JPH08127848A - 高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金 - Google Patents
高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金Info
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- JPH08127848A JPH08127848A JP6268602A JP26860294A JPH08127848A JP H08127848 A JPH08127848 A JP H08127848A JP 6268602 A JP6268602 A JP 6268602A JP 26860294 A JP26860294 A JP 26860294A JP H08127848 A JPH08127848 A JP H08127848A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱
合金の提供。 【構成】C:0.02%超え0.10%以下、Si:
1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:28〜38
%、Ni:35〜60%、Ti:0.5%超え1.5%
以下、N:0.05%以下、sol−Al:0.3%超
え1.5%以下、B:0.001〜0.01%、Zr:
0〜0.1%およびNb:0〜1.0%を含有し、さら
にMo:0.5〜3.0%およびW:1.0〜6.0%
のうちの1種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする高温強度に優れた高ク
ロムオーステナイト耐熱合金。この合金はさらに、M
g:0.001〜0.05%およびCa:0.001〜
0.05%のうちの1種以上を含有することができる。 【効果】700℃×1000hrで18kgf/mm2 以上の
クリープ破断強度、および700℃×100hr時効後
で12kgf-m/cm2 以上の靭性が得られる。
合金の提供。 【構成】C:0.02%超え0.10%以下、Si:
1.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:28〜38
%、Ni:35〜60%、Ti:0.5%超え1.5%
以下、N:0.05%以下、sol−Al:0.3%超
え1.5%以下、B:0.001〜0.01%、Zr:
0〜0.1%およびNb:0〜1.0%を含有し、さら
にMo:0.5〜3.0%およびW:1.0〜6.0%
のうちの1種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的
不純物からなることを特徴とする高温強度に優れた高ク
ロムオーステナイト耐熱合金。この合金はさらに、M
g:0.001〜0.05%およびCa:0.001〜
0.05%のうちの1種以上を含有することができる。 【効果】700℃×1000hrで18kgf/mm2 以上の
クリープ破断強度、および700℃×100hr時効後
で12kgf-m/cm2 以上の靭性が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボイラや化学プラント
などの苛酷な高温、腐食環境下で高温強度に優れた高ク
ロムオーステナイト耐熱合金に関する。
などの苛酷な高温、腐食環境下で高温強度に優れた高ク
ロムオーステナイト耐熱合金に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、火力発電プラントにおいては、熱
効率の改善を目的とする超高温高圧ボイラが注目されて
いる。このボイラでは、従来のボイラに比較して蒸気条
件が高温、高圧化されているため、過熱器管材料として
は高温強度や耐食性に対する一段と厳しい要求性能を満
たさなければならない。このため、従来多く使用されて
いる18−8系ステンレス鋼よりも高い高温強度を有
し、かつ耐水蒸気酸化特性や耐高温腐食特性にも優れる
高強度高耐食オーステナイト鋼が要求される。
効率の改善を目的とする超高温高圧ボイラが注目されて
いる。このボイラでは、従来のボイラに比較して蒸気条
件が高温、高圧化されているため、過熱器管材料として
は高温強度や耐食性に対する一段と厳しい要求性能を満
たさなければならない。このため、従来多く使用されて
いる18−8系ステンレス鋼よりも高い高温強度を有
し、かつ耐水蒸気酸化特性や耐高温腐食特性にも優れる
高強度高耐食オーステナイト鋼が要求される。
【0003】一般に、耐食性を改善するためには、鋼中
のCr含有量を高めることが有効である。しかし、例え
ば25%程度のCrを含有するSUS310−STB鋼
にみられるように、600〜700℃での高温強度は1
8−8系ステンレス鋼よりもむしろ低めであり、かつσ
相析出による靭性劣化の問題がある。さらに、25%程
度のCr含有量では、厳しい腐食環境下においては耐食
性が十分ではない。
のCr含有量を高めることが有効である。しかし、例え
ば25%程度のCrを含有するSUS310−STB鋼
にみられるように、600〜700℃での高温強度は1
8−8系ステンレス鋼よりもむしろ低めであり、かつσ
相析出による靭性劣化の問題がある。さらに、25%程
度のCr含有量では、厳しい腐食環境下においては耐食
性が十分ではない。
【0004】比較的、耐食性が良好な合金としては、C
r含有量を30%程度に高めた、例えば特開昭59−1
53858号公報に開示されるような合金があるが、上
述のような厳しい条件下で単管として適用するには高温
強度が不足する。また、二重管とした場合には、製造コ
ストや信頼性の点で問題が多い。
r含有量を30%程度に高めた、例えば特開昭59−1
53858号公報に開示されるような合金があるが、上
述のような厳しい条件下で単管として適用するには高温
強度が不足する。また、二重管とした場合には、製造コ
ストや信頼性の点で問題が多い。
【0005】さらに、Cr含有量を30%程度に高める
一方、Mo、Wを添加することにより強度向上を図った
ものとして、特開昭60−100640号公報、同61
−174350号公報、同61−276948号公報お
よび同64−33532号公報などに開示されるような
耐熱合金があるが、いずれもその強度は十分とはいいが
たい。
一方、Mo、Wを添加することにより強度向上を図った
ものとして、特開昭60−100640号公報、同61
−174350号公報、同61−276948号公報お
よび同64−33532号公報などに開示されるような
耐熱合金があるが、いずれもその強度は十分とはいいが
たい。
【0006】そこで、本発明者らは、Cr含有量を30
%程度に高めた高Cr含有のCr−Ni−Fe系オース
テナイト合金の強度、具体的には高温クリープ破断強度
を、TiとBを複合添加することでCrが富化したbc
c相であるα−Cr相の微細析出促進を図ることによっ
て大幅に向上させた合金を先に特許出願した(特願平6
−9366号)。
%程度に高めた高Cr含有のCr−Ni−Fe系オース
テナイト合金の強度、具体的には高温クリープ破断強度
を、TiとBを複合添加することでCrが富化したbc
c相であるα−Cr相の微細析出促進を図ることによっ
て大幅に向上させた合金を先に特許出願した(特願平6
−9366号)。
【0007】しかし、使用環境のさらなる苛酷化や設備
コスト低減を図るための薄肉化を考えると、上記特願平
6−9366号で提案した合金においても高温強度が十
分でないことが明かとなった。
コスト低減を図るための薄肉化を考えると、上記特願平
6−9366号で提案した合金においても高温強度が十
分でないことが明かとなった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような実状に鑑みなされたもので、より苛酷な高温環
境下においても優れた高温強度を有し、しかも高温腐食
環境下での耐食性にも優れる高クロムオーステナイト耐
熱合金を提供することにある。
のような実状に鑑みなされたもので、より苛酷な高温環
境下においても優れた高温強度を有し、しかも高温腐食
環境下での耐食性にも優れる高クロムオーステナイト耐
熱合金を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の
(1)および(2)の高クロムオーステナイト耐熱合金
にある。
(1)および(2)の高クロムオーステナイト耐熱合金
にある。
【0010】(1) 重量%で、C:0.02%超え
0.10%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%
以下、Cr:28〜38%、Ni:35〜60%、T
i:0.5%超え1.5%以下、N:0.05%以下、
sol−Al:0.3%超え1.5%以下、B:0.0
01〜0.01%、Zr:0〜0.1%およびNb:0
〜1.0%を含有し、さらにMo:0.5〜3.0%お
よびW:1.0〜6.0%のうちの1種以上を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合
金。
0.10%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%
以下、Cr:28〜38%、Ni:35〜60%、T
i:0.5%超え1.5%以下、N:0.05%以下、
sol−Al:0.3%超え1.5%以下、B:0.0
01〜0.01%、Zr:0〜0.1%およびNb:0
〜1.0%を含有し、さらにMo:0.5〜3.0%お
よびW:1.0〜6.0%のうちの1種以上を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴と
する高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合
金。
【0011】(2) 上記(1)の成分に加えてさら
に、重量%で、Mg:0.001〜0.05%およびC
a:0.001〜0.05%のうちの1種以上を含有す
る高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。
に、重量%で、Mg:0.001〜0.05%およびC
a:0.001〜0.05%のうちの1種以上を含有す
る高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。
【0012】上記(1)において、ZrおよびNbは無
添加でもよい。これらを積極的に添加する場合、その含
有量の範囲は、Zrで0.01〜0.1%、Nbで0.
1〜1.0%とするのが望ましい。
添加でもよい。これらを積極的に添加する場合、その含
有量の範囲は、Zrで0.01〜0.1%、Nbで0.
1〜1.0%とするのが望ましい。
【0013】前記のようなより苛酷な高温腐食環境下で
十分な耐食性を得るためには、28%以上のCrを含有
させることが必要である。このような高Cr含有のCr
−Ni−Fe系合金においては、所定のNi含有量の範
囲で、Crが富化したbcc相であるα−Cr相が析出
し、高温強度、特に高温クリープ強度に影響を及ぼす。
十分な耐食性を得るためには、28%以上のCrを含有
させることが必要である。このような高Cr含有のCr
−Ni−Fe系合金においては、所定のNi含有量の範
囲で、Crが富化したbcc相であるα−Cr相が析出
し、高温強度、特に高温クリープ強度に影響を及ぼす。
【0014】本発明者らは、前記の従来の高Cr含有オ
ーステナイト合金のクリープ破断強度の飛躍的な向上を
目指して鋭意研究を行った結果、次の〜に示す知見
を得た。
ーステナイト合金のクリープ破断強度の飛躍的な向上を
目指して鋭意研究を行った結果、次の〜に示す知見
を得た。
【0015】 TiとBとの複合添加は、クリープ破
断強度を著しく向上させる。これは、Tiがα−Cr相
析出を促進し、さらにBが炭化物の微細析出を促進、安
定化させてα−Cr相の成長を抑制し、長時間使用によ
ってもα−Cr相が粗大化することがないためである。
断強度を著しく向上させる。これは、Tiがα−Cr相
析出を促進し、さらにBが炭化物の微細析出を促進、安
定化させてα−Cr相の成長を抑制し、長時間使用によ
ってもα−Cr相が粗大化することがないためである。
【0016】 0.3%超のsol−Alの含有は、
クリープ破断強度を大きく向上させる。これは、多量の
sol−Alがα−Cr相の固溶限を狭め、α−Cr相
の析出を一層促進するとともに、γ' 相を析出させ、こ
れが高温強度の向上に大きく寄与するためである。
クリープ破断強度を大きく向上させる。これは、多量の
sol−Alがα−Cr相の固溶限を狭め、α−Cr相
の析出を一層促進するとともに、γ' 相を析出させ、こ
れが高温強度の向上に大きく寄与するためである。
【0017】 Ti、Bおよびsol−Alを適正な
量で複合添加することにより、特開昭60−10064
0号公報などに開示される合金および本発明者らが先に
特許出願した合金を遥かにしのぐ高温強度を有する高耐
食合金を得ることができる。
量で複合添加することにより、特開昭60−10064
0号公報などに開示される合金および本発明者らが先に
特許出願した合金を遥かにしのぐ高温強度を有する高耐
食合金を得ることができる。
【0018】
【作用】以下、本発明の合金を構成する成分の作用効果
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。なお、以下において%は重量%を意味する。
と、その適正含有量を前記のように定めた理由について
説明する。なお、以下において%は重量%を意味する。
【0019】C:0.02%超え0.10%以下 Cは、炭化物を形成して耐熱合金として必要な引張強さ
やクリープ破断強度を向上させるために有効な元素であ
る。C含有量が0.02%以下ではこれらの所望の効果
が得れない。一方、0.10%を超えると合金の延性お
よび靭性の低下が大きくなる。従って、C含有量は0.
02%超え0.10%以下とした。
やクリープ破断強度を向上させるために有効な元素であ
る。C含有量が0.02%以下ではこれらの所望の効果
が得れない。一方、0.10%を超えると合金の延性お
よび靭性の低下が大きくなる。従って、C含有量は0.
02%超え0.10%以下とした。
【0020】Si:1.0%以下 Siは、脱酸のために必要な元素であるとともに、耐酸
化性改善にも寄与する元素である。しかし、Siが1.
0%を超えて過剰に存在すると、溶接性や組織安定性が
悪化する。従って、Si含有量は1.0以下%とした。
好ましくは0.5%以下である。なお、脱酸および耐酸
化性改善の効果を確実に得るためには、0.05%以上
含有させるのが望ましい。
化性改善にも寄与する元素である。しかし、Siが1.
0%を超えて過剰に存在すると、溶接性や組織安定性が
悪化する。従って、Si含有量は1.0以下%とした。
好ましくは0.5%以下である。なお、脱酸および耐酸
化性改善の効果を確実に得るためには、0.05%以上
含有させるのが望ましい。
【0021】Mn:2.0%以下 Mnは、脱酸のために必要な元素である。しかし、Mnが
2.0%を超えて存在すると耐熱特性が劣化する。従っ
て、Mn含有量は2.0%以下とした。好ましくは1.
0%以下である。
2.0%を超えて存在すると耐熱特性が劣化する。従っ
て、Mn含有量は2.0%以下とした。好ましくは1.
0%以下である。
【0022】なお、脱酸および組織安定化の効果を確実
に得るためには、0.1%以上含有させるのが望まし
い。
に得るためには、0.1%以上含有させるのが望まし
い。
【0023】Cr:28〜38% Crは、耐酸化性、耐水蒸気酸化性あるいは耐高温腐食
性等の耐食性改善に優れた作用を発揮し、さらに本発明
においては高温強度を担うα−Cr相を形成する重要な
元素である。しかし、その含有量が28%未満ではこれ
らの所望の効果が得られない。一方、38%を超えると
加工性の劣化や組織の不安定化を招く。
性等の耐食性改善に優れた作用を発揮し、さらに本発明
においては高温強度を担うα−Cr相を形成する重要な
元素である。しかし、その含有量が28%未満ではこれ
らの所望の効果が得られない。一方、38%を超えると
加工性の劣化や組織の不安定化を招く。
【0024】従って、Cr含有量は28〜38%とし
た。
た。
【0025】Ni:35〜60% Niは、安定なオーステナイト組織を得るために必要不
可欠な元素である。さらにα−Cr相の析出を抑制する
作用を有する元素でもある。しかし、その含有量が35
%未満であると、オーステナイト組織の確保が不安定に
なる。一方、60%を超えるとα−Cr相の析出が抑制
され、高温強度が不足する上に経済的にも多大な不利を
招く。従って、Ni含有量は35〜60%とした。好ま
しくは、40〜58%である。
可欠な元素である。さらにα−Cr相の析出を抑制する
作用を有する元素でもある。しかし、その含有量が35
%未満であると、オーステナイト組織の確保が不安定に
なる。一方、60%を超えるとα−Cr相の析出が抑制
され、高温強度が不足する上に経済的にも多大な不利を
招く。従って、Ni含有量は35〜60%とした。好ま
しくは、40〜58%である。
【0026】Ti:0.5%超え1.5%以下 Tiは、高温強度の向上に有効なα−Cr相の析出に大
きな影響を及ぼす重要な元素である。Tiを含有させる
とα−Cr相の析出が促進される。十分な高温強度が得
られるα−Cr相量を確保するには、0.5%を超える
Ti含有量が必要である。一方、1.5%を超えるとα
−Cr相の析出が過多となって、破断延性の低下による
破断寿命の低下が現れるのに加え、長時間使用後の靭性
を阻害する。従って、Ti含有量は0.5%超え1.5
%以下とした。好ましくは、0.5〜0.9%である。
きな影響を及ぼす重要な元素である。Tiを含有させる
とα−Cr相の析出が促進される。十分な高温強度が得
られるα−Cr相量を確保するには、0.5%を超える
Ti含有量が必要である。一方、1.5%を超えるとα
−Cr相の析出が過多となって、破断延性の低下による
破断寿命の低下が現れるのに加え、長時間使用後の靭性
を阻害する。従って、Ti含有量は0.5%超え1.5
%以下とした。好ましくは、0.5〜0.9%である。
【0027】N:0.05%以下 Nは、高温強度を改善するとともに、オーステナイト組
織を安定化する作用を有する元素である。このため、高
価な元素であるNiの一部として代替するのに有効であ
る。しかし、0.05%を超えて存在すると高温長時間
使用時に窒化物が析出し、長時間使用後の靭性の低下を
もたらす。従って、N含有量は0.05%以下とした。
好ましくは、0.03%以下である。
織を安定化する作用を有する元素である。このため、高
価な元素であるNiの一部として代替するのに有効であ
る。しかし、0.05%を超えて存在すると高温長時間
使用時に窒化物が析出し、長時間使用後の靭性の低下を
もたらす。従って、N含有量は0.05%以下とした。
好ましくは、0.03%以下である。
【0028】sol−Al:0.3%超え1.5%以下 Alは、一般的には脱酸元素として含有させるが、本発
明においてはクリープ破断強度を大きく改善する目的で
Alを多量に含有させる。すなわち、Alを多量に含有
させると、高温強度の向上に有効なα−Cr相の固溶限
を狭めてα−Cr相の析出が促進されるとともにγ' 相
が析出し、これが高温強度向上に大きく寄与する。しか
し、その効果を得るためには0.3%以上のsol−A
lが必要であり、一方1.5%を超えると靭性が著しく
低下する。従って、sol−Al含有量は0.3%超え
1.5%とした。好ましくは、0.5〜1.3%であ
る。
明においてはクリープ破断強度を大きく改善する目的で
Alを多量に含有させる。すなわち、Alを多量に含有
させると、高温強度の向上に有効なα−Cr相の固溶限
を狭めてα−Cr相の析出が促進されるとともにγ' 相
が析出し、これが高温強度向上に大きく寄与する。しか
し、その効果を得るためには0.3%以上のsol−A
lが必要であり、一方1.5%を超えると靭性が著しく
低下する。従って、sol−Al含有量は0.3%超え
1.5%とした。好ましくは、0.5〜1.3%であ
る。
【0029】B:0.001〜0.01% Bは、クリープ破断強度の改善に有効な元素である。B
によって炭化物の微細析出が促進、安定化され、高温強
度の向上に大きく寄与するとともに、微細析出した炭化
物によってα−Cr相の成長が抑制され、長時間使用後
もα−Cr相が粗大化しなくなる。しかし、その含有量
が0.001%未満では、この効果が得られない。一
方、0.01%を超えるとクリープ破断強度が低下し、
溶接性も劣化する。従って、B含有量は0.001〜
0.01%とした。好ましくは、0.002〜0.00
6%である。
によって炭化物の微細析出が促進、安定化され、高温強
度の向上に大きく寄与するとともに、微細析出した炭化
物によってα−Cr相の成長が抑制され、長時間使用後
もα−Cr相が粗大化しなくなる。しかし、その含有量
が0.001%未満では、この効果が得られない。一
方、0.01%を超えるとクリープ破断強度が低下し、
溶接性も劣化する。従って、B含有量は0.001〜
0.01%とした。好ましくは、0.002〜0.00
6%である。
【0030】MoおよびW:Moは0.5〜3.0%、
Wは1.0〜6.0% MoおよびWは、主として固溶強化元素として有効であ
り、クリープ破断強度を向上させる。しかし、その含有
量がMoでは0.5%未満、Wでは1.0%未満である
とこれらの効果が得られない。一方、Mo含有量が3.
0%を、W含有量が6.0%を超えると、耐食性、加工
性が劣化する。従って、Mo含有量は0.5〜3.0
%、W含有量は1.0〜6.0%とした。好ましい、M
o含有量は1.0〜2.5%、W含有量は2.0〜5.
0%である。
Wは1.0〜6.0% MoおよびWは、主として固溶強化元素として有効であ
り、クリープ破断強度を向上させる。しかし、その含有
量がMoでは0.5%未満、Wでは1.0%未満である
とこれらの効果が得られない。一方、Mo含有量が3.
0%を、W含有量が6.0%を超えると、耐食性、加工
性が劣化する。従って、Mo含有量は0.5〜3.0
%、W含有量は1.0〜6.0%とした。好ましい、M
o含有量は1.0〜2.5%、W含有量は2.0〜5.
0%である。
【0031】これらの元素は、1種だけを選んで含有さ
せてもよいし、2種複合して含有させてもよい。ただ
し、2種併用する場合には、合計含有量を[Mo+(1
/2)W]で3.0%以下に抑えるのが望ましい。
せてもよいし、2種複合して含有させてもよい。ただ
し、2種併用する場合には、合計含有量を[Mo+(1
/2)W]で3.0%以下に抑えるのが望ましい。
【0032】本発明合金は、上記の成分の他に、さらに
以下に述べる成分を含有することができる。
以下に述べる成分を含有することができる。
【0033】Zr:上限0.1% Zrは、主として合金の粒界を強化してクリープ破断強
度を向上させる作用を有するので、この効果を得たい場
合に、必要に応じて含有させる。その効果は、Zr含有
量が0.01%以上で得られるので、含有させる場合に
は0.01%以上、好ましくは0.02%以上とするの
が望ましい。しかし、その含有量が0.1%を超えると
逆にクリープ破断強度が低下し、溶接性も劣化する。従
って、Zrを含有させる場合の上限は、0.1%とし
た。好ましい上限は0.06%である。
度を向上させる作用を有するので、この効果を得たい場
合に、必要に応じて含有させる。その効果は、Zr含有
量が0.01%以上で得られるので、含有させる場合に
は0.01%以上、好ましくは0.02%以上とするの
が望ましい。しかし、その含有量が0.1%を超えると
逆にクリープ破断強度が低下し、溶接性も劣化する。従
って、Zrを含有させる場合の上限は、0.1%とし
た。好ましい上限は0.06%である。
【0034】Nb:上限1.0% Nbは、結晶粒を微細化し、延性を向上させるととも
に、オーステナイト相中やCr炭化物中に固溶してクリ
ープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの
効果を得たい場合に、必要に応じて含有させる。その効
果は、Nb含有量が0.1%以上で得られるので、含有
させる場合には0.1%以上、好ましくは0.2%以上
とするのが望ましい。しかし、その含有量が1.0%を
超えると靭性の劣化を招く。従って、Nbを含有させる
場合の上限は、1.0%とした。好ましい上限は0.8
%である。
に、オーステナイト相中やCr炭化物中に固溶してクリ
ープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの
効果を得たい場合に、必要に応じて含有させる。その効
果は、Nb含有量が0.1%以上で得られるので、含有
させる場合には0.1%以上、好ましくは0.2%以上
とするのが望ましい。しかし、その含有量が1.0%を
超えると靭性の劣化を招く。従って、Nbを含有させる
場合の上限は、1.0%とした。好ましい上限は0.8
%である。
【0035】MgおよびCa:上限は、いずれも0.0
5% MgおよびCaは、熱間加工性を改善するのに有効な元
素であり、この効果を得たい場合に、必要に応じて含有
させる。その効果は、いずれの元素も、その含有量が
0.001%以上で得られるので、含有させる場合に
は、いずれの元素も0.001%以上、好ましくは0.
002%以上とするのが望ましい。しかし、いずれの元
素もその含有量が0.05%を超えると逆に加工性を劣
化させる。従って、MgおよびCaを含有させる場合の
上限は、いずれの元素も0.05%とした。好ましい上
限は、いずれの元素も0.02%である。
5% MgおよびCaは、熱間加工性を改善するのに有効な元
素であり、この効果を得たい場合に、必要に応じて含有
させる。その効果は、いずれの元素も、その含有量が
0.001%以上で得られるので、含有させる場合に
は、いずれの元素も0.001%以上、好ましくは0.
002%以上とするのが望ましい。しかし、いずれの元
素もその含有量が0.05%を超えると逆に加工性を劣
化させる。従って、MgおよびCaを含有させる場合の
上限は、いずれの元素も0.05%とした。好ましい上
限は、いずれの元素も0.02%である。
【0036】これらの元素は、1種だけを選んで含有さ
せてもよいし、2種複合して含有させてもよい。ただ
し、2種併用する場合には、合計含有量を0.05%以
下、好ましくは0.02%以下に抑えるのが望ましい。
せてもよいし、2種複合して含有させてもよい。ただ
し、2種併用する場合には、合計含有量を0.05%以
下、好ましくは0.02%以下に抑えるのが望ましい。
【0037】
【実施例】表1および表2に示す化学組成の38種類の
合金を高周波真空溶解炉で溶製して得た20kgの各イ
ンゴットを鍛造、冷間圧延し、さらに1200℃で固溶
化熱処理を施した供試材から、各試験片を作製し、クリ
ープ破断強度と時効後のシャルピー衝撃試験を行った。
合金を高周波真空溶解炉で溶製して得た20kgの各イ
ンゴットを鍛造、冷間圧延し、さらに1200℃で固溶
化熱処理を施した供試材から、各試験片を作製し、クリ
ープ破断強度と時効後のシャルピー衝撃試験を行った。
【0038】クリープ破断試験は、外径6mm、標点間
距離30mmの試験片を用いて700℃で行い、100
0時間の破断強度を求めた。また、時効後のシャルピー
衝撃試験は、700℃、100時間の条件で時効処理し
た供試材から採取した厚さ5mm×幅10mm×長さ5
5mmで2mmVノッチを形成した衝撃試験片を用いて
0℃で行った。
距離30mmの試験片を用いて700℃で行い、100
0時間の破断強度を求めた。また、時効後のシャルピー
衝撃試験は、700℃、100時間の条件で時効処理し
た供試材から採取した厚さ5mm×幅10mm×長さ5
5mmで2mmVノッチを形成した衝撃試験片を用いて
0℃で行った。
【0039】その結果を、表1および表2に併せて示
す。なお、合金 No.1〜23は本発明例、合金 No.A〜
Oは比較例で、そのうち、合金 No.E〜Hは特願平6−
9366号の発明合金、合金 No.I〜Kは特開昭61−
174350号公報に開示される従来合金、合金 No.L
〜Oは特開昭61−276948号公報に開示される従
来合金である。
す。なお、合金 No.1〜23は本発明例、合金 No.A〜
Oは比較例で、そのうち、合金 No.E〜Hは特願平6−
9366号の発明合金、合金 No.I〜Kは特開昭61−
174350号公報に開示される従来合金、合金 No.L
〜Oは特開昭61−276948号公報に開示される従
来合金である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】図1はクリープ破断強度に及ぼすsol−
Al含有量の影響を示す図であり、図2は時効後のシャ
ルピー衝撃値(靭性)に及ぼすsol−Al含有量の影
響を示す図である。この図1および図2から、sol−
Al含有量が0.3%を超えるとクリープ破断強度が顕
著に向上するが、1.5%を超えて含有させてもその効
果がほぼ飽和する反面、シャルピー衝撃値(靭性)が著
しく低下することが明かである。
Al含有量の影響を示す図であり、図2は時効後のシャ
ルピー衝撃値(靭性)に及ぼすsol−Al含有量の影
響を示す図である。この図1および図2から、sol−
Al含有量が0.3%を超えるとクリープ破断強度が顕
著に向上するが、1.5%を超えて含有させてもその効
果がほぼ飽和する反面、シャルピー衝撃値(靭性)が著
しく低下することが明かである。
【0043】図3は、表1および表2の結果から、代表
的な本発明例の合金(No. 5、13、17、19)と、
比較例の合金(No. E、F、G、H、I、J、K、L、
M、N、O)とについて、sol−Alを除く化学組成
がほぼ同じ組成の合金のクリープ破断強度を対比して示
した図である。この図3から明らかなように、本発明の
合金は、TiとBを複合含有していてもsol−Al含
有量が0.3%以下である比較例の合金(No. E〜H)
に比べてクリープ破断強度が大きく向上していることが
わかる。さらに、0.5%までのsol−Alを含有し
ていても、Ti含有量が0.5%以下である比較例の合
金(No. I〜K)や、sol−Al含有量が0.3%以
下で、しかもBを含有していない比較例の従来合金(N
o. L〜O)に比べて非常に高いクリープ破断強度を示
していることがわかる。
的な本発明例の合金(No. 5、13、17、19)と、
比較例の合金(No. E、F、G、H、I、J、K、L、
M、N、O)とについて、sol−Alを除く化学組成
がほぼ同じ組成の合金のクリープ破断強度を対比して示
した図である。この図3から明らかなように、本発明の
合金は、TiとBを複合含有していてもsol−Al含
有量が0.3%以下である比較例の合金(No. E〜H)
に比べてクリープ破断強度が大きく向上していることが
わかる。さらに、0.5%までのsol−Alを含有し
ていても、Ti含有量が0.5%以下である比較例の合
金(No. I〜K)や、sol−Al含有量が0.3%以
下で、しかもBを含有していない比較例の従来合金(N
o. L〜O)に比べて非常に高いクリープ破断強度を示
していることがわかる。
【0044】これは、本発明で定める成分組成範囲にお
いては、TiとBの複合添加がα−Cr相の微細析出を
促進し、かつ粗大化を抑制していること、適正量のso
l−Alを含有させることによってγ' 相が析出して高
温強度向上に大きく寄与していること、およびこのso
l−Alがα−Cr相の固溶限を狭めてα−Cr相の析
出を一層促進していることによる。
いては、TiとBの複合添加がα−Cr相の微細析出を
促進し、かつ粗大化を抑制していること、適正量のso
l−Alを含有させることによってγ' 相が析出して高
温強度向上に大きく寄与していること、およびこのso
l−Alがα−Cr相の固溶限を狭めてα−Cr相の析
出を一層促進していることによる。
【0045】
【発明の効果】本発明の高クロムオーステナイト耐熱合
金は、より苛酷な高温環境下においても優れたクリープ
破断強度を有する合金である。また、本発明合金は高C
r含有合金であるので、苛酷な高温腐食環境下での耐食
性にも優れている。この合金による単管は、従来合金に
よる二重管よりもコスト的に有利で、しかも信頼性が高
い。
金は、より苛酷な高温環境下においても優れたクリープ
破断強度を有する合金である。また、本発明合金は高C
r含有合金であるので、苛酷な高温腐食環境下での耐食
性にも優れている。この合金による単管は、従来合金に
よる二重管よりもコスト的に有利で、しかも信頼性が高
い。
【図1】クリープ破断強度に及ぼすsol−Al含有量
の影響を示す図である。
の影響を示す図である。
【図2】時効後のシャルピー衝撃値に及ぼすsol−A
l含有量の影響を示す図である。
l含有量の影響を示す図である。
【図3】代表的な本発明合金と従来合金のクリープ破断
強度を対比して示す図である。
強度を対比して示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、C:0.02%超え0.10%
以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、C
r:28〜38%、Ni:35〜60%、Ti:0.5
%超え1.5%以下、N:0.05%以下、sol−A
l:0.3%超え1.5%以下、B:0.001〜0.
01%、Zr:0〜0.1%およびNb:0〜1.0%
を含有し、さらにMo:0.5〜3.0%およびW:
1.0〜6.0%のうちの1種以上を含有し、残部はF
eおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高温
強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。 - 【請求項2】請求項1に記載の成分に加えてさらに、重
量%で、Mg:0.001〜0.05%およびCa:
0.001〜0.05%のうちの1種以上を含有する高
温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6268602A JPH08127848A (ja) | 1994-11-01 | 1994-11-01 | 高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6268602A JPH08127848A (ja) | 1994-11-01 | 1994-11-01 | 高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08127848A true JPH08127848A (ja) | 1996-05-21 |
Family
ID=17460821
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6268602A Pending JPH08127848A (ja) | 1994-11-01 | 1994-11-01 | 高温強度に優れた高クロムオーステナイト耐熱合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08127848A (ja) |
Cited By (16)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| FR2845098A1 (fr) * | 2002-09-26 | 2004-04-02 | Framatome Anp | Alliage a base de nickel pour la soudure electrique d'alliages de nickel et d'aciers fil de soudage et utilisation |
| WO2009154161A1 (ja) | 2008-06-16 | 2009-12-23 | 住友金属工業株式会社 | オーステナイト系耐熱合金ならびにこの合金からなる耐熱耐圧部材とその製造方法 |
| WO2010038826A1 (ja) | 2008-10-02 | 2010-04-08 | 住友金属工業株式会社 | Ni基耐熱合金 |
| WO2011071054A1 (ja) | 2009-12-10 | 2011-06-16 | 住友金属工業株式会社 | オーステナイト系耐熱合金 |
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| WO2013021853A1 (ja) | 2011-08-09 | 2013-02-14 | 新日鐵住金株式会社 | Ni基耐熱合金 |
| WO2013073423A1 (ja) | 2011-11-15 | 2013-05-23 | 新日鐵住金株式会社 | 継目無オーステナイト系耐熱合金管 |
| WO2013118585A1 (ja) | 2012-02-08 | 2013-08-15 | 新日鐵住金株式会社 | 二重管およびそれを用いた溶接構造体 |
| WO2013183670A1 (ja) | 2012-06-07 | 2013-12-12 | 新日鐵住金株式会社 | Ni基合金 |
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| US11098389B2 (en) | 2014-02-04 | 2021-08-24 | Vdm Metals International Gmbh | Hardened nickel-chromium-titanium-aluminum alloy with good wear resistance, creep resistance, corrosion resistance and workability |
| CN116288029A (zh) * | 2023-01-06 | 2023-06-23 | 清华大学 | 轻质超高强度奥氏体不锈钢及其制备方法 |
-
1994
- 1994-11-01 JP JP6268602A patent/JPH08127848A/ja active Pending
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| US8293169B2 (en) | 2008-10-02 | 2012-10-23 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Ni-base heat resistant alloy |
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| WO2011071054A1 (ja) | 2009-12-10 | 2011-06-16 | 住友金属工業株式会社 | オーステナイト系耐熱合金 |
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| KR20140034928A (ko) | 2011-08-09 | 2014-03-20 | 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 | Ni기 내열 합금 |
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