JPH0811058B2 - 耐熱芽胞細菌の殺菌法 - Google Patents

耐熱芽胞細菌の殺菌法

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JPH0811058B2
JPH0811058B2 JP62046742A JP4674287A JPH0811058B2 JP H0811058 B2 JPH0811058 B2 JP H0811058B2 JP 62046742 A JP62046742 A JP 62046742A JP 4674287 A JP4674287 A JP 4674287A JP H0811058 B2 JPH0811058 B2 JP H0811058B2
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純 星野
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐熱芽胞細菌の殺菌法に関し、さらに詳しく
は、食品、食品工業資材または医薬品工業資材(以下、
これらを総称して食品等ということがある。)における
耐熱芽胞細菌の殺菌法に関する。なお、本発明におい
て、食品とは通常の食品のほか食品原材料、食品材料、
食品加工品等を含めた意味で用い、食品工業資材とは食
品工業における機器、道具類等を意味する。同様に医薬
品工業資材とは医薬品工業における機器、道具類等を意
味する。
〔従来の技術〕
従来よりたとえばBacillus stearothermophilus、Bac
illus coagulans、Clostridium botulinum、Clostridiu
m sporogenes等の耐熱芽胞細菌は沸騰水中でも滅菌せし
めることが困難な細菌として知られており、食品、食品
工業資材または医薬品工業資材はこの耐熱芽胞細菌に汚
染されやすく、また、食品、食品工業資材または医薬品
工業資材を、通常の滅菌処理、たとえば沸騰水では処理
後もかかる耐熱芽胞細菌が残存し結局該細菌の増殖を許
すこととなり、食品または医薬品の変質を引き起こし、
特に食品では味覚の著しい低下をもたらしてきた。
このように食品等に悪影響を与える耐熱芽胞細菌の殺
菌法として、従来から知られている方法は、 (1)食品等を耐圧性の容器に入れ、蒸気により加圧
し、120℃で加熱殺菌する高温高圧法、 (2)X線またはγ線を照射することにより殺菌する放
射線照射法、 である。
しかしながら、(1)高温高圧法は120℃という高温
で処理するため、食品等の物性が著しく変化し特に食品
の場合は味覚の著しい低下を引き起こし、そのうえ高圧
で処理するため特殊な装置、機器を必要とし、さらに多
量の熱エネルギーを必要とする等の欠点を有していた。
また、(2)放射線照射法は放射線照射された食品の
安全性が保証されないため無制限に食品に適用できない
こと、さらに、たとえ適用が保証された食品であって
も、耐熱芽胞細菌の殺菌のためには使用する放射線量が
通常食品に適用される(たとえば、馬鈴薯の発芽防止に
用いられる)放射線量に比較して著しく多いため、高価
な装置を必要とし、作業員が放射線被害を被る危険性が
高い等の問題点を有してした。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は、特殊な装置、機器を必要とせず、食品等の
物性の変化を引き起こすことなく、低い殺菌コストで安
全かつ簡易に、食品等を汚染する耐熱芽胞細菌を殺菌
し、無菌の食品、食品工業資材または医薬品工業資材を
得ることができる方法を提供することを目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者は上記問題点に鑑み鋭意検討の結果、食品、
食品工業資材または医薬品工業資材に所定量の過酸化水
素を添加し、60℃〜90℃で加熱すれば耐熱芽胞細菌が殺
菌されることを見出し本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は、食品、食品工業資材または医薬
品工業資材に過酸化水素を添加し、60℃〜90℃で加熱処
理し、処理後の過酸化水素濃度が25ppm以上になるよう
にすることを特徴とする耐熱芽胞細菌の殺菌法を提供す
るものである。
本発明では、食品等に、あるいは食品等の浸漬液、食
品等の溶解液ないしは食品等の懸濁液などに過酸化水素
水を添加し、必要に応じて撹拌しつつ、所定時間、所定
温度に加熱することにより耐熱芽胞細菌の殺菌が達成さ
れる。もちろん、各単位操作は適宜その順序を入れ換え
てもよく、たとえば、食品等、あるいは食品等の浸漬
液、食品等の溶解液ないしは食品等の懸濁液などを所定
温度に加熱したものに過酸化水素水を添加し、必要に応
じて撹拌しつつ、所定時間処理することによっても耐熱
芽胞細菌の殺菌が達成される。
さらに、本発明では所望により殺菌後の食品等の処理
物ないし処理液等をカタラーゼにより残存過酸化水素分
解の後処理をしてもよい。この後処理は、通常の酵素反
応処理と同様に行うことができ、たとえば上記食品等の
処理物ないし処理液等を所定温度とし、カタラーゼまた
はカタラーゼ含有物の粉末、溶液または懸濁液等を添加
し、所定時間、必要に応じて撹拌しつつ行えばよい。
本発明において、耐熱芽胞細菌の殺菌処理される対象
となるのは、食品、食品工業資材または医薬品工業資材
である。
食品としては、農産食品、水産食品、畜産食品、林産
食品およびそれらの加工食品等の食品のほか食品原材
料、食品材料、加工食品材料等が挙げられる。たとえ
ば、カマボコ、チクワ、魚肉ソーセージ等の練食品、ハ
ンバーグ、米飯、煮豆、佃煮、こんにゃく、小麦粉、粉
乳等の他、各種缶詰、瓶詰、袋詰となる食品等が例示さ
れる。
本発明において、用いられる食品の形態は液体、半液
体のもののほか、粉末、顆粒、粒状、塊状等のものを水
等の液体に浸漬したもの、これらの溶液、懸濁液、練り
物、これらに水等を含浸させたもの等が挙げられる。
食品工業資材としては上記食品の製造、処理、加工等
に使用される機材、容器、道具等が挙げられ、たとえ
ば、布巾、包丁、俎、その他の調理用器具、包装フィル
ム、ガラス容器、プラスチック容器、濾過剤用の活性炭
等の各種処理剤等が例示される。
医薬品工業資材としては医薬品の製造、処理、加工等
に使用される機材、容器、道具等が挙げられ、たとえ
ば、注射器、ガラス・プラスチック壜、包装フィルム、
除菌用フィルター、混合機、打錠機等が例示される。
食品工業資材または医薬品工業資材は食品、医薬品、
医薬品材料、医薬品原材料等がそれら資材に付着し、そ
れら資材が耐熱芽胞細菌に汚染されることがあり、これ
を本発明の方法により殺菌し無菌の食品工業資材または
医薬品工業資材が提供されのである。
使用される過酸化水素水は通常市販のものでもよい
が、適宜これを水等で希釈したものでもよい。また、各
種過酸化水素含有液、過酸化水素を含有する各種物質、
過酸化水素を生成する各種物質等も用いられる。一般に
は、0.1〜60%の過酸化水素水が用いられるが、この濃
度範囲以外のものでもよい。
本発明において、過酸化水素水を添加して加熱する際
の加熱温度は、通常60〜100℃、好ましくは70〜90℃で
ある。55℃以下では処理に長時間を要する等、殺菌効果
が低く、100℃では熱効率からの経済性が低下し、ま
た、食品にあってはその種類によっては変質が顕著とな
る。さらに、105℃以上では特別な装置、機器を必要と
する等経済性に乏しくなる。
殺菌処理は処理物のpHが通常4〜10、好ましくは5〜
9で行われる。
加熱時間は食品等または処理物の単位重量当たりの過
酸化水素量、あるいは加熱温度により変わるが、実用的
には通常5〜60分、好ましくは10〜30分である。この範
囲以上の加熱処理時間となってももちろん差し支えない
が、経済性に乏しくなる。
加熱方法は温水中に浸す方法、密閉容器に入れ蒸気を
発生させる方法、解放した容器に入れ蒸気を通過させる
方法等が用いられる。また食品製造工程中に60℃以上の
加熱工程があれば、その工程を利用することもできる。
本発明では過酸化水素水の添加量は対象となる食品に
より異なるが、加熱殺菌処理後の系内の過酸化水素濃度
が25ppm以上となるように添加する。
好ましい過酸化水素の添加の態様は、たとえば60℃、
15分以内の残存過酸化水素量が25ppm以上とすることで
ある。
本発明において、カタラーゼを添加して過酸化水素の
分解の後処理を行う場合は、たとえば殺菌処理物の温度
を通常0〜70℃、好ましくは10〜60℃、処理物のpHを4
〜9、好ましくは6〜9に調節しつつ、カタラーゼを処
理物に過酸化水素の残存量に応じて添加し、必要に応じ
て撹拌すればよい。この後処理に要する時間は使用する
カタラーゼの総活性により変わるが、通常0.5〜24時
間、実用上好ましくは2〜5時間である。
本発明にかかる殺菌処理または後処理において、通常
食品工業で用いられる各種添加物、処理助剤等は適宜添
加することができる。
なお、本発明にかかる殺菌法は耐熱芽胞細菌のみに限
定されず、一般の耐熱性を有しない細菌、黴または酵母
等の微生物の殺菌法として利用することも当然可能であ
る。
〔実施例〕
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1 Clostridium botulium A型菌耐熱芽胞2.3×105/mlを
添加したGAMブイヨン培地10gに、5%過酸化水素水を過
酸化水素濃度が500〜1000ppmになるように添加した。次
いで、これを60〜100℃で15分間加熱処理した後、処理
物の生残芽胞数と残存過酸化水素量を測定した。結果を
第1表に示した。
比較例1 実施例1において、3%過酸化水素水を過酸化水素濃
度が500ppm未満になるように添加する、または加熱温度
を50℃以下とする以外は実施例1と同様の試験および測
定を実施した。結果を比較例1として第1表に実施例1
と併せて示した。
実施例2 Clostridium sporogenes耐熱芽胞を約105/g接種した
カマボコまたはポテトサラダ100gに10%の過酸化水素水
を過酸化水素濃度が1000ppmになるように撹拌しつつ添
加し、80℃で30分間加熱した。生残芽胞数と残存過酸化
水素量を測定した結果を第2表に示した。上記殺菌処理
後、処理物の温度を25℃とし、カタラーゼ50,000U/ml液
2mlを添加し2分間撹拌し、4時間放置後、このカタラ
ーゼ後処理物中の残存過酸化水素量を測定した。結果を
同じく第2表に示した。
比較例2 実施例2において、5%の過酸化水素水を過酸化水素
濃度が500ppmになるように添加する以外は実施例2と同
様の試験および測定を行った。結果を比較例2として第
2表に実施例2と併せて示した。
〔発明の効果〕 本発明によれば、食品、食品工業資材または医薬品工
業資材における耐熱芽胞細菌の殺菌を、高温処理するこ
となく、また、高価なあるいは特殊な装置、機器を必要
とすることなく、食品等の熱による変質もなく、小さい
熱コストで行うことができる。
さらに、本発明によれば高圧または放射線等を使用し
ないので作業が安全に行うことができ、また、少量の過
酸化水素の使用で殺菌が可能であり、しかも、後処理を
カタラーゼを用いて行う場合は残存過酸化水素を除去す
ることができ、殺菌されたものの安全性を確保すること
ができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食品、食品工業資材または医薬品工業資材
    に過酸化水素を添加し、60℃〜90℃で加熱処理し、処理
    後の過酸化水素濃度が25ppm以上になるようにすること
    を特徴とする耐熱芽胞細菌の殺菌法。
JP62046742A 1987-03-03 1987-03-03 耐熱芽胞細菌の殺菌法 Expired - Lifetime JPH0811058B2 (ja)

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