JPH08208721A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH08208721A
JPH08208721A JP7018125A JP1812595A JPH08208721A JP H08208721 A JPH08208721 A JP H08208721A JP 7018125 A JP7018125 A JP 7018125A JP 1812595 A JP1812595 A JP 1812595A JP H08208721 A JPH08208721 A JP H08208721A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 塩化ビニル系単量体の懸濁重合時に単量体を
追加仕込みすることによる、かさ密度が高く、塩化ビニ
ル単量体の重合体からの除去が容易でその残留量が少な
く、フィッシュアイも少ない品質良好な塩化ビニル系重
合体の製造方法の提供。 【構成】 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で懸濁重合
するに際して、塩化ビニル系単量体の追加仕込みを重合
転化率が30重量%から60重量%の間に開始し、55
重量%から80重量%の間に完了するように行い、かつ
追加仕込みする塩化ビニル系単量体の総重量が、重合開
始前に仕込んだ塩化ビニル系単量体重量の2%以上かつ
30%以下であって、追加仕込み時の塩化ビニル系単量
体の添加速度が重合開始前に仕込んだ単量体の20重量
%を1時間で仕込む速度を超えないように行う塩化ビニ
ル系重合体の製造方法。重合反応期間の50%以上の期
間、重合温度を2〜35℃の巾で反応温度とともに上昇
させながら反応を行わせることにより、更にかさ密度が
高い重合体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、塩化ビニル又は塩化
ビニルを主体とする共重合可能な単量体の混合物(以
下、併せて「塩化ビニル系単量体」という)を水性媒体
中で懸濁重合することにより塩化ビニル系重合体を製造
する方法に関する。詳しくは、かさ密度が高くかつ製品
品質の良好な塩化ビニル系重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 一般に塩化ビニル系重合体からなる塩
化ビニル系樹脂の成形加工性はこれを構成する粒子の性
状に強く依存する。特に、かさ密度を高くすることは、
該樹脂の輸送や保管に必要とされる容積や面積が少なく
て済み効率的であるだけでなく、押出成形時の吐出量が
増加して単位時間当たりの処理量が多くなり、生産性が
向上するという点で重要である。
【0003】かさ密度を高くするためには、従来より分
散剤として特定のケン化度・重合度の部分ケン化ポリ酢
酸ビニルを特定の比率で組み合わせて使用したり、ある
いは重合反応中に塩化ビニル系単量体を追加仕込みする
方法(特開昭61−195101号公報、特開昭59−
168008号公報)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特定の分散剤
を用いる方法では、かさ密度の向上効果が不十分であ
り、一方従来の塩化ビニル系単量体を追加仕込みする方
法では、得られた重合体の加工時に、フィッシュアイと
呼ばれる溶融しにくい粒子(以下「FE」と略記するこ
とがある)が生成しやすくなり、その結果、フィルムや
成形品等の最終製品の表面状態を損なうことが多かっ
た。
【0005】フィッシュアイは混練時間を長くすること
で少なくはできるが、重合体が熱や剪断力により劣化・
分解する恐れがあり、また加工に長時間を要して生産性
も低下する等の問題があるので、短時間の混練で十分フ
ィッシュアイが少なくなるような塩化ビニル系樹脂が望
まれている。
【0006】また、塩化ビニル系単量体を追加仕込みす
る方法では重合体粒子中に残留する塩化ビニル単量体
(以下「残留VCM」と略記する)の除去が困難にな
る。塩化ビニル単量体が重合体粒子中に吸蔵されたまま
加工されると、加工中に環境へ放出される恐れがある
が、塩化ビニル単量体には発癌性等の衛生上の問題があ
るので、この放出を防ぐことは極めて重要である。しか
し、従来の残留VCMの削減策である生成樹脂粒子を多
孔性として表面積を大きくすることにより粒子外部への
塩化ビニル単量体の移動を促進するという方法では、か
さ密度が低下してしまう傾向となり、一方生成重合体を
減圧下に高温・長時間処理する方法では、生産性が低下
し或いは得られる重合体に過度の熱履歴をかけることと
なり製品品質が悪化する可能性があった 即ち、高いかさ密度と10ppm以下のような低い残留
VCM濃度との両立はこれまでは達成できていなかっ
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の従
来技術の問題点に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、塩化ビ
ニル系単量体の追加仕込みを特定の条件を満たすように
行うことにより、高いかさ密度と低い残留VCM濃度と
の両立が可能となることを見出し本発明を完成した。
【0008】即ち本発明の要旨は、塩化ビニル又は塩化
ビニルを主体とする共重合可能な単量体の混合物(以
下、併せて「塩化ビニル系単量体」という)を分散剤及
び油溶性重合開始剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合さ
せて塩化ビニル系重合体を製造するに際して、塩化ビニ
ル系単量体の追加仕込みを重合転化率が30重量%から
60重量%の間に開始し、55重量%から80重量%の
間に完了するように行い、かつ重合開始前に仕込んだ塩
化ビニル系単量体の重量をW1 (kg)、追加仕込みを
する塩化ビニル系単量体の総重量をW2 (kg)、追加
仕込みに要する時間をt(時間)とした時、これらの間
に下記の関係が成立することを特徴とする塩化ビニル系
重合体の製造方法、に存する。。
【0009】
【数3】 0.02W1 ≦W2 ≦0.3W1 (k
g)
【0010】
【数4】 W2 /t≦0.2W1 (k
g/h)
【0011】以下本発明を詳細に説明する。本発明方法
が適用される塩化ビニル系単量体の重合方法は水性媒体
中で分散剤と油溶性重合開始剤とを用いて行われる懸濁
重合法である。
【0012】本発明方法において使用される塩化ビニル
系単量体には、塩化ビニル単量体単独及び塩化ビニル単
量体を主体とする共重合可能な単量体の混合物が含まれ
る。塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量体として
は、従来一般的に用いられているものを使用することが
でき、特に限定されない。上記の他の単量体としては、
例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン
酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、
ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のア
ルキルビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα
−オレフィン類、アクリル酸、メタアクリル酸等の一価
不飽和酸、これらの一価不飽和酸のメチルエステル等の
アルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸等の二価不飽和酸、これらの二価不飽和酸のアルキル
エステル類、塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、ア
クリロニトリル等の不飽和ニトリル等の一種又は二種以
上の混合物が挙げられる。これらの他の単量体は、塩化
ビニル単量体に対し、通常30重量%以下、好ましくは
20重量%以下の割合で使用されるが、特に制限はな
い。
【0013】本発明方法において使用される分散剤は、
塩化ビニル系単量体の懸濁重合法で従来一般的に使用さ
れているものでよく、特に限定されない。上記分散剤と
しては、例えば部分ケン化ポリ酢酸ビニル(いわゆるポ
リビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースなどのセルロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性
ポリマー等が挙げられる。また、分散助剤としてラウリ
ル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ソルビ
タン脂肪酸エステル類やグリセリン脂肪酸エステル類な
どの非イオン性界面活性剤等を使用しても差し支えな
い。これらの分散剤あるいは分散助剤は単独で又は2種
類以上の組合せで用いることができる。また、これらの
分散剤の使用量には特に制限はなく、その種類、攪拌強
度、重合温度、塩化ビニル単量体と共重合させる他の単
量体の種類と組成、生成する塩化ビニル系重合体の粒径
等によって多少異なるが、一般には塩化ビニル系単量体
の総量に対して0.001〜2重量%、好ましくは0.
03〜1重量%の範囲内で用いられる。
【0014】本発明方法において使用される油溶性重合
開始剤は、塩化ビニル系単量体の懸濁重合法で一般的に
使用されるものでよく、特に限定されない。例えばt−
ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシネ
オデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、
t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、α−クミル
ペルオキシネオデカノエートなどのペルエステル化合
物、ジラウロイルペルオキシドなどのジアシルペルオキ
シド化合物、ジイソプロピルペルオキシジカーボネー
ト、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート
などのペルカーボネート化合物、アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル
などのアゾ化合物等が使用できる。これらの重合開始剤
は、単独で又は2種類以上の組合せで使用することがで
きる。重合開始剤の使用量は、開始剤の種類や重合温
度、所望の反応時間等によっても異なるが、一般に塩化
ビニル系単量体の総量に対し0.01〜1重量%の範囲
である。
【0015】更に、本発明方法においては、必要に応じ
て塩化ビニル系単量体の重合に使用される重合度調整剤
(連鎖移動剤、架橋剤)、酸化防止剤、pH調整剤、レ
ドックス開始剤の活性化剤等の各種重合助剤を適宜添加
することができる。これらの各成分の仕込方法や仕込量
は、従来塩化ビニル系単量体の重合で実施されている一
般的な条件で差し支えない。
【0016】なお、塩化ビニル系単量体の重合に用いら
れる重合度調整剤としては、トリクロルエチレン、四塩
化炭素、2−メチルカプトエタノール、オクチルメルカ
プタン等の連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌ
ル酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤
が例示される。
【0017】本発明方法の特徴である塩化ビニル系単量
体の追加仕込みは、仕込みを開始する時の重合転化率
(以下、単に「転化率」と記すことがある)が30重量
%から60重量%であり、仕込みが終了する時の転化率
が55重量%から80重量%となるように行う。追加仕
込みの開始・終了時の転化率が低過ぎるとかさ密度の増
加が不十分となり、また遅過ぎるとフィッシュアイが悪
化し、残留VCM濃度が高くなる傾向となる。
【0018】ここでいう重合転化率とは、ある時までに
生成した重合体の重量をその時までの単量体仕込み重量
で除した値(百分率)である。従って追加仕込み中や追
加仕込み終了時の単量体仕込み重量には追加仕込みした
単量体重量も算入される。また、追加仕込みをする単量
体重量W2 (kg)、重合開始前に仕込んだ単量体重量
W1 (kg)、及び追加仕込みに要する時間t(時間)
の間には下記の関係式が満足されている必要がある。
【0019】
【数5】 0.02W1 ≦W2 ≦0.3W1 (k
g)
【0020】
【数6】 W2 /t≦0.2W1 (k
g/h)
【0021】即ち、W2 はW1 の2重量%から30重量
%の範囲内となっている必要があり、かつ単量体の追加
仕込み速度は、初期仕込み単量体(W1 )の20重量%
を1時間で仕込む速度を超えないようにするというもの
である。これらの関係が満足された場合に、かさ密度が
高くかつフィッシュアイも残留VCMも少ない塩化ビニ
ル系重合体が得られる。
【0022】W2 が0.02W1 未満ではかさ密度が低
く、0.3W1 を超えるとフィッシュアイが増加する傾
向となり、また単量体の追加仕込み速度(kg/h)が
毎時0.2W1 を超えて大きくなるとフィッシュアイ、
残留VCM濃度ともに増加する傾向となる。
【0023】なお、ある時点における重合転化率は、別
途実施した反応において反応中のスラリーを所定時間毎
に採取して求めた時間−転化率曲線から推定する方法や
テスト時の重合缶から反応中のスラリーを採取して計算
する方法(いずれも仕込み総重量、採取スラリー量、及
び採取スラリー中の重合体量から算出する)により求め
ることができる。
【0024】本発明方法において採用される重合温度
は、用いる重合開始剤の種類、重合方法、重合度調整剤
の使用の有無、目標とする重合度等によっても異なる
が、一般に、0〜90℃、特に40〜70℃の範囲を用
いることが多い。また、反応に際しては、一定温度で重
合を行わせても、或いは、重合の途中で重合温度を変化
させてもよい。
【0025】特に、重合反応期間全体の50%以上の期
間にわたって重合温度を反応時間とともに上昇させなが
ら反応を行わせ、かつその温度変化巾が2〜35℃の範
囲内となるように重合温度を制御することにより、一段
とかさ密度を高くできるので好ましい。この場合の重合
反応期間とは、重合缶に塩化ビニル系単量体等の原料を
仕込み、加熱・昇温を行い所定の重合温度に達した時か
ら、重合缶の内圧がその温度における塩化ビニル系単量
体の飽和圧から2kg/cm2 低下した時までの期間をい
う。
【0026】上記の方法で、重合温度を反応の進行とと
もに上昇させる場合の、昇温開始温度、終了温度及び昇
温速度(以下、これをまとめて「昇温パターン」という
ことがある)は、反応により製造される塩化ビニル系重
合体の目標重合度に応じて定められ、例えば、目標重合
度に対応する温度に到達する前と後で、生成する重合体
量が同じになるように選択すればよい。
【0027】反応速度が重合温度によらず重合の全期間
を通じて同じ、即ち重合体の時間当たりの生成量が反応
全期間にわたり一定で、かつ生成重合体の重合度が重合
温度に対して比例関係にある場合を考えれば、昇温パタ
ーンは次のようにして定めることができる。縦軸(y
軸)に温度、横軸(x軸)に時間をとったグラフ上で、
時間による重合温度の変化状況を表す関数をf(x)、
目標とする重合度(P)を与える温度をT(℃)、f
(x)=Tとなる時間をM、反応を開始する時間をM
a、反応が完了する時間をMbとすれば、この反応にお
いて生成する全重合体の重量平均重合度がPとなるため
には、反応開始時(Ma)からMまでに生成する重合体
量とMから反応終了時(Mb)までに生成する重合体量
が同じになるようにすればよい。即ち、区間〔Ma,
M〕における関数u(x)=T−f(x)の積分値と、
区間〔M,Mb〕における関数v(x)=f(x)−T
の積分値が等しくなればよいわけである。従って、ある
昇温パターンに従って行う重合が目標重合度の重合体を
与えることができるかどうかは、グラフ上でその昇温パ
ターンの曲線又は直線と定温反応の場合の直線及び反応
開始時、反応終了時を示す直線とで囲まれる図形の面積
を求めることで判定が可能である。
【0028】但し、実際は重合反応の速度が温度や開始
剤の種類等により変化する場合が多く、また一般に用い
られる粘度法により測定される重合度は必ずしも生成重
合体の「重量平均値」に正比例するわけではないので、
昇温パターンの決定に当たっては、実験による確認・修
正が必要な場合が多いが、基本的には上記の考え方で整
理が可能である。
【0029】重合温度の変化巾は2〜35℃の範囲にあ
るのが好ましく、15〜25℃の範囲内にあるのがより
好ましい。変化巾が2℃未満では、この方法を採ること
によるかさ密度の向上効果はあまり大きくなく、また3
5℃を超えるような変化巾の場合は、このような広い反
応温度域に対応可能な重合開始剤(又はその組合せ)が
見出されていないので、反応の制御性が悪化することが
多く、また昇温末期には一般に重合温度が高くなるため
缶内圧も高くなり、耐圧強度の大きい重合缶が必要とな
って設備費用が嵩むこととなる。
【0030】重合温度を反応時間とともに上昇させなが
ら反応を行わせる期間は、重合反応期間全体の50%以
上の期間であるのが好ましい。この期間が50%未満の
場合は、生成重合体から未反応の塩化ビニル単量体を除
去するのが難しくなる傾向となる。
【0031】本発明方法における重合缶への水性媒体、
分散剤、重合開始剤及び各種の重合助剤類の仕込み方法
については、塩化ビニル系単量体の懸濁重合方法におい
て通常用いられている方法を用いればよく、特に限定は
されない。また、重合を停止させる方法としても、いわ
ゆる重合禁止剤や重合停止剤を添加したり、重合缶から
未反応単量体を回収する方法等を用いることができる。
【0032】塩化ビニル系重合体から未反応の塩化ビニ
ル単量体を除去するためには、例えば減圧下にスラリー
を棚段式蒸留塔を通過させたり、減圧状態のスラリー中
に水蒸気を吹き込んだりする方法や、流動乾燥機におけ
る処理条件(温度、滞留時間等)を調整する方法など、
残留塩化ビニル単量体の除去に通常用いられている方法
を特に制限なく使用することができる。生成した塩化ビ
ニル系重合体のスラリーの脱水・乾燥等の操作として
は、一般に行われている遠心脱水・流動乾燥等の脱水・
乾燥手段でよく、特に限定はされない。
【0033】本発明方法において用いられる重合缶の付
帯機器である撹拌翼やバッフルなどの形状は、特に限定
されるものではなく、懸濁重合法において一般的に使用
されている設備・機器を使用することができる。
【0034】上述の特定の量・条件で塩化ビニル系単量
体を重合反応中に追加仕込みする方法に加えて、重合反
応期間全体の50%以上の期間にわたって重合温度を反
応時間とともに上昇させながら反応を行わせ、かつその
温度変化巾が2〜35℃の範囲内となるように重合温度
を制御する方法を用いることにより、これまでは達成し
得なかったような高いかさ密度と低い残留VCM濃度の
両立が可能となった。
【0035】その結果、かさ密度0.59g/ml以上
で0.69g/ml、好ましくは0.67g/ml以下
で残留VCM濃度が10ppm以下の塩化ビニル系重合
体を得ることができる。
【0036】かさ密度は一般に高いほど好都合ではある
が、0.69g/mlを超えるほど高くなると残留塩化
ビニル単量体の除去速度が低下し、目標とする残留VC
Mレベルを達成しにくくなる。また、加工時の可塑剤吸
収速度も小さくなり、加工に長時間を要するようにな
る。かさ密度の上限としては0.67g/ml以下のも
のが加工性の維持の点で好ましい。
【0037】また残留VCM濃度は低いほど良いが、1
0ppm以下であれば環境への負荷も小さいものと考え
られる。ここでいうかさ密度はJIS K 6721に
規定される方法に従って測定された値であり、また残留
VCM濃度は塩化ビニル系重合体のテトラヒドロフラン
溶液のガスクロマトグラフ分析法によって測定可能であ
る。
【0038】
【実施例】次に、本発明方法の具体的態様を実施例を用
いて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以
下の実施例によって限定されるものではない。また、得
られる塩化ビニル系重合体の評価は下記の方法により行
った。
【0039】<評価方法> かさ密度 JIS K 6721に規定される方法に従って測定し
た。 フィッシュアイ(FE) 塩化ビニル系重合体100重量部、可塑剤(ダイヤサイ
ザー(登録商標)DOP、三菱化学(株)製)50重量
部、及び三塩基性硫酸鉛3重量部を塩化ビニル系重合体
100gをベースとして秤取し、ビーカー中で予備混合
の上、155℃のミルロールを用いて混練を行い、混練
時間をそれぞれ3、4、5、7分として厚さ0.4mm
のロールシートを作成した。得られたロールシートの一
辺5cmの正方形(面積25cm2 )中に認められるフ
ィッシュアイの数を計数し、FE個数として表した。
【0040】ポロシティ 水銀圧入式ポロシメーター((株)島津製作所製マイク
ロメリティックス・ポアサイザー9310型)を用いて
孔径75〜7500Åの空孔容積を測定し、乾燥樹脂1
g当たりの値(cc/g)として示した。
【0041】残留VCM濃度 乾燥後の塩化ビニル系重合体約0.5gを精秤し、10
mlのメスフラスコ中でテトラヒドロフラン(THF)
に溶解する。定容後、この溶液をマイクロシリンジにて
5μl採取し、ガスクロマトグラフ((株)島津製作所
製GC−7A、カラム充填剤20%Ucon oil
LB550/クロモソルブW)に注入し、得られたガス
クロマトグラム上の塩化ビニル単量体のピーク面積を、
別途塩化ビニル単量体標準溶液を用いて作成した検量線
と照合して、塩化ビニル系単量体の含有量を算出し、乾
燥重合体の単位重量あたりの残留塩化ビニル単量体重量
としてppm単位で表示した。
【0042】<実施例1〜4、比較例2〜5>内容積4
00リットルの攪拌機及びジャケットを備えたステンレ
ス鋼製重合缶に脱イオン水150kgを仕込み脱気した
後、部分ケン化ポリ酢酸ビニル60g、初期仕込み塩化
ビニル単量体100kg、及び表に示す所定の種類・量
の重合開始剤を仕込んだ。重合缶のジャケットに温水を
循環させて57℃に昇温して重合を開始した。
【0043】反応開始後、所定の重合転化率において、
表に示す添加速度・量の塩化ビニル単量体の追加仕込み
を実施した。重合缶の内圧が57℃における塩化ビニル
単量体の飽和蒸気圧より2kg/cm2 低下した時を反
応終了時として、未反応単量体を系外へ回収することに
より反応を停止させた。
【0044】重合缶内圧が大気圧に等しくなった時か
ら、缶内温度を80℃に保って真空吸引(80℃におけ
る水蒸気圧に保持)して、残留塩化ビニル単量体の除去
処理を行った。処理時間15分、30分及び120分に
おいて採取した塩化ビニル重合体スラリーを遠心脱水し
た後乾燥処理を行い、得られた重合体の残留VCM濃度
を前記の方法で測定した。また、処理時間120分の試
料について、かさ密度及びFEの評価を前述の方法で実
施した。
【0045】結果をまとめて表に示す。なお、表中、重
合開始剤の略号の意味するものは次の通りである。
【0046】
【表1】SEC:ジセカンダリーブチルペルオキシジカ
ーボネート HPV:tert−ヘキシルペルオキシピバレート CND:α−クミルペルオキシネオデカノエート OPP:ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネ
ート
【0047】<比較例1>反応開始後に塩化ビニル単量
体を追加しなかったこと以外は実施例1と同様にして重
合及び残留塩化ビニル単量体の除去処理を行い、塩化ビ
ニル重合体を得、その評価を行った。結果は表に示す。
【0048】<実施例5、6、比較例8〜12>重合の
仕込み及び塩化ビニル単量体の追加仕込みを実施例1と
同様に実施したことに加えて、重合反応を開始して1時
間経過した時から表に示す条件で反応温度を一定の割合
で昇温させつつ重合反応を行った。
【0049】なお、比較例10においては昇温の割合を
著しく大きくしたためか、昇温中に重合開始剤の急激な
分解が発生し、顕著な発熱が見られた。しかし、昇温末
期からは、重合開始剤が不足して反応が緩慢となり、反
応時間は所期の時間を大きく越えてしまった。
【0050】反応の終了の判定及び残留VCMの除去、
生成重合体の評価については実施例1と同様に実施し
た。結果は表に併せて示す。
【0051】<比較例6、7>塩化ビニル単量体を追加
しなかったこと以外は実施例5と同様にして重合と残留
塩化ビニル単量体の除去処理とを行い、また生成重合体
の評価を行った。結果は表に併せて示す。
【0052】
【表2】
【0053】<結果の評価> (1)反応温度を一定にして重合を行わせた場合(実施
例1〜4)、次のような傾向を読み取ることができる。 塩化ビニル単量体の追加仕込み有無:比較例1と比べ
ると、本発明方法によりかさ密度が高くなっていること
が見出される。 追加仕込み時の転化率:仕込み時期が早過ぎる場合
(比較例2)はかさ密度が高くならず、FEも悪化す
る。遅過ぎる場合(比較例3)では、FEが悪化傾向と
なる。
【0054】追加仕込み量:追加仕込みする塩化ビニ
ル単量体が多過ぎる場合(比較例4)、残留VCM濃度
が増加傾向となり、またFEも劣る。 追加仕込み速度:塩化ビニル単量体の追加仕込み速度
が高過ぎる場合(比較例5)、FEが多くなる。
【0055】(2)反応温度を一定とする方法(実施例
1〜4)と反応中に昇温する方法(実施例5、6)とで
は、反応中に昇温する方法の方がかさ密度の高い重合体
を得ることができる反面、FE、残留VCM濃度は実用
上支障のない範囲ではあるがやや増加する傾向となる。
【0056】(3)反応中に反応温度を昇温しつつ重合
を行わせた場合(実施例5、6)、次のような傾向があ
る。(定温反応との比較は上記) 塩化ビニル単量体の追加仕込み有無:追加仕込みを行
わない場合(比較例7)では、かさ密度の向上効果が小
さい。
【0057】追加仕込み時の転化率:仕込み開始が早
過ぎる場合(比較例11)では、かさ密度が高くなら
ず、またFE、残留VCM濃度とも劣る。遅過ぎる場合
(比較例12、但しこの場合は追加仕込み速度も高過ぎ
る)では、FE、残留VCM濃度が著しく悪化する。 追加仕込み速度:塩化ビニル単量体の追加仕込み速度
が好適範囲より高くなると(比較例8〜10)、FE及
び残留VCM濃度が悪化する。
【0058】
【発明の効果】本発明方法を用いることにより、かさ比
重が高く、フィッシュアイが少なく、また残留VCM濃
度も10ppm以下まで除去された、品質の優れた塩化
ビニル系重合体を製造することができる。 特に、重合
反応期間中に重合温度を反応時間とともに特定の温度巾
だけ上昇させながら反応を行わせる方法を併せて用いる
ことにより、実用上差し支えのないフィッシュアイ・レ
ベルを維持しつつ、残留VCM濃度が10ppm以下
で、かさ密度が0.59〜0.69g/mlと著しく高
い重合体を製造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル又は塩化ビニルを主体とする
    共重合可能な単量体の混合物(以下、併せて「塩化ビニ
    ル系単量体」という)を分散剤及び油溶性重合開始剤の
    存在下、水性媒体中で懸濁重合させて塩化ビニル系重合
    体を製造するに際して、塩化ビニル系単量体の追加仕込
    みを重合転化率が30重量%から60重量%の間に開始
    し、55重量%から80重量%の間に完了するように行
    い、かつ重合開始前に仕込んだ塩化ビニル系単量体の重
    量をW1 (kg)、追加仕込みをする塩化ビニル系単量
    体の総重量をW2 (kg)、追加仕込みに要する時間を
    t(時間)とした時、これらの間に下記の関係が成立す
    ることを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。 【数1】 0.02W1 ≦W2 ≦0.3W1 (k
    g) 【数2】 W2 /t≦0.2W1 (k
    g/h)
  2. 【請求項2】 重合反応期間全体の50%以上の期間に
    わたって重合温度を反応時間とともに上昇させながら反
    応を行わせ、かつその温度変化巾が2〜35℃の範囲内
    にある請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 かさ密度が0.59g/ml以上、0.
    69g/ml以下であって、残留塩化ビニル単量体濃度
    が10ppm以下の塩化ビニル系重合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20210155125A (ko) * 2020-06-15 2021-12-22 주식회사 엘지화학 염화비닐계 중합체의 제조방법

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