JPH08206688A - トイレ排水管のスケール防止剤 - Google Patents

トイレ排水管のスケール防止剤

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JPH08206688A
JPH08206688A JP23764395A JP23764395A JPH08206688A JP H08206688 A JPH08206688 A JP H08206688A JP 23764395 A JP23764395 A JP 23764395A JP 23764395 A JP23764395 A JP 23764395A JP H08206688 A JPH08206688 A JP H08206688A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、トイレ排水管へのスケールの固着
を防止するに適した薬剤を提供することを、その目的と
する。 【解決手段】 固体酸を有効成分とし、所望により添加
される基材及び/又は他の添加剤を含有する成形体から
なるトイレ排水管のスケール防止剤を提供することによ
り解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トイレ排水管のス
ケール防止剤に係わり、さらに詳しくは、トイレ排水管
へのカルシウムを主成分とするスケールの固着を防止す
るに適した薬剤に関する。本発明のスケール防止剤は、
水洗式の各種トイレまたは水洗設備のない男子用トイレ
に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】トイレ排水管、特に、男子用トイレの排
水管には、尿の分解により生成するカルシウム系化合物
や有機物の混合物が固着した尿石と称されているスケー
ルが生成し、尿および洗浄水の流れを悪化させ、はなは
だしい場合には排水管を閉塞し、トイレは使用不能の状
態となる。また、尿石中の有機物は、細菌により腐敗し
悪臭を発生する。男子用トイレの悪臭は、有機物の腐敗
による悪臭と尿の分解により発生するアンモニアの混合
臭である。
【0003】従来、トイレ排水管のスケール防止方法と
して、薬剤を洗浄水配管の途中に注入する方法および球
状に成形した薬剤を男子用トイレの便器内に投入する方
法などが実用化されている。これらの方法において使用
する薬剤として、界面活性剤、殺菌剤および香料を含有
するものが種々提案されている。
【0004】たとえば、界面活性剤、イオン封鎖剤、香
料等をポリエチレングリコールまたはポリプロピレング
リコールと芳香物質と共に溶融混合し、注入成形してな
る水洗式トイレの消臭洗浄剤が、特公昭45−3070
6号公報に、常温で固体のポリエチレングリコール、難
水溶性の芳香物質、非イオン系界面活性剤および香料等
の添加剤からなる混合溶融物を冷却固化して成形した洗
浄防汚芳香剤が、特開昭57−168668号公報に記
載されている。さらに、トイレ排水管に一旦固着してし
まったスケールの防除方法として、塩酸等の無機強酸を
使用しスケールを溶解する方法、便器を取りはずし機械
的にスケールを除去する方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする問題点】従来採用されている
界面活性剤、殺菌剤および香料からなる薬剤の使用は、
便器壁面の汚れ防止および悪臭の発生防止には有効であ
る。しかしながら、トイレ排水管へのスケールの固着防
止効果は充分ではなく、また、殺菌剤の浄化槽への流入
は浄化槽菌の働きを妨げ、浄化槽の浄化能力を低下させ
る。界面活性剤と香料とからなる洗浄消臭剤の使用も、
便器壁面の汚れ防止および悪臭の発生防止には有効であ
る。しかしながら、トイレ排水管へのスケールの固着防
止効果はさらに小さい。イオン封鎖剤を尿または洗浄水
に添加する方法は、スケールの固着防止にかなり有効で
ある。
【0006】しかしながら、スケールの固着を完全に防
止するには、イオン封鎖剤を尿に対し0.3〜1重量%
添加する必要がある。一般に、イオン封鎖剤は高価であ
り、この方法は広く普及しにくい。また、強酸による固
着スケールの溶解除去、便器を取りはずしての固着スケ
ールの機械的除去は、不快かつ困難な作業である。ま
た、強酸によるスケール除去においては、酸による排水
管の腐食や浄化槽に流入した酸による浄化能力の低下
が、機械的除去においては便器や排水管の損傷が問題と
なる。本発明は、トイレ排水管へのスケールの固着を防
止するに適した薬剤を提供することを、その目的とす
る。
【0007】
【問題点を解決するための手段】即ち、本発明は、主と
して固体酸を有効成分とし、所望により基材及び/又は
他の添加剤を含有する成形体からなるトイレ排水管のス
ケール防止剤である。本発明において、固体酸とは、常
温で固体の酸性物質であり、カルシウムイオンと反応し
てpH5〜8.5の範囲の水に対する溶解度が0.00
1g/100g(水)以下の塩を生成しないものであれ
ば、特に、制限はない。たとえば、硫酸水素ナトリウ
ム、硫酸水素カリウム、硫酸水素アンモニウム等の水溶
性酸性塩類、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等の
強酸と弱塩基との水溶性塩類およびホウ酸、スルファミ
ン酸などを挙げることができる。また、コハク酸、クエ
ン酸、マレイン酸、イソフタル酸、酒石酸、ヒドロキシ
酢酸、P−トルエンスルホン酸、フマル酸、アジピン
酸、サリチル酸、プラシジル酸、ヒドロケイ皮酸、無水
マレイン酸、安息香酸等の常温固体の有機酸類も使用で
きる。
【0008】これら酸性物質は、1種単独または2種以
上の混合物として使用できる。本発明のトイレ排水管の
スケール防止剤は、前記固体酸を有効成分とする任意の
形状、たとえば、球状、円柱状、孔空き円柱状、円板
状、立方体状、円錐状、角錐状、動植物形状等を有する
成形体であり、固体酸のみからなる成形体または固体
酸、および所望により添加される基材、その他の添加剤
とからなる混合物の成形体である、所望により添加され
る添加剤として、溶解速度調整剤、界面活性剤、香料、
着色料、腐食防止剤、殺菌剤、イオン封鎖剤等が挙げら
れる。
【0009】本発明のスケール防止剤は、各成分を混
合、打錠する方法、各成分の混合物を加熱、溶解した溶
融スラリーを成形型に注入して冷却、固化する方法など
の公知の成形方法により製造することができる。基材
は、固体酸の成形性を良好なものとし、使用に際し、成
形体を尿および/または洗浄水に適当な速度で、かつ、
形崩れを起こさずに溶解することを目的として使用され
る。基材として、溶融成形または加圧成形が可能であ
り、該成形体を水に接触させた場合に崩壊することなく
溶解する水溶性基材および/または昇華性を有する基材
が使用される。水溶性基材として、常温で固体の水溶性
高分子、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール等および/または各種界面活性剤を例
示できる。昇華性基材として、水に難溶性で、かつ、常
温での蒸気圧が、0.05〜5mmHg程度の昇華性を
有する物質、たとえば、パラジクロルベンゼン、ナフタ
レン等を使用することができる。又、これらの水溶性基
材及び/又は昇華性基材は、1種の単独または2種以上
の混合物として使用することができる。
【0010】該成形体において、基材として昇華性基材
及び/又は水溶性基材を使用する場合には、昇華性基材
及び/又は水溶性基材の含有量は、20〜80重量%で
あり、昇華性基材と水溶性基材を共に含有する場合に
は、その両者の比率は、昇華性基材40〜90重量部、
好ましくは50〜80重量部、水溶性基材10〜60重
量部、好ましくは20〜50重量部である。昇華性基材
を単独で含有する場合には、昇華性基材の含有量が20
重量%未満であると、成形体が尿及び/又は洗浄水と接
触した際に形状がくずれ易くなり、溶解速度のコントロ
ールも困難となる。一方昇華性基材の含有量が80重量
%を越えると有効成分である固体酸の含有量が少なくな
り、スケール防止効果が充分でなくなる。又、昇華性基
材と水溶性基材を共に含有する場合には、昇華性基材の
含有量が、昇華性基材と水溶性基材との合計量に対し、
40重量%未満では昇華性基材の連続体の形成が困難と
なり膨潤や形崩れが起こりやすくなる。一方、90重量
%を越えると、水溶性の混合層による昇華性基材の昇華
抑制効果が不充分となり、溶解速度の制御が困難とな
り、かつ大気中に長時間放置すると形崩れを生じやすく
なる。
【0011】昇華性基材の含有量が、昇華性基材と水溶
性基材との合計量に対し、40%未満であっても水溶性
基材が高密度かつ高融点であり、昇華性基材と均一に混
合される物質であれば膨潤や形崩れはおこらない。また
昇華性基材が40%以上であっても水溶性基材が低密度
かつ低融点であり、昇華性基材と均一に混合されにくい
物質の場合は膨潤や形崩れがおこり得るので、水溶性基
材によっては昇華性基材の含有量をより多くしなくては
ならない。
【0012】更に、本発明は易溶性固体酸に加えて、遅
溶性及び/又は難溶性の固体酸及び/又は基材を成形体
中に20重量%以上含有させることにより、スケール防
止剤として長期間効果を持続させうることを見い出し
た。ここで、易溶性固体酸とは、塩化アンモニウム、硫
酸水素ナトリウム、スルファミン酸などをいう。他方、
遅溶性の固体酸、基材とは、20℃の水に対する飽和溶
解度が0.2〜20g/100gのものをいい、そのよ
うな固体酸としては、コハク酸、ホウ酸、アジピン酸、
サリチル酸、プラシジル酸、ヒドロケイ皮酸、無水マレ
イン酸等の加圧成形性が良好であるか、加熱溶解が容易
なものが好ましく、基材としてはテトラクロロビフェニ
ル、テトロナールシュウ酸メチル、HLBが10〜14
の固体非イオン系界面活性剤等が好ましい。これら、遅
溶性の固体酸及び/又は基材は1種単独又は2種以上の
混合物として使用される。又、難溶性の固体酸、基材と
は、20℃の水に対する飽和溶解度が0.001〜0.
2g/100gのものをいい、そのような固体酸として
は、イソフタル酸、スベリン酸、クミン酸、テレフタル
酸等であり、基材としてはサントニン、L−メントー
ル、サリチル酸フェニル、レゾルシン、ベンズヒドロー
ル、HLBが6〜10の固体非イオン系界面活性剤等が
好ましい。これら、難溶性の固体酸及び/又は基材は1
種単独又は2種以上の混合物として使用される。
【0013】上記遅溶性固体酸及び/又は基材(以下遅
溶性成分と記す)又は難溶性固体酸及び/又は基材(以
下難溶性成分と記す)の含有量が20重量%未満である
と成形体は尿及び/又は洗浄水に接触している間に形状
がくずれ易くなり、溶解速度のコントロールが困難とな
る。遅溶性又は難溶性成分が強酸性の固体酸である場合
には遅溶性又は難溶性成分の含有量に上限はないが、遅
溶性又は難溶性成分が基材及び弱酸性の固体酸である場
合にはその含有量は80重量%以下であることが好まし
い。又、併用される易溶性の固体酸が微粉末であると遅
溶性又は難溶性成分の含有量が20重量%以上であって
も尿及び/又は洗浄水と接触した際に形状がくずれ易く
なる。従って、易溶性固体酸の粒径は0.1〜1mm程
度であることが好ましく、一方遅溶性又は難溶性成分は
微細な程好ましい。
【0014】成形体の水への溶解速度を調整する目的
で、成形体に溶解速度調整剤を添加することができる。
溶解速度調整剤としては、基材又は固体酸との混合物を
加熱して均一な溶融混合物の得られる難水溶性物質、た
とえば、脂肪酸類、高級アルコール類等、または、撥水
性物質の微粉末、たとえば、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸マグネシウム、タルク等が使用できる。腐
食防止剤は、トイレ排水管の腐食防止を目的として添加
される。腐食防止剤として、耐酸性のカチオン系界面活
性剤たとえばアルキルチオ尿素等が好ましく使用され
る。
【0015】悪臭をマスクし芳香を漂わせることを目的
として、各種調整香料を、また、成形体の尿等による着
色の防止、成形体の残量の検知、洗浄水の着色等を目的
として、非水溶性のまたは水溶性の着色料を成形体に添
加することができる。また、浄化槽菌へ影響を与えない
種類の、または、その影響が無視し得る量の殺菌剤、お
よび、経済的に負担とならない程度のイオン封鎖剤の添
加も可能である。
【0016】本発明のスケール防止剤は、成形体を直接
または各種容器に収納して尿および/または洗浄水に接
触させることにより、固体酸が尿および/または洗浄水
に溶解し、トイレ排水管中に滞留している尿または尿と
洗浄水との混合排水のpHを低い値に保持し、その結果
排水管へのスケールの固着が防止される。尿または尿と
洗浄水との混合排水のpHは、スケール防止剤の溶解速
度、形状、使用個数、収納する容器の構造等を調整する
ことにより調整することができる。スケール防止剤の溶
解速度は使用する酸性物質、基材等の種類および量比な
どの選択、および、溶解速度調整剤を用いて調整するこ
とができる。また、容器に収納して使用する場合には、
容器の開口面積を選択することによっても溶解速度を調
整することができる。
【0017】特に、男子用トイレに直接投入して使用す
る成形体の場合、溶解速度が適切であると共に、尿およ
び/または洗浄水との接触により崩壊や膨潤等の著しい
変形を生じないものが要求される。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の成形体の使用方法
を以下に示す。昇華性基材又は遅溶性成分とを含有する
成形体の場合には、間欠的に尿及び/又は洗浄水と接触
する場所、たとえば便器内排水管入口、便器内壁面及び
底部の洗浄水流路、手洗部付ロータンクの蛇口下等の場
所に設置することができる。他方、難溶性成分を含有す
る成形体の場合には、尿及び/又は洗浄水の溜水部、た
とえば便器トラップ部、排水管内、洗浄水排管内、洗浄
水貯水槽等の場所に水没状態で設置することができる。
【0019】又、成形体は直接あるいは容器に収納して
設置することができるが、容器を使用する場合には、成
形体の性質に応じた構造の容器を選択する。昇華性基材
を含有する成形体の場合は、昇華性物質の蒸気拡散が充
分行われる構造、具体的には充分に外気と接触しえる開
口面積の大きな容器を、遅溶性又は難溶性成分を含有す
る成形体の場合も、成形体と流水又は溜水を充分接触し
得る構造が必要である。又、昇華性基材や遅溶性又は難
溶性成分を含有しない成形体、即ち、易溶性成分のみか
らなる成形体の場合には、成形体と流水あるいは溜水と
の接触を制限する構造とすればよい。
【0020】間欠流水と成形体とを接触させ、溶解量を
調整できる容器としては、手洗用蛇口付ロータンクに設
置する容器として実開昭54−143038号公報、実
開昭54−162154号公報等に記載されており、便
器内の洗浄水流路に設置する容器としては実開昭501
1347号公報、実開昭51−115737号公報等に
記載されている。又、トイレの洗浄水貯水槽に固形薬剤
を徐々に溶解させる容器としては実開昭49−1334
61号公報、実開昭52−130462号公報等に記載
されている容器を使用することができる。トラップ部、
排水管、溜水部に設置する容器も、洗浄水貯水槽用の容
器と同様の構造を有するものを使用することができる。
【0021】
【作用】本発明者等は、トイレ排水管へのスケールの固
着を防止する方法に関し鋭意研究した結果、該スケール
が、カルシウムアパタイト〔Ca5 (PO4)3 OH〕4
0〜60wt%、炭酸カルシウム〔CaCO3 〕20〜
40wt%および水に不溶の有機物10〜30wt%の
混合物であること、カルシウム系のスケールはpHが
7.5以下の水では析出せず、pHが7.5〜8.5の
範囲の水では析出しても極めて少なく、また、析出に長
時間を要すること、ならびに、尿または尿と洗浄水との
混合排水は、尿の分解酵素や細菌等の作用により、アン
モニアを生成し短時間にpHが上昇することを見出し、
本発明を完成した。
【0022】尿中には、通常水溶性のカルシウムイオン
が200〜300ppm、リン酸イオンが2000〜2
500ppm含まれている。また、炭酸イオンは洗浄水
中に含まれ、また、大気中の炭酸ガスが溶解して補給さ
れる。体内から排出された尿のpHは5.5〜6.5程
度であるが、大気中に放置するとpHは徐々に上昇し、
最終的には9〜9.5に達する。pHが7.5以上にな
ると濁りを生じ、pHの上昇に伴い濁度が上がり、pH
が8.5以上になるとカルシウムアパタイトの白色沈殿
が析出し、かつ、大気との接触面に炭酸カルシウムの結
晶が膜状に生成する。このカルシウムアパタイトと炭酸
カルシウムの結晶が、細菌や酵素の作用で生成した水不
溶性のタンパク質等の有効物と共にトイレの排水管に固
着し、成長して一般に尿石と呼ばれているスケールとな
る。
【0023】したがって、尿または尿と洗浄水との混合
排水のpHを8.5以下、好ましくは7.5以下に保持
することにより、トイレ排水管へのスケールの固着を防
止することができる。尿または尿と洗浄水との混合排水
のpHを8.5以下に保持する方法として、尿および/
または洗浄水に酸性物質を溶解する方法が簡易であり、
好ましく採用される。本発明のトイレ排水管のスケール
防止剤は、固体酸を有効成分とする成形体であり、尿お
よび/または洗浄水と接触させることにより、固体酸が
溶出し尿または尿と洗浄水との混合排水管のpHを低水
準に保持する。
【0024】トイレは、休日等で長時間使用されないこ
とがあるので、その期間においても排水管に滞留してい
る尿または尿と洗浄水との混合排水のpHを低水準に保
持するためには、固体酸としてのアンモニウム塩が、p
H緩衝性を示す強酸根を有するものが好ましく使用され
る。ただし、カルシウムと反応して生成する塩の水への
溶解度が0.001g/100g(水)以下である固体
酸の使用は好ましくない。一方、尿または尿と洗浄水と
の混合排水のpHが低すぎると、排水管の腐食が問題と
なるので好ましくない。したがって、尿または尿と洗浄
水との混合排水のpHの好ましい下限は5であり、さら
に好ましくは5.5である。さらに、スケール防止剤
に、あらかじめ腐食防止剤を添加することが好ましい。
【0025】本発明のスケール防止剤において、間欠的
に尿および/または洗浄水と接触する場所に設置するス
ケール防止剤としては昇華性基材を含有する成形体とす
ることにより、溶解速度の調整が容易であり、かつ、変
形や膨潤のない均一に溶解する成形体が得られる。特に
昇華性基材単独又は昇華性基材と水溶性基材を併用する
場合には、易水溶性の固体酸を昇華性基材又は昇華性基
材と水溶性基材とが包み込み、かつ、水に難溶性の昇華
性基材が連続体を形成する構成を有する。
【0026】したがって、該スケール防止剤を大気中に
放置すると、表面の昇華性基材が昇華し、表面に水に溶
け易いポーラスな固体酸又は固体酸と水溶性基材の混合
層が形成される。この状態で、尿および/または洗浄水
が接触すると、少量の接触水によっても表面に形成され
た水溶性物質の混合層が溶解して取り除かれ、表面に再
び難水溶性の昇華性基材の連続層が形成され、固体酸又
は固体酸と水溶性基材の尿および/または洗浄水への溶
解は停止される。
【0027】以上のメカニズムにより、昇華、溶解が繰
り返されるため、水に多く接触する部分のみが選択的に
溶解して変形することがなく、初期の形状を保持したま
ま均一に消費される。また、尿および/または洗浄水と
長時間連続して接触しても、表面が難水溶性の昇華性基
材の層で覆われるため、膨潤や吸水による軟化および形
崩れが防止される。さらに、尿および/または洗浄水と
の接触が長時間連続して停止した場合、表面に形成され
る水溶性の固体酸又は固体酸と水溶性基材の混合層によ
り、昇華性基材の無制限の昇華が抑制され、形崩れが防
止される。昇華性物質の昇華抑制効果は固体酸単独より
は固体酸と水溶性基材との混合層の方が大きいため、長
時間大気中に放置した場合基材が昇華性基材単独の成形
体よりも昇華性基材と水溶性基材を併用した成形体の方
が形崩れの防止効果は大きい。
【0028】トイレ排水管にスケールが固着するのは尿
の分解によるものであるため、トイレが連続的に使用さ
れている場合には、スケールの固着はおこりにくく、尿
の分解に必要な時間をおいて間欠的にトイレを使用した
場合にスケールの固着はおこりやすい。本発明のスケー
ル防止剤は前述の様なメカニズムにより溶解されるた
め、スケール固着がおこりにくい。トイレが連続的に使
用される場合には、低濃度の固体酸および水溶性基材が
溶解され、スケールの固着がおこりやすいトイレが長時
間をおいて間欠的に使用される場合には高濃度の固体酸
および水溶性基材が溶解されるため有効にトイレ排水管
へのスケールの固着を防止する。
【0029】また遅溶性成分と固体酸よりなる成形体も
間欠的に尿および/または洗浄水と接触し得る場所に設
置するスケール防止剤として好ましく使用される。該成
形体において遅溶性成分の含有量が20重量%未満では
成形体の溶解速度の調整および使用時の形状保持が困難
となる。また遅溶性成分が弱酸性の固体酸もしくは固体
酸以外の物質である場合は遅溶性成分の含有量が80重
量%を越えると、有効成分である固体酸の含有量が少な
くなり、トイレ排水管のスケール防止を充分に行うため
の使用量が多くなる。
【0030】遅溶性成分と固体酸よりなるスケール防止
剤は、昇華性物質を基材とするスケール防止剤と比べる
と使用時に流水と接触して変形してくる欠点を有してい
るが、遅溶性成分を選択することにより、溶解速度を巾
ひろく調整することが可能であり、洗浄装置の設置され
ていないトイレや洗浄水使用量が少ないトイレ等の排水
管スケールが発生しやすいトイレまたは使用ひん度が少
ないトイレ用のスケール防止剤として特に適した特性を
有している。
【0031】難溶性成分と固体酸よりなる成形体は尿お
よび/または洗浄水中に水没させて使用するスケール防
止剤として好ましく使用される。該成形体において難溶
性成分の含有量が20重量%未満では溶解速度の調整お
よび使用時の形状保持が困難となる。また難溶性成分が
弱酸性固体酸もしくは固体酸以外の物質である場合は難
溶性成分の含有量が80重量%を越えると有効成分であ
る固体酸の含有量が少なくなり、トイレ排水管のスケー
ル防止を充分に行うための使用量が多くなる。
【0032】難溶性成分と固体酸よりなるスケール防止
剤をまたは収納する容器の構造にって同様の溶解速度を
有するスケール防止剤をトラップ部、排水管内等の尿ま
たは尿と洗浄水の混合排水の溜水中に水没させて設置す
ると溜水中の尿が分解し、溜水のpHが上昇するにつれ
て溜水中にスケール防止剤より溶出する固体酸の濃度も
高くなるため長時間にわたりかつ効率的に溜水部のスケ
ールの発生を防止する。トイレ排水管においてももっと
もスケールが発生するのは、排水管入口のトラップ部排
水管内等の溜水部であり、該スケール防止剤はむだの少
ない効率的なスケール防止剤である。
【0033】該スケール防止剤を洗浄水貯水槽に設置し
て使用した場合はトラップ等の尿または尿と洗浄水の混
合排水溜水部に設置した場合に比べるとそのスケール防
止効果および薬剤効率は小さくなる。該スケール防止剤
は排水管溜水部、トラップ部、洗浄水貯水槽内等の外部
より観察しずらい場所に設置されるため薬剤追加の時期
がわかりずらい欠点を有するが、トイレ利用者に異和感
を与えずに排水管スケールの固着を防止するすぐれたス
ケール防止剤である。溜水部に固体酸を有効成分とする
成形体を水没させるスケール防止剤にあっては間欠流水
に固体酸を有効成分とする成形体を接触させるスケール
防止剤よりも高濃度の固体酸液が排水管内に流れ排水管
を腐食させる可能性が大きい。トイレの使用状態等に応
じて適切な溶解速度を与え得る難溶性成分を含有させる
とともに、充分な量の腐食防止剤を添加することが望ま
しい。
【0034】
【実施例】本発明を、実施例によりさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明の範囲は、下記実施例により何等限
定されるものではない。
【0035】参考例1 新鮮な尿2700ml(pH=6.05)を採取し、こ
れに小便器トラップより採取した汚水300mlを加え
均一混合した。この尿を6等分した各500mlの試料
について、下記の処理を行い、pHの変化および水不溶
解分の生成量を測定した。各試料は、測定期間中20±
3℃に保持した。
【0036】試料1:スルファミン酸を添加しpHを
5.5に調整 試料2:自動滴定装置から、1%スルファミン酸水溶液
を連続注入しpHを7.2±0.2に調整 試料3:自動滴定装置から、1%スルファミン酸水溶液
を連続注入しpHを8.2±0.2に調整 試料4(比較):自動滴定装置から、1%スルファミン
酸水溶液を連続注入しpHを8.8±0.2に調整 試料5(比較):殺菌剤;塩化ベンザルコニウム0.5
gを 添加試料6(比較):未処理 各試料の経過時間によるpHの変化および水不溶解分の
生成量(g/l)を第1表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例1 (スケール防止剤の製造) サンプル1:溶融した分子量6000のポリエチレング
リコール;40重量部に、スルファミン酸粉末;60重
量部を添加混合し、溶融スラリーを得た。該スラリー
を、市販のトイレ防汚剤の空容器に注入固化させスケー
ル防止剤を製造した。 サンプル2:スルファミン酸粉末;60重量部、パラジ
クロルベンゼン微粉末;40重量部およびステアリン酸
カルシウム;1重量部からなる混合物を、加圧成形し直
径40mmの球状成形体を製造した。 サンプル3:硫酸水素ナトリウム1水塩微粉末;50重
量部、スルファミン酸粉末;50重量部およびステアリ
ン酸カルシウム;4重量部からなる混合物を、加圧成形
し直径40mmの球状成形体を製造した。 サンプル4:スルファミン酸粉末;50重量部、安息香
酸微粉末(飽和溶解度0.25g/100・20℃);
50重量部からなる混合物を加圧成形し直径45mm厚
さ20mmの円板状成形体を製造した。成形体を開口面
積が表面積の12%である小便器目皿形の容器に収納し
た。 サンプル5:ポリオキシ・エチレンモノステアレート
(非イオン系界面活性剤HLB11.6):10重量
部、2,4,2′,4′テトラクロロビフェニル)飽和
溶解度0.29g/100g・20℃):30重量部の
溶融混合物にスルファミン酸粉末:60重量部を添加混
合し溶融スラリーを得た。該スラリーを型に注入固化し
て直径45mm、厚さ20mmの円板状成形体を製造
し、これをサンプル3と同様の目皿形容器に収納した。 サンプル6:スルファミン酸粉末:50重量部、イソフ
タル酸微粉末(飽和溶解度;0.012g/100g・
20℃):60重量部、アルキルチオ尿素(腐食防止
剤)の50%エチルアルコール溶液:2重量部からなる
混合物を加圧成形し、直径30mm厚さ30mmの円形
錠剤を製造した。 サンプル7:レゾルシン(飽和溶解度:0.05g/1
00g・20℃):40重量部、ソルビタンモノパルミ
テート(非イオン系界面活性剤HLB6.7):10重
量部、アルキルチオ尿素(腐食防止剤);1重量部の溶
融混合物にスルファミン酸:50重量部を添加混合して
溶融スラリーを得た。該スラリーを型に注入固化し、直
径30mm、厚さ30mmの円形錠剤を製造した。 比較サンプル1:常温で固体のエチルオキシド−プロピ
レンオキシド共重合体(非イオン系界面活性剤)を加熱
溶融して金型に注入した後、冷却固化して直径40mm
の球状成形体を製造した。 比較サンプル2:市販の殺菌剤および非イオン系界面活
性剤を有効成分とする、消臭、スケール防止剤。
【0039】(性能試験)101の洗浄水タンクからの
洗浄水により、3基の男子用小便器を1時間に1回定期
的に洗浄する10個所のトイレの各小便器を、腐食防止
剤入りの塩酸を用いて洗浄し、各便器の目皿下のトラッ
プ部に、ステンレス金網製の円筒形試験片と20mm×
70mm×1mmの鉄片を設置した。先に製造したサン
プル1の容器入りのスケール防止剤を、洗浄水タンク内
に設置し、洗浄水タンクの液面の上下を利用して、スケ
ール防止剤を洗浄水に溶解しスケールの固着防止を行っ
た。また、サンプル2及び3、比較サンプル1及び2を
小便器内に投入、サンプル4及び5を小便器内に設置、
サンプル6及び7を小便器トラップ内に投入し、尿およ
び洗浄水に溶解しスケールの固着防止を行った。サンプ
ル2,6,7および比較サンプルについては、同時に2
個を、他のサンプルについては、1個を使用した。トイ
レの使用頻度による誤差を除くため、試験片、鉄片およ
び薬剤を2週間毎に替え、10個所の全てのトイレで2
週間づつ試験を行った。各薬剤は、薬剤の重量が初期値
の20%以下になった時点で新しい薬剤を追加投入し
た。以上の条件で、金網へのスケールの付着量および鉄
片の腐食量を測定した。また、トラップ中の尿と洗浄水
との混合排水のpH、薬剤使用前と薬剤使用開始後1週
間経過後の浄化水槽のpHおよびCOD(mg/l)を
測定した。各測定結果を第2表に示す。第2表中におい
て、各符号は下記を表す。 悪臭: ○;ほとんど悪臭なし △;若干悪臭あり ×;悪臭あり またスケール付着量、鉄片腐食量、投入有効日数は各ト
イレ3便器の平均である。
【0040】
【表2】
【0041】実施例2 (スケール防止剤の製造) サンプル1 パラジクロルベンゼン;30重量部およびポリエチレン
グリコール(分子量;6000);20重量部を加熱溶
融し、さらに、スルファミン酸微粉末;50重量部を加
えて溶融スラリーを得た。この溶融スラリーを、金型に
注入して冷却固化し、直径40mmの球状成形体を製造
した。 サンプル2 ナフタリン;20重量部、エチレンオキシド・プロピレ
ンオキシド共重合体(非イオン系界面活性剤);10重
量部およびスルファミン酸;70重量部の、それぞれの
微粉末の混合物を加圧成形し、直径40mmの球状成形
体を製造した。 サンプル3 パラジクロルベンゼン;25重量部、エチレンオキシド
・プロピレンオキシド共重合体(非イオン系界面活性
剤);10重量部およびポリエチレングリコール(分子
量;1000);5重量部を加熱溶融した後、冷却固化
し、さらに微粉砕して混合粉末を得た。該混合粉末;4
0重量部、硫酸水素ナトリウム・1水塩粉末;60重量
部およびステアリン酸カルシウム;1重量部の混合物を
加圧成形し、直径40mmの球状成形体を製造した。 比較サンプル1 エチレンオキシド・プロピレンオキシド共重合体(非イ
オン系界面活性剤)をサンプル1と同様の方法で成形
し、直径40mmの球状成形体を製造した。 比較サンプル2 市販の殺菌剤、非イオン系界面活性剤および香料を含有
するトイレ排水管のスケール防止・消臭剤。
【0042】(性能試験1)101の成形用タンクから
の洗浄水により、3基の男子用小便器を1時間に1回定
期的に洗浄する6個所のトイレ(1個所は、ブランク)
の各小便器を、腐食防止剤入りの塩酸を用いて洗浄し、
前記製造した各サンプルによるスケールの固着防止試験
を行った。各便器の目皿下のトラップ部に、ステンレス
金網製の円筒形試験片と20mm×70mm×1mmの
鉄片を設置し、金網へのスケールの付着量および鉄片の
腐食量を測定した。トイレの使用頻度による誤差を除く
ため、試験片、鉄片および薬剤を4週間毎に替え、6個
所の全てのトイレで4週間づつ試験を行った。各薬剤の
2個を便器に直接投入し、薬剤の重量が初期値の20%
以下になった時点で新しい薬剤を追加投入した。各測定
結果を第3表に示す。第3表中において、各符号は下記
を表す。 悪臭: ○;悪臭なし △;若干悪臭あり ×;悪臭あり
【0043】
【表3】
【0044】(性能試験2)ロータンク付の家庭用トイ
レの手洗蛇口下に、前記製造した各サンプル1個を収納
したステンレス金網製の円柱状容器を設置し、便器の汚
れおよび悪臭の発生状況を観察した。また、薬剤使用前
と薬剤使用開始後1週間経過後の浄化水槽のpHおよび
CODを測定した。試験対象のトイレは、分離曝気式浄
化槽を設置した6個所(1個所はブランク)で行った。
いずれも、男女各2名の家庭を対象とした。試験結果を
第4表に示す。第4表中において、各符号は下記を表
す。 便器汚れ: ○;汚れなし △;若干汚れあり ×;汚れあり 悪臭: ○;悪臭なし △;若干悪臭あり ×;悪臭あり
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】本発明において、前記参考例1に示す如
く、尿のpHが8.5以下では、生成する沈澱物は極め
て僅かであり、pHが7.5以下では、ほとんど沈澱物
は生成しない。したがって、尿または尿と洗浄水との混
合排水のpHを8.5以下、好ましくは7.5以下に調
整保持することにより、トイレ排水管へのスケールの固
着を防止することができる。本発明において、スケール
防止剤の有効成分を固体酸としたことにより、前記実施
例に示す如く固体酸が、尿および/または洗浄水に溶解
し、尿または尿と洗浄水との混合排水のpHが低水準に
維持され、その結果として、排水管へのスケールの固着
が防止される。
【0047】また、本発明のスケール防止剤の使用にお
いては、排水管の腐食も極めて少なく、かつ、浄化槽機
能にも悪影響を与えない 実施例においては、洗浄装置付の男子用トイレでの具体
例を示したが、洗浄装置の設置してない男子用トイレ、
洗浄装置付の男女兼用トイレにおいても同様の結果が得
られる。本発明は、トイレ排水管のスケール固着を防止
するに適したスケール防止剤を提供するものであり、そ
の公衆衛生的、また、産業的意義は極めて大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体酸を有効成分とし、所望により添加
    される基材及び/又は他の添加剤を含有する成形体から
    なるトイレ排水管のスケール防止剤。
  2. 【請求項2】 成形体が固体酸、並びに昇華性基材及び
    /又は水溶性基材を含有することを特徴とする請求項1
    記載のトイレ排水管のスケール防止剤。
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