JPH08149985A - 新規微生物および微生物によるヘテロ多糖類の製造方法 - Google Patents

新規微生物および微生物によるヘテロ多糖類の製造方法

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JPH08149985A
JPH08149985A JP31779394A JP31779394A JPH08149985A JP H08149985 A JPH08149985 A JP H08149985A JP 31779394 A JP31779394 A JP 31779394A JP 31779394 A JP31779394 A JP 31779394A JP H08149985 A JPH08149985 A JP H08149985A
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操 五十嵐
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昭 中林
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佐和子 大塚
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隆嗣 川野
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 キサントモナス属に属し炭素源として液化澱
粉のみを含有する培地中で生育増殖し、多量のヘテロ多
糖類を生産し得る新規な微生物およびこのようなキサン
トモナス属に属する微生物を、炭素源として液化澱粉の
みと、好ましくは魚肉質成分とを含有する単純な組成の
培地で培養し、得られた培養物からヘテロ多糖類を回収
することを特徴とするヘテロ多糖類の製造方法である。 【効果】 低廉な液化澱粉を使用し、工業上の利用価値
が高いキサンタンガムのようなヘテロ多糖類が、容易
に、しかも効率よく得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な微生物およびこの
新規な微生物などの微生物を使用したヘテロ多糖類の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】ヘテロ多
糖類の代表例として、キサンタンガムが知られている。
このキサンタンガムは、粘度増強および品質安定などの
有用な作用を示すので、食品添加剤を始めとし、印刷イ
ンキ用乳化剤および捺染ペーストの増粘剤などとして広
く使用されており、また、石油採掘の際の副生油の回収
にも多量に使用されている有用な物質である。
【0003】このような有用なキサンタンガムを微生物
を使用して製造する方法は古くから広く知られており、
この微生物としてキサントモナス属に属する細菌群が知
られている。キサンタンガムの製造、利用技術および化
学的性質などは多くの文献に記載されているが、サンフ
ォード.ピー.エイ.(Sanford.P.A.)らによる総説収
録「微生物の菌体外多糖類 Extracellular Microbial P
olysaccharide」には特に詳細に記載されている。
【0004】微生物を使用したキサンタンガムのような
ヘテロ多糖類の実用的な製造方法として、たとえば、米
国特許第3,485,719号明細書に開示されている。この方
法は、コーンシュガー、グルコースおよびその他の炭水
化物などを炭素源とし、キサントモナス キャンペスト
リス NRRL B−1459を使用して、約2週間以
上の期間にわたって連続培養するとの方法である。この
方法で使用されているグルコースなどの単糖類は、澱粉
などを化学的に、または、酵素的に加水分解して得られ
るが、そのためには、少なからぬ費用と時間が必要であ
る。従って、このような単糖類の原料を加水分解するこ
となしにそのまま多糖類製造時の炭素源として使用でき
ることが、実用的に大きな意義を有することになる。
【0005】さらに、たとえば、特開平6−30600号公報
に記載されている方法では、炭素源として澱粉を使用し
ている。しかしながら、この方法では、澱粉とともに、
α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼお
よびイソアミラーゼおよびプルラナーゼなどの糖化型澱
粉酵素を水性栄養媒質中に含有させて、澱粉を酵素によ
って予め加水分解してグルコースなどの単糖類に変化せ
しめ、この単糖類をキサントモナス属などの細菌の炭素
源としている。
【0006】なお、この公開公報において、澱粉とは、
澱粉自体だけではなく澱粉加水分解生成物も包含されて
いる。この公開公報での方法も、結局は微生物に利用さ
せる炭素源はグルコースであるので、この点で、前記の
米国特許明細書に開示された方法と本質的には異ならな
いことになる。また、この公開公報方法における方法で
は、この水性栄養媒質中のグルコースの濃度を1〜15
%にするものとされている。しかして、このグルコース
の濃度は、使用される微生物の種類によって相違するの
で、使用される微生物の種類に応じて、水性栄養媒質中
の澱粉および酵素のそれぞれの濃度を変更しなければな
らず、煩雑であり、これが実用化する際の障害となる。
また、この方法を工業的に連続培養によって行うに当っ
ては、安定した操業を可能ならしめるために、操業期間
中はこの水性栄養媒質中のグルコース濃度を所定の濃度
に保つように制御されなければならないが、これは容易
なことではない。
【0007】さらに、前記の米国特許第3,485,719号に
記載されている方法および特開平6−30600号公報に記載
されているような何れの方法においても、使用される微
生物に応じて、それぞれの微生物に適した糖以外の有機
成分および無機成分などの他の栄養源を添加することが
必要とされ、培地の調製が煩雑である。また、最近、酪
農の拡大化に伴って大量に副生される乳糖を含有するミ
ルクホエ−(乳精)の有効利用の一貫として、微生物に
よるヘテロ多糖類の製造における炭素源として使用する
ことが提案されている。しかしながら、このような場合
にも、さらに他の有機栄養成分が必要とされ、たとえ
ば、トウモロコシ可溶性抽出物(コ−ンスチ−プリカ−
CSL)、カゼインおよびグルタミン酸等の添加が必
要とされている。
【0008】他方、キサントモナス属に属する細菌の菌
学的性質として、一般に、「澱粉を資化する」とされて
いるが、この資化性は実用上満足し得るほど強くはない
ことが知られている。すなわち、たとえば、前記の米国
特許第3,485,719号で使用されているキサントモナス
キャンペストリス NRRL B−1459を、ここで
使用されている炭素源のグルコースに代えて、液化澱粉
である市販試薬の可溶性澱粉を使用した場合には、この
菌株の生育増殖自体が悪く、たとえば、キサンタンガム
のような多糖類の生産量も少なく実用には適しないこと
が本発明者らによって確認されている。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用】本発明者らは、炭
素源として液化澱粉のみを使用するだけで、糖化型澱粉
分解酵素などの酵素および無機成分などの他の栄養成分
などを含有する複雑な培地を使用しなくてもキサンタン
ガムのようなヘテロ多糖類を効率よく生産し得る方法に
ついて、鋭意、研鑚を重ねた結果、炭素源として液化澱
粉のみを含有する単純な組成の培地を使用するだけで、
糖化型澱粉分解酵素などの酵素および無機成分などの他
の栄養成分を共存せしめなくてもキサンタンガムのよう
なヘテロ多糖類を効率よく生産し得る新規な微生物の分
離に成功し、さらに、このような微生物を培養してヘテ
ロ多糖類を生産させるに際して、炭素源として液化澱粉
を使用するだけでヘテロ多糖類を容易に効率よく製造す
ることができ、さらに、液化澱粉とともに魚肉質成分を
共存せしめることによって、ヘテロ多糖類の生産量を顕
著に増大せしめ得ることを発見し、この発見に基づいて
本発明に到達した。
【0010】すなわち本発明は、炭素源として液化澱粉
のみを含有する培地中で生育増殖し、多量のキサンタン
ガムを生産し得るキサントモナス キャンペストリス
TSK−001であり、また、キサントモナス キャン
ペストリス TSK−001を、炭素源として液化澱粉
のみを含有する培地で培養し、得られた培養物からヘテ
ロ多糖類を回収することを特徴とするヘテロ多糖類の製
造方法であり、さらに、キサントモナス属に属し液化澱
粉を炭素源として、ヘテロ多糖類を生産し得る細菌を、
炭素源として液化澱粉および魚肉質成分のみを含有する
培地で培養し、得られた培養物からヘテロ多糖類を回収
することを特徴とするヘテロ多糖類の製造方法である。
【0011】本発明の新規な微生物の菌学的性質は次の
如くである。すなわち、 (a) 形態 (1) 細胞の形および大きさ:桿菌,0.6〜0.8μm×2〜3
μm。 (2) 運動性の有無 :有り,鞭毛を1本有する。 (3) グラム染色性 :陰性。 (4) 抗酸性 :無し。
【0012】(b) 生理学的性質 (1) 肉汁寒天平板培養 :よく生育する。コロニーの
形状は円形であり、表面、周縁は共に円滑。色調は黄色
半透明で、光沢がある。 (2) 肉汁寒天斜面培養 :生育する。その状態は糸状
で光沢があり、黄色半透明である。 (3) 肉汁液体培養 :混濁状態にて生育する。 (4) 肉汁ゼラチン穿刺培養:表層部に生育し、ゼラチン
の液化がみられる。 (5) リトマス・ミルク :培養7日後の観察で、脱色
し、消化する。
【0013】(c) 生理学的性質 (1) 硝酸塩の還元 :還元しない。 (2) 脱窒反応 :陰性。 (3) MRテスト :陰性。 (4) VPテスト :陰性。 (5) インドールの生成:生成しない。 (6) 硫化水素の生成 :生成する。 (7) 澱粉の加水分解 :強く分解しする。 (8) クエン酸の利用(Koserの培地およびChristensenの
培地を併用):利用する。 (9) 無機窒素源の利用:硝酸塩を利用しない。アンモニ
ウム塩を利用する。 (10)ウレアーゼ :陰性。 (11)オキシダーゼ :陽性。 (12)カタラーゼ :陽性。 (13)生育の範囲 :pH6〜8.5,温度28〜35
℃。 (14)酸素に対する態度:好気性。 (15)糖類から酸およびガスの生成の有無:表1のとお
り。
【0014】
【表1】
【0015】(d) その他の性質 (1) レバンの生成 :生成する。 (2) アルギニンの加水分解:分解しない。 (3) Tween 80の分解 :分解する。 (4) レシチナーゼ :陽性。 (5) 炭素源,窒素源としてのアスパラギンの利用:利用
しない。 (6) ペクチンの溶解 :溶解する。 (7) エスクリンの加水分解:分解する。 (8) アセトイン試験 :陰性。 (9) 食塩耐性 :3%。 (10)0.1%トリフェニルテトラゾリウムクロライド含有
培地での増殖:増殖しない。 (11)ヘテロ多糖類の生成 :多量のキサンタンガムを生
成する。 (e) 分離源 静岡県磐田市大藤地区のキャベツの葉組織
【0016】本菌株の菌学的性質を「バージーズ マニ
ュアル Bergey's Manual」第8版における菌学的性質と
詳細に比較検討した結果、リトマス・ミルク試験での結
果が、「脱色し、消化する」であり、硫化水素を生成
し、ウレアーゼが陰性であり、食塩耐性が3%であり、
かつ、L−アラビノーズ、D−グルコース、D−マンノ
ース、D−ガラクトースおよびトレハロースのそれぞれ
の糖から酸を生成することから、本菌株はキサントモナ
ス キャンペストリス(Xanthomonas campestris)に属
するものであると判断した。また、澱粉を強く加水分解
し、他の炭素源を共存させなくても液化澱粉を強力に資
化し、多量のキサンタンガムを生成する点で、キサント
モナス キャンペストリスに属する公知の菌株と相違し
ていることから、本菌株はキサントモナス キャンペス
トリスに属する新菌株と判断し、本菌株をキサントモナ
ス キャンペストリス(Xanthomonas campestris)TS
K−001と命名した。なお、本菌株はFERM P−
13997として、工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託されている。
【0017】この菌株を、炭素源として液化澱粉のみを
含有する培地、さらには、栄養成分として液化澱粉およ
び魚肉質成分のみを含有する培地で好気的に培養するこ
とによって、キサントモナス属に属する公知の菌株に比
して多量のヘテロ多糖類を生産せしめ、以て、ヘテロ多
糖類を容易に、かつ、効率よく製造することが可能とな
る。このように本菌株を培養することにより、本菌株に
よって生産されたヘテロ多糖類は菌体外へ排出され培養
液中に蓄積される。
【0018】本発明において液化澱粉とは、水性液に溶
存している澱粉と定義される。液化澱粉を生成せしめる
ためには、常法によって、澱粉を化学的に、または、酵
素的に処理して低分子化せしめて水溶性が増大せしめら
れた、所謂、デキストリン類および可溶性澱粉などが使
用される。この原料および処理条件には特に制限はな
い。原料の澱粉としては、その代表例として、小麦、と
うもろこし、米、ライ麦およびオート麦などから得られ
た穀物澱粉ならびに馬鈴薯、キャッサバ、タピオカおよ
び甘藷などの芋類から得られた澱粉などがある。
【0019】また、処理条件としては、(1) 190〜2
30℃程度で加熱する(2)塩酸などの希酸の存在化で1
10〜140℃程度で加熱するなどがある。また、酵素
としては、通常は、アミラーゼが使用される。市販の可
溶性澱粉もそのまま使用することができる。
【0020】培地または培養液中の液化澱粉の濃度は、
実用上、通常は、培地または培養液1リットル(l)あ
たり10〜50g程度、好ましくは、20〜40g程度と
される。この液化澱粉の濃度が約50gを越えて高くな
るに伴って培地乃至は培養液が高粘度となり、攪拌効率
の低下から生産性の低下を来す危険性がある。
【0021】短時間で培養液の単位容積あたりのヘテロ
多糖類の収量を向上させて、効率よくヘテロ多糖類を製
造するためには、培養初期においては液化澱粉の濃度を
低くすることが好ましく、実用上、通常は、培地または
培養液1lあたり20〜30g程度とされる。培養終了後
の液は高粘度となっており、そのままの状態で菌体を除
去することが困難となるので、菌体の分離に先立って、
培養液を希釈することが好ましい。この希釈の程度には
特に制限はないが、実用上、通常は、培養液中のヘテロ
多糖類の濃度が0.1〜1.0(重量/容量)%程度とな
るように希釈される。
【0022】ヘテロ多糖類の生産性をさらに増大させる
ために、培地または培養液に魚肉質成分を含有せしめる
ことが好ましい。魚肉質成分として、魚粕、魚粉、荒粕
およびフィッシュソリュブルなどの魚粉類、生鮮魚肉お
よび魚粉などから熱水もしくは水蒸気で抽出され、また
は、酵素処理によって抽出された抽出物ならびに魚肉汁
の濃縮・精製物である魚エキスなどが培地または培養液
に含有せしめられる。これらの魚粉類、抽出物および魚
エキスなどの魚肉質成分は、その原料の魚の種類および
処理条件などには特に制限はなく、また、市販品をその
まま使用することができる。
【0023】これらの魚粉類、抽出物および魚エキスな
どの魚肉質成分の使用量は、使用される魚肉質成分の原
料の魚の種類および処理方法などによって、多岐にわた
る品質、品位のものが存在し、その成分の種類、含有率
が大きく変動しており、また、培養条件などによって大
きく異なるため、一概に特定し得ないが、実用上、通常
は、その全窒素量で特定することができる。この魚肉質
成分の使用量は、全窒素量として、培地または培養液1
リットル(l)あたり、実用上、通常は、0.1〜1g程
度、好ましくは、0.2〜0.5g程度とされる。なお、
魚肉質成分の全窒素含有率は、常法の如くケルダール法
により測定される。
【0024】培養は常法により好気的に行われる。その
ためには、通常は、空気などの酸素含有ガスで培養液は
通気攪拌される。空気の通気量は培養液中の溶存酸素濃
度が律速とならなければよく、通常は、1分あたり培養
液1lにつき0.3〜1.5l(標準状態)程度とされる。
培養液の液性は、ほぼ微酸性乃至微アルカリ性でよく、
6〜8.5程度が好適である。培養温度は常温乃至室温
でよく、28〜35℃程度が好適である。また、培養液
中の菌体濃度(乾燥菌体換算で表示 以下同様)は、培
養液1lあたり、乾燥菌体換算で1〜3g程度に保つこと
が好適である。
【0025】培養の経過に伴って、培養液の液性はアル
カリ性に大きく傾くことがあるが、この場合には、フマ
ール酸および乳酸などの有機酸の添加によって、培養液
の液性は所定の値に保持される。なお、培地にこれらの
有機酸の塩を予め添加しておけば、培養の経過中で液性
はほぼ微酸性乃至微アルカリ性の所定の値に保たれる。
また、培養液の発泡を予防・防止するために、培地また
は培養液にシリコーンのような消泡剤を添加することも
できる。培養は、回分法および連続法のいずれでも行う
ことができる。
【0026】また、ヘテロ多糖類を生産するための培養
に先立って、予備培養することができ、しかも好まし
い。この培養においては、キサントモナス キャンペス
トリスに属する公知の菌株の培養に使用される培地をも
使用することができる。
【0027】このようにして、微生物によって生産され
たヘテロ多糖類は菌体外に排出され培養液中に蓄積され
る。従って、培養の経過に伴って、培養液中のヘテロ多
糖類の濃度が上昇すれば、培養液の粘度もこれに伴って
増大するので、培養の経過は培養液の粘度を測定するこ
とによって知ることができる。このようにして培養する
ことによって、たとえば、回分培養の場合には、培養液
中のヘテロ多糖類の濃度は、培養条件などにもよるが、
通常は、約48時間以内で、最大に達する。
【0028】このようにして得られた培養液から、常法
によって菌体を除去し、ついで、目的物であるヘテロ多
糖類が分離・回収される。すなわち、たとえば、遠心分
離および各種の濾過によって培養液から菌体が除去され
る。このようにして得られた清澄液に、貧溶媒であるプ
ロピルアルコールおよびイソプロピルアルコールのよう
な低級アルコールまたは無機塩を添加して、目的物であ
るヘテロ多糖類を沈殿せしめ、この沈殿を、遠心分離お
よび各種の濾過によって分離・回収する。このようにし
て得られた粗製のヘテロ多糖類は、さらに所望により各
種の精製を経て、製品とされる。
【0029】
【実施例】本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明
するが、これらの実施例は単なる例示であって、本発明
を何等制限するものではない。なお、実施例において培
養液中のキサンタンガムは、適宜希釈された培養液から
遠心分離(10,000×gで1時間)によって菌体を
分離除去して得られた清澄液を濃縮し、この濃縮液に過
剰(2〜3倍量)の貧溶媒であるアルコールを添加し
て、キサンタンガムを沈殿させる。このキサンタンガム
を濾取し、これを乾燥してこの重量をキサンタンガムの
量とすることによって定量される。また、キサンタンガ
ムは、キサンタンガムを酸で加水分解し、この分解物に
ついて、グルコース、マンノース、グルクロン酸および
ピルビン酸の組成を高速液体クロマトグラフィーにより
分析することによって同定される。
【0030】実施例1 本発明の新規な微生物であるキサントモナス キャンペ
ストリス(Xanthomo-nas campestris)TSK−001
(FERM P−13997)を、ブイヨン寒天斜面培
地で培養・賦活された菌体の1白金耳を後記の培地10
0mlに接種し、これを300rpmの回転培養機よって3
0℃で24時間予備培養して、菌体濃度0.15(重量
/容量%)の培養液を得、これを種菌とした。
【0031】 培地組成 液化澱粉(純正化学製) 30g 魚エキス(焼津水産化学製 カルチベータ) 5g(全窒素量として0.4g) フマール酸ナトリウム(純正化学製) 3g 水 1l pH 7.0 30l容ジャーファーメンターに前記の培地10lを仕込
み、殺菌後、これに前記の種菌培養液500mlを接種
し、300rpmで攪拌しつつ、1分間あたり100容量
/容量%で空気を通気し、30℃で好気的に回分培養を
行った。
【0032】培養時間の経過に伴って菌は増殖し、培養
液のpHは約7〜8の範囲に保持され、また、培養液の粘
度は培養の経過に伴って徐々に増大した。培養開始から
32時間経過後には、培養液の粘度は8400cP(セン
チポアズ)に達した。培養期間における培養液中の澱粉
濃度および菌体濃度ならびに培養液のpHおよび粘度のそ
れぞれの経時変化を図1に示す。培養開始48時間後に
は、培養液中のキサンタンガムの濃度は16.5g/lと
なった。この培養液からプリコートフィルタープレスに
よって菌体を除去して、清澄粘稠液を得た。この清澄粘
稠液1lを採り、これと2lのプロピルアルコールとを混
合して沈殿を生成せしめた。沈殿を遠心分離によって回
収し、デシケーター中で乾燥してキサンタンガム15.
3gを得た。
【0033】比較例1 本発明の新規な微生物であるキサントモナス キャンペ
ストリス(Xanthomo-nas campestris)TSK−001
(FERM P−13997)に代えて、公知のキサン
トモナス キャンペストリス(Xanthomonass campestri
s)NRRLB−1459を使用した以外は、実施例1
と同様にして行ったが、キサンタンガム5gを得たに止
まった。
【0034】実施例2 魚エキスに代えて市販の飼料用フィッシュソリブルを半
量となるまで濃縮した液を培地1lあたり全窒素量とし
て0.4gとなるように添加した以外は実施例1と同様に
して行って、キサンタンガム14.5gを得た。
【0035】実施例3 コーンスターチ(純正化学製)30g、市販の魚粉4g
(全窒素量として0.44g)および水500mlから成る
混合物に、1.5gの澱粉液化酵素タマミール120L
(NOVO社製)を添加し、85℃で30分間加熱して、こ
のコーンスターチの殆ど全量を可溶化せしめこれを殺菌
冷却して可溶化澱粉含有物を得た。この可溶化澱粉混合
物の全量に、3gのフマール酸ナトリウムを添加し、こ
れにさらに水を加えて1lとし、これを培地として使用
した以外は、実施例1と同様にして行って、キサンタン
ガム16.2gを得た。
【0036】実施例4 市販の魚粉(鰯の削り粉)を熱水で60分間抽出して全
窒素含有率が6.2g/lの魚粉熱水抽出物を得た。魚エ
キスに代えて、この魚粉熱水抽出物を培地1lあたり6
4ml添加した以外は実施例1と同様にして行って、キサ
ンタンガム13.7gを得た。
【0037】実施例5 魚粉(鰯の削り粉)を酵素(天野製薬製 パパイン)で
分解し、全窒素含有率26g/lの魚粉分解抽出物を得
た。魚エキスに代えて、この魚粉分解抽出物を培地1l
あたり15ml添加した以外は実施例1と同様にして行っ
て、キサンタンガム14.0gを得た。
【0038】比較例2 次の培地組成を有する培地を使用した以外は実施例1と
同様にして行ったが、キサンタンガム9.4gを得たに止
まった。 培地組成 液化澱粉(純正化学製) 30 g 酵母エキス(日本製薬製) 1 g コーンスチーブリカー(純正化学製) 1 ml 硫酸アンモニウム(純正化学製) 1 g 硫酸マグネシウム(7水塩)(純正化学製) 0.2g りん酸二カリウム(純正化学製) 1 g 水 1 l pH 7.0
【0039】
【発明の効果】本発明により、低廉な液化澱粉を使用
し、工業上の利用価値が高いキサンタンガムのようなヘ
テロ多糖類が、容易に、しかも効率よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】培養期間における培養液中の澱粉濃度および菌
体濃度ならびに培養液のpHおよび粘度のそれぞれの経時
変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:64) (72)発明者 大塚 佐和子 東京都中央区佃2丁目17番15号 月島機械 株式会社内 (72)発明者 川野 隆嗣 静岡県磐田市高町41番の3 有限会社生物 科学産業研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素源として液化澱粉のみを含有する培
    地中で生育増殖し、多量のキサンタンガムを生産し得る
    キサントモナス キャンペストリス TSK−001。
  2. 【請求項2】 キサントモナス キャンペストリス T
    SK−001を、炭素源として液化澱粉のみを含有する
    培地で培養し、得られた培養物からヘテロ多糖類を回収
    することを特徴とするヘテロ多糖類の製造方法。
  3. 【請求項3】 キサントモナス属に属し液化澱粉を炭素
    源として、ヘテロ多糖類を生産し得る細菌を、炭素源と
    して液化澱粉および魚肉質成分のみを含有する培地で培
    養し、得られた培養物からヘテロ多糖類を回収すること
    を特徴とするヘテロ多糖類の製造方法。
  4. 【請求項4】 キサントモナス属に属する細菌がキサン
    トモナス キャンペストリスに属する細菌である請求項
    3記載のヘテロ多糖類の製造方法。
  5. 【請求項 5】 キサントモナス属に属す細菌がキサン
    トモナス キャンペストリス TSK−001である請
    求項4記載のヘテロ多糖類の製造方法。
  6. 【請求項6】 培養が好気的培養である請求項2乃至5
    のいずれか1項記載のヘテロ多糖類の製造方法。
  7. 【請求項7】 魚肉質成分として魚粉類、魚類抽出物ま
    たは魚エキスが含有せしめられる請求項3乃至6のいず
    れか1項記載のヘテロ多糖類の製造方法。
  8. 【請求項8】 ヘテロ多糖類がキサンタンガムである請
    求項2乃至7のいずれか1項記載のヘテロ多糖類の製造
    方法。
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