JPH07326037A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07326037A
JPH07326037A JP13560295A JP13560295A JPH07326037A JP H07326037 A JPH07326037 A JP H07326037A JP 13560295 A JP13560295 A JP 13560295A JP 13560295 A JP13560295 A JP 13560295A JP H07326037 A JPH07326037 A JP H07326037A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた電磁変換特性を有し、生産性の優れた
磁気記録媒体を提供する。また、RF出力が高く、かつ
走行耐久性に優れドロップアウトおよびBERの少ない
磁気記録媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結
合剤を含む下層非磁性層を塗布し、前記下層非磁性層が
湿潤状態のうちに、強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性
層を塗布した磁気記録媒体において、前記上層磁性層の
乾燥厚みが1μm以下であり、前記非磁性粉末として、
最も長い軸比r1 と最も短い軸比r2 との比である軸比
r1 /r2 が2.5以上20以下の針状あるいは板状の
非磁性粉末を使用し、あるいはさらに、前記強磁性粉末
として最も長い軸長の平均径が0.3μm以下であるこ
とにより、上層磁性層と下層非磁性層の間に混合領域の
ないものとした磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
【0001】本発明は、高密度の塗布型磁気記録媒体に
関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープ、コンピューターテープ、ディスクなどとして広
く用いられている。磁気記録媒体は年々高密度化され、
記録方式もアナログ方式から、デジタル方式まで検討さ
れている。この高密度化の要求に対して、磁性層に金属
薄膜を用いた磁気記録媒体が提案されているが、生産
性、腐食等の実用信頼性の点で磁性粉末を結合剤中に分
散して、支持体上に塗布したいわゆる塗布型の磁気記録
媒体が優れる。しかしながら、金属薄膜に対して塗布型
媒体は磁性物の充填度が低いために、電磁変換特性が劣
る。塗布型媒体の電磁変換特性の向上には、磁性体の磁
気特性の改良、表面の平滑化などがあり種々の方法が提
案されているが、高密度化に対しては充分なものではな
い。
【0003】またデジタル用の媒体の性能向上に対して
は、磁性層の薄層化が知られている。しかし原理的には
有効ながら、塗布型媒体の薄層化には生産上の問題点が
ある。それは磁性層の薄層化によってピンホール、すじ
と言った塗布欠陥が発生し易く、充分な歩留まりが得ら
れない。またカレンダーによる成形効果が小さくなるた
めに表面性が悪く、電磁変換特性が良くない。この様な
問題を解決するためには、ある程度の厚みを有する非磁
性層の上に1μm以下の薄い磁性層を同時に形成させた
後に、カレンダー処理を行なうことが考えられる。この
様な目的に使用できる手段として非磁性の粒状研磨剤、
またはフィラーを下塗層に含ませることが提案されてい
る。(特開昭62−222427号、特開平2−257
424号) しかしながらこれらの技術の問題点として、磁性層と非
磁性層を同時に塗布し、上層の磁性体を配向するとき
に、磁場による磁性体の回転運動のため上下層の界面で
の混合が発生し、充分な表面性がえられないばかりか、
配向が充分に行なわれないので充分な電磁変換特性が得
られなかった。
【0004】そこで本出願人らは非磁性の鱗片状粒子で
非磁性下層を形成させることによって、上層の磁性粒子
の配向性を改善しようと試みた。非磁性の鱗片状粒子層
を設けることに関してはグラファイトを用いた導電性中
間層が提案されている。(特開昭55−55438号)
しかしながらこの様な物質では、配向性の改善はなされ
るが、グラファイト自身には膜の補強効果がないため耐
久性上不十分である。この問題には、モース硬度5以上
の無機粉体を混合する提案がなされている。(特開昭6
0−125926号) 又、本出願人らは非磁性の針状粒子で非磁性下層を形成
させることによって、上層の磁性粒子の配向性を改善し
ようと試みた。非磁性の針状粒子層を設けることに関し
ては針状の蓚酸塩を用いた補強層が提案されている。
(特公昭58−51327号)。これら提案により配向
性向上と耐久性の確保はなされるが、実際に媒体を製造
する段階では鱗片状粒子はスタッキングをおこしやす
く、また、蓚酸塩のような物質は結合剤への分散性がよ
くないため、磁性面の平滑性を損なうことが判明した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、優れた電磁変換特性を有し、生産性の優れた磁気記
録媒体を提供することにある。本発明の第2の目的は、
RF出力が高く、かつ走行耐久性に優れドロップアウト
が少なく、ブロックエラーレート(BER)が低い磁気
記録媒体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の上記目
的は、下記〜に記載の発明により達成できる。 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結合剤を
含む下層非磁性層を塗布し、前記下層非磁性層が湿潤状
態のうちに、強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性層を塗
布した磁気記録媒体において、前記上層磁性層の乾燥厚
みが1μm以下であり、かつ前記非磁性粉末の最も長い
軸長r1 と最も短い軸長r2 との比r1 /r2 が2.5
以上20以上であることを特徴とする磁気記録媒体。 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末と結合剤を
含む下層非磁性層を塗布し、前記下層非磁性層が湿潤状
態のうちに、強磁性粉末と結合剤を含む上層磁性層を塗
布した磁気記録媒体において、前記非磁性粉末が針状比
が2.5以上20以上であり、かつ前記上層磁性層の乾
燥厚みが1μm以下であり、前記強磁性粉末の最も長い
軸長の平均径が0.3μm以下であることを特徴とする
磁気記録媒体。
【0007】すなわち本発明は下層非磁性層が湿潤状態
のうちに上層磁性層を同時または逐次に塗布した、いわ
ゆるウエット−オン−ウエットの塗布により複数層を設
けた磁気記録媒体の改良を図ったものである。つまりウ
エット−オン−ウエット塗布では界面が柔らかいために
互いに他の層の影響を受けやすく、例えば、塗布後配向
すると上層磁性層の強磁性粉末が回転運動するが、その
回転運動によって下層非磁性層がその影響を受け、界面
で混合が生じる。これを本発明では下層非磁性層に工夫
を加えることにより、界面で混合が生じない。従って、
混合領域がない磁気記録媒体を初めて得たものである。
【0008】この下層非磁性層と上層磁性層との界面に
おいて混合領域が生じないようにするための1つの発明
は下層非磁性層に針状非磁性粉末を用いることである。
従来の粒状の非磁性粉末に比べ、針状の非磁性粉末が整
列して存在すると未乾燥状態でも強固な塗膜を形成し、
上層磁性層の強磁性粉末が回転しても、その界面で混合
を生じない。
【0009】このように本発明の基本思想は、下層非磁
性層用塗布液として非磁性粉末を結合剤に分散した分散
液と強磁性粉末が結合剤に分散された上層磁性層用磁性
塗料を使用し、非磁性支持体上に該下層非磁性層用塗布
液を塗設して、これが湿潤状態のうちにこの上に上層磁
性層用磁性塗料を重層塗布するという条件下に製造され
得るものであり、特にその際上層磁性層厚を薄膜化、例
えば、1μm以下に歩留り良く調製できる点にある。
【0010】本発明は、該上層磁性層の乾燥厚みは1μ
m以下であり、かつ下層非磁性層と上層磁性層の間に混
合領域がない磁気記録媒体を与える。ここで、下層非磁
性層と上層磁性層の間に混合領域がないとは、具体的に
は、下層非磁性層と上層磁性層との界面においては、上
層磁性層成分と下層非磁性層成分とが混在する領域がな
いこと、具体的には上層磁性層成分の強磁性粉末と下層
非磁性層成分の非磁性粉末とが該界面において混在しな
いことをいう。従って、界面近傍での強磁性粉末および
非磁性粉末の配向の乱れも少なく、表面性を改善すると
共に配向性が改善されるのでRF出力を高くし、BER
(ブロックエラーレート)、ドロップアウト等を効果的
に低減する。また、磁性層を1μm以下にすることで短
波長記録に適する磁気記録媒体を安定に得ることができ
る。
【0011】本発明の磁気記録媒体を製造するための具
体的方法は特に制限されないが、特に〜の発明にお
いて使用する手段を適用することができる。即ち、強磁
性粉末および/または非磁性粉末の形状、サイズ等の規
定、結合剤の種類の選定等を種々選択することにより製
造できる。本発明の特徴は、該上層磁性層の乾燥厚み
は1μm以下であり、かつ該下層非磁性層にr1 /r2
(即ち軸比)を2.5以上20以下に規定した非磁性粉
末を含有するものである。このように形状を規定するこ
とにより、塗布時の流動配向で長手方向に非磁性粉末が
配向するので、上層磁性層の強磁性粉末への磁場配向に
よる回転運動を抑止することができ、結果的に該下層非
磁性層と上層磁性層との界面の乱れを抑え、強磁性粉末
の配向も改善することができる。
【0012】ここで、r1 は最も長い軸長、r2 は最も
短い軸長であるが、非磁性粉末の具体的形状は、基本的
には任意であり、針状でも板状でもよく、電子顕微鏡等
により実測される。また、該軸とは厳密な意味での対称
軸を意味するものではない。針状の場合、r1 は通常、
即ち長軸長といわれるもので、3μm以下、好ましくは
1.5 μm以下の範囲であり(即ちr2 は単軸長ある
いは太さである)、好ましい軸比は5〜20である。鱗
片状あるいは板状の場合は、r1 は通常板径といわれる
ものをさし、その値としては、0.01〜3μm、好ま
しくは0.05〜1.5μmの範囲であり(即ちr2 は
板厚である)、好ましい板状比は5〜20である。
【0013】また、上層磁性層の強磁性粉末の物性、形
状、サイズは特に制限はないが、好ましくは最も長い軸
長の平均径が0.3μm以下の針状強磁性粉末、板状強
磁性粉末で、具体例として針状強磁性粉末は、γ−Fe
2 O3 、Fe3 O4 、Co−γ−Fe2 O3 、Cr
O2 、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等の合金
強磁性粉末、板状強磁性粉末はバリウムフェライト、ス
トロンチウムフェライト等の六方晶フェライト、及びC
o合金粉末であり、特に好ましくはFeを主体とした合
金あるいは六方晶フェライトが挙げられる。
【0014】本発明の特徴は、該上層磁性層の乾燥厚
みは1μm以下であり、かつ該下層非磁性層に針状比を
2.5以上に規定した非磁性粉末を含有し、かつ上層磁
性層に平均粒径を0.3μm以下に規定した強磁性粉末
を含有するものであり、特にと相違する点は下層非磁
性層の非磁性粉末の形状を針状に限定すると共に上層磁
性層の強磁性粉末の最も長い軸長の平均径を0.3μm
以下に限定した点であり、微粒子化による充填度の向
上、出力の向上を計ることができる。ここで、針状比と
は、前記r1 /r2 において定義した場合の非磁性粉末
の形状を針状に限定した場合と同じ意味であるが、前記
と区別するためにR1 /R2と記す。ここで、R1 は最
も長い軸長、R2 は最も短い軸長である。R1 として
は、3μm以下、好ましくは1.5μm以下の範囲であ
り、軸比としては好ましくは5以上である。
【0015】針状非磁性粉末としては、非磁性の金属
(Cu、Cr、Ag、Al、Ti、W等)あるいは酸化
物が好ましく、例えば、Al2 O3 (α、γ)、Cr2
O3 、αフェライト、ゲーサイト、SiO2 (ガラスも
含む)、ZrO2 、CeO2 、TiO2 (ルチル、アナ
ターゼ)等が挙げられる。また、下層非磁性層の厚みは
0.5μm以上、好ましくは0.5〜5.0μmであ
る。下層非磁性層が0.5μmより薄いと生産性が低下
すると共にカレンダー成形性が劣化し充分な電磁変換特
性が得られにくくなる。強磁性粉末の形状は任意であ
り、例えば、針状でも板状でもよい。この場合の平均粒
径の定義も前記発明の軸比:r1 /r2 で定義したこ
とがあてはまり、物の違いを除きr1 と同じ意味であ
る。以下、r1 /r2 にならって強磁性粉末の軸比をφ
1 /φ2 と記す。強磁性粉末が針状の場合、φ1 は、
0.3μm以下、好ましくは0.25μm以下の範囲で
あり、かつφ1 /φ2 は2.5以上、板状の場合は、φ
1 /φ2 は2.5以上で、φ1 は0.01〜0.3μ
m、好ましくは0.05〜0.2μmの範囲である。
【0016】これら非磁性粉末を分散、結合するために
用いる結合剤としてエポキシ基を含有する樹脂を用いる
場合には、この樹脂は、分子量3万以上のものである。
エポキシ基は1×10-5〜20×10-4eq/g、好ま
しくは4×10-5〜16×10-4eq/g含有される。
エポキシ基の導入方法は公知の技術が適応できる。例え
ば、グリシジル基を有するビニルモノマーを他のモノマ
ーと共重合させるなどがあげられる。その他、このエポ
キシ基を含有する分子量3万以上の樹脂の製造方法は下
記エポキシ基含有塩化ビニル系樹脂の記載を適用でき
る。また、この発明では、モース硬度5以上の研磨剤を
下層非磁性層に非磁性粉末との配合比が、非磁性粉末/
研磨剤=95/5〜60/40となるように混在させる
ことが好ましく、これにより下層非磁性層、引いては磁
気記録媒体の機械的強度を増強し、いわゆる粉落ちを防
止して、BER(ブロックエラーレート)、ドロップア
ウトを低減すると共に耐久性を向上させることができ
る。
【0017】モース硬度5以上の研磨材としてはα−A
l2 O3 、Cr2 O3 、α−Fe2 O3 、ZrO2 、T
iO2 、TiC、SiO2 、SiC、CeO2などが挙
げられる。該研磨材の粒子サイズは塗布される下塗の厚
み以下が好ましく、0.1〜5μ程度、更に好ましくは
0.1〜2μである。粒子の形状は粒状、針状どちらで
も使用出来る。該鱗片状非磁性粉体と研磨材の混合比は
95/5〜60/40である。研磨材量が少ないと充分
な耐久性が得られず、多すぎると鱗片状粒子の上層磁性
体配向効果が損なわれる。
【0018】以下、本発明〜の規定に従って選択可
能な一般的事項を挙げる。本発明において上層磁性層お
よび下層非磁性層は通常各々単層で構成されるが、各々
単層構成でも複層構成でも上記組成、規定条件を満足す
ればかまわない。以下、上層磁性層、下層非磁性層を単
に上層、下層という場合がある。上記の非磁性粉末は必
ずしも100%純粋である必要はなく、目的に応じて表
面を他の化合物で処理してもよい。その際、純度は70
%以上であれば効果を減ずることにはならない。例え
ば、酸化チタンを用いる場合、表面をアルミナで処理す
ることが一般的に用いられている。強熱減量は20%以
下であることが好ましい。上層の強磁性粉末含有率は7
0%以上が好ましい。強磁性粉末含有率が70%未満で
は、充填度が低下して電磁変換特性が劣化する。ここで
いう強磁性粉末含有率とは(強磁性粉末)/(強磁性粉
末+結合剤+添加剤等の磁性層に含有されるもの)の重
量%を表している。
【0019】本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5
KOeで測定した場合、角型比が各層とも0.7以上、好
ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上が好
ましい。本発明に使用される強磁性粉末のσS は50e
mu/g以上、好ましくは70emu/g以上であり、
金属微粉末の場合は100emu/g以上が好ましい。
また、含水率は0.01〜2%とするのが好ましい。結
合剤の種類によって強磁性粉末の含水率は最適化するの
が好ましい。本発明の強磁性粉末としてコバルト変成酸
化鉄を用いる場合は、2価の鉄の3価の鉄に対する比は
好ましくは0〜33.3%であり、さらに好ましくは5
〜10%である。また鉄原子に対するコバルト原子の量
は0〜15%、好ましくは3〜8%である。
【0020】強磁性粉末のpHは用いる結合剤との組合
せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜1
2である。強磁性粉末はAl、Si、Pまたはこれらの
酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は
強磁性粉末に対し0.1〜10%である。上層の強磁性
粉末は、可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr等の無
機イオンを含む場合があるが500ppm以下であれば
特に影響を与えない。強磁性粉末としてはγ−FeOx
(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−FeOx(x
=1.33〜1.5)、FeまたはNiまたはCoを主
成分(75%以上)とする強磁性合金微粉末など公知の
強磁性粉末が使用できる。これらの強磁性粉末には所定
の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、
Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、T
e、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、
La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、N
i、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。
【0021】これらの強磁性微粉末にはあとで述べる分
散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前に
あらかじめ処理を行ってもかまわない。上記強磁性粉末
の中で強磁性合金微粉末については少量の水酸化物、ま
たは酸化物を含んでもよい。強磁性合金微粉末の公知の
製造方法により得られたものを用いることができ、下記
の方法をあげることができる。複合有機酸塩(主として
シュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、
酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいは
Fe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物
を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素
ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還
元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体
中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このよう
にして得られた強磁性合金粉末は公知の徐酸化処理、す
なわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶
剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化
膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸
素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を
形成する方法のいずれを施したものでも用いることがで
きる。また、本発明に用いられる強磁性粉末は空孔が少
ないほうが好ましくその値は20容量%以下、さらに好
ましくは5容量%以下である。本発明に用いられる強磁
性粉末は公知の方法に従って製造することができる。
【0022】本発明の下層非磁性層、上層磁性層に使用
される結合剤としては従来公知の熱可塑系樹脂、熱硬化
系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。
尚、本発明にあってはエポキシ基含有樹脂を用いること
ができ、該エポキシ基含有樹脂にこれらを併用すること
ができる。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−
100〜150℃、数平均分子量が1000〜2000
00、好ましくは10000〜100000、重合度が
約50〜1000程度のものである。このような例とし
ては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マ
レイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニ
リデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル
酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニル
ブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を
構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタ
ン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。
【0023】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフエノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの
樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブ
ック」に詳細に記載されている。
【0024】また、公知の電子線硬化型樹脂を使用する
ことも可能である。これらの例とその製造方法について
は特開昭62−256219号に詳細に記載されてい
る。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好
ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニ
ル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹脂、
塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、中から
選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、
またはこれらにポリイソシアネートを組合せたものがあ
げられる。ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリ
ウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポ
リエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタ
ン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリ
カプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用でき
る。
【0025】ここに示したすべての結合剤について、よ
り優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、C
OOM、SO3 M、OSO3 M、P=O(OM)2 、O
−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子、また
はアルカリ金属塩基)、OH、NR2 、N+ R3 、Rは
炭化水素基)、SH、CN、などから選ばれる少なくと
も一つ以上の極性基を共重合または付加反応で導入した
ものを用いることが好ましい。このような極性基の量は
10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜1
0-6モル/gである。塩化ビニル系共重合体としては、
好ましくは、エポキシ基含有塩化ビニル系共重合体が挙
げられ、塩化ビニル繰返し単位と、エポキシ基を有する
繰返し単位と、所望により−SO3 M、−OSO3 M、
−COOMおよび−PO(OM)2 (以上につきMは水
素原子、またはアルカリ金属塩基)等の極性基を有する
繰返し単位とを含む塩化ビニル系共重合体が挙げられ
る。エポキシ基を有する繰返し単位との併用では、−S
O3 Naを有する繰返し単位を含むエポキシ基含有塩化
ビニル系共重合体が好ましい。
【0026】極性基を有する繰返し単位の共重合体中に
おける含有率は、通常0.01〜5.0モル%(好まし
くは、0.5〜3.0モル%)の範囲内にある。エポキ
シ基を有する繰返し単位の共重合体中における含有率
は、通常1.0〜30モル%(好ましくは1〜20モル
%)の範囲内にある。そして、塩化ビニル系重合体は、
塩化ビニル繰返し単位1モルに対して通常0.01〜
0.5モル(好ましくは0.01〜0.3モル)のエポ
キシ基を有する繰返し単位を含有するものである。エポ
キシ基を有する繰返し単位の含有率が1モル%より低い
か、あるいは塩化ビニル繰返し単位1モルに対するエポ
キシ基を有する繰返し単位の量が0.01モルより少な
いと塩化ビニル系共重合体からの塩酸ガスの放出を有効
に防止することができないことがあり、一方、30モル
%より高いか、あるいは塩化ビニル繰返し単位1モルに
対するエポキシ基を有する繰返し単位の量が0.5モル
より多いと塩化ビニル系共重合体の硬度が低くなること
があり、これを用いた場合には磁性層の走行耐久性が低
下することがある。
【0027】また、特定の極性基を有する繰返し単位の
含有率が0.01モル%より少ないと強磁性粉末の分散
性が不充分となることがあり、5.0モル%より多いと
共重合体が吸湿性を有するようになり耐候性が低下する
ことがある。通常、このような塩化ビニル系共重合体の
数平均分子量は、1.5万〜6万の範囲内にある。この
ようなエポキシ基と特定の極性基を有する塩化ビニル系
共重合体は、例えば、次のようにして製造することがで
きる。
【0028】例えばエポキシ基と、極性基として−SO
3 Nとが導入されている塩化ビニル系共重合体を製造す
る場合には、反応性二重結合と、極性基として−SO3
Naとを有する2−(メタ)アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸ナトリウム(反応性二重結合と極
性基とを有する単量体)およびジグリシジルアクリレー
トを低温で混合し、これと塩化ビニルとを加圧下に、1
00℃以下の温度で重合させることにより製造すること
ができる。上記の方法による極性基の導入に使用される
反応性二重結合と極性基とを有する単量体の例として
は、上記の2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプ
ロパンスルホン酸ナトリウムの外に2−(メタ)アクリ
ルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸およびそのナトリウムあるいはカリウム塩、(メ
タ)アクリル酸−2−スルホン酸エチルおよびナトリウ
ムあるいはカリウム塩、(無水)マレイン酸および(メ
タ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エス
テルを挙げることができる。
【0029】また、エポキシ基の導入には、反応性二重
結合とエポキシ基とを有する単量体として一般にグリシ
ジル(メタ)アクリレートを用いる。なお、上記の製造
法の外に、例えば、塩化ビニルとビニルアルコールなど
との重合反応により多官能−OHを有する塩化ビニル系
共重合体を製造し、この共重合体と、以下に記載する極
性基および塩素原子を含有する化合物とを反応(脱塩酸
反応)させて共重合体に極性基を導入する方法を利用す
ることができる。 ClCH2 CH2 SO3 M、ClCH2 CH2 OSO3
M、ClCH2 COOM、ClCH2 PO(OM)2
【0030】また、この脱塩酸反応を利用するエポキシ
基の導入には通常はエピクロルヒドリンを用いる。な
お、該塩化ビニル系共重合体は、他の単量体を含むもの
であってもよい。他の単量体の例としては、ビニルエー
テル(例、メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエ
ーテル、ラウリルビニルエーテル)、α−モノオレフィ
ン(例、エチレン、プロピレン)、アクリル酸エステル
(例、(メタ)アクリル酸メチル、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート等の官能基を含有する(メタ)ア
クリル酸エステル)、不飽和ニトリル(例、(メタ)ア
クリロニトリル)、芳香族ビニル(例、スチレン、α−
メチルスチレン)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等)が例示される。
【0031】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製:VAGH、V
YHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、V
YES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、P
KHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業
社製:MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TA
L、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、
MPR−TM、電気化学社製:1000W、DX80、
DX81、DX82、DX83、日本ゼオン社製:MR
110、MR100、400X110A、日本ポリウレ
タン社製:ニッポランN2301、N2302、N23
04、大日本インキ社製:パンデックスT−5105、
T−R3080、T−5201、バーノックD−40
0、D−210−80、クリスボン6109、720
9、東洋紡社製:バイロンUR8200、UR830
0、RV530、RV280、大日精化社製:ダイフエ
ラミン4020、5020、5100、5300、90
20、9022、7020、三菱化成社製:MX500
4、三洋化成社製:サンプレンSP−150、旭化成社
製:サランF310、F210などがあげられる。
【0032】本発明に用いられる結合剤は上層にあって
は、強磁性粉末に対し、5〜50重量%の範囲、好まし
くは10〜35重量%の範囲で用いられる。また、塩化
ビニル系樹脂を用いる場合は、5〜30重量%、ポリウ
レタン樹脂を用いる場合は2〜20重量%、ポリイソシ
アネートは2〜20重量%の範囲でこれらを組合せて用
いるのが好ましい。本発明〜に用いられる結合剤は
下層にあっては、非磁性粉末に対し、合計で5〜50重
量%の範囲、好ましくは10〜35重量%の範囲で用い
られる。また、塩化ビニル系樹脂を用いる場合は、3〜
30重量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は3〜30
重量%、ポリイソシアネートは0〜20重量%の範囲で
これらを組合せて用いるのが好ましい。また、本発明に
あっては、分子量3万以上のエポキシ基含有樹脂を用い
る場合、該樹脂を非磁性粉末に対し、3〜30重量%使
用でき、かつエポキシ基含有樹脂以外の樹脂を非磁性粉
末に対し3〜30重量%使用でき、ポリウレタン樹脂を
用いる場合は3〜30重量%、ポリイソシアネートは0
〜20重量%使用できるが、エポキシ基は、結合剤(硬
化剤を含む)全重量に対し、4×10-5〜16×10-4
eq/gの範囲で含まれることが好ましい。
【0033】本発明において、ポリウレタン樹脂を用い
る場合はガラス転移温度が−50〜100℃、破断伸び
が100〜2000%、破断応力は0.05〜10Kg
/cm2 、降伏点は0.05〜10Kg/cm2 が好ま
しい。本発明に用いるポリイソシアネートとしては、ト
リレンジイソシアネート、4−4′−ジフエニルメタン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、
キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジ
イソシアネート、o−トルイジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、トリフエニルメタントリイソシ
アネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシ
アネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシ
アネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート
等を使用することができる。これらのイソシアネート類
の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社
製:コロネートL、コロネートHL、コロネート203
0、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネ
ートMTL、武田薬品社製:タケネートD−102、タ
ケネートD−110N、タケネートD−200、タケネ
ートD−202、住友バイエル社製:デスモジュール
L、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジ
ュールHL等があり、これらを単独または硬化反応性の
差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで下層、上
層ともに用いることができる。
【0034】本発明においては、上層および/または下
層に必要に応じて任意の添加剤、例えば、カーボンブラ
ック等の帯電防止剤、研磨剤、着色剤、潤滑剤、分散剤
等を使用できる。カーボンブラックはゴム用フアーネ
ス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブ
ラック、等を用いることができる。カーボンブラックを
分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使
用しても、表面の一部をグラフアイト化したものを使用
してもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料
に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわな
い。これらのカーボンブラックは単独、または組合せで
使用することができる。
【0035】カーボンブラックは上層磁性層の帯電防
止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働き
があり、これらは用いるカーボンブラックにより異な
る。従って本発明に使用されるこれらのカーボンブラッ
クはその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明
で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラ
ック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にするこ
とができる。
【0036】本発明に用いられる研磨剤としてはα化率
90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカー
バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主
としてモース硬度6以上の公知の材料が単独または組合
せで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体
(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用して
もよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または
元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれ
ば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは
0.01〜2μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイ
ズの異なる研磨剤を組合せたり、単独の研磨剤でも粒径
分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。本
発明に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ
状、のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するもの
が研磨性が高く好ましい。
【0037】本発明に用いられる研磨剤の具体的な例と
しては、住友化学社製:AKP−20,AKP−30,
AKP−50,HIT−50、日本化学工業社製:G
5,G7,S−1、戸田工業社製:100ED,140
ED、などがあげられる。これらの研磨剤はあらかじめ
結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかま
わない。研磨剤の使用量は、本発明においては、上層磁
性層にあっては強磁性粉末の20重量%以下、下層非磁
性層にあっては非磁性粉末の20重量%以下で使用され
る。
【0038】潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑
効果、などをもつ添加剤としては下記のものが列挙され
る。二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラフア
イト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、カーボンブラック等の
固体潤滑剤。シリコーンオイル、極性基をもつシリコー
ン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フ
ッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフ
イン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルおよびそ
のアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのア
ルカリ金属塩、ポリフエニルエーテル、フッ素含有アル
キル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数1
0〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、ま
た分岐していてもかまわない)、および、これらの金属
塩(Li,Na,K,Cuなど)または、炭素数12〜
22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール
(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわな
い)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール、炭素
数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んで
も、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12
の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのい
ずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していて
もかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ
脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレン
オキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステ
ル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の
脂肪族アミン、などの有機質潤滑剤が使用できる。
【0039】これらの具体例としてはラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ス
テアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン
酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オ
クチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソル
ビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステ
アレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オ
レイルアルコール、ラウリルアルコール、があげられ
る。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グ
リシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド
付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステ
ルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導
体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等
のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、
燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基
を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホ
ン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル
類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用
できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤
便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。
【0040】これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも
100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応
物、副反応物、分解物、酸化物、等の不純分が含まれて
もかまわない。これらの不純分は30%以下が好まし
く、さらに好ましくは10%以下である。本発明で使用
されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は下層非磁性層、上
層磁性層でその種類、量を必要に応じ使い分けることが
できる。例えば、下層非磁性層、上層磁性層で融点の異
なる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御する、沸点
や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを
制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性
を向上させる、潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑
効果を向上させるなどが考えられ、無論ここに示した例
のみに限られるものではない。また本発明で用いられる
添加剤のすべてまたはその一部は、下層非磁性層用塗
料、上層磁性塗料製造のどの工程で添加してもかまわな
い、例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、
強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場
合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、
塗布直前に添加する場合などがある。
【0041】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用で
きる。
【0042】本発明の磁気記録媒体の厚み構成は非磁性
支持体が1〜100μm、好ましくは6〜20μm、上
層磁性層は1μm以下、好ましくは1〜0.2μm、下
層非磁性層が0.5μm以上で好ましくは0.5〜5μ
mである。上層磁性層1μmを越えると電磁変換特性に
対する薄膜化の効果がなくなり、下層非磁性層が0.5
μmより薄いと生産性が低下すると共にカレンダー成形
性が劣化し充分な電磁変換特性が得られなくなる。ま
た、非磁性支持体性と下層非磁性層の間に密着性向上の
ための下塗り層を設けてもよい。これらの厚みは0.0
1〜2μm、好ましくは0.05〜0.5μmである。
また、非磁性支持体性の磁性層側と反対側にバックコー
ト層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜2μ
m、好ましくは0.3〜1.0μmである。これらの下
塗り層、バックコート層は公知のものが使用できる。
【0043】本発明に用いられる非磁性支持体はポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリアラミド、ポリカーボ
ネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、
ポリスルフオン、アラミド、芳香族ポリアミドなどの公
知のフイルムが使用できる。これらの支持体にはあらか
じめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処
理、除塵処理、などをおこなっても良い。非磁性支持体
として中心線平均表面粗さは0.1μm以下、好ましく
は0.05μm以下である。また、これらの非磁性支持
体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではなく、1
μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また表面の
粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフイラーの
大きさと量により自由にコントロールされるものであ
る。これらのフイラーとしては一例としてはCa,S
i,Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの
有機微粉末があげられる。
【0044】本発明に用いられる非磁性支持体のテープ
走行方向のF−5値は好ましくは5〜50kg/m
m2 、テープ幅方向のF−5値は好ましくは3〜30k
g/mm2 であり、テープ長手方向のF−5値がテープ
幅方向のF−5値より高いのが一般的であるが、特に幅
方向の強度を高くする必要があるときはその限りでな
い。また、支持体のテープ走行方向および幅方向の10
0℃30分での熱収縮率は好ましくは3%以下、さらに
好ましくは1.5%以下、80℃30分での熱収縮率は
好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下で
ある。破断強度は両方向とも5〜100kg/mm2 、
弾性率は100〜2000kg/mm2 が好ましい。
【0045】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料、非磁性
塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工
程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混
合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわ
かれていてもかまわない。本発明に使用する強磁性粉
末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、
帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程
の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々
の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわな
い。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散
後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよ
い。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製
造技術を一部の工程として用いることができることはも
ちろんであるが、混練工程では連続ニーダや加圧ニーダ
など強い混練力をもつものを使用できる。連続ニーダま
たは加圧ニーダを用いる場合は各粉末と結合剤のすべて
またはその一部(ただし全結合剤の30%以上が好まし
い)および粉末100部に対し15〜500部の範囲で
混練処理される。これらの混練処理の詳細については特
願昭62−264722号、特願昭62−236872
号に記載されている。
【0046】本発明では、特開昭62−212933号
に示されるような同時重層塗布方式を用いることによ
り、より効率的に生産することができる。本発明の媒体
を得るためには強力な配向を行う必要がある。1000
G以上のソレノイドと2000G以上のコバルト磁石を
併用することが好ましく、さらには乾燥後の配向性が最
も高くなるように配向前に予め適度の乾燥工程を設ける
ことが好ましい。さらに、カレンダ処理ロールとしてエ
ポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等
の耐熱性のあるプラスチックロールを使用する。また、
金属ロール同志で処理することもできる。処理温度は、
好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上で
ある。線圧力は好ましくは200kg/cm、さらに好
ましくは300kg/cm以上である。
【0047】本発明の磁気記録媒体の上層磁性層面およ
びその反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ま
しくは0.5以下、さらに0.3以下、表面固有抵抗は
好ましくは10-5〜10-12 オーム/sq、磁性層の
0.5%伸びでの弾性率は走行方向、幅方向とも好まし
くは100〜2000kg/mm2 、破断強度は好まし
くは1〜30kg/cm2 、磁気記録媒体の弾性率は走
行方向、長手方向とも好ましくは100〜1500kg
/mm2 、残留のびは好ましくは0.5%以下、100
℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好ましくは1%以
下、さらに好ましくは0.5%以下、もっとも好ましく
は0.1%以下である。上層磁性層中に含まれる残留溶
媒は好ましくは100mg/m2 以下、さらに好ましく
は10mg/m2 以下であり、上層磁性層に含まれる残
留溶媒が下層非磁性層に含まれる残留溶媒より少ないほ
うが好ましい。
【0048】上層磁性層が有する空隙率は好ましくは3
0容量%以下、さらに好ましくは10容量%以下であ
る。本発明の磁気記録媒体の磁気特性は磁場5KOeで
測定した場合、テープ走行方向の角形比は0.70以上
であり、好ましくは0.80以上さらに好ましくは0.
90以上である。テープ走行方向に直角な二つの方向の
角型比は走行方向の角型比の80%以下となることが好
ましい。上層磁性層のSFDは0.6以下であることが
好ましい。
【0049】
【実施例】次に実施例と比較例を示し、本発明を更に具
体的に説明する。各例において、「部」は特に指定しな
い限り「重量部」を意味する。以下の処方で磁性塗布
液、及び非磁性塗布液を調整した。
【0050】 実施例1−1 上層磁性層用磁性塗布液処方 強磁性粉末:Fe合金粉末(Fe−Ni−Co) 100部 組成;Fe:Ni:Co=92:6:2 Hc1600Oe、σS 135emu/g 長軸長0.18μm,針状比9 塩化ビニル共重合体 10部 −SO3 Na,エポキシ基含有 ポリウレタン樹脂 5部 −SO3 Na含有,分子量45000 αアルミナ(平均粒径0.2μm) 5部 シクロヘキサノン 150部 メチルエチルケトン 150部 上記組成物をサンドミル中で6時間混合分散したのち、
ポリイソシアナート(コロネートL)及びステアリン酸
5部、ステアリン酸ブチル10部を加えて磁性塗布液を
得た。
【0051】 下層非磁性層用塗布液処方 針状α−Fe2 O3 100部 長軸長0.5μm 針状比10 カーボンブラック 5部 平均粒径20mμ 塩化ビニル共重合体 8部 −SO3 Na,エポキシ基含有 分子量45000 ポリウレタン樹脂 5部 −SO3 Na含有、分子量45000 シクロヘキサン 100部 メチルエチルケトン 100部 上記組成物をサンドミル中で4時間混合分散したのち、
ポリイソシアナート(コロネートL)及びステアリン酸
5部、ステアリン酸ブチル10部を加えて下層非磁性層
用塗布液を得た。
【0052】上記の塗布液をギャップの異なる2つのド
クターを用いて、湿潤状態で塗布したのち、永久磁石に
て配向処理後、乾燥した。その後にスーパーカレンダー
処理を行なった。塗布厚みは磁性層0.3μm、非磁性
層3.0μmであった。この様にして得られた原反を
3.81mm幅に裁断しデジタルオーディオテープ(D
AT)を作成した。その他の実施例、比較例は実施例1
に対して、表1、2に示す因子を変更してテープを作成
した。尚、これらの表中の塗布方式における逐次重層と
は、下層非磁性層を塗布し、乾燥後上層磁性層を塗布す
ることを言う。また、Baフェライトの物性値は以下の
通りである。 強磁性粉末:Baフェライト Hc1100Oe、σS 70emu/g 板径 0.05μm,板状比 5
【0053】これらテープは以下の方法で評価し、結果
を表1、表2に示した。 使用デッキ:SONY製DTC−1000 混合領域の有無の判別: サンプルの調製 サンプルテープをエポキシ樹脂ではさみ液体窒素で冷却
し、これをテープの長手方向、巾方向にミクロトームを
用いて切断する。 観察 TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて倍率50000倍
で上記切断面を観察し、磁性層と非磁性層の界面近傍の
磁性層中に含まれる非磁性粒子の個数を測定した。
【0054】 評価 磁性粒子の個数に対する非磁性粒子の個数の割合(%)
を求めた。 混合領域がない・・・上記割合が0.5%以下 混合領域がある・・・上記割合が0.5%を越える i)粒子形状が異なる場合 例えば、上層磁性層の強磁性粉末が針状で下層非磁性層
の非磁性粉末が粒状または鱗片状である場合、又は上層
磁性層の強磁性粉末が板状で下層非磁性層の非磁性粉末
が粒状又は針状の場合は形状の異なるものの混ざり具合
をみて混合領域の有無を評価した。 ii)粒子形状は同じだが最も長い軸長の平均径が異な
る場合 例えば、上層磁性層の強磁性粉末、下層非磁性層の非磁
性粉末が共に針状だが、前記平均径が異なる場合、又は
上層磁性層の強磁性粉末が板状で、下層非磁性層の非磁
性粉末が鱗片状であるような場合は、その平均径の異な
るものがどの程度混ざっているかによって混合領域の有
無を評価した。
【0055】iii)粒子形状、平均径ともに等しい場
合 上層磁性層と下層非磁性層の界面付近をマイクロオージ
ェ電子分光分析法にて各層に含まれる特有な元素を検知
することにより、混合領域の有無を評価した。 再生出力:4.7MHz単一周波数の信号を入力し、再
生信号をスペクトラムアナライザーに出力させ、信号の
ピーク値を読みとった。スペアナはHP−3585A
OdBは比較例1の磁性層単層のテープ BER(ブロックエラーレート):コンピューターにて
ランダム信号を24−25変換した。スクランブルドイ
ンターリーブドNRZ−I信号をテスト信号とし、本テ
スト信号を記録/再生したデータをPR復調して得たデ
ータを、テスト信号と比較して、エラーを検出して、そ
のエラーの比率をBERとする。 ドロップアウト:4.7MHz単一周波数の信号を入
力、スレッシュホールド(DO) レベル−10d
Bで長さ0.5μSECのドロップアウトをドロップア
ウトカウンターで測定した。 尚、本実施例においては、上層磁性層の乾燥厚みは、混
合領域の有無の判断方法と同様にしてサンプルを調整
し、TEMで観察した切断面より測定した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】表1〜表2の結果より明らかな如く、本発
明の針状非磁性粉末を用いたサンプルNo.実施例1−
1〜1−7はRF出力の改善と同時にドロップアウトが
少なく、かつ低いBER(ブロックエラーレート)を示
すことがわかった。本発明の範囲に入らないサンプルN
o.比較例1−1〜1−6はBER、ドロップアウト、
RF出力の少なくとも何れかが良好な結果が得られなか
った。尚、BERの目標レベルは10-4以下、ドロップ
アウトは100個以下、RF出力は3.0dB以上であ
る。
【0059】
【発明の効果】下層非磁性層が湿潤状態の内に上層磁性
層を同時又は逐次に塗布した、いわゆるウエット オン
ウエットの塗布により複数層を設けた磁気記録媒体に
おいて、その界面において混合領域を生じない磁気記録
媒体、具体的には下層非磁性層に針状又は鱗片状の非磁
性粉末を用いることにより電磁変換特性が良好で生産性
に優れ、具体的にはRF出力が高く、走行耐久性に優
れ、ドロップアウトがすくなくかつブロックエラーレー
トの低い磁気記録媒体が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末
    と結合剤を含む下層非磁性層を塗布し、前記下層非磁性
    層が湿潤状態のうちに、強磁性粉末と結合剤を含む上層
    磁性層を塗布した磁気記録媒体において、前記上層磁性
    層の乾燥厚みが1μm以下であり、かつ前記非磁性粉末
    の最も長い軸長r1 と最も短い軸長r2 との比r1 /r
    2 が2.5以上20以下であることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に少なくとも非磁性粉末
    と結合剤を含む下層非磁性層を塗布し、前記下層非磁性
    層が湿潤状態のうちに、強磁性粉末と結合剤を含む上層
    磁性層を塗布した磁気記録媒体において、前記非磁性粉
    末が針状比が2.5以上20以下であり、かつ前記上層
    磁性層の乾燥厚みが1μm以下であり、前記強磁性粉末
    の最も長い軸長の平均径が0.3μm以下であることを
    特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記非磁性粉末が金属又はその酸化物で
    あり、かつ前記下層非磁性層の厚みが0.5μm以上で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の磁気記録
    媒体。
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