JPH07310088A - 高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤 - Google Patents
高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤Info
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- JPH07310088A JPH07310088A JP7089994A JP8999495A JPH07310088A JP H07310088 A JPH07310088 A JP H07310088A JP 7089994 A JP7089994 A JP 7089994A JP 8999495 A JP8999495 A JP 8999495A JP H07310088 A JPH07310088 A JP H07310088A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高Crステンレス鋼の熱間圧延時にロールへ
の焼付きを起こさない潤滑剤を得る。 【構成】 高Crステンレス鋼を熱間圧延するさいに,
その被圧延材と接する圧延ロールの表面に,少なくとも
その圧延が行われている間連続的に供給する熱延用潤滑
剤であって,水溶性高分子からなる増粘剤を水に溶解し
てなる粘性水溶液中に平均粒径が0.1μm以上で1μ
m未満の水酸化鉄の粉末10〜40重量%を分散させて
なり且つ見掛け粘度が1000〜50000cP(セン
チポアズ)である高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑
剤である。
の焼付きを起こさない潤滑剤を得る。 【構成】 高Crステンレス鋼を熱間圧延するさいに,
その被圧延材と接する圧延ロールの表面に,少なくとも
その圧延が行われている間連続的に供給する熱延用潤滑
剤であって,水溶性高分子からなる増粘剤を水に溶解し
てなる粘性水溶液中に平均粒径が0.1μm以上で1μ
m未満の水酸化鉄の粉末10〜40重量%を分散させて
なり且つ見掛け粘度が1000〜50000cP(セン
チポアズ)である高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑
剤である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,とくにCr含有量の多
いステンレス鋼を熱間圧延する際にロール表面と被圧延
材との間に供給する焼き付防止用の潤滑剤に関する。
いステンレス鋼を熱間圧延する際にロール表面と被圧延
材との間に供給する焼き付防止用の潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼の鋼帯または鋼板(本明細
書では両者を含めた意味で鋼板と略称する)は美麗な表
面肌が要求されるから,その製造工程において表面疵の
発生を極力防止する必要がある。しかし,タンデムミル
等の熱間圧延設備でステンレス鋼を熱間圧延する際に,
圧延ロールに対するステンレス鋼の焼き付きに起因した
疵が鋼板表面にしばしば発生していた。
書では両者を含めた意味で鋼板と略称する)は美麗な表
面肌が要求されるから,その製造工程において表面疵の
発生を極力防止する必要がある。しかし,タンデムミル
等の熱間圧延設備でステンレス鋼を熱間圧延する際に,
圧延ロールに対するステンレス鋼の焼き付きに起因した
疵が鋼板表面にしばしば発生していた。
【0003】この焼き付きは,熱延ロールの金属面と熱
延材の金属面とが密着する(メタル−メタルタッチす
る)ことによって引き起こされるとされている。とくに
Cr含有量が高いほど表面に酸化被膜(スケール)が生
成し難く,生成する場合でもその生成速度が著しく遅い
ので高Crステンレス鋼の熱間圧延では前記のメタル−
メタルタッチが起きる機会が多くなってロールへの焼き
付きが多発する傾向にある。この焼き付きが生じるとロ
ールの表面性状が劣化し,その劣化した形状が被圧延材
の表面に転写されるので,被圧延材の表面性状が悪くな
る。
延材の金属面とが密着する(メタル−メタルタッチす
る)ことによって引き起こされるとされている。とくに
Cr含有量が高いほど表面に酸化被膜(スケール)が生
成し難く,生成する場合でもその生成速度が著しく遅い
ので高Crステンレス鋼の熱間圧延では前記のメタル−
メタルタッチが起きる機会が多くなってロールへの焼き
付きが多発する傾向にある。この焼き付きが生じるとロ
ールの表面性状が劣化し,その劣化した形状が被圧延材
の表面に転写されるので,被圧延材の表面性状が悪くな
る。
【0004】このロールへの焼き付きに起因してステン
レス鋼熱延板の表面に疵が発生すると,たとえ軽度な疵
であっても,最終工程で鏡面仕上げを行うような用途で
は不適合な製品になる。また表面疵を研磨等の表面手入
れを行って除去する工程が別途必要となる。疵の程度が
著しいものは場合によっては製品として利用できずにス
クラップとなる。したがって,該疵は鋼板製品の製造歩
留りの低下を来し,製造コストを上昇させる原因とな
る。
レス鋼熱延板の表面に疵が発生すると,たとえ軽度な疵
であっても,最終工程で鏡面仕上げを行うような用途で
は不適合な製品になる。また表面疵を研磨等の表面手入
れを行って除去する工程が別途必要となる。疵の程度が
著しいものは場合によっては製品として利用できずにス
クラップとなる。したがって,該疵は鋼板製品の製造歩
留りの低下を来し,製造コストを上昇させる原因とな
る。
【0005】このような問題を回避すべく,従来より,
圧延ロールの圧下負荷の軽減,圧延条件の選択,ロール
材質の選定および潤滑剤の選定といった様々な改善策が
試みられてきた。
圧延ロールの圧下負荷の軽減,圧延条件の選択,ロール
材質の選定および潤滑剤の選定といった様々な改善策が
試みられてきた。
【0006】例えば潤滑剤については,動物性油脂類,
植物性油脂類,鉱物系潤滑油または合成系潤滑油等の圧
延油を圧延ロール表面に供給して焼き付きを防止する方
法が種々提案されている。また,圧延油に潤滑機能をも
つ粉体を分散混合したうえでインジェクション方式で圧
延ロール表面に供給する方法も検討されている。しか
し,これらの方法では,とくに高Crステンレス鋼を熱
間圧延した時の焼き付きは完全に防止できず,表面疵発
生の事態を招来していたのが実状である。
植物性油脂類,鉱物系潤滑油または合成系潤滑油等の圧
延油を圧延ロール表面に供給して焼き付きを防止する方
法が種々提案されている。また,圧延油に潤滑機能をも
つ粉体を分散混合したうえでインジェクション方式で圧
延ロール表面に供給する方法も検討されている。しか
し,これらの方法では,とくに高Crステンレス鋼を熱
間圧延した時の焼き付きは完全に防止できず,表面疵発
生の事態を招来していたのが実状である。
【0007】特開昭64−83309号公報に,粘性水
溶液中に酸化鉄粉末を1〜30重量%の量で分散させて
なるステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤が記載されてい
る。この公報の発明は,該公報中に記載されているとお
り,表面に酸化スケールが生じ難いことがステンレス鋼
熱延時にロール焼き付きの原因となるならば,外部から
酸化鉄の粉末を積極的に補給すればこの原因が解消され
るであろうという着想に基いている。使用する酸化鉄粉
末としては Fe2O3および Fe3O4の粒径10μm以下の粉
末が挙げられ,粘性水溶液としては,アクリル酸重合体
やカルボシキビニールポリマー等の増粘剤を水に溶解し
たものが例示されている。
溶液中に酸化鉄粉末を1〜30重量%の量で分散させて
なるステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤が記載されてい
る。この公報の発明は,該公報中に記載されているとお
り,表面に酸化スケールが生じ難いことがステンレス鋼
熱延時にロール焼き付きの原因となるならば,外部から
酸化鉄の粉末を積極的に補給すればこの原因が解消され
るであろうという着想に基いている。使用する酸化鉄粉
末としては Fe2O3および Fe3O4の粒径10μm以下の粉
末が挙げられ,粘性水溶液としては,アクリル酸重合体
やカルボシキビニールポリマー等の増粘剤を水に溶解し
たものが例示されている。
【0008】特開昭63─254195号公報は,潤滑
油に酸化鉄粉末を懸濁させた組成物,または潤滑油に溶
けて水に溶けない高分子物質と酸化鉄粉末を潤滑油に添
加した組成物からなるステンレス鋼の熱間圧延用潤滑油
を開示し,この潤滑油もロールへの焼付きが抑制できる
と記載されている。
油に酸化鉄粉末を懸濁させた組成物,または潤滑油に溶
けて水に溶けない高分子物質と酸化鉄粉末を潤滑油に添
加した組成物からなるステンレス鋼の熱間圧延用潤滑油
を開示し,この潤滑油もロールへの焼付きが抑制できる
と記載されている。
【0009】他方,かような酸化鉄をロールと被圧延材
の間に外部から供給するという考え方とは異なり,ロー
ル表面を積極的に酸化しようとする考え方もあった。例
えば特公昭54−35985号公報には,圧延中のロー
ル表面に水を媒介として水酸化鉄を供給し,ロール表面
に四三酸化鉄を主成分とする被膜を形成させる方法が記
載されている。この場合,ロール材質としては酸化され
やすいアダマイト(ロール用鋳鉄の合金名)を使用し,
熱間圧延中のロールに対して,水酸化第2鉄の5%の懸
濁水をロール水冷用ノズルから吹き付けた場合と,水酸
化第2鉄の10〜20%の懸濁水をロール表面に接して
ワイパー状に設置されたフエルトを介して塗布した場
合,いずれもロール表面に人工的な黒皮が形成されたと
記載されている。しかし,通常の普通鋼の熱間圧延を対
象としており,ステンレス鋼の熱間圧延については記載
がない。
の間に外部から供給するという考え方とは異なり,ロー
ル表面を積極的に酸化しようとする考え方もあった。例
えば特公昭54−35985号公報には,圧延中のロー
ル表面に水を媒介として水酸化鉄を供給し,ロール表面
に四三酸化鉄を主成分とする被膜を形成させる方法が記
載されている。この場合,ロール材質としては酸化され
やすいアダマイト(ロール用鋳鉄の合金名)を使用し,
熱間圧延中のロールに対して,水酸化第2鉄の5%の懸
濁水をロール水冷用ノズルから吹き付けた場合と,水酸
化第2鉄の10〜20%の懸濁水をロール表面に接して
ワイパー状に設置されたフエルトを介して塗布した場
合,いずれもロール表面に人工的な黒皮が形成されたと
記載されている。しかし,通常の普通鋼の熱間圧延を対
象としており,ステンレス鋼の熱間圧延については記載
がない。
【0010】特開昭60−184405号公報は,前記
のロール表面を酸化するのとは逆に,被圧延材側のメタ
ル表面を鉄の水酸化物で積極的に酸化する方法を開示し
ており,粗圧延と仕上げ圧延を行うステンレス鋼の熱間
圧延工程において,粗圧延のパス間または粗圧延最終と
仕上げ圧延最初のパス間にある被圧延材に鉄の水酸化物
を供給することによって,前パスを通過する間に被圧延
材表面の酸化スケールが剥離して金属面が露出した部分
に酸化スケールを生成させ,この金属面が露出しないよ
うにして次パスを通過させる方法を提案している。ここ
で,鉄の水酸化物の被圧延材表面への供給には,コロイ
ド状の鉄水酸化物をキャリヤーガスを用いて噴霧する方
法と,水または圧延潤滑油に鉄水酸化物を懸濁させて被
圧延材表面に噴霧する方法が示されている。このよう
に,被圧延材に酸化スケールを再生させてから熱延ロー
ルを通過させると,圧延ロールへの焼付きが抑制される
と共に,被圧延材の表面も良好となると記載されてい
る。
のロール表面を酸化するのとは逆に,被圧延材側のメタ
ル表面を鉄の水酸化物で積極的に酸化する方法を開示し
ており,粗圧延と仕上げ圧延を行うステンレス鋼の熱間
圧延工程において,粗圧延のパス間または粗圧延最終と
仕上げ圧延最初のパス間にある被圧延材に鉄の水酸化物
を供給することによって,前パスを通過する間に被圧延
材表面の酸化スケールが剥離して金属面が露出した部分
に酸化スケールを生成させ,この金属面が露出しないよ
うにして次パスを通過させる方法を提案している。ここ
で,鉄の水酸化物の被圧延材表面への供給には,コロイ
ド状の鉄水酸化物をキャリヤーガスを用いて噴霧する方
法と,水または圧延潤滑油に鉄水酸化物を懸濁させて被
圧延材表面に噴霧する方法が示されている。このよう
に,被圧延材に酸化スケールを再生させてから熱延ロー
ルを通過させると,圧延ロールへの焼付きが抑制される
と共に,被圧延材の表面も良好となると記載されてい
る。
【0011】また,特開昭52−142704号公報は
圧延油をベースにしたポリマーエマルジョンに潤滑機能
をもつ物質を同伴させてなる熱間圧延用潤滑剤を開示し
ている。この潤滑剤は摩擦係数を高めて噛み込み性を向
上させたものであるが,この潤滑剤はCr含有量の低い
普通鋼を対象としたものであり,ステンレス鋼のように
Cr含有量の高い鋼における焼き付き防止には不十分と
考えられる。
圧延油をベースにしたポリマーエマルジョンに潤滑機能
をもつ物質を同伴させてなる熱間圧延用潤滑剤を開示し
ている。この潤滑剤は摩擦係数を高めて噛み込み性を向
上させたものであるが,この潤滑剤はCr含有量の低い
普通鋼を対象としたものであり,ステンレス鋼のように
Cr含有量の高い鋼における焼き付き防止には不十分と
考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは特開昭6
4−83309号公報に提案された発明について前記の
着想のもとにその後も試験研究を続けたが,当該公報に
記載された潤滑剤にあっては粘性水溶液に酸化鉄粉末を
混合した直後は均一な分散が得られるが,これを保存す
る貯槽内で酸化鉄粉末の沈降が生じ,長時間安定した酸
化鉄粉末の分散保持が得られないことを経験した。酸化
鉄粉末の分散保持が不安定であると,実際の操業におい
て圧延ロール表面に酸化鉄粉末を安定して供給できなく
なる。すなわち,当該潤滑剤を圧延ロールに供給するた
めの導管の継ぎ目部分などに酸化鉄が堆積して管の詰り
が発生したり,潤滑剤の供給不足といった事態が発生す
る。
4−83309号公報に提案された発明について前記の
着想のもとにその後も試験研究を続けたが,当該公報に
記載された潤滑剤にあっては粘性水溶液に酸化鉄粉末を
混合した直後は均一な分散が得られるが,これを保存す
る貯槽内で酸化鉄粉末の沈降が生じ,長時間安定した酸
化鉄粉末の分散保持が得られないことを経験した。酸化
鉄粉末の分散保持が不安定であると,実際の操業におい
て圧延ロール表面に酸化鉄粉末を安定して供給できなく
なる。すなわち,当該潤滑剤を圧延ロールに供給するた
めの導管の継ぎ目部分などに酸化鉄が堆積して管の詰り
が発生したり,潤滑剤の供給不足といった事態が発生す
る。
【0013】このために焼き付き防止の目的が完全に果
たせないおそれがある。特に,近年では成分的にCr当
量の高い耐高温酸化性に優れた高Crステンレス鋼が自
動車用排ガス部材等に用いられる傾向にあるが,Cr当
量が高いと,それだけ熱間圧延時に被圧延材表面に生成
するスケールの厚みが薄くなるので,焼き付きが発生し
やすいが,酸化鉄粉末を用いる前記の潤滑剤は比較的低
Crのステンレス鋼の焼き付き防止には有効に作用して
も,このようなCr当量の高いステンレス鋼に対しても
完全に焼き付きを防止できるものとは言えないことがわ
かった。したがって,本発明の目的の一つはこのような
問題の解決を図ることである。
たせないおそれがある。特に,近年では成分的にCr当
量の高い耐高温酸化性に優れた高Crステンレス鋼が自
動車用排ガス部材等に用いられる傾向にあるが,Cr当
量が高いと,それだけ熱間圧延時に被圧延材表面に生成
するスケールの厚みが薄くなるので,焼き付きが発生し
やすいが,酸化鉄粉末を用いる前記の潤滑剤は比較的低
Crのステンレス鋼の焼き付き防止には有効に作用して
も,このようなCr当量の高いステンレス鋼に対しても
完全に焼き付きを防止できるものとは言えないことがわ
かった。したがって,本発明の目的の一つはこのような
問題の解決を図ることである。
【0014】なお,特公昭54−35985号公報に提
案されたものは,表面が酸化されやすく且つ普通鋼の熱
延に多用されるアマダイト製ロールの表面に Fe3O4の被
膜を生成させることはできても,ステンレス鋼の熱延に
使用されるハイクロム製ロールやハイス(高速度鋼)製
ロールに対しても同様の被膜が安定して形成するとは考
えられない。かりに Fe3O4被膜がロール表面に形成され
たとしても,その厚みが薄いような場合には,高速回転
のロールで長時間のステンレス鋼の熱延が行われるさい
の焼き付き防止に功を奏するとは考えられない。このこ
とは,特開昭60−184405号公報に提案されたよ
うに,ロールに入る前の被圧延材の表面に酸化鉄の被膜
を積極的に形成しようとする場合にも言い得る。特に被
圧延材が高Crのステンレス鋼では酸化鉄の被膜は成形
され難く,形成されたとしても薄いものとなるからであ
る。したがって,本発明の一つの目的は,ロール側また
は被圧延材側の表面に酸化鉄の被膜を形成させてから圧
延するという公知の方法の限界を克服し,高Crステン
レス鋼の熱延でも焼き付きの問題が解決できる潤滑剤を
提供することであり,特に,ロール表面全体に安定して
供給可能な性状を有し且つ高Crステンレス鋼でも焼き
付き防止効果の優れた潤滑剤を提供することである。
案されたものは,表面が酸化されやすく且つ普通鋼の熱
延に多用されるアマダイト製ロールの表面に Fe3O4の被
膜を生成させることはできても,ステンレス鋼の熱延に
使用されるハイクロム製ロールやハイス(高速度鋼)製
ロールに対しても同様の被膜が安定して形成するとは考
えられない。かりに Fe3O4被膜がロール表面に形成され
たとしても,その厚みが薄いような場合には,高速回転
のロールで長時間のステンレス鋼の熱延が行われるさい
の焼き付き防止に功を奏するとは考えられない。このこ
とは,特開昭60−184405号公報に提案されたよ
うに,ロールに入る前の被圧延材の表面に酸化鉄の被膜
を積極的に形成しようとする場合にも言い得る。特に被
圧延材が高Crのステンレス鋼では酸化鉄の被膜は成形
され難く,形成されたとしても薄いものとなるからであ
る。したがって,本発明の一つの目的は,ロール側また
は被圧延材側の表面に酸化鉄の被膜を形成させてから圧
延するという公知の方法の限界を克服し,高Crステン
レス鋼の熱延でも焼き付きの問題が解決できる潤滑剤を
提供することであり,特に,ロール表面全体に安定して
供給可能な性状を有し且つ高Crステンレス鋼でも焼き
付き防止効果の優れた潤滑剤を提供することである。
【0015】ここで,高Crステンレス鋼とは,後述の
式によって定義されるCr当量が20%以上であるよう
なステンレス鋼を意味する。
式によって定義されるCr当量が20%以上であるよう
なステンレス鋼を意味する。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば,高Cr
ステンレス鋼を熱間圧延するさいに,その被圧延材と接
する圧延ロールの表面に,少なくともその圧延が行われ
ている間,連続的に供給する熱間圧延用潤滑剤であっ
て,水溶性高分子からなる増粘剤を水に溶解してなる粘
性水溶液中に,平均粒径が0.1μm以上で1μm未満
の水酸化鉄の粉末10〜40重量%を分散させてなり且
つ見掛け粘度が1000〜50000cP(センチポア
ズ)である高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤を提
供する。
ステンレス鋼を熱間圧延するさいに,その被圧延材と接
する圧延ロールの表面に,少なくともその圧延が行われ
ている間,連続的に供給する熱間圧延用潤滑剤であっ
て,水溶性高分子からなる増粘剤を水に溶解してなる粘
性水溶液中に,平均粒径が0.1μm以上で1μm未満
の水酸化鉄の粉末10〜40重量%を分散させてなり且
つ見掛け粘度が1000〜50000cP(センチポア
ズ)である高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤を提
供する。
【0017】ここで,水酸化鉄は好ましくは一般式Fe
O(OH)で表される水酸化鉄である。増粘剤は好まし
くは水溶性の架橋型アクリル酸重合体または水溶性のバ
イオガムである。また,本発明の潤滑剤は所望により非
イオン系界面活性剤,例えばエチレングリコール脂肪酸
エステルまたはプロピレン脂肪酸エステル等のエステル
系のものが適量添加される。
O(OH)で表される水酸化鉄である。増粘剤は好まし
くは水溶性の架橋型アクリル酸重合体または水溶性のバ
イオガムである。また,本発明の潤滑剤は所望により非
イオン系界面活性剤,例えばエチレングリコール脂肪酸
エステルまたはプロピレン脂肪酸エステル等のエステル
系のものが適量添加される。
【0018】本発明の熱間圧延用潤滑剤は,下式(1) で
定義されるCr当量が20%以上の高Crのステンレス
鋼の熱間圧延でもロールへの焼き付きが防止できる。 Cr当量(%)=[Cr]+2[Si]+2.5[Al]+1.2[Mo]-30[C]-15[N]-2[Ni]-[Mn] ・・・(1) 但し,式中の[ ] 内はその成分元素の鋼中の含有量(重
量%)を表す。
定義されるCr当量が20%以上の高Crのステンレス
鋼の熱間圧延でもロールへの焼き付きが防止できる。 Cr当量(%)=[Cr]+2[Si]+2.5[Al]+1.2[Mo]-30[C]-15[N]-2[Ni]-[Mn] ・・・(1) 但し,式中の[ ] 内はその成分元素の鋼中の含有量(重
量%)を表す。
【0019】
【作用】ステンレス鋼の熱間圧延におけるロール焼き付
きの原因は,ステンレス鋼が耐酸化性に優れているため
に表面スケールの生成速度が遅いことから,多段圧延に
おける前段パスでメタル地の新生面が生じた場合に,こ
の新生面を保護するに十分なスケール層が次段パスまで
に生成されないことにある。この現象はCr当量の高い
耐高温酸化性に優れた材料で顕著に現れる。特に高Cr
当量のステンレス鋼では,表面にスケールが生成したと
しても,このスケールはCr2O3濃度やAl2O3濃度が高
く且つ厚さが薄いので割れやすいという性質がある。こ
のため,被圧延材に金属(メタル)の露出部が生じやす
く,このメタルがロールのメタルと直接接触して凝着
し,ロール面への焼き付きが発生する。
きの原因は,ステンレス鋼が耐酸化性に優れているため
に表面スケールの生成速度が遅いことから,多段圧延に
おける前段パスでメタル地の新生面が生じた場合に,こ
の新生面を保護するに十分なスケール層が次段パスまで
に生成されないことにある。この現象はCr当量の高い
耐高温酸化性に優れた材料で顕著に現れる。特に高Cr
当量のステンレス鋼では,表面にスケールが生成したと
しても,このスケールはCr2O3濃度やAl2O3濃度が高
く且つ厚さが薄いので割れやすいという性質がある。こ
のため,被圧延材に金属(メタル)の露出部が生じやす
く,このメタルがロールのメタルと直接接触して凝着
し,ロール面への焼き付きが発生する。
【0020】本発明者らは,圧延しているロール表面
(メタル)に水酸化鉄粉末を粘性水溶液中に分散させて
供給すると,高Crステンレス鋼であっても前記の焼き
付きを防止できることを見出した。より具体的には,平
均粒径が0.1μm以上1μm未満の極めて微細な水酸
化鉄粉末を,適切な増粘剤を溶解させた粘性水溶液中に
適量分散させて,ロール表面もしくはロールバイトに供
給し,これを圧延されている間,ロールと被圧延材の間
に介在させるようにすると,高Crステンレス鋼の熱間
圧延でも焼き付きが発生しないのである。その理由は必
ずしも明確ではないが,本発明の潤滑剤は,これがロー
ル表面に塗布された状態で高温の被圧延材と接触する
と,潤滑剤中の水酸化鉄粉末例えばFeO(OH)の微
粉は, 2FeO(OH) → Fe2O3+H2O の分解反応を瞬時に起こし,生成したFe2O3が圧延時
に発生する被圧延材の金属露出部を覆って,この金属露
出部がロールメタルとの直接的な接触を防止すること,
本発明潤滑剤自体の潤滑作用によって被圧延材とロール
との摩擦係数を低下させること,そして,前記の分解反
応は吸熱反応であることから,この分解による吸熱作用
によりにロール表面の極表層部を抜熱してその温度を下
げ,この温度低下によって,メタルとメタルの凝着を緩
和する,といった現象が相互的に関与するものと考えら
れる。
(メタル)に水酸化鉄粉末を粘性水溶液中に分散させて
供給すると,高Crステンレス鋼であっても前記の焼き
付きを防止できることを見出した。より具体的には,平
均粒径が0.1μm以上1μm未満の極めて微細な水酸
化鉄粉末を,適切な増粘剤を溶解させた粘性水溶液中に
適量分散させて,ロール表面もしくはロールバイトに供
給し,これを圧延されている間,ロールと被圧延材の間
に介在させるようにすると,高Crステンレス鋼の熱間
圧延でも焼き付きが発生しないのである。その理由は必
ずしも明確ではないが,本発明の潤滑剤は,これがロー
ル表面に塗布された状態で高温の被圧延材と接触する
と,潤滑剤中の水酸化鉄粉末例えばFeO(OH)の微
粉は, 2FeO(OH) → Fe2O3+H2O の分解反応を瞬時に起こし,生成したFe2O3が圧延時
に発生する被圧延材の金属露出部を覆って,この金属露
出部がロールメタルとの直接的な接触を防止すること,
本発明潤滑剤自体の潤滑作用によって被圧延材とロール
との摩擦係数を低下させること,そして,前記の分解反
応は吸熱反応であることから,この分解による吸熱作用
によりにロール表面の極表層部を抜熱してその温度を下
げ,この温度低下によって,メタルとメタルの凝着を緩
和する,といった現象が相互的に関与するものと考えら
れる。
【0021】以下に,本発明の潤滑剤を構成する各要素
について個別に説明する。
について個別に説明する。
【0022】水酸化鉄の種類 本発明の潤滑剤は平均粒径が実質的に0.1μm以上1
μm未満の水酸化鉄粉末を10〜40重量%の割合で含
有する。一般に水酸化鉄にはFeO(OH),Fe(O
H)2およびFe(OH)3等の形態がある。いずれの水酸化
鉄も本発明潤滑剤に原理的には利用できるが,Fe(O
H)2とFe(OH)3は固体の粉末として工業的に入手が困
難であるが,FeO(OH)の粉末は工業的に最も安定
して入手できるので,水酸化鉄としてFeO(OH)を用
いるのが実用的である。
μm未満の水酸化鉄粉末を10〜40重量%の割合で含
有する。一般に水酸化鉄にはFeO(OH),Fe(O
H)2およびFe(OH)3等の形態がある。いずれの水酸化
鉄も本発明潤滑剤に原理的には利用できるが,Fe(O
H)2とFe(OH)3は固体の粉末として工業的に入手が困
難であるが,FeO(OH)の粉末は工業的に最も安定
して入手できるので,水酸化鉄としてFeO(OH)を用
いるのが実用的である。
【0023】また,本発明の潤滑剤は水酸化鉄粉末を1
0〜40重量%含有していれば良く,この水酸化鉄の他
に,例えば酸化鉄などが適量含有されることは許容され
る。酸化鉄にはFeO,Fe2O3およびFe3O4の形態が
あるが,FeOは工業的に安定して得るのが困難であ
る。このため,酸化鉄を配合する場合は,Fe2O3およ
び/またはFe3O4の粉体を使用するのがよい。
0〜40重量%含有していれば良く,この水酸化鉄の他
に,例えば酸化鉄などが適量含有されることは許容され
る。酸化鉄にはFeO,Fe2O3およびFe3O4の形態が
あるが,FeOは工業的に安定して得るのが困難であ
る。このため,酸化鉄を配合する場合は,Fe2O3およ
び/またはFe3O4の粉体を使用するのがよい。
【0024】しかし,Cr当量が20%以上のような高
Crステンレス鋼を対象とする場合には,酸化鉄を混合
せずに水酸化鉄粉末だけを含有する潤滑剤の方が好まし
い。なぜなら,水酸化鉄粉末は前記の分解反応によっ
て,高Crステンレス鋼であってもロールへの焼き付き
防止できるという,酸化鉄にはない作用を有するからで
ある。但し,水酸化鉄は実質的に10〜40重量%含有
すればよく,その純度は必ずしも高純度である必要はな
い。不純物として酸化鉄,SiO2,MnOまたはその他
の金属や酸化物を通常の範囲,例えば5重量%以下の範
囲で含有する水酸化鉄を使用することができる。
Crステンレス鋼を対象とする場合には,酸化鉄を混合
せずに水酸化鉄粉末だけを含有する潤滑剤の方が好まし
い。なぜなら,水酸化鉄粉末は前記の分解反応によっ
て,高Crステンレス鋼であってもロールへの焼き付き
防止できるという,酸化鉄にはない作用を有するからで
ある。但し,水酸化鉄は実質的に10〜40重量%含有
すればよく,その純度は必ずしも高純度である必要はな
い。不純物として酸化鉄,SiO2,MnOまたはその他
の金属や酸化物を通常の範囲,例えば5重量%以下の範
囲で含有する水酸化鉄を使用することができる。
【0025】水酸化鉄粉末の粒径 水酸化鉄粉末の粒径は粘性水溶液への均一分散性や分散
状態の経時的安定性,さらには圧延ロール表面に供給す
るときの均一散布性や被圧延材とロール間への巻込み性
に大きく影響するので,その粒径を適性に選定すること
が肝要である。水酸化鉄の平均粒径が1μm以上の場合
でも,10μm以下であれば,粘度を高めに調整した粘
性水溶液を使用して混合した場合には,混合時点では均
一な分散が得られる。しかし,長期間保存すると水酸化
鉄粉末の沈降が生じる。また粘度が高いと圧延ロール表
面への供給に問題を招く。粒径が1μm未満ではこのよ
うな問題は少なく,適性な増粘剤の選定と粘度の調整に
よって良好な分散状態を長期間維持できることがわかっ
た。また,水酸化鉄の含有量が同じであれば水酸化鉄粒
子がロール面を被覆する効率は細粒ほど良くなり,被覆
効率は水酸化鉄の粒径が小さいほど向上する。そして,
細粒ほど前記の分解反応によって生成する酸化鉄被膜の
均一性が確保できる。このようなことから,使用する水
酸化鉄粉末の平均粒径は1μm未満とするのがよい。
状態の経時的安定性,さらには圧延ロール表面に供給す
るときの均一散布性や被圧延材とロール間への巻込み性
に大きく影響するので,その粒径を適性に選定すること
が肝要である。水酸化鉄の平均粒径が1μm以上の場合
でも,10μm以下であれば,粘度を高めに調整した粘
性水溶液を使用して混合した場合には,混合時点では均
一な分散が得られる。しかし,長期間保存すると水酸化
鉄粉末の沈降が生じる。また粘度が高いと圧延ロール表
面への供給に問題を招く。粒径が1μm未満ではこのよ
うな問題は少なく,適性な増粘剤の選定と粘度の調整に
よって良好な分散状態を長期間維持できることがわかっ
た。また,水酸化鉄の含有量が同じであれば水酸化鉄粒
子がロール面を被覆する効率は細粒ほど良くなり,被覆
効率は水酸化鉄の粒径が小さいほど向上する。そして,
細粒ほど前記の分解反応によって生成する酸化鉄被膜の
均一性が確保できる。このようなことから,使用する水
酸化鉄粉末の平均粒径は1μm未満とするのがよい。
【0026】一方,平均粒径があまり小さいと,例えば
平均粒径が0.1μmを下回る場合には,凝集し易いた
めに,粘性水溶液に水酸化鉄粉末を混合して均一に分散
させるのが極めて困難となる。また粒径が0.1μmよ
り小さい超微細粉末は工業的にも製造が困難であり,コ
スト上昇を招く。このため,本発明の潤滑剤は平均粒径
が0.1μm以上1μm未満の水酸化鉄粉末を使用す
る。なお製法によっても異なるが,一般に水酸化鉄は酸
化鉄よりも微細な場合が多く,平均粒径が0.1μm以
上1μm未満の水酸化鉄粉末を入手することが容易であ
る。このように,平均粒径が0.1μm以上1μm未満
の水酸化鉄微粉を用いると,これが微粉であるために,
被圧延材表面のスケールの割れ目にも入り易くなり,ま
た被圧延材とロールとの間への巻き込み量も増大するこ
とになって,メタル−メタルタッチの防止に有効に作用
する。
平均粒径が0.1μmを下回る場合には,凝集し易いた
めに,粘性水溶液に水酸化鉄粉末を混合して均一に分散
させるのが極めて困難となる。また粒径が0.1μmよ
り小さい超微細粉末は工業的にも製造が困難であり,コ
スト上昇を招く。このため,本発明の潤滑剤は平均粒径
が0.1μm以上1μm未満の水酸化鉄粉末を使用す
る。なお製法によっても異なるが,一般に水酸化鉄は酸
化鉄よりも微細な場合が多く,平均粒径が0.1μm以
上1μm未満の水酸化鉄粉末を入手することが容易であ
る。このように,平均粒径が0.1μm以上1μm未満
の水酸化鉄微粉を用いると,これが微粉であるために,
被圧延材表面のスケールの割れ目にも入り易くなり,ま
た被圧延材とロールとの間への巻き込み量も増大するこ
とになって,メタル−メタルタッチの防止に有効に作用
する。
【0027】水酸化鉄粉末の含有量 水酸化鉄粉末の潤滑剤中の含有量は,所望のロール焼き
付き防止効果を得るうえで,そして潤滑剤のロール表面
への安定した供給を得るうえで適正な範囲に制限されね
ばならない。特に式(1) で定義されるCr当量が20%
以上のものについては,水酸化鉄粉末の含有量が5重量
%以上であれば,焼き付き防止効果が現れることがわか
った。しかし,実際的には圧延条件の変動等により焼き
付きが発生することもあり,安定した焼き付き防止効果
を得るためには10重量%以上の含有量が必要であり,
Cr当量が高いステンレス鋼ほど水酸化鉄粉末の含有量
の多い潤滑剤が有利となる。しかし,その含有量が40
重量%を越えるような潤滑剤では,分散の保持性が経時
的に低下する傾向にあること,そして多量の含有量のた
めに潤滑剤の見掛け上の粘度の増加を招き,このことが
圧延ロール表面へ潤滑剤をノズルから吹き付けるさいに
過大な吐出エネルギーを必要として,実用上吹き付けが
困難となることがわかった。このようなことから水酸化
粉末の潤滑剤中の含有量は重量%で5〜40%,好まし
くは10〜40%,さらに好ましくは10〜30%とす
る必要がある。
付き防止効果を得るうえで,そして潤滑剤のロール表面
への安定した供給を得るうえで適正な範囲に制限されね
ばならない。特に式(1) で定義されるCr当量が20%
以上のものについては,水酸化鉄粉末の含有量が5重量
%以上であれば,焼き付き防止効果が現れることがわか
った。しかし,実際的には圧延条件の変動等により焼き
付きが発生することもあり,安定した焼き付き防止効果
を得るためには10重量%以上の含有量が必要であり,
Cr当量が高いステンレス鋼ほど水酸化鉄粉末の含有量
の多い潤滑剤が有利となる。しかし,その含有量が40
重量%を越えるような潤滑剤では,分散の保持性が経時
的に低下する傾向にあること,そして多量の含有量のた
めに潤滑剤の見掛け上の粘度の増加を招き,このことが
圧延ロール表面へ潤滑剤をノズルから吹き付けるさいに
過大な吐出エネルギーを必要として,実用上吹き付けが
困難となることがわかった。このようなことから水酸化
粉末の潤滑剤中の含有量は重量%で5〜40%,好まし
くは10〜40%,さらに好ましくは10〜30%とす
る必要がある。
【0028】粘性水溶液 水酸化鉄粉末をロール表面に供給する媒体として,単な
る水を用いることも考えられるが,水だけを媒体とした
場合には水酸化鉄粉末のロール表面への付着性が悪いば
かりか,この流体を圧送する導管中で水酸化鉄粉末の沈
積が著しくなり,実際の使用には適さないことがわかっ
た。また,油脂や潤滑油を水酸化鉄粉末の媒体として用
いることは,水酸化鉄粉末が必ずしも親油性を有してい
ないために均一分散した流体とすることが困難となる。
これに対し,適性な増粘剤を水に適量溶解させた粘性水
溶液を水酸化鉄粉末の供給媒体とすると,前記のような
問題はほぼ完全に解決し得ることがわかった。
る水を用いることも考えられるが,水だけを媒体とした
場合には水酸化鉄粉末のロール表面への付着性が悪いば
かりか,この流体を圧送する導管中で水酸化鉄粉末の沈
積が著しくなり,実際の使用には適さないことがわかっ
た。また,油脂や潤滑油を水酸化鉄粉末の媒体として用
いることは,水酸化鉄粉末が必ずしも親油性を有してい
ないために均一分散した流体とすることが困難となる。
これに対し,適性な増粘剤を水に適量溶解させた粘性水
溶液を水酸化鉄粉末の供給媒体とすると,前記のような
問題はほぼ完全に解決し得ることがわかった。
【0029】増粘剤の種類 水に溶解して増粘性を付与する増粘剤は極めて多数のも
のが知られている。代表的な水溶性高分子増粘剤とし
て,セルロースエーテル類とポリアクリル酸系のものが
ある。本発明者らは,各種のこれら増粘剤を用いた粘性
水溶液に水酸化鉄粉末を分散させることを試みた。その
結果,セルロースエーテル型のもの例えばメチルセルロ
ースやカルボキシメチルセルロース等を用いた粘性水溶
液では,これに水酸化鉄粉末を混合すると必ずしも十分
な分散保持性が得られないことがわかった。また,ポリ
アクリル酸系の水溶性高分子でも直鎖型のものを使用し
たのでは,セルロースエーテル類と同様にやはり十分な
分散保持性が得られない。
のが知られている。代表的な水溶性高分子増粘剤とし
て,セルロースエーテル類とポリアクリル酸系のものが
ある。本発明者らは,各種のこれら増粘剤を用いた粘性
水溶液に水酸化鉄粉末を分散させることを試みた。その
結果,セルロースエーテル型のもの例えばメチルセルロ
ースやカルボキシメチルセルロース等を用いた粘性水溶
液では,これに水酸化鉄粉末を混合すると必ずしも十分
な分散保持性が得られないことがわかった。また,ポリ
アクリル酸系の水溶性高分子でも直鎖型のものを使用し
たのでは,セルロースエーテル類と同様にやはり十分な
分散保持性が得られない。
【0030】ところが,架橋型アクリル酸重合体からな
る水溶性物質は,水酸化鉄粉末に対して一般に良好な分
散保持性を示すことがわかった。周知のように架橋型ア
クリル酸重合体には,ポリアクリル酸に架橋反応を施し
たものと,アクリル酸モノマーと架橋剤とを共重合させ
たものがある。いずれにしても,直鎖型の高分子とは異
なり,架橋によって網目状に立体的に連なった状態の高
分子が水に溶けていることが,水酸化鉄粉末微粉の分散
保持性に寄与するものと考えられる。ただし,ポリアク
リル酸ソーダは,水に溶けて解離する多数の電解基を有
することがその原因であると考えられるが,水酸化鉄粉
末を良好に分散保持する機能を有することがわかった。
る水溶性物質は,水酸化鉄粉末に対して一般に良好な分
散保持性を示すことがわかった。周知のように架橋型ア
クリル酸重合体には,ポリアクリル酸に架橋反応を施し
たものと,アクリル酸モノマーと架橋剤とを共重合させ
たものがある。いずれにしても,直鎖型の高分子とは異
なり,架橋によって網目状に立体的に連なった状態の高
分子が水に溶けていることが,水酸化鉄粉末微粉の分散
保持性に寄与するものと考えられる。ただし,ポリアク
リル酸ソーダは,水に溶けて解離する多数の電解基を有
することがその原因であると考えられるが,水酸化鉄粉
末を良好に分散保持する機能を有することがわかった。
【0031】さらに,水溶性のバイオガム,とくにキサ
ントモナス属の菌株を用いて炭水化物を発酵させて得ら
れるキサンタンガムを水に溶解させて粘性水溶液とした
場合には,水酸化鉄粉末の分散保持性がさらに良好とな
ることがわかった。とくに潤滑剤を送液する導管内等で
水と混合して潤滑剤が水で希釈された場合には,該粉末
が凝集する現象が起きやすいが,キサンタンガムを増粘
剤とした場合には,この現象が起きにくく,ノズル閉塞
も起きにくいことがわかった。
ントモナス属の菌株を用いて炭水化物を発酵させて得ら
れるキサンタンガムを水に溶解させて粘性水溶液とした
場合には,水酸化鉄粉末の分散保持性がさらに良好とな
ることがわかった。とくに潤滑剤を送液する導管内等で
水と混合して潤滑剤が水で希釈された場合には,該粉末
が凝集する現象が起きやすいが,キサンタンガムを増粘
剤とした場合には,この現象が起きにくく,ノズル閉塞
も起きにくいことがわかった。
【0032】本発明の潤滑剤で用いる架橋型アクリル酸
重合体,ポリアクリル酸ソーダ,バイオガム例えばキサ
ンタンガム等の増粘剤はいずれも市場で入手が可能であ
る。
重合体,ポリアクリル酸ソーダ,バイオガム例えばキサ
ンタンガム等の増粘剤はいずれも市場で入手が可能であ
る。
【0033】増粘剤の添加量 前記のような増粘剤を溶解した粘性水溶液に水酸化鉄粉
末を分散させた場合,その分散状態の潤滑剤の見掛け粘
度が1000〜50000cPの範囲となるように,増
粘剤の添加量を調節することが必要である。なお,この
粘度の値は,B型粘度計を用いて,ずり速度1.2/
秒,測定温度20℃で潤滑剤の粘度を測定したときの値
を言う。増粘剤の添加量は,混合される水酸化鉄の量お
よび使用する増粘剤の種類に応じて,前記のような粘度
が得られるように,0.1〜3重量%の範囲で調整する
ことができる。
末を分散させた場合,その分散状態の潤滑剤の見掛け粘
度が1000〜50000cPの範囲となるように,増
粘剤の添加量を調節することが必要である。なお,この
粘度の値は,B型粘度計を用いて,ずり速度1.2/
秒,測定温度20℃で潤滑剤の粘度を測定したときの値
を言う。増粘剤の添加量は,混合される水酸化鉄の量お
よび使用する増粘剤の種類に応じて,前記のような粘度
が得られるように,0.1〜3重量%の範囲で調整する
ことができる。
【0034】界面活性剤 本発明の潤滑剤は,適切な界面活性剤を適量添加してお
くと,その焼き付き防止効果を増大させることができ
る。すなわち,ある種の界面活性剤の添加により水酸化
鉄粉末の分散状態が良好となり,また圧延ロールへの吹
付け時にロールと潤滑剤の濡れ性が向上してロールへの
潤滑剤付着量を増加させることができる。その結果,ロ
ールバイト中への水酸化鉄粉末の巻込み量が増加し,焼
き付き防止に著しい効果をもたらす。特にエステル系の
界面活性剤例えばエチレングリコール脂肪酸エステル,
プロピレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤の
使用が好適である。この界面活性剤は5重量%を越えて
添加すると潤滑剤の粘性の低下を引き起こし,水酸化鉄
の保持性が低下するため,その添加量は5重量%以下と
しなければならない。
くと,その焼き付き防止効果を増大させることができ
る。すなわち,ある種の界面活性剤の添加により水酸化
鉄粉末の分散状態が良好となり,また圧延ロールへの吹
付け時にロールと潤滑剤の濡れ性が向上してロールへの
潤滑剤付着量を増加させることができる。その結果,ロ
ールバイト中への水酸化鉄粉末の巻込み量が増加し,焼
き付き防止に著しい効果をもたらす。特にエステル系の
界面活性剤例えばエチレングリコール脂肪酸エステル,
プロピレン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤の
使用が好適である。この界面活性剤は5重量%を越えて
添加すると潤滑剤の粘性の低下を引き起こし,水酸化鉄
の保持性が低下するため,その添加量は5重量%以下と
しなければならない。
【0035】潤滑剤の粘度 水酸化鉄粉末の安定した分散保持を得るためには,水酸
化鉄粉末の粒径と含有量,増粘剤の種類と添加量を前記
のように適性に調節することが必要であるが,得られる
潤滑剤の粘度が1000cPより低いと水酸化鉄粉末の
ロールへの付着性がわるく,また粘性水溶液中への分散
性とその保持性も良好とはならない。そして,貯槽内或
いは貯槽からノズルに送液する管路で沈積や堆積が発生
するようになる。他方,50000cPを越えるような
高い見掛け粘度をもつ潤滑剤では均等に水酸化鉄粉末を
分散させることが困難となり,ノズルへの圧送並びにノ
ズルからの噴射も困難となる。このような理由から潤滑
剤の粘度は1000〜50000cP,好ましくは40
00〜20000cPの範囲とするのがよく,これによ
って,ロールバイト中に巻込まれる水酸化鉄の量が増加
し,メタル−メタルタッチを効果的に防止できるように
なる。
化鉄粉末の粒径と含有量,増粘剤の種類と添加量を前記
のように適性に調節することが必要であるが,得られる
潤滑剤の粘度が1000cPより低いと水酸化鉄粉末の
ロールへの付着性がわるく,また粘性水溶液中への分散
性とその保持性も良好とはならない。そして,貯槽内或
いは貯槽からノズルに送液する管路で沈積や堆積が発生
するようになる。他方,50000cPを越えるような
高い見掛け粘度をもつ潤滑剤では均等に水酸化鉄粉末を
分散させることが困難となり,ノズルへの圧送並びにノ
ズルからの噴射も困難となる。このような理由から潤滑
剤の粘度は1000〜50000cP,好ましくは40
00〜20000cPの範囲とするのがよく,これによ
って,ロールバイト中に巻込まれる水酸化鉄の量が増加
し,メタル−メタルタッチを効果的に防止できるように
なる。
【0036】このようにして構成される本発明の潤滑剤
は,圧延設備並びに関連する機器の腐食を起こさないよ
うに,中性ないしは弱アルカリ性にpH調整しておくこ
とが好ましい。
は,圧延設備並びに関連する機器の腐食を起こさないよ
うに,中性ないしは弱アルカリ性にpH調整しておくこ
とが好ましい。
【0037】潤滑剤の適用方法 本発明に従う潤滑剤はステンレス鋼の熱間圧延において
次のように適用するのが好適である。先ず,該潤滑剤を
調合し,その分散状態を維持させた状態で槽に貯蔵す
る。この槽から,圧延ロールの近傍に取り付けたノズル
に導管を通じてポンプ圧送する。この圧送には通常数1
0kgf/cm2程度以上の圧力が必要となるのでプランジャ
ータイプ等のポンプを用いるのが適している。
次のように適用するのが好適である。先ず,該潤滑剤を
調合し,その分散状態を維持させた状態で槽に貯蔵す
る。この槽から,圧延ロールの近傍に取り付けたノズル
に導管を通じてポンプ圧送する。この圧送には通常数1
0kgf/cm2程度以上の圧力が必要となるのでプランジャ
ータイプ等のポンプを用いるのが適している。
【0038】このようにしてノズルまで圧送されてきた
潤滑剤は,該ノズルから,少なくとも圧延が行われてい
る間,圧延スタンド内の回転しているロール表面に向け
て,連続的に噴霧される。本潤滑剤を適用する圧延スタ
ンドは,特に限定されるものではないが,ホットストリ
ップミルにおける仕上圧延スタンド群および粗圧延スタ
ンド群の中から適宜選定される。ロール表面に向けて潤
滑剤を吹き付けるさいには,通常は被圧延材と接するロ
ール幅全域に本潤滑剤を均等に吹き付けるのが良いが,
被圧延材のエッジ部分は粗圧延時の塑性変形挙動に関連
して酸化スケールの剥離が特に顕著となるので,場合に
よっては,かような被圧延材のエッジ部近傍に潤滑剤を
選択的に吹き付けてもよい。
潤滑剤は,該ノズルから,少なくとも圧延が行われてい
る間,圧延スタンド内の回転しているロール表面に向け
て,連続的に噴霧される。本潤滑剤を適用する圧延スタ
ンドは,特に限定されるものではないが,ホットストリ
ップミルにおける仕上圧延スタンド群および粗圧延スタ
ンド群の中から適宜選定される。ロール表面に向けて潤
滑剤を吹き付けるさいには,通常は被圧延材と接するロ
ール幅全域に本潤滑剤を均等に吹き付けるのが良いが,
被圧延材のエッジ部分は粗圧延時の塑性変形挙動に関連
して酸化スケールの剥離が特に顕著となるので,場合に
よっては,かような被圧延材のエッジ部近傍に潤滑剤を
選択的に吹き付けてもよい。
【0039】圧延ロール表面に吹き付ける本潤滑剤の供
給量は,圧延速度等を勘案しながら適宜調節するが,圧
延ロールが被圧延材と接触する面積当り,0.1リット
ル/m2程度から数リットル/m2程度であるのが良い。
なお,本潤滑剤は高Crステンレス鋼のロールへの焼き
付き防止を図る点に特徴があり,また摩擦係数の低減に
も寄与するが,本潤滑剤は,従来よりステンレス鋼の熱
間圧延時の圧下荷重の低減等を目的として用いられてい
る通常の潤滑油等と併用して使用することもできる。
給量は,圧延速度等を勘案しながら適宜調節するが,圧
延ロールが被圧延材と接触する面積当り,0.1リット
ル/m2程度から数リットル/m2程度であるのが良い。
なお,本潤滑剤は高Crステンレス鋼のロールへの焼き
付き防止を図る点に特徴があり,また摩擦係数の低減に
も寄与するが,本潤滑剤は,従来よりステンレス鋼の熱
間圧延時の圧下荷重の低減等を目的として用いられてい
る通常の潤滑油等と併用して使用することもできる。
【0040】以下に本発明の潤滑剤の代表例を実施例で
示すが,これらの実施例に示すように,本発明の潤滑剤
を用いて高Crステンレス鋼を熱間圧延するとロールへ
の焼き付きが防止される結果, 良好な表面性状を有する
高Crステンレス鋼の新規な熱間圧延方法が提供され
る。すなわち, 本発明によれば,高Crステンレス鋼を
熱間圧延するさいに,その圧延ロールの表面に向けて,
該ロール近傍に設置された噴霧ノズルから,水溶性高分
子からなる増粘剤を水に溶解してなる粘性水溶液中に平
均粒径が0.1μm以上で1μm未満の水酸化鉄の粉末
10〜40重量%を分散させてなる見掛け粘度が100
0〜50000cP(センチポアズ)の潤滑剤を,少な
くとも被圧延材が該ロールと接触している間,連続的に
噴霧することを特徴とする高Crステンレス鋼の熱間圧
延方法を提供する。なお,ここで言う熱間圧延とは,例
えば粗圧延と仕上げ圧延機からなる通常の高Crステン
レス鋼の熱間圧延条件で熱間圧延することを意味する。
この方法は,先に詳述した構成の潤滑剤を使用すること
によって,特に前記(1) で示されるCr当量が20%以
上のステンレス鋼の熱間圧延に適用した場合に,大きな
効果を発揮する。
示すが,これらの実施例に示すように,本発明の潤滑剤
を用いて高Crステンレス鋼を熱間圧延するとロールへ
の焼き付きが防止される結果, 良好な表面性状を有する
高Crステンレス鋼の新規な熱間圧延方法が提供され
る。すなわち, 本発明によれば,高Crステンレス鋼を
熱間圧延するさいに,その圧延ロールの表面に向けて,
該ロール近傍に設置された噴霧ノズルから,水溶性高分
子からなる増粘剤を水に溶解してなる粘性水溶液中に平
均粒径が0.1μm以上で1μm未満の水酸化鉄の粉末
10〜40重量%を分散させてなる見掛け粘度が100
0〜50000cP(センチポアズ)の潤滑剤を,少な
くとも被圧延材が該ロールと接触している間,連続的に
噴霧することを特徴とする高Crステンレス鋼の熱間圧
延方法を提供する。なお,ここで言う熱間圧延とは,例
えば粗圧延と仕上げ圧延機からなる通常の高Crステン
レス鋼の熱間圧延条件で熱間圧延することを意味する。
この方法は,先に詳述した構成の潤滑剤を使用すること
によって,特に前記(1) で示されるCr当量が20%以
上のステンレス鋼の熱間圧延に適用した場合に,大きな
効果を発揮する。
【0041】
【0042】〔実施例1〕表1に示すNo.1〜19の潤
滑剤を作製した。分散させる粉体としては FeO(OH), Fe
2O3 またはFe3O4 の1種または2種を使用し,その粉体
組成を重量%で表中に表示した。また各粉体の平均粒径
(μm) および各粉体の潤滑剤中の含有量(重量%) を
表中に示した。各潤滑剤で用いた増粘剤の種類と界面活
性剤使用の有無, さらには潤滑剤の粘度(cP)を表中に示
した。潤滑剤の粘度はB型粘度計を用いて,ずり速度
1.2/秒,測定温度20℃で測定した。
滑剤を作製した。分散させる粉体としては FeO(OH), Fe
2O3 またはFe3O4 の1種または2種を使用し,その粉体
組成を重量%で表中に表示した。また各粉体の平均粒径
(μm) および各粉体の潤滑剤中の含有量(重量%) を
表中に示した。各潤滑剤で用いた増粘剤の種類と界面活
性剤使用の有無, さらには潤滑剤の粘度(cP)を表中に示
した。潤滑剤の粘度はB型粘度計を用いて,ずり速度
1.2/秒,測定温度20℃で測定した。
【0043】各潤滑剤の作製に当っては,まず粉末を水
に攪拌しながら添加し, 別途に水に所定の増粘剤, 場合
によってはさらに界面活性剤を添加した溶液を前記の粉
末含有水に添加して攪拌混合し,最終的には必要に応じ
て苛性ソーダを添加してpH7の潤滑剤を得た。
に攪拌しながら添加し, 別途に水に所定の増粘剤, 場合
によってはさらに界面活性剤を添加した溶液を前記の粉
末含有水に添加して攪拌混合し,最終的には必要に応じ
て苛性ソーダを添加してpH7の潤滑剤を得た。
【0044】なお,使用した増粘剤のうち架橋型アクリ
ル酸重合体として表示したものは日本純薬株式会社製の
商品名「ジュンロンPW110」を用いた。また表示の
ポリアクリル酸ソーダは日本純薬株式会社製の商品名
「レオジック306L」を用いた。表示の水溶性セルロ
ース誘導体は信越化学株式会社製の商品名「メトローズ
4000」を用いた。これらの増粘剤の添加量は,最終
潤滑剤の見掛け粘度が表示の値となるに要した量であ
る。また使用した界面活性剤は,エチレングリコール脂
肪酸エステル系またはプロピレン脂肪酸エステル系のも
のであり,前者は,増粘剤として「ジュンロンPW11
0」使用したとき,後者は増粘剤として「レオジック3
06L」用いたときに配合した。これら界面活性剤の添
加量は潤滑剤中の濃度(重量%)として表示した。
ル酸重合体として表示したものは日本純薬株式会社製の
商品名「ジュンロンPW110」を用いた。また表示の
ポリアクリル酸ソーダは日本純薬株式会社製の商品名
「レオジック306L」を用いた。表示の水溶性セルロ
ース誘導体は信越化学株式会社製の商品名「メトローズ
4000」を用いた。これらの増粘剤の添加量は,最終
潤滑剤の見掛け粘度が表示の値となるに要した量であ
る。また使用した界面活性剤は,エチレングリコール脂
肪酸エステル系またはプロピレン脂肪酸エステル系のも
のであり,前者は,増粘剤として「ジュンロンPW11
0」使用したとき,後者は増粘剤として「レオジック3
06L」用いたときに配合した。これら界面活性剤の添
加量は潤滑剤中の濃度(重量%)として表示した。
【0045】これら表1の各潤滑剤No.1〜19を高C
rステンレス鋼の熱間圧延のさいに,以下の条件で使用
した。 まず,熱間圧延は,厚さ:200mm,幅:10
30〜1240mm,重量:10〜14トンのフェライト
系ステンレス鋼のスラブを,1200〜1250℃に加
熱後,厚さ25mmのラフバーに粗圧延し,その後7ス
タンドからなる仕上げ圧延機群にて,厚さ3.0mmの
ホットコイルに圧延した。
rステンレス鋼の熱間圧延のさいに,以下の条件で使用
した。 まず,熱間圧延は,厚さ:200mm,幅:10
30〜1240mm,重量:10〜14トンのフェライト
系ステンレス鋼のスラブを,1200〜1250℃に加
熱後,厚さ25mmのラフバーに粗圧延し,その後7ス
タンドからなる仕上げ圧延機群にて,厚さ3.0mmの
ホットコイルに圧延した。
【0046】供試したステンレス鋼の化学成分値は,重
量%で,C:0.01〜0.06%,Si:0.22〜0.
68%,Mn:0.18〜0.74%,Cr:17.9〜
22.1%,Ni:0.11〜0.34%,Mo:0.03
〜2.0%,Nb:0〜0.49%,Cu:0〜0.58
%,Al:0.02〜4.0%,Ti:0〜0.32%,
N:0.006〜0.013%の範囲のものである。これ
ら,各ステンレス鋼を本文の(1) 式で示されるCr当量
が約20〜23%,約23〜26%および約26〜29
%の3種類のものにランク分けし,各ランクのステンレ
ス鋼のスラブ20本づつに各潤滑剤を適用することによ
り,合計60本のスラブに対して各潤滑剤を使用して熱
間圧延を行った。
量%で,C:0.01〜0.06%,Si:0.22〜0.
68%,Mn:0.18〜0.74%,Cr:17.9〜
22.1%,Ni:0.11〜0.34%,Mo:0.03
〜2.0%,Nb:0〜0.49%,Cu:0〜0.58
%,Al:0.02〜4.0%,Ti:0〜0.32%,
N:0.006〜0.013%の範囲のものである。これ
ら,各ステンレス鋼を本文の(1) 式で示されるCr当量
が約20〜23%,約23〜26%および約26〜29
%の3種類のものにランク分けし,各ランクのステンレ
ス鋼のスラブ20本づつに各潤滑剤を適用することによ
り,合計60本のスラブに対して各潤滑剤を使用して熱
間圧延を行った。
【0047】実際には,仕上げ圧延機群のワークロール
替え(研削仕上げしたロールへの交換)を行った後,各
潤滑剤について20本のスラブを連続的に熱間圧延し,
この1サイクル間では潤滑剤の種類も量も一定とした。
潤滑剤の供給箇所は仕上げ圧延機群の第1〜3スタンド
の上側ワークロールと下側ワークロールとし,これら上
下のワークロールにそれぞれ4本づづ(1スタンド当り
合計8本)のノズル設け,これらのノズルに潤滑剤貯槽
からプランジャータイプのポンプで40kgf/mm2の圧力
で導管を通じて送液した。各ロール表面への潤滑剤の供
給量はロール面に対し約0.3リットル/m2となるよう
に調節した。なお,第1〜3の仕上げ圧延機のワークロ
ールの材質はハイクロムロールである。
替え(研削仕上げしたロールへの交換)を行った後,各
潤滑剤について20本のスラブを連続的に熱間圧延し,
この1サイクル間では潤滑剤の種類も量も一定とした。
潤滑剤の供給箇所は仕上げ圧延機群の第1〜3スタンド
の上側ワークロールと下側ワークロールとし,これら上
下のワークロールにそれぞれ4本づづ(1スタンド当り
合計8本)のノズル設け,これらのノズルに潤滑剤貯槽
からプランジャータイプのポンプで40kgf/mm2の圧力
で導管を通じて送液した。各ロール表面への潤滑剤の供
給量はロール面に対し約0.3リットル/m2となるよう
に調節した。なお,第1〜3の仕上げ圧延機のワークロ
ールの材質はハイクロムロールである。
【0048】以上の圧延操業において,バックアップロ
ールには従来から用いられている圧延油をウォーターイ
ンジェクションにより供給した。また熱間圧延後のコイ
ルは連続焼鈍酸洗ラインに通板し,デスケール後に得ら
れた各コイルの表面肌を観察し,ロール焼き付きに起因
する表面疵の発生本数を調査した。その結果を表2に示
した。
ールには従来から用いられている圧延油をウォーターイ
ンジェクションにより供給した。また熱間圧延後のコイ
ルは連続焼鈍酸洗ラインに通板し,デスケール後に得ら
れた各コイルの表面肌を観察し,ロール焼き付きに起因
する表面疵の発生本数を調査した。その結果を表2に示
した。
【0049】また,各潤滑剤の分散保持性,分散性,噴
射性および付着性を試験室的に以下のようにして評価し
た。その結果も表2に示した。
射性および付着性を試験室的に以下のようにして評価し
た。その結果も表2に示した。
【0050】分散保持性は水酸化鉄粉末の沈降度によっ
て評価した。沈降度は,潤滑剤を製作後1週間放置し,
潤滑剤の上部液量(分離液容積)を測定し,下式で求め
た。 沈降度%=(1週間後の分離液容積)÷(全容積)×1
00
て評価した。沈降度は,潤滑剤を製作後1週間放置し,
潤滑剤の上部液量(分離液容積)を測定し,下式で求め
た。 沈降度%=(1週間後の分離液容積)÷(全容積)×1
00
【0051】そして,表3に示すように,この沈降度が
2%以下のものを◎印,2〜10%のものを○印,10
〜20%のものを△印,そして20%以上のものを×印
の4水準で評価した。
2%以下のものを◎印,2〜10%のものを○印,10
〜20%のものを△印,そして20%以上のものを×印
の4水準で評価した。
【0052】各潤滑剤の分散性(粘性水溶液に粒子が分
散している状態)を分散粒径(分散最大粒径)で評価し
た。この分散粒径はレーザー回折によって測定した。そ
して表3に示すように,分散粒径(分散最大粒径)が4
0μm未満のものを◎印,40〜80μmのものを○
印,80〜160μmのものを△印,160μmを超え
るものを×印とする4水準で評価した。
散している状態)を分散粒径(分散最大粒径)で評価し
た。この分散粒径はレーザー回折によって測定した。そ
して表3に示すように,分散粒径(分散最大粒径)が4
0μm未満のものを◎印,40〜80μmのものを○
印,80〜160μmのものを△印,160μmを超え
るものを×印とする4水準で評価した。
【0053】噴射性は口径が0.5×1.0mmの楕円ス
プレーノズルに噴射圧力40kg/cm2で供給したときの
噴射の安定性と,潤滑剤の噴射幅によって判定し,表3
に示すような基準で4水準に評価した。
プレーノズルに噴射圧力40kg/cm2で供給したときの
噴射の安定性と,潤滑剤の噴射幅によって判定し,表3
に示すような基準で4水準に評価した。
【0054】付着性はロールの表面に形成される潤滑剤
の膜厚をレーザー膜厚計を用いて測定し,その厚さによ
って表3に示す基準に4水準に評価した。
の膜厚をレーザー膜厚計を用いて測定し,その厚さによ
って表3に示す基準に4水準に評価した。
【0055】なお,表2の総合評価基準の欄は,潤滑剤
の実験室的な性状評価と,実際の熱間圧延で焼き付きが
発生した状況により,高Crステンレス鋼の潤滑剤とし
ての適否を総合的に評価したものであり,○印は最適,
△印は効果不十分,×印は効果なしを表す。
の実験室的な性状評価と,実際の熱間圧延で焼き付きが
発生した状況により,高Crステンレス鋼の潤滑剤とし
ての適否を総合的に評価したものであり,○印は最適,
△印は効果不十分,×印は効果なしを表す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】表2の結果に見られるように,潤滑剤No.
5,10,11,13,15,16および18を用いて
熱延した場合は,Cr当量が29%までの範囲で圧延ロ
ール替え後に20本圧延しても表面疵は発生せず,効果
的にロール焼き付きが防止されており,ノズル閉塞もな
く操業が安定した。なお,これらの潤滑剤を用いたもの
では,Cr当量が表示のものより低いもの例えばCr当
量が16〜18,18〜20の水準にあるものも,同様
の結果が得られた。
5,10,11,13,15,16および18を用いて
熱延した場合は,Cr当量が29%までの範囲で圧延ロ
ール替え後に20本圧延しても表面疵は発生せず,効果
的にロール焼き付きが防止されており,ノズル閉塞もな
く操業が安定した。なお,これらの潤滑剤を用いたもの
では,Cr当量が表示のものより低いもの例えばCr当
量が16〜18,18〜20の水準にあるものも,同様
の結果が得られた。
【0060】これに対し,潤滑剤を使用しないNo.1の
比較例と,水に酸化鉄を混合しただけのNo.2の比較例
ではCr当量が20〜23%の比較的低い範囲において
すでにほとんどのコイルに疵が発生した。
比較例と,水に酸化鉄を混合しただけのNo.2の比較例
ではCr当量が20〜23%の比較的低い範囲において
すでにほとんどのコイルに疵が発生した。
【0061】また,増粘剤は添加したが酸化鉄のみのN
o.3の潤滑剤は,Cr当量が増加するほど疵発生本数が
増加し,Cr当量26〜29%で全コイルに表面疵が発
生した。したがって,高Cr当量のステンレス鋼には対
応できない。
o.3の潤滑剤は,Cr当量が増加するほど疵発生本数が
増加し,Cr当量26〜29%で全コイルに表面疵が発
生した。したがって,高Cr当量のステンレス鋼には対
応できない。
【0062】界面活性剤を添加した以外はNo.3と同様
のNo.4潤滑剤は,若干の焼き付き防止効果はあるが十
分ではない。
のNo.4潤滑剤は,若干の焼き付き防止効果はあるが十
分ではない。
【0063】水酸化鉄を含有するが,増粘剤が水溶性セ
ルロース誘導体であるNo.6の潤滑剤では,Cr当量が
26〜29%で表面疵発生本数が20本となり,全コイ
ルともロール焼き付きに起因した表面疵が発生した。こ
の原因は,表2中の性状評価に見られるように,潤滑剤
の保持性が悪く,水酸化鉄粉末が分離沈降したからであ
ると考えられる。
ルロース誘導体であるNo.6の潤滑剤では,Cr当量が
26〜29%で表面疵発生本数が20本となり,全コイ
ルともロール焼き付きに起因した表面疵が発生した。こ
の原因は,表2中の性状評価に見られるように,潤滑剤
の保持性が悪く,水酸化鉄粉末が分離沈降したからであ
ると考えられる。
【0064】過度に微細な水酸化鉄を含んでいるNo.7
の潤滑剤を用いて熱延した場合は,水酸化鉄の均一分散
性が劣ることが関係しているものと考えられるが,熱延
した後にノズルを観察するとノズル先端に詰まりが生じ
ていた。その影響で13本目のコイル辺りから熱延時に
潤滑剤が十分に供給されていなかったものと推定され,
それ以降のコイルに疵が発生した。
の潤滑剤を用いて熱延した場合は,水酸化鉄の均一分散
性が劣ることが関係しているものと考えられるが,熱延
した後にノズルを観察するとノズル先端に詰まりが生じ
ていた。その影響で13本目のコイル辺りから熱延時に
潤滑剤が十分に供給されていなかったものと推定され,
それ以降のコイルに疵が発生した。
【0065】水酸化鉄を含有し,架橋型アクリル酸重合
体と界面活性剤が添加されているが,粘度が著しく低い
No.8の潤滑剤は,表面疵防止に対してほとんど効果を
示していない。
体と界面活性剤が添加されているが,粘度が著しく低い
No.8の潤滑剤は,表面疵防止に対してほとんど効果を
示していない。
【0066】水酸化鉄の含有量が低いNo.9の潤滑剤で
は,若干の焼き付き防止効果は認められるが,疵の発生
が十分には抑制されていない。
は,若干の焼き付き防止効果は認められるが,疵の発生
が十分には抑制されていない。
【0067】粒径が過大な水酸化鉄を含有するNo.12
の潤滑剤では,圧延後のノズルを観察するとノズル詰り
が観察された。したがって,このNo.12の潤滑剤は焼
き付き防止の効果はあるものの,安定してロール表面に
供給することが困難であることから,実用性に欠ける。
界面活性剤が過度に多いNo.14の潤滑剤ではCr当
量が20〜26%の範囲では一応の効果は認められる
が,Cr当量が26〜29%の範囲では十分な効果が得
られ無い。
の潤滑剤では,圧延後のノズルを観察するとノズル詰り
が観察された。したがって,このNo.12の潤滑剤は焼
き付き防止の効果はあるものの,安定してロール表面に
供給することが困難であることから,実用性に欠ける。
界面活性剤が過度に多いNo.14の潤滑剤ではCr当
量が20〜26%の範囲では一応の効果は認められる
が,Cr当量が26〜29%の範囲では十分な効果が得
られ無い。
【0068】過度に粘度が高いNo.19の潤滑剤では,
粘度が高過ぎて噴射状況が不安定であり,Cr当量に関
係なく10本目のコイル辺りから疵が発生した。これは
ノズル閉塞が原因と考えられる。
粘度が高過ぎて噴射状況が不安定であり,Cr当量に関
係なく10本目のコイル辺りから疵が発生した。これは
ノズル閉塞が原因と考えられる。
【0069】〔実施例2〕実施例1と同様にして表4に
記載の潤滑剤No.21〜26を作製した。使用した増粘
剤のうち,表4に記載の「キサンタンガム」としては日
本純薬株式会社製の商品名レオジック100を用いた。
これは,キサントモナス属の菌株を用いて炭水化物を発
酵させて得られたヘテロ多糖類からなるキサンタンガム
である。また「アガロース多糖類」として寒天を使用
し,「アミロース多糖類」としては澱粉を用いた。「架
橋型アクリル酸重合体」は実施例1と同様の日本純薬株
式会社製の商品名ジュンロンPW110を,また「水溶
性セルロースエーテル」も実施例1と同様に信越化学社
製の商品名メトローズである。
記載の潤滑剤No.21〜26を作製した。使用した増粘
剤のうち,表4に記載の「キサンタンガム」としては日
本純薬株式会社製の商品名レオジック100を用いた。
これは,キサントモナス属の菌株を用いて炭水化物を発
酵させて得られたヘテロ多糖類からなるキサンタンガム
である。また「アガロース多糖類」として寒天を使用
し,「アミロース多糖類」としては澱粉を用いた。「架
橋型アクリル酸重合体」は実施例1と同様の日本純薬株
式会社製の商品名ジュンロンPW110を,また「水溶
性セルロースエーテル」も実施例1と同様に信越化学社
製の商品名メトローズである。
【0070】得られた各潤滑剤の沈降性について,潤滑
剤を製造後1週間放置し,分離または沈降した潤滑剤の
上部容積を測定し,表6に示す基準の4段階の沈降率で
評価し,その結果を表5に示した。
剤を製造後1週間放置し,分離または沈降した潤滑剤の
上部容積を測定し,表6に示す基準の4段階の沈降率で
評価し,その結果を表5に示した。
【0071】また,各潤滑剤の分散性(粘性水溶液に粒
子が分散している状態)を分散粒径(分散最大粒径)で
評価した。この分散粒径はレーザー回折によって測定
し,表6に示す基準の4段階で評価し,その結果を表5
に示した。
子が分散している状態)を分散粒径(分散最大粒径)で
評価した。この分散粒径はレーザー回折によって測定
し,表6に示す基準の4段階で評価し,その結果を表5
に示した。
【0072】さらに,潤滑剤が何らかの原因で水で希釈
されると凝集してノズル閉塞トラブルが発生するので,
潤滑剤の「水希釈による凝集性」を調べた。すなわち,
潤滑剤の水による希釈凝集粒径を光学顕微鏡にて測定
し,表6に示す基準で4段階で評価し,その結果を表5
に示した。ここで潤滑剤の水による希釈濃度は4重量%
である。この水希釈による凝集性は,次の圧延までの待
機中にノズルへの導管中に水が混入した場合,該導管中
で潤滑剤が水で希釈される場合の凝集性を評価するもの
である。
されると凝集してノズル閉塞トラブルが発生するので,
潤滑剤の「水希釈による凝集性」を調べた。すなわち,
潤滑剤の水による希釈凝集粒径を光学顕微鏡にて測定
し,表6に示す基準で4段階で評価し,その結果を表5
に示した。ここで潤滑剤の水による希釈濃度は4重量%
である。この水希釈による凝集性は,次の圧延までの待
機中にノズルへの導管中に水が混入した場合,該導管中
で潤滑剤が水で希釈される場合の凝集性を評価するもの
である。
【0073】各潤滑剤をステンレス鋼の熱間圧延の際
に,実施例1と同様の方法でロール表面に供給した。た
だし,潤滑剤を供給した第1〜第3スタンドのロールの
材質はハイス(高速度鋼)を用いた。適用したステンレ
ス鋼の化学成分値は,重量%で,C:0.01〜0.06
%,Si:0.22〜0.68%,Mn:0.18〜0.7
4%,Cr:17.9〜22.1%,Ni:0.11〜0.
34%,Mo:0.03〜2.0%,Nb:0〜0.49
%,Cu:0〜0.58%,Al:0.02〜4.0%,
Ti:0〜0.32%,N:0.006〜0.013%の
範囲のものであり,そのスラブを1200〜1250℃
に加熱後,厚さ25mmのラフバーに粗圧延し,その後
7スタンドからなる仕上げ圧延機群にて,厚さ3.0m
mのホットコイルに圧延した。 そのさい,仕上げ圧延
機群のワークロール替えを行った後,10本のスラブを
連続的に熱間圧延し,この1サイクル間では潤滑条件は
一定とした。圧延後,次回圧延チャンスまで噴射設備な
らびに貯蔵槽はそのままとして再度,同条件で10本の
スラブを圧延し,その前後のノズル閉塞の有無を調査し
た。
に,実施例1と同様の方法でロール表面に供給した。た
だし,潤滑剤を供給した第1〜第3スタンドのロールの
材質はハイス(高速度鋼)を用いた。適用したステンレ
ス鋼の化学成分値は,重量%で,C:0.01〜0.06
%,Si:0.22〜0.68%,Mn:0.18〜0.7
4%,Cr:17.9〜22.1%,Ni:0.11〜0.
34%,Mo:0.03〜2.0%,Nb:0〜0.49
%,Cu:0〜0.58%,Al:0.02〜4.0%,
Ti:0〜0.32%,N:0.006〜0.013%の
範囲のものであり,そのスラブを1200〜1250℃
に加熱後,厚さ25mmのラフバーに粗圧延し,その後
7スタンドからなる仕上げ圧延機群にて,厚さ3.0m
mのホットコイルに圧延した。 そのさい,仕上げ圧延
機群のワークロール替えを行った後,10本のスラブを
連続的に熱間圧延し,この1サイクル間では潤滑条件は
一定とした。圧延後,次回圧延チャンスまで噴射設備な
らびに貯蔵槽はそのままとして再度,同条件で10本の
スラブを圧延し,その前後のノズル閉塞の有無を調査し
た。
【0074】潤滑剤の噴射位置,供給方法および供給量
は実施例1と同様であり,バックアップロールには従来
から用いられている圧延油をウォーターインジェクショ
ンにより供給した。
は実施例1と同様であり,バックアップロールには従来
から用いられている圧延油をウォーターインジェクショ
ンにより供給した。
【0075】各潤滑剤を用いて圧延したさいのノズル閉
塞性と耐焼付き性を調べ,その結果を表5に併記した。
ノズル閉塞性は圧延前後のノズル点検でチェックした。
焼付き性は圧延後のロール肌の判定と酸洗後の鋼板表面
肌の判定によって焼付きの有無を調べた。ノズル閉塞性
と耐焼付き性の評価は,各潤滑剤を用いて10コイル圧
延したときに,そのうち1コイルでもノズル閉塞が起き
たり焼付きが生じた場合に×とした。
塞性と耐焼付き性を調べ,その結果を表5に併記した。
ノズル閉塞性は圧延前後のノズル点検でチェックした。
焼付き性は圧延後のロール肌の判定と酸洗後の鋼板表面
肌の判定によって焼付きの有無を調べた。ノズル閉塞性
と耐焼付き性の評価は,各潤滑剤を用いて10コイル圧
延したときに,そのうち1コイルでもノズル閉塞が起き
たり焼付きが生じた場合に×とした。
【0076】また総合評価を実施例1と同じ基準で行
い,その結果を表5に示した。
い,その結果を表5に示した。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】表5の結果から次のことが明らかである。
【0081】No.21と22は水溶性合成高分子を増粘
剤として酸化鉄を用いた潤滑剤であるが,これらでは酸
化鉄が沈降しやすく,最もノズル閉塞に影響する水によ
る希釈凝集粒径も大きい。このため,結果的にノズル閉
塞が発生し,焼付きを防止できなかった。また,植物性
の多糖類を増粘剤として使用したNo.24と25の潤滑
剤ではノズル閉塞が発生し,No.24のものでは粉体の
含有量が少ないために焼付き防止効果がなく,また,N
o.25のものでは水希釈凝集粒径が大きいために焼付き
が発生した。
剤として酸化鉄を用いた潤滑剤であるが,これらでは酸
化鉄が沈降しやすく,最もノズル閉塞に影響する水によ
る希釈凝集粒径も大きい。このため,結果的にノズル閉
塞が発生し,焼付きを防止できなかった。また,植物性
の多糖類を増粘剤として使用したNo.24と25の潤滑
剤ではノズル閉塞が発生し,No.24のものでは粉体の
含有量が少ないために焼付き防止効果がなく,また,N
o.25のものでは水希釈凝集粒径が大きいために焼付き
が発生した。
【0082】これに対してバイオガムを増粘剤としたN
o.23および26の潤滑剤では,いずれもノズル閉塞が
なく且つ焼付きも抑えられた。すなわちこれらの潤滑剤
を用いることで水希釈による凝集が抑えられ,潤滑剤供
給の面で安定した噴射が可能であり,ノズル閉塞が圧延
前後で全く発生しなかった。また製造1週間後の沈降も
ないことから長時間保持安定性にも優れ,ステンレス鋼
の焼付き防止の面でも安定した効果が得られることがわ
かった。特にNo.23のように粉体としてFeO(O
H)を使用したものは全く沈降がなく,分散粒径,水希
釈凝集粒径も小さく,耐ノズル閉塞性と耐ロール焼付き
性が極めて優れている。
o.23および26の潤滑剤では,いずれもノズル閉塞が
なく且つ焼付きも抑えられた。すなわちこれらの潤滑剤
を用いることで水希釈による凝集が抑えられ,潤滑剤供
給の面で安定した噴射が可能であり,ノズル閉塞が圧延
前後で全く発生しなかった。また製造1週間後の沈降も
ないことから長時間保持安定性にも優れ,ステンレス鋼
の焼付き防止の面でも安定した効果が得られることがわ
かった。特にNo.23のように粉体としてFeO(O
H)を使用したものは全く沈降がなく,分散粒径,水希
釈凝集粒径も小さく,耐ノズル閉塞性と耐ロール焼付き
性が極めて優れている。
【0083】
【発明の効果】以上に説明したように,本発明の潤滑剤
によれば,高Crステンレス鋼の熱間圧延にさいして安
定してロール焼き付きを防止し,表面疵のない高品質の
製品が得られる。また,圧延ロールの損傷も少なくな
り,ロール原単位も低減させる。そして製造されたステ
ンレス鋼板は,綺麗な表面性状を有することから表面研
削を省略することができ,生産性良く鏡面仕上げ用途等
の付加価値が高いステンレス鋼板を製造することが可能
となる。
によれば,高Crステンレス鋼の熱間圧延にさいして安
定してロール焼き付きを防止し,表面疵のない高品質の
製品が得られる。また,圧延ロールの損傷も少なくな
り,ロール原単位も低減させる。そして製造されたステ
ンレス鋼板は,綺麗な表面性状を有することから表面研
削を省略することができ,生産性良く鏡面仕上げ用途等
の付加価値が高いステンレス鋼板を製造することが可能
となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C10M 173/02 103:06 A 125:10 145:14) C10N 10:16 20:02 20:06 Z 40:24 Z
Claims (5)
- 【請求項1】 高Crステンレス鋼を熱間圧延するさい
に,その被圧延材と接する圧延ロールの表面に,少なく
ともその圧延が行われている間連続的に供給する熱延用
潤滑剤であって,水溶性高分子からなる増粘剤を水に溶
解してなる粘性水溶液中に,平均粒径が0.1μm以上
で1μm未満の水酸化鉄の粉末10〜40重量%を分散
させてなり且つ見掛け粘度が1000〜50000cP
(センチポアズ)である高Crステンレス鋼の熱間圧延
用潤滑剤。 - 【請求項2】 水酸化鉄は一般式FeO(OH)で表さ
れるオキシ水酸化鉄である請求の範囲1に記載の高Cr
ステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤。 - 【請求項3】 増粘剤は水溶性の架橋型アクリル酸重合
体である請求の範囲1または2に記載の高Crステンレ
ス鋼の熱間圧延用潤滑剤。 - 【請求項4】 高Crステンレス鋼は,下式で定義され
るCr当量が20%以上である請求項1に記載の熱間圧
延用潤滑剤, Cr当量(%)=[Cr]+2[Si]+2.5[Al]+1.2[Mo]-30[C]-1
5[N]-2[Ni]-[Mn] 但し,式中の[ ] 内はその成分元素の鋼中の含有量(重
量%)を表す。 - 【請求項5】 5重量%以下の界面活性剤がさらに添加
されている請求項1に記載の熱間圧延用潤滑剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7089994A JPH07310088A (ja) | 1994-03-25 | 1995-03-24 | 高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤 |
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6-79534 | 1994-03-25 | ||
| JP7953494 | 1994-03-25 | ||
| JP7089994A JPH07310088A (ja) | 1994-03-25 | 1995-03-24 | 高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH07310088A true JPH07310088A (ja) | 1995-11-28 |
Family
ID=26420549
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP7089994A Withdrawn JPH07310088A (ja) | 1994-03-25 | 1995-03-24 | 高Crステンレス鋼の熱間圧延用潤滑剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH07310088A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH11244915A (ja) * | 1998-03-04 | 1999-09-14 | Kobe Steel Ltd | 熱間圧延潤滑油供給方法 |
| JP2014113573A (ja) * | 2012-12-12 | 2014-06-26 | Ohbayashi Corp | 有機塩素化合物で汚染された汚染土壌又は汚染地下水の浄化材、及び、浄化方法 |
-
1995
- 1995-03-24 JP JP7089994A patent/JPH07310088A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH11244915A (ja) * | 1998-03-04 | 1999-09-14 | Kobe Steel Ltd | 熱間圧延潤滑油供給方法 |
| JP2014113573A (ja) * | 2012-12-12 | 2014-06-26 | Ohbayashi Corp | 有機塩素化合物で汚染された汚染土壌又は汚染地下水の浄化材、及び、浄化方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020604 |