JPH0764563B2 - 結晶質ジルコニアの微粉末及びその製造方法 - Google Patents

結晶質ジルコニアの微粉末及びその製造方法

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JPH0764563B2 JP60266830A JP26683085A JPH0764563B2 JP H0764563 B2 JPH0764563 B2 JP H0764563B2 JP 60266830 A JP60266830 A JP 60266830A JP 26683085 A JP26683085 A JP 26683085A JP H0764563 B2 JPH0764563 B2 JP H0764563B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、含まれるジルコニウムのほとんどが結晶子径
30〜100Åの単斜ジルコニアであり、その2次凝集粒子
の平均径が500Åを越えないことを特徴とする結晶質ジ
ルコニアの微粉末及びその製造方法に関する。ここでジ
ルコニアとは純粋なZrO2は勿論、一般に工業的にジルコ
ニアと呼ばれる程度の10%以下のHfO2、数%までのY
2O3、その他の安定化剤や不純物を含有するものを含む
広い意味でのジルコニアを指す。
従来ジルコニウムの塩水溶液を水熱の加圧下で120〜300
℃で加熱処理することによりジルコニアのハイドロゾル
を得る方法は知られており(米国特許2,984,628)、ま
たジルコニウム塩水溶液を長時間煮沸することによりジ
ルコニア微粒子懸濁液が得られることも既知である〔エ
ー.クリアフィールド;インオーガニックケミストリー
第3巻146頁1964年、(A.Clearfield;Inorg.Chem.3,146
(1964)〕。
しかしながら前者では高圧下高温度でかなり長時間を要
し、また後者は一層長大な熱処理時間が必要で、何れも
工業的な大量生産に適しない非能率のものであるばかり
か、この生成粒子の特性は十分のものとはいえず、特に
2次凝集粒子の大きさは通常1000Åを越え、特に前者で
は2次粒子の大きさが不均一であり、ほとんど工業的に
応用されなかった。
本発明者は基礎的研究によってこのジルコニア微粒子の
生成反応の進行の程度を定量的に決定する方法を始めて
確立し、この方法によっ種々の条件下で多数の実験を繰
返した結果、遂に過酸化水素の反応促進効果と超微粒子
化効果を発見した。
ジルコニウム塩、例えば0.2モル/lの塩化ジルコニル水
溶液を還流冷却器付のフラスコ中で100時間程度煮沸し
続けると溶液中のジルコニウムはほぼ完全に単斜型のジ
ルコニア結晶となり、これは分離乾燥後、真空中400℃
の熱処理でもほとんど変化せずX線的に単斜型のみを示
す。またジルコニウム塩水溶液にアンモニア水を加え生
成する水酸化物の沈殿を減圧下で脱水し真空中で400℃
に熱処理したものはX線的に正方型のジルコニアに結晶
化している。従ってある時間加熱処理した反応過程にあ
る懸濁液にアンモニアを加え、得られる沈殿を注意深く
減圧下で乾燥し、真空中400℃に熱処理すれば単斜型ジ
ルコニアと正方型ジルコニアの混合物が得られ、その量
比はX線回折で容易に知ることができ、それは溶液中で
のジルコニアの生成反応の進行の程度を示す正確な尺度
となる。
この方法による実験結果の比較は単に白濁の程度の比較
とは著しく異なる結果を与える。例えば0.2モル/l濃度
の塩化ジルコニル水溶液300ccを還流冷却器付のフラス
コ中で20時間程度煮沸し続けると、溶液は完全に白濁す
るが生成したジルコニア微粒子の量は全体のジルコニウ
ムの10%程度に過ぎないことが分かり、一方同じ0.2モ
ル/l濃度の塩化ジルコニル水溶液を、本発明方法により
予め陰イオン交換樹脂で、Cl-を一部OH-に変え溶液のpH
を2.0とし、さらに過酸化水素水(30%)10ccを加えて3
00ccとした溶液を同じフラスコ中で同じく20時間煮沸し
た場合には溶液は薄く乳濁した程度のゾルとなるのにジ
ルコニア微粒子の生成量は100%で生成反応が既に完了
していることを示す。これは本発明方法が加水分解によ
る結晶質ジルコニアの生成反応を顕著に促進させること
およびその生成物ジルコニアが極めて微細な超微粒子で
あることを示すものである。
本発明は上記のように、ジルコニア生成反応の促進、高
効率化による工業生産上の利点と、生成単斜ジルコニア
の超微粒子性に基づく特性上の利点によって経済的価値
の著しく高いものであるが、これはすべて製造において
過酸化水素を出発ジルコニウム塩水溶液に加えることに
起因する。
即ち、本発明は含まれるジルコニウムのほとんどが結晶
子30〜100Åの単斜ジルコニアであり、その2次凝集粒
子が容易に分離しない強固なもので、その凝集粒子の平
均径が500Åを越えないことを特徴とする結晶質ジルコ
ニアの微粉末に関する。更に、その製造方法としては、
濃度0.05〜2.0モル/lのジルコニウムの塩水溶液に、過
酸化水素または過酸化水素を生成する化合物を加え、こ
の容液を80〜300℃に加熱処理して水溶液中でジルコニ
アを単斜型に結晶化させ結晶質ジルコニアのコロイドゾ
ルを得、このゾルに塩基を加え凝集沈降させ、凝集沈降
物を分離後、極性有機溶媒で水分を置換し乾燥すること
で結晶質ジルコニアの微粉末を得ることを特徴とし、ま
た濃度0.05〜2.0モル/lのジルコニウムの塩水溶液をpH1
〜3に調製するとともに、過酸化水素または過酸化水素
を生成する化合物を加え、この溶液を80〜300℃に加熱
処理して水溶液中でジルコニアを単斜型に結晶化させ、
結晶質ジルコニアのコロイドゾルを得、このゾルに塩基
を加え凝集沈降させ、凝集沈降物を分離後、極性有機溶
媒で水分を置換し乾燥することで結晶質ジルコニアの微
粉末を得ることを特徴とする。
本発明方法においてジルコニウム塩溶液の濃度は0.05モ
ル/l以下では効率が低すぎ、2.0モル/l以上では操作が
極めて困難となり、0.05〜2.0モル/l内が実際的な濃度
範囲であり0.2〜1.0モル/lがより好ましい濃度範囲であ
る。ジルコニウムの塩水溶液をpH1〜3に調製すること
により、以下に述べるが加水分解反応がpHを調製しない
時と比較して更に促進される効果がある。
加水分解による結晶質ジルコニア生成のさらに詳細な進
行状況を種々な条件に対し比較して第1図に示す。
第1図は0.2モル/lの濃度の塩化ジルコニル水溶液300cc
を還流冷却器付フラスコ中で煮沸し続けた場合の時間的
変化を示し、横軸は煮沸時間、縦軸は溶液中の全ジルコ
ニウム量に対する生成単斜ジルコニア微粒子の量のモル
比である。
この分析方法は先に述べた方法で行った。また図中各曲
線に付された数字は出発時(煮沸前)の溶液の条件を示
し、陰イオン交換樹脂で調製された溶液のpH値および過
酸化水素水(31%)の添加量(cc)である。
図から明らかなように、従来の方法(図の黒丸)の単に
塩化ジルコニニル水溶液を加熱処理だけする場合には、
ジルコニア微粒子の生成反応を完了させるのに60時間の
長時間の連続煮沸が必要となるが、本発明方法(図の白
丸)である過酸化水素添加(0.2M,H2O2−10)によって
顕著な反応促進効果が認められ、さらにpHを陰イオン交
換樹脂で2.0とし、且つ過酸化水素を添加することによ
って(0.2M,pH2,H2O2−10)生成反応完了までの時間は
約1/3程度に短縮されることが分かる。
次ぎに示す表は第1図と同様の実験において添加する過
酸化水素の量と20時間煮沸後の単斜結晶ジルコニア微粒
子生成量を比較したものであり少量の過酸化水素添加で
も既に明瞭な反応促進効果が認められるが、溶液中ジル
コニウムのモル数に対して等モル比(1:1)の過酸化水
素の添加の場合に最大の促進効果が現れ、約1/2モル比
以上が実際的であることを示す。また溶液中に過酸化水
素を生成する過酸化ソーダ、過酸化マグネシウム等も過
酸化水素と同様の促進効果を与える。
さらに第2図は塩化ジルコニルの濃度の高い場合での本
発明の効果を示したので、溶液のpH調製にアンモニア水
を加えた例である。第1図と同様、図中に溶液300ccに
対するアンモニア水(28%)の溶液(cc)を示した。水
溶液中の塩化ジルコニルの濃度が高くなると本発明の効
果は一層顕著であり、単に溶液を煮沸しただけでは0.5
モル/lでは40時間以上で始めて僅かにジルコニアが生成
し始め、0.8モル/l以上の濃度のものではジルコニアは
全く生成しないが、過酸化水素とアンモニアの添加によ
って高濃度溶液からでも比較的短時間に単斜結晶ジルコ
ニア超微粒子が生成する。図は溶液中に含有するジルコ
ニウム量と生成結晶化するジルコニアのモル比であるか
ら、高濃度のものが如何に高能率となるかが分る。
本発明方法における加熱処理は必ずしも煮沸を要しな
い。本発明は100℃以下でも効果がありまた加圧雰囲気
下の高温処理でも同様の効果を示す。この実際的な処理
温度範囲は生成速度および装置などから80〜300℃であ
る。第3図は100℃以上での本発明の効果を示すもの
で、0.2モル/lの塩化ジルコニル溶液を水蒸気加圧下で1
30℃に保持した結果である。この場合にも予め過酸化水
素を添加後1時間煮沸した透明液は無添加溶液に比べ倍
以上の生成速度を示す。
本発明により生成する単斜結晶ジルコニア超微粒子は粉
末X線回折のピークの半値幅から求めた結晶子径がすべ
て30〜100Åで、唯単に溶液を煮沸処理または低温で水
熱処理した場合とほとんど同じであるが、電子顕微鏡観
察によればその2次凝集粒子の大きさには顕著な差異が
ある。すなわち通常はジルコニア生成反応の完了時に2
次凝集粒子の径は1000Å以上となりこれは容易に分割さ
れない強固な結合をなすが、本発明方法による2次凝集
粒子は反応完了時でも500Å以下の径のものである。
本発明で過酸化水素の作用の本質は必ずしも明らかでは
ないが、生成するジルコニアの2次凝集粒子の微細化に
は不可欠であり、従って過酸化水素は結晶成長よりもむ
しろ結晶核生成に効果があると考えられる。
またアンモニア等によるpH調製は2次凝集微粒子の微細
化に直接的に役立たないから核生成よりもむしろ結晶成
長促進に効果があると考えられる。何れにしても、本発
明方法は単斜結晶ジルコニア微粒子の生成を高効率化
し、生成物を超微細化する。すなわち、単斜結晶ジルコ
ニア超微粒子の工業的大量生産を可能にするとともに、
超微粒子化によってその応用製品を高品位化するもので
ある。
本発明方法で得たゾルにアンモニア等の塩基を加え懸濁
粒子を凝集沈降させ、分離後アルコール、アセトン等の
極性溶媒で水分を置換し乾燥すれば、結晶質ジルコニア
の孤立した超微粒子からなる微粉末が得られるが、これ
は従来得られた如何なるジルコニア粉末よりも易焼結性
であり、特異である。例えばこの粉末成形物は1100℃の
低温ではほとんど理論密度の単斜結晶のみからなる高純
度ジルコニア焼結体を与える。これは従来ホットプレス
あるいは水熱下の特殊な方法でしか得られていないもの
である。また本発明方法のゾルより得られる粉末は2次
凝集粒子が極めて超微細なため、他の粉末との混合性に
優れ、ジルコン酸鉛の製造等固体反応用原料として使用
すれば接触面積の増大の結果著しく高反応性、低温焼結
性であり、その他のセラミック用添加剤として最も高分
散性であり、微量の均一な添加が可能となる。
第1図、第2図、第3図および表は本発明方法が従来法
に比べて、結晶質ジルコニア微粒子の生成速度、効率が
非常に優れていることが示す実施例であるが、更に以下
に本発明の結晶質ジルコニアの微粉末について具体的な
実施例を示す。
実施例1 特級試薬塩化ジルコニル(ZrOCl28H2O)97gを蒸留水約300
ccに溶解して約1.0モル/lの溶液とし、これに過酸化水
素水(31%)を90cc加えて攪拌し、さらにアンモニア水
(28%)30ccを徐々に加え、この溶液を還流冷却器付フ
ラスコ中で50時間煮沸して半透明乳濁のゾルを得た。こ
のゾルにアンモニア水を加えると懸濁粒子は凝集沈降す
るので、デカンテーションし、水をアセトンで置換し、
濾過、乾燥させた。この粉末の1次粒子の結晶子径は粉
末X線回折の半価幅から計算すれば44Åの超微細なもの
であり、また光学顕微鏡および電子顕微鏡の観察によれ
ば、比較的おおきな凝集粒子は単に物理的な付着に近い
壊れ易いものであり、強固な2次凝集粒子の大きさは50
0Å以下でかつ、粒径がほぼ均一であることが認められ
る。この粉末は乾燥したものをそのまま金型中2t/cm2
の成形圧で直径16mmの円板に成形後空気中で1100℃に1
時間焼成しただけで、理論密度の96%のかさ密度の単斜
結晶のみからなる高純度緻密な多結晶体を与えた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法と従来方法における煮沸時間と単斜
ZrO2の生成率の変化を示す。 第2図はジルコニウム塩濃度を変えた時の本発明方法と
従来方法における煮沸時間と単斜ZrO2の生成率の変化を
示す。 第3図は水熱下での本発明方法と従来方法における煮沸
時間と単斜ZrO2の生成率の変化を示す。何れも白丸が本
発明方法で黒丸が従来方法である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含まれるジルコニウムのほとんどが結晶子
    径30〜100Åの単斜ジルコニアであり、その2次凝集粒
    子が容易に分離しない強固なもので、その凝集粒子の平
    均径が500Åを越えないことを特徴とする結晶質ジルコ
    ニアの微粉末。
  2. 【請求項2】濃度0.05〜2.0モル/lのジルコニウムの塩
    水溶液に、過酸化水素または過酸化水素を生成する化合
    物を加え、この溶液を80〜300℃に加熱処理して水溶液
    中でジルコニアを単斜型に結晶化させ、結晶質ジルコニ
    アのコロイドゾルを得、このゾルに塩基を加え凝集沈降
    させ、凝集沈降物を分離後、極性有機溶媒で水分を置換
    し乾燥することを特徴とする結晶質ジルコニアの微粉末
    の製造方法。
  3. 【請求項3】ジルコニウムの塩水溶液のpHが1〜3であ
    る特許請求の範囲第2項記載の結晶質ジルコニア微粉末
    の製造方法。
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