JPH08149253A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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Publication number
JPH08149253A
JPH08149253A JP5389495A JP5389495A JPH08149253A JP H08149253 A JPH08149253 A JP H08149253A JP 5389495 A JP5389495 A JP 5389495A JP 5389495 A JP5389495 A JP 5389495A JP H08149253 A JPH08149253 A JP H08149253A
Authority
JP
Japan
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ink
electrode
head substrate
recording
colorant
Prior art date
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Pending
Application number
JP5389495A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuzo Hirahara
修三 平原
Kazushi Nagato
一志 永戸
Yasuo Hosaka
靖夫 保坂
Hiroko Nomura
裕子 野村
Koichi Ishii
浩一 石井
Teruo Murakami
照夫 村上
Hideyuki Nakao
英之 中尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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Priority to US08/532,360 priority patent/US5835113A/en
Priority to EP95114978A priority patent/EP0703081A3/en
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電極での放電を防止すると共に、インク中の色
剤をヘッド基板の平面部分からヘッド基板平面に対し垂
直方向の初速度成分を持って記録媒体に飛翔させるイン
クジェット記録装置を提供する。 【構成】ヘッド基板12の表面上に形成された電極アレ
イ13を有する記録ヘッド部と、ヘッド基板12上に溶
剤中に色剤を分散させたインク11を電極アレイ13の
表面を覆いつつ通過するように供給するインク供給系1
4〜18と、このインク供給系によりヘッド基板12上
に供給されるインク11内の色剤に電界力を作用させて
色剤を記録媒体21の表面に向けて飛翔させるための電
圧を電極アレイ13に印加する駆動回路19と、記録媒
体21の裏面側に色剤の飛翔を安定化するための電位を
与えるプラテン22とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に係り、特に溶剤中に色剤を分散させた液状インクを用
い、このインク中の色剤成分を凝集させ記録媒体上に飛
翔させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液状インクをインク粒とよばれる小さな
液滴として記録媒体上に飛翔させて記録ドットを形成し
画像を記録する装置は、インクジェットプリンタとして
実用化されている。このインクジェットプリンタは、他
の記録方法と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処
理が不要であるという利点を有し、普通紙記録技術とし
て注目されている。インクジェットプリンタの方式は現
在までに数多く考案されているが、特に(a)発熱体の
熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる方
式(例えば、特公昭56−9429、特公昭61−59
911など)や、(b)圧電素子によって発生される機
械的な圧力パルスによりインク滴を飛翔させる方式(例
えば、特公昭53−12138など)のように、複数の
ドットを並列に記録するマルチノズルタイプが代表的な
ものである。
【0003】インクジェットプリンタに使用される記録
ヘッドとしては、キャリッジに搭載されて記録紙の搬送
方向(副走査方向)に対し直交する方向(主走査方向)
に移動しながら記録を行うシリアル走査型ヘッドが実用
されている。このシリアル走査型ヘッドでは、機械的に
移動しながら記録を行うため、記録スピードを早くする
ことが難しい。そこで、記録ヘッドを記録紙の幅と同じ
サイズの長尺ヘッドとして機械的な可動部分を減らし、
記録スピードを上げることができるいわゆるライン走査
型ヘッドも考えられているが、このようなライン走査型
ヘッドを実現することは、次の理由から簡単ではない。
【0004】インクジェット記録方式は本質的に、溶媒
の蒸発や揮発によって局部的なインクの濃縮が生じやす
く、これが解像度に対応した個別の細いノズルでの目詰
まりの原因となる。このため、インクジェットの形成に
蒸気の圧力を使う方式では、インクとの熱的あるいは化
学的な反応などによる不溶物の付着が、また圧電素子に
よる圧力を使う方式では、インク流路などでの複雑な構
造がさらに目詰まりを誘起し易くする。数十〜百数十程
度のノズルを使用するシリアル走査型ヘッドでは、目詰
まりの頻度を低く抑えることができるようになっている
が、数千もの多数のノズルを必要とするライン走査型ヘ
ッドでは、確率的にかなり高い頻度で目詰まりが発生
し、信頼性の点で大きな問題となる。
【0005】さらに、従来のインクジェット記録装置は
解像度の向上には適していないという問題点もある。つ
まり蒸気の圧力を使う方法では、直径20μm(これは
記録紙上に直径50数μmくらいの記録ドットに相当す
る)以下の粒径のインク粒を生成するのが難しく、また
圧電素子が発生する圧力を使う方式では、記録ヘッドが
複雑な構造となるために加工技術上の問題で解像度の高
いヘッドが作りにくいからである。
【0006】これらの欠点を克服するために、薄膜の電
極アレイに電圧を印加し、静電力を用いてインク液面か
らインクあるいはその中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式が考案された。具体的には、インクを
静電的引力を使って飛翔させる方式(特開昭49−62
024、特開昭56−4467など)や、帯電した色剤
成分を含むインクを用い色剤の濃度を高めて飛翔させる
方式(WO93/11866:PCT/AU92/00
665)などが提案されている。これらの方式では、記
録ヘッドの構成が個別のドット毎のノズルを必要としな
いスリット状ノズル構成(図35)か、あるいは個別の
ドット毎のインク流路の隔壁を必要としないノズルレス
構成(図36)であるために、ライン走査型記録ヘッド
を実現する上で大きな障害であった目詰まりの防止と復
旧に対して有効である。また、特に後者は非常に小さい
径のインク粒を安定に生成して飛翔させることができる
ため、高解像度化に適している。
【0007】このような静電力で色剤を飛翔させるイン
クジェット記録方式では、記録ヘッドの構造として図3
5および図36に示すようにヘッド基板12のエッジ部
分に電極アレイ13の先端を配置する、いわゆるエッジ
シュータタイプのヘッドが従来から用いられていた。し
かし、このような構成の記録ヘッドでは電極が露出して
いるため、強電界で生じる放電により電極アレイが破損
しやすく、それによりインクの流れが不安定となるた
め、動作特性のばらつきが大きくなるという問題があ
る。電極の表面に絶縁膜を被着する方法も考えられる
が、その絶縁膜は極く薄くする必要があるため、接触に
よる破損や絶縁破壊の可能性が高く、信頼性の点で問題
がある。
【0008】また、このように電極のエッジ部分を使用
する記録ヘッドは、エッジを高精度に加工することが難
しいため歩留まりが悪く、製造の容易さや特性の均一
性、記録品質の面でも大きな問題がある。特に、数千の
ドットを並列に記録する必要があるライン走査型記録ヘ
ッドの場合には、全体の良品率がおおよそ個別ドットの
良品率をドット数回かけ算して求まるので、かなり高い
信頼性を持たなければ、製造歩留まりと記録品質に重大
な影響を与えることになる。
【0009】また、上述した従来の記録ヘッドでは、イ
ンク中の色剤を凝集させるための電界を発生する電極
と、色剤が凝集したインクを飛翔させるための電極が同
一であるため、色剤の凝集とインクの飛翔を分離してコ
ントロールできず、高濃度に色剤を凝集させ、かつ凝集
したインクを飛翔させるためにはインク流速と印加電圧
の微妙な調節が必要であった。
【0010】さらに、ライン走査型記録ヘッドのように
マルチヘッドを構成する場合、電極への印加電圧を下げ
て隣接電極間の電界干渉を防止する必要があるが、この
ために記録ヘッドと記録媒体間の距離を小さくして色剤
を飛翔させるための電圧を減少させると、ノズル断面内
部での色剤を凝集させるための電界も減少してしまう。
この結果、色剤の凝集に必要な電圧とインクの飛翔のた
めの電圧は本来前者より後者が高い関係になければなら
ないところ、インクの飛翔のための電圧を下げることに
より、両者の高低関係が逆転してしまい、色剤が凝集し
たインクを飛翔させることが出来なくなるという問題が
ある。また、記録ヘッドと記録媒体間を近付けると、カ
ブリが発生しやすくなり、安定した画点形成が困難とな
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の静電力で液状インク中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式に使用する記録ヘッドは、静電力を与
えるための電極が露出しているため、強電界で生じる放
電による電極の破損により安定した記録ができず、しか
もヘッド基板のエッジ部分に電極の先端を配置するエッ
ジシュータタイプであるため、製造の容易さ、特性の均
一性および記録品質の面で問題があった。
【0012】また、従来のこの種の記録ヘッドはインク
中の色剤成分の凝集と飛翔を分離してコントロールでき
ないため、高濃度に色剤成分を凝集させ、かつ凝集した
インクを飛翔させるためにはインク流速と印加電圧の微
妙な調節が必要であり、さらにマルチヘッドにおいて、
隣接電極間の電界干渉を防止するために記録ヘッドと記
録媒体間の距離を小さくして色剤成分を飛翔させるため
の電圧を減少させると、色剤成分の凝集に必要な電圧が
色剤の飛翔のための電圧より高い電圧関係となり、色剤
成分が凝集したインクを飛翔させることが出来なくな
り、また記録ヘッドと記録媒体間を近付けることにより
カブリが発生しやすくなり、安定した画点形成が困難と
なるという問題があった。
【0013】本発明の目的は、静電力を用いてインク中
の色剤成分を凝集させ記録媒体に飛翔させて記録を行う
方式において、静電力を色剤成分に作用するための電極
での放電を効果的に防止して安定した記録ができるイン
クジェット記録装置を提供することにある。
【0014】本発明の他の目的は、静電力を色剤成分に
作用するための電極での放電を防止すると共に、インク
中の色剤をヘッド基板の平面部分からヘッド基板平面に
対し垂直方向の初速度成分を持って記録媒体に飛翔させ
ることができるようにして、製造が容易で、特性の均一
性と記録品質に優れたインクジェット記録装置を提供す
ることにある。
【0015】本発明の別の目的は、インク中の色剤の凝
集と飛翔を分離してコントロールできるインクジェット
記録装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶剤中に色剤
を分散させた液状インクを用い、このインク中の色剤成
分を凝集させ記録媒体上に飛翔させて記録を行うインク
ジェット記録装置において、ヘッド基板の表面上に電極
アレイを形成し、溶剤中に色剤を分散させたインクをヘ
ッド基板の表面上の少なくとも電極アレイ上に供給する
と共に、電極アレイ上に供給されるインク中の少なくと
も色剤成分を記録媒体に向けて飛翔させるための電圧を
電極アレイに印加するようにしたことを基本的な特徴と
する。
【0017】ここで、ヘッド基板は電極アレイが記録媒
体に向けて飛翔する色剤成分にヘッド基板の表面に対し
て垂直方向の初速度成分を与え、さらに記録媒体の色剤
成分の受容点がヘッド基板の表面を延長した平面より上
方に位置し、かつ該受容点での該平面となす角度が90
°以下となるように、記録媒体に対して配置されている
ことが好ましい。
【0018】より具体的には、電極アレイは複数の個別
電極からなり、これらの個別電極には画像信号に応じた
電圧が印加される。
【0019】一つの態様によると、個別電極は好ましく
はヘッド基板の記録媒体側の端面より後退した位置の表
面上に形成され、またヘッド基板の裏面上には共通電極
が形成される。そして、この共通電極には所定のバイア
ス電圧が印加される。
【0020】他の態様によると、個別電極は好ましくは
ヘッド基板の記録媒体側の端面より後退した位置の表面
上に形成され、さらにヘッド基板の個別電極と近接した
位置の表面上に補助電極が形成される。補助電極は個別
電極に対応して分割された電極でもよいし、あるいは各
個別電極に対して共通に設けられた電極でもよい。そし
て、この補助電極には所定のバイアス電圧が印加され
る。
【0021】さらに別の態様によると、個別電極はそれ
ぞれの先端部がヘッド基板の表面上に突出して形成さ
れ、インクの薄層は少なくとも個別電極の突出部上に形
成される。この突出部は、ヘッド基板の表面上の底部が
広く、上部ほど幅が狭くなる形状が好ましい。また、個
別電極および該個別電極の突出部は主走査方向に複数個
配列されると共に、副走査方向に複数列設けられ、異な
る列上の突出部は主走査方向で異なる位置にそれぞれ配
置されることが望ましい。
【0022】本発明に係る他のインクジェット装置は、
溶剤中に色剤を分散させたインク中の色剤を画像信号に
応じて該溶媒中に凝集させ、凝集した色剤を記録媒体に
向けて飛翔させて記録を行うインクジェット記録装置に
おいて、色剤を溶媒中に凝集させる凝集手段と、凝集し
た色剤を記録媒体に向けて飛翔させる飛翔手段とを個別
に備えたことを特徴とする。
【0023】ここで、インクは絶縁性溶媒と電荷を有す
る色剤とから構成される場合、凝集手段として電界発生
手段が用いられ、飛翔手段である圧力発生手段としては
凝集手段の電界発生手段と異なる電界発生手段が用いら
れる。
【0024】より具体的には、凝集手段としての電界発
生手段は、インク搬送方向に設けた近接する電極対と、
両電極に異なる電圧を印加する電圧印加手段とにより構
成される。飛翔手段としての電界発生手段は、絶縁性基
板上に絶縁層を介して設けた電極対と、この電極対に異
なる電圧を印加する電圧手段とによ構成される。
【0025】また、飛翔を容易にするために電極からの
電荷注入を飛翔用電界を発生する電極とインクを接触さ
せることで行うことが望ましい。
【0026】さらに、凝集手段で凝集したインク中の色
剤を飛翔させた後、残留した凝集インクを除去する手段
を有することが望ましい。
【0027】一方、インクが絶縁性溶媒と磁性色剤とか
ら構成される場合は、凝集手段として磁界発生手段が用
いられ、飛翔手段としては凝集した色剤に電荷注入し電
界を用いて飛翔させる手段が用いられる。
【0028】
【作用】本発明においては、ヘッド基板上の少なくとも
電極アレイつまり個別電極上にインクを供給する。すな
わち、高電界が印加される記録中に電極をインクで覆う
ようにインクをヘッド基板上に供給し、電極アレイが大
気中に露出しないようにすることにより、従来のインク
ジェット記録装置において生じ易かった空気中の激しい
放電現象による電極先端の破損を、インクの溶媒として
放電を阻止する材料を用いることで防止でき、安定した
記録を可能とする。
【0029】液状インク中の色剤を静電力で凝集・飛翔
させて記録を行う従来のインクジェット記録方式でマル
チヘッド化する場合に、エッジシュータタイプの記録ヘ
ッドを用いる記録装置しか提案されていなかった理由の
主なものは、(1) プリント配線技術により基板平面内に
先端を尖らせた電極を形成しても、発生する電界強度の
最も強い方向はやはりパターン平面と同じか、あるいは
それを延長した方向になり、したがって基板をカットし
たエッジ部分でしか強電界が表へ出ないことと、(2) 電
極アレイを形成した基板とそれと対をなすもう1枚の基
板をスペーサを介して平行に重ねれば、基板のエッジ部
分でスリット状の開口を持つインクの流路が簡単に形成
でき、しかも最強の電界を生成する部分と色剤飛翔開始
ポイントが一致するようなエッジ部を形成できることで
ある。
【0030】しかし、エッジシュータで使う電極先端の
電界と同程度に強い電界をヘッド基板表面に対して垂直
の方向に向けて発生させることができるならば、ヘッド
基板のエッジから基板表面内方向へ後退した平面部分か
ら色剤を飛翔させることが可能になり、エッジ部分への
パターニングが不要となるため、ICの製造で使われて
いるフォトリソグラフィ技術など通常の平面内製造プロ
セスを使って、信頼性が高く精度の良い、静電力を使用
するインクジェット記録ヘッドの製造が可能になる。し
たがって、静電力を利用する方式でサイドシュータタイ
プのインクジェット記録装置が実現できる。
【0031】本発明においては、記録媒体に向けて飛翔
する色剤にヘッド基板の表面に対して垂直方向の初速度
成分を与え、さらに記録媒体を色剤の受容点がヘッド基
板の表面を延長した平面より上方に位置し、かつ該受容
点での該平面となす角度が90°以下となるようにヘッ
ド基板を記録媒体に対して相対的に配置する。すなわ
ち、色剤飛翔開始ポイントをヘッド基板平面内に後退さ
せ、かつ色剤飛翔方向をヘッド基板表面上方に向けるこ
とにより、静電力を利用する方式でのサイドシュータタ
イプのインクジェット記録装置を実現し、製造の容易さ
と特性の均一・安定性および記録品質の向上を達成する
ことができる。
【0032】この場合、本発明では色剤飛翔開始ポイン
トに位置する電極先端の形状や、それを囲む周囲の電極
を利用し、基板表面の平面から垂直の方向に強い電界成
分を生じさせる構成として、インク内の色剤に垂直方向
の初速度成分を与える飛翔を実現することができる。具
体的には、そのための第1の手段として表面に個別電極
の電極アレイが形成されたヘッド基板の裏面全面に共通
電極を配置する構成とする。この共通電極に電圧を印加
することにより、基板表面から垂直の方向に向いた電界
を生じさせることができる。基板表面の個別電極先端で
生じる最強電界方向は水平方向であるが、この基板裏面
の共通電極からの垂直方向の電界が足し合わされること
により、基板から外に向かう方向に曲げられ、垂直成分
を持った最強電界ベクトルを生じさせることができる。
【0033】基板表面の平面から垂直の方向に強い電界
成分を生じさせるための第2の手段としては、ヘッド基
板表面上の個別電極の先端部分に近接して、補助電極
(共通電極でも個別電極でもよい)を配置する構成とす
るものである。この補助電極へ個別電極に印加する電圧
と同極性の電圧を印加すると、電気力線どうしが反発し
あうような形に折れ曲がり、垂直成分が加わった形の電
界が形成される。この方法でも、個別電極先端で生じる
最強の電界ベクトルを基板から外に向かう方向に生じさ
せることができる。
【0034】さらに、記録紙などの記録媒体が飛翔して
きた色剤を受容する色剤受容点の位置を記録ヘッド基板
表面を延長した平面より上方で、かつ記録媒体の色剤受
容点でのヘッド基板表面を延長した平面となす角度が9
0°以下となる構造とすることにより、垂直方向の速度
成分をもって飛翔する色剤を安定に受け止めることがで
きる。
【0035】この技術で利用している、液体内にコロイ
ド状に分散・浮遊している色剤が濃縮され溶媒を置き去
りにして空中に飛び出す現象は、過去に工業的に利用さ
れるあるいは研究発表されるという例が極めて少ないこ
ともあり、理論面では解釈がまだ不十分な点もあるが、
本発明者らは現象や特性については観察や実験の積み重
ねで事実を確認している。これらの実験事実によれば、
次の様な2つのことが実現できる。
【0036】1つは飛翔する色剤に垂直方向の速度ベク
トル成分を与えるために、個別電極アレイと同じヘッド
基板表面に設置する共通電極あるいは裏面に設置する補
助電極に与える電圧の範囲に関するものである。発明者
らの実験では、通常、個別電極に1kV〜2kVのバイ
アスと信号電圧として100V〜700Vの範囲のパル
ス電圧を重畳して印加するが、これらの共通電極や補助
電極は個別電極のバイアス電圧から信号電圧を重畳した
電圧までの範囲で安定して動作することが分かってい
る。すなわち、これらの共通電極あるいは補助電極には
例えば1.0kV〜2.7kVの範囲の電圧を印加する
ことができる。
【0037】もう1つは、電極アレイの電極の先端形状
に関するものである。発明者らの実験によれば、電極の
先端は尖り過ぎると色剤の飛翔が不安定になるが、先端
の曲率半径がR=15μm〜100μmの範囲では安定
になることが確かめられている。すなわち、基板表面上
に形成されたアレイ電極を構成する画像信号に応じた電
圧が印加される個別電極の先端形状をR=15μm〜1
00μmの範囲の円弧状とすることで、色剤の飛翔をよ
り安定化することができる。
【0038】また、個別電極の先端部に突出部を形成す
る場合、インクは少なくとも個別電極の突出部上に供給
されることにより、突出部の表面は常にインクの薄い層
で覆われ、この突出部からインク滴が吐出されることに
より、放電の問題が解決される。すなわち、このような
突出部を形成することにより、突出部先端をインク表面
から露出させても、毛管現象や電圧印加時に生ずる電
界、あるいは針状の電極に電圧を与えたときに液体が先
端部分に向かって流れる効果等のため、突出部の先端部
分に安定して薄いインク層が形成される。このため、個
別電極の突出部が放電によって破壊されることを防止で
き、加えて安定した画像記録を実現することができる。
また、突出部の先端からインクを吐出させるので、基本
的にノズルが必要なく、インクを通過させるためのスリ
ットまたは孔があれば良いので、ノズルの目詰まりの問
題が解決されることは前述と同様である。
【0039】さらに、この場合において個別電極および
その突出部を主走査方向に複数個配列し、さらに副走査
方向に複数列設けるようにした上で、異なる列上の突出
部を主走査方向で主走査方向の配列ピッチの1/k
(k:整数)ずつずれた異なる位置にそれぞれ配置する
ことによって、主走査方向の配列ピッチの1/kに相当
する解像度の記録が可能となる。
【0040】また、インクとして溶媒中に帯電した色剤
が存在するものを使用することによって、個別電極への
電圧の印加により色剤だけを凝集させインク濃度を濃縮
することができるようになる。濃度の薄い搬送し易いイ
ンクを使用して、飛翔させる部分のインクだけ濃縮させ
て吐出させることで、濃度の濃い画像の記録も可能とな
る。また、個別電極に突出部を形成することで、インク
を飛翔させる部分でのインクの濃縮も可能である。さら
に、帯電する色剤を使用することで、駆動電極と色剤と
の反発力が働くために、駆動電圧を低下することがで
き、ICによる駆動も可能になり、従来困難であった静
電力でインクを吐出させる方式でのライン走査型ヘッド
の実現も容易となる。
【0041】また、従来のインク中の色剤を凝集して飛
翔させる方式ではインク中の色剤を凝集させる電界を発
生させる電極と、凝集したインクを飛翔させる電界を発
生させる電極に同一ノズルを用い、バイアス電圧と飛翔
電圧を微妙にバランスをとって調整していたのに対し、
本発明ではインク溶媒中の色剤の凝集と凝集したインク
の飛翔を独立した電極で行い、任意の濃度に凝集させた
インクを飛翔用の電極で分離して行う。色剤の凝集に
は、近接した電極に異なる電圧を与えインクの流れに逆
らう凝集用の強電界を設け、低い電圧で効率的に凝集さ
せる。
【0042】このように、本発明では積極的に色剤凝集
をコントロールする凝集用電極をインク飛翔電界用の電
極とは分離して設けたものであり、また飛翔用電圧とは
独立した電圧で色剤凝集を行い得るため、近接したノズ
ル間の干渉を防止する低い飛翔用電圧でも十分に色剤が
凝集できる。その結果、相互干渉のないマルチヘッド化
を可能とする。
【0043】凝集用電極は、例えば基板上に設けた近接
する電極からなり、両電極に異なる電圧を印加し基板平
面上のインク搬送方向とは逆方向の電界力を色剤に作用
させ、色剤の移動を阻止して凝集させる。色剤の凝集は
薄い絶縁層上の電極を2列に配列し、色剤の移動を阻止
するインク流に逆らった電界を生ずる電圧を印加する。
このように、飛翔電界と凝集電界とを個々のドットに対
応した電極で形成し、さらに印加電圧を減少して必要電
界を形成することで隣接電極との干渉を除去し、マルチ
ノズル化を可能にしている。この場合、基板端面から後
退した平面部分で高電界を形成する電極を形成すれば、
IC製造技術のフォトリソグラフィ技術による平面プロ
セスで、信頼性が高く精度の良い静電力を用いたインク
ジェット記録装置の実現が可能になる。
【0044】さらに、本発明では凝集インク中の溶媒に
インク飛翔前に電荷注入を行い、低い電界でインク飛翔
を可能にしている。また、インク飛翔後に残留した凝集
色剤は、凝集用電極で逆電界を発生しインク流とともに
搬送して除去することで、常に新しいインク層を搬送
し、ニジミなどの画質劣化を防止している。これらの電
極には、電圧値およびパルス幅を制御した電圧を与え、
画点濃度や画点サイズをコントロールし、同時にカブリ
を除去する。ここで使用するインクは、帯電した色剤を
有するインクに限定されることなく、磁性インクを用い
磁界でインク中の色剤凝集を行っても良い。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0046】(第1の実施例)図1は本発明の一実施例
に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。同
図において、インク11はプラス帯電性の色剤を帯電制
御剤やバインダなどとともに、10-8Ωcm以上の絶縁
性の溶媒中にコロイド状に分散させ浮遊させたものであ
る。このインク11は、ヘッド基板12とその表面上に
300μm程度の厚さのスペーサを介して配置された上
部カバー14との間に形成されたインク供給流路15
に、インク還流機構18で与えられた正圧によって供給
される。ヘッド基板12上には、図の左右方向に延びた
ストライプ状アレイ電極である記録ドットに対応する個
別電極13が被着形成されており、インク11はインク
供給流路15に沿って個別電極13の上を流れ、電極1
3の先端の色剤飛翔ポイント13aに向かう。
【0047】色剤飛翔ポイント13aに到達したインク
11は、個別電極13と上部カバー14が途切れた部分
を通過した後、ヘッド基板12の先端エッジ部を通りヘ
ッド基板12の裏面側に回り込む。ヘッド基板12の裏
面側に回り込んだインク11は、ヘッド基板12とその
裏面上にインク供給流路15と同様にスペーサを介して
配置された下部カバー16との間に形成されたインク回
収流路17を通り、インク還流機構18で与えられた負
圧すなわち吸引力によってインク還流機構18に回収さ
れる。 インク還流機構18は、ポンプと、インク供給
流路15およびインク回収流路17に接続されたパイプ
とにより構成され、ポンプの働きによってインク11を
インク供給流路15およびインク回収流路17を介して
循環させる。
【0048】ここで、記録時には個別電極13にバイア
ス電圧源20から常時バイアスとして例えばDC1.5
kVの電圧が与えられ、これに駆動回路19からの画像
信号に応じた信号電圧として例えばON時に500Vの
パルス電圧が重畳される。一方、対向電極22は図のよ
うに接地電位(0V)に設定する。今、個別電極13が
ON状態(500Vが印加された状態)となり、バイア
スDC1.5kVに500Vのパルス電圧が重畳された
合計2kVの電圧が加わると、電極13の先端の色剤飛
翔ポイント13aから、インク11内の凝集された色剤
が飛び出し、記録媒体21の背面に設けられたプラテン
の役割を兼ねる対向電極22に引っ張られて、記録媒体
(例えば記録紙)21に向けて飛翔し着弾する。
【0049】本実施例で特徴的な点は、個別電極13が
全く大気中に露出することがないことである。従来例で
ある図35、図36のように大気中に露出した電極に同
様な電圧を加えると、大気中への火花放電により電極先
端が破損するが、本実施例によればそのような放電が防
止できる。
【0050】なお、色剤はマイナス帯電性であっても構
わない。その場合には、以降述べる諸電極への印加電圧
を全て逆の極性として考えれば良い。
【0051】(第2の実施例)図2は、本発明の他の実
施例に係るインクジェット記録装置の概略構成図であ
る。図1と共通部分に同一符号を付して第1の実施例と
の相違点を中心に説明すると、本実施例では上部カバー
14の先端部がヘッド基板12の先端部より後退した位
置で除去され、上部カバー14の無い開放領域が個別電
極13の上に形成されている。そして、インク11はこ
の開放領域で個別電極13の上を50μm程度の厚みの
層となって流れ、電極13の先端の色剤飛翔ポイントに
向かう。この後のインク11の流れは第1の実施例と同
様であり、インク11は電極13が途切れた部分を通過
した後、ヘッド基板12の先端エッジ部を通ってヘッド
基板12の裏面側に回り込み、さらにヘッド基板12と
その裏面上に配置された下部カバー16との間に形成さ
れたインク回収流路17を通り、インク還流機構18に
回収される。
【0052】このように本実施例では、上部カバー14
の無い解放領域が記録ヘッド部の先端側に形成されてい
るため、個別電極13へのバイアス電圧と信号電圧の印
加により個別電極13の色剤飛翔ポイントから飛翔する
インク11内の濃縮された色剤は、ヘッド基板12の表
面に対して垂直方向の初速度成分をもって飛翔する。そ
こで記録媒体21と対向電極22はヘッドの上方に、記
録ヘッド部の斜め情報に記録ヘッド部の方向へ倒れ掛か
るような角度で配置される。
【0053】また、本実施例ではヘッド基板12の表面
上に個別電極13が形成されるばかりでなく、ヘッド基
板12の裏面上に共通電極23が形成されている。この
共通電極23は、ヘッド基板12の裏面側から色剤に対
して静電的反発力を生成するためのものであり、この共
通電極23には例えば個別電極13に印加されるバイア
ス電圧と信号電圧との合計の電圧に相当するDC2.0
kVの電圧がバイアス電圧源24によって印加されてい
る。
【0054】この様な構成とすることにより、前述した
サイドシュ−タタイプのインクジェット記録装置が実現
される。
【0055】図3は、第2の実施例における記録ヘッド
部の構成を示す斜視図である。ヘッド基板12の材料と
しては、滑らかで平坦な表面が簡単に得られ、低誘電率
材料であることからガラスを用い、その厚みは0.5m
m〜1.0mm程度とする。ヘッド基板12の表面上に
は、それぞれが個々の記録ドット位置に対応した個別電
極13のアレイが形成され、またヘッド基板12の裏面
上には全面に共通電極23が形成されている。なお、同
図では個別電極13が3素子分しか示されていないが、
実際の記録ヘッド、例えば解像度400dpiでA4長
手方向のサイズのライン走査型ヘッドの場合には、約4
800素子分の個別電極が一列に配列される。
【0056】このヘッドの動作で重要なことは、強い電
界を生じるように個別電極13の先端部分に図4に示す
ように小さいRをつけた、色剤飛翔開始ポイント13a
での電界の方向である。この色剤飛翔開始ポイント13
aでの最大電界ベクトルの方向が表面から外側に離れる
方向へ向く様に、ヘッド基板12の裏面側の共通電極2
3に適当なバイアス電圧、例えば2kVを印加する。た
だし、前述したようにこの電圧は2kVに限定されるも
のではなく、1.0kV〜2.7kVの範囲であれば良
い。また、図4に示すように、個別電極13の先端部分
のRは半径15μm〜100μmの円弧の範囲内にあれ
ばよく、特に限定される必要はない。
【0057】図5(a)は、記録ヘッド部での電界の強
さを電気力線の密度で説明した図であり、図3のA−
A′線に沿う横断面を示している。信号電圧無印加の状
態では個別電極13にバイアスとしてDC1.5kV、
共通電極23にDC2.0kVがそれぞれ加えられてい
るので、個別電極13のアレイの間から共通電極23か
らの電界が漏れ出している。この漏れ電界によって、イ
ンク11中の正帯電色剤を個別電極13の表面内側へと
押しやる力が働く。ドット毎に分けることなく共通の流
路を使う方式では、電極のアレイに様々な組み合わせの
電界が形成される可能性があり、この電界により場合に
よっては色剤が遠い部分へ逃げてしまうおそれがある
が、本実施例のようにストライプ状の個別電極13のア
レイの間からの漏れ電界を利用することにより、このよ
うな色剤の逃げを防止することができる。すなわち、こ
の漏れ電界はあたかも個別ノズルのインク流路の隔壁の
ような役割を果たす。
【0058】図5(b)は、やはり信号電圧無印加時に
おける図3のB−B′線に沿う縦断面を示している。イ
ンク11の流れが色剤飛翔ポイントを過ぎると、やはり
ヘッド基板12の裏面からの電界で色剤だけがせき止め
られる力を受け、ある程度濃度の高い状態のインク11
bがこの部分で保持されると考えられる。このせき止め
る力をかなり強く設定している場合には、色剤だけが析
出して乾燥し流れを詰まらせたりするような悪影響が出
るので、記録周期毎に共通電極23の印加電圧を下げて
漏れ電界を解除することが望ましい。
【0059】図5(c)は、信号電圧の印加状態を説明
する図である。信号電圧として500Vのパルス電圧が
印加されると、個別電極13の先端にある色剤飛翔開始
ポイント13aでは非常に強い電界を生じる。信号電圧
無印加時に、この少し先の部分の電位の壁によりせき止
められていた色剤11bは、この強電界からの反発力を
受け最大の電界ベクトルの方向、すなわち電極13の先
端からヘッド基板12の表面に対して斜め前方に向かっ
て飛び出す。
【0060】図6は、図3のヘッド基板12上の色剤飛
翔開始ポイント13aと隣接した色剤飛翔ポイントとの
中間点13bの2つの点から出発し、図2の対向電極2
2に到達するまでの電気力線に沿った電位を、それぞれ
の全経路長で正規化した距離に対する関係として示した
ものである。この図から分かるように、電位の傾きであ
る電界強度は、色剤飛翔開始ポイントから3次元的に広
がるため、距離の2乗に反比例して急激に小さくなる。
【0061】一方、色剤飛翔開始ポイントから外れた場
所では先鋭な電極端部が無いので、電界強度はそれほど
強くなく、対向電極22に向かって穏やかに減少し、徐
々に他の点からの電界とほぼ同じ強度となる。従って強
電界領域を過ぎた後は、色剤飛翔経路に沿って電位(=
電界ポテンシャル)の極小点が連なる樋状の電位分布の
中を色剤が飛翔することになり、飛翔する方向を安定化
することができる。
【0062】このように、ヘッド基板12の表面の個別
電極13の先端が色剤飛翔開始ポイント13aのように
尖った形状をしている場合には、ヘッド基板12の裏面
側の共通電極23に個別電極13の印加電圧以上に高い
電圧が与えられているときばかりでなく、ある程度低い
電圧でも上述のような樋形の電界形状を形成することは
可能である。
【0063】以上のように、飛翔する色剤の初速度をヘ
ッド基板の表面から離れる方向に与えることによって、
ヘッド基板12のエッジよりも内側へ後退させた表面内
に飛翔開始ポイントを設定することが可能になる。この
ことにより、製造工程が難しくて特性を揃えることも難
しいという従来からの問題を回避できる。つまり、ヘッ
ド基板12のエッジ部分から基板表面を延長した方向に
飛翔させる場合に必要だった基板エッジ部分のパターニ
ングは行わずに、精度良く信頼性も高い基板平面内のパ
ターニングだけで記録ヘッド部が作れるようになる。
【0064】(第3の実施例)図7は、本実施例に係る
記録ヘッド部の構成を示す斜視図である。本実施例で
は、ヘッド基板12上の電極の配置と形状が図3の記録
ヘッド部と異なる。すなわち、図3の記録ヘッド部では
ヘッド基板12の表面側に個別電極13、裏面側に共通
電極23がそれぞれ設けられていたが、本実施例ではヘ
ッド基板13の表面側に第1の電極(個別電極)31と
第2の電極(補助電極)32が形成されている。第1の
電極31と第2の電極32は共に鋸歯状の形状であり、
互いに被接触で噛み合うように組み合わされている。ま
た、第2の電極32の先端部分の形状は、ここからは色
剤が飛翔しないように、最も強い電界が発生する第1の
電極31の先端部分である色剤飛翔開始ポイント31a
に比べて、大きい半径の半弧状としている。
【0065】本実施例の記録ヘッド部の動作において
も、重要なことは色剤飛翔開始ポイント31aでの電界
の方向である。この色剤飛翔開始ポイント31aでの最
大電界ベクトルの方向が表面から外側に離れる方向へ向
く様に、第2の電極32に電圧を加える。第1の電極3
1は、先の実施例における個別電極13と同様、例えば
記録ドットに対応した個別電極であり、常時バイアスと
して例えばDC1.5kVの電圧が印加され、画像信号
に応じた信号電圧として例えばON時に500Vのパル
ス電圧が重畳される。第2の電極32は例えば全ドット
共通につながった共通電極であり、例えば個別電極31
に印加される信号電圧とバイアス電圧の合計電圧である
2.0kVが加えられる。
【0066】次に、本実施例の動作を説明する。
【0067】図8(a)は、電界の強さを電気力線の密
度で説明した図であり、図6のC−C′線に沿う縦断面
を示している。インク11の流れが飛翔ポイント31a
付近に到達すると、第2の電極32からの電界で色剤だ
けがせき止められる力を受け、ある程度濃度の高い状態
のインク11bがこの部分で保持される。このせき止め
る力をかなり強く設定している場合には、色剤だけが析
出して乾燥し流れを詰まらせたりするような悪影響が出
るので、記録周期毎に共通電極23の印加電圧を下げて
漏れ電界を解除する必要があることは、先の実施例と同
様である。
【0068】図8(b)は、信号電圧印加状態を説明す
る図である。信号電圧として500Vが第1の電極31
に重畳されると、色剤飛翔開始ポイント31aでは非常
に強い電界を生じる。信号電圧無印加時に第2の電極3
2からの電位の壁によりせき止められていた色剤31b
は、この強電界からの反発力を受け最大の電界ベクトル
の方向、すなわち電極先端からヘッド基板12の表面に
対して斜め前方に向かって飛び出す。
【0069】飛翔後の色剤に対して、凹型の先端形状を
した第2の電極32が形成する電界は、図3の実施例と
同じように、色剤飛翔経路に沿って電界の極小点が連な
る樋状の電界分布を形成するので、飛翔する方向を安定
化することができる。
【0070】以上のように、本実施例においても飛翔す
る色剤の初速度をヘッド基板の表面から離れる方向に与
えることによって、ヘッド基板12のエッジよりも内側
へ後退させた表面内に飛翔開始ポイントを設定すること
が可能になった。このことにより、製造工程が難しくて
特性を揃えることも難しかったという従来からの問題を
回避できる。すなわち、ヘッド基板のエッジ部分から基
板表面を延長した方向に飛翔させる場合に必要だった基
板エッジ部分のパターニングは行わずに、精度が良く信
頼性も良い基板平面内のパターニングだけで記録ヘッド
が作れるようになる。
【0071】(第4の実施例)図9は、第4の実施例に
係る記録ヘッド部の構成を示す斜視図である。本実施例
では、第2の実施例の特徴であるヘッド基板12の裏面
側の共通電極23と、第3の実施例の特徴であるヘッド
基板12の表面側の第1の電極31と第2の電極32を
併せ持っている。この様な構成とすることにより、ヘッ
ド基板12の誘電率が空気よりも多少高いために裏面側
に回る電気力線が多いという不都合を回避することがで
きる。すなわち、ヘッド基板12の裏面側の電位を高く
することによって、電気力線を表面側に押し出すことが
でき、動作電圧の低下や効率の向上をもたらすことがで
きる。
【0072】また、第3の実施例における第2の電極3
2は第1の電極31と噛み合うような形状の個別電極と
したが、本実施例の様に第2の電極31は主走査方向へ
延びる単純な直線状のパターンであっても良い。この方
が単純なので、製造プロセスでの信頼性が上がる。
【0073】(第5の実施例)第1、第2の実施例で
は、インク供給流路15とインク回収流路17はそれぞ
れヘッド基板12の表面側と裏面側に形成する例を示し
たが、図10に示す様にヘッド基板12のエッジでの回
り込みが無く、ヘッド基板12の表面上のみを一方向に
インクを流す方式であっても良い。
【0074】(第6の実施例)第3の実施例では、第1
の電極31は三角形の先端形状とし、また第2の電極3
2は丸みを持った先端形状としたが、このような形状に
限定されるものではなく、例えば図11に示す様にいず
れも矩形状の先端形状とし、これらを噛み合わせても良
い。
【0075】その他、本発明は種々変形して実施が可能
であり、例えば第3の実施例における共通電極23は、
基板12の裏面全面を覆うものとしたが、飛翔ポイント
の真裏部分だけであってもよく、またヘッド基板12の
表面の個別電極に対応して櫛形に分離していても良い。
【0076】また、第3の実施例では第1の電極31を
個別電極とし、第2の電極32を共通電極としたが、こ
れの逆の関係、すなわち第1の電極を共通電極とし、第
2の電極を個別電極とする形であっても構わない。
【0077】さらに、ヘッド基板12の表面上のインク
の流し方としては、直接空気に触れるようなカバーの無
い流し方でも良いし、色剤飛翔ポイントの周囲だけをア
レイの並ぶ方向にスリット状の窓を明けた板で塞ぐ流し
方でも良い。後者の場合には、そのまま幅が広くて厚み
の薄いインク流路として使用でき、その場合スリット前
では正圧、スリット後では負圧をそれぞれ与えればよ
い。
【0078】(第7の実施例)図12は、第7の実施例
に係るインクジェット記録装置の記録ヘッド部の一部を
拡大して示す斜視図であり、図13(a)(b)はそれ
ぞれ図12のA−A′線およびB−B′線に沿う断面図
である。図12および図13において、ヘッド基板12
の上には、根元が太く先端に行くほど細い形状のいわゆ
るコーン状の突起12cが形成されている。このコーン
状突起12cには、個別電極13が接続されており、突
起12cの表面は個別電極13に連続した導電性の物質
で表面が覆われている。突起12cを覆う導電性物質を
突起状電極13cという。すなわち、個別電極13の先
端部にはヘッド基板12の表面上に突出して形成された
突出部が突起状電極13cとして形成される。個別電極
13は図示しない駆動ICにそれぞれ接続されており、
突起状電極13cに電圧を印加することができるように
なっている。
【0079】ヘッド基板12上には、スリット14aが
形成された上カバー14が図示しないスペーサを介して
ヘッド基板12と平行に取り付けられている。コーン状
突起12cはスリット14aの内側に位置し、上カバー
14から露出している。ヘッド基板12と上カバー14
の間にはインク流路が形成され、ここにインク11が供
給される。コーン状突起12cの先端つまりは突起状電
極13cは、わずかにインク11の液面から露出する。
【0080】このような構成で、個別電極13に画像に
応じて信号電圧を印加すると、コーン状突起12cの先
端からヘッド基板12の面に対して垂直方向にインク滴
11eが吐出し、図示しない記録媒体上に向かって飛翔
することにより、記録媒体上に画像が記録される。イン
ク11は、例えば図13(a)の矢印に示す方向に水圧
差やポンプあるいは静電気的な力によって流れており、
新しいインク11が次々と供給されるようになってい
る。
【0081】このように、本実施例の特徴はヘッド基板
12の上に3次元構造の突起12cを形成し、この突起
12cの先端からインク滴11eを吐出させる点にあ
る。
【0082】次に、図14を用いて本実施例の記録動作
をさらに詳細に説明する。図14はコーン状突起12c
の先端付近を拡大して示す図である。コーン状突起12
cは数μm〜100μm程度の高さを有し、インク11
の液面から数μm〜数10μm飛び出している。しか
し、コーン状突起12cの先端ではインク11は毛管現
象により突起12c上に形成された突起状電極13c上
に薄い層を形成し、常に突起状電極13cの表面を濡ら
している。すなわち、インク11は個別電極13の突起
状電極13cを覆うように供給されている。
【0083】インク11は、先の実施例と同様に主とし
て絶縁性の溶媒11c中に顔料などから構成される色剤
11dを分散させたものである。また、色剤11dは図
示のように例えば正の電荷で帯電させることが望まし
い。このようなインク11としては、静電記録方式や電
子写真記録方式で使用されている通常の液体現像トナー
が使用できる。本実施例のインクジェット記録装置で
は、色剤11dとしてサブミクロン〜数μmまで様々な
大きさのものが使用可能である。
【0084】個別電極13にはバイアス電圧源20か
ら、プラテン(記録ドラム)の役割を兼ねる対向電極2
2に対して、例えば図示のように正の直流バイアス電圧
が与えられている。この直流バイアス電圧は、突起状電
極13c上のインクをコーン状突起12cの先端方向に
押し上げる効果もある。また、この直流バイアス電圧の
印加によって、記録媒体21を挟んで対向電極22と突
起状電極13cの間に電界が形成される。この電界によ
ってもインク11を突起状電極13cの表面方向に引き
つける力が働く。これらの作用によって、突起状電極1
3cの表面は常にインク11により濡れた状態となる。
このように突起状電極13cの表面がインク11により
濡れていることで、インク11の供給をスムーズに行
い、安定してインク滴を吐出・飛翔させるとともに、個
別電極13と対向電極22の間に大きな電界が加わった
場合の放電を防止することができる。
【0085】また、本実施例ではインク11に帯電する
色剤11dを使用し、さらに突起状電極13cに正の直
流バイアス電圧を印加しているために、色剤11dはイ
ンク11の表面に濃縮して集まる状態となる。液体現像
トナーを本実施例におけるインク11として使用する場
合、色剤の濃度は通常数%であるため、一般にはインク
ジェット記録用のインクとして使用するには薄すぎる。
しかし、このように色剤11dのみを表面近くに集める
効果によって、色剤11dの濃度を10数%〜数10%
まで濃縮することができるため、通常の液体現像トナー
も本実施例のインクジェット記録装置に使用することが
可能となる。
【0086】このように個別電極13には、常にバイア
ス電圧源20から直流バイアス電圧が印加されている
が、さらに駆動回路19から画像信号に応じた信号電圧
として例えばパルス電圧が直流バイアス電圧に重畳して
印加される。突起状電極13cの先端付近の薄いインク
層として凝集された色剤11dは、個別電極13に与え
られた信号電圧に対しては反発し、また対向電極22側
には逆に引き付けられることによって、信号電圧に応じ
て吐出することになる。
【0087】ここで、直流バイアス電圧は約1kV程
度、また信号電圧は数100V程度である。これらの電
圧は従来の静電力でインクを飛ばす方式のインクジェッ
ト等と比較して、非常に低い電圧となる。このような低
い駆動電圧で記録動作を実現できるのは、上述したよう
に色剤11dが帯電するインクを使用したためである。
すなわち、突起状電極13cと色剤11dとの間に反発
力が生じ、低い電圧でもインク滴11eとして吐出し易
くなるためである。
【0088】また、本実施例ではインク滴11eが突起
状電極13cの先端から吐出するので、先の実施例と同
様に基本的にノズルが必要ないのも大きな特徴である。
従って、インクが乾いて生ずる目詰まりの問題もかなり
改善されるため、図12に示したようなライン走査型記
録ヘッドを実現することも容易に可能となる。
【0089】(第8の実施例)図15に本発明の第8の
実施例を示す。第7の実施例では、インク滴は平面上に
形成されたコーン状突起12cに形成された突起状電極
13cからベッド基板12に垂直な方向へと吐出され
る。すなわち、ヘッド先端のインク吐出機構を全て平面
上に形成することができる。このような特徴により、従
来のヘッド基板端面にインク吐出機構を形成する方法と
比較して、記録ヘッドの作製が容易になるという利点が
ある。さらに、ヘッド基板12の平面上にインク吐出機
構を形成したことにより、図15に示すようなヘッド構
成により高解像度化が実現できる利点もある。
【0090】図15は、コーン状突起12cをヘッド基
板12の面に垂直な方向から見た平面図である。同図に
示すように、個別電極13はピッチPで示される距離以
下に近づけることは不可能である。コーン状突起12c
上の突起状電極13cの底面はある程度の半径があり、
隣の突起状電極と接触しないように離す必要があるため
である。さらに、突起状電極13cが隣の電極と近づき
過ぎると、一方に信号電圧が印加され、他方に印加され
ていない場合に、両電極間で放電が生じてしまう。これ
らの理由から、コーン状突起つまりは突起状電極13c
の大きさが決まると、ピッチPが制限されてしまい、こ
のピッチPよりも高い解像度の記録はできないことにな
ってしまう。
【0091】しかし、インク吐出機構を平面上に形成で
きる場合には、図15に示したように個別電極13およ
び突起状電極13cを千鳥状に、つまり互い違いに2列
に並べることで高解像度化が可能となる。突起状電極1
3cを一列に配列した場合には、その配列ピッチP以下
の解像度で記録することは不可能である。これに対し
て、本実施例のように突起状電極13cを主走査方向
(配列方向)に1/2ピッチ(P/2)だけずらせて二
列並べると、2倍の解像度の記録が可能となる。この場
合、突起状電極13cの二列の間の距離Lについては、 L=P*(2*n+1)*(1/2) (nは整数) の関係にすることで、副走査方向についても2倍の高解
像度化が可能となる。但し、このように二列に突起状電
極13cを配列した場合には、それぞれの電極列に電圧
を印加する時間的なタイミングが(n+1)主走査ライ
ン分だけ遅れるので、信号電圧を遅延させる操作が必要
になる。
【0092】このように本実施例によれば、例えば突起
状電極13cを400dpiの解像度に相当するピッチ
でしか並べられない場合でも、主走査方向、副走査方向
とも800dpiの高解像度の記録を行うことが可能に
なる。なお、図ではスリット14aが2列形成された例
を示してあるが、個別電極13の二つの列の距離が近い
場合にはスリット14aは一列でも良い。
【0093】また、本実施例は L=P*m (mは整数) としてもよく、その場合は副走査方向の解像度は個別電
極13が一列の場合と同様となる。さらに、 L=P*m*(1/k) (m,kは整数) とすると、主走査方向の解像度を2倍に、副走査方向の
解像度はk倍にすることも可能である。
【0094】図16には、突起状電極13cの配列ピッ
チPの4倍の解像度で記録する例を示した。この場合に
は、 L=P*m*(1/k) (m,kは整数) の関係が満たされている必要がある。ここで、mが奇数
でk=4の場合に、副走査方向の解像度つにいても4倍
にすることが可能となる。
【0095】(第9の実施例)図17に、第9の実施例
を示す。第7の実施例では、コーン状突起12cが一列
に並んだ位置の上カバー14にスリット14aが形成さ
れていた。これに対して、本実施例ではコーン状突起1
2cが一列に並んだ位置の上カバー14に、孔(これを
インク通過孔という)14bが形成されている点が第7
の実施例と異なる。図18(a)はコーン状突起12c
の頂点を通る突起列に平行な面での断面図、(b)はコ
ーン状突起12cの頂点を通る突起列に垂直な面での断
面図である。
【0096】本実施例によると、隣の画点を記録した時
に発生したインク液面の振動を上カバー14で抑えるこ
とができるようになる。このインク通過孔14bは、そ
の径を小さくすると通常のインクジェットのようにノズ
ルの働きもする。しかし、本発明のインクジェット記録
装置では、コーン状突起12cの先端からインクが吐出
されるため、インク通過孔14bはノズルのようにイン
ク滴の大きさを規定することはないので、大きな圧力に
耐えるようなものでなく、隣接するインク液面の振動を
抑える働きだけをすれば良い。従って、このインク通過
孔14bは解像度と比較して大きな径でよいことが従来
の通常のインクジェットノズルとは異なっている。
【0097】(第10の実施例)次に、図19および図
20を参照してコーン状突起12cの種々の例について
述べる。第7〜第9の実施例では、図19(a)に示し
たような円錐状のコーン状突起を使用した例を示してき
たが、コーン状突起の形状としては根元が太く先端が細
くなっている形状であればどのようなものでも使用する
ことができる。
【0098】例えば図19(b)(c)(d)に示され
るような多角錐形状や、あるいは図19(e)に示され
るようなバンプ状に盛り上がった形状として、インク滴
を吐出させる突起として使用することが可能である。い
ずれにしても、根元が太く先端に行くほど細くなってい
る形状のコーン状突起であれば、同様の効果が得られ
る。このような形状とすれば、毛管現象や個別電極13
への電圧の印加によりインクで突起先端を常に濡らして
おくことができるため、インクの供給をスムーズに行
い、突起の先端から安定してインクを吐出・飛翔させる
ことができるとともに、個別電極13と対向電極22の
間に加わる電界による放電を防止することができる。
【0099】また、コーン状突起は必ずしも先端まで細
くなっていなくてもよく、図20に示したような形状で
も構わない。図20(a)は円錐台、(b)(c)
(d)は多角錐台、(e)はバンプ状の盛り上がりの先
端部を切り取った形状となっている。先端まで鋭く尖っ
ている場合には、先端のでき方のわずかの違いによって
吐出するインクの方向や大きさが異なったり、時間的に
変動することもあるが、図20のように先端が尖ってい
ない形状とすれば、このような現象は生じない。さら
に、実際に図20に示したような突起を作っても、作成
方法によっては先端部分が必ずしも平坦とならず、ある
程度の曲率半径を持った丸みを帯びた形になることもあ
るが、そのような場合でもインク滴吐出用突起として使
用することが可能である。
【0100】(第11の実施例)図21に、インク吐出
用突起のさらに他の実施例を示す。これまでの例では、
一つの画点に対して一つのコーン状突起および突起状電
極を使用した例を示してきたが、図21は一つの画点に
対して複数の突起状電極を対応させた例である。本実施
例では、図17に示したような上カバー14にインク通
過孔14bが形成されているタイプで説明する。図21
に示すように、本実施例では一つのインク通過孔14b
に対して、微細なコーン状突起を多数集合させたコーン
状突起群12dを対応させている。
【0101】コーン状突起を作製する場合、製造工程が
安定しないと全く同じ特性の突起を得ることは困難であ
る。さらに、本発明では前述したように基本的に放電は
生じないが、放電が生じるとその影響で使用中に特性が
変化してしまう場合もある。これにより安定した画点を
形成できなくなり、画点の濃度や形成位置が不安定にな
ったり、場合によっては全く画点が形成されない状況に
なってしまうこともある。これに対し、本実施例のよう
に一つの画点に対して、複数のコーン状突起からなる突
起群12dを対応させると、幾つか特性の揃っていない
突起が存在しても、多数の突起で一つの画点を形成する
ことから、画点の特性を安定させることができる。すな
わち、インク滴が吐出しない突起が幾つかあっても、他
の突起からインクを吐出させて補うことができる。
【0102】(第12の実施例)図22は、本実施例に
おける記録ヘッド部の要部の構成を示す斜視図である。
第7〜第11の実施例では、コーン状突起を一つ一つ独
立して形成したが、本実施例は主走査方向に連続した断
面三角柱状の連続突起12eを設け、この連続突起12
eの上にピッチPで形成された個別電極13を延在させ
突起状電極13cとしたものである。このような連続突
起12eにおいても、副走査方向からの断面を見ると、
根元が太く先に行くほど細くなる形状をしているため、
コーン状突起を使用した場合と同様の効果が得られる。
また、一つ一つのコーンを独立させる必要がないので、
製作が簡単になるという利点がある。
【0103】図23は、本実施例の構成を拡張して高解
像度化を図った例を示す図である。すなわち、断面三角
形状の連続突起12eを副走査方向に L=P*(1/2)*(2*n+1) (nは整数) だけ離して二列形成し、それぞれの連続突起12e上に
ピッチPで形成された個別電極13を延在させて突起状
電極13cとし、さらに個別電極13を主走査方向にピ
ッチPの1/2だけずらせることにより、図22に比較
して主走査・副走査ともに解像度を2倍としている。
【0104】なお、本実施例では連続突起12eの断面
形状として三角形を示したが、これに限定されるもので
はなく、断面形状が円や楕円の一部分の形状であった
り、さらに図20に示したような上部が平坦な錐台状の
形状、あるいはこれらの形状の突起を作製する際に、自
然に先端部分が丸くなったような形状でも使用可能であ
る。すなわち、連続突起の場合でもコーン状突起の場合
と同様に、底部の幅が広く、上部ほど幅の狭い形状であ
れば同様の効果が得られる。
【0105】(第13の実施例)本実施例では、コーン
状突起12cおよび突起状電極13cの構造と作製方法
の幾つかの具体例を説明する。図24は、コーン状突起
12cおよび突起状電極13の種々の例を示す断面図で
ある。第7〜第12の実施例では、図24(a)に示す
ようにヘッド基板12の上にコーン状の突起12cを作
製した後、その上にさらに個別電極13の突起状電極1
3cを形成した方法で説明してきた。この場合、コーン
状突起12cは絶縁物でも導電性のものでも構わない。
細かいものを正確に作る必要があるため、Siや導電性
のSiを半導体製造プロセスで加工する方法が最も簡単
な方法である。
【0106】一方、図24(b)に示す例はヘッド基板
12の上にコーン状個別電極13cを作製して貼り付け
てものである。つまりコーン状電極13cの内部を空洞
41としている。図24(c)の例は、コーン状突起全
体が個別電極13(突起状電極13c)と同様の導電性
物質で一体に作製されており、突起状電極13cがコー
ン状突起を兼用している例である。
【0107】図24(d)(e)(f)は、それぞれ図
24(a)(b)(c)に示した個別電極13の表面に
突起状電極13cを含めて絶縁層42を形成した例であ
る。金属や導電性物質から構成される個別電極13およ
び突起状電極13cを露出させると、インク中の帯電性
の色剤が個別電極13および突起状電極13cに触れた
場合、個別電極13および突起状電極13cから色剤へ
と電荷注入が生じ、色剤が必要以上に帯電してしまう場
合がある。さらに、個別電極13および突起状電極13
cから直接電荷注入された色剤と、他の色剤との間での
特性のばらつきなども生じてしまう。このような状態に
なると、インク吐出特性が不安定になり、一定の濃度の
画像を記録し続けることが不可能となってしまう。色剤
の帯電量を制御するようにインクを構成することによ
り、このような問題に対しても対応できるが、個別電極
13および突起状電極13cの表面に絶縁層42を形成
する方法でも、このような問題を解決することが可能で
ある。
【0108】なお、絶縁層42の形成方法としては、個
別電極13および突起状電極13cの表面上にサブミク
ロン〜10数ミクロンの厚さに樹脂を塗布する方法があ
る。また、SiO2 などの絶縁膜を塗布する方法もあ
る。さらに、導電性のSiなどで個別電極13を形成す
る場合には、電極表面を酸化して絶縁膜を作製する方法
でも実現できる。
【0109】(第14の実施例)図25は、本実施例に
係る記録ヘッド部の構成を示す図である。本実施例では
特に電極への電圧の印加方法の他の例について説明す
る。本実施例では、まずヘッド基板12上に一様に色剤
濃縮用電極51を形成する。この色剤濃縮電極51の上
に絶縁層52を形成し、絶縁層52の上にコーン状突起
12cと、個別電極13および突起状電極13cを形成
している。そして、図示しないスペーサを介してスリッ
ト14aが形成された上カバー14を被せてインク流路
を形成し、ここにインク11を供給する。上カバー14
は、この例では導電性材料により形成されている。
【0110】記録媒体21が接触している対向電極22
と上カバー14との間に、加速用バイアス電圧源53か
ら正のバイアス電圧が印加され、さらに上カバー14と
色剤濃縮用電極51との間に、色剤凝集用バイアス電圧
源54から正のバイアス電圧が印加される。この色剤濃
縮用バイアス電圧が印加されると、上カバー14と色剤
濃縮用電極51の間に電界が形成される。色剤は正に帯
電するように設計されているために、この電界に影響を
受け、上カバー14の周辺に集まってくる。つまりイン
ク11の上層部分に色剤が濃縮される。このように色剤
濃度の濃くなった部分は、図中矢印で示したようなイン
ク11の流れに乗って上流から下流へと次々に流れ、コ
ーン状突起12cの頂点付近にも濃縮されたインクが供
給されることになる。ここで、個別電極13に駆動回路
55から画像信号に応じた信号電圧としてパルス電圧を
印加すると、突起状電極13cの上部からインク滴が吐
出する。吐出されたインク滴は、加速用バイアス電圧が
形成する電界によって加速され、記録媒体21へ向けて
飛翔する。
【0111】本実施例によると、インクの濃縮と吐出を
別の電源つまり色剤濃縮用バイアス電圧源54と駆動回
路55により行うことが可能となる。図14に示したよ
うなインクの濃縮と吐出を同時に行う方法では、前述の
ように約1kV程度の濃縮用バイアス電圧に数100V
の吐出用パルス電圧を重畳させる必要があり、これらを
重畳した電圧以上の耐圧のICを使用する必要がある。
これに対し、図25のようにインクの濃縮と吐出を分離
した場合には、それぞれのバイアス電圧は共通に印加
し、吐出用パルス電圧の数100Vの電圧だけを制御す
れば良いため、より低耐圧の安価なICを使用すること
が可能となり、インクジェット記録装置の小型化・安定
化に大きく寄与する。
【0112】なお、本実施例では加速用バイアス電圧源
53からのバイアス電圧を直流電圧としたが、記録信号
に同期したパルス電圧でもよい。但し、その場合には一
つ一つの突起に対してパルス状の加速電圧を印加できる
与えることができるように、加速用バイアス電圧を印加
するための電極(上カバー14に相当)を、個別電極1
3に対応して個別に設けることが必要となる。
【0113】(第15の実施例)第7〜第14の実施例
では、図13に示したように、コーン状突起12cおよ
び突起状電極13cがインクの液面からわずかに露出し
ている例で説明してきたが、図26に示すように構成し
てもインク滴を吐出させることが可能である。
【0114】図26(a)は、突起状電極13cの頂点
がインク111の液面より下に存在する例である。この
ように突起状電極13cがインク内部に埋没している状
態でも、バイアス電圧によりインク11の上部は、色剤
が凝集し濃度が濃い状態になっており、ここで個別電極
13に信号電圧を印加すると、突起状電極13cの頂点
付近に凝集していたインクが吐出し飛翔する。従って、
突起状電極13cの頂点は常にインク11の液中にあ
り、必ず頂点まで濡れているために、放電の問題をより
確実に解決できるという利点がある。
【0115】さらに、図26(b)に示すようにコーン
状突起12cおよび突起状電極13cがほとんどインク
液11から出ているような状態でも、突起12cが小さ
い場合には毛管現象で、また突起12cが大きな場合に
はさらに電圧を印加することで、突起状電極13cの頂
点にも薄いインク層を形成することができるので、イン
クを吐出させることが可能である。このような突起状電
極13cの表面上のインクの薄層は、インク11の液面
から離れるほど安定して形成されるため、安定したイン
クの吐出が可能となり、画像をより安定に記録できる。
【0116】但し、このように突起状電極13cがイン
ク11の液面から離れると、乾燥し易くなるため、しば
らく使用しない場合には、突起12c付近のインクを抜
き、使用する場合に再びインクを注入するようにすると
よい。インクの注入時には、一旦少し高めの圧力でイン
クを注入し、突起状電極13cの頂点まで濡らした後
に、負圧にして図のようなインクの状態にする。このよ
うにすることで、突起状電極13cの頂点までインクで
濡れるために、電圧を印加することによりスムーズにイ
ンクを供給することが可能となる。
【0117】(第16の実施例)図27は、第16の実
施例に係るインクジェット記録装置の記録ヘッド部の概
念図であり、インク中の帯電した色剤を分離した電極間
の電界で凝集し、絶縁層を挟んで交差した電極で発生す
る垂直方向の電界により、凝集した色剤を垂直方向に飛
翔させるようにしたものである。
【0118】図28は、本実施例における記録ヘッド部
の単一ノズルの断面模式図である。この記録ヘッド部に
おいては、ガラス層を塗布した1mm程度の厚さのセラ
ミック基板あるいはガラスからなるヘッド基板101上
に、記録ドットに対応する幅100μm程度の飛翔用電
極102が一定間隔で基板101の長手方向に沿って多
数形成されている。50μm程度のサイズの記録画点領
域103を除き、この飛翔用電極102上にガラス層な
どの絶縁層104が数μm〜数十μmの厚さ塗布され
る。この記録画点領域の飛翔用電極102からインク中
に直接電荷が注入され、インク中の色剤の飛翔を容易に
する。この飛翔用電極102と直交する方向の絶縁層1
04上に、インク中の帯電色剤を凝集させる100μm
程度の間隔を有する一対の凝集用電極105,106が
設けられ、さらにこれらの凝集用電極105,106上
に数μm以下のSiO2 膜が被覆されることによって、
凝集用電極105,106からのインク溶媒への電荷注
入を防止し、同時に飛翔用電極との放電を防止してい
る。飛翔用電極102と凝集用電極105,106の厚
さは、数千オングストローム程度とする。
【0119】次に、搬送されたインク中の色剤を凝集し
飛翔させる動作について図28を用いて説明する。図2
8(a)はインク中の色剤を凝集させる工程を示す。こ
こで使用するインク107は、石油の一種である10-8
Ωcm以上の絶縁性のケロシンからなるインク溶媒中
に、顔料とプラス帯電用の制御剤がバインダとともに混
合した色剤をコロイド状に分散・浮遊させたものであ
る。また、色剤はマイナス極性であってもよく、そのと
きは電極への印加電圧を全て逆極性する。このインク溶
媒中にプラス帯電した色剤を有するインク107が、ヘ
ッド基板101と平行して矢印108方向に一定量搬送
される。インク107中の帯電色剤を凝集させるため、
凝集用電極105,106をそれぞれアース電位とプラ
ス50Vの電圧109にし、インク107の流れとは逆
極方向の力が色剤に作用する電界(〜2×104 V/c
m)を形成する。この高い電界で、インク107中の帯
電色剤がインク107の流れに対して妨げられ、帯電色
剤が凝集用電極105,106間の記録画点領域103
で凝集する。この凝集した色剤を110に示す。色剤が
凝集し色剤濃度の減少したインク溶媒111は、電界に
妨げられることなく矢印112の方向に流れる。
【0120】図28(b)は、色剤が凝集しているイン
ク107を静電力で飛翔させる工程を示すである。飛翔
用の垂直方向の強電界を形成するため、凝集用電極10
5,106を共にアース電位し、凝集用電極105,1
06と絶縁層104を挟んで設けられた飛翔用電極10
2をプラス200Vの高電圧113にする。このように
すると、凝集用電極105,106間の100μmの記
録画点領域103に、高い電界(〜105 V/cm)が
記録媒体116に向かう方向に形成され、プラス帯電し
凝集した色剤110が飛翔粒子114となって矢印11
5で示すように記録媒体116の方向に飛翔する。この
普通紙などの記録媒体116は、電極上数百μm程度の
距離に配置され、その背面にはプラテンの役割を兼ねる
対向電極117が配置されている。色剤の飛翔の際に
は、飛翔用電極102の記録画点領域でインク中にプラ
ス電荷の注入が行われ、効率よく凝集した色剤の飛翔が
行われる。
【0121】(第17の実施例)次に、インク飛翔用電
極を多数設けたインク搬送路を有するマルチヘッドに適
用した実施例について、図29〜図31を用いて詳細に
説明する。図29は、本発明によるマルチヘッドの断面
模式図である。第16の実施例と同様に、ヘッド基板1
01上に記録ドットに対応する幅100μmの飛翔用電
極102が一定間隔でヘッド基板101の長手方向に沿
って多数設けられている。また、50μm程度の記録画
点領域を除いて飛翔用電極102上にガラス層などの絶
縁層104が被覆され、飛翔用電極102と直交する共
通した凝集用電極が絶縁層上100μm間隔で一対存在
する。凝集用電極上には数μm以下のSiO2 膜を被覆
し、凝集用電極からのインク溶媒への電荷注入を防止す
る。同時に飛翔用電極102との放電を防止する作用も
ある。
【0122】この記録ヘッド部は、インク供給流路20
1とインク回収流路202を有するインク搬送系のカバ
ー203で覆われている。ヘッド基板101とカバー2
03は、50μm程度のスペーサを介して一定距離に配
置される。カバー203には、各飛翔用電極102に対
応するインク吐出孔204が設けられている。また、飛
翔用電極102はカバー203の外部まで引き出され、
外部から個々に200Vの信号電圧源205が接続され
る。飛翔用電極102上に共通に設けられた一対の凝集
用電極(図29では図示せず)は、ヘッド基板101の
サイド(図示せず)から引き出され、外部からインク中
の色剤凝集用の電圧が加えられる。
【0123】カバー203は、電極で形成される電界を
乱さないように、インク溶媒と同程度の誘電率の樹脂か
ら構成される。スペーサで一定距離を保って形成された
インク供給流路201には、図示しないポンプなどで構
成される還流機構により静圧が加えられ、インク供給流
路201から供給されたインクはヘッド基板101の側
面の開放領域であるインク回収流路202へ流出する。
このインク回収流路202には負圧による吸引力を与え
るポンプからなる図示しない還流機構が付加され、イン
クの流れを制御する。このようにして搬送されるインク
は、点線の矢印206で示す方向にヘッド基板101に
沿って各飛翔用電極102上の画点形成領域に均一に搬
送される。インク層は、カバー203により凝集用電極
上を50μmの一定の厚さで流れる。普通紙などの記録
媒体は、カバー203上数百ミクロン程度の距離に配置
され、記録媒体の背面にはプラテンの役目をなす対抗電
極(図示せず)が存在する。
【0124】図30は、インク中の色剤を凝集用電極1
05,106による電界で凝集させ、凝集した色剤を飛
翔用電極102に与えた信号電圧で飛翔させて、飛翔後
の残留色剤を凝集電界に与えた逆極性の電界で剥離し、
インクとともに搬送・除去するまでのインクの動きを示
したものである。
【0125】図30(a)は、凝集用電極105,10
6に電圧を印加することによりインク中の色剤が凝集す
る工程を示す。インク溶媒中のプラス帯電した色剤がヘ
ッド基板101と平行にインク107とともに矢印10
8の方向に一定量搬送される。共通の凝集用電極105
をアース電位とし、もう一つの凝集用電極106にプラ
ス50Vの電圧109を印加し、この電圧により形成さ
れる凝集用電極105,106間の電界(〜2×104
V/cm)によって、インク流とは逆方向の力を帯電し
た色剤に作用させる。このようにして、インクの流れに
逆らって凝集用電極105,106間の領域103にイ
ンク中の色剤を符号110に示すように凝集させる。図
30(b)は、凝集した色剤からなるインクの飛翔を示
す。両凝集用電極105,106をアース電位にし、絶
縁層を挟んで凝集用電極105,106の下部に設けら
れた飛翔用電極102にプラス200Vの信号電圧20
5を印加する。このようにすると、記録ドット毎に独立
した垂直方向の高い電界(〜105 V/cm)が凝集用
電極105,106間の100μmのギャップに形成さ
れ、プラス帯電した凝集色剤が記録媒体の方向115に
反発してインク粒子114となって記録媒体の方向11
5に飛翔する。このとき、凝集した色剤を含むインク溶
媒には飛翔用電極102から直接プラス電荷が注入さ
れ、効率よくインク粒子の飛翔が行われる。この注入電
荷量を決める信号電圧の電圧またはパルス幅を記録ドッ
ト毎に変え、インクの注入電荷量を変化させてドットサ
イズを変調し、階調記録を可能にする。
【0126】次に、共通の凝集用電極105,106上
に残留した色剤をインク流とともに除去する工程を図3
0(c)を用いて説明する。凝集用電極106をアース
電位にし、凝集用電極105にプラス50Vの電圧20
6を与え、凝集用の電界とは逆極性の電界を形成する。
飛翔されなかった残留色剤207は、矢印208の方向
の力を受けてインク流とともに押し出され、1回の飛翔
毎に清掃され常に新しいインク層が飛翔領域に搬送され
る。このようにして、常に初期状態にすることで安定し
た色剤の飛翔を行う。
【0127】図31は、凝集用電圧とインク飛翔用の信
号電圧とのタイミングを示す図であり、(a)は凝集用
電極105に加える信号電圧、(b)は凝集用電極10
6に加えた信号電圧、(c)は飛翔用電極102に印加
する信号電圧をそれぞれ示している。タイミングt1で
凝集用電極106に50Vの電圧を印加し、凝集用電極
105をアース電位にする。その結果、プラスに帯電し
た色剤が図30のインクの流れ110に逆らうような電
界が、飛翔用電極105,106間に作用し、インク中
の色剤が凝集する。インクの色剤が凝集した後のインク
溶媒のみは、インク還流機構により流れる。タイミング
t2で両凝集用電極105,106をアース電位にし、
飛翔用電極102に200Vの信号電圧を印加する。こ
のようにすると、飛翔用電極102と交差した凝集用電
極105,106間でインク中の凝集した色剤に垂直方
向の高い電界が作用し、色剤が凝集したインクがカバー
に開いたインク通過孔を通して垂直方向に飛翔する。こ
のとき、飛翔用電極102から凝集インクに直接電荷が
注入され、飛翔を容易にする。凝集用電極102上には
薄くSiO2 膜が被覆されており、飛翔用電極102か
らの逆極性の電荷注入を防止する。タイミングt3では
凝集用電極105に50Vの電圧を印加し、凝集用電極
106をアース電位にし、飛翔用電極102間に残留す
るプラスに帯電した凝集色剤にインク流と同方向の電界
力を与え、インク流とともに除去し、t4のタイミング
で初期状態にする。このようにして、常に安定した色剤
が凝集したインク飛翔を行う。
【0128】(第18の実施例)次に、磁性インクを使
用した実施例について、図32および図33を参照して
説明する。図32は、本実施例の記録ヘッド部の構造を
示す図である。本実施例では、第16の実施例で示した
インク中の色剤を凝集する凝集用電極の代わりに、イン
ク中の磁性色剤を凝集させる磁界発生用の電磁石301
がヘッド基板101の背面に配置される。また、ヘッド
基板101の表面に垂直方向のインク飛翔電界を形成す
る飛翔用電極302が各記録ドットに対応して設けら
れ、かつ各飛翔用電極302に交差する共通の誘導電極
303がガラスなどを数μm被覆した絶縁層304を介
して設けられる。飛翔用電極302上の記録画点に相当
する領域305は、インク中に電荷を注入させるため絶
縁層を除去しておく。
【0129】図33は、磁性色剤を凝集させ飛翔させる
プロセスを示した図であり、(a)はインク中の磁性色
剤が凝集する工程を示す。ヘッド基板101の表面を矢
印306方向に搬送された磁性インク307は、電磁石
301に与えられた電圧でインク溶媒中に分散した磁性
色剤がヘッド基板101上に符号308で示すように凝
集する。図33(b)は、凝集した磁性インクを飛翔さ
せる構成を示す。飛翔用電極302に200Vの信号電
圧が与えられ、磁性色剤が凝集したインク308中に電
荷が注入され、アース電位の誘導電極303との間で垂
直方向の強電界が形成され、凝集色剤を有するインクが
反発されて記録媒体309の方向に粒子310となって
飛翔する。インクが飛翔した後、残留した凝集インク
は、電磁石の磁界をオフにすることで搬送インクととも
搬送され除去する。
【0130】その他、本発明は種々変形して実施が可能
である。例えば、第16の実施例では飛翔用電極と凝集
用電極が薄い絶縁層を挟んだ立体構成としたが、飛翔用
電極の両サイドを凝集用電極が挟む構造にして、飛翔用
電極と凝集用電極を同一ヘッド基板上に設けても良い。
また、飛翔用電極を共通電極とし、凝集用電極を個別電
極としと設けても良い。さらに、カバーのインク吐出孔
を個別に設けずに、スリット状にしても良い。
【0131】最後に、本発明のインクジェット記録装置
を適用したインクジェットプリンタ全体の具体的な構成
例を図34により説明する。
【0132】図34において、図示しない紙カセットか
ら供給された記録紙1は、給紙ローラ2によって記録ド
ラム3の周辺に供給され、更に紙ガイド4と紙押さえロ
ーラ5によって、記録ドラム3に押しつけられる構成と
なっている。記録紙1が記録ドラム3に押しつけられて
いる状態で、インクジェット記録ヘッド10から少なく
とも色剤成分を含むインク滴11が画像信号に従って吐
出され、記録紙1の上に文字7が形成され、記録が行わ
れる。記録が終了すると、記録紙1は排紙トレイ6に排
出される。ここで使用されるインクジェット記録ヘッド
10は、図示するような記録紙1の幅方向の長さを記録
できるライン走査型ヘッドであり、今までの実施例で説
明したた本発明に基づくヘッドが用いられる。
【0133】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば記録
中は電極表面がインクにより覆われることにより、放電
による破損を起こすことなく、インク中の色剤成分の飛
翔に必要な安定した強電界が得られるので、飛翔する色
剤の粒が小さく、ライン走査記録に適したスリット状ノ
ズルの静電力を使用するインクジェット記録装置を実現
することができる。
【0134】また、本発明によればヘッド基板表面のな
す平面方向の成分とは異なる垂直の方向成分を付加した
強電界ベクトルを形成するので、飛翔する色剤に基板平
面とある角度を持った初速度を与えることができる。し
たがって、基板のエッジより後退した位置からの色剤の
飛翔が可能となるだけでなく、基板平面内のどのような
内部位置からでも色剤の飛翔が可能となり、エッジ部を
使わないサイドシュータタイプのインクジェット記録ヘ
ッドを実現できる。すなわち、製造プロセス上の信頼性
も良く、動作上も均一な特性が得られる平面内パターニ
ングプロセスだけを用いることにより、実用的なライン
走査型のインクジェット記録ヘッドを実現することが可
能となる。
【0135】さらに、個別電極の配線パターンの間隙に
色剤を反発する電界を発生する構造とすることも可能で
ある。その場合には、インクが流れる間に色剤を効率よ
く集めたり、飛翔開始点に蓄えておけるという効果や、
色剤が飛翔する空間的経路に沿って電界の極小点が連な
る樋状の電位を形成し、飛翔方向を安定化するという効
果を持たせることもできる。
【0136】また、本発明では個別電極の先端に突出部
を形成し、この突出部上にインクを供給することによ
り、個別電極が放電によって破壊されることを防止でき
るとともに、より安定した画像記録を実現できることが
でき、しかも突出部の先端からインクを吐出させるの
で、基本的にノズルが必要なく、インクを通過させるた
めのスリットまたは孔があれば良いので、ノズルの目詰
まりの問題が解決される。さらに、個別電極およびその
突出部を主走査方向に複数個配列し、さらに副走査方向
に複数列設けるようにした上で、異なる列上の突出部を
主走査方向で主走査方向の異なる位置にそれぞれ配置す
ることによって、主走査方向の配列ピッチより小さい間
隔で画点を形成して高解像度の記録を行うことも可能と
なる。
【0137】また、従来のインクジェット記録ヘッドで
は、インク凝集とインク飛翔の電極が分離していないた
め、ヘッドと記録媒体間距離を近接することで隣接画点
による電界との干渉を防止すると、色剤凝集に必要な電
圧が飛翔電圧より高くなり、凝集した色剤を飛翔させる
ことが不可能であったが、本発明によればインク中の色
剤凝集と飛翔電界を分離した電極で行うため、色剤凝集
が可能で干渉のないヘッドを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係るインクジェット記録装置の
概略構成図
【図2】第2の実施例に係るインクジェット記録装置の
概略構成図
【図3】第2の実施例における記録ヘッド部の概略構成
【図4】同実施例における個別電極先端部の形状と安定
動作範囲の説明図
【図5】同実施例の原理を示すヘッド基板周辺の電界分
布の概念図
【図6】同実施例における樋形ポテンシャルの発生を示
す距離対電位と電界強度のグラフを示す図
【図7】第3の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成図
【図8】同実施例の原理を示すヘッド基板周辺の電界分
布の概念図
【図9】第4の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成図
【図10】第5の実施例に係る概略構成図
【図11】第6の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成
【図12】第7の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成
【図13】図12のA−A′線およびB−B′線に沿う
断面図
【図14】同実施例の動作を説明するための図
【図15】第8の実施例に係る記録ヘッド部の要部の平
面図
【図16】第8の実施例に係る他の記録ヘッド部の要部
の平面図
【図17】第9の実施例に係る記録ヘッド部の要部の斜
視図
【図18】同実施例におけるコーン状突起の頂点を通る
突起列に平行な面および垂直な面での断面図
【図19】第10の実施例に係るコーン状突起の種々の
例を示す図
【図20】第10の実施例に係るコーン状突起の種々の
例を示す図
【図21】第11の実施例に係るインク吐出用突起の種
々の例を示す図
【図22】第12の実施例に係る記録ヘッド部の基本構
成を示す要部の斜視図
【図23】第12の実施例に係る高解像度化した記録ヘ
ッド部の要部の斜視図
【図24】第13の実施例に係る記録ヘッド部における
コーン状突起および突起状電極の種々の構成を示す断面
【図25】第14の実施例に係る記録ヘッド部の構成と
動作を説明するための図
【図26】第15の実施例に係る記録ヘッド部の要部の
断面図
【図27】第16の実施例に係る記録ヘッド部の概略構
成図
【図28】同実施例におけるインク中の帯電色剤の凝集
と凝集色剤を有するインクを飛翔させる工程を示す図
【図29】第17の実施例に係る記録ヘッド部の概略構
成図
【図30】同実施例における記録ヘッド部からのインク
飛翔を示す工程図
【図31】同実施例におけるインク中の色剤凝集からイ
ンク飛翔が終了するまでの各部の信号電圧のタイミング
【図32】第18の実施例に係る記録ヘッドの概略構成
【図33】同実施例における磁性インク中の色剤凝集と
飛翔を示す工程図
【図34】本発明に係るインクジェット記録装置の全体
の構成図
【図35】第1の従来例であるエッジシュータタイプの
インクジェット記録ヘッドのヘッド先端部分の構成図
【図36】第2の従来例である電極が露出するタイプの
インクジェット記録ヘッドのヘッド先端部分の構成図
【符号の説明】
11…インク 11a…色剤濃縮状態のインク 11b…色剤濃縮状態のインク 11c…溶媒 11d…色剤 11e…インク滴 12…ヘッド基板 12a…ヘッド基板エッジ部分 12b…色剤飛翔ポイントの中間点 12c…コーン状突起 12d…コーン状突起群 12e…断面三角柱状の連続突起 13…個別電極(電極アレイ) 13a…色剤飛翔ポイント 13c…突起状電極 14…上部カバー 14a…スリット 14b…インク滴通過孔 15…インク供給流路 16…下部カバー 17…インク回収流路 18…インク還流機構 19…駆動回路 20…バイアス電圧源 21…記録媒体 22…対向電極 23…共通電極 31…第1の電極 31a…色剤飛翔ポイント 32…第2の電極 41…空洞 42…導電層 51…色剤濃縮用電極 52…絶縁層 53…加速用バイアス電圧源 54…色剤凝集用バイアス電圧源 55…駆動回路 101…ヘッド基板 102…個別飛翔用電極 105,106…共通凝集用電極 113…色剤が凝集したインク 114…飛翔インク粒子 116…記録媒体 117…対向電極 201…インク供給流路 202…インク回収流路 203…カバー 205…信号電圧 301…電磁石 307…磁性インク
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年10月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 インクジェット記録装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に係り、特に溶剤中に色剤を分散させた液状インクを用
い、このインク中の色剤成分を凝集させ記録媒体上に飛
翔させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液状インクをインク粒とよばれる小さな
液滴として記録媒体上に飛翔させて記録ドットを形成し
画像を記録する装置は、インクジェットプリンタとして
実用化されている。このインクジェットプリンタは、他
の記録方法と比べて騒音が少なく、現像や定着などの処
理が不要であるという利点を有し、普通紙記録技術とし
て注目されている。インクジェットプリンタの方式は現
在までに数多く考案されているが、特に(a)発熱体の
熱により発生する蒸気の圧力でインク滴を飛翔させる方
式(例えば、特公昭56−9429、特公昭61−59
911など)や、(b)圧電素子によって発生される機
械的な圧力パルスによりインク滴を飛翔させる方式(例
えば、特公昭53−12138など)のように、複数の
ドットを並列に記録するマルチノズルタイプが代表的な
ものである。
【0003】インクジェットプリンタに使用される記録
ヘッドとしては、キャリッジに搭載されて記録紙の搬送
方向(副走査方向)に対し直交する方向(主走査方向)
に移動しながら記録を行うシリアル走査型ヘッドが実用
されている。このシリアル走査型ヘッドでは、機械的に
移動しながら記録を行うため、記録スピードを早くする
ことが難しい。そこで、記録ヘッドを記録紙の幅と同じ
サイズの長尺ヘッドとして機械的な可動部分を減らし、
記録スピードを上げることができるいわゆるライン走査
型ヘッドも考えられているが、このようなライン走査型
ヘッドを実現することは、次の理由から簡単ではない。
【0004】インクジェット記録方式は本質的に、溶媒
の蒸発や揮発によって局部的なインクの濃縮が生じやす
く、これが解像度に対応した個別の細いノズルでの目詰
まりの原因となる。このため、インクジェットの形成に
蒸気の圧力を使う方式では、インクとの熱的あるいは化
学的な反応などによる不溶物の付着が、また圧電素子に
よる圧力を使う方式では、インク流路などでの複雑な構
造がさらに目詰まりを誘起し易くする。数十〜百数十程
度のノズルを使用するシリアル走査型ヘッドでは、目詰
まりの頻度を低く抑えることができるようになっている
が、数千もの多数のノズルを必要とするライン走査型ヘ
ッドでは、確率的にかなり高い頻度で目詰まりが発生
し、信頼性の点で大きな問題となる。
【0005】さらに、従来のインクジェット記録装置は
解像度の向上には適していないという問題点もある。つ
まり蒸気の圧力を使う方法では、直径20μm(これは
記録紙上に直径50数μmくらいの記録ドットに相当す
る)以下の粒径のインク粒を生成するのが難しく、また
圧電素子が発生する圧力を使う方式では、記録ヘッドが
複雑な構造となるために加工技術上の問題で解像度の高
いヘッドが作りにくいからである。
【0006】これらの欠点を克服するために、薄膜の電
極アレイに電圧を印加し、静電力を用いてインク液面か
らインクあるいはその中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式が考案された。具体的には、インクを
静電的引力を使って飛翔させる方式(特開昭49−62
024、特開昭56−4467など)や、帯電した色剤
成分を含むインクを用い色剤の濃度を高めて飛翔させる
方式(WO93/11866:PCT/AU92/00
665)などが提案されている。これらの方式では、記
録ヘッドの構成が個別のドット毎のノズルを必要としな
いスリット状ノズル構成(図35)か、あるいは個別の
ドット毎のインク流路の隔壁を必要としないノズルレス
構成(図36)であるために、ライン走査型記録ヘッド
を実現する上で大きな障害であった目詰まりの防止と復
旧に対して有効である。また、特に後者は非常に小さい
径のインク粒を安定に生成して飛翔させることができる
ため、高解像度化に適している。
【0007】このような静電力で色剤を飛翔させるイン
クジェット記録方式では、記録ヘッドの構造として図
および図29に示すようにヘッド基板12のエッジ部
分に電極アレイ13の先端を配置する、いわゆるエッジ
シュータタイプのヘッドが従来から用いられていた。し
かし、このような構成の記録ヘッドでは電極が露出して
いるため、強電界で生じる放電により電極アレイが破損
しやすく、それによりインクの流れが不安定となるた
め、動作特性のばらつきが大きくなるという問題があ
る。電極の表面に絶縁膜を被着する方法も考えられる
が、その絶縁膜は極く薄くする必要があるため、接触に
よる破損や絶縁破壊の可能性が高く、信頼性の点で問題
がある。
【0008】また、このように電極のエッジ部分を使用
する記録ヘッドは、エッジを高精度に加工することが難
しいため歩留まりが悪く、製造の容易さや特性の均一
性、記録品質の面でも大きな問題がある。特に、数千の
ドットを並列に記録する必要があるライン走査型記録ヘ
ッドの場合には、全体の良品率がおおよそ個別ドットの
良品率をドット数回かけ算して求まるので、かなり高い
信頼性を持たなければ、製造歩留まりと記録品質に重大
な影響を与えることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の静電力で液状インク中の色剤成分を飛翔させるインク
ジェット記録方式に使用する記録ヘッドは、静電力を与
えるための電極が露出しているため、強電界で生じる放
電による電極の破損により安定した記録ができず、しか
もヘッド基板のエッジ部分に電極の先端を配置するエッ
ジシュータタイプであるため、製造の容易さ、特性の均
一性および記録品質の面で問題があった。
【0010】本発明の目的は、静電力を用いてインク中
の色剤成分を凝集させ記録媒体に飛翔させて記録を行う
方式において、静電力を色剤成分に作用するための電極
での放電を効果的に防止して安定した記録ができるイン
クジェット記録装置を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、静電力を色剤成分に
作用するための電極での放電を防止すると共に、インク
中の色剤をヘッド基板の平面部分からヘッド基板平面に
対し垂直方向の初速度成分を持って記録媒体に飛翔させ
ることができるようにして、製造が容易で、特性の均一
性と記録品質に優れたインクジェット記録装置を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶剤中に色剤
を分散させた液状インクを用い、このインク中の色剤成
分を凝集させ記録媒体上に飛翔させて記録を行うインク
ジェット記録装置において、ヘッド基板の表面上に電極
アレイを形成し、溶剤中に色剤を分散させたインクをヘ
ッド基板の表面上の少なくとも電極アレイ上に供給する
と共に、電極アレイ上に供給されるインク中の少なくと
も色剤成分を記録媒体に向けて飛翔させるための電圧を
電極アレイに印加するようにしたことを基本的な特徴と
する。
【0013】ここで、ヘッド基板は電極アレイが記録媒
体に向けて飛翔する色剤成分にヘッド基板の表面に対し
て垂直方向の初速度成分を与え、さらに記録媒体の色剤
成分の受容点がヘッド基板の表面を延長した平面より上
方に位置し、かつ該受容点での該平面となす角度が90
°以下となるように、記録媒体に対して配置されている
ことが好ましい。
【0014】より具体的には、電極アレイは複数の個別
電極からなり、これらの個別電極には画像信号に応じた
電圧が印加される。一つの態様によると、個別電極は好
ましくはヘッド基板の記録媒体側の端面より後退した位
置の表面上に形成され、またヘッド基板の裏面上には共
通電極が形成される。そして、この共通電極には所定の
バイアス電圧が印加される。
【0015】他の態様によると、個別電極は好ましくは
ヘッド基板の記録媒体側の端面より後退した位置の表面
上に形成され、さらにヘッド基板の個別電極と近接した
位置の表面上に補助電極が形成される。補助電極は個別
電極に対応して分割された電極でもよいし、あるいは各
個別電極に対して共通に設けられた電極でもよい。そし
て、この補助電極には所定のバイアス電圧が印加され
る。
【0016】さらに別の態様によると、個別電極はそれ
ぞれの先端部がヘッド基板の表面上に突出して形成さ
れ、インクの薄層は少なくとも個別電極の突出部上に形
成される。この突出部は、ヘッド基板の表面上の底部が
広く、上部ほど幅が狭くなる形状が好ましい。また、個
別電極および該個別電極の突出部は主走査方向に複数個
配列されると共に、副走査方向に複数列設けられ、異な
る列上の突出部は主走査方向で異なる位置にそれぞれ配
置されることが望ましい。
【0017】
【作用】本発明においては、ヘッド基板上の少なくとも
電極アレイつまり個別電極上にインクを供給する。すな
わち、高電界が印加される記録中に電極をインクで覆う
ようにインクをヘッド基板上に供給し、電極アレイが大
気中に露出しないようにすることにより、従来のインク
ジェット記録装置において生じ易かった空気中の激しい
放電現象による電極先端の破損を、インクの溶媒として
放電を阻止する材料を用いることで防止でき、安定した
記録を可能とする。
【0018】液状インク中の色剤を静電力で凝集・飛翔
させて記録を行う従来のインクジェット記録方式でマル
チヘッド化する場合に、エッジシュータタイプの記録ヘ
ッドを用いる記録装置しか提案されていなかった理由の
主なものは、(1) プリント配線技術により基板平面内に
先端を尖らせた電極を形成しても、発生する電界強度の
最も強い方向はやはりパターン平面と同じか、あるいは
それを延長した方向になり、したがって基板をカットし
たエッジ部分でしか強電界が表へ出ないことと、(2) 電
極アレイを形成した基板とそれと対をなすもう1枚の基
板をスペーサを介して平行に重ねれば、基板のエッジ部
分でスリット状の開口を持つインクの流路が簡単に形成
でき、しかも最強の電界を生成する部分と色剤飛翔開始
ポイントが一致するようなエッジ部を形成できることで
ある。
【0019】しかし、エッジシュータで使う電極先端の
電界と同程度に強い電界をヘッド基板表面に対して垂直
の方向に向けて発生させることができるならば、ヘッド
基板のエッジから基板表面内方向へ後退した平面部分か
ら色剤を飛翔させることが可能になり、エッジ部分への
パターニングが不要となるため、ICの製造で使われて
いるフォトリソグラフィ技術など通常の平面内製造プロ
セスを使って、信頼性が高く精度の良い、静電力を使用
するインクジェット記録ヘッドの製造が可能になる。し
たがって、静電力を利用する方式でサイドシュータタイ
プのインクジェット記録装置が実現できる。
【0020】本発明においては、記録媒体に向けて飛翔
する色剤にヘッド基板の表面に対して垂直方向の初速度
成分を与え、さらに記録媒体を色剤の受容点がヘッド基
板の表面を延長した平面より上方に位置し、かつ該受容
点での該平面となす角度が90°以下となるようにヘッ
ド基板を記録媒体に対して相対的に配置する。すなわ
ち、色剤飛翔開始ポイントをヘッド基板平面内に後退さ
せ、かつ色剤飛翔方向をヘッド基板表面上方に向けるこ
とにより、静電力を利用する方式でのサイドシュータタ
イプのインクジェット記録装置を実現し、製造の容易さ
と特性の均一・安定性および記録品質の向上を達成する
ことができる。
【0021】この場合、本発明では色剤飛翔開始ポイン
トに位置する電極先端の形状や、それを囲む周囲の電極
を利用し、基板表面の平面から垂直の方向に強い電界成
分を生じさせる構成として、インク内の色剤に垂直方向
の初速度成分を与える飛翔を実現することができる。具
体的には、そのための第1の手段として表面に個別電極
の電極アレイが形成されたヘッド基板の裏面全面に共通
電極を配置する構成とする。この共通電極に電圧を印加
することにより、基板表面から垂直の方向に向いた電界
を生じさせることができる。基板表面の個別電極先端で
生じる最強電界方向は水平方向であるが、この基板裏面
の共通電極からの垂直方向の電界が足し合わされること
により、基板から外に向かう方向に曲げられ、垂直成分
を持った最強電界ベクトルを生じさせることができる。
【0022】基板表面の平面から垂直の方向に強い電界
成分を生じさせるための第2の手段としては、ヘッド基
板表面上の個別電極の先端部分に近接して、補助電極
(共通電極でも個別電極でもよい)を配置する構成とす
るものである。この補助電極へ個別電極に印加する電圧
と同極性の電圧を印加すると、電気力線どうしが反発し
あうような形に折れ曲がり、垂直成分が加わった形の電
界が形成される。この方法でも、個別電極先端で生じる
最強の電界ベクトルを基板から外に向かう方向に生じさ
せることができる。
【0023】さらに、記録紙などの記録媒体が飛翔して
きた色剤を受容する色剤受容点の位置を記録ヘッド基板
表面を延長した平面より上方で、かつ記録媒体の色剤受
容点でのヘッド基板表面を延長した平面となす角度が9
0°以下となる構造とすることにより、垂直方向の速度
成分をもって飛翔する色剤を安定に受け止めることがで
きる。
【0024】この技術で利用している、液体内にコロイ
ド状に分散・浮遊している色剤が濃縮され溶媒を置き去
りにして空中に飛び出す現象は、過去に工業的に利用さ
れるあるいは研究発表されるという例が極めて少ないこ
ともあり、理論面では解釈がまだ不十分な点もあるが、
本発明者らは現象や特性については観察や実験の積み重
ねで事実を確認している。これらの実験事実によれば、
次の様な2つのことが実現できる。
【0025】1つは飛翔する色剤に垂直方向の速度ベク
トル成分を与えるために、個別電極アレイと同じヘッド
基板表面に設置する共通電極あるいは裏面に設置する補
助電極に与える電圧の範囲に関するものである。発明者
らの実験では、通常、個別電極に1kV〜2kVのバイ
アスと信号電圧として100V〜700Vの範囲のパル
ス電圧を重畳して印加するが、これらの共通電極や補助
電極は個別電極のバイアス電圧から信号電圧を重畳した
電圧までの範囲で安定して動作することが分かってい
る。すなわち、これらの共通電極あるいは補助電極には
例えば1.0kV〜2.7kVの範囲の電圧を印加する
ことができる。
【0026】もう1つは、電極アレイの電極の先端形状
に関するものである。発明者らの実験によれば、電極の
先端は尖り過ぎると色剤の飛翔が不安定になるが、先端
の曲率半径がR=15μm〜100μmの範囲では安定
になることが確かめられている。すなわち、基板表面上
に形成されたアレイ電極を構成する画像信号に応じた電
圧が印加される個別電極の先端形状をR=15μm〜1
00μmの範囲の円弧状とすることで、色剤の飛翔をよ
り安定化することができる。
【0027】また、個別電極の先端部に突出部を形成す
る場合、インクは少なくとも個別電極の突出部上に形成
されることにより、突出部の表面は常にインクの薄い層
で覆われ、この突出部からインク滴が吐出されることに
より、放電の問題が解決される。すなわち、このような
突出部を形成することにより、突出部先端をインク表面
から露出させても、毛管現象や電圧印加時に生ずる電
界、あるいは針状の電極に電圧を与えたときに液体が先
端部分に向かって流れる効果等のため、突出部の先端部
分に安定して薄いインク層が形成される。このため、個
別電極の突出部が放電によって破壊されることを防止で
き、加えて安定した画像記録を実現できることができ
る。また、突出部の先端からインクを吐出させるので、
基本的にノズルが必要なく、インクを通過させるための
スリットまたは孔があれば良いので、ノズルの目詰まり
の問題が解決されることは前述と同様である。
【0028】さらに、この場合において個別電極および
その突出部を主走査方向に複数個配列し、さらに副走査
方向に複数列設けるようにした上で、異なる列上の突出
部を主走査方向で主走査方向の配列ピッチの1/k
(k:整数)のずつずれた異なる位置にそれぞれ配置す
ることによって、主走査方向の配列ピッチの1/kに相
当する解像度の記録が可能となる。
【0029】また、インクとして溶媒中に帯電した色剤
が存在するものを使用することによって、個別電極への
電圧の印加により色剤だけを凝集させインク濃度を濃縮
することができるようになる。濃度の薄い搬送し易いイ
ンクを使用して、飛翔させる部分のインクだけ濃縮させ
て吐出させることで、濃度の濃い画像の記録も可能とな
る。また、個別電極に突出部を形成することで、インク
を飛翔させる部分でのインクの濃縮も可能である。さら
に、帯電する色剤を使用することで、駆動電極と色剤と
の反発力が働くために、駆動電圧を低下することがで
き、ICによるの駆動も可能になり、従来困難であった
静電力でインクを吐出させる方式でのライン走査型ヘッ
ドの実現も容易となる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 (第1の実施例)図1は本発明の一実施例に係るインク
ジェット記録装置の概略構成図である。同図において、
インク11はプラス帯電性の色剤を帯電制御剤やバイン
ダなどとともに、108 Ωcm以上の絶縁性の溶媒中に
コロイド状に分散させ浮遊させたものである。このイン
ク11は、ヘッド基板12とその表面上に300μm程
度の厚さのスペーサを介して配置された上部カバー14
との間に形成されたインク供給流路15に、インク還流
機構18で与えられた正圧によって供給される。ヘッド
基板12上には、図の左右方向に延びたストライプ状ア
レイ電極である記録ドットに対応する個別電極13が被
着形成されており、インク11はインク供給流路15に
沿って個別電極13の上を流れ、電極13の先端の色剤
飛翔ポイント13aに向かう。
【0031】色剤飛翔ポイント13aに到達したインク
11は、個別電極13と上部カバー14が途切れた部分
を通過した後、ヘッド基板12の先端エッジ部を通りヘ
ッド基板12の裏面側に回り込む。ヘッド基板12の裏
面側に回り込んだインク11は、ヘッド基板12とその
裏面上にインク供給流路15と同様にスペーサを介して
配置された下部カバー16との間に形成されたインク回
収流路17を通り、インク還流機構18で与えられた負
圧すなわち吸引力によってインク還流機構18に回収さ
れる。 インク還流機構18は、ポンプと、インク供給
流路15およびインク回収流路17に接続されたパイプ
とにより構成され、ポンプの働きによってインク11を
インク供給流路15およびインク回収流路17を介して
循環させる。
【0032】ここで、記録時には個別電極13にバイア
ス電圧源20から常時バイアスとして例えばDC1.5
kVの電圧が与えられ、これに駆動回路19からの画像
信号に応じた信号電圧として例えばON時に500Vの
パルス電圧が重畳される。一方、対向電極22は図のよ
うに接地電位(0V)に設定する。今、個別電極13が
ON状態(500Vが印加された状態)となり、バイア
スDC1.5kVに500Vのパルス電圧が重畳された
合計2kVの電圧が加わると、電極13の先端の色剤飛
翔ポイント13aから、インク11内の凝集された色剤
が飛び出し、記録媒体21の背面に設けられたプラテン
の役割を兼ねる対向電極22に引っ張られて、記録媒体
(例えば記録紙)21に向けて飛翔し着弾する。
【0033】本実施例で特徴的な点は、個別電極13が
全く大気中に露出することがないことである。従来例で
ある図28、図29のように大気中に露出した電極に同
様な電圧を加えると、大気中への火花放電により電極先
端が破損するが、本実施例によればそのような放電が防
止できる。
【0034】なお、色剤はマイナス帯電性であっても構
わない。その場合には、以降述べる諸電極への印加電圧
を全て逆の極性として考えれば良い。 (第2の実施例)図2は、本発明の他の実施例に係るイ
ンクジェット記録装置の概略構成図である。図1と共通
部分に同一符号を付して第1の実施例との相違点を中心
に説明すると、本実施例では上部カバー14の先端部が
ヘッド基板12の先端部より後退した位置で除去され、
上部カバー14の無い開放領域が個別電極13の上に形
成されている。そして、インク11はこの開放領域で個
別電極13の上を50μm程度の厚みの層となって流
れ、電極13の先端の色剤飛翔ポイントに向かう。この
後のインク11の流れは第1の実施例と同様であり、イ
ンク11は電極13が途切れた部分を通過した後、ヘッ
ド基板12の先端エッジ部を通ってヘッド基板12の裏
面側に回り込み、さらにヘッド基板12とその裏面上に
配置された下部カバー16との間に形成されたインク回
収流路17を通り、インク還流機構18に回収される。
【0035】このように本実施例では、上部カバー14
の無い解放領域が記録ヘッド部の先端側に形成されてい
るため、個別電極13へのバイアス電圧と信号電圧の印
加により個別電極13の色剤飛翔ポイントから飛翔する
インク11内の濃縮された色剤は、ヘッド基板12の表
面に対して垂直方向の初速度成分をもって飛翔する。そ
こで記録媒体21と対向電極22はヘッドの上方に、記
録ヘッド部の斜め情報に記録ヘッド部の方向へ倒れ掛か
るような角度で配置される。
【0036】また、本実施例ではヘッド基板12の表面
上に個別電極13が形成されるばかりでなく、ヘッド基
板12の裏面上に共通電極23が形成されている。この
共通電極23は、ヘッド基板12の裏面側から色剤に対
して静電的反発力を生成するためのものであり、この共
通電極23には例えば個別電極13に印加されるバイア
ス電圧と信号電圧との合計の電圧に相当するDC2.0
kVの電圧がバイアス電圧源24によって印加されてい
る。
【0037】この様な構成とすることにより、前述した
サイドシュ−タタイプのインクジェット記録装置が実現
される。図3は、第2の実施例における記録ヘッド部の
構成を示す斜視図である。ヘッド基板12の材料として
は、滑らかで平坦な表面が簡単に得られ、低誘電率材料
であることからガラスを用い、その厚みは0.5mm〜
1.0mm程度とする。ヘッド基板12の表面上には、
それぞれが個々の記録ドット位置に対応した個別電極1
3のアレイが形成され、またヘッド基板12の裏面上に
は全面に共通電極23が形成されている。なお、同図で
は個別電極13が3素子分しか示されていないが、実際
の記録ヘッド、例えば解像度400dpiでA4長手方
向のサイズのライン走査型ヘッドの場合には、約480
0素子分の個別電極が一列に配列される。
【0038】このヘッドの動作で重要なことは、強い電
界を生じるように個別電極13の先端部分に図4に示す
ように小さいRをつけた、色剤飛翔開始ポイント13a
での電界の方向である。この色剤飛翔開始ポイント13
aでの最大電界ベクトルの方向が表面から外側に離れる
方向へ向く様に、ヘッド基板12の裏面側の共通電極2
3に適当なバイアス電圧、例えば2kVを印加する。た
だし、前述したようにこの電圧は2kVに限定されるも
のではなく、1.0kV〜2.7kVの範囲であれば良
い。また、図4に示すように、個別電極13の先端部分
のRは半径15μm〜100μmの円弧の範囲内にあれ
ばよく、特に限定される必要はない。
【0039】図5(a)は、記録ヘッド部での電界の強
さを電気力線の密度で説明した図であり、図3のA−
A′線に沿う横断面を示している。信号電圧無印加の状
態では個別電極13にバイアスとしてDC1.5kV、
共通電極23にDC2.0kVがそれぞれ加えられてい
るので、個別電極13のアレイの間から共通電極23か
らの電界が漏れ出している。この漏れ電界によって、イ
ンク11中の正帯電色剤を個別電極13の表面内側へと
押しやる力が働く。ドット毎に分けることなく共通の流
路を使う方式では、電極のアレイに様々な組み合わせの
電界が形成される可能性があり、この電界により場合に
よっては色剤が遠い部分へ逃げてしまうおそれがある
が、本実施例のようにストライプ状の個別電極13のア
レイの間からの漏れ電界を利用することにより、このよ
うな色剤の逃げを防止することができる。すなわち、こ
の漏れ電界はあたかも個別ノズルのインク流路の隔壁の
ような役割を果たす。
【0040】図5(b)は、やはり信号電圧無印加時に
おける図3のB−B′線に沿う縦断面を示している。イ
ンク11の流れが色剤飛翔ポイントを過ぎると、やはり
ヘッド基板12の裏面からの電界で色剤だけがせき止め
られる力を受け、ある程度濃度の高い状態のインク11
bがこの部分で保持されると考えられる。このせき止め
る力をかなり強く設定している場合には、色剤だけが析
出して乾燥し流れを詰まらせたりするような悪影響が出
るので、記録周期毎に共通電極23の印加電圧を下げて
漏れ電界を解除することが望ましい。
【0041】図5(c)は、信号電圧の印加状態を説明
する図である。信号電圧として500Vのパルス電圧が
印加されると、個別電極13の先端にある色剤飛翔開始
ポイント13aでは非常に強い電界を生じる。信号電圧
無印加時に、この少し先の部分の電位の壁によりせき止
められていた色剤11bは、この強電界からの反発力を
受け最大の電界ベクトルの方向、すなわち電極13の先
端からヘッド基板12の表面に対して斜め前方に向かっ
て飛び出す。
【0042】図6は、図3のヘッド基板12上の色剤飛
翔開始ポイント13aと隣接した色剤飛翔ポイントとの
中間点13bの2つの点から出発し、図2の対向電極2
2に到達するまでの電気力線に沿った電位を、それぞれ
の全経路長で正規化した距離に対する関係として示した
ものである。この図から分かるように、電位の傾きであ
る電界強度は、色剤飛翔開始ポイントから3次元的に広
がるため、距離の2乗に反比例して急激に小さくなる。
【0043】一方、色剤飛翔開始ポイントから外れた場
所では先鋭な電極端部が無いので、電界強度はそれほど
強くなく、対向電極22に向かって穏やかに減少し、徐
々に他の点からの電界とほぼ同じ強度となる。従って強
電界領域を過ぎた後は、色剤飛翔経路に沿って電位(=
電界ポテンシャル)の極小点が連なる樋状の電位分布の
中を色剤が飛翔することになり、飛翔する方向を安定化
することができる。
【0044】このように、ヘッド基板12の表面の個別
電極13の先端が色剤飛翔開始ポイント13aのように
尖った形状をしている場合には、ヘッド基板12の裏面
側の共通電極23に個別電極13の印加電圧以上に高い
電圧が与えられているときばかりでなく、ある程度低い
電圧でも上述のような樋形の電界形状を形成することは
可能である。
【0045】以上のように、飛翔する色剤の初速度をヘ
ッド基板の表面から離れる方向に与えることによって、
ヘッド基板12のエッジよりも内側へ後退させた表面内
に飛翔開始ポイントを設定することが可能になる。この
ことにより、製造工程が難しくて特性を揃えることも難
しいという従来からの問題を回避できる。つまり、ヘッ
ド基板12のエッジ部分から基板表面を延長した方向に
飛翔させる場合に必要だった基板エッジ部分のパターニ
ングは行わずに、精度良く信頼性も高い基板平面内のパ
ターニングだけで記録ヘッド部が作れるようになる。
【0046】(第3の実施例)図7は、本実施例に係る
記録ヘッド部の構成を示す斜視図である。本実施例で
は、ヘッド基板12上の電極の配置と形状が図3の記録
ヘッド部と異なる。すなわち、図3の記録ヘッド部では
ヘッド基板12の表面側に個別電極13、裏面側に共通
電極23がそれぞれ設けられていたが、本実施例ではヘ
ッド基板13の表面側に第1の電極(個別電極)31と
第2の電極(補助電極)32が形成されている。第1の
電極31と第2の電極32は共に鋸歯状の形状であり、
互いに被接触で噛み合うように組み合わされている。ま
た、第2の電極32の先端部分の形状は、ここからは色
剤が飛翔しないように、最も強い電界が発生する第1の
電極31の先端部分である色剤飛翔開始ポイント31a
に比べて、大きい半径の半弧状としている。
【0047】本実施例の記録ヘッド部の動作において
も、重要なことは色剤飛翔開始ポイント31aでの電界
の方向である。この色剤飛翔開始ポイント31aでの最
大電界ベクトルの方向が表面から外側に離れる方向へ向
く様に、第2の電極32に電圧を加える。第1の電極3
1は、先の実施例における個別電極13と同様、例えば
記録ドットに対応した個別電極であり、常時バイアスと
して例えばDC1.5kVの電圧が印加され、画像信号
に応じた信号電圧として例えばON時に500Vのパル
ス電圧が重畳される。第2の電極32は例えば全ドット
共通につながった共通電極であり、例えば個別電極31
に印加される信号電圧とバイアス電圧の合計電圧である
2.0kVが加えられる。
【0048】次に、本実施例の動作を説明する。図8
(a)は、電界の強さを電気力線の密度で説明した図で
あり、図6のC−C′線に沿う縦断面を示している。イ
ンク11の流れが飛翔ポイント31a付近に到達する
と、第2の電極32からの電界で色剤だけがせき止めら
れる力を受け、ある程度濃度の高い状態のインク11b
がこの部分で保持される。このせき止める力をかなり強
く設定している場合には、色剤だけが析出して乾燥し流
れを詰まらせたりするような悪影響が出るので、記録周
期毎に共通電極23の印加電圧を下げて漏れ電界を解除
する必要があることは、先の実施例と同様である。
【0049】図8(b)は、信号電圧印加状態を説明す
る図である。信号電圧として500Vが第1の電極31
に重畳されると、色剤飛翔開始ポイント31aでは非常
に強い電界を生じる。信号電圧無印加時に第2の電極3
2からの電位の壁によりせき止められていた色剤31b
は、この強電界からの反発力を受け最大の電界ベクトル
の方向、すなわち電極先端からヘッド基板12の表面に
対して斜め前方に向かって飛び出す。
【0050】飛翔後の色剤に対して、凹型の先端形状を
した第2の電極32が形成する電界は、図3の実施例と
同じように、色剤飛翔経路に沿って電界の極小点が連な
る樋状の電界分布を形成するので、飛翔する方向を安定
化することができる。
【0051】以上のように、本実施例においても飛翔す
る色剤の初速度をヘッド基板の表面から離れる方向に与
えることによって、ヘッド基板12のエッジよりも内側
へ後退させた表面内に飛翔開始ポイントを設定すること
が可能になった。このことにより、製造工程が難しくて
特性を揃えることも難しかったという従来からの問題を
回避できる。すなわち、ヘッド基板のエッジ部分から基
板表面を延長した方向に飛翔させる場合に必要だった基
板エッジ部分のパターニングは行わずに、精度が良く信
頼性も良い基板平面内のパターニングだけで記録ヘッド
が作れるようになる。
【0052】(第4の実施例)図9は、第4の実施例に
係る記録ヘッド部の構成を示す斜視図である。本実施例
では、第2の実施例の特徴であるヘッド基板12の裏面
側の共通電極23と、第3の実施例の特徴であるヘッド
基板12の表面側の第1の電極31と第2の電極32を
併せ持っている。この様な構成とすることにより、ヘッ
ド基板12の誘電率が空気よりも多少高いために裏面側
に回る電気力線が多いという不都合を回避することがで
きる。すなわち、ヘッド基板12の裏面側の電位を高く
することによって、電気力線を表面側に押し出すことが
でき、動作電圧の低下や効率の向上をもたらすことがで
きる。
【0053】また、第3の実施例における第2の電極3
2は第1の電極31と噛み合うような形状の個別電極と
したが、本実施例の様に第2の電極31は主走査方向へ
延びる単純な直線状のパターンであっても良い。この方
が単純なので、製造プロセスでの信頼性が上がる。
【0054】(第5の実施例)第1、第2の実施例で
は、インク供給流路15とインク回収流路17はそれぞ
れヘッド基板12の表面側と裏面側に形成する例を示し
たが、図10に示す様にヘッド基板12のエッジでの回
り込みが無く、ヘッド基板12の表面上のみを一方向に
インクを流す方式であっても良い。
【0055】(第6の実施例)第3の実施例では、第1
の電極31は三角形の先端形状とし、また第2の電極3
2は丸みを持った先端形状としたが、このような形状に
限定されるものではなく、例えば図11に示す様にいず
れも矩形状の先端形状とし、これらを噛み合わせても良
い。
【0056】その他、本発明は種々変形して実施が可能
であり、例えば第3の実施例における共通電極23は、
基板12の裏面全面を覆うものとしたが、飛翔ポイント
の真裏部分だけであってもよく、またヘッド基板12の
表面の個別電極に対応して櫛形に分離していても良い。
【0057】また、第3の実施例では第1の電極31を
個別電極とし、第2の電極32を共通電極としたが、こ
れの逆の関係、すなわち第1の電極を共通電極とし、第
2の電極を個別電極とする形であっても構わない。
【0058】さらに、ヘッド基板12の表面上のインク
の流し方としては、直接空気に触れるようなカバーの無
い流し方でも良いし、色剤飛翔ポイントの周囲だけをア
レイの並ぶ方向にスリット状の窓を明けた板で塞ぐ流し
方でも良い。後者の場合には、そのまま幅が広くて厚み
の薄いインク流路として使用でき、その場合スリット前
では正圧、スリット後では負圧をそれぞれ与えればよ
い。
【0059】(第7の実施例)図12は、第7の実施例
に係るインクジェット記録装置の記録ヘッド部の一部を
拡大して示す斜視図であり、図13(a)(b)はそれ
ぞれ図12のA−A′線およびB−B′線に沿う断面図
である。図12および図13において、ヘッド基板12
の上には、根元が太く先端に行くほど細い形状のいわゆ
るコーン状の突起12cが形成されている。このコーン
状突起12cには、個別電極13が接続されており、突
起12cの表面は個別電極13に連続した導電性の物質
で表面が覆われている。突起12cを覆う導電性物質を
突起状電極13cという。すなわち、個別電極13の先
端部にはヘッド基板12の表面上に突出して形成された
突出部が突起状電極13cとして形成される。個別電極
13は図示しない駆動ICにそれぞれ接続されており、
突起状電極13cに電圧を印加することができるように
なっている。
【0060】ヘッド基板12上には、スリット14aが
形成された上カバー14が図示しないスペーサを介して
ヘッド基板12と平行に取り付けられている。コーン状
突起12cはスリット14aの内側に位置し、上カバー
14から露出している。ヘッド基板12と上カバー14
の間にはインク流路が形成され、ここにインク11が供
給される。コーン状突起12cの先端つまりは突起状電
極13cは、わずかにインク11の液面から露出する。
【0061】このような構成で、個別電極13に画像に
応じて信号電圧を印加すると、コーン状突起12cの先
端からヘッド基板12の面に対して垂直方向にインク滴
11eが吐出し、図示しない記録媒体上に向かって飛翔
することにより、記録媒体上に画像が記録される。イン
ク11は、例えば図13(a)の矢印に示す方向に水圧
差やポンプあるいは静電気的な力によって流れており、
新しいインク11が次々と供給されるようになってい
る。
【0062】このように、本実施例の特徴はヘッド基板
12の上に3次元構造の突起12cを形成し、この突起
12cの先端からインク滴11eを吐出させる点にあ
る。次に、図14を用いて本実施例の記録動作をさらに
詳細に説明する。図14はコーン状突起12cの先端付
近を拡大して示す図である。コーン状突起12cは数μ
m〜100μm程度の高さを有し、インク11の液面か
ら数μm〜数10μm飛び出している。しかし、コーン
状突起12cの先端ではインク11は毛管現象により突
起12c上に形成された突起状電極13c上に薄い層を
形成し、常に突起状電極13cの表面を濡らしている。
すなわち、インク11は個別電極13の突起状電極13
cを覆うように供給されている。
【0063】インク11は、先の実施例と同様に主とし
て絶縁性の溶媒11c中に顔料などから構成される色剤
11dを分散させたものである。また、色剤11dは図
示のように例えば正の電荷で帯電させることが望まし
い。このようなインク11としては、静電記録方式や電
子写真記録方式で使用されている通常の液体現像トナー
が使用できる。本実施例のインクジェット記録装置で
は、色剤11dとしてサブミクロン〜数μmまで様々な
大きさのものが使用可能である。
【0064】個別電極13にはバイアス電圧源20か
ら、プラテン(記録ドラム)の役割を兼ねる対向電極2
2に対して、例えば図示のように正の直流バイアス電圧
が与えられている。この直流バイアス電圧は、突起状電
極13c上のインクをコーン状突起12cの先端方向に
押し上げる効果もある。また、この直流バイアス電圧の
印加によって、記録媒体21を挟んで対向電極22と突
起状電極13cの間に電界が形成される。この電界によ
ってもインク11を突起状電極13cの表面方向に引き
つける力が働く。これらの作用によって、突起状電極1
3cの表面は常にインク11により濡れた状態となる。
このように突起状電極13cの表面がインク11により
濡れていることで、インク11の供給をスムーズに行
い、安定してインク滴を吐出・飛翔させるとともに、個
別電極13と対向電極22の間に大きな電界が加わった
場合の放電を防止することができる。
【0065】また、本実施例ではインク11に帯電する
色剤11dを使用し、さらに突起状電極13cに正の直
流バイアス電圧を印加しているために、色剤11dはイ
ンク11の表面に濃縮して集まる状態となる。液体現像
トナーを本実施例におけるインク11として使用する場
合、色剤の濃度は通常数%であるため、一般にはインク
ジェット記録用のインクとして使用するには薄すぎる。
しかし、このように色剤11dのみを表面近くに集める
効果によって、色剤11dの濃度を10数%〜数10%
まで濃縮することができるため、通常の液体現像トナー
も本実施例のインクジェット記録装置に使用することが
可能となる。
【0066】このように個別電極13には、常にバイア
ス電圧源20から直流バイアス電圧が印加されている
が、さらに駆動回路19から画像信号に応じた信号電圧
として例えばパルス電圧が直流バイアス電圧に重畳して
印加される。突起状電極13cの先端付近の薄いインク
層として凝集された色剤11dは、個別電極13に与え
られた信号電圧に対しては反発し、また対向電極22側
には逆に引き付けられることによって、信号電圧に応じ
て吐出することになる。
【0067】ここで、直流バイアス電圧は約1kV程
度、また信号電圧は数100V程度である。これらの電
圧は従来の静電力でインクを飛ばす方式のインクジェッ
ト等と比較して、非常に低い電圧となる。このような低
い駆動電圧で記録動作を実現できるのは、上述したよう
に色剤11dが帯電するインクを使用したためである。
すなわち、突起状電極13cと色剤11dとの間に反発
力が生じ、低い電圧でもインク滴11eとして吐出し易
くなるためである。
【0068】また、本実施例ではインク滴11eが突起
状電極13cの先端から吐出するので、先の実施例と同
様に基本的にノズルが必要ないのも大きな特徴である。
従って、インクが乾いて生ずる目詰まりの問題もかなり
改善されるため、図12に示したようなライン走査型記
録ヘッドを実現することも容易に可能となる。
【0069】(第8の実施例)図15に本発明の第8の
実施例を示す。第7の実施例では、インク滴は平面上に
形成されたコーン状突起12cに形成された突起状電極
13cからベッド基板12に垂直な方向へと吐出され
る。すなわち、ヘッド先端のインク吐出機構を全て平面
上に形成することができる。このような特徴により、従
来のヘッド基板端面にインク吐出機構を形成する方法と
比較して、記録ヘッドの作製が容易になるという利点が
ある。さらに、ヘッド基板12の平面上にインク吐出機
構を形成したことにより、図15に示すようなヘッド構
成により高解像度化が実現できる利点もある。
【0070】図15は、コーン状突起12cをヘッド基
板12の面に垂直な方向から見た平面図である。同図に
示すように、個別電極13はピッチPで示される距離以
下に近づけることは不可能である。コーン状突起12c
上の突起状電極13cの底面はある程度の半径があり、
隣の突起状電極と接触しないように離す必要があるため
である。さらに、突起状電極13cが隣の電極と近づき
過ぎると、一方に信号電圧が印加され、他方に印加され
ていない場合に、両電極間で放電が生じてしまう。これ
らの理由から、コーン状突起つまりは突起状電極13c
の大きさが決まると、ピッチPが制限されてしまい、こ
のピッチPよりも高い解像度の記録はできないことにな
ってしまう。
【0071】しかし、インク吐出機構を平面上に形成で
きる場合には、図15に示したように個別電極13およ
び突起状電極13cを千鳥状に、つまり互い違いに2列
に並べることで高解像度化が可能となる。突起状電極1
3cを一列に配列した場合には、その配列ピッチP以下
の解像度で記録することは不可能である。これに対し
て、本実施例のように突起状電極13cを主走査方向
(配列方向)に1/2ピッチ(P/2)だけずらせて二
列並べると、2倍の解像度の記録が可能となる。この場
合、突起状電極13cの二列の間の距離Lについては、 L=P*(2*n+1)*(1/2) (nは整数) の関係にすることで、副走査方向についても2倍の高解
像度化が可能となる。但し、このように二列に突起状電
極13cを配列した場合には、それぞれの電極列に電圧
を印加する時間的なタイミングが(n+1)主走査ライ
ン分だけ遅れるので、信号電圧を遅延させる操作が必要
になる。
【0072】このように本実施例によれば、例えば突起
状電極13cを400dpiの解像度に相当するピッチ
でしか並べられない場合でも、主走査方向、副走査方向
とも800dpiの高解像度の記録を行うことが可能に
なる。なお、図ではスリット14aが2列形成された例
を示してあるが、個別電極13の二つの列の距離が近い
場合にはスリット14aは一列でも良い。
【0073】また、本実施例は L=P*m (mは整数) としてもよく、その場合は副走査方向の解像度は個別電
極13が一列の場合と同様となる。さらに、 L=P*m*(1/k) (m,kは整数) とすると、主走査方向の解像度を2倍に、副走査方向の
解像度はk倍にすることも可能である。
【0074】図16には、突起状電極13cの配列ピッ
チPの4倍の解像度で記録する例を示した。この場合に
は、 L=P*m*(1/k) (m,kは整数) の関係が満たされている必要がある。ここで、mが奇数
でk=4の場合に、副走査方向の解像度つにいても4倍
にすることが可能となる。
【0075】(第9の実施例)図17に、第9の実施例
を示す。第7の実施例では、コーン状突起12cが一列
に並んだ位置の上カバー14にスリット14aが形成さ
れていた。これに対して、本実施例ではコーン状突起1
2cが一列に並んだ位置の上カバー14に、孔(これを
インク通過孔という)14bが形成されている点が第7
の実施例と異なる。図18(a)はコーン状突起12c
の頂点を通る突起列に平行な面での断面図、(b)はコ
ーン状突起12cの頂点を通る突起列に垂直な面での断
面図である。
【0076】本実施例によると、隣の画点を記録した時
に発生したインク液面の振動を上カバー14で抑えるこ
とができるようになる。このインク通過孔14bは、そ
の径を小さくすると通常のインクジェットのようにノズ
ルの働きもする。しかし、本発明のインクジェット記録
装置では、コーン状突起12cの先端からインクが吐出
されるため、インク通過孔14bはノズルのようにイン
ク滴の大きさを規定することはないので、大きな圧力に
耐えるようなものでなく、隣接するインク液面の振動を
抑える働きだけをすれば良い。従って、このインク通過
孔14bは解像度と比較して大きな径でよいことが従来
の通常のインクジェットノズルとは異なっている。
【0077】(第10の実施例)次に、図19および図
20を参照してコーン状突起12cの種々の例について
述べる。第7〜第9の実施例では、図19(a)に示し
たような円錐状のコーン状突起を使用した例を示してき
たが、コーン状突起の形状としては根元が太く先端が細
くなっている形状であればどのようなものでも使用する
ことができる。
【0078】例えば図19(b)(c)(d)に示され
るような多角錐形状や、あるいは図19(e)に示され
るようなバンプ状に盛り上がった形状として、インク滴
を吐出させる突起として使用することが可能である。い
ずれにしても、根元が太く先端に行くほど細くなってい
る形状のコーン状突起であれば、同様の効果が得られ
る。このような形状とすれば、毛管現象や個別電極13
への電圧の印加によりインクで突起先端を常に濡らして
おくことができるため、インクの供給をスムーズに行
い、突起の先端から安定してインクを吐出・飛翔させる
ことができるとともに、個別電極13と対向電極22の
間に加わる電界による放電を防止することができる。
【0079】また、コーン状突起は必ずしも先端まで細
くなっていなくてもよく、図20に示したような形状で
も構わない。図20(a)は円錐台、(b)(c)
(d)は多角錐台、(e)はバンプ状の盛り上がりの先
端部を切り取った形状となっている。先端まで鋭く尖っ
ている場合には、先端のでき方のわずかの違いによって
吐出するインクの方向や大きさが異なったり、時間的に
変動することもあるが、図20のように先端が尖ってい
ない形状とすれば、このような現象は生じない。さら
に、実際に図20に示したような突起を作っても、作成
方法によっては先端部分が必ずしも平坦とならず、ある
程度の曲率半径を持った丸みを帯びた形になることもあ
るが、そのような場合でもインク滴吐出用突起として使
用することが可能である。
【0080】(第11の実施例)図21に、インク吐出
用突起のさらに他の実施例を示す。これまでの例では、
一つの画点に対して一つのコーン状突起および突起状電
極を使用した例を示してきたが、図21は一つの画点に
対して複数の突起状電極を対応させた例である。本実施
例では、図17に示したような上カバー14にインク通
過孔14bが形成されているタイプで説明する。図21
に示すように、本実施例では一つのインク通過孔14b
に対して、微細なコーン状突起を多数集合させたコーン
状突起群12dを対応させている。
【0081】コーン状突起を作製する場合、製造工程が
安定しないと全く同じ特性の突起を得ることは困難であ
る。さらに、本発明では前述したように基本的に放電は
生じないが、放電が生じるとその影響で使用中に特性が
変化してしまう場合もある。これにより安定した画点を
形成できなくなり、画点の濃度や形成位置が不安定にな
ったり、場合によっては全く画点が形成されない状況に
なってしまうこともある。これに対し、本実施例のよう
に一つの画点に対して、複数のコーン状突起からなる突
起群12dを対応させると、幾つか特性の揃っていない
突起が存在しても、多数の突起で一つの画点を形成する
ことから、画点の特性を安定させることができる。すな
わち、インク滴が吐出しない突起が幾つかあっても、他
の突起からインクを吐出させて補うことができる。
【0082】(第12の実施例)図22は、本実施例に
おける記録ヘッド部の要部の構成を示す斜視図である。
第7〜第11の実施例では、コーン状突起を一つ一つ独
立して形成したが、本実施例は主走査方向に連続した断
面三角柱状の連続突起12eを設け、この連続突起12
eの上にピッチPで形成された個別電極13を延在させ
突起状電極13cとしたものである。このような連続突
起12eにおいても、副走査方向からの断面を見ると、
根元が太く先に行くほど細くなる形状をしているため、
コーン状突起を使用した場合と同様の効果が得られる。
また、一つ一つのコーンを独立させる必要がないので、
製作が簡単になるという利点がある。
【0083】図23は、本実施例の構成を拡張して高解
像度化を図った例を示す図である。すなわち、断面三角
形状の連続突起12eを副走査方向に L=P*(1/2)*(2*n+1) (nは整数) だけ離して二列形成し、それぞれの連続突起12e上に
ピッチPで形成された個別電極13を延在させて突起状
電極13cとし、さらに個別電極13を主走査方向にピ
ッチPの1/2だけずらせることにより、図22に比較
して主走査・副走査ともに解像度を2倍としている。
【0084】なお、本実施例では連続突起12eの断面
形状として三角形を示したが、これに限定されるもので
はなく、断面形状が円や楕円の一部分の形状であった
り、さらに図20に示したような上部が平坦な錐台状の
形状、あるいはこれらの形状の突起を作製する際に、自
然に先端部分が丸くなったような形状でも使用可能であ
る。すなわち、連続突起の場合でもコーン状突起の場合
と同様に、底部の幅が広く、上部ほど幅の狭い形状であ
れば同様の効果が得られる。
【0085】(第13の実施例)本実施例では、コーン
状突起12cおよび突起状電極13cの構造と作製方法
の幾つかの具体例を説明する。図24は、コーン状突起
12cおよび突起状電極13の種々の例を示す断面図で
ある。第7〜第12の実施例では、図24(a)に示す
ようにヘッド基板12の上にコーン状の突起12cを作
製した後、その上にさらに個別電極13の突起状電極1
3cを形成した方法で説明してきた。この場合、コーン
状突起12cは絶縁物でも導電性のものでも構わない。
細かいものを正確に作る必要があるため、Siや導電性
のSiを半導体製造プロセスで加工する方法が最も簡単
な方法である。
【0086】一方、図24(b)に示す例はヘッド基板
12の上にコーン状個別電極13cを作製して貼り付け
てものである。つまりコーン状電極13cの内部を空洞
41としている。図24(c)の例は、コーン状突起全
体が個別電極13(突起状電極13c)と同様の導電性
物質で一体に作製されており、突起状電極13cがコー
ン状突起を兼用している例である。
【0087】図24(d)(e)(f)は、それぞれ図
24(a)(b)(c)に示した個別電極13の表面に
突起状電極13cを含めて絶縁層42を形成した例であ
る。金属や導電性物質から構成される個別電極13およ
び突起状電極13cを露出させると、インク中の帯電性
の色剤が個別電極13および突起状電極13cに触れた
場合、個別電極13および突起状電極13cから色剤へ
と電荷注入が生じ、色剤が必要以上に帯電してしまう場
合がある。さらに、個別電極13および突起状電極13
cから直接電荷注入された色剤と、他の色剤との間での
特性のばらつきなども生じてしまう。このような状態に
なると、インク吐出特性が不安定になり、一定の濃度の
画像を記録し続けることが不可能となってしまう。色剤
の帯電量を制御するようにインクを構成することによ
り、このような問題に対しても対応できるが、個別電極
13および突起状電極13cの表面に絶縁層42を形成
する方法でも、このような問題を解決することが可能で
ある。
【0088】なお、絶縁層42の形成方法としては、個
別電極13および突起状電極13cの表面上にサブミク
ロン〜10数ミクロンの厚さに樹脂を塗布する方法があ
る。また、SiO2 などの絶縁膜を塗布する方法もあ
る。さらに、導電性のSiなどで個別電極13を形成す
る場合には、電極表面を酸化して絶縁膜を作製する方法
でも実現できる。
【0089】(第14の実施例)図25は、本実施例に
係る記録ヘッド部の構成を示す図である。本実施例では
特に電極への電圧の印加方法の他の例について説明す
る。本実施例では、まずヘッド基板12上に一様に色剤
濃縮用電極51を形成する。この色剤濃縮電極51の上
に絶縁層52を形成し、絶縁層52の上にコーン状突起
12cと、個別電極13および突起状電極13cを形成
している。そして、図示しないスペーサを介してスリッ
ト14aが形成された上カバー14を被せてインク流路
を形成し、ここにインク11を供給する。上カバー14
は、この例では導電性材料により形成されている。
【0090】記録媒体21が接触している対向電極22
と上カバー14との間に、加速用バイアス電圧源53か
ら正のバイアス電圧が印加され、さらに上カバー14と
色剤濃縮用電極51との間に、色剤凝集用バイアス電圧
源54から正のバイアス電圧が印加される。この色剤濃
縮用バイアス電圧が印加されると、上カバー14と色剤
濃縮用電極51の間に電界が形成される。色剤は正に帯
電するように設計されているために、この電界に影響を
受け、上カバー14の周辺に集まってくる。つまりイン
ク11の上層部分に色剤が濃縮される。このように色剤
濃度の濃くなった部分は、図中矢印で示したようなイン
ク11の流れに乗って上流から下流へと次々に流れ、コ
ーン状突起12cの頂点付近にも濃縮されたインクが供
給されることになる。ここで、個別電極13に駆動回路
55から画像信号に応じた信号電圧としてパルス電圧を
印加すると、突起状電極13cの上部からインク滴が吐
出する。吐出されたインク滴は、加速用バイアス電圧が
形成する電界によって加速され、記録媒体21へ向けて
飛翔する。
【0091】本実施例によると、インクの濃縮と吐出を
別の電源つまり色剤濃縮用バイアス電圧源54と駆動回
路55により行うことが可能となる。図14に示したよ
うなインクの濃縮と吐出を同時に行う方法では、前述の
ように約1kV程度の濃縮用バイアス電圧に数100V
の吐出用パルス電圧を重畳させる必要があり、これらを
重畳した電圧以上の耐圧のICを使用する必要がある。
これに対し、図25のようにインクの濃縮と吐出を分離
した場合には、それぞれのバイアス電圧は共通に印加
し、吐出用パルス電圧の数100Vの電圧だけを制御す
れば良いため、より低耐圧の安価なICを使用すること
が可能となり、インクジェット記録装置の小型化・安定
化に大きく寄与する。
【0092】なお、本実施例では加速用バイアス電圧源
53からのバイアス電圧を直流電圧としたが、記録信号
に同期したパルス電圧でもよい。但し、その場合には一
つ一つの突起に対してパルス状の加速電圧を印加できる
与えることができるように、加速用バイアス電圧を印加
するための電極(上カバー14に相当)を、個別電極1
3に対応して個別に設けることが必要となる。
【0093】(第15の実施例)第7〜第14の実施例
では、図13に示したように、コーン状突起12cおよ
び突起状電極13cがインクの液面からわずかに露出し
ている例で説明してきたが、図26に示すように構成し
てもインク滴を吐出させることが可能である。
【0094】図26(a)は、突起状電極13cの頂点
がインク111の液面より下に存在する例である。この
ように突起状電極13cがインク内部に埋没している状
態でも、バイアス電圧によりインク11の上部は、色剤
が凝集し濃度が濃い状態になっており、ここで個別電極
13に信号電圧を印加すると、突起状電極13cの頂点
付近に凝集していたインクが吐出し飛翔する。従って、
突起状電極13cの頂点は常にインク11の液中にあ
り、必ず頂点まで濡れているために、放電の問題をより
確実に解決できるという利点がある。
【0095】さらに、図26(b)に示すようにコーン
状突起12cおよび突起状電極13cがほとんどインク
液11から出ているような状態でも、突起12cが小さ
い場合には毛管現象で、また突起12cが大きな場合に
はさらに電圧を印加することで、突起状電極13cの頂
点にも薄いインク層を形成することができるので、イン
クを吐出させることが可能である。このような突起状電
極13cの表面上のインクの薄層は、インク11の液面
から離れるほど安定して形成されるため、安定したイン
クの吐出が可能となり、画像をより安定に記録できる。
【0096】但し、このように突起状電極13cがイン
ク11の液面から離れると、乾燥し易くなるため、しば
らく使用しない場合には、突起12c付近のインクを抜
き、使用する場合に再びインクを注入するようにすると
よい。インクの注入時には、一旦少し高めの圧力でイン
クを注入し、突起状電極13cの頂点まで濡らした後
に、負圧にして図のようなインクの状態にする。このよ
うにすることで、突起状電極13cの頂点までインクで
濡れるために、電圧を印加することによりスムーズにイ
ンクを供給することが可能となる。
【0097】最後に、本発明のインクジェット記録装置
を適用したインクジェットプリンタ全体の具体的な構成
例を図27により説明する。図27において、図示しな
い紙カセットから供給された記録紙1は、給紙ローラ2
によって記録ドラム3の周辺に供給され、更に紙ガイド
4と紙押さえローラ5によって、記録ドラム3に押しつ
けられる構成となっている。記録紙1が記録ドラム3に
押しつけられている状態で、インクジェット記録ヘッド
10から少なくとも色剤成分を含むインク滴11が画像
信号に従って吐出され、記録紙1の上に文字7が形成さ
れ、記録が行われる。記録が終了すると、記録紙1は排
紙トレイ6に排出される。ここで使用されるインクジェ
ット記録ヘッド10は、図示するような記録紙1の幅方
向の長さを記録できるライン走査型ヘッドであり、今ま
での実施例で説明したた本発明に基づくヘッドが用いら
れる。
【0098】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば記録
中は電極表面がインクにより覆われることにより、放電
による破損を起こすことなく、インク中の色剤成分の飛
翔に必要な安定した強電界が得られるので、飛翔する色
剤の粒が小さく、ライン走査記録に適したスリット状ノ
ズルの静電力を使用するインクジェット記録装置を実現
することができる。
【0099】また、本発明によればヘッド基板表面のな
す平面方向の成分とは異なる垂直の方向成分を付加した
強電界ベクトルを形成するので、飛翔する色剤に基板平
面とある角度を持った初速度を与えることができる。し
たがって、基板のエッジより後退した位置からの色剤の
飛翔が可能となるだけでなく、基板平面内のどのような
内部位置からでも色剤の飛翔が可能となり、エッジ部を
使わないサイドシュータタイプのインクジェット記録ヘ
ッドを実現できる。すなわち、製造プロセス上の信頼性
も良く、動作上も均一な特性が得られる平面内パターニ
ングプロセスだけを用いることにより、実用的なライン
走査型のインクジェット記録ヘッドを実現することが可
能となる。
【0100】さらに、個別電極の配線パターンの間隙に
色剤を反発する電界を発生する構造とすることも可能で
ある。その場合には、インクが流れる間に色剤を効率よ
く集めたり、飛翔開始点に蓄えておけるという効果や、
色剤が飛翔する空間的経路に沿って電界の極小点が連な
る樋状の電位を形成し、飛翔方向を安定化するという効
果を持たせることもできる。
【0101】また、本発明では個別電極の先端に突出部
を形成し、この突出部上にインクを供給することによ
り、個別電極が放電によって破壊されることを防止でき
るとともに、より安定した画像記録を実現できることが
でき、しかも突出部の先端からインクを吐出させるの
で、基本的にノズルが必要なく、インクを通過させるた
めのスリットまたは孔があれば良いので、ノズルの目詰
まりの問題が解決される。さらに、個別電極およびその
突出部を主走査方向に複数個配列し、さらに副走査方向
に複数列設けるようにした上で、異なる列上の突出部を
主走査方向で主走査方向の異なる位置にそれぞれ配置す
ることによって、主走査方向の配列ピッチより小さい間
隔で画点を形成して高解像度の記録を行うことも可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係るインクジェット記録装置の
概略構成図
【図2】第2の実施例に係るインクジェット記録装置の
概略構成図
【図3】第2の実施例における記録ヘッド部の概略構成
【図4】同実施例における個別電極先端部の形状と安定
動作範囲の説明図
【図5】同実施例の原理を示すヘッド基板周辺の電界分
布の概念図
【図6】同実施例における樋形ポテンシャルの発生を示
す距離対電位と電界強度のグラフを示す図
【図7】第3の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成図
【図8】同実施例の原理を示すヘッド基板周辺の電界分
布の概念図
【図9】第4の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成図
【図10】第5の実施例に係る概略構成図
【図11】第6の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成
【図12】第7の実施例に係る記録ヘッド部の概略構成
【図13】図12のA−A′線およびB−B′線に沿う
断面図
【図14】同実施例の動作を説明するための図
【図15】第8の実施例に係る記録ヘッド部の要部の平
面図
【図16】第8の実施例に係る他の記録ヘッド部の要部
の平面図
【図17】第9の実施例に係る記録ヘッド部の要部の斜
視図
【図18】同実施例におけるコーン状突起の頂点を通る
突起列に平行な面および垂直な面での断面図
【図19】第10の実施例に係るコーン状突起の種々の
例を示す図
【図20】第10の実施例に係るコーン状突起の種々の
例を示す図
【図21】第11の実施例に係るインク吐出用突起の種
々の例を示す図
【図22】第12の実施例に係る記録ヘッド部の基本構
成を示す要部の斜視図
【図23】第12の実施例に係る高解像度化した記録ヘ
ッド部の要部の斜視図
【図24】第13の実施例に係る記録ヘッド部における
コーン状突起および突起状電極の種々の構成を示す断面
【図25】第14の実施例に係る記録ヘッド部の構成と
動作を説明するための図
【図26】第15の実施例に係る記録ヘッド部の要部の
断面図
【図27】本発明に係るインクジェット記録装置の全体
の構成図
【図28】第1の従来例であるエッジシュータタイプの
インクジェット記録ヘッドのヘッド先端部分の構成図
【図29】第2の従来例である電極が露出するタイプの
インクジェット記録ヘッドのヘッド先端部分の構成図
【符号の説明】 11…インク 11a…色剤濃縮状態のインク 11b…色剤濃縮状態のインク 11c…溶媒 11d…色剤 11e…インク滴 12…ヘッド基板 12a…ヘッド基板エッジ部分 12b…色剤飛翔ポイントの中間点 12c…コーン状突起 12d…コーン状突起群 12e…断面三角柱状の連続突起 13…個別電極(電極アレイ) 13a…色剤飛翔ポイント 13c…突起状電極 14…上部カバー 14a…スリット 14b…インク滴通過孔 15…インク供給流路 16…下部カバー 17…インク回収流路 18…インク還流機構 19…駆動回路 20…バイアス電圧源 21…記録媒体 22…対向電極 23…共通電極 31…第1の電極 31a…色剤飛翔ポイント 32…第2の電極 41…空洞 42…導電層 51…色剤濃縮用電極 52…絶縁層 53…加速用バイアス電圧源 54…色剤凝集用バイアス電圧源 55…駆動回路
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図3】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図6】
【図26】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図28】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図27】
【図29】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 裕子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 石井 浩一 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 村上 照夫 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中尾 英之 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヘッド基板と、 このヘッド基板の表面上に形成された電極アレイと、 溶剤中に色剤を分散させたインクを前記ヘッド基板の表
    面上の少なくとも前記電極アレイ上に供給するインク供
    給手段と、 このインク供給手段により前記電極アレイ上に供給され
    るインク中の少なくとも色剤成分を記録媒体に向けて飛
    翔させるための電圧を前記電極アレイに印加する電圧印
    加手段とを具備することを特徴とするインクジェット記
    録装置。クジェット記録装置。
  2. 【請求項2】前記ヘッド基板は、前記電極アレイが前記
    記録媒体に向けて飛翔する色剤成分に該ヘッド基板の表
    面に対して垂直方向の初速度成分を与え、さらに前記記
    録媒体の該色剤成分の受容点が該ヘッド基板の表面を延
    長した平面より上方に位置し、かつ該受容点での該平面
    となす角度が90°以下となるように配置されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装
    置。
  3. 【請求項3】記録媒体に対向して設けられたヘッド基板
    と、 このヘッド基板の前記記録媒体側の端面より後退した位
    置の表面上に形成された複数の個別電極と、 溶剤中に色剤を分散させたインクを前記ヘッド基板の表
    面上の少なくとも前記個別電極上に供給するインク供給
    手段と、 このインク供給手段により前記ヘッド基板の表面上に供
    給されるインク中の少なくとも色剤成分を記録媒体に向
    けて飛翔させるための画像信号に応じた電圧を該個別電
    極に印加する電圧印加手段とを具備し、 前記ヘッド基板は、前記個別電極が前記記録媒体に向け
    て飛翔する色剤成分に該ヘッド基板の表面に対して垂直
    方向の初速度成分を与え、さらに前記記録媒体の該色剤
    成分の受容点が該ヘッド基板の表面を延長した平面より
    上方に位置し、かつ該受容点での該平面となす角度が9
    0°以下となるように配置されていることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】ヘッド基板と、 このヘッド基板の表面上に形成された複数の個別電極
    と、 溶剤中に色剤を分散させたインクを前記ヘッド基板の表
    面上の少なくとも前記個別電極上に供給するインク供給
    手段と、 このインク供給手段により前記ヘッド基板の表面上に供
    給されるインク中の少なくとも色剤成分を記録媒体に向
    けて飛翔させるための画像信号に応じた電圧を該個別電
    極に印加する電圧印加手段とを具備することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】記録媒体に対向して設けられたヘッド基板
    と、 このヘッド基板の前記記録媒体側の端面より後退した位
    置の表面上に形成された複数の個別電極と、 前記ヘッド基板の裏面上に形成された共通電極と、 溶剤中に色剤を分散させたインクを前記ヘッド基板の表
    面上の少なくとも前記個別電極上に供給するインク供給
    手段と、 このインク供給手段により前記ヘッド基板の表面上に供
    給されるインク中の少なくとも色剤成分を記録媒体に向
    けて飛翔させるための画像信号に応じた電圧を該個別電
    極に印加すると共に、前記共通電極に所定のバイアス電
    圧を印加する電圧印加手段とを具備することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】記録媒体に対向して設けられたヘッド基板
    と、 このヘッド基板の前記記録媒体側の端面より後退した位
    置の表面上に形成された複数の個別電極と、 前記ヘッド基板の前記個別電極と近接した位置の表面上
    に形成された補助電極と、 溶剤中に色剤を分散させたインクを前記ヘッド基板の表
    面上の少なくとも前記個別電極上に供給するインク供給
    手段と、 このインク供給手段により前記ヘッド基板の表面上に供
    給されるインク中の少なくとも色剤成分を記録媒体に向
    けて飛翔させるための画像信号に応じた電圧を該個別電
    極に印加すると共に、前記補助電極に所定のバイアス電
    圧を印加する電圧印加手段とを具備することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】前記個別電極は、それぞれの先端部が前記
    ヘッド基板の表面上に突出して形成されていることを特
    徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載のインク
    ジェット記録装置。
  8. 【請求項8】ヘッド基板と、 このヘッド基板の表面上に形成され、それぞれの先端部
    が該ヘッド基板の表面上に突出して形成された複数の個
    別電極と、 溶剤中に色剤を分散させたインクを前記ヘッド基板の表
    面上の少なくとも前記個別電極の突出部上に供給するイ
    ンク供給手段と、 このインク供給手段により前記ヘッド基板の表面上に供
    給されるインク中の少なくとも色剤成分を記録媒体に向
    けて飛翔させるための画像信号に応じた電圧を該個別電
    極に印加する電圧印加手段とを具備することを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】前記個別電極および該個別電極の前記突出
    部は主走査方向に複数個配列されると共に、副走査方向
    に複数列設けられ、異なる列上の突出部は主走査方向で
    異なる位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする
    請求項8に記載のインクジェット記録装置。
  10. 【請求項10】溶剤中に色剤を分散させたインク中の色
    剤成分を画像信号に応じて該溶媒中に凝集させ、該イン
    ク中の少なくとも凝集した色剤成分を記録媒体に向けて
    飛翔させて記録を行うインクジェット記録装置におい
    て、 前記色剤成分を溶媒中に凝集させる凝集手段と、この手
    段により凝集した色剤成分を記録媒体に向けて飛翔させ
    る飛翔手段とを個別に備えたことを特徴とするインクジ
    ェット装置。
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