JPH0753577B2 - 金超微粒子固定化チタン系酸化物の製造法 - Google Patents

金超微粒子固定化チタン系酸化物の製造法

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JPH0753577B2
JPH0753577B2 JP4309705A JP30970592A JPH0753577B2 JP H0753577 B2 JPH0753577 B2 JP H0753577B2 JP 4309705 A JP4309705 A JP 4309705A JP 30970592 A JP30970592 A JP 30970592A JP H0753577 B2 JPH0753577 B2 JP H0753577B2
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metal oxide
oxide
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正毅 春田
哲彦 小林
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Description

【発明の詳細な説明】本発明は、金超微粒子固定化チタ
ン系酸化物の製造法に関する。
【0001】本発明方法により得られる金超微粒子固定
化チタン系酸化物は、酸化触媒、還元触媒、可燃性ガス
センサ素子、電極用触媒などとして有用である。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】粒径0.1μm程度以下
の金超微粒子は、通常の粗大粒子とは異なった特異な物
理的、化学的性質を示すことが知られている(「超微粒
子」アグネ出版センター刊、1986)。
【0003】しかしながら、超微粒子は、表面エネルギ
ーが大きく、非常に凝固しやすいために、取扱いが困難
である。特に金は、Pt、Pd等の他の貴金属に比べて
融点が低く(金:1063℃、白金:1769℃、パラ
ジウム1550℃)、かつ金属同志の結合が強いため
に、超微粒子が凝集しやすく、超微粒子としての特徴を
充分に引き出すことが困難であった。
【0004】このため、金超微粒子を均一に分散した状
態で担体に担持乃至固定化する方法の開発が要望されて
おり、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅
などの水溶性化合物と金化合物とを含む混合水溶液を用
いて共沈法により、金属酸化物中に金化合物が分散した
複合材料を得る方法が報告されている(特開昭60−2
38148号公報)。しかしながら、このような方法で
は、チタンを主成分とする酸化物を担体とする複合材料
であって、触媒特性に優れたものは得られていない。ま
た、この方法では、チタンを主成分とする酸化物の成形
体や酸化チタンを担持した成形体に対しては、金超微粒
子を固定することができないので、使用形態が限定され
るという欠点があり、さらに金の使用量が多くなるとい
う欠点もある。
【0005】また、金を含有する水溶液に、担体を浸漬
し、尿素および/またはアセトアミドを用いて、担体上
に金超微粒子を析出させる方法もある(特願昭60−1
92775号)。しかしながら、この方法では、金の析
出の条件を精密に制御することが不可欠であり、また、
担持させるために数時間という長い時間を要するという
欠点がある。さらに、金の水溶液から金成分の一部を沈
殿析出させることができるだけなので、金の利用率が低
く、製造コストが高くなるという欠点もある。さらにま
た、得られる金の析出物が不均一で粗大なかたまりとな
り易く、金析出物の粒径制御が困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、チ
タンを主成分とする酸化物からなる担体上に金微粒子を
均一且つ強固に固定した複合材料を簡単な方法で効率よ
く得る方法を提供することを主な目的とする。
【0007】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記の如
き従来技術の問題点に鑑みて、チタンを主成分とする金
属酸化物からなる担体上に金超微粒子を均一かつ強固に
固定化した複合材料を簡単な方法で効率よく調製すべ
く、鋭意研究を重ねてきた。そして、金錯体イオンのア
ルカリ性水溶液中における沈殿生成・溶解反応、金属酸
化物などの表面への吸着挙動などに注目して、さらに研
究を進めた結果、水溶液のpH値と金水溶性塩やその他
の添加物の添加方法を特定の条件に調整する場合には、
チタンを主成分とする金属酸化物の表面に、金の水酸化
物又は金の超微粒子を均一に、しかも高効率で析出させ
ることができることを見出した。さらに、金の水酸化物
が析出した場合には、これを加熱することによって、金
超微粒子をチタンを主成分とする金属酸化物上に均一か
つ強固に固定担持することが可能となることを見出し
た。さらにまた、得られた金超微粒子固定化チタン系酸
化物は、酸化触媒、還元触媒、可燃性ガスセンサ素子、
電極用触媒などの用途に極めて有用であることを見出し
た。
【0008】即ち、本発明は、以下に示す金超微粒子固
定化チタン系酸化物の製造法を提供するものである; 1.チタンを主成分とする金属酸化物を含有するpH7
〜11の液に、上記pH範囲を維持しつつ金化合物水溶
液を滴下した後、該金属酸化物を100〜800℃に加
熱することを特徴とする金超微粒子固定化チタン系酸化
物の製造方法。 2.金化合物を溶解し且つチタンを主成分とする金属酸
化物を含有するpH7〜11の液に、上記pH範囲を維
持しつつ還元剤を滴下して金属酸化物表面に金超微粒子
を析出させることを特徴とする金超微粒子固定化チタン
系酸化物の製造方法。 3.金化合物を溶解し且つチタンを主成分とする金属酸
化物を含有するpH11以上の液に、二酸化炭素ガスを
吹き込むか、または酸性水溶液を滴下して、pH7〜1
1とした後、該金属酸化物を100〜800℃に加熱す
ることを特徴とする金超微粒子固定化チタン系酸化物の
製造方法。
【0009】本発明による金超微粒子固定化チタン系酸
化物は、以下に挙げる方法で得ることができる。 (I)第1方法:まず、担体としてのチタンを主成分と
する金属酸化物を含有する液のpHを7〜11、好まし
くは7.5〜10とし、攪拌下にこの水溶液に金化合物
の水溶液を滴下して、チタンを主成分とする金属酸化物
上に金水酸化物を付着させる。次いで、この金水酸化物
を付着するチタン系金属酸化物を100〜800℃に加
熱することにより、チタン系酸化物表面に金超微粒子を
析出させて固定化する。
【0010】この方法では、チタンを主成分とする金属
酸化物としては、TiO2 だけではなく、例えば、Fe
TiO3 、CaTiO3 、SrTiO3 などのチタン含
有複合酸化物を用いることができる。なお、本発明にお
ける「チタンを主成分とする酸化物」には、加熱によっ
てチタン酸化物乃至チタン含有金属酸化物を形成しうる
炭酸塩、水酸化物などのいわゆる「金属酸化物の前駆
体」も含むものとする。
【0011】チタン酸化物乃至チタン含有金属酸化物
(本明細書においては、この両者を単にチタン系酸化物
ということがある)の形状は、特に限定はされず、粉体
状で用いる以外に、各種の形状に成形して用いることも
できる。また、アルミナ、シリカ、マグネシア、コージ
ェライト等のセラミックスや各種の金属製の発泡体、ハ
ニカム、ペレットなどの支持体上にチタン系酸化物を固
定した状態で用いることもできる。
【0012】チタン系金属酸化物の水中への添加量は、
特に限定はなく、例えば粉体状の酸化物を用いる場合に
は、それを水中に均一に分散乃至縣濁できるような量で
あればよく、通常10〜200g/l程度が適当であ
る。また、チタン系金属酸化物を成形体として用いる場
合には、成形体の形状に応じて、その表面に水溶液が充
分に接触できる状態であれば、酸化物担体の量は特に限
定されない。
【0013】水溶液の形態で使用する金化合物として
は、塩化金酸(HAuCl4 )、塩化金酸ナトリウム
(NaAuCl4 )、シアン化金(AuCN)、シアン
化金カリウム{K〔Au(CN)2 〕}、三塩化ジエチ
ルアミン金酸〔(C2 H5 )2 NH・AuCl3 〕など
の水溶性金塩を用いることができる。滴下に用いる金化
合物水溶液の濃度は、特に限定されないが、通常0.1
〜0.001mol/l程度が適当である。
【0014】金属酸化物を含む液を所定のpH範囲に調
整するためには、通常、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリ
ウム、炭酸カリウム、アンモニアなどのアルカリ化合物
を用いればよい。
【0015】金化合物の水溶液は、急激な反応によって
金の水酸化物の大きな沈殿が生じないように、攪拌下に
徐々に滴下することが必要であり、通常滴下量に応じて
滴下時間を3〜60分程度の範囲内とし、且つ水酸化物
の大きな沈殿が生じないように適宜滴下速度を調節すれ
ばよい。
【0016】滴下時のチタン系酸化物含有液の液温は、
20〜80℃程度が適当である。
【0017】金化合物の水溶液の滴下量は、チタン系金
属酸化物上に担持させる金超粒子の量によって決定され
る。担持量の上限は、使用するチタン系金属酸化物の種
類やその形状、比表面積などによって異なるが、通常
0.1〜10重量%程度まで担持させることができる。
【0018】第1方法では、金化合物水溶液を徐々に滴
下するので、滴下時に、金の水酸化物が液相で生成して
も、すぐに再溶解し、この再溶解した金化合物がチタン
系金属酸化物表面に吸着されて、チタン系金属酸化物を
核として、その表面に金が水酸化物として付着する。こ
のため、滴下した金化合物が水溶液中に沈殿析出するこ
とはない。
【0019】金化合物水溶液を滴下した分散乃至縣濁液
中では、通常、金は負の電荷を有する錯イオンとして存
在する。このためチタン系金属酸化物への金の付着効率
を上げるためには、分散乃至縣濁液のpHをチタン系金
属酸化物担体の等電位点よりも低い値、即ち酸性側とし
て、チタン系金属酸化物の表面が正の電荷を有するよう
に調整することが好ましい。また、等電位点よりもアル
カリ性側のpHとする場合にも、できるだけ等電位点に
近いpH値とすることが適当であり、好ましくは、等電
位点のpH値よりも0.5程度高いpH値以下で用い
る。
【0020】金化合物は、通常pH7〜11程度の状態
で水酸化物としてチタン系金属酸化物に付着しやすい
が、付着する際に、酸性イオンを放出して、混合反応液
のpHを下げる傾向にある。例えば、金化合物として、
HAuCl4 を用いる場合には、Cl- イオンを放出し
て液のpHが低下する。このため、均一な金超微粒子の
析出物を得るためには、適宜アルカリ水溶液を滴下し
て、混合反応液のpHの変動を抑制することが好まし
い。特に、pH7〜8程度の低pHで反応を行う場合に
は、pHが7以下とならないように金化合物水溶液とア
ルカリ水溶液とを同時に滴下することが好ましい。
【0021】金の水酸化物が付着したチタン系金属酸化
物を100〜800℃に加熱することによって、付着し
た金の水酸化物が分解されて、チタン系金属酸化物上に
金が均一に超微粒子として析出し、強度に固定される。
加熱時間は通常1〜24時間程度とすればよい。(II)
第2方法:金化合物を溶解しており、pH7〜11(好
ましくはpH7.5〜10)であって、チタン系金属酸
化物を含有する水溶液に、還元剤の水溶液を攪拌下に滴
下し、チタン系金属酸化物表面に金を還元析出させて、
金の超微粒子を固定化する。
【0022】金化合物、チタン系金属酸化物及びpH調
整用のアルカリ性化合物は、上記第1方法と同様のもの
が使用できる。チタン系金属酸化物の添加量も、上記第
1方法と同様でよい。本第2方法では、液中の金化合物
の濃度は、1×10-2〜1×10-5mol/l程度とす
ることが適当である。チタン系金属酸化物含有水溶液の
反応時の液温は、0〜80℃程度が適当である。
【0023】還元剤としては、ヒドラジン、ホルマリ
ン、クエン酸ナトリウムなどが使用でき、その溶液とし
ての濃度は、1×10-1〜1×10-3mol/l程度で
ある。還元剤水溶液の添加量は、化学量論的に必要な量
の1.5〜10倍程度とすることが適当である。還元剤
水溶液は、反応液中で急激な金の析出が生じないように
徐々に滴下することが必要であり、通常、3〜60分程
度の時間をかけて滴下すればよい。
【0024】還元剤溶液の滴下によって、チタン系金属
酸化物表面に吸着された金化合物が金に還元されて、強
固に付着する。
【0025】金属酸化物としてCaTiO3 、SrTi
O3 等を用いる場合には、pH11程度の高pH値でも
金化合物は、高効率で金属酸化物に付着する。これに対
し、酸化チタン(TiO2 )を用いる場合には、このよ
うな高pH値では、金属酸化物表面が強く負に帯電し
て、金化合物の付着効率が悪くなる場合が多い。このよ
うな場合には、反応液のpHを7〜8程度として、金属
酸化物を正に帯電させるか、或いは負に帯電する場合で
あっても、負の電荷量をある程度少なくすることが好ま
しい。反応液のpHを7〜8とする場合には、還元剤の
滴下と同時にアルカリ水溶液を滴下し、反応液のpHが
低下しないように調整することによって、金の還元析出
速度をほぼ一定に維持することが好ましい。
【0026】なお、得られた金超微粒子固定化チタン系
酸化物は、そのままでも常温で使用できるが、これを高
温で使用する場合には、高温での安定性確保のために、
使用に先立って、一旦使用温度付近の温度に該金超微粒
子固定化チタン系酸化物を加熱しておくことが好まし
い。 (III )第3方法:金化合物を溶解し、pH11以上
(好ましくはpH11〜12)であって、チタン系金属
酸化物を含有する液に、二酸化炭素ガスを吹き込むか、
或いは攪拌下に酸性水溶液を徐々に滴下して、水溶液の
pHを7〜11に低下させ、チタン系金属酸化物の表面
に金水酸化物を付着させる。次いで、このチタン系金属
酸化物を100〜800℃に加熱して、チタン系金属酸
化物表面に金超微粒子を析出させる。
【0027】金化合物、チタン系金属酸化物、アルカリ
性化合物の種類及び使用量などは、第1方法と同様でよ
い。チタン系金属酸化物を含有する液の液温は、20〜
80℃程度とすればよい。
【0028】この方法では、金化合物は、水酸基が過剰
に結合した錯イオンとして、チタン系金属酸化物を含有
する液中に溶解した状態で存在することが必要である。
従って、使用する金化合物に応じて、pH11以上であ
って金化合物が水酸基含有錯イオンとして溶解する状態
となるように、チタン系金属酸化物含有液のpHを調整
する。
【0029】この様な状態に調整した液中に二酸化炭素
ガスを吹き込むか、または酸性水溶液を徐々に滴下し
て、溶液のpHを徐々に低下させて、pH7〜11とす
ることにより、チタン系金属酸化物を核として、金の水
酸化物が析出し、チタン系金属酸化物表面に付着する。
【0030】二酸化炭素ガスの吹き込み速度は、特に限
定されず、反応液が均一にバブリングされる状態であれ
ばよい。
【0031】酸性水溶液としては、硝酸、塩酸、硫酸、
酢酸などのの水溶液が使用でき、1×10-1〜1×10
-3mol/l程度の濃度で用いればよい。滴下量は、チ
タン系金属酸化物を含有する液のpHが7未満にならな
い範囲であればよい。滴下速度は、金の水酸化物の大き
な沈殿が生じないように、滴下時間3〜60分間程度の
範囲で滴下量に応じて適宜決定すればよい。
【0032】次いで、金の水酸化物が付着したチタン系
金属酸化物を100〜800℃に加熱することによっ
て、付着した金の水酸化物が分解され、チタン系金属酸
化物上に均一に金超微粒子が析出し、強固に固定化され
る。加熱時間は、通常1〜24時間程度とすればよい。
【0033】なお、上記の各方法において、金化合物が
チタン系金属酸化物上に充分に付着するように、滴下ま
たは吹き込み終了後に30分〜2時間程度の間チタン系
金属酸化物を含有する液の攪拌を行うことが好ましい。
【0034】本発明の各方法によれば、粒径500オン
グストローム程度以下で均一な粒径の金超微粒子をチタ
ン系金属酸化物上に固定化することができ、特に従来法
では得られなかった250オングストローム程度以下の
微細な金超微粒子をチタン系金属酸化物に均一かつ強固
に担持させることが可能である。金超微粒子は、上記の
第1〜第3のいずれの方法においても、チタン系金属酸
化物に対し、0.1〜10重量%程度まで担持させるこ
とができる。
【0035】上記の各方法では、チタン系金属酸化物を
粉体の状態で用いる以外にも、予め成形した状態で用い
たり、各種の支持体に固定した状態で用いることもでき
る。例えば、白金線などを埋め込んだ焼結体、電気リー
ドを接続した電極としてのチタン系金属酸化物の焼結体
などに直接金超微粒子を固定化することができる。
【0036】本発明により得られる金超微粒子固定化チ
タン系金属酸化物は、微細な金超微粒子が各種のチタン
系金属酸化物上に均一に担持されたものであり、各種の
用途に使用できる。
【0037】例えば、本発明の金超微粒子固定化チタン
系金属酸化物は、300℃以下の比較的低温で水素、一
酸化炭素、メタノール、プロパンなどの燃料を広い濃度
範囲で燃焼できるので、触媒燃焼方式の各種暖房器や厨
房用加熱器用の触媒体として有用である。また、石油ス
トーブ、石油ファンヒータ、ガスファンヒータ用排ガス
浄化触媒体として、或いは空調機器用空気浄化触媒フィ
ルタとして利用できる。その他にも、塗料工業などにお
ける溶剤酸化処理用触媒体、工場排ガス浄化用触媒体な
どとしても有用である。
【0038】また、NO、NO2 などの窒素酸化物を水
素、一酸化炭素などを用いて還元するための触媒として
も有用である。
【0039】さらに、水素、一酸化炭素、メタノール、
炭化水素などの可燃性ガスセンサー素子としても有用で
ある。
【0040】さらにまた、水素、一酸化炭素、メタノー
ル、炭化水素などを対象とした燃料電池やこれらのガス
の電気化学的反応用の電極用触媒として有用である。
【0041】
【発明の効果】本発明では、各種の形態のチタン系金属
酸化物に対して、短時間で金超微粒子を固定・担持させ
ることができ、しかも金の利用効率が高いので、金化合
物の使用量を節減できる。
【0042】また、予め成形した焼結体や各種の支持体
に固定したチタン系金属酸化物に直接金超微粒子を固定
することができるので、従来のプロセスで作製したガス
センサ素子や電極などに直接金超微粒子を固定化して、
これらの材料の性能を容易に向上させることができる。
【0043】
【実施例】実施例1 酸化チタン(TiO2 )粉末5.0gを500mlの水
に懸濁させた。この懸濁液を攪拌し、その中へ塩化金酸
(HAuCl4 )の水溶液および炭酸ナトリウム(Na
CO3 )の水溶液を10分間かけて同時に滴下した。こ
の時の塩化金酸水溶液の濃度は7.5×10-3Mであ
り、滴下量は100mlであった。また炭酸ナトリウム
水溶液の濃度は0.1Mであり、懸濁液のpHが7〜8
となるように滴下した。
【0044】滴下終了後、懸濁液の攪拌を1時間続け、
酸化チタン表面上に水酸化金(III)(Au(O
H3 ))を析出させた。無色透明の上澄液に水酸化ナト
リウムを加えてpHを12にしてホルマリンを加えたと
ころ、金コロイドの析出により無色からわずかに淡い紫
色への変化が生じたが、分析の結果、溶液中の金の大部
分が酸化チタン上に析出したことが、わかった。
【0045】次いで、水酸化金が析出した酸化チタンを
水洗し、乾燥し、さらに空気中400℃で3時間焼成し
て水酸化金を熱分解することにより、酸化チタン表面に
金を担持した触媒Au(3wt%)/TiO2 を得た。
触媒表面に担持された金は、金属状態でかつ粒子径が良
く揃い平均35オングストローム以下であることを高分
解能透過型電子顕微鏡で確認した。
【0046】次いで、上記触媒を40〜70メッシュに
ふるい分けしたものを0.2g用いて、一酸化炭素(C
O)を1容量%含む空気混合ガスを67ml/分で流通
させて、一酸化炭素に対する酸化活性を調べた。
【0047】その結果、−35℃で50%の酸化反応率
を示し、この触媒Au/TiO2 が0℃以下の低温でも
高い一酸化炭素酸化活性を示すことが明らかとなった。
【0048】また、COを水素に代えて上記と同様の条
件で実験を行ったところ、41℃で50%の酸化反応率
を示し、触媒Au/TiO2 は室温付近でも高い水素酸
化活性を示すことが明らかとなった。 実施例2 40〜70メッシュにふるい分けたチタン酸ストロンチ
ウム(SrTiO3 )粉末5.0gを250mlの水に
懸濁させた。
【0049】この懸濁液を攪拌しながら、その中へ塩化
金酸(HAuCl4 )水溶液および炭酸ナトリウム(N
a2 CO3 )水溶液を30分間かけて同時に滴下した。
この際の塩化金酸水溶液の濃度は2.5×10-3Mであ
り、滴下量は100mlであった。また、炭酸ナトリウ
ム水溶液の濃度は0.1Mであり、懸濁液のpHは8〜
9に維持されるように滴下した。滴下終了後、懸濁液の
攪拌をさらに1時間続け、SrTiO3 表面に水酸化金
(III )(Au(OH)3 )を析出させた。無色透明の
上澄液に水酸化カリウムを加えてpHを12にし、さら
にホルマリンを加えたが、金の析出による色の変化は僅
かであり、溶液中の金の大部分がチタン酸ストロンチウ
ム上に析出したことがわかった。
【0050】次いで、水酸化金が析出したSrTiO3
を水洗した後、乾燥し、さらに空気中400℃で3時間
焼成し、水酸化金を熱分解することにより、SrTiO
3 表面に金を担持した触媒Au(1wt%)/SrTi
O3 を得た。
【0051】触媒表面に担持された金は、金属状態でか
つ粒子径が100オングストローム以下であることをX
線光電子分光法およびX線回折法で確認した。
【0052】次いで、上記触媒を0.2g用い、一酸化
炭素(CO)を1容量%含む空気混合ガスを67ml/
分で流通させて、一酸化炭素の酸化活性を調べた。その
結果Au(1wt%)/SrTiO3 は、室温付近で高
い一酸化炭素酸化活性を示すことが明らかとなった。 実施例3 塩化金酸(HAuCl4 ・4H2 O)0.21gを溶か
したpH7のアンモニア水溶液100ml中に酸化チタ
ン(TiO2 )粉末2.0gを懸濁させた。この懸濁液
を室温で激しく攪拌しながら、滴下ロートに入った塩酸
ヒドラジンの3.7重量%水溶液3.5mlと10重量
%アンモニア水を同時に少量ずつ30〜60分間かけて
加えた。アンモニア水は、水溶液の最終pHが8になる
まで添加した。塩酸ヒドラジン水溶液を加える前の反応
初期には、水溶液が塩化金酸の存在により、水溶液は黄
色透明であったが、還元反応終了後には、上澄液が無色
透明となり、液相中での金コロイド粒子の存在を示す赤
色、青色透明にはならなかった。これにより、酸化チタ
ン(TiO2 )表面上にのみ金が還元析出したことが確
認された。
【0053】還元反応終了後の懸濁液をろ過し、洗浄
し、固形分を一昼夜かけて真空乾燥した後、空気中30
0℃で5時間焼成して、金を5重量%固定・担持した酸
化チタン(TiO2 )を得た。
【0054】この金を固定化した酸化チタン0.2gを
用い、メタノールを1容量%含む空気混合ガスを67m
l/分で流通させて、メタノールの酸化活性を調べた。
その結果、150℃でメタノールの70%を二酸化炭素
まで酸化できた。 実施例4 酸化チタン(TiO2 )粉末を湿式ミルで微粉砕したも
のにポリビニルアルコールを少量加え、ペースト状にし
た。これを5cm×5cm×2cmのコージライト製ハニカム
に塗布し、空気中400℃で3時間焼成した。得られた
ハニカムをpH8.5の炭酸ナトリウム水溶液200m
lに浸漬し、水溶液を循環ポンブで循環攪拌しながら、
塩化金酸ナトリウム2水和物〔Na(AuCl4 )・2
H2 O〕0.30gを溶かした水溶液50mlとpH9
の炭酸ナトリウム水溶液50mlをそれぞれ30分間か
けて徐々に滴下した。
【0055】この場合にも、実施例1の場合と同様に、
還元反応終了後の上澄液は、無色透明であり、これに水
酸化カリウムを加えてpH12にし、ホルマリンを過剰
に加えても、金の析出による色の変化はごく僅かしか起
こらず、ハニカムに担持されている酸化チタン表面上に
のみ金が水酸化物として析出したことが確認された。
【0056】次いで、金を沈殿析出したハニカムを水溶
液から取り出し、洗浄後120℃で12時間乾燥し、空
気中500℃で3時間焼成して金超微粒子固定化酸化チ
タン担持ハニカム触媒を得た。触媒表面に担持された金
は、金属状態でかつ粒子径が約70オングストロームで
あることがX線回折法によって確認された。
【0057】次いで、上記触媒にCOを1容量%および
水分を1容量%含む空気混合ガスを10リットル/分で
流通させて、一酸化炭素に対する酸化活性を調べた。そ
の結果、35℃で80%の酸化反応率を示し、金超微粒
子固定化酸化チタン担持ハニカム触媒は、室温で高い一
酸化炭素酸化活性を示すことが明らかとなった。
【0058】また、上記触媒にCO1000ppmおよ
び一酸化窒素(NO)1000ppmを含むヘリウムガ
スを10l/分で流通させて、NOに対する還元活性を
調べた。その結果、250℃ではNOの25%がN
2 に、300℃ではNOの70%がN2 に還元され、本
発明方法により得られる金超微粒子固定化酸化チタン担
持ハニカム触媒は、250℃以上の温度範囲で高い一酸
化窒素還元活性を示すことが明らかとなった。 実施例5 チタン酸カルシウム(CaTiO3 )顆粒5.0gを塩
化金酸(HAuCl4)1.25×10-4molと水酸
化カリウム(KOH)1.0×10-2molとを含むp
H11.5のアルカリ性水溶液500mlに懸濁させ
た。この懸濁液中に0.1Mの硝酸を2ml/分の速度
で滴下して、溶液のpHを8まで下げることにより、C
aTiO3 表面に水酸化金(III )〔Au(OH)3 〕
を析出させた。これを水洗し、乾燥し、さらに空気中4
00℃で3時間焼成し、水酸化金を熱分解させて、Ca
TiO3 表面に金を担持した触媒Au(0.5wt%)
/CaTiO3 を得た。
【0059】上記の触媒0.2gを用い、一酸化炭素
(CO)を1容量%含む空気混合ガスを67ml/分で
流通させて、一酸化炭素の酸化活性を調べた。その結果
90℃で85%の酸化反応率を示した。このことから、
この触媒Au/CaTiO3 は、100℃以下の温度で
高い一酸化炭素酸化活性を示すことが明らかとなった。 参考例1 実施例2で作製したAu(1wt%)/SrTiO3 を
膜状の焼結体とし、電気抵抗が測定できるように2本の
電極を接続した。則ち、10mm×10mmのアルミナ
基板(厚さ0.5mm)の表面に2本の電極用金線(直
径0.05mm)を間隔1.0mmとなるように並べ、
Au(1wt%)/SrTiO3 粉末500mgに約1
mlの水を加え、乳鉢で充分微粉砕して作ったペースト
を塗布した。これを120℃で12時間乾燥後、空気中
400℃で1時間焼成することにより、電極付き膜状焼
結体が得られ、これを可燃性ガスセンサ素子とした。
【0060】可燃性ガスの検知感度は、ガスセンサ素子
の清浄空気中での電気抵抗値(Rair)と被検ガスを
含む空気中での電気抵抗値(Rgas)との比で表わす
ものとする。ガスセンサ素子の温度を300℃とした場
合、空気中に100ppm含まれる一酸化炭素、水素お
よびプロパンに対するRair/Rgasは、それぞれ
8.5、2.2および1.5であり、一酸化炭素に対し
て特に優れた応答感度を示すことが明らかとなった。 参考例2 実施例1で作製したAu(3wt%)/TiO2 粉末を
乳鉢で微粉砕したものと白金1wt%を担持した黒鉛と
を1:5の重量比で混練した後、銅線と一緒に加圧成型
して10mm×10mm角の電極を作製した。これをH
型の電解セル中の1M水酸化ナトリウム水溶液に浸漬
し、白金板を対極として電圧を印加しながら一酸化炭素
(CO)をこの電極にバブリングさせると、COの酸化
による電流が流れた。標準水素電極基準で100mVの
過電圧を印加した場合、この電流値は0.1mAであっ
た。
【0061】これに対し、白金を1wt%担持した黒鉛
だけで電極を作製した場合には、300mVの過電圧を
印加することにより、電流値は、はじめて0.1mAに
達した。
【0062】同様にメタノールを濃度1Mになるように
加えた場合に、メタノールの電解酸化によって流れる電
流を10mAにするためには、白金を1wt%担持した
黒鉛を用いた電極では550mVの過電圧が、Au(3
wt%)/TiO2 粉末を加えた電極では450mVの
過電圧が必要であった。
【0063】以上の結果から、Au(3wt%)/Ti
O2 粉末は、電極用触媒としても印加電圧を低下させる
という優れた特性を有することが明らかとなった。 比較例1 実施例1で用いたと同様の酸化チタン粉末5.0gを、
pH=2の0.4M塩化金酸(HAuCl4 )水溶液1
0ml中に浸漬し、攪拌した後、10時間放置した。
【0064】次いで、これを蒸発乾固したものを空気流
通下400℃で5時間焼成することにより酸化チタンに
金を担持した触媒Au(3.1wt%)/TiO2 (含
浸法)を得た。高分解能透過型電子顕微鏡観察によれ
ば、この触媒における金は、粒径が300オングストロ
ーム以上のものばかりであることが明らかになった。
【0065】次いで、この触媒、酸化チタン粉末単独お
よび平均粒径約200オングストロームの金超微粒子単
独をそれぞれ使用して、水素と一酸化炭素の酸化に対す
る触媒活性を実施例1と同様な条件で測定したところ、
表1のような結果が得られた。
【0066】 表1 水素及び一酸化炭素の酸化反応に対する触媒活性の比較 触 媒 活 性 水素の50% 一酸化炭素の50% 触 媒 酸化率温度 酸化率温度 実施例1 41℃ −35℃ 比較例1 210℃ 300℃以上* 酸化チタン 300℃以上* 300℃以上* 金超微粒子 100℃ 295℃ *:温度300℃までの測定では50%酸化率に達しなかったことを意味する。
【0067】表1の結果は、従来最も一般的に用いられ
ていた含浸法で金担持触媒を作製しても、本発明による
方法で作製した金超微粒子固定化酸化チタン系酸化物が
有する優れた低温触媒活性は、到底発現されないことを
示している。
【0068】また、酸化チタン粉末単独では300℃以
下の温度で酸化触媒活性がほとんどないこと、および金
超微粒子単独では酸化触媒活性が低いことに加え、水素
の酸化に対しての方が一酸化炭素の酸化に対してより低
温で進行することを考え合わせると、本発明の金超微粒
子固定化酸化チタンAu(3wt%)/TiO2 では金
超微粒子と酸化チタンとの特異な複合効果により、極め
て高い酸化触媒活性が発現されているとともに、水素の
酸化よりも一酸化炭素の酸化の方がより低温で進行する
という特性の変化も生じていることが明らかである。
【0069】このような特異な複合効果が発現されるの
は、実施例1のAu(3wt%)/TiO2 触媒におい
ては、金超微粒子は球状でなく半球状でその平らな底面
で酸化チタン担体に接合しているという特徴ある構造を
有していることによるものと考えられる。これに対し、
比較例1の含浸法で調製した触媒では、金は球状に近い
形状をしており、酸化チタン担体との相互作用が弱く、
金微粒子の凝集が起こりやすいため、触媒活性に乏しい
結果となっている。 実施例6 実施例1と同様な方法で、金の担持量を変えた2種類の
金超微粒子固定化酸化チタン、すなわち、Au(0.2
5wt%)/TiO2 とAu(2.4wt%)/TiO
2 を作製した。
【0070】この金超微粒子固定化酸化チタン0.3g
を用い、一酸化窒素(NO)0.1容量%、酸素
(O2 )5容量%およびプロピレン(C3 H6 )0.0
5容量%を含むヘリウム(He )混合ガスを100ml
/分で流通させて、酸素が過剰に存在する条件におけ
る、一酸化窒素の窒素への還元反応の活性を調べた。な
お、比較のため、金を固定化していない酸化チタンの活
性も調べた。図1にこれらの結果を示す。
【0071】この結果から、金超微粒子固定化酸化チタ
ンの場合には、350℃で一酸化窒素の26%が窒素に
還元でき、且つ金の担持量が増えるととともに還元性能
を示す温度範囲が広がること、また金を固定化していな
い酸化チタンでは活性が低いことから、金を担持するこ
とによりはじめて本反応に対して高い活性を示すように
なることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により得られた金超微粒子固定化酸
化チタンからなる還元触媒の一酸化窒素還元性能を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01D 53/94 B01J 23/52 ZAB A 8017−4G G01N 27/12 C 9218−2J H01M 4/90 M B01D 53/36 104 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタンを主成分とする金属酸化物を含有す
    るpH7〜11の液に、上記pH範囲を維持しつつ金化
    合物水溶液を滴下した後、該金属酸化物を100〜80
    0℃に加熱することを特徴とする金超微粒子固定化チタ
    ン系酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】金化合物を溶解し且つチタンを主成分とす
    る金属酸化物を含有するpH7〜11の液に、上記pH
    範囲を維持しつつ還元剤を滴下して金属酸化物表面に金
    超微粒子を析出させることを特徴とする金超微粒子固定
    化チタン系酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】金化合物を溶解し且つチタンを主成分とす
    る金属酸化物を含有するpH11以上の液に、二酸化炭
    素ガスを吹き込むか、または酸性水溶液を滴下して、p
    H7〜11とした後、該金属酸化物を100〜800℃
    に加熱することを特徴とする金超微粒子固定化チタン系
    酸化物の製造方法。
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