6の引張り強さ以下)となる。
これは、そもそも、従来技術ではポリアミド中に粘土を
分散させハイブリッド化すると、もともとの樹脂よりも
引張り強さ等の機械的強度が低下すると言われている。
本発明は、この従来技術の考え方によるのではなく、も
ともとの樹脂単体で得られる成形体の機械的強度や耐熱
性を向上させることを目的としてなされたものであり、
上記構成により、引張り強度や弾性率などの機械的性質
や、軟化温度や高温強度などの耐熱特性に優れたものを
実現したものである。これにより、本発明は、機械的強
度および耐熱性を従来のナイロンよりも格段に向上させ
ることができるという、従来にはない顕著な効果を奏す
ることができる。
【0044】以下に、本発明の実施例を説明する。
【0045】(実施例1)粘土鉱物として山形県産モン
モリロナイト(陽イオン交換容量:100ミリ当量/1
00g)を膨潤化剤として第1表に示すものを用いて複
合体を作製し、ラクタム化合物の重合を行った。
【0046】
【表1】
【0047】先ず、モンモリロナイトに、膨潤化剤とし
ての第1表に示す無機陽イオンを吸着させた。この場
合、吸着陽イオンがアルミニウムイオン(Al3+)の場
合には、予めイオン交換性樹脂に吸着させ、その樹脂を
充填したカラム中をモンモリロナイトの水懸濁液を回流
させることにより吸着させた。
【0048】また、それ以外の陽イオンの場合には、吸
着させるイオンを含む塩化物の水溶液(濃度1規定)1
リットル中にモンモリロナイト10gを浸漬した後、ブ
フナーロートを用いて濾過−水洗を繰り返すことにより
行った。
【0049】このイオン交換されたモンモリロナイトと
ε−カプロラクタムとを所定の割合で乳鉢を用いて混合
した後、アルミニウム製の容器に入れ、80℃で3時間
乾燥およびε−カプロラクタムの溶融による均一を図っ
た。得られたものをステンレス製の密封容器中に入れ、
250℃で5時間加熱処理をして生成物を得た。これ
を、DSC(示差走査熱量計)を用いて2℃/分で加熱
し、生成物の融解熱を測定し、生成物中のポリアミドの
転化率を推定した。また、分散の程度を、X線回折によ
り、珪酸塩層間の距離を測定して求めた。得られた結果
を、第1表に示す。
【0050】比較のため、上述の膨潤化剤のかわりに、
ナトリウムイオン(Na+ )、マグネシウムイオン(M
2+)、および界面活性剤(NH3 + ( CH2)17
3 )を用いた他は、上記の実施例1と同様の方法で比
較用複合体を得(試料番号:C1〜C3)、ポリアミド
の転化率の推定および珪酸塩層間の距離の測定を行っ
た。得られた結果を、第1表に併せて示す。
【0051】また、アミノシラン処理を施したモンモリ
ロナイトを同じ割合(モンモリロナイト:10g、ナイ
ロン6:100g)で混練した試料(試料番号:C4)
およびナイロン6のみ(試料番号:C5)を上記と同様
に成形した。
【0052】次に、試料番号1〜5の複合材料、および
比較用複合体C1〜C5を射出成形機により成形して、
試験片を得た。この試験片を用いて、引張り試験(JI
SK7113)および熱変形温度の測定を行った。その
結果、本発明にかかる本実施例の複合材料は、比較用材
料に比べて機械的強度および耐熱性に優れた材料である
ことが確認された。
【0053】すなわち、本実施例により得られた複合材
料は、複合体の機械的強度および耐熱性を向上させ、通
常のナイロン(比較例:C5)以上の強度および耐熱性
が得られていることが分かる。
【0054】また、比較例C1〜C3のように膨潤化剤
のかわりに、Na+ やMg2+、NH3 + ( CH2)17CH
3 を用いたものは、粘土層が本実施例のように大きな層
間距離をもって分散されたものではないので、引張り強
さがマトリックスとしての樹脂(ナイロン6)の強度以
下となることが確認された。
【0055】これにより、本実施例では、引張り強度や
弾性率などの機械的性質や、軟化温度や高温強度などの
耐熱特性に優れた複合材料が得られ、しかもこの複合材
料は、機械的強度および耐熱性を従来のナイロンよりも
格段に向上させることができたことが分かる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 3/34 (72)発明者 岡田 茜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉山 繁利 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン交換容量が50〜200ミリ当
    量/100gの粘土鉱物と、銅イオン,水素イオン,ア
    ルミニウムイオン等の無機陽イオンからなる膨潤化剤と
    を接触させてこの両者をイオン結合させ、モノマーの溶
    融温度以上の温度でモノマーにより膨潤する性質を有す
    る複合体とする接触工程と、 該複合体とポリアミドモノマーとを混合する工程と、 該混合物を所定温度に加熱して前記膨潤化剤の触媒作用
    のもとに重合する重合工程と、からなることを特徴とす
    る複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 膨潤化剤が、アルミニウムイオン、水素
    イオン、銅イオンの一種または二種以上の混合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリアミドモノマーが、ラクタム化合物
    であることを特徴とする請求項1記載の複合材料の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 ポリアミドモノマーが、アミノ酸である
    ことを特徴とする請求項1記載の複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリアミドモノマーが、ナイロン塩であ
    ることを特徴とする請求項1記載の複合材料の製造方
    法。
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