JPH08119784A - 化合物単結晶の製造方法及び製造装置 - Google Patents

化合物単結晶の製造方法及び製造装置

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JPH08119784A
JPH08119784A JP25696494A JP25696494A JPH08119784A JP H08119784 A JPH08119784 A JP H08119784A JP 25696494 A JP25696494 A JP 25696494A JP 25696494 A JP25696494 A JP 25696494A JP H08119784 A JPH08119784 A JP H08119784A
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JP25696494A
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Hiroshi Okada
広 岡田
Kazuhiro Uehara
一浩 上原
Takao Fujikawa
隆男 藤川
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 双晶欠陥のない高品質の化合物単結晶を製造
することができる、VGF法やVB法による化合物単結
晶の製造方法及び製造装置を提供する。 【構成】 高圧容器1内に集合ヒータ15を設け、該集
合ヒータ内に化合物原料を収容するルツボ38を配置
し、前記集合ヒータ15により上方から下方に渡り高温
から低温に推移する温度分布を形成し、高圧ガス雰囲気
下で前記温度分布の結晶成長温度域をルツボ38の下方
から上方へ相対移動させることによりルツボ38内の原
料融液52を下方から冷却固化して単結晶を成長させ
る。この際、前記ルツボ38内の化合物原料を溶融した
後、原料融液を種結晶51とを接触させることなく徐冷
して過冷却状態とし、該過冷却状態の原料融液52の下
端部に種結晶51を接触させ、結晶を成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ZnSe、InPなど
の化合物単結晶の製造方法及びその実施に適した製造装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】発光ダイオードや半導体レーザー等の発
光デバイスの製作に必要なエピタキシャル成長基板とし
て、デバイスの種類に応じてZnSe,CdTe,Zn
SなどのII−VI 族化合物やInP,GaP,GaAs
などのIII−V 族化合物等の単結晶基板が用いられる。
【0003】このような化合物単結晶の製造法として、
液体封止チョコラルスキー法(LEC法)、水平ブリッ
ジマン法(HB法)、垂直温度勾配下固化法(VGF
法)及び垂直ブリッジマン法(VB法)等の種々の方法
が提案されているが、VGF法及びVB法は比較的大形
で、転位の少ない良質の単結晶を製造することができる
ので、工業的な製造方法として大きな期待が寄せられて
いる。
【0004】前記VGF法は、チャンバー内にリング状
のヒータエレメントが上下方向に多数段並設された集合
ヒータを設け、該集合ヒータ内に気密容器を設け、該気
密容器の内部に原料が収容されたルツボを配置し、前記
ヒータエレメントを制御して上方から下方に渡り高温か
ら化合物の融点を挟んで低温に推移する温度分布を形成
し、温度分布内の結晶成長温度域を下方から上方へ移動
させ、気密容器に収容されたルツボの下端部に収容され
た種結晶から原料融液を順次固化成長させて単結晶を得
る方法である。
【0005】前記VB法は、複数段のヒータエレメント
を制御して温度分布を上下方向に形成する点は叙上のV
GF法と同様であるが、気密容器を温度分布の結晶成長
温度域を通過するように上方から下方に移動させること
により、気密容器内のルツボの下端部に収容された種結
晶から原料融液を順次固化成長させて単結晶を得る方法
である。
【0006】一方、特開平4−77383号に開示され
ているように、不活性ガスが高圧充填された高圧容器内
に均圧通路を有する気密容器(気密チャンバー)を収容
し、該気密容器内にルツボを設け、高圧ガス雰囲気下で
単結晶を成長させることも行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記い
ずれの方法によるにしても、例えばZnSe(融点15
26℃)の単結晶を製造する場合、原料融液から単結晶
を成長させると、1420℃付近で高温相の六方晶から
低温相の立方晶に相変態が起こり、この変態の際に双晶
欠陥が結晶中に導入され、完全な単結晶が得られ難いと
いう問題がある。たとえ、結晶成長の開始時点で結晶成
長部分の温度勾配を調節し、種結晶を融点以下の温度に
止めても、原料は溶融させる必要があるため、必然的に
種結晶と接触している原料融液は冷却固化の過程で相変
態点を通過することになり、既述の通り、双晶が発生す
る。
【0008】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、双晶欠陥のない高品質の化合物単結晶を製造するこ
とができる、VGF法やVB法による化合物単結晶の製
造方法及びその好適な製造装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の化合物単結晶の
製造方法は、高圧容器内にヒータエレメントが上下方向
に複数段列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ内
に化合物原料を収容するルツボを配置し、前記ヒータエ
レメントにより上方から下方に渡り高温から低温に推移
する温度分布を形成し、高圧ガス雰囲気下で前記温度分
布の結晶成長温度域をルツボの下方から上方へ相対移動
させることによりルツボ内の原料融液を下方から冷却固
化して単結晶を成長させる化合物単結晶の製造方法にお
いて、前記ルツボ内の化合物原料を溶融した後、原料融
液を種結晶と接触させることなく徐冷して過冷却状態と
し、該過冷却状態の原料融液の下端部に種結晶を接触さ
せ、結晶成長温度域をルツボの下方から上方へ相対移動
させる。この際、化合物原料として、高温相である六方
晶から低温相である立方晶に相変態する化合物を用いた
場合でも、過冷却状態の原料融液から立方晶の単結晶を
直接成長させることができる。
【0010】一方、本発明の化合物単結晶の製造装置
は、高圧容器内にヒータエレメントが上下方向に複数段
列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ内に化合物
原料を収容するルツボが配置され、前記ヒータエレメン
トにより形成された上方から下方に渡り高温から低温に
推移する温度分布の結晶成長温度域をルツボに対して下
方から上方へ相対移動させることによりルツボ内の原料
融液を下方より冷却固化して単結晶を成長させる化合物
単結晶製造装置において、前記ルツボはその下端部にル
ツボの内外を上下方向に貫通する細管部が形成され、前
記高圧容器の内部にはルツボを支持するための支持ロッ
ドが設けられ、前記細管部に装着された種結晶を上方に
押し上げるための押し上げロッドが設けられている。前
記細管部には閉塞部材を装着し、その下方に種結晶を装
着するとよい。また集合ヒータ内にルツボを収容する気
密チャンバーを設け、支持ロッドを気密チャンバーの内
部に昇降自在に設け、該支持ロッド内に押し上げロッド
が挿通可能に設けるとよい。
【0011】
【作用】本発明においては、原料化合物の溶融後、種結
晶は原料融液に接触していないため、原料融液をゆっく
りと徐冷することにより、融点以下の温度でありながら
液状を保持する過冷却状態にすることができる。そし
て、過冷却状態の融液に種結晶を接触させることによ
り、ZnSeの場合では低温相の立方晶が準安定的に晶
出、成長させることができる。この場合、融液と接触す
る種結晶先端部は、相変態点以上となり高温相の状態に
あるが、晶出する種結晶は準安定相である低温相とな
る。すなわち、本発明においては、種結晶は過冷却融液
から結晶を引き起こす界面を提供する役割を持つもので
ある。例えば、ZnSeでは種結晶の高温相である2H
相の(0001)面から低温相である3C相の(11
1)面が平行となる配向関係をもって結晶の成長が起こ
る。
【0012】尚、種結晶が初めから原料融液に接触して
いる状態では、冷却速度を遅くしても、冷却過程で融点
を通過するとほぼ同時に原料融液の固化が開始し、Zn
Seの場合では高温相の六方晶結晶が生成し、冷却の途
中で低温相の立方晶に変態し、双晶が導入される。原料
融液はルツボに収容した固体状、粉体状原料を加熱する
ことにより得られ、ルツボの下端部に形成された細管部
に侵入するが、ある程度侵入すると、表面張力の作用に
より、それ以上、下方に流下することがない。このた
め、原料融液が侵入しない細管部の適宜位置に種結晶を
装着することにより、種結晶との間に一定の隙間を形成
することができ、原料融液と種結晶との接触を回避する
ことができる。もっとも、種結晶との接触を確実に阻止
するには、細管内に閉塞部材を装着し、その下方に種結
晶を装着すればよい。尚、閉塞部材と細管部内面との間
に少々隙間があっても、融液の表面張力により融液が侵
入するおそれはない。
【0013】ルツボ内の原料融液は小さな冷却速度で徐
冷することにより過冷却状態となる。この状態におい
て、押し上げロッドを上昇させ、ロッドの先端部で細管
部に装着した種結晶を細管部の上方に押し上げることに
より、種結晶の上端部を原料融液の下端部に接触させる
ことができ、種結晶が接触した結晶成長部を結晶成長温
度域を通過させることにより、単結晶を成長させること
ができる。
【0014】気密チャンバーの内部に支持ロッドを昇降
自在に設け、該支持ロッドの上部でルツボを支持し、該
支持ロッドを下降させて、温度分布の結晶成長温度域を
ルツボの下方から上方へ移動させることにより、VB法
を容易に実施することができる。この場合、気密チャン
バー内でルツボを移動することができるので、気密チャ
ンバー内ではその外部に比して温度分布の安定性に優れ
るため、高品質の単結晶を成長させることができる。ま
た、押し上げロッドを支持ロッド内に挿通可能に設ける
ことにより、両部材を気密チャンバー内にコンパクトに
収めることができる。
【0015】
【実施例】実施例にかかる化合物単結晶製造装置を図1
に示す。この装置は高圧容器1と、該高圧容器1内に配
設された上部閉塞円筒状の断熱構造体8と、該断熱構造
体8の内部に配置された集合ヒータ15を備えた加熱装
置16と、前記集合ヒータ15の内部に配置された気密
チャンバー32と、該気密チャンバー32内に設置され
た結晶成長用のルツボ38を備えている。前記気密チャ
ンバー32はルツボ38が存在する温度域のガス雰囲気
を調整するためのものである。
【0016】高圧容器1は円筒形状の胴部円筒体2と、
該胴部円筒体2の上下開口部にシールリングを介して着
脱自在に嵌着される上蓋3及びヒータ支持リング5と、
該ヒータ支持リング5の開口部に着脱自在に装着される
下蓋6とで構成されている。前記上蓋3にはアルゴンガ
ス等の不活性ガスを高圧容器1内に加圧注入し、また排
出するためのガス供給排出孔7が開設されている。尚、
高圧容器1は上蓋3及び下蓋6からの上下方向の外力を
担持するためのフレームに収容される。
【0017】前記高圧容器1の内側に口に配設された円
筒状の断熱構造体8の下端には固定リング12が固着さ
れ、該固定リング12が図示省略した支持部材を介して
前記ヒータ支持リング5上に設置されている。前記断熱
構造体8の内側には、本実施例では円筒状のヒータエレ
メント14、14Aが上下方向に6段並設された集合ヒ
ータ15を備えた加熱装置16が付設されている。前記
ヒータエレメント14、14Aの各々は、集合ヒータ1
5の外周部に立設されたリード電極17に連結部材18
を介して連結され支持されると共に給電される。各リー
ド電極17の下端には金属電極19が付設され、該金属
電極19は絶縁碍子20を介して前記固定リング12に
支持されている。一方、前記金属電極19は可撓性給電
帯21を介してヒータ電源リードスルー22に接続され
ている。該リードスルー22は上部を露出させた状態で
絶縁体を介してヒータ支持リング5に装着されており、
ブスバー23を介して装置外の電源装置に接続される。
【0018】一方、集合ヒータ15と気密チャンバー3
2との間には、各段部の温度を検出するための温度検出
器26が各段のヒータエレメント14、14Aに対応し
て配設されている。該温度検出器26は保護管の内部に
熱電対が装着されており、該保護管はその下端部が前記
固定リング12に支持されている。温度検出器26はヒ
ータ支持リングに装着された測温リードスルー27及び
測温リード線28を介して本装置外の温度制御装置に接
続されている。
【0019】前記ヒータエレメント14、14Aの材料
としては、黒鉛やC/Cコンポジットなどの炭素系の材
料が加工や抵抗値の調整の容易さの点で優れるため好適
である。勿論、温度域によっては炭化ケイ素や、モリブ
デン、タングステン等の高融点金属抵抗材を用いること
もできる。一方、前記リード電極17および連結部材1
8は電気抵抗値が低く、かつ高温雰囲気下で軟化、変形
しない材料であれば使用可能であり、好ましい材料とし
ては黒鉛を例示することができる。
【0020】前記気密チャンバー32は、上部が閉塞さ
れた円筒体からなる高温部33、円筒状の中間部34及
び下部固定部35から構成されており、各部は適宜の耐
熱シール材を介して分割組み立て自在に気密に嵌合連結
されている。下部固定部35は下蓋6に固定され、その
側面部にはチャンバー内外の圧力を均等にするための均
圧通路36が形成されている。該均圧通路36は図例の
ような細孔を開設してもよく、また下蓋6の上面との間
に小さな間隙を設けてもよい。前記高温部33は、耐熱
性及び気密性を有し、またルツボ38内の原料にコンタ
ミネーションが生成しないような材料により形成され
る。単結晶を製造するには、ルツボ38内の原料を融点
以上に加熱し、溶融状態にする必要があり、例えばZn
Seでは1520℃以上に加熱する必要がある。このよ
うに、高温部33が1500℃以上に加熱される場合、
高温部33を形成することができる好適な材料として、
PBN、パイロリティックグラファイト、グラッシーカ
ーボン、パイロリティックグラファイトにより気密コー
ティングした黒鉛、モリブデンやタンタルなどの高融点
金属又はその合金を例示することができる。
【0021】前記気密チャンバー32の内部にはルツボ
38が配置されており、その上部開口にはガス分子の通
過を許容する多孔質耐熱材で形成された半気密性蓋体4
0が取り外し可能に装着されており、一方その下端部に
はルツボの内外を上下方向に貫通する細管部39が形成
されており、細管部39に種結晶51がほぼ気密に装着
されている。ルツボ38内には装置運転前には塊状の化
合物多結晶原料が収容され、運転後に原料は溶融されて
図例のように原料融液52となる。原料融液51は、表
面張力の作用により細管部39の下方に流下することな
く、原料融液52の下端と種結晶51の上端との間には
一定の隙間53が形成される。細管部39において、原
料融液52と種結晶51との接触を確実に阻止するに
は、図2に示すように、細管部39の上部に閉塞部材4
1をほぼ気密に装着すればよい。該閉塞部材41は原料
融液52と反応しない適宜の耐熱材、例えば既述のPB
Nやパイロリティックグラファイト等により形成するこ
とができる。
【0022】前記ルツボ38はその下部が円筒状のルツ
ボ支持台60に載置され、該ルツボ支持台60は下蓋6
をシールリング61を介して気密かつ上下方向に摺動自
在に設けられた支持ロッド62の上部に付設されてい
る。該支持ロッド62の内部には、押し上げロッド63
がシールリング64を介して支持ロッド62と同心状か
つ摺動自在に設けられている。該押し上げロッド63の
上部には細管部39の外周面に遊動自在に嵌合する有底
筒状の受部65が設けられており、該押し上げロッド6
3を上昇させることにより、該受部65の底部に当接し
た種結晶51が細管部39の上方に押し上げられて、種
結晶51が原料融液52に接触するようになる。尚、前
記受部65は、有底状であるため、万一、細管部39か
ら融液が漏れ出ても、該受部65に収容され、下方への
流下を防止することができる。尚、前記支持ロッド62
及び押し上げロッド63は図示省略した昇降駆動装置に
より昇降自在に構成されている。
【0023】気密チャンバー32内には、前記支持ロッ
ド62が遊動自在とされた挿通孔を有する台座71が下
蓋6に載置されており、該台座71の上部には、リザー
バ72が装着されている。該リザーバ72の外周面は気
密チャンバー32の高温部33の下部内周面にほぼ気密
に嵌合している。そして、台座71の上部にはリザーバ
72の上部内周部から支持ロッド62にかけて半シール
部材73が付設されている。該半シール部材73は、部
材の内部に連通する微細な細孔や連続気孔を有する断熱
材で形成されており、かかる連通孔を介して加圧用不活
性ガスが流動すると共に、リザーバ72から発生した高
解離圧成分の蒸気が下方に流動するのを抑制するもので
あり、本実施例では黒鉛シートのリング状積層体が使用
されている。前記台座71には均圧のための連通路74
が外周面から支持ロッド72の挿通孔に連通形成されて
いる。
【0024】前記リザーバ72には原料化合物の高解離
圧成分55、例えばZnSe化合物ではZnが収容され
ており、図例では最下段のヒータエレメント14Aが蒸
発用ヒータエレメントとして用いられており、該ヒータ
エレメント14Aとその温度検出器26によりリザーバ
72内に収容された高解離圧成分55の加熱温度が制御
され、高温域にあるルツボ38中の原料化合物の高解離
圧成分の解離圧と平衡する蒸気圧を発生させる。これに
より、ルツボ38内原料の組成変動を防止することがで
きる。尚、リザーバ72を加熱するための蒸発用ヒータ
エレメントや温度検出器は、集合ヒータ15のヒータエ
レメントとは別個に気密チャンバー32内に設けてもよ
いことは勿論である。
【0025】上記実施例の単結晶製造装置によると、ル
ツボ38に収容された多結晶原料は、気密チャンバー3
2を介して、その外周部に配置された集合ヒータ15の
上部ヒータエレメント14により、高圧ガス雰囲気下で
加熱、溶融される。この際、種結晶が融点(例えば、Z
nSeでは1526℃)以上にならないように、温度制
御される。原料融液が得られても、表面張力により細管
部39の下方には必要以上に流下せず、細管部39の下
部に装着された種結晶51に接触することはない。尚、
高圧容器内の不活性ガスの圧力は、原料融液の加熱温度
における化合物原料の高解離圧成分の解離圧以上の圧力
に設定される。かかる圧力に設定することにより、高解
離圧成分の蒸気は気密チャンバー内では拡散的に移動す
るに止まり、該蒸気が気密チャンバーから流出し難くな
る。
【0026】原料が溶融した後、ヒータ電力を漸次減じ
て、原料融液を極めて小さな冷却速度により冷却して、
過冷却状態にする。そして、押し上げロッド63を上昇
させて、細管部39の下部に挿着された種結晶51を上
方に押し上げ、原料融液52に接触させる。過冷却状態
の融液の温度が変態点以下であれば問題ないが、変態点
を越える場合でも、ある程度以上の過冷却度をもってお
ればよい。また、種結晶と融液との接触部すなわち融液
の凝固部が急激な温度勾配となる温度分布を形成するよ
うに、ヒータエレメントへの供給電力を制御することも
準安定相の晶出に有効である。
【0027】種付けを行った後、支持ロッド62及び押
し上げロッド63を同速度でゆっくりと下降させること
により、結晶を成長させる。ルツボ38内の融液が総て
結晶固化した後、各ヒータエレメント14、14Aへの
給電を徐々に減少させて炉内温度を均一に低下させて冷
却する。その後、高圧ガスを排出した後、下蓋6を下方
に移動させて気密チャンバー32ごとヒータ支持リング
5から取り外し、下蓋6から気密チャンバー32の全体
を、あるいはその高温部33を外し、単結晶が形成され
たルツボ38を回収する。
【0028】原料として、ZnSe,CdTeやZnS
などのII−VI 族、あるいはInP,GaPやGaAs
などのIII−V 族の化合物では、化合物の構成成分の一
方の蒸気圧が高いので、融点以上の高温に加熱した状態
では融液から高解離圧成分が蒸発して原料化合物の組成
が変動するが、本実施例ではリザーバ72に同成分55
を入れておき、最下段のヒータエレメント14Aを用い
てリザーバ部を加熱して、高温域の原料融液52から蒸
発する高解離圧成分の蒸気圧と平衡する蒸気圧を発生さ
せるようにしているため、原料の成分変動を防止するこ
とができる。この際、リザーバ45の加熱温度を他のヒ
ータエレメントの内で最低温度以下に設定しているた
め、高解離圧成分の蒸気が気密チャンバー内を拡散し、
均圧通路36から流出しても、該蒸気がヒータエレメン
ト14に凝結付着するおそれがない。
【0029】上記説明はVB法を実施する場合である
が、VGF法を実施する場合は、支持ロッド62及び押
し上げロッド63を昇降させることなく、ルツボ38を
一定位置に固定して温度分布を移動させるようにすれば
よい。また、本発明は叙上の実施例に限定されるもので
はなく、適宜の設計変更を行うことができる。例えば、
ヒータエレメントの段数は、図例に限らず適宜の段数を
自由に設定することができる。
【0030】次に、叙上の製造装置によるZnSe単結
晶のVB法による具体的製造実施例について説明する。
下端部に内径2mmφ、長さ40mmの貫通状細管部が形
成された内径25mmφのPBN製のルツボを用い、細
管部の上部にPBNからなる閉塞部材を擦り合わせ状態
で装着し、更にその下に長さ30mmの種結晶を約20
mm装着した。一方、ルツボには、6N(ナイン)グレ
ードのZnSe多結晶原料を約100g装填した。一
方、リザーバにZnを装填した。前記ルツボをルツボ支
持台の上に載置し、気密チャンバーの高温部筒体を装着
した後、下蓋をヒータ支持リングに装着し、高圧容器を
密封した。
【0031】上記準備作業を終えてから、高圧容器の内
部を真空に排気した後、アルゴンガスを充填して放出す
る置換操作を2回行った。次に、アルゴンガスを充填し
てガス圧を4.9MPaとし、細管部の温度勾配が25
℃/cm、原料部が1550℃となるように、各段のヒ
ータエレメントを温度制御して所期の温度分布を形成
し、原料を溶融させた。このとき、リザーバの温度を9
91℃に制御し、ZnSeの組成変動を防止した。
【0032】原料を溶融後、原料部の温度を極めて小さ
い速度で徐冷し、融液の温度を1506℃に下げ、過冷
却状態の融液を形成した。その後、押し上げロッドをゆ
っくりと上昇して、閉塞部材及び種結晶を上方に押し上
げ、閉塞部材を細管部から押し出すと共に種結晶の先端
を融液の下端部に接触させ、種結晶の移動を停止した。
【0033】その後、5mm/hrの速度でルツボを下
降し、原料融液の結晶化が終了したところで、ルツボ全
体を200℃/hrで降温し冷却した。冷却後、アルゴ
ンガスを回収・放出して大気圧とした後、下蓋を開放し
て気密チャンバーからルツボを取り出した。気密チャン
バーの内面は、リザーバの近傍にはZnが液滴状になっ
て集中的に付着していたが、その他の部分は清浄な状態
であった。ルツボから取り出したZnSeは透明な黄色
を呈しており、双晶を含まない高品位の単結晶が得られ
た。
【0034】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の製造方法に
よれば、過冷却状態とした原料融液に種結晶を接触させ
るため、融液温度が相変態以上でも準安定相の結晶化が
可能であり、場合によっては原料融液を相変態点以下の
温度で結晶化させることができるため、ZnSeやZn
SなどのII−VI族をはじめとする、融点からの冷却過程
に相変態を起こす化合物においては、原料融液から低温
相の立方晶結晶の単結晶を直接成長させることができ、
このため固化後の相変態に起因した双晶欠陥の発生を防
止することができ、高品質の単結晶を得ることができ
る。
【0035】また、本発明の製造装置によれば、押し上
げロッドを操作してルツボの細管部に装着した種結晶を
押し上げるだけで、過冷却状態の原料融液に種結晶を容
易に接触させることができ、本発明方法を容易に実施す
ることができる。また、支持ロッドを気密チャンバーの
内部に上下方向に昇降可能に設けることにより、VGF
法のみならずVB法も容易に実施することができ、しか
も気密チャンバー内ではその外部に比して温度分布の安
定性に優れるため、高品質の単結晶を製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる化合物単結晶製造装置の実施例
の断面説明図である。
【図2】ルツボの細管部に閉塞部材及び種結晶を装着し
た状態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 高圧容器 6 下蓋 8 断熱構造体 14、14A ヒータエレメント(14A 蒸発用ヒー
タエレメント) 15 集合ヒータ 16 加熱装置 32 気密チャンバー 38 ルツボ 39 細管部 41 閉塞部材 51 種結晶 52 原料融液 53 隙間 62 支持ロッド 63 押し上げロッド 72 リザーバ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧容器内にヒータエレメントが上下方
    向に複数段列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ
    内に化合物原料を収容するルツボを配置し、前記ヒータ
    エレメントにより上方から下方に渡り高温から低温に推
    移する温度分布を形成し、高圧ガス雰囲気下で前記温度
    分布の結晶成長温度域をルツボの下方から上方へ相対移
    動させることによりルツボ内の原料融液を下方から冷却
    固化して単結晶を成長させる化合物単結晶の製造方法に
    おいて、 前記ルツボ内の化合物原料を溶融した後、原料融液を種
    結晶と接触させることなく徐冷して過冷却状態とし、該
    過冷却状態の原料融液の下端部に種結晶を接触させ、結
    晶成長温度域をルツボの下方から上方へ相対移動させる
    化合物単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 高温相である六方晶から低温相である立
    方晶に相変態する化合物原料を用い、過冷却状態の原料
    融液から立方晶の単結晶を成長させる請求項1に記載し
    た製造方法。
  3. 【請求項3】 高圧容器内にヒータエレメントが上下方
    向に複数段列設された集合ヒータを設け、該集合ヒータ
    内に化合物原料を収容するルツボが配置され、前記ヒー
    タエレメントにより形成された上方から下方に渡り高温
    から低温に推移する温度分布の結晶成長温度域をルツボ
    に対して下方から上方へ相対移動させることによりルツ
    ボ内の原料融液を下方より冷却固化して単結晶を成長さ
    せる化合物単結晶製造装置において、 前記ルツボはその下端部にルツボの内外を上下方向に貫
    通する細管部が形成され、前記高圧容器の内部にはルツ
    ボを支持するための支持ロッドが設けられ、前記細管部
    に装着された種結晶を上方に押し上げるための押し上げ
    ロッドが設けられている化合物単結晶製造装置。
  4. 【請求項4】 細管部に閉塞部材及び該閉塞部材の下方
    に種結晶が装着された請求項3に記載した製造装置。
  5. 【請求項5】 集合ヒータ内にルツボを収容する気密チ
    ャンバーが設けられ、支持ロッドが気密チャンバーの内
    部に昇降自在に設けられ、該支持ロッド内に押し上げロ
    ッドが挿通可能に設けられいる請求項3又は4に記載し
    た製造装置。
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