JPH08131165A - 新規なグリセロールキナーゼおよびその製造法 - Google Patents

新規なグリセロールキナーゼおよびその製造法

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JPH08131165A
JPH08131165A JP28042594A JP28042594A JPH08131165A JP H08131165 A JPH08131165 A JP H08131165A JP 28042594 A JP28042594 A JP 28042594A JP 28042594 A JP28042594 A JP 28042594A JP H08131165 A JPH08131165 A JP H08131165A
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glycerol
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晋治 古賀
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 70℃、10分間の熱処理で80%以上の活
性を保持することを特徴とするグリセロールキナーゼ、
およびフラボバクテリウム属に属するグリセロールキナ
ーゼ生産菌を培地に培養し、その培養物からグリセロー
ルキナーゼを採取してなるグリセロールキナーゼの製造
法。 【効果】 熱安定性の良いグリセロールキナーゼおよび
その微生物学的製造法を提供できるものであり、本酵素
を用いるグリセライドやリパーゼ活性などの測定のため
の有用かつ熱安定性の良い液状化試薬を可能とする測定
用酵素を提供できた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は70℃、10分間の熱処
理で80%以上の活性を保持することを特徴とするグリ
セロールキナーゼ(Glycerol kinase)
およびフラボバクテリウム(Flavobacteri
um)属に属するグリセロールキナーゼ生産菌を培地に
培養し、その培養物からグリセロールキナーゼを採取し
てなるグリセロールキナーゼの製造法に関する。
【0002】
【従来技術】グリセロールキナーゼはグリセロールを基
質としてグリセロール1モルおよびATP1モルから1
モルのADPおよび1モルのグリセロール−3−リン酸
を生成する反応を触媒する酵素(酵素番号2.7.1.
30)として知られており(酵素ハンドブック341〜
342頁、(株)朝倉書店、1982年発行)、また、
グリセロールキナーゼ生産菌としては従来からストレプ
トマイセス・キャナス(特開昭55−162987号公
報)、セルロモナス・エスピー(特開昭56−1214
84号公報)、バチルス・ステアロサーモフィラス(特
開昭53−26389号公報)、アルスロバクター・エ
スピー(特開昭59−2688号公報)などが知られて
おり、臨床診断薬の分野で使用されている。
【0003】また、本発明者らは臨床診断薬分野におい
て優れたグリセロールキナーゼをスクリーニングしたと
ころセラチア・マセセンス・IFO−3736株、シュ
ードモナス・フルオレッセンス・IFO−3925株、
シュードモナス・プチダ・IFO−12653株を後述
する参考例の培地にて培養したところ、それぞれ、0.
5U/ml、0.8U/ml、1.30U/mlの培養
力価でグリセロールキナーゼを生産することを見い出し
たが、いずれもKm値や熱安定性に優れるものではなか
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】グリセロールキナーゼ
は従来、臨床診断薬分野、例えばリパーゼまたはグリセ
リドの存在下にグリセロール−3−リン酸オキシダーゼ
やグリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼと組み合
わせてグリセリドまたはリパーゼ活性の測定試薬に使用
され、その他同様の酵素反応によりグリセロールの測定
試薬などに使用されてきた。
【0005】しかし、近年、臨床診断薬分野では試薬を
凍結乾燥品ではなく、液状で製品とすることが求められ
ており、液状化試薬に対応できるような保存安定性の優
れたグリセロールキナーゼや工業生産に対応できるよう
な熱安定性の優れたグリセロールキナーゼの開発が望ま
れていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱安定性
が優れ、さらに、好適には液状化試薬に対応できる安定
性の優れたグリセロールキナーゼおよびその工業的生産
の可能な製造法を求めて鋭意研究を重ねた結果、静岡県
田方郡大仁町の畑土壌から単離したフラボバクテリウム
・メニンゴセプティクムGK−54株と同定した微生物
が安定性の優れたグリセロールキナーゼの生産能を有す
ることを初めて見いだし、本発明を完成した。
【0007】本発明は上記の知見に基づいて完成された
もので、70℃、10分の熱処理で80%以上の活性を
保持する熱安定性の良いグリセロールキナーゼ、また好
適には安定化剤を添加せず、37℃、2週間で80%以
上の活性を保持する保存安定性の良いグリセロールキナ
ーゼおよびフラボバクテリウム属に属するグリセロール
キナーゼ生産菌を培地に培養し、その培養物からグリセ
ロールキナーゼを採取することを特徴とするグリセロー
ルキナーゼの製造法である。
【0008】以下に本発明について詳細に説明する。ま
ず、本発明のグリセロールキナーゼ生産菌について、フ
ラボバクテリウム属に属するグリセロールキナーゼを生
産する能力を有する微生物であれば何ら限定されるもの
ではなく、グリセロールキナーゼ生産能を有する変種や
変異株であってもよく、好ましくはフラボバクテリウム
属に属するGK−54株が挙げられる。本菌株の菌学的
性質を示すと次の通りである。
【0009】なお、本菌株の同定に当たっては、同定実
験は医学細菌同定の手引(第2版)、Microbio
logical Methods(3巻)に準じて行
い、実験結果を医学細菌同定の手引(第2版)、Ber
gey’s Manual of Systemati
c Bacteriology Vol.1,Vol.
2,Vol.3、Int.J.Syst.Bacter
iologyに対比して同定を行った。
【0010】生育の特徴 普通寒天平板培地 線上に良好に生育する。表面は滑らか。縁は丸い。黄色
〜オレンジ色を呈する。不透明。光沢あり。 普通寒天斜面培地 線上に良好に生育する。表面は滑らか。縁は丸い。黄色
〜オレンジ色を呈する。不透明。光沢あり。 液体培地 生育良好で一様に生育する。 リトマスミルク培地およびBCP培地 リトマスを還元しないが、液化および凝固が観察され
た。 DNAのGCmol% 35.7±1.0%(HPLC) 主たるイソプレノイドキノン MK−6 形態の特徴 単独で端の丸いまっすぐな長桿菌で大きさは0.4〜
0.7X1.8〜2.5μm。運動性はない。芽胞非形
成。 生理、生化学的性状 グラム染色 − KOH反応テスト + 抗酸性染色 − OFテスト(Hugh−Leifson) 0 OFテスト(N源にNH4 2 PO4 ) 0 好気での生育 + 嫌気での生育 − 生育温度12.3℃ − 16.0℃ + 40.4℃ + 43.6℃ − 至適温度は25〜39℃ 食塩耐性0% + 3.0% + 5.0% − 生育pH4.40 − 4.76 + 10.41 + 10.80 − 至適pHは7.5〜8.0 ゼラチン分解 + デンプン分解 − カゼイン分解 + エスクリン分解 + セルロース分解 − チロシン分解 − アルギニン分解 − Tween80分解 − カタラーゼ産生 + オキシダーゼ産生 + フォスファターゼ産生 + ウレアーゼ産生(SSR) − ウレアーゼ産生(Chris.) − インドール産生 − 硫化水素産生(TSI) − DNase産生 + アセトイン産生 − MRテスト − LV反応テスト − 硝酸塩還元テスト − 亜硝酸塩還元テスト + シモンズ培地での利用性 クエン酸塩 − リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 − グルコン酸塩 − コハク酸塩 − クリステンゼン培地での利用性 クエン酸塩 (+) リンゴ酸塩 − マレイン酸塩 − マロン酸塩 − プロピオン酸塩 + グルコン酸塩 − コハク酸塩 − グルコースよりガス産生 − 糖より酸の産生 アドニトール − L(+)−アラビノース − セロビオース − ズルシトール − メソ−エリスリトール − フルクトース + D−フコース + D−ガラクトース − D−グルコース + グリセロール + イノシトール − イヌリン − ラクトース + マルトース + マンニトール + マンノース + メレジトース − メリビオース + ラフィノース − L(+)−ラムノース − D−リボース − サリシン − L−ソルボース − ソルビトール − スターチ + サッカロース − トレハロース + D−キシロース − エタノール(3%) + 色素の産生 フルオレッセンを産生 PHBの蓄積 − 無機窒素源の利用 硝酸塩 − アンモニウム塩 + 以上のように本菌株の主性状はグラム陰性の桿菌で非運
動性であり、カタラーゼ、オキシダーゼ、フォスファタ
ーゼ陽性でグルコースを酸化的に分解し、酸を産生し、
GCmol%は35.7±1.0%、キノンタイプはM
K−6、芽胞非形成であり、これらの主性状をBerg
ey’s Manual of Systematic
Bacteriology Vol.1,Vol.
2,Vol.3に対比した結果、フラボバクテリウム属
に属する微生物と判明した。そこで、フラボバクテリウ
ム属の中から本菌株と似た4菌種を選び本菌株と比較し
た。 A;フラボバクテリウム・ブレブ(Flavobact
erium breve)。 B;フラボバクテリウム・グレウム(Flavobac
terium gleum)。 C;フラボバクテリウム・インドロゲネス(Flavo
bacterium indologenes)。 D;フラボバクテリウム・メニンゴセプティクム(Fl
avobacterium meningosepti
cum)。
【0011】 A B C D 本菌 GC含量(%) 32.4 37.6 33.8 37.0 35.7 ±0.6 ±1.0 ±0.5 ±1.0 カゼイン分解 + + + + + エスクリン分解 − + + + + インドール産生 + + + d − 硝酸還元 − d − d − ウレアーゼ産生 − d − d − 5℃での生育 − − + − − 糖の資化性 グルコース + + + + + アラビノース − + − d − セロビオース − − − − − エタノール − − − d + フルクトース − + − d + グリセロール − d − d + ラクトース − − − d + マルトース d + + + + マンニトール − − − d + ラフィノース − − − − − サリシン − − − − − サッカロース − − − − − トレハロース − + − d + キシロース − d − − − (+:90%以上が陽性、d:11〜89%が陽性、−:90%以上が陰性) 性状の比較から本菌株はフラボバクテリウム・メニンゴ
セプティクムに属すると判断された。さらに、DNA−
DNAハイブリダイゼイション法によりDNA相同性
(similarity)測定を行った。測定方法はマ
イクロプレートを用いて蛍光法により分光光学的に定量
測定を行った。また、ハイブリダイゼイションの反応温
度はGC含量からDNAの融解温度を計算し40℃で行
った。比較対象として以下の菌株を用いて行った。 No.1株:フラボバクテリウム・ブレブIFO−14
93株:タイプカルチャー(Flavobacteri
um breveIFO−1493:タイプカルチャ
ー)。 No.2株:フラボバクテリウム・グレウムIFO−1
5054株:タイプカルチャー(Flavobacte
rium gleum IFO−15054:タイプカ
ルチャー)。 No.3株:フラボバクテリウム・インドロゲネスIF
O−14944株:タイプカルチャー(Flavoba
cterium indologenes IFO−1
4944:タイプカルチャー)。 No.4株:フラボバクテリウム・メニンゴセプティク
ムIFO−12535株:タイプカルチャー(Flav
obacterium meningosepticu
mIFO−12535:タイプカルチャー) 以上の結果から本菌株は、DNA相同性がフラボバクテ
リウム・メニンゴセプティクムIFO−12535株:
タイプカルチャー(F.meningosepticu
m IFO−12535:タイプカルチャー)と判断基
準である70%以上であることから前記知見と合わせて
同種と判定し、本菌株をフラボバクテリウム・メニンゴ
セプティクムGK−54株と同定命名し、工業技術院生
命工学技術研究所に受託番号FERM BP−4868
として寄託したものである。
【0012】次いで、フラボバクテリウム属に属するグ
リセロールキナーゼ生産菌からのグリセロールキナーゼ
の精製および、諸性質の検討を行った。本発明を実施す
るにあたり、その培養形態としては液体培養、個体培養
いずれも可能であるが工業的には通気撹拌培養を行うの
が有利である。また使用する培養源としては一般に微生
物培養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩及びその他
の微量栄養源の他、フラボバクテリウム属に属する微生
物の利用できる栄養源であればすべて使用できる。
【0013】炭素源としては、例えばグルコース、フル
クトース、サッカロース、キシロース、マルトース、グ
リセロール、デキストリン、でんぷん、アミノ酸等の
他、脂肪酸、油脂、有機酸などが単独でまたは組み合わ
せて用いられる。窒素源としては、例えば無機窒素源、
有機窒素源のいずれも使用可能であり、無機栄養源とし
ては硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、硝酸
ソーダ、塩化アンモニウム等が挙げられる。また有機窒
素源としては、例えば大豆、米、トウモロコシ、小麦等
の粉、コーンスティープリカー、ペプトン、肉エキス、
カゼイン、アミノ酸、酵母エキス、バクトソイトン等が
挙げられる。
【0014】無機塩及び微量栄養素としては、例えばリ
ン酸、マグネシュウム、カリウム、鉄、カルシウム、亜
鉛等の塩類の他ビタミン、非イオン性界面活性剤、消泡
剤等の菌の生育やグリセロールキナーゼの生産を促進す
るものであれば必要に応じて使用できる。培養は好気的
条件で、培養温度は菌が発育し、グリセロールキナーゼ
が産生する範囲であればよく、通常15℃〜37℃、好
ましくは25℃〜35℃である。培養時間は条件により
異なるがグリセロールキナーゼが最も産生される時間ま
で培養すればよく、通常24〜100時間程度である。
【0015】グリセロールキナーゼは主としてその菌体
内に含有、蓄積されており、その菌体内から抽出すれば
よい。グリセロールキナーゼの抽出法を例示すればまず
培養物を固液分離し、得られた湿潤菌体をリン酸緩衝液
やトリス−塩酸緩衝液などの溶液に分散し、リゾチーム
処理、超音波処理、フレンチプレス処理、ダイノミル処
理などの種々の菌体処理手段を適宜選択組み合わせて、
粗製のグリセロールキナーゼ含有液を得る。
【0016】粗製のグリセロールキナーゼ含有液から公
知のタンパク質や酵素などの単離、精製手段を用いて精
製グリセロールキナーゼを得る。例えば、粗製のグリセ
ロールキナーゼ含有液にアセトン、メタノール、エタノ
ールなどの有機溶媒による分別沈澱法、硫安、食塩など
による塩析法などを適用してグリセロールキナーゼを沈
澱させ、回収する。
【0017】さらに、この沈澱物を必要に応じ透析、等
電点沈澱を行った後、電気泳動法などで単一の帯を示す
まで、イオン交換体、ゲル濾過剤、吸着体などを用いる
カラムクロマトグラフィーなどにより精製する。また、
これらの方法を適当に組み合わせることによりグリセロ
ールキナーゼの精製度が上がる場合は適宜組み合わせて
行うことができる。
【0018】これらの方法によって得られる酵素は安定
化剤として、各種の塩類、糖類、タンパク質、脂質、界
面活性剤などを加えあるいは加える事なく、限外濾過濃
縮、凍結乾燥の方法により、液状または固形のグリセロ
ールキナーゼを得ることができ、また、適宜凍結乾燥を
行ってもよく、この場合安定化剤としてサッカロース、
マンニトール、食塩、アルブミンなどを0.5〜10%
程度添加してもよい。
【0019】つぎに本発明で得られるグリセロールキナ
ーゼの理化学的性質及び酵素活性測定法を述べる。 グリセロールキナーゼの活性測定法 0.2Mのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を0.2
ml、5%のグリセロールを0.1ml、0.1MのA
TPを0.02ml、0.1MのMgCl2を0.04
ml、45U/mlのペルオキシダーゼ(シグマ社製)
を0.1ml、0.3%の4−アミノアンチピリンを
0.1ml、0.25%のフェノールを0.1ml、1
00U/mlのグリセロホスフェイトオキシダーゼ(旭
化成社製)を0.2ml、および蒸留水を0.14ml
よりなる反応液1mlを37℃で1分間予備加温した
後、0.02mlの酵素液を添加して10分間反応させ
る。反応後、0.5%のSDSを2ml添加して反応を
停止させ、5分以内に層長1cmセルを用いて波長50
0nmにおける吸光度を測定する(As)。また、盲検
として酵素液のかわりに蒸留水0.02mlを用いて同
一の操作を行って吸光度を測定する(Ab)、この酵素
液使用の吸光度(As)と盲検の吸光度(Ab)の吸光
度差(As−Ab)より酵素活性を求める。酵素活性1
単位は37℃で1分間に1μモルのグリセロホスフェイ
トを生成させる酵素量とし、計算式は下記の通りであ
る。
【0020】
【数1】
【0021】理化学的性質 (1)酵素作用:基質としてグリセロールを用いた酵素
作用を以下に示す。
【0022】
【化1】
【0023】(2)基質特異性:グリセロールに基質特
異性を示す。各種基質に対する特異性は表1の通りであ
る。
【0024】
【表1】
【0025】(3)Km値:3.9x10-2±0.5x
10-2mM(グリセロールに対して)、5.3x10-2
±0.5x10-2mM(ATPに対して) (4)等電点:4.4±0.5(キャリアー−アンホラ
インを用いた電気泳動法にて) (5)分子量:145000±5000(TSK G−
3000SWによるゲル濾過法にて)、50000±5
000(SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法に
て) (6)至適pH 前記酵素活性測定法にしたがって至適pHを求めたもの
で、その結果を図1に示した。pH4.5〜6.5の範
囲は100mMのクエン酸緩衝液、pH5.5〜7.5
の範囲は100mMのBis−Tris緩衝液、pH
6.5〜7.5の範囲は100mMのリン酸緩衝液、p
H7.0〜8.5の範囲は100mMのトリス−塩酸緩
衝液、pH8.5〜11.0の範囲は100mMのグリ
シン−水酸化ナトリウム緩衝液を使用した場合の活性値
を示すもので、至適pHは7.5〜8であった。 (7)pH安定性 100mM各種緩衝液(グリセロールキナーゼ1U/m
l)を37゜C、60分間処理し、その残存活性を前記
酵素活性測定法に従って測定した。その結果を図2に示
す。pH0.5〜4.0は100mMのクラークアンド
ルブス緩衝液、pH3.5〜7.0は100mMの酢酸
緩衝液、pH6.5〜8.0は100mMのリン酸緩衝
液、pH8.0〜9.0は100mMのトリス−塩酸緩
衝液、pH9.0〜11.0は100mMのグリシン−
水酸化ナトリウム緩衝液を使用した。pH3〜11の範
囲で最も良好な安定性を示した。 (8)至適温度 前記酵素活性測定法に従って、温度を37゜C〜95゜
Cの範囲で変化させて至適温度を求めた結果は図3に示
すとおりであり、本酵素の至適温度は80゜Cであっ
た。 (8)熱安定性 100mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.0)(グリ
セロールキナーゼ1U/ml)を各温度で10分間加熱
処理した後の残存活性を前記酵素活性測定法に従って測
定した。その結果、図4に示すとおり少なくとも60゜
Cまで100%安定で、70℃、10分間の処理では8
0%以上の残存活性を保持していた。 (9)金属イオンの影響 各種金属イオン(1mM)の本酵素活性への影響につい
て調べた結果は表2に示すとおりで、カルシウムイオン
による弱い阻害がみられた。
【0026】
【表2】
【0027】(10)N末端アミノ酸配列 Met−Asp−Glu−Lys−Leu−Ile−L
eu−Ala−Leu−Asp−Glu−Gly−Th
r−Thr− (11)保存安定性 液状化試薬の対応を目的として、0.05%のNaN3
(防腐剤)を含む、20mMのトリス−塩酸緩衝液(p
H7.5)に、本発明グリセロールを0.8U/mlの
濃度となるように調製し、37℃で2日後、1週間後、
2週間後、3週間後、4週間後に残存活性を前記活性測
定法で測定した結果、それぞれ、94%、91%、81
%、71%、60%の活性を保持していた。このことか
ら、本酵素は安定化剤(例えばBSAや糖類)の非存在
下、37℃、2週間で80%以上の活性を保持してい
た。
【0028】以上の結果から、本発明グリセロールキナ
ーゼと従来から知られているグリセロールキナーゼとの
性質を比較すると、次のようになる。 (ATPに対するKm値) 本酵素:0.053mM ストレプトマイセス・キャナス由来:0.2mM セルロモナス・エスピー由来:0.43mM アルスロバクター・アルトロシアネウス由来:3.7m
M (熱安定性) 本酵素:70℃10分間の熱処理で80%以上の活性を
保持していた。
【0029】セルロモナス・キャナス由来:pH7.
5、45℃、15分間の処理で、96%の残存活性を保
持する。70℃の処理では完全に失活する。 アルスロバクター・アルトロシアネウス由来:pH7.
0、15分間の処理で45℃以下の温度で安定。 バチルス・ステアロサーモフィラス由来:65℃、10
分間の熱処理で10%の残存活性であった(図5)。 (至適温度) 本酵素:80℃ セルロモナス・エスピー由来:50℃付近 アルスロバクター・エスピー由来:50℃付近 バチルス・ステアロサーモフィラス由来:65℃±5℃ 上記のように本発明グリセロールキナーゼは従来より知
られている酵素とは明かに異なる性質を持っており、特
に熱安定性に関しては最も優れた安定性を保持してい
た。
【0030】
【実施例】ついで、本発明の実施例を詳しく述べるが、
本発明は何らこれにより限定されるものではない。
【0031】
【実施例1】フラボバクテリウム・メニンゴセプティク
ムGK−54株を1.0%のグリセロール、3.0%の
肉エキス、0.5%のバクトソイトン(ディフコ社製)
からなる培地(pH7.0)を500mlの三角フラス
コに150mlずつ分注したものに植菌した後、28
℃、30時間培養を行い、種培養液を得た。
【0032】種培養液を上記と同一組成培地に消泡剤を
加えた培地(pH7.0)20lのジャーファーメンタ
ー4基にそれぞれ2本ずつ添加し、28℃で22時間培
養した。培養終了後、培養物を4000rpmで遠心
し、菌体3.0Kgを回収した。この菌体に10mMの
EDTA、0.3%のトリトンX−100、20mMの
トリス−塩酸緩衝液(pH8.6)を含む、0.1%の
リゾチーム溶液9lを加え、37℃で90分間反応させ
て可溶化を行った。その後、これを4000rpmで2
0分間遠心し、不溶物を除去してその上清9l(720
00U)を得た。
【0033】ついでこの上清に5.0%の硫酸プロタミ
ン90mlを加えて沈澱物を遠心除去し、さらにその上
清を50℃で30分間加熱し、沈澱物を遠心除去した。
その遠心上清を20mMのトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)にて一夜透析し、Q−セファロース(2.7×
30cm)(ファルマシア社製)イオン交換クロマトグ
ラフィーを行った。溶出は塩化ナトリウムの0〜0.5
Mのリニアグラジエントにより行い、0.2〜0.3M
の塩化ナトリウム溶出画分(29000U)を回収し
た。
【0034】この酵素溶液に2.5Mの濃度となるよう
に塩化ナトリウムを溶解し、オクチルセファロース
(2.6×20cm)(ファルマシア社製)の疎水クロ
マトグラフィーを行った。溶出は2.5M〜0Mの塩化
ナトリウムのリニアグラジエントにより行い、0Mの塩
化ナトリウムの溶出画分(25000U)を回収した。
ついでこの酵素液を20mMのトリス−塩酸緩衝液(p
H7.5)にて一夜透析し、ハイドロキシアパタイト
(1.6×26.5cm)(ペンタックス社製)クロマ
トグラフィーを行った。溶出は5〜0.2Mのリン酸緩
衝液によるリニアグラジエントにより行い、0.1〜
0.12Mのリン酸緩衝液の溶出画分(16300U)
を回収した。
【0035】ついでこの酵素液を20mMのトリス−塩
酸緩衝液(pH7.5)にて一夜透析し、DEAE−セ
ファロース(1.6×20cm)(ファルマシア社製)
イオン交換クロマトグラフィーを行った。溶出は0〜
0.5Mの塩化ナトリウムによるリニアグラジエントに
より行い、0.2〜0.3Mの塩化ナトリウムの溶出画
分(12000U)を回収し、20mMのトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)に一夜透析後、BSAを1%とな
るように添加して、凍結乾燥し、精製グリセロールキナ
ーゼ(12000U、9.9U/mg)を得た。
【0036】このようにして得られたグリセロールキナ
ーゼの理化学的性質は前記した通りである。
【0037】
【参考例1】セラチア・マセセンス・IFO−3736
株を2.0%のグリセロール、2.0%の酵母エキスか
らなる培地(pH7.0)を500mlの三角フラスコ
に150mlずつ分注したものに植菌した後、28℃、
30時間培養を行った。培養終了後、培養物を8000
rpmで遠心し、菌体30mgを回収した。得られた菌
体を10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)30
mlに懸濁し、超音波破砕によって可溶化を行った。
【0038】その後、可溶化液を16000rpmで遠
心し、不溶物を除去した上清29ml(70U)を得
た。次いで、遠心上清を8lの10mMのトリス−塩酸
緩衝液に一夜、透析した後、Q−セファロース(2x8
cm)(ファルマシア社製)イオン交換クロマトグラフ
ィーを行った。溶出は塩化ナトリウムの0〜0.5Mの
リニアグラジエントにより行い、0.2〜0.3Mの塩
化ナトリウム溶出画分(67U)を回収し、粗製グリセ
ロールキナーゼ(67U、25U/mg)を得た。 理化学的性質 (1)酵素作用および基質特異性:グリセロールに対す
る本酵素の酵素作用および基質特異性はフラボバクテリ
ウム・メニンゴセプティクムGK−54(FERM B
P−4868)株と同じであった。 (2)Km値:2.4x10-2±0.5x10-2mM
(グリセロールに対して)、5.0x10-1±0.5x
10-1mM(ATPに対して) (3)至適pH:7.5(50mMのPIPES緩衝
液)
【0039】
【参考例2】シュードモナス・フルオレッセンス・IF
O−3925株を2.0%のグリセロール、2.0%の
酵母エキスからなる培地(pH7.0)を500mlの
三角フラスコに150mlずつ分注したものに植菌した
後、28℃、30時間培養を行った。
【0040】培養終了後、培養物を8000rpmで遠
心し、菌体30mgを回収した。得られた菌体を10m
Mのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)30mlに懸濁
し、超音波破砕によって可溶化を行った。その後、可溶
化液を16000rpmで遠心し、不溶物を除去した上
清29ml(130U)を得た。次いで、遠心上清を8
lの10mMのトリス−塩酸緩衝液に一夜、透析した
後、Q−セファロース(2x8cm)(ファルマシア社
製)イオン交換クロマトグラフィーを行った。溶出は塩
化ナトリウムの0〜0.5Mのリニアグラジエントによ
り行い、0.2〜0.3Mの塩化ナトリウム溶出画分
(114U)を回収し、粗製グリセロールキナーゼ(1
14U、30U/mg)を得た。 理化学的性質 (1)酵素作用および基質特異性:グリセロールに対す
る本酵素の酵素作用および基質特異性はフラボバクテリ
ウム・メニンゴセプティクムGK−54(FERM B
P−4868)株と同じであった。 (2)Km値:2.0x10-2±0.5x10-2mM
(グリセロールに対して)、2.4±0.5mM(AT
Pに対して) (3)至適pH:7.5(50mMのPIPES緩衝
液)
【0041】
【参考例3】シュードモナス・プチダ・IFO−126
53株を2.0%のグリセロール、2.0%の酵母エキ
スからなる培地(pH7.0)を500mlの三角フラ
スコに150mlずつ分注したものに植菌した後、28
℃、30時間培養を行った。培養終了後、培養物を80
00rpmで遠心し、菌体30mgを回収した。得られ
た菌体を10mMのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)
30mlに懸濁し、超音波破砕によって可溶化を行っ
た。その後、可溶化液を16000rpmで遠心し、不
溶物を除去した上清29ml(190U)を得た。
【0042】次いで、遠心上清を8lの10mMのトリ
ス−塩酸緩衝液に一夜、透析した後、Q−セファロース
(2x8cm)(ファルマシア社製)イオン交換クロマ
トグラフィーを行った。溶出は塩化ナトリウムの0〜
0.5Mのリニアグラジエントにより行い、0.2〜
0.3Mの塩化ナトリウム溶出画分(110U)を回収
し、粗製グリセロールキナーゼ(110U、30U/m
g)を得た。 理化学的性質 (1)酵素作用および基質特異性:グリセロールに対す
る本酵素の酵素作用および基質特異性はフラボバクテリ
ウム・メニンゴセプティクムGK−54(FERM B
P−4868)株と同じであった。 (2)Km値:2.0x10-2±0.5x10-2mM
(グリセロールに対して)、2.0±0.5mM(AT
Pに対して) (3)至適pH:7.5(50mMのPIPES緩衝
液)
【0043】
【発明の効果】本発明により、熱安定性の良いグリセロ
ールキナーゼおよびその微生物学的製造法を提供できる
ものであり、本酵素を用いるグリセライドやリパーゼ活
性などの測定のための有用かつ熱安定性の良い液状化試
薬を可能とする測定用酵素を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のグリセロールキナーゼの至適p
H曲線を示す。
【図2】図2は本発明のグリセロールキナーゼのpH安
定曲線を示す。
【図3】図3は本発明のグリセロールキナーゼの至適温
度曲線を示す。
【図4】図4は本発明のグリセロールキナーゼの熱安定
曲線を示す。
【図5】図5は本発明のグリセロールキナーゼおよびバ
チルス・ステアロサーモフィラス由来グリセロールキナ
ーゼの熱安定曲線を示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 70℃、10分間の熱処理で80%以上
    の活性を保持することを特徴とするグリセロールキナー
    ゼ。
  2. 【請求項2】 グリセロキナーゼが安定化剤の非存在
    下、37℃、2週間で80%以上の活性を保持してなる
    請求項1記載のグリセロールキナーゼ。
  3. 【請求項3】 フラボバクテリウム属に属するグリセロ
    ールキナーゼ生産菌を培地に培養し、その培養物からグ
    リセロールキナーゼを採取することを特徴とするグリセ
    ロールキナーゼの製造法。
  4. 【請求項4】 フラボバクテリウム属に属するグリセロ
    ールキナーゼ生産菌がフラボバクテリウム・メニンゴセ
    プティクムGK−54(FERM BP−4868)株
    である請求項3記載のグリセロールキナーゼの製造法。
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