JPH0741625Y2 - 自動車の安全装置 - Google Patents

自動車の安全装置

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JPH0741625Y2
JPH0741625Y2 JP1989022687U JP2268789U JPH0741625Y2 JP H0741625 Y2 JPH0741625 Y2 JP H0741625Y2 JP 1989022687 U JP1989022687 U JP 1989022687U JP 2268789 U JP2268789 U JP 2268789U JP H0741625 Y2 JPH0741625 Y2 JP H0741625Y2
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vehicle
turning
turning limit
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桂司 礒田
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車の安全装置、特に旋回走行時に運転者
に旋回限界を知らせしめることができる安全装置に関す
る。
〔従来の技術〕
従来、滑り易い路面等で旋回走行中に運転者が旋回限界
を知る手立てとしては、運転者の体感または経験に頼ら
ざるを得なかった。
〔考案が解決しようとする課題〕
このため、例えば運転者が路面の状況を把握し難い場
合、自動車が横スリップを開始して初めて運転者が旋回
限界を知り、車体の姿勢を立て直さなければならなかっ
た。
〔課題を解決するための手段〕
本考案は上記に鑑み創案されたもので、車両のヨーレイ
トを検出するヨーレイト検出手段と、車両の横加速度を
検出する横加速度検出手段と、上記横加速度の増加に対
する上記ヨーレイトの変化率が急変した時に旋回限界で
あることを検出する自動車の旋回限界を検出する旋回限
界検出手段と、乗員に警報を発する警報手段と、上記旋
回限界検出手段により自動車の旋回限界を検出したとき
に上記警報手段に警報を発せさせるべく制御信号を出力
する制御手段とを備えたことを特徴とする自動車の安全
装置である。
〔作用〕
本考案によれば、滑り易い路面等を旋回走行中に、自動
車の旋回限界を検出すると、上記制御手段が上記警報手
段に制御信号を出力して同警報手段が警報を発するもの
である。
〔実施例〕
以下、本考案の一実施例を第1図〜第12図に従って詳細
に説明する。
第1図は本実施例の構成を示す説明図である。図中、符
号2はエンジンであって、同エンジン2の出力はクラッ
チ4及びトランスミッション6を介して出力軸8に伝達
される。出力軸8の動力はフロントクラッチ10及びフロ
ントデファレンシャルギア12を介して左右の前輪14,16
に伝達されると共にリヤクラッチ18及びリヤデファレン
シャルギア20を介して左右の後輪22,24に伝達される。
フロントクラッチ10及びリヤクラッチ18は夫々室10a及
び18aに作用する油圧に応じてすべりが0%(直結状
態)から100%(遮断状態)までの任意の結合状態をと
ることができる湿式多板クラッチにより構成されてい
る。
符号30はエンジン2もしくは電動モータにより駆動され
リザーバ32内の油を吸引して吐出する油圧ポンプであ
り、同油圧ポンプ30の吐出口の油圧はリザーバ32との間
に介装されたレギュレータバルブ34により調圧されてい
る。また油圧ポンプ30の吐出口は電磁切換弁36を介して
フロントクラッチ10の室10aに接続されると共に電磁切
換弁38を介してリヤクラッチ18の室18aに接続されてい
る。これら電磁切換弁36,38は一方において電磁制御弁4
0を介して油圧ポンプ30の吐出口に接続されている。電
磁切換弁36は、制御信号に応じて、フロントクラッチ10
の室10aと油圧ポンプ30とを直接連通する位置(図示状
態)と、フロントクラッチ10の室10aと電磁制御弁40の
下流側とを連通する位置とをとることができる。同様
に、電磁切換弁38は、制御信号に応じて、リヤクラッチ
18の室18aと油圧ポンプ30とを直接連通する位置と、リ
ヤクラッチ18の室18aと電磁制御弁40の下流側とを連通
する位置(図示状態)とをとることができる。電磁制御
弁40は、制御信号に応じて同電磁制御弁40の下流側の油
圧を油圧ポンプ30の吐出油圧に等しい最大油圧Pmaxから
ゼロまでの任意の圧力に減圧調整することができる。な
お、符号32aは電磁制御弁40の下流側の油圧を下げる際
に排出する油を戻すリザーバを示し、同リザーバ32a
は、図面の適宜上リザーバ32と別個に図示してあるが、
実際はリザーバ32と同一のものである。
符号44はコントローラであり、図示しないが演算に必要
なCPU,ROM,RAM及び入出力に必要な入力回路、出力回路
を備えている。コントローラ44の入力回路には、各輪の
回転速度を独立して検出する車輪速センサ46、車両の重
心部分に作用する前後加速度を検出する前後加速度セン
サ48、車両の重心部分に作用する横加速度を検出する横
加速度センサ50、操舵状態を検出する操舵センサ52、エ
ンジン2のスロットルの状態を検出するスロットルセン
サ54、エンジン2の回転数を検出するエンジン回転数セ
ンサ56、ブレーキの状態を検出するブレーキセンサ58、
トランスミッション6のシフト位置を検出するシフトセ
ンサ60、車体のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ
62の各検出信号が入力されている。
符号64は、車両の運転席前方の計器盤に設けられたモー
ドセレクタであり、マニュアルでFFモード、FRモード及
び4WDモードを夫々選択するためのスイッチ66,68及び70
と、後で詳述するノーマルモード及びスポーツモードを
夫々選択するためのスイッチ72及び74とを備えている。
そして、同モードセレクタ64の各スイッチの操作状態を
示す信号はやはりコントローラ44の入力回路に入力され
ている。また、符号76はコントローラ44が出力する制御
信号により運転者に警報を与えるブザーまたはランプ等
の警報装置である。
次にコントローラ44の作動を第2図〜第12図に従って説
明する。
コントローラ44は先ず第2図に示すメインルーチンのス
テップM2で制御に必要なRAM内の各フラグ、メモリ領域
を初期設定、つまりゼロ設定する。次いでステップM4で
モードセレクタ64の信号を読取り、ステップM6でその信
号がマニュアル側か否かを判定する。ステップM6で「YE
S」と判定すると、ステップM8に進んでモードセレクタ6
4の出力信号がどのモードであるか判定する。ステップM
8において「FFモード」であると判定すると、ステップM
10に進んで出力回路から駆動状態がFFモードとなる制御
信号を出力する。つまり、この場合コントローラ44はフ
ロントクラッチ10の室10a内の油圧を最大に、リヤクラ
ッチ18の室18a内の油圧をゼロにすべく、電磁切換弁36
に同切換弁36が室10aと油圧ポンプ30とを直接連通する
位置をとる制御信号を、電磁切換弁38に同切換弁38が室
18aと電磁制御弁40の下流側とを連通する位置をとる制
御信号を、電磁制御弁40に同制御弁40の下流側の圧力が
ゼロとなる制御信号を出力する。これによりフロントク
ラッチ10は直結状態にリヤクラッチ18は遮断状態になっ
て前輪14,16のみにエンジン2の駆動力が伝わるFF状態
を得ることができる。
またステップM8において「FRモード」であると判定する
と、ステップM12に進んで出力回路から駆動状態がFRモ
ードとなる制御信号を出力する。つまり、この場合コン
トローラ44はフロントクラッチ10の室10a内の油圧をゼ
ロに、リヤクラッチ18の室18a内の油圧を最大にすべ
く、電磁切換弁36に同切換弁36が室10aと電磁制御弁40
の下流側とを連通する位置をとる制御信号を、電磁切換
弁38に同切換弁38が室18aと油圧ポンプ30とを直接連通
する位置をとる制御信号を、電磁制御弁40に同制御弁40
の下流側の圧力がゼロとなる制御信号を出力する。これ
によりフロントクラッチ10は遮断状態にリヤクラッチ18
は直結状態になって後輪22,24のみにエンジン2の駆動
力が伝わるFR状態を得ることができる。
更にステップM8において「4WDモード」であると判定す
ると、ステップM14に進んで出力回路から駆動状態が直
結4WDモードとなる制御信号を出力する。つまり、この
場合コントローラ44はフロントクラッチ10及びリヤクラ
ッチ18の各室10a及び18a内の油圧を最大にすべく、電磁
切換弁36及び38に同切換弁36及び38が室10a及び18aと油
圧ポンプ30とを直接連通する位置をとる制御信号を夫々
出力する。これによりフロントクラッチ10及びリヤクラ
ッチ18は夫々直結状態になって前輪14,16及び後輪22,24
の両方にエンジン2の駆動力が伝わる直結4WD状態を得
ることができる。
一方ステップM6で「NO」と判定すると、ステップM16に
進んでモードセレクタ64の出力信号がノーマルモードで
あるか否か判定する。そしてステップM16において「YE
S」であればステップM18に進んで後述するノーマルモー
ドルーチンの処理を実行し、「NO」であればステップM2
0に進んでやはり後述するスポーツモードルーチンの処
理を実行する。
次にメインルーチンにおけるステップM18のノーマルモ
ードルーチンを第3図に従って説明する。先ず、ステッ
プS100でモードセレクタ64からの検出信号が前回もノー
マルモードであったか否か判定する。ノーマルモードに
切換えた直後はこのステップS100で「NO」と判定されて
ステップS102を進む。ステップS102ではこのノーマルモ
ードルーチンによる制御に必要な所要フラグ、メモリ領
域を初期設定、つまりゼロ設定する。次いでステップS1
04に進んで駆動状態がFFモードとなるように電磁切換弁
36,38及び電磁制御弁40に制御信号を出力する。なお、
この制御信号による制御内容は上述したステップM10の
内容と同じである。次いでステップS106でフラグAを
「O」に、ステップS108でフラグCを「O」に設定し、
リターンつまりメインルーチンのステップM4に戻る。こ
のフラグAは後で詳述するがフロントクラッチ10及びリ
ヤクラッチ18を両方共に遮断状態にして駆動力を前輪1
4,16及び後輪22,24の何れにも伝えないような制御を行
っているときに「1」となるものである。またフラグC
はやはり後で詳述するがフロントクラッチ10及びリヤク
ラッチ18を両方共にすべりゼロ、つまり直結状態にして
駆動力を前輪14,16及び後輪22,24の両方に伝える制御を
行っているときに「1」となるものである。
ステップS100で「YES」と判定すると、ステップS110で
各センサの検出信号を読込む。次いでステップS112でフ
ラグAが「1」であるか判定し、同ステップS112で「N
O」と判定すると、ステップS114に進む。ステップS114
ではフラグBが「1」であるか判定する。このフラグB
は後で詳述するがトラクション制御を行っているときに
「1」となるものである。ステップS114で「NO」と判定
すると、ステップS116に進んでフラグCが「1」である
か判定する。ステップS116で「NO」と判定すると、ステ
ップS118に進む。
ステップS118では車両が発進状態にあるか判定する。こ
の判定の内容は、具体的には以下に述べる(i)〜(ii
i)の条件を全て満足しているか否かを判定するもので
ある。
(i)車速Vが設定車速(例えば10km/h)以下であるこ
と。
(ii)スロットルセンサ54により検出されたスロットル
開度θthが設定開度(例えば50%)以上であること。
(iii)操舵センサ52により検出されたステアリングホ
イールの操舵角θが設定範囲(例えば−180°≦θ≦180
°)であること。
なお、条件(i)における車速Vとしては車輪速センサ
46により検出された車輪速の中で最も小さい値を採用し
ている。そして、ステップS118で「NO」と判定すると、
ステップS120に進む。
ステップS120では前輪12,14のスリップ比(車輪の路面
に対するスリップ率)と後輪22,24のスリップ比との差
ΔSが設定値(例えば0.03)より大きいか否か判定す
る。この判定を行うときはFFモードであるので、ΔSを
車輪速センサ46により検出される車輪12,14側の車輪速
から後輪22,24側の車輪速を差し引いた差に基づき求め
る方法が考えられるが、実際の前後輪間のスリップ比差
ΔSを求めるには、旋回時に前後輪間での回転半径差
(所謂内輪差)が生じるためその回転半径差に相当する
分を補正する必要があり、更には車体に作用する横加速
度の増大により車両の旋回中心が前方へ移動して内輪差
が減少するためその減少分を補正する必要がある。この
ためこのステップS120の判定では次のような演算を行っ
ている。
すなわち、第4図に示すモデルにおいてfは前輪、rは
後輪、Gは車両の重心、lはホイールベース、lrは後輪
fの中心から重心Gまでの距離、Cは旋回中心、Rfは旋
回中心Cから前輪fの中心までの距離、RGは旋回中心C
から重心Gまでの距離、Rrは旋回中心Cから後輪rの中
心までの距離、δは前輪fの操舵角、γは旋回中心C周
りの車両重心Gの角速度である。
ここでアツカマンジオメトリに従えば、 であるので、(1)式は、 また、 Vr=γ・Rr=(VG/RG)・Rr …(3) Rr=l/δであるので、(3)式は となる。
ここで(2)式において とすれば、 Vf=αf・VG …(6) (4)式において とすれば、 Vr=αr・VG …(8) となる。(αf,αr:アツカマン補正係数) したがって、(6),(8)式における補正係数αf,α
rは第5図に示されるように操舵角δに対する特性を定
義できる。
他方、上述のとおり車両の重心Gに作用する横加速度GY
の増大に伴い旋回中心Cが前方へ移動して内輪差が減少
するのであり、一般に横加速度GYがゼロのときは上述の
アツカマン補正係数に伴う内輪差が生じるのに対し横加
速度GYが設定値GYPのときに内輪差がゼロとなり、また
その間の大きさの横加速度GYに対してはその横加速度GY
の大きさに応じ内輪差がほぼ比例して変化して大体線形
を呈すことが確認されている。なお、実験によれば、通
常の一般的な乗用車においてGYPは約0.5Gであることが
確認されている。このため、横加速度GYに対する内輪差
の補正係数αYの特性を第6図に示すように GY≦GYPのとき、 αY=(GY−GYP)+1.0 …(9) GY>GYPのとき、 αY=0 …(10)と定義できる。
その結果、最終的には、 によって前後輪間のスリップ比差を求めることができ
る。なお、(11)式において、ωfは前輪fの車輪速、
ωrは後輪rの車輪速である。
これにより、ステップS120では、車輪速センサ46から検
出した前輪12,14の車輪速及び後輪22,24の車輪速、横加
速度センサ50から求めた横加速度、操舵センサ52から求
めた操作角に基づき上述の式(9)に従ってスリップ比
差ΔSを演算し、そのΔSが設定値(例えば0.03)より
も大きいか否かを判定している。なお、その演算におい
て(11)式中のαf,αr,αYについては式(5),
(7),(9),(10)により求めるが、代わりに第5
図及び第6図に示される特性をマップ化してコントロー
ラ44内のROMに記憶させ、その都度このマップを参照し
て求めることも可能である。
ステップS120で「NO」と判定すると、ステップS122に進
んで旋回限界であるか否か判定する。このステップS122
の判定内容をここに説明する。第7図に示すモデルにお
いて、fは前輪、rは後輪、mは車両質量、Gは車両の
重心、Iは重心Gまわりのヨー慣性モーメント、Lは前
後輪間のホイールベース、Lfは前輪fと重心Gの距離、
Lrは後輪rと重心Gの距離、γは重心Gまわりのヨーレ
イト、δは前輪fの操舵角、UXは重心Gの前進速度、UY
は重心Gの横速度、Vは車速、GXは重心Gの前後加速
度、GYは重心Gの横加速度、βは重心Gでの横滑り角、
βfは前輪fの横滑り角、βrは後輪rの横滑り角、Cf
は前輪のコーナリングフォース、Crは後輪rのコーナリ
ングフォースである。
このモデルにおいて、車両の横方向の運動は、 m・V(dβ/dt+γ)=2Cf+2Cr …(12) ヨーイング運動は、 I・dr/dt=2Lf・Cf−2Lr・Cr …(13) で表わせる。
更にKfを前輪fの等価コーナリングパワー,Krを後輪r
の等価コーナリングパワーとすると、 Cf=Kf・βf=Kf・(δ−β−γ・Lf/V) …(14) Cr=Kf・βr=Kr・(−β+γ・Lr/V) …(15) となる。
今ここで、定常円旋回の条件 dβ/dt=0,dr/dt=0をあてはめ、更にγ=V/R=GY/V
の関係を考慮すると、式(12)〜(15)から γ2/δ=GY/L・1/(1+A・R・GY) …(16) ただし、 A=−m/2L2・(Lf・Kf−Lr・Kr)/(Kf・Kr):スタ
ビリティファクタ …(17) を得ることができる。
この式(17)は横加速度GYに対して発生する舵角δで基
準化されたヨーレイトγを表すもので、式中のAの値に
より第8図に示すように旋回特性がUS(アンダステア)
側かOS(オーバステア)側かを判別できるのである。
そして、一般的なFF車においては第9図に示すように横
加速度GYの増大に伴い弱US特性から強US特性へとステア
特性が変化する。この特性は駆動力が大きくなるにつれ
て強US特性へ変化するときの横加速度GYの大きさが小さ
くなる傾向を有しているが、γ2/δの値について注目
すると、どの駆動力の大きさであってもその値は横加速
度GYの増大に伴なって増大し極大値をとった後急激に減
少して操縦不能な状態となりかつ極大値は旋回限界の直
前に生じていることがわかる。したがって、この旋回限
界の直前に生じる極大値をとる条件は d(γ2/δ)/dGY=0 …(18) で得ることができる。
ところで、実際の旋回走行においては、前輪fの操舵角
が増大する側にあれば実際の旋回限界は式(18)から求
められる値よりも小さくなり、またエンジンのスロット
ルが踏込み側であればやはり実際の旋回限界は式(18)
から求められる値よりも小さくなる。
このため、ステップS122では、所要のセンサからの検出
信号を基に、 を満足したときに旋回限界を越えていると判定してい
る。この式(19)に従って判定する場合は、ヨーレイト
センサ62の検出値、操舵センサ52の検出値、横加速度セ
ンサ50の検出値及びスロットルセンサ54の検出値に基づ
き判定される。また、式(19)に代えて同式(19)にγ
=GY/Vを代入することにより を採用することも可能である。この式(20)に従って判
定する場合は、操舵センサ52の検出値、横加速度センサ
52の検出値及び車輪速センサ46の検出値に基づき判定さ
れる。この判定で車輪速センサ46の検出値(4輪)の中
で最も小さい値を車速Vとして採用するが、仮に回転数
が最も小さい車輪さえもスリップ状態にあり、その値が
実際のVよりも大きい場合でも、その誤差は安全側に働
くので問題ない。むしろ、現状において高価なヨーレイ
トセンサを用いなくて済む効果が大である。
なお、これら式(19),(20)におけるε1及びε2はそ
の車両の特性によって適宜定められる係数である。また
式(19),(20)の何れにおいても右辺が「0」となっ
ているが車両の特性に応じて適宜設定した数値とするこ
とも可能である。
そして、このステップS122で「NO」と判定すると、前述
のステップS104に進む。これにより、このノーマルモー
ドルーチンにおいては、ステップS104で一度FFモードと
なった後、ステップS118で「NO」(発進の条件を満足せ
ず)、ステップS120で「NO」(スリップ比差が小)であ
り、かつステップS122で「NO」(旋回限界にはない)と
判定されている限り、ステップS100,S110,S112,S114,S1
16,S118,S120,S122,S104,S106,S108の処理が繰り返され
て駆動状態がFFモードに保たれる。
一方ステップS122で「YES」、つまり車両が旋回限界に
あると判定すると、ステップS124に進んで駆動状態が遮
断モードとなる制御信号を出力する。つまり、この場合
コントローラ44は、フロントクラッチ10および、リヤク
ラッチ18の各室10a及び18a内の油圧をゼロにすべく電磁
切換弁36及び38に同切換弁36及び38が室10a及び18aと電
磁制御弁40の下流側とを連通する位置をとる制御信号
を、電磁制御弁40に同制御弁40の下流側の圧力がゼロと
なる制御信号を出力する。これによりフロントクラッチ
10及びリヤクラッチ18は遮断状態になって前輪12,14及
び後輪22,24の両方にエンジン2の駆動力が全く伝わら
ない遮断状態となる。
次いでステップS126でエンジン2の回転数制御が行われ
る。制御内容はフロントクラッチ10(またはリヤクラッ
チ18)のエンジン2側の前輪12,14(または後輪22,24)
側の回転数と同じになるようにエンジン2の制御装置2a
を制御するものである。このため、車輪速センサ46から
求めた車輪速及びシフトセンサ60から求めたシフト位置
に基づき各動力伝達系路のギア比を考慮してエンジン2
の目標回転数を定め、エンジン回転数センサ56から求め
るエンジン回転数をフィードバックして同エンジン回転
数が目標回転数となるように制御する。なお、この実施
例においては制御装置2aとして、第10図に示すように、
通常時のエンジン2の制御を行うメインスロットルバル
ブ2bの他に第2スロットルバルブ2c及び同バルブ2cを駆
動するサーボ装置2dを有するものが採用されており、エ
ンジン2の回転数制御において更にメインスロットルバ
ルブ2bの開度を検出するスロットルセンサ54の検出信号
をも考慮している。
次いでステップS128でブザーまたはランプ等の運転者に
警告を与える警報装置76を作動させる制御信号を出力
し、メモリ内のフラグAに「1」を設定する。このた
め、次にステップS112の判定で「YES」と判定されるた
め、フラグAが「1」である限りステップS100,S110,S1
12,S122,S124,S126,S128,S130の処理が繰り返されて駆
動力が前輪12,14及び後輪22,24の何れにも伝達されない
遮断モードが継続される。これにより、前輪12,14及び
後輪22,24はコーナリングフォースが増大される。
一方、ステップS118で「YES」、つまり上述した発進に
係る条件を満足すると、ステップS132に進んで駆動状態
が直結4WDモードとなるように電磁切換弁36,38に制御信
号を出力する。なお、この制御信号による制御内容は上
述したステップM14の内容と同じである。同様に、ステ
ップS120で「YES」と判定すると、ステップS121の処理
を経てステップS132に進む。なお、ステップS121ではそ
のときの重心Gに作用していた加速度の大きさGc(つま
り、 )をメモリする。
ステップS132で制御信号を出力すると、ステップS134で
フラグCに「1」を設定し、次いでステップS136に進ん
で車両が旋回限界であるか否か判定する。このステップ
S136での判定内容は実質的に上述のステップS122で行う
判定内容と同様に、 または、 に従い、所要センサからの検出信号に基づいて行うもの
である、なお、このステップS136で行う判定は直結4WD
モードにおけるものなので、旋回走行中において前輪の
操舵角が増大する側にあるとき、あるいはエンジンのス
ロットルが踏込み側にあるときの旋回限界に対する影響
が、FFモードにおけるステップS122で行う判定の場合と
比べて小さく、このため式(21),(22)中の係数
ε1,ε2については式(19),(20)中の係数ε1,ε2
よりも適宜小さく設定されている。また勿論、式(2
1),(22)の何れにおいても右辺を車両の特性に応じ
て適宜設定した数値とすることも可能である。
このステップS136で「NO」と判定すると、ステップS138
に進んで縦スリップがあるか否かを判定する。この判定
は車輪速センサ46により検出された車輪速rω及び前後
加速度センサ48により検出された前後加速度GXを基に前
後方向のスリップ率を求め、同スリップ率が設定値(例
えば1.1)以上であるか否かを判定するものである。具
体的には、 (drω/dt)/GX≧1.1 …(23) を満足したときに、縦スリップありと判定する。ステッ
プS138で「NO」と判定すると、ステップS140でフラグB
に「ゼロ」を設定する。次いでステップS142で直結4WD
モードからFFモードへ切換える復帰条件を満足したか否
かを判定する。この判定内容は、今回加速度センサ50に
より検出された前後加速度GX及び横加速度GYから求めた
重心Gに作用する加速度の大きさ(つまり、 )が、ステップS120で「YES」と判定されたとき、つま
り前後輪間のスリップ比差ΔSが設定値以上となってFF
モードから4WDモードへ切換える必要があると判定した
ときに、ステップS121でメモリした重心Gに作用してい
た加速度の大きさGC(つまり、そのときの )よりも小さいときに復帰条件を満足したと判定するも
のである。
ステップS142で「NO」と判定すると、ステップS144に進
んでブレーキセンサ58により検出したブレーキの状態、
つまり図示しないブレーキスイッチがオンであるかを判
定する。このステップS144で「NO」と判定すると、メイ
ンルーチンのステップM4に戻る。
ステップS136で「YES」と判定したときは、ステップS14
6でフラグCを「0」に設定し、ステップS148でメモリG
Cをクリアし、次いでステップS124に進んで駆動状態を
遮断モードとする制御信号を出力する。
ステップS138で「YES」と判定したときは、ステップS15
0に進んで車輪のスリップ率に応じてエンジン2の駆動
出力を制御するトラクション制御を行う制御信号を出力
する。このトラクション制御の方法については周知の種
々の方法が採用可能であるが、この実施例においてはス
テップS126で説明した第10図の第2スロットルバルブ2c
及び同バルブ2cを駆動するサーボ装置2dを備えているの
でエンジン2の出力制御にはこのサーボ装置2dを制御す
ることが好ましい。ステップS150で制御信号を出力する
と、ステップS152でフラグBを「1」に設定し、メイン
ルーチンのステップS4に戻る。なお、このフラグBに関
連して、ステップS114で「YES」と判定すると、ステッ
プS138に進むように構成されている。
ステップS142またはS144で「YES」と判定すると、ステ
ップS154でフラグCに「0」を設定し、ステップS156で
GCをクリアし、メインルーチンのステップM4に戻る。
このように、ノーマルモードルーチンにおいては、ステ
ップS118またはS120で「YES」と判定してステップS132
で4WDモードになった後は、ステップS136,S138,S142,S1
44で「NO」と判定している限り、ステップS116で「YE
S」と判定してステップS132に進むので、駆動状態が4WD
モードに保持される。そして、ステップS132で4WDモー
ドにされている状態で、旋回限界となればステップS136
で「YES」と判定してステップS124で駆動状態が遮断モ
ードとなり、その後操縦性が回復すればステップS122で
「NO」と判定してステップS104でFFモードとなる。また
ステップS138で「YES」と判定すると駆動状態が4WDモー
ドのままステップS150でトラクション制御が行われる。
更に4WDモードからFFモードへの復帰条件を満足する
か、またはブレーキスイッチがオンとなったときは、ス
テップS142またはS144で「YES」と判定して駆動状態がF
Fモードとなる。
次にメインルーチンにおけるステップM20のスポーツモ
ードルーチンについて説明する。このスポーツモードル
ーチンにおいて第3図に示すノーマルモードのフローチ
ャートと同じ内容の処理(ステップ)には、第3図で用
いた符号と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
このスポーツモードルーチンにおいて、第3図のノーマ
ルモードルーチンと比べて異なる点は、ステップS200,S
202,S204及びS208であり、ここでこれらのステップにつ
いて順に説明する。
ステップS200では、モードセレクタ64からの検出信号が
前回スポーツモードであったか否かを判定し、「YES」
であれはステップS110に進み、「NO」であればステップ
S102に進む。ステップS202では、駆動状態がFRモードと
なるように電磁切換弁36,38及び電磁制御弁40に制御信
号を出力する。なお、この制御信号による制御内容は上
述したステップM12の内容と同じである。
ステップS204では、後輪22,24のスリップ比(車輪の路
面に対するスリップ率)と前輪12,14のスリップ比との
差ΔSが設定値(例えば0.05)より大きいか否か判定す
る。このステップS204においては、ステップS120の場合
と同様に、後輪22,24側の車輪速から前輪12,14側の車輪
速を差し引いた差に基づき、旋回時の前後輪間での回転
半径差に相当する分の補正及び車体に作用する横加速度
の増大により低減する該回転半径差の分の補正を行って
いる。このため、詳細には、 に従って演算を行っている。なお、この式(24)中のω
rは後輪rの車輪速、ωfは前輪の車輪速、αf、αr
は夫々上述の式(5),(7)により求める補正係数、
αYは式(9),(10)により求める補正係数である。
そして、ステップS204で「YES」であるとステップS121
へ進んでその時の をメモリし、「NO」であるとステップS206へ進む。ステ
ップS206では、旋回限界であるか否か判定する。この判
定内容について説明する。ノーマルモードルーチンのス
テップS122に関連して、 γ2/δ=GY/L・1/(1+A・R・GY) …(16) を挙げ、更に第9図を参照して説明したが、同様に一般
的なFR車について横加速度GYとγ2/δの関係を求める
と、第12図に示すように横加速度GYの増加に伴い弱US特
性から強OS特性へとステア特性が変化するものである。
γ2/δの値について注目すると、どの駆動力の大きさ
であってもその値は横加速度GYの増大に伴って増大し、
1/Lのラインを横切った後急増して操縦不能な状態とな
ることがわかる。
したがって、この旋回限界の直前に生じる条件は d(γ2/δ)/dGY≧ε3・(1/L) …(25) で得ることができる。ε3はその車両の特性によって適
宜定められる係数である。また更に、実際の旋回走行に
おいては、前輪fの操舵角が増大する側にあれば実際の
旋回限界は式(25)から求められる値よりも小さくな
り、またエンジンのスロットルが踏込み側であればやは
り式(25)から求められる値よりも小さくなる。
このため、ステップS206では、 を満足したときに旋回限界を超えていると判定してい
る。この式(26)に従って判定する場合は、ヨーレイト
センサ62の検出値、操舵センサ52の検出値、横加速度セ
ンサ50の検出値及びスロットルセンサ54の検出値に基づ
き判定される。また、式(26)に代えて同式(26)にγ
=GY/Vを代入することにより を採用することも可能である。この式(27)に従って判
定する場合は、操舵センサ52の検出値、横加速度センサ
52の検出値及び車輪速センサ46の検出値に基づき判定さ
れる。この判定で車輪速センサ46の検出値(4輪)の中
で最も小さい値を車速Vとして採用するが、仮に回転数
が最も小さい車輪さえもスリップ状態にあり、その値が
実際のVよりも大きい場合でも、その誤差は安全側に働
くので問題ない。むしろ、現状において高価なヨーレイ
トセンサを用いなくて済む効果が大である。
なお、式(25)〜(27)におけるε3,4,ε5はその車
両の特性によって適宜定められる係数である。
そして、このステップS206で「YES」であるとステップS
124へ進み、「NO」であるとステップS202へ進む。
なお、ステップS142における復帰条件は、ステップS204
で「YES」と判定してステップS121で求めたGCよりも、 が小さいときに成立するものである。このように、スポ
ーツモードルーチンにおいては、ステップS202で一度FR
モードとなった後、ステップS118で「NO」(発進の条件
を満足せず)、ステップS204で「NO」(スリップ比差が
小)であり、かつステップS206で「NO」(旋回限界には
ない)と判定されている限り、駆動状態がFRモードに保
たれる。またステップS118またはS204で「YES」と判定
してステップS132で4WDモードとなった後は、ステップS
136,S138,S142,S144で「NO」と判定している限り、駆動
状態が4WDモードに保たれる。そして、ステップS132で4
WDモードにされている状態で、旋回限界となればステッ
プS136で「YES」と判定してステップS124で駆動状態が
遮断モードとなり、その後操縦性が回復すればステップ
S206で「NO」と判定してステップS202でFRモードとな
る。またステップS138で「YES」と判定すると駆動状態
が4WDモードのままステップS150でトラクション制御が
行われる。更に4WDモードからFRモードへの復帰条件を
満足するか、またはブレーキスイッチがオンとなったと
きは、ステップS142またはS144で「YES」と判定して駆
動状態がFRモードとなる。
上記のように構成された本実施例によれば、モードセレ
クタ64の操作により、マニュアルモードとして駆動状態
をFFモード、FRモード及び4WDモードの何れかに設定で
きるばかりでなく、オートモードとして、通常走行時は
駆動状態がFFモードになり必要に応じて4WDモードに切
換わるノーマルモードと、通常走行時は駆動状態がFRモ
ードになり必要に応じて4WDモードに切換わるスポーツ
モードとを設定できるので、これらノーマルモードまた
はスポーツモードのいずれかに制御モードを設定してお
くことにより4輪駆動状態が必要でないときは2輪駆動
状態となって燃費が向上すると共に、その2輪駆動状態
は運転者の好みに応じて選択された方の駆動状態が保た
れるという効果を奏する。
また、ノーマルモードにおいては、第3図に示すフロー
チャートに従って説明したように、FFモードで走行中に
旋回限界を検知すると自動的に遮断モードに切換えてタ
イヤ(前輪)のコーナリングフォースを増大させかつ同
時にその状態を運転者に警報することができるので、運
転者は自動車に旋回限界があることを認知できる。そし
て、旋回限界よりも安定側に回復すると、FFモードに復
帰するが、旋回限界を越えていると判定して遮断モード
に切換えているときに同時にフロントクラッチ10の入力
側の回転数と出力側の回転数とを一致させるべくエンジ
ン2の回転数を制御しているので、遮断モードからFFモ
ードに復帰するときにフロントクラッチ10が急激に接続
されてもそのショックの発生を防止できる。特に、旋回
限界の判定を式(19)または式(20)に沿う条件に従い
行っているので、高い精度で旋回限界を検出することが
でき、これにより旋回中に操縦不能という事態に陥るこ
とを防止できる。またFFモードで走行中に車両が発進状
態にあること、あるいは前輪12,14側のスリップ比から
後輪22,24側のスリップ比を差し引いたスリップ比差Δ
Sが設定値以上であること(つまり、駆動輪である前輪
12,14がスリップ状態にあること)を検出すると、自動
的に4WDモードに切換えて駆動力が前輪12,14及び後輪2
2,24の両方を介して路面に伝わるので、発進時のスリッ
プあるいは滑り安い路面でのスリップが防止される。な
お、発進時であっても操舵角が大きければ、4WDモード
へは移行しないので、所謂直結4WDのブレーキング現象
を防止できる。また特にスリップ比差ΔSの判定を式
(11)に沿う条件に従い行っているので、高い精度スリ
ップ比差ΔSを検出して4WDモードへの切換えを適切に
行うことができる。この4WDモードで走行中に、旋回限
界であることを検出すると、やはり自動的に遮断モード
に切換えて操縦安定性を確保でき、また縦スリップ(車
体前後方向のスリップ)を検出すると、自動的にトラク
ション制御を行って滑り安い路面での駆動力をより確実
に得ることができる。そして、4WDモードで走行中に車
体に作用する加速度から、もはや4WDモードで走行する
必要がないと判定すると、自動的にFFモードに復帰する
ことができる。更に4WDモードで走行中にブレーキがオ
ン状態にあると判定すると、やはり自動的にFFモードに
復帰するので、所謂3チャンネル型または4チャンネル
型のアンチスキッドブレーキ装置の作動が阻害されるこ
とを防止できる。
他方、スポーツモードにおいては、第11図に示すフロー
チャートに従って説明したように、FRモードで走行中に
旋回限界を検出すると自動的に遮断モードに切換えてタ
イヤ(後輪)のコーナリングフォースを増大させ操縦安
定性を回復させかつ同時にその状態を運転者に警報する
ことができる。これにより、やはり運転者は自動車が旋
回限界にあることを知ることができる。そして、旋回限
界よりも安定側に回復すると、FRモードに復帰するが、
旋回限界を越えていると判定して遮断モードに切換えて
いるときに同時にリヤクラッチ18の入力側の回転数と出
力側の回転数とを一致させるべくエンジン2の回転数を
制御しているので、遮断モードからFRモードに復帰する
ときにリヤクラッチ18が急激に接続されてもそのショッ
クの発生を防止できる。特に、旋回限界の判定を式(2
6)または式(27)に沿う条件に従い行っているので、
高い精度で旋回限界を検出することができ、これにより
旋回中に操縦不能という事態に陥ることを防止できる。
なお、式(26)また式(27)において係数ε3の値を1
より若干大きく設定することにより、ステアリングホイ
ールの操作に対して車両の旋回応答性に優れた弱オーバ
ステア特性を得ることができる。またFRモードで走行中
に車両が発進状態にあること、あるいは後輪22,24側の
スリップ比から前輪12,14側のスリップ比を差し引いた
スリップ比差ΔSが設定値以上であること(つまり、駆
動輪である後輪22,24がスリップ状態にあること)を検
出すると、自動的に4WDモードに切換えて駆動力が前輪1
2,14及び後輪22,24の両方を介して路面に伝わるので、
発進時のスリップあるいは滑り易い路面でのスリップが
防止される。なお、発進時であっても操舵角が大きけれ
ば、4WDモードへは移行しないので、所謂直結4WDのブレ
ーキング現象を防止できる。また、特にスリップ比差Δ
Sの判定を式(24)に沿う条件に従い行っているので、
高い精度でスリップ比差ΔSを検出して4WDへの切換え
を適切に行うことができる。なお、このFRモードにおけ
るスリップ比差ΔSに関する設定値(具体例として、0.
05)は、ノーマルモードにおける設定値(具体例とし
て、0.03)よりも大きく設定されているが、これはやは
りFRモードで走行してるときはやや大きめのスリップ比
差ΔSでもってFRモードのまま走行できるようにしてス
テアリングホイールの操作に対して車両の旋回応答性に
優れた弱オーバテア特性領域まで運転可能とするためで
ある。またこのスポーツモードにおいても、上述したノ
ーマルモードの場合と同様に、4WDモードで走行中に、
旋回限界であることを検出すると、やはり自動的に遮断
モードに切換えて操縦安定性を確保でき、また縦スリッ
プを検出すると、自動的にトラクション制御を行って滑
り易い路面での駆動力をより確実に得ることができる。
そして、4WDモードで走行中に車体に作用する加速度か
ら、もはや4WDモードで走行する必要がないと判定する
と、あるいはブレーキがオン状態にあると判定すると、
やはり自動的にFRモードに復帰する。
なお、上記実施例において、ノーマルモードルーチン及
びスポールモードルーチンの何れにおいてもステップS1
44の判定内容がブレーキスイッチがオンであるか否かを
検出するブレーキセンサ58の検出信号を用いたものであ
るが、その代わりにアンチスキッドブレーキ装置がアン
チスキッドのために作動したか否かをブレーキセンサ58
により検出させ、その検出信号に基づきアンチスキッド
ブレーキ装置がアンチスキッドのために作動したと判定
すると、4WDモードからFFモードまたはFRモードに切換
えるように構成することも可能である。
次に上記実施例の変形例を説明する。
第13図及び第14図は、上記実施例における第11図に示し
たスポーツモードルーチンの変形例である。この変形例
において第11図に示すスポーツモードルーチンのフロー
チャートと比べて異なる点は、第11図のステップS132の
代わりに、4WD制御ルーチンであるステップN2を採用し
たものである。
ステップN2の4WD制御ルーチンを第14図に示すフローチ
ャートに従って説明する。先ず、ステップS300でリヤク
ラッチ18が直結状態となるように制御信号を出力する。
つまり、この場合リヤクラッチ18の室18a内の油圧を最
大にすべく、電磁切換弁38に同切換弁38が室18aと油圧
ポンプ30とを直接連通する位置をとる制御信号を出力す
る。次いでステップS302で初回制御済か否かを判定す
る。この初回制御とはステップS302で「NO」であったと
きに進むステップS304で行われるものであり、それ故ス
テップS116,S118,S204の何れかで「YES」と判定して最
初にステップS302で判定するときは「NO」となる。ステ
ップS304で行われる初回制御の内容は、フロントクラッ
チ10の室10a内の油圧を設定油圧PSに制御するものであ
り、詳しくは電磁切換弁36に同切換弁36が室10aと電磁
制御弁40の下流側とを連通する位置をとる制御信号を、
電磁制御弁40に同制御弁40の下流側の油圧が設定油圧PS
となる制御信号を出力する。次いでステップS306で式
(24)で求めたスリップ比差ΔSが設定値S1(例えば0.
04)より小さいか判定する。ステップS306で「YES」、
つまりスリップ比差ΔSが設定値S1よりも小さいと判定
すると、ステップS308に進んでフロントクラッチ10の室
10a内の油圧をΔP0だけ減少すべく電磁制御弁40に制御
信号を出力する。ステップS306で「NO」、つまり、スリ
ップ比差ΔSが設定値S1以上であると判定すると、ステ
ップS310に進んでスリップ比差ΔSが設定値S2(例え
ば、0.06)よりも大きいか判定する。ステップS310で
「YES」、つまりスリップ比差ΔSが設定値S2よりも大
きいと判定すると、ステップS312に進んでフロントクラ
ッチ10の室10a内の油圧をΔP0だけ増圧すべく電磁制御
弁40に制御信号を出力する。ステップS310で「NO」、つ
まりスリップ比差ΔSが設定値S2以下であると判定する
と、ステップS314に進んでスリップ比差ΔSを時間で微
分した値dΔS/dtがゼロ以上であるか判定する。ステッ
プS314で「YES」、つまりスリップ比差ΔSが変わらな
いもしくは増大する傾向にあると判定すると、ステップ
S316に進んでフロントクラッチ10の室10a内の油圧をΔP
1だけ増圧すべく電磁制御弁40に制御信号を出力する。
ステップS314で「NO」、つまりスリップ比差ΔSが減少
する傾向にあると判定すると、ステップS318に進んでフ
ロントクラッチ10の室10a内の油圧をΔP1だけ減圧すべ
く電磁制御弁40に制御信号を出力する。そして、ステッ
プS308,S312,S316またはS318の何れかを終えると、第13
図のフローチャートのステップS134に進むものである。
なお、スリップ比差ΔSに関する判定を行うステップS3
06及びS308において設定値S1を0.04、設定値S2を0.06に
設定しているが、これは最終的にスリップ比差ΔSを目
標値(0.05)に保った状態の4WDモード、つまり前輪12,
14側よりも後輪22,24側のトルクを常にその目標値に応
じた設定比だけ大きく保った状態の4WDモードを得るた
めである。またステップS314でスリップ比差ΔSの微分
値dΔS/dtを判定しその結果に基づきフロントクラッチ
10の室10a内の油圧を制御しているが、これはステップS
306,S310の判定に基づくステップS308,S312による圧力
制御のみでは室10a内の圧力が大きくハンチングを起こ
す惧れがあるからである。それ故、この変形例ではステ
ップS316,S318のΔP1はステップS308,S312のΔP0よりも
小さな値に設定されている。
なお、ステップS314でdΔS/dt≧0でるか判定し「YE
S」であればステップS316へ、「NO」であればステップS
318へ進むように構成されているが、同ステップS314とS
316との間にdΔS/dt=0であるかを判定するステップ
を設け、そのステップで「YES」と判定したときにリタ
ーンへ進むように構成することも可能である。
したがって、この第13図及び第14図に示す変形例によれ
ば、ステップS118またはS204で「YES」と判定して4WDモ
ードに切換わった場合、常に後輪22,24側のトルクが前
輪12,14側のトルクよりも設定比だけ大きい状態で駆動
力が伝わるので、加速性能が向上すると共に、ステア特
性もニュートラル特性に近づき、滑り易い路面での操縦
性を向上できる。
また上記実施例及び変形例においてFF時または4WD時に
おけるステップS122,S136による旋回限界の判定は夫々
式(19)または(20)、式(21)または(22)に従って
US側の旋回限界のみを対象とし、FR時におけるステップ
S206による旋回限界の判定は式(26)または(27)に従
ってOS側の旋回限界のみを対象としているが、好ましく
はステップS122,S136の判定において更に式(26)また
は(27)をも判定条件として組み入れ、またステップS2
06の判定において式(19)または(20)、もしくは式
(21)または(22)をも判定条件として組み入れること
により、これらのステップS122,S136またはS206におい
てUS側の旋回限界及びOS側の旋回限界の両方を常に判定
することができる。
第15図は、上記実施例における第2図に示したメインル
ーチンの変形例である。この変形例において第2図に示
すフローチャートと比べて異なる点は、第2図のステッ
プM18の後にステップM22を、ステップM20の後にステッ
プM24を追加したことにある。
このステップM22は、ステップM18のノーマルモードルー
チンにおいてフラグA,B,Cの何れかに「1」が設定され
たか判定する。ステップM22で「YES」であるとステップ
M18、つまりノーマルモードルーチンのステップS100に
進み、「NO」であるとリターン、つまりステップM4に戻
る。
またステップM24は、同様に、ステップM20のスポーツモ
ードルーチンにおいてフラグA,B,Cの何れかに「1」が
設定されたかを判定する。ステップM24で「YES」である
とステップM20、つまりスポーツモードルーチンのステ
ップS100に進み、「NO」であるとリターン、つまりステ
ップM4に戻る。
したがって、ステップM18のノーマルモードルーチンに
おいて、フラグA,B,Cの何れかに「1」が設定されてい
る限り、ノーマルモードルーチンの処理が継続される。
つまり、フラグAが「1」であればノーマルモードルー
チンのステップS122で「NO」と判定されるまで遮断モー
ドが継続され、フラグBが「1」であればステップS138
で「NO」と判定されるまでトラクション制御が継続さ
れ、フラグCが「1」であればステップS142またはS144
で「NO」と判定されるまで4WDモードが継続される。
またステップM20のスポーツモードルーチンにおいて
も、フラグA,B,Cの何れかに「1」が設定されている限
り、スポーツモードルーチンの処理が継続される。つま
りフラグAが「1」であればスポーツモードルーチンの
ステップS206で「NO」と判定されるまで遮断モードが継
続され、フラグBが「1」であればステップS138で「N
O」と判定されるまでトラクション制御が継続され、フ
ラグCが「1」であればステップS142またはS144で「N
O」と判定されるまで4WD制御ルーチンの処理が継続され
る。
これにより、ノーマルモードまたはスポーツモードが選
択された状態において、操縦性を回復するために遮断モ
ードが実行されているとき、駆動力の路面への伝達を向
上するために4WDモードあるいは4WD制御ルーチンに基づ
くモード更にはトラクション制御が実行されているとき
には、操縦性が回復する状態になるまで、または駆動力
が路面に確実に伝達される状態になるまで、その制御モ
ードが実行されるので、たとえその間にモードセレクタ
64により他のモードが選択されてもその信号が無視され
ることになる。
したがって、この変形例によれば、例えば操縦性を回復
するために遮断モードが実行されているときに誤って乗
員がマニュアルモードの何れかを選択して再び操縦不能
という事態になってしまったり、滑り易い路面で駆動力
の路面への伝達を向上するために4WDモードあるいは4WD
制御ルーチンに基づくモード更にはトラクション制御が
実行されているときに誤って乗員がマニュアルモードの
何れかを選択して再び駆動力の路面への伝達が低下する
という事態になってしまうことを避けることができる。
なお、上記実施例はいずれも自動車の旋回限界を検出し
たときに、警報を発すると共に駆動力を遮断するように
構成されているが、本考案は、駆動力を自動的に遮断す
るような装置を備えていない自動車に採用しても、運転
者に自動車の旋回限界を警報装置によって知らしめるこ
とにより、運転者はアクセルペダルを緩めて駆動力を低
減したり、ステアリングホイールを若干戻す等の操作を
行うことができるものである。
〔考案の効果〕
以上述べたように、本考案によれば、自動車の旋回限界
を検出すると、警報装置が警報を発して運転者に旋回限
界を知らしめることができるので、今まで運転者の体感
や経験でしか認識できなかった旋回限界を、運転者が客
観的に認識でき、車体姿勢の立て直し等の処置を安全に
行うことができるという実用上、極めて有用な効果を発
揮することができる。
また、横加速度の増加に対するヨーレイトの変化率が急
変した時に旋回限界であることを検出しているので、高
い精度で旋回限界を検出することができ、旋回限界時に
正確に警報を発して運転者に旋回限界を正確に知らせる
ことができる。これにより運転者が車体姿勢の立て直し
等の処置を安全に行うことができ、車両が旋回限界を越
えることによる操縦不能を未然に防止できるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の一実施例を示すシステム全体説明図、
第2図は第1図の実施例の制御を示すフローチヤート、
第3図は第2図のノーマルモードルーチンを示すフロー
チヤート、第4図は第3図のフローチヤートにおけるス
リップ比差の判定に係る説明のための説明図、第5図は
前輪操舵角δとアッカマン補正係数αf,αrの関係を示
す特性図、第6図は横加速度GYと補正係数αYの関係を
示す特性図、第7図は第3図のフローチヤートにおける
旋回限界の判定に係る説明のための説明図、第8図は同
旋回限界の判定に係るγ2/δとGYの関係を示す説明
図、第9図は一般的なFF車における特性図、第10図は第
1図の制御装置2aの詳細を示す説明図、第11図は第2図
のスポーツモードルーチンを示すフローチヤート、第12
図は一般的なFR車における特性図、第13図は第11図のフ
ローチヤート(スポーツモードルーチン)の変形例を示
すフローチヤート、第14図は第13図の4WD制御ルーチン
を示すフローチャート、第15図は第2図のフローチヤー
ト(メインルーチン)の変形例を示すフローチヤートで
ある。 44……コントローラ、76……警報装置

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検
    出手段と、車両の横加速度を検出する横加速度検出手段
    と、上記横加速度の増加に対する上記ヨーレイトの変化
    率が急変した時に旋回限界であることを検出する旋回限
    界検出手段と、乗員に警報を発する警報手段と、上記旋
    回限界検出手段により自動車の旋回限界を検出したとき
    に上記警報手段に警報を発せさせるべく制御信号を出力
    する制御手段とを備えたことを特徴とする自動車の安全
    装置。
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