JPH08157264A - 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法

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JPH08157264A
JPH08157264A JP6298363A JP29836394A JPH08157264A JP H08157264 A JPH08157264 A JP H08157264A JP 6298363 A JP6298363 A JP 6298363A JP 29836394 A JP29836394 A JP 29836394A JP H08157264 A JPH08157264 A JP H08157264A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】窒化アルミニウム焼結体本来の高熱伝導性を維
持するとともに、酸やアルカリ対する耐食性と機械的強
度とを改善したAlN焼結体およびその製造方法を提供
する。 【構成】周期律表IIIa族元素から選択される少なくとも
1種の元素の酸化物を1〜10重量%と、必要に応じて
Ca,SrおよびBaから選択される少なくとも1種の
元素の酸化物を0.1〜1重量%と、ガラスフリットを
0.1〜1重量%と、残部を構成する窒化アルミニウム
とから成る混合体を焼結した焼結体から成り、焼結体の
3点曲げ強度が450MPa以上であることを特徴とす
る。またTi,Zr,Hf,Nb,Ta,MoおよびW
から選択される少なくとも1種の金属元素を酸化物換算
で0.05〜1重量%含有させるとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体基板等の電子部
品や構造部品として使用される窒化アルミニウム焼結体
およびその製造方法に係り、特に窒化アルミニウム(A
lN)焼結体本来の高熱伝導性に加えて、酸やアルカリ
に対する耐食性と強度とを改善した窒化アルミニウム焼
結体および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の金属材料と比較して強度、耐熱
性、耐食性、耐摩耗性、軽量性などの諸特性に優れたセ
ラミックス焼結体が、半導体基板、電子機器材料、エン
ジン用部材、高速切削工具用材料、ノズル、ベアリング
など、従来の金属材料の及ばない苛酷な温度、応力、摩
耗条件下で使用される機械部品、機能部品、構造材や装
飾品材料として広く利用されている。
【0003】特に窒化アルミニウム(AlN)焼結体は
高熱伝導性を有する絶縁体であり、シリコン(Si)に
近い熱膨張係数を有することから高集積化した半導体装
置の放熱板や基板として、その用途を拡大している。
【0004】従来上記窒化アルミニウム焼結体は一般的
に下記の製造方法によって量産されている。すなわち、
窒化アルミニウム原料粉末に焼結助剤と、有機バインダ
と、必要に応じて各種添加剤や溶媒、分散剤とを添加し
て原料混合体を調製し、得られた原料混合体をドクター
ブレード法や泥漿鋳込み法によって成形し、薄板状ない
しシート状の成形体としたり、原料混合体をプレス成形
して厚板状ないし大型の成形体を形成する。次に得られ
た成形体は、空気または窒素ガス雰囲気において加熱さ
れ脱脂処理され、有機バインダとして使用された炭化水
素成分等が成形体から排除脱脂される。そして脱脂され
た成形体は窒素ガス雰囲気等で高温度に加熱され緻密化
焼結されて窒化アルミニウム焼結体が形成される。
【0005】上記製造方法において、原料AlN粉末と
して平均粒径が0.5μm以下程度の超微細な原料粉末
を使用する場合は、AlN粉末単独でもかなりの緻密な
焼結体が得られる。しかしながら、原料粉末表面等に付
着した多量の酸素等の不純物が焼結時に、AlN結晶格
子中に固溶したり、格子振動の伝播を妨げるAl−O−
N化合物等の複合酸化物を生成する結果、焼結助剤を使
用しないAlN焼結体の熱伝導率は比較的に低かった。
【0006】一方原料粉末として平均粒径1μm以上の
AlN粉末を使用する場合は、その原料粉末単独では焼
結性が良好でないため、ホットプレス法以外には助剤無
添加では緻密な焼結体を得ることが困難であり、量産性
が低い欠点があった。そこで常圧焼結法によって効率的
に焼結体を製造しようとする場合には、焼結体の緻密化
およびAlN原料粉末中の不純物酸素がAlN結晶粒子
内へ固溶することを防止するために、焼結助剤として、
酸化イットウリム(Y2 3 )などの希土類酸化物や酸
化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物等を添加す
ることが一般に行なわれている。
【0007】これらの焼結助剤は、AlN原料粉末に含
まれる不純物酸素やAl2 3 と反応して液相を形成
し、焼結体の緻密化を達成するとともに、この不純物酸
素を粒界相として固定し、高熱伝導率化も達成するもの
と考えられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の製造方法においては、本来、AlNと液相化合物との
濡れ性が低く、また液相自体が偏析し易い性質を有する
ことから、焼結後に液相が凝固する際に、液相はAlN
粒子の間隙部に偏在するように残留し、凝固して粗大で
脆弱な粒界相を形成する傾向がある。また、結晶粒の粒
成長が進行し易く、平均粒径が5〜10μmと粗大な結
晶粒が形成され易く、また微小な気孔が消滅せずに結晶
粒内に残存し、焼結体の緻密化を阻害し、最終的に3点
曲げ強度が350〜400MPa程度の低強度の窒化ア
ルミニウム焼結体しか得られない問題点があった。
【0009】近年、半導体素子の高集積化、高出力化に
伴って増加する発熱量に対応するために、高熱伝導性
(高放熱性)を有する上記窒化アルミニウム材料が普及
しつつあり、その放熱性については大体満足する結果が
得られている。しかしながら上記のように構造部材とし
ての強度が不足するため、例えば窒化アルミニウム焼結
体で形成した半導体基板を実装ボードに装着する際に作
用する僅かな曲げ応力や取扱時に作用する衝撃力にって
半導体基板が損傷し、半導体回路基板の製造歩留りが大
幅に低下してしまう問題点があった。
【0010】また上記AlN焼結体は酸やアルカリに対
する耐食性が未だ不充分であり、半導体装置材料として
加工する場合にアルカリ性のエッチング液を使用した回
路形成処理や酸洗浄処理においてダメージを受け易い欠
点があった。また構造材料として使用した場合において
も、使用環境によっては薬品等の化学物質による酸化や
アルカリ脆化が進行し易く、充分な耐久性や信頼性が得
られないという問題点があった。
【0011】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、AlN焼結体本来の高熱伝導性を維
持するとともに酸やアルカリ対する耐食性と機械的強度
とを改善したAlN焼結体およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者は上記目的を
達成するため、原料窒化アルミニウム粉末に添加する焼
結助剤や添加物の種類や添加量を種々変えて、それらが
焼結体の耐食性、強度特性および伝熱特性に及ぼす影響
について実験検討を進めた。
【0013】その結果、所定の焼結助剤の他に添加剤と
してのガラスフリットを複合的に微量添加したときに、
AlN焼結体を構成するAlN結晶粒子表面にガラスフ
リット成分から成る保護皮膜が形成されAlN焼結体の
耐食性が大幅に改善されるとともに、上記皮膜によりA
lN結晶粒子同士の界面接合強度が高まり、機械的強度
特性が優れたAlN焼結体が得られた。本発明は上記知
見に基づいて完成されたものである。
【0014】すなわち本発明に係る第1の窒化アルミニ
ウム焼結体は、周期律表IIIa族元素から選択される少な
くとも1種の元素の酸化物を1〜10重量%と、ガラス
フリットを0.1〜1重量%と、残部を構成する窒化ア
ルミニウムとから成る混合体を焼結した焼結体から成
り、焼結体の3点曲げ強度が450MPa以上であるこ
とを特徴とする。
【0015】また本発明に係る第2の窒化アルミニウム
焼結体は、周期律表IIIa族元素から選択される少なくと
も1種の元素の酸化物を1〜10重量%と、Ca,Sr
およびBaから選択される少なくとも1種の元素の酸化
物を0.1〜1重量%と、ガラスフリットを0.1〜1
重量%と、残部を構成する窒化アルミニウムとから成る
混合体を焼結した焼結体から成り、焼結体の3点曲げ強
度が450MPa以上であることを特徴とする。
【0016】さらに上記各窒化アルミニウム焼結体にお
いて、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,Wから選
択される少なくとも1種の金属元素を酸化物換算で0.
05〜1重量%含有させるとよい。
【0017】またガラスフリットは、ホウケイ酸ガラ
ス,アルミノホウケイ酸ガラス,96%石英ガラス,ソ
ーダ石灰ガラス,鉛ガラス,アルミノケイ酸塩ガラス,
および特殊ガラスから選択される少なくとも1種であ
る。特殊ガラスとしては結晶化ガラスや耐アルカリ性ガ
ラス等が好適である。
【0018】またFe,Mg等の不純物陽イオンの含有
量は0.2重量%以下にするとよい。さらに焼結体の平
均結晶粒径は1〜4μmの範囲が好適である。そして上
記組成から成るAlN焼結体は、熱伝導率が120W/
(m・K)以上であり、また焼結体を10%濃度の塩酸
(HCl)溶液中に常温(25℃)で24時間浸漬した
場合に、浸漬前後における焼結体の重量減少が1.5mg
/cm2 以下であるとともに、焼結体を10%濃度の苛性
ソーダ(NaOH)溶液中に常温(25℃)で24時間
浸漬した場合に、浸漬前後における焼結体の重量減少が
50mg/cm2 以下となる。
【0019】また本発明に係る第1の窒化アルミニウム
焼結体の製造方法は、窒化アルミニウム原料粉末に、周
期律表IIIa族元素から選択される少なくとも1種の元素
の酸化物を1〜10重量%と、ガラスフリットを0.1
〜1重量%とを添加した原料混合体を成形し、得られた
成形体を非酸化性雰囲気中で焼結せしめることを特徴と
する。
【0020】また本発明に係る第2の窒化アルミニウム
焼結体の製造方法は、窒化アルミニウム原料粉末に、周
期律表IIIa族元素から選択される少なくとも1種の元素
の酸化物を1〜10重量%と、Ca,SrおよびBaか
ら選択される少なくとも1種の元素の酸化物を0.1〜
1重量%と、ガラスフリットを0.1〜1重量%とを添
加した原料混合体を成形し、得られた成形体を非酸化性
雰囲気中で焼結せしめることを特徴とする。
【0021】本発明方法において使用され、焼結体の主
成分となる窒化アルミニウム(AlN)原料粉末としては、
焼結性および熱伝導性を考慮して不純物酸素含有量が
1.3重量%以下に抑制し、平均粒径が0.5〜2μm
程度、好ましくは1.5μm以下の微細なAlN粉末を
使用するとよい。
【0022】周期律表(長周期型)のIIIa族元素の酸化
物は、焼結助剤として作用し、AlN焼結体を緻密化す
るために、AlN原料粉末に対して1〜10重量%の範
囲で添加される。上記焼結助剤の具体例としては希土類
元素(Y,Sc,Ce,Dyなど)の酸化物、もしくは
焼結操作によりこれらの化合物となる物質が使用され、
特に酸化イットリウム(Y2 3 )が好ましい。上記焼
結助剤の添加量が1重量%未満の場合は、焼結性の改善
効果が充分に発揮されず、焼結体が緻密化されず低強度
の焼結体が形成されたり、AlN結晶中に酸素が固溶
し、高い熱伝導率を有する焼結体が形成できない。一方
添加量が10重量%を超える過量となると、焼結助剤と
しての効果は飽和状態に達して無意味となるばかりでな
く、却って焼結して得られるAlN焼結体の熱伝導率が
低下する一方、粒界相が焼結体中に多量に残存したり、
熱処理により除去される粒界相の体積が大きいため、焼
結体中に空孔が残ったりして収縮率が増大し、変形を生
じ易くなる。また高密度の焼結体とするためには、焼結
温度を高く設定する必要があり、焼成炉の構成部品の耐
熱仕様を高度化したり、連続焼成操作が困難になり、い
ずれも焼結体の製造コストおよび量産性が低下してしま
う。
【0023】ガラスフリットは、焼結温度を下げて焼結
性を改善する一方、AlN焼結体を構成するAlN結晶
粒子表面に保護皮膜を形成し、AlN焼結体の耐食性を
大幅に改善すると同時に、AlN結晶粒子同士の界面接
合強度を高め機械的強度を増加させるのに有効な成分で
ある。
【0024】上記ガラスフリットの具体例としては、下
記表1に記号A〜Iで示すような化学組成を有する合成
ガラス粉末が好適である。
【0025】
【表1】
【0026】上記各ガラスフリットは、それぞれ所定の
化学組成に調整した混合粉を空気中で約1500℃の温
度で溶融し、次に冷却凝固した固化体を微粉砕して合成
製造される。ガラスフリットの粒径は1μm前後に調整
するとよい。
【0027】上記ガラスフリットは、AlN焼結体中に
0.1〜1重量%の範囲で添加される。ガラスフリット
の添加量が0.1重量%未満の場合には、焼結温度の低
減効果,耐食性および強度の改善効果が不充分となる。
一方、添加量が1重量%超と過大にした場合には、Al
N焼結体の熱伝導率が低下してしまうため、添加量は上
記範囲に設定されるが、0.2〜0.5重量%の範囲が
より好ましい。
【0028】Ca,Sr,Baの酸化物(CaO,Sr
O,BaO)は、特にIIIa族元素の酸化物やWO3 と複
合添加した場合に、より効果的に焼結温度を下げ焼結性
も改善できる成分であり、本発明では0.1〜1.0重
量%の範囲で添加される。添加量が0.1重量%未満と
過少な場合には、焼結性の改善効果が少ない。一方、添
加量が1重量%を超えると酸やアルカリに対する焼結体
の耐食性が低下するとともに、熱伝導率が低下し、ある
所定の密度を得るためには焼結温度を高く設定する必要
が生じる。したがって添加量は上記範囲に設定される
が、0.2〜0.5重量%の範囲がより好ましい。
【0029】Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W
の酸化物も、焼結温度を下げて焼結性を向上させる一
方、着色して不透明な焼結体を形成する等、AlN焼結
体の特性を改善するために有効であり、酸化物換算で
0.05〜1.0重量%の範囲で添加してもよい。添加
量が0.05重量%未満の場合は、上記特性改善効果が
不充分となる一方、添加量が1.0重量%を超える過量
となると、他の不純物と同様にAlN焼結体の熱伝導率
を低下させる。
【0030】またFe,Mg等の不純物陽イオンはAl
N焼結体の熱伝導を阻害する化合物を形成し易いため、
AlN焼結体中の含有量は0.2重量%以下に設定され
る。
【0031】上記AlN原料粉末、各種焼結助剤および
ガラスフリット成分は、例えばボールミル等の粉砕混合
機に投入され、所定時間混合されることによって均一な
原料混合体となる。次に得られた原料混合体を所定形状
の金型に充填し加圧成形して成形体が形成される。この
とき予め原料混合体にパラフィン、ステアリン酸等の有
機バインダを5〜10重量%添加しておくことにより、
成形操作を円滑に実施することができる。
【0032】成形法としては、汎用の金型プレス法、泥
漿鋳込み法、静水圧プレス法、あるいはドクターブレー
ド法のようなシート成形法などが適用できる。
【0033】上記成形操作に引き続いて、成形体を空気
中で400〜550℃に加熱したり、または非酸化性雰
囲気中、例えば窒素ガス雰囲気中で温度400〜800
℃に加熱して、予め添加していた有機バインダを充分に
脱脂除去する。
【0034】次に脱脂処理された複数のシート状の成形
体は、例えばセラミックス焼結粉から成るしき粉を介し
て焼成炉内において多段に積層され、この配置状態で複
数の成形体は一括して所定温度で焼結される。焼結操作
は、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気で成形体を温度16
50〜1900℃で2〜10時間程度加熱して実施され
る。特にガラスフリット成分を添加することにより、1
650〜1780℃程度と従来より低い温度で焼結する
ことが可能となる。
【0035】焼結雰囲気は、AlNと反応しない非酸化
性雰囲気あればよいが、通常は窒素ガス、または窒素ガ
スを含む還元性雰囲気で行なう。還元性ガスとしてはH
2 ガス、COガスを使用してもよい。なお、焼結は真空
(僅かな還元雰囲気を含む)、減圧、加圧および常圧を
含む種々の圧力条件の雰囲気で行なってもよい。
【0036】焼結温度が1650℃未満であるような低
温状態で焼成すると、原料粉末の粒径、含有酸素量によ
って異なるが、緻密化が困難であり、強度および熱伝導
性などの特性に難点が生じ易い一方、1900℃より高
温度で焼成すると、焼成炉内におけるAlN自体の蒸気
圧が高くなり緻密化が困難になるとともに熱伝導率が急
激に低下するおそれがあるため、焼結温度は上記範囲に
設定される。
【0037】そして上記AlN原料粉末に焼結助剤およ
びガラスフリットを添加した所定の組成を有する原料混
合体を成形、脱脂、焼結することにより、耐食性に優れ
た緻密な結晶組織を有し、熱伝導率が120W/(m・
K)以上であり、かつ3点曲げ強度が450MPa以上
である高強度のAlN焼結体が得られる。
【0038】
【作用】上記構成に係る窒化アルミニウム焼結体および
その製造方法によれば、周期律表IIIa族元素の酸化物か
ら成る焼結助剤とともに所定量のガラスフリットを複合
添加してAlN焼結体としているため、AlN焼結体を
構成するAlN結晶粒子表面にガラスフリット成分から
成る保護皮膜が形成され、酸やアルカリに対するAlN
焼結体の耐食性が大幅に改善される。また上記皮膜によ
りAlN結晶粒子同士の界面接合強度が高まり、高強度
で緻密な結晶組織が得られる。したがって、窒化アルミ
ニウム焼結体本来の高熱伝導性を有し、さらに耐食性お
よび強度特性に優れた窒化アルミニウム焼結体が得られ
る。
【0039】
【実施例】次に下記の実施例を参照して本発明に係る窒
化アルミニウム焼結体をより具体的に説明する。
【0040】実施例1〜35 不純物として酸素を0.8重量%含有し、平均粒径1μ
mの窒化アルミニウム粉末に対して、表2および表3に
示すようにガラスフリット成分および焼結助剤としての
2 3 ,CeO,WO3 ,TiO2 ,ZrO2 ,Hf
2 ,Nb2 5 ,Ta2 5 ,MoO3 ,CaO,B
aO,SrO,Nd2 5 をそれぞれ所定量ずつ添加
し、エチルアルコールを溶媒としてボールミルで20時
間混合して原料混合体を調製した。なおガラスフリット
の種類は表1に示す記号A〜Iで示す組成のものを使用
した。次にこの原料混合体に有機バインダとしてのパラ
フィンを5.5重量%添加して造粒粉を調製した。
【0041】次に得られた造粒粉をプレス成形機の成形
用金型内に充填して1200kg/cm2 の加圧力にて一軸方向
に圧縮成形して、縦50mm×横50mm×厚さ5mmの角板
状成形体を多数調製した。引き続き各成形体を空気雰囲
気中で450℃で1時間加熱して脱脂処理した。
【0042】次に脱脂処理した各成形体をAlN製焼成
容器内に収容し、焼成炉において表2に示す焼結温度1
650〜1800℃で4時間緻密化焼結を実施し、その
後、冷却速度200℃/hrで冷却してそれぞれ実施例1
〜35に係るAlN焼結体製造した。
【0043】比較例1〜2 一方、表3に示すようにガラスフリットを全く添加せ
ず、従来の焼結助剤(Y2 3 )のみを添加し、それぞ
れ1820℃または1800℃で焼結した以外は実施例
4または1と同一条件で原料調整、成形、脱脂、焼結処
理して同一寸法を有する比較例1および2に係るAlN
焼結体を製造した。
【0044】比較例3 また、ガラスフリットを過剰量(2重量%)添加し、1
680℃で焼結した以外は実施例1と同一条件で処理し
て比較例3に係るAlN焼結体を製造した。
【0045】比較例4 焼結助剤としてのY2 3 を過剰量(15重量%)添加
し、かつ1840℃で焼結した以外は実施例2と同様に
処理して比較例4に係るAlN焼結体を製造した。
【0046】比較例5 焼結助剤として5重量%のY2 3 に加えてCaOを過
剰量(2重量%)添加し、かつ1650℃で焼結した以
外は実施例8と同様に処理して比較例5に係るAlN焼
結体を製造した。
【0047】比較例6 焼結助剤としてのIIIa族元素酸化物を全く添加しない一
方で、CaOを過剰量(3重量%)添加した以外は実施
例6と同様に処理して比較例6に係るAlN焼結体を製
造した。
【0048】比較例7 焼結助剤として5重量%のY2 3 に加えてTiO2
過剰量(2重量%)添加し、かつ1720℃で焼結した
以外は、実施例18と同様に処理して比較例7に係るA
lN焼結体を製造した。
【0049】こうして得られた実施例1〜35および比
較例1〜7に係る各AlN焼結体の強度特性,放熱特性
および薬品耐性を評価するために、各試料の3点曲げ強
度、熱伝導率および耐食性を測定し、下記表2および表
3に示す結果を得た。
【0050】なお、各焼結体における耐食性を耐酸性と
耐アルカリ性との2面から評価するために、次のような
浸漬試験を実施した。すなわち各焼結体を10%濃度の
塩酸(HCl)水溶液に常温(25℃)で24時間浸漬
して、その浸漬前後における焼結体の酸化腐食による単
位面積当りの重量減少を測定した。また焼結体を10%
濃度の苛性ソーダ(NaOH)水溶液中に常温(25
℃)で24時間浸漬して、その浸漬前後における焼結体
のアルカリ腐食による単位面積当りの重量減少を測定し
た。測定結果を下記表2および表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】上記表2および表3に示す結果から明らか
なように、Y2 3 ,CaO等の焼結助剤に加えてガラ
スフリット成分を微量ずつ複合添加した実施例1〜35
に係るAlN焼結体においては、結晶組織が緻密で微細
であり、曲げ強度および熱伝導率および酸やアルカリに
対する耐食性が共に優れていることが判明した。ちなみ
に3点曲げ強度は490〜570MPaと大きく、また
熱伝導率は122〜173W/(m・K)と優れてお
り、酸に対する重量減少は0.4 〜1.4mg /cm2 ,アルカ
リに対する重量減少は7〜45mg/cm2 と極めて高い耐
食性を有することが確認できた。
【0054】一方、ガラスフリットを全く添加しない比
較例1〜2に係るAlN焼結体は、熱伝導率においては
比較的に良好である反面、曲げ強度および耐食性が低
く、耐久性および取扱性において難点がある。またガラ
スフリットを過量に添加した比較例3の試料では、熱伝
導率が不充分となり、また従来の焼結助剤としてのY2
3 を過量に添加した比較例4の試料では、ガラスフリ
ットを添加したにも拘らず、耐アルカリ腐食性および強
度が共に低下することが確認された。
【0055】さらに焼結助剤としてのCaOを過剰に添
加した比較例5に係るAlN焼結体は、耐アルカリ腐食
性が低下することが判明した。またIIIa族元素酸化物を
全く添加しない比較例6に係るAlN焼結体において
は、CaOを過剰量添加し、かつガラスフリットを添加
したにも拘らず、曲げ強度の低下が顕著であり、またC
aOの過剰添加に起因する腐食が急増することが判明し
た。同様にTiO2 を過剰量添加した比較例7に係るA
lN焼結体においては、曲げ強度は良好である反面、熱
伝導率およびアルカリ耐食性が低下することが確認でき
た。
【0056】一方、各実施例に係るAlN焼結体の製造
方法によれば、原料粉末中にガラスフリットを配合して
いるため、1650〜1800℃程度の低温度焼結の場
合であっても、緻密で高強度,高熱伝導性および高耐食
性を有するAlN焼結体が得られた。したがって高温度
用の焼成炉を用いることなく、通常の安価な耐熱部品で
構成した焼成炉を使用して連続運転が可能であり、Al
N焼結体の製造コストおよび量産性を大幅に改善するこ
とが可能となった。
【0057】また表2および表3において実施例9,1
5,26,27に示す結果から明らかなように、焼結助
剤としてのIIIa族元素酸化物およびガラスフリットに加
えて、CaO,BaO,SrO,WO3 ,TiO2 など
を複合添加することにより、焼結温度を1650〜16
80℃程度まで下げることが可能となり、低温焼結によ
る製造条件の緩和がより効果的に実現することが実証さ
れた。
【0058】また実施例1〜35に係る各AlN焼結体
表面部を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したとこ
ろ、いずれも微細なAlN結晶粒子の周辺に粒界相が均
一に分散形成されており、またAlN結晶粒子の表面に
はガラスフリット成分から成る保護皮膜が形成されてい
ることが確認された。一方、比較例1〜2に係る焼結体
においては、ガラスフリットの添加による焼結性改善効
果が少ないため、AlN粒子自体も粗大であり、隣接す
るAlN粒子の周辺に粗大な粒界相が凝集されるように
形成されていた。
【0059】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る窒化アルミ
ニウム焼結体およびその製造方法によれば、周期律表II
Ia族元素の酸化物から成る焼結助剤とともに所定量のガ
ラスフリットを複合添加してAlN焼結体としているた
め、AlN焼結体を構成するAlN結晶粒子表面にガラ
スフリット成分から成る保護皮膜が形成され、酸やアル
カリに対するAlN焼結体の耐食性が大幅に改善され
る。また上記皮膜によりAlN結晶粒子同士の界面接合
強度が高まり、高強度で緻密な結晶組織が得られる。し
たがって、窒化アルミニウム焼結体本来の高熱伝導性を
有し、さらに耐食性および強度特性に優れた窒化アルミ
ニウム焼結体が得られる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周期律表IIIa族元素から選択される少な
    くとも1種の元素の酸化物を1〜10重量%と、ガラス
    フリットを0.1〜1重量%と、残部を構成する窒化ア
    ルミニウムとから成る混合体を焼結した焼結体から成
    り、焼結体の3点曲げ強度が450MPa以上であるこ
    とを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】 周期律表IIIa族元素から選択される少な
    くとも1種の元素の酸化物を1〜10重量%と、Ca,
    SrおよびBaから選択される少なくとも1種の元素の
    酸化物を0.1〜1重量%と、ガラスフリットを0.1
    〜1重量%と、残部を構成する窒化アルミニウムとから
    成る混合体を焼結した焼結体から成り、焼結体の3点曲
    げ強度が450MPa以上であることを特徴とする窒化
    アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】 Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Moお
    よびWから選択される少なくとも1種の金属元素を酸化
    物換算で0.05〜1重量%含有することを特徴とする
    請求項1または2記載の窒化アルミニウム焼結体。
  4. 【請求項4】 熱伝導率が120W/(m・K)以上で
    あることを特徴とする請求項1または2記載の窒化アル
    ミニウム焼結体。
  5. 【請求項5】 焼結体を10%濃度の塩酸(HCl)溶
    液中に常温(25℃)で24時間浸漬した場合に、浸漬
    前後における焼結体の重量減少が1.5mg/cm2 以下で
    あるとともに、焼結体を10%濃度の苛性ソーダ(Na
    OH)溶液中に常温(25℃)で24時間浸漬した場合
    に、浸漬前後における焼結体の重量減少が50mg/cm2
    以下であることを特徴とする請求項1または2記載の窒
    化アルミニウム焼結体。
  6. 【請求項6】 ガラスフリットが、ホウケイ酸ガラス,
    アルミノホウケイ酸ガラス,96%石英ガラス,ソーダ
    石灰ガラス,鉛ガラス,アルミノケイ酸塩ガラスおよび
    特殊ガラスから選択される少なくとも1種であることを
    特徴とする請求項1または2記載の窒化アルミニウム焼
    結体。
  7. 【請求項7】 窒化アルミニウム原料粉末に、周期律表
    IIIa族元素から選択される少なくとも1種の元素の酸化
    物を1〜10重量%と、ガラスフリットを0.1〜1重
    量%とを添加した原料混合体を成形し、得られた成形体
    を非酸化性雰囲気中で焼結せしめることを特徴とする窒
    化アルミニウム焼結体の製造方法。
  8. 【請求項8】 窒化アルミニウム原料粉末に、周期律表
    IIIa族元素から選択される少なくとも1種の元素の酸化
    物を1〜10重量%と、Ca,SrおよびBaから選択
    される少なくとも1種の元素の酸化物を0.1〜1重量
    %と、ガラスフリットを0.1〜1重量%とを添加した
    原料混合体を成形し、得られた成形体を非酸化性雰囲気
    中で焼結せしめることを特徴とする窒化アルミニウム焼
    結体の製造方法。
  9. 【請求項9】 窒化アルミニウム原料粉末の酸素含有量
    を1.3重量%以下に設定したことを特徴とする請求項
    7または8記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20200073307A (ko) * 2018-12-13 2020-06-24 한국세라믹기술원 질화알루미늄-이트리아 복합 세라믹스의 제조방법

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