JPH0745706B2 - 窒化チタン薄膜の形成方法 - Google Patents

窒化チタン薄膜の形成方法

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JPH0745706B2
JPH0745706B2 JP63142870A JP14287088A JPH0745706B2 JP H0745706 B2 JPH0745706 B2 JP H0745706B2 JP 63142870 A JP63142870 A JP 63142870A JP 14287088 A JP14287088 A JP 14287088A JP H0745706 B2 JPH0745706 B2 JP H0745706B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は金属産業や機械、装置産業などで使用する工具
や各種装置に用いられる金属材料や有機材料などの表面
にイオンビームを利用して薄膜を形成し、表面性能(硬
度、耐摩耗性、耐熱性、耐食性など)を改善する方法に
関するものである。
〔従来の技術〕
従来のイオンビームを利用したイオンミキシング法によ
って化合物薄膜を形成する装置の一例を第5図を参照し
て説明する。第5図において(1)は成膜室、(2)は
基板、(3)は金属蒸発源(例えば電子ビーム加熱によ
る)、(4)は蒸発した金属ビーム、(5)はイオンビ
ーム源、(6)は加速された高エネルギーのイオンビー
ム、(7)は基板加熱用のヒーターを備えた基板ホルダ
ー、(8)は真空ポンプ、(9)は蒸発する金属であ
る。
上記の装置において、高真空に排気された成膜室(1)
中で、(3)の金属蒸発源から蒸発した金属ビーム
(4)、例えばチタン(Ti)のビームと、(5)のイオ
ンビーム源から発生したエネルギー数10keV〜数100keV
の例えば窒素イオンビーム(▲N+ 2▼および/又はN+
(6)とを、鋼などで作製された基板(2)上に同時に
照射することによって基板(2)上に窒化チタン(Ti
N)の薄膜を形成するというのが従来のイオンミキシン
グ法である。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の方法では、化合物(上記の例ではTiN)の1つの
成分(例:Ti)を蒸発金属ビーム(4)より、他の成分
(例:N)をイオンビーム(▲N+ 2▼および/又はN+
(6)より供給して化合物膜を形成するが、一般に基板
に対するイオンビームの入射頻度は金属ビームの入射頻
度より小さいため、化合物膜の形成速度はイオンビーム
の入射頻度によって定まり、化合物膜の高速成膜が困難
であった。又、イオンビームの入射頻度を上げるには多
大な電流密度を要するので高価のものとなり、経済的な
面でも問題があった。更には、形成される化合物膜、例
えば窒化チタン膜の硬度が一定しないという問題があっ
た。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、低電流密度の窒素
イオンビームを使用し、イオンミキシング法によって、
高い成膜速度で窒化チタン薄膜を形成させる方法、更に
は硬度の高い窒化チタン薄膜を形成させる方法を提供す
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
以上の目的は、イオンミキシング法によって基板上に窒
化チタン薄膜を形成させるのに際し、窒素ガスの雰囲気
中で、前記基板上にチタンを蒸着し、同時に窒素イオン
ビームを照射して、形成される窒化チタン薄膜のX線回
折強度比(111)/(200)≒0.75となるように、導入す
る前記窒素ガスの流速、及び照射する前記窒素イオンビ
ームの電流密度を調節することを特徴とする窒化チタン
薄膜の形成方法、によって達成される。
〔作 用〕
本発明によれば、基板上に蒸着したチタンは雰囲気の窒
素ガス(N2)を強固に化学(解離)吸着する。この状態
で拘束の窒素イオンビーム(▲N+ 2▼および/又はN+
を照射すると、チタン表面に吸着した窒素原子(N)の
一部はスパッタされて表面から離脱し、雰囲気中に放出
されるが、残りのNはイオンビームによるミキシング効
果(カスケード、ミキシング、増速拡散など)により膜
中に取り込まれ、窒化チタン(TiN)薄膜を形成する。
即ち、窒化チタンのN成分がイオンビーム以外に雰囲気
の窒素ガスからも供給されることになり、低電流密度の
窒素イオンビームを使用し、化合物膜の形成を高速で行
なうことができる。
又、従来の反応性蒸着のみ(例えば窒素ガス雰囲気中で
チタンを蒸発させる方法)によって得られる膜に較べ、
イオンビームを照射することによって膜構造が変化し、
膜特性を大きく変化させることができる。すなわち、導
入する窒素ガスの流速、及び照射する窒素イオンビーム
の電流密度を調節することにより、硬度の高い窒化チタ
ン薄膜を得ることができる。
〔実施例〕
本発明を実施するための第1図の装置を参照しながら実
施例について説明する。
真空ポンプ(22)により高真空(10-5Pa)に排気された
成膜室(11)中に、マスフローコントローラー(18)で
流速を7SCCM(standard cubic centimeterper minute)
に調整した窒素ガス(N2)(20)をノズル(19)より導
入し、圧力調整バルブ(21)の開度を調整して反応室内
の真空度を1.7×10-3Paに保った。基板ホルダー(13)
の加熱ヒーターによってシリコンウェハー製の基板(1
2)を加熱して、200℃に保った。この状態で、電子ビー
ムで金属蒸発源(14)のチタン(23)を加熱してチタン
の中性ビーム(15)を蒸発させ基板(12)に照射した。
チタンの蒸着速度は10Å/secである。それと同時にイオ
ン加速器(16)から窒素イオンビーム(▲N+ 2▼および
/又はN+)(17)を発生させて基板(12)上に照射し
た。窒素イオンビーム(17)のエネルギーは40keV、電
流密度は5μA/cm2であった。
以上の操作を、基板(12)上に形成される膜の厚さが1.
5μmになるまで続けた。得られた膜は緻密化した微結
晶の窒化チタン(TiN)で、X線回折の結果、結晶面(1
11)と(200)との強度比は(111)/(200)=0.75の
無配向のものに近かった。この膜の硬度を測定したとこ
ろ、ビッカース硬度で2300Kgf/mm2という硬いものであ
った。
本発明の実施には、上記の実施例に示された条件だけで
なく種々の条件を用いることができる。第2図に、窒素
イオンビームの電流密度の変化にともなって、生成した
窒化チタン(TiN)膜の結晶構造が変化する様子を示し
た。結晶構造の変化のめやすとして結晶面のX線回折強
度比(111)/(200)をとっている。膜形成の条件は、
基板の温度:200℃、窒素イオンビームのエネルギー:40k
eV、チタン蒸着速度:10Å/secで窒素ガスの流速は7SCCM
と10SCCMの2点である。この時の成膜室(11)内の圧力
はそれぞれ1.7×10-3Paおよび2.6×10-3Paであった。第
2図において、窒素イオンビームの電流密度が0の時は
反応性蒸着(窒素ガス雰囲気中でチタンを蒸発させる方
法)に相当するが、その場合に較べて窒素イオンビーム
の電流密度が上がるにつれ、結晶構造がどんどん変化し
ていくのがわかる。TiN膜の結晶構造の変化と、硬さ
(ビッカース硬度)の変化の関係を示したのが第3図で
ある。基板(12)の温度は40℃と200℃の2種類につい
て実験されているが、いずれの場合も(111)/(200)
=0.75の無配向の結晶構造に近い場合に膜の硬度も高く
なっており、ビッカース硬度2000Kgf/mm2以上の硬い、T
iN膜が得られた。なお、膜構造の変化は走査電子顕微鏡
による膜断面構造の観察によってもわかる。
又、窒素イオンビームの照射にともなって、TiN膜が緻
密化していくことも観察された。
次に窒素ガス流速と窒素イオンビームの電流密度との条
件を変えながら得られたTiN膜の硬度を測定した結果を
第4図に示す。チタンの蒸着速度は10Å/sec、窒素イオ
ンビームのエネルギーは40keVである。基板の温度によ
って実験結果に幅があるが、いずれにしても窒素ガスを
流すことによって得られる化合物膜の硬度が高くなるこ
とが明らかである。
第2図に示したように、この実験でチタンの蒸着速度10
Å/secを得るために用いた窒素イオンビームの電流密度
は30μA/cm2以下であった。従来のイオンミキシング法
に関する文献(M.Kiuchi,et.al.,Japanese Journal of
Applied Physics vol.26,No.6,(1987),pp.L938〜L94
0)によれば、チタンの蒸着速度6.8〜7.8Å/secを得る
ために用いた窒素イオンビームの電流密度は100〜300μ
A/cm2である。本発明による方法によれば、上記文献の
約1/10という少量のイオンビーム硬度の高い窒化チタン
(TiN)膜が得られていることがわかる。
従って本発明の方法によれば、同量のイオンビームを使
用した場合、従来のイオンミキシング法の場合より5倍
以上の高速成膜が可能になる。かつ、この時に導入する
窒素ガスの流速と照射する窒素イオンビームの電流密度
とを調節して、形成される窒化チタン薄膜のX線回折強
度比(111)/(200)≒0.75とすることにより、ビッカ
ース硬度2000Kgf/mm2以上の窒化チタン薄膜を得ること
ができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、勿論、本発
明はこれらに限定されることなく本発明の技術的思想に
基づき種々の変形が可能である。
例えば、上記実施例では窒素ガス、窒素イオンビーム、
チタン中性ビームを用いて窒化チタン化合物膜を形成し
た例を示したが、これらの組合せは他にも色々なものが
考えられる。この場合重要なことは、雰囲気ガスとして
用いた反応ガスが金属膜に強固に化学(解離)吸着する
必要があることである。多くの高融点金属(Ti、Ta、M
o、Nb、Zr、Vなど)は、N2、NH3、C2H2、O2などのガス
を化学(解離)吸着するので、これらのガス雰囲気中
で、これらの高融点金属を蒸着させ、同時に▲N+ 2
(および又はN+)、C+、O2(および又はO+)などのイオ
ンビームを照射することにより、これらの窒化物、炭化
物、酸化物あるいはこれらの複数から成る化合物、すな
わち複合化合物を高速で形成することが可能である。な
お反応ガスは金属膜に強固に化学(解離)吸着するもの
であれば、N、C、又はOを分離する他のガスであって
もよい。
〔発明の効果〕
本発明は以上に述べたような構成となっているので、以
下のような効果を発揮する。
すなわち、本発明は窒素ガス雰囲気中で、チタンを蒸着
し、同時に窒素イオンビームを照射して基板上に窒化チ
タン薄膜を形成させる方法であって、窒素ガスが基板上
の蒸着チタン膜に強固に化学(解離)吸着し、その状態
で同時に照射された窒素イオンビームによるイオンミキ
シング作用によって、吸着された窒素原子も膜中に取り
込まれ、窒化チタンが形成される。従って、本発明によ
れば、窒化チタンの窒素成分が照射された窒素イオンビ
ームからだけでなく、雰囲気ガスとしての窒素ガスから
も供給されるために、イオンビームの電流密度を低下さ
せることができ、低コストで、かつ高い成膜速度で窒化
チタン薄膜を形成させ得る。更にはこの時、形成される
窒化チタン薄膜のX線回折強度比(111)/(200)≒0.
75となるように、導入する窒素ガスの流速と照射する窒
素イオンビームの電流密度を調節して、ビッカース硬度
2000Kgf/mm2以上の窒化チタン薄膜を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す概略断面図、第2図は
本発明によって得られた窒化チタン膜の結晶構造と、窒
素イオンビームの電流密度との関係を示す図、第3図は
得られた窒化チタン膜の結晶構造とその硬度との関係を
示す図、第4図は窒素ガス流速、窒素イオンビームの電
流密度と、得られた窒化チタン膜の硬度との関係を示す
図、第5図は従来のイオンミキシング法に用いられる装
置の一例を示す概略断面図である。 なお、図において (12)……基板 (15)……チタン中性ビーム (17)……窒素イオンビーム (20)……窒素ガス

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオンミキシング法によって基板上に窒化
    チタン薄膜を形成させるに際し、窒素ガスの雰囲気中
    で、前記基板上にチタンを蒸着し、同時に窒素イオンビ
    ームを照射して、形成される窒化チタン薄膜のX線回折
    強度比(111)/(200)≒0.75となるように、導入する
    前記窒素ガスの流速、及び照射する前記窒素イオンビー
    ムの電流密度を調節することを特徴とする窒化チタン薄
    膜の形成方法。
  2. 【請求項2】形成される窒化チタン薄膜のビッカース硬
    度が2000Kgf/mm2以上である請求項(1)に記載の窒化
    チタン薄膜の形成方法。
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