JPH07316977A - 多孔型中空繊維およびその製造方法 - Google Patents

多孔型中空繊維およびその製造方法

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JPH07316977A
JPH07316977A JP6106417A JP10641794A JPH07316977A JP H07316977 A JPH07316977 A JP H07316977A JP 6106417 A JP6106417 A JP 6106417A JP 10641794 A JP10641794 A JP 10641794A JP H07316977 A JPH07316977 A JP H07316977A
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fiber
polyester
alkali
sea
island
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JP6106417A
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Seiji Hirakawa
清司 平川
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
Izumi Tabuchi
泉 田淵
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透け防止性、清涼感、保温性、吸水性、軽量
性等の特性を具備した織編物等を与える多孔型中空繊維
およびかかる繊維を、ポリマ−設計、繊維化工程におけ
るトラブル、加工工程上における作業環境の問題等を生
ずることなく該繊維を得る方法を提供する。 【構成】 吸水率が3%以上である耐アルカリ性のポリ
マ−を海成分とし、80℃の温度、濃度40g/lの水
酸化ナトリウム水溶液により処理した時のアルカリ溶解
速度恒数が30×10-8〜130×10-8cm/sec
の範囲にあるポリエステルを島成分とする海島型複合繊
維を紡糸した後、アルカリ水溶液で処理して島成分であ
るポリエステルを分解溶出させてなる多孔型中空繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空気層の多層化による
光の反射量を高めた効果を利用した透け防止性、同時に
該空気層による断熱効果を利用しての保温性および軽量
性、吸水性等に優れた織編物を与える多孔型中空繊維に
関する。
【0002】ポリエステルやポリアミド等の合成繊維
は、その優れた物理的、化学的特性によって衣料用のみ
ならず、産業用にも広く使用されており、工業的に重要
な価値を有している。しかしながら、これらの合成繊維
は、その単糸繊度が大きいこと、その横断面形状が単純
であること、その表面の内部構造が均一かつ単純である
こと等からプラスチック的な冷たい感じがあり、冬季の
衣料としての暖かさや保温性が不十分であるという欠点
を有している。また吸水性に乏しく、夏季の衣料とした
場合、気温および湿度の高い環境下では着用時にムレ易
く、快適性に劣る欠点を有する。また、インナ−ウエア
−用途としての薄地使いの場合、透けやすいという欠点
をも有している。
【0003】そこで、上記のような合成繊維の欠点を改
良するために、複数のポリマ−を複合して複合繊維にし
たり、合成繊維の横断面を異形化したり、繊維を中空化
することが広く行なわれている。しかしながら、清涼
感、吸水性、保温性、軽量性、透け防止性、嵩高性等の
性能を兼ね備えた膨らみのある良好な風合を有する繊維
は未だ得られてはいない。
【0004】繊維を中空化する場合、とくに中空部が多
孔の場合には、多孔の形状を有する中空紡糸ノズルから
ポリマ−を吐出させて製造することができる。しかしな
がら、一旦繊維に多孔の中空形状は形成されても固化ま
での間に、溶融状態にあるポリマ−の表面張力や紡糸時
の引取り張力等によって多孔部の中空率が減少しやす
く、とくに多孔部が近接する場合には、各孔間が連通し
やすく、各孔が独立した状態で存する断面形状の多孔型
中空繊維を得ることは困難であった。
【0005】このような製糸段階での困難性を解決する
ために、ポリアミドを海成分、ポリエチレン、ポリスチ
レン等のポリマ−を島成分にした海島型複合繊維をトル
エン、パ−クレン等の有機溶剤処理によって島成分ポリ
マ−を溶解除去させる方法が提案されている。しかしな
がら、該方法ではトルエン、パ−クレン等の有機溶剤を
使用するため、作業環境上の点で好ましくない。また作
業環境の改善策として特別な設備が必要となり、このよ
うな有機溶剤処理が可能な場に制限があるのが実状であ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透け
防止性、清涼感、保温性、吸水性、軽量性等の特性を具
備した織編物等を与える多孔型中空繊維を提供するもの
であり、また、ポリマ−設計、繊維化工程におけるトラ
ブル、加工工程上における作業環境の問題等を生ずるこ
となく該繊維を得る方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、吸水率が3%
以上である、耐アルカリ性のポリマ−からなる多孔型中
空繊維であって、該繊維の繊維軸に直角方向の断面にお
ける中空部が下記式〔I〕を満足することを特徴とする
多孔型中空繊維であり、
【0008】
【数2】 [ただし、xは中空部の総断面積(μ2 )であり、nは
中空部の数であって2以上の整数である。]
【0009】吸水率が3%以上である耐アルカリ性のポ
リマ−を海成分とし、80℃の温度、濃度40g/lの
水酸化ナトリウム水溶液により処理した時のアルカリ溶
解速度恒数が30×10-8〜130×10-8cm/se
cの範囲にあるポリエステルを島成分とする海島型複合
繊維を紡糸した後、アルカリ水溶液で処理して島成分で
あるポリエステルを分解溶出させてなる多孔型中空繊維
の製造方法である。
【0010】本発明に係わる耐アルカリ性のポリマ−と
は、吸水率が3%以上のポリマ−であることが重要であ
る。ここで「吸水率」とは、厚さ15μのフィルムの形
態での吸水率である。吸水率が3%未満のポリマ−であ
る場合、海島型複合繊維をアルカリ水溶液処理して多孔
型中空繊維を製造する際に、アルカリ水溶液が海成分で
ある該ポリマ−中を容易に拡散通過することができず、
島成分であるポリエステルを溶解除去することができな
い。また、海成分ポリマ−はアルカリ水溶液処理時の劣
化、損傷を回避するために、耐アルカリ性であることも
重要である。「耐アルカリ性のポリマ−」とは、100
℃、濃度40g/l、処理時間1時間の条件での水酸化
ナトリウム水溶液による減量率が0であるポリマ−を示
す。
【0011】このような吸水率が3%以上である耐アル
カリ性ポリマ−としてはナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン610等のポリアミド、エチレンビニルアルコ−
ル系共重合体等が好適であるが、なかでもエチレン含有
量が75モル%未満、ケン化度95%以上のエチレンビ
ニルアルコ−ル系共重合体が好ましい。これらのポリマ
−の重合度は一般衣料用に用いられる範囲内であり、繊
維形成が可能な範囲であればよい。なお、これらのポリ
マ−には酸化チタン等の艶消剤、紫外線吸収剤、酸化防
止剤等の通常の繊維用添加剤を加えて用いてもよい。
【0012】本発明の多孔型中空繊維における中空部は
下記式〔I〕を満足することが必要である。
【0013】
【数3】 [ただし、xは中空部の総断面積(μ2 )であり、nは
中空部の数であって2以上の整数である。]
【0014】式〔I〕において表される値が1未満の場
合、染色等の加工工程中に中空部が潰れやすくなり、保
温性、軽量性、透け防止性等の機能が消滅してしまう。
また該値が10を越えると多孔型中空繊維としての強度
が極端に低下してしまい、織編物として使用できない。
繊維強度、保温性、軽量性、透け防止性等の性能を考慮
すると、該値は2〜7の範囲であることが好ましい。
【0015】また、nの数は2以上の整数であるが、保
温性、軽量性、透け防止性等の効果をより満足させるた
めには5以上の整数、とくに10以上の整数であること
が好ましい。nの上限についてはとくに限定されるもの
ではないが、得られる多孔型中空繊維の強度の低下、紡
糸ノズルのコストを考慮すると100以下であることが
好ましく、とくに80以下であることが好ましい。
【0016】本発明の多孔型中空繊維における中空部の
中空率は30〜70%の範囲であることが効果の点、製
造工程の点において好ましい。中空率が30%未満の場
合、得られる多孔型中空繊維の保温性、軽量性、透け防
止性等の機能が不足となりやすい。一方、中空率が70
%を越えると、糸強度が著しく低下し、繊維または織編
物等の繊維製品としての使用耐久性が低下する場合があ
る。保温性、透け防止性、糸強度を考慮すると、中空率
は40〜60%の範囲がとくに好ましい。
【0017】本発明に係る海島型複合繊維の島成分を構
成するポリエステルは、温度80℃、濃度40g/lの
水酸化ナトリウム水溶液により処理した時のアルカリ溶
解度恒数が30×10-8〜130×10-8cm/sec
の範囲にあることが重要である。このようなアルカリ溶
解速度恒数を有するポリエステルであれば、とくにその
組成に限定されるものではない。
【0018】本発明におけるアルカリ溶解度恒数は下記
式〔II〕で示される値である。
【数4】 上記の条件において、このアルカリ溶解度恒数の値が3
0×10-8cm/sec未満の場合、島成分であるこの
ポリエステルをアルカリ水溶液で処理して100%分解
溶出するためには長時間を要し、また高温を必要とする
ため、海成分であるポリマ−の劣化を招くことになる。
一方、アルカリ溶解度恒数の値が130×10-8cm/
secを越えると、このポリエステルを島成分とする複
合繊維を紡糸する際、断糸が多発し紡糸することができ
なくなる。複合繊維の紡糸性を良好にし、海成分の劣化
を防止するために、該条件におけるアルカリ溶解度恒数
の値が40×10-8〜100×10-8cm/secの範
囲にあることが好ましい。
【0019】このようなアルカリ溶解速度恒数を有する
ポリエステルとして、易アルカリ溶解ポリエステルとし
て公知のポリエステル、たとえばイソフタル酸、アルキ
レングリコ−ル、スルホイソフタル酸アルカリ金属塩等
を共重合させたポリエステルを挙げることができる。な
かでも、エチレンテレフタレ−トを主たる繰り返し単位
とし、かつスルホン酸塩基含有化合物、下記式〔b〕で
表されるジオ−ル単位含有化合物、および下記式〔c〕
で表される側鎖単位含有化合物を共重合したポリエステ
ルであることが好ましい。以下、この共重合ポリエステ
ルについて説明する。スルホン酸塩基含有化合物とは、
下記式〔a〕で示されるジカルボン酸単位を含む化合物
である。
【0020】
【化1】 (式中、Arは3価の芳香族基、Mは金属原子を示す)
【0021】
【化2】 (式中、R1 はアルキレン基、mは10〜100の数を
示す)
【0022】
【化3】 (式中、R2 はアルキレン基、R3 は炭素数1〜18の
炭化水素基、nは10〜100の数、xおよびyはそれ
ぞれ0または1を示す)
【0023】上記式〔a〕で示されるジカルボン酸単位
は、共重合ポリエステルを構成する全酸成分の0.5〜
10モル%、式〔b〕で示されるジオール単位および式
〔c〕で示される側鎖単位は、それぞれ共重合ポリエス
テルの重量に基づいて1〜20重量%含有され、かつ式
〔b〕で示されるジオール単位と式〔c〕で示される側
鎖単位の含有率の合計が共重合ポリエステルの重量に基
づいて2〜40重量%である共重合ポリエステルが好ま
しい。
【0024】上記共重合ポリエステルにおいては、それ
を構成するジカルボン酸単位として、上記の式〔a〕で
示されるジカルボン酸単位[以下、「ジカルボン酸単位
〔a〕」という]が共重合ポリエステルを構成する全酸
成分の0.5〜10モル%、とくに1〜7モル%の割合
で含有されることが好ましい。ジカルボン酸単位〔a〕
の共重合割合が0.5モル%未満であるとアルカリ処理
の際に該共重合ポリエステルが溶解しにくくなり、一方
10モル%を越えるとその金属スルホネート成分のイオ
ン相互作用により、該共重合ポリエステルを製造するた
めの重縮合反応中に増粘が起こり、共重合ポリエステル
が所望の極限粘度になるまで重縮合反応を継続すること
が困難になる。
【0025】ジカルボン酸単位〔a〕において、Arは
3価の芳香族基であり、Mは金属原子である。基Arと
しては1,3,5−ベンゼントリイル基、1,2,3−
ベンゼントリイル基、1,2,4−ベンゼントリイル基
等のベンゼントリイル基;1,3,6−ナフタレントリ
イル基、1,3,7−ナフタレントリイル基、1,4,
5−ナフタレントリイル基、1,4,6−ナフタレント
リイル基等のナフタレントリイル基などを挙げることが
できる。また金属原子Mはナトリウム、リチウム等のア
ルカリ金属原子である。該共重合ポリエステルは、1種
類のジカルボン酸単位〔a〕のみを有していてもまたは
2種以上のジカルボン酸単位〔a〕を有していてもよ
い。
【0026】該共重合ポリエステルはエチレンテレフタ
レ−ト単位を主たる繰り返し単位とするが、テレフタル
酸およびジカルボン酸単位〔a〕以外の共重合され得る
カルボン酸単位として、イソフタル酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、
3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェ
ニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ジフェノ
キシエタン−4’,4”−ジカルボン酸、2,5−アン
トラセンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;β−ヒ
ドロキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸等の芳
香族ヒドロキシカルボン酸;またはそれらのエステル形
成性誘導体から誘導された芳香族ジカルボン酸単位を挙
げることができ、これらの芳香族ジカルボン酸単位は1
種類のみまたは2種類以上含まれていてもよい。上記し
た芳香族ジカルボン酸単位と共に、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘ
キサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸やそのエス
テル形成性誘導体から誘導された単位を含んでいてもよ
い。
【0027】また、該共重合ポリエステルは上記の式
〔b〕で示されるジオール単位[以下「ジオール単位
〔b〕」という]を共重合ポリエステルの重量に基づい
て1〜20%含有していることがよく、ジオール単位
〔b〕の割合が1重量%未満であると、共重合ポリエス
テルのアルカリ溶解性が低下し、一方20重量%を越え
ると紡糸性が困難になる場合がある。ジオール単位
〔b〕において、R1 は炭素数1〜4のアルキレン基で
あるのが好ましく、エチレン基またはプロピレン基であ
るのがより好ましく、R1 がエチレン基であるのがアル
カリ溶解性などの点から特に好ましい。ジオール単位
〔b〕において、そのオキシアルキレン単位の重合度を
示すmは上記したように10〜100の範囲内の数であ
り、mが20〜80の範囲の数であるのが好ましい。ジ
オール単位〔b〕において、mが10よりも小さいとア
ルカリ溶解性が小さくなり、一方mが100を越えても
アルカリ溶解性はさして向上せず、むしろ着色などを生
じやすくなる。ジオール単位〔b〕の例としては、mが
上記10〜100の範囲内であるポリオキシエチレング
リコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキ
シエチレン/ポリオキシプロピレングリコール等から誘
導された単位を挙げることができ、該共重合ポリエステ
ルにおいてジオール単位〔b〕は一種のみまたは2種以
上含まれていてもよい。
【0028】また、該共重合ポリエステルは、エチレン
グリコ−ルおよびジオール単位〔b〕以外の他のジオー
ル単位を含有していてもよく、他のジオール単位として
は、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、ノナメチレングリコー
ル、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−メチ
ルオクタン−1,8−ジオール、ジエチレングリコール
等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール等の
脂環族ジオールなどから誘導される単位を挙げることが
でき、これらのジオール単位は1種類のみ含まれていて
も2種類以上含まれていてもよい。
【0029】そして、該共重合ポリエステルは更に上記
の式〔c〕で示される側鎖単位[以下「側鎖単位
〔c〕」という]を共重合ポリエステルの重量に基づい
て1〜20重量%有していることがよく、側鎖単位
〔c〕の割合が1重量%未満であると、アルカリ溶解性
が低下し、一方20重量%を越すと紡糸性が困難にな
る。側鎖単位〔c〕は、例えば下記式〔d〕;
【0030】
【化4】 [式中、Dはジカルボン酸成分やジオールなどと反応し
て、共重合ポリエステルの主鎖に対して、上記した式
〔c〕で示される側鎖単位〔c〕を導入し得る基であ
り、R2 、R3 およびnは上記と同じ基、数を示す]で
表される化合物を共重合ポリエステルの製造時に反応さ
せることにより共重合ポリエステル中に導入することが
できる。
【0031】上記式〔d〕で表される化合物において、
エステル形成性の基Dの例としては、例えば下記式;
【化5】 で表されるグリシジル基、または下記式;
【化6】 で表される2,3−ジヒドロキシプロピル基などを挙げ
ることができる。
【0032】側鎖単位〔c〕において、R2 は炭素数1
〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基ま
たはプロピレン基であるのがより好ましく、エチレン基
が特に好ましい。また、R3 の具体例としてはメチル、
エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s
ec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−
オクチル、、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−
ステアリル、などのアルキル基;シクロヘキシルなどの
炭素数6〜18のアリール基を挙げることができる。ま
た、この側鎖単位〔c〕はエチレン基とプロピレン基が
同じ分子中に存在してもよい。さらに、側鎖単位〔c〕
において、そのオキシアルキレン単位の重合度を示すn
は上記したように10〜100の範囲、とくに20〜8
0の範囲の数であるのが好ましい。nが10よりも小さ
いとアルカリ溶解性が小さくなり、一方nが100を越
えてもアルカリ溶解性はさして向上せず、着色の原因と
なるだけである。
【0033】側鎖単位〔c〕の具体例としては、ポリオ
キシエチレングリコール−メチル−グリシジルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−メチル−2,3−
ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリオキシエチレング
リコール−エチル−グリシジルエーテル、ポリオキシエ
チレングリコール−エチル−2,3−ジヒドロキシプロ
ピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−プ
ロピル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリ
コール−n−プロピル−2,3−ジヒドロキシプロピル
エーテル、ポリオキシエチレングリコール−t−ブチル
−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール
−t−ブチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−n−オクチル−グ
リシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n
−オクチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、
ポリオキシエチレングリコール−2−エチルヘキシル−
2,3−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリ
コール−2−エチルヘキシル−2,3−ジヒドロキシプ
ロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−n−
ステアリル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレン
グリコール−n−ステアリル−2,3−ジヒドロキシプ
ロピルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−フェ
ニル−グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコ
ール−フェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−ノニルフェニル−
グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
ノニルフェニル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレングリコール−シクロヘキシル−
グリシジルエーテル、ポリオキシエチレングリコール−
シクロヘキシル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテ
ル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレングリコ
ール共重合体のメチルグリシジルエーテル、ポリオキシ
エチレン/ポリオキシプロピレングリコール共重合体の
メチル−2,3−ジヒドロキシプロピルエーテル、ポリ
オキシエチレン/ポリオキシプロピレングリコール共重
合体のn−プロピル−2,3−ジヒドロキシプロピルエ
ーテルなどから誘導された単位を挙げることができ、こ
れらの単位は共重合ポリエステル中に単独で含まれてい
てもまたは2種以上含まれていてもよい。
【0034】そして、該共重合ポリエステルにおいて
は、ジオール単位〔b〕と側鎖単位〔c〕を合計した含
有率が該共重合ポリエステルの重量に基づいて2〜40
重量%、とくに5〜30重量%の範囲であるのが望まし
い。ジオール単位〔b〕および側鎖単位〔c〕の合計含
有率が2重量%よりも少ないと、アルカリ溶解性が低下
し、一方40重量%を越えると紡糸性が困難になる。
【0035】また、該共重合ポリエステルは、上記した
単位以外にも、たとえばグリセリン、トリメチロールプ
ロパン等のトリオール;ペンタエリスリトール等のテト
ラオール;トリメリット酸、トリメシン酸等のトリカル
ボン酸;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸などの4
価以上のポリカルボン酸などの多官能成分から誘導され
た共重合単位をポリエステルの溶融紡糸や溶融成形が可
能な範囲内で少量含んでいてもよい。
【0036】そして、該共重合ポリエステルはフェノー
ルとテトラクロルエタンの等重量混合溶媒中、30℃で
測定した極限粘度が0.5〜1.5dl/g、とくに
0.6〜1.0dl/gであることが、紡糸時の工程性
などの点から好ましい。
【0037】該共重合ポリエステルは上記した各単位を
共重合ポリエステル中に導入し得るジカルボン酸成分、
ジオール成分、上記の式〔d〕で示した側鎖単位〔c〕
用化合物等を用いて常法により重縮合反応を行わせるこ
とにより製造することができる。たとえば、第一段階で
まずそれらの原料成分を用いてエステル化反応またはエ
ステル交換反応を行って低重合体を生成させ、ついで第
二段階でその低重合体を重合触媒の存在下、減圧下に加
熱して所望の重合度になるまで重縮合させることにより
製造することができるが、勿論この方法に限定されな
い。その際に、重縮合反応の前のエステル化反応または
エステル交換反応工程で、ポリエステルの製造に際して
使用される公知のエステル化触媒およびエステル交換反
応触媒を必要に応じて使用することができる。
【0038】本発明に係わる海島型複合繊維の島成分、
海成分の繊維断面における形状と位置関係は、島成分の
周囲を実質的に海成分が覆っている形状であればどのよ
うであってもよい。丸断面状の海島複合形態が生産上好
ましいが、たとえば繊維形状が方形、楕円形、星型等の
任意の形状であってもよいし、島成分の形状が同様な任
意の形状であってもよく、繊維形状と島形状が同じであ
っても異なっていてもよい。
【0039】海成分と島成分の複合比は繊維の性能、目
的とする保温性、軽量性、透け防止性、清涼感等の点か
ら最適の複合条件を設定すればよい。一般に、海成分と
島成分の複合比は海成分/島成分=7/3〜3/7(重
量比)、とくに海成分/島成分=6/4〜4/6(重量
比)であることが好ましい。海成分の比率が大きすぎる
と、アルカリ水溶液処理において、十分な大きさの中空
部を得ることができず、目的とする保温性、軽量性、透
け防止性が得られにくい。また、アルカリ水溶液処理に
おけるアルカリ水溶液の海成分への浸透性および分解溶
出されるポリエステルの除去に時間と高温を必要とする
ため、海成分ポリマ−の劣化が生じ易い。一方島成分の
比率が大きすぎると、該島成分ポリマ−を分解溶出した
後の中空部の維持が困難となり、繊維または布帛として
の使用耐久性が低下する場合がある。
【0040】本発明に係る海島型複合繊維は、島成分と
してたとえば上記の共重合ポリエステルを用い、海成分
として上記の耐アルカリ性のポリマ−を用いて、通常、
海島型複合繊維を製造する際に採用されている溶融複合
紡糸、溶融複合紡糸延伸等の方法により製造することが
できる。このようにして製造された海島型複合繊維は、
繊維のまま、あるいは該複合繊維を通常の方法で製織、
製編して布帛とし、ついでアルカリ水溶液中に浸漬して
複合繊維の島成分であるポリエステルをほぼ100%分
解溶出させ多孔型中空繊維となすことが可能である。本
発明においては、海成分として吸水率が3%以上の耐ア
ルカリ性のポリマ−を用い、島成分として特定のアルカ
リ溶解速度恒数を有するポリエステルを用いることによ
り、アルカリ水溶液処理で、島成分のポリエステルが1
00%分解溶出されて、完全多孔型中空繊維が得られる
のである。島成分のポリエステルがほぼ100%分解溶
出されることにより、本発明の多孔型中空繊維では、複
数の中空部の各々の断面積の繊維軸方向における変動率
が非常に小さいのである。本発明の製造方法で得られる
多孔型中空繊維を用いて製織編することも可能ではある
が、工程性、中空繊維の中空部の維持等において、製織
編後にアルカリ水溶液処理して多孔型中空となすことが
好ましい。
【0041】アルカリ水溶液処理は、アルカリの種類、
濃度、処理温度、処理時間により決定されるが、海成分
ポリマ−の劣化等を考慮して、一般的には水酸化ナトリ
ウムを用いた場合、濃度は10〜40g/l、温度80
〜100℃を採用することが好ましい。処理温度が10
0℃を越えてもさしつかえないが、この場合は高圧で行
うことが好ましい。処理時間は得られる複合繊維、布帛
の品質の点において短い方がよく、また処理温度は低い
方がよい。
【0042】本発明に係わる海島型複合繊維において、
島成分ポリマ−としてスルホイソフタル酸アルカリ金属
塩を共重合してなるポリエステルを用いた場合、上記ア
ルカリ水溶液処理を行なうにあたってあらかじめ複合繊
維、または布帛に酸処理を施して、スルホイソフタル酸
アルカリ金属塩を酸の形に変えておくとアルカリ水溶液
処理を容易に行なうことができるので好ましい。
【0043】本発明の多孔型中空繊維は、繊維形状が円
形、方形、楕円形、星型等の任意の形状であってもよい
し、中空部の形状が同様な任意の形状であってもよく、
繊維形状と中空部形状が同じであっても異なっていても
よい。また、繊維軸方向に太さ斑を有する形状(シック
アンドシン形状)であってもよい。
【0044】本発明でいう「繊維」とは、モノフィラメ
ント等の長繊維、ステ−プル等の短繊維、フィラメント
糸、紡績糸、天然繊維、半合成繊維、他の合成繊維との
混繊糸や混紡糸、合撚糸、交絡糸、捲縮糸、その他の加
工糸を総称するものである。また、「布帛」とは前述の
繊維をその一部または全部として製織、製編された織編
物のみならず、不織布をも含むものであり、本発明の繊
維からなる布帛は不透明性(透け防止)に優れ、水着、
インナ−ウエア−用途等に有用である。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述するが、本
発明はこれら実施例により何等限定されるものではな
い。なお、実施例における各物性は以下の方法により測
定した値である。 (1)ポリエステルの極限粘度(dl/g) ポリマ−をテトラクロロエタン/フェノ−ル混合溶媒
(等重量比)に溶解し、30℃で測定した値である。 (2)吸水率(%) ポリマ−から厚さ15μのフィルムを作製し、このフィ
ルムを水中に30分以上浸漬した後、ろ紙で余分な水を
拭きとり、105℃で4時間乾燥して下記式により求め
た。 吸水率(%)={(B−A)/A}×100 A:105℃、4時間乾燥後の重量 B:水中浸漬後、ろ紙で余分な水を拭きとった後の重量 (3)海島型複合繊維のアルカリ減量率(%) 海島型複合繊維を用いて筒編みにした試料を80℃、濃
度40g/lの条件で水酸化ナトリウム水溶液処理を行
い、処理前後の重さを測定して減量率を算出した。
【0046】(4)繊維断面における中空部の総断面積
(μ2 )および中空部の数 アルカリ水溶液処理後の繊維の断面の走査型電子顕微鏡
写真(約2000〜4000倍)を撮り、中空部の数を
数え、また該写真を紙に書き写して中空部の総断面積を
算出した。該写真は繊維1m当たり5ケ所を取り、中空
部の数、総断面積はその平均値で表した。 (5)空孔度(%) アルカリ水溶液処理後の繊維の断面の走査型電子顕微鏡
写真をとり、該写真を紙に書き写し、中空部、海部の割
合を紙の重量により算出し、中空率(実測値)を求め
た。なお、サンプルは繊維1m当たり5ケ所をとり、そ
の平均値で中空率を求めた。ついで中空率(実測値)に
対する海島の複合比から算出した中空率(理論値)を空
孔度として求めた。 空孔度(%)=[中空率(実測値)/中空率(理論
値)]×100 (6)繊維の透け防止性(不透明度) 単繊度3.1デニ−ルの多孔型中空繊維を経糸および緯
糸に用い、生機密度が経糸100本/寸、緯糸90本/
寸のタフタを作製し、日立分光光度計(U−3400
型)を用いて、この生機のL* 値を測定し、下記式によ
り算出した。 不透明度=(LB* /LA* )×100 LA* :白素地にサンプル布帛を重ねた時のL* 値 LB* :黒素地にサンプル布帛を重ねた時のL* 値 (7)保温性 多孔型中空繊維を用いてハ−フトリコットに編成して丸
首シャツを作製し、10人パネラ−に着用してもらい保
温感を評価した。 ◎:10人中10人が保温感を感じた。 ○:10人中8人が保温感を感じた。 △:10人中5人が保温感を感じた。 ×:10人中3人が保温感を感じた。
【0047】実施例1〜5、比較例1〜6 5−ナトリウムスルホイソフタル酸をテレフタル酸に対
して5モル%、分子量が2000のポリエチレングリコ
−ルおよび下記式で示される側鎖型ポリオキシアルキレ
ン基含有化合物をそれぞれ5重量%の割合で共重合した
ポリエチレンテレフタレ−ト[アルカリ溶解度恒数:9
0×10-8cm/sec、固有粘度〔η〕=0.53]
を島成分ポリマ−とし、表1に示されるポリマ−を海成
分として、島数、島/海成分比を表1に示すように設計
した海島型複合繊維を紡糸し、ついで通常の延伸条件で
延伸して75デニ−ル/24フィラメントの延伸糸を得
た。
【0048】
【化7】
【0049】この延伸糸を経糸および緯糸として使い、
生機密度が経糸100本/寸、緯糸90本/寸のタフタ
を製織した。この生機タフタをソ−ダ灰2g/l、アク
チノ−ルR−100(松本油脂製)1g/lの水溶液に
て80℃、30分処理して精練を行った。ついで、ピン
テンタ−にて140℃のヒ−トセットを行い、40g/
lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて、表1に示す条件
でアルカリ処理を行い、島成分ポリマ−を溶解除去し
た。得られた繊維、該繊維からなるタフタの評価、測定
を行い、結果を表1に示す。
【0050】実施例1〜5で得られた繊維は満足な中空
部を有し、該繊維からなる布帛の不透明度、軽量性も満
足すべきものであった。比較例1で得られた繊維は式
〔I〕で示される値が大きく、中空部同志が連通してお
り、中空部(孔)がそれぞれ独立した多孔型中空繊維と
なっておらず、糸強度の低下により製織できなかった。
比較例2で得られた繊維は式〔I〕で示される値が小さ
く、中空部が潰れている箇所もあり、不透明度において
不満足であった。比較例3、4で得られた繊維は、海成
分ポリマ−として、それぞれ吸水率が低いポリマ−を使
用しているので、アルカリ処理により島成分ポリエステ
ルが溶解除去されず、中空繊維となすことができなか
た。比較例5で得られた繊維は、海成分ポリマ−として
ポリブチレンテレフタレ−トを使用しているため、アル
カリ処理により島成分ポリエステルのみならず海成分ポ
リマ−も一部溶解してしまい、満足な多孔型形態をなす
ことができなかった。比較例6で得られた繊維は式
〔I〕で示される値が小さいために、中空部が潰れてい
る箇所もあり、不透明度において不満足であった。
【0051】実施例6〜8、比較例7〜11 実施例1において、島成分ポリマ−として表2に示され
るポリエステルを用い、海成分/島成分比を7/3(実
施例6,比較例7〜11)、1/1(実施例7、8)に
する以外は同様にして紡糸、延伸を行い、75デニ−ル
/24フィラメントの延伸糸を得た。ついで、得られた
延伸糸を用いて実施例1と同様のタフタを作製し、精練
処理、ヒ−トセット、40g/lの濃度の水酸化ナトリ
ウム水溶液を用いて表3に示される処理条件でアルカリ
処理を行い、島成分ポリマ−を溶解除去した。得られた
繊維、該繊維からなるタフタの評価、測定を行い、結果
を表3に示す。比較例7、8で得られた繊維は、島成分
ポリマ−であるポリエステルのアルカリ水溶液に対する
溶解度恒数が小さいために、アルカリ処理を施しても該
ポリエステルを溶解除去することができず、満足な中空
形態をなすことができなかった。比較例9、10で得ら
れた繊維は、海成分ポリマ−として、それぞれ吸水率が
低いポリマ−を使用しているので、アルカリ処理により
島成分ポリエステルが溶解除去されず、中空形態となす
ことができなかた。比較例11で得られた繊維は、海成
分ポリマ−としてポリエチレンテレフタレ−トを使用し
ているため、アルカリ処理により島成分ポリエステルの
みならず海成分ポリマ−も一部溶解してしまい、満足な
多孔型形態をなすことができなかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明の多孔型中空繊維は中空部が1つ
のみである中空繊維に比較し、軽量性、吸水性等に優れ
ているばかりでなく、光の反射量が多く、そのため該繊
維からなる布帛は透け防止に優れている。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸水率が3%以上である、耐アルカリ性の
    ポリマ−からなる多孔型中空繊維であって、該繊維の繊
    維軸に直角方向の断面における中空部が下記式〔I〕を
    満足することを特徴とする多孔型中空繊維。 【数1】 [ただし、xは中空部の総断面積(μ2 )であり、nは
    中空部の数であって2以上の整数である。]
  2. 【請求項2】吸水率が3%以上である耐アルカリ性のポ
    リマ−を海成分とし、80℃の温度、濃度40g/lの
    水酸化ナトリウム水溶液により処理した時のアルカリ溶
    解速度恒数が30×10-8〜130×10-8cm/se
    cの範囲にあるポリエステルを島成分とする海島型複合
    繊維を紡糸した後、アルカリ水溶液で処理して島成分で
    あるポリエステルを分解溶出させてなる多孔型中空繊維
    の製造方法。
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