JPH08217630A - 保香性油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末及びその製造法 - Google Patents

保香性油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末及びその製造法

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JPH08217630A
JPH08217630A JP4616795A JP4616795A JPH08217630A JP H08217630 A JPH08217630 A JP H08217630A JP 4616795 A JP4616795 A JP 4616795A JP 4616795 A JP4616795 A JP 4616795A JP H08217630 A JPH08217630 A JP H08217630A
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JP4616795A
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Kiyoshi Otoi
清 音居
Osami Yamamoto
修身 山本
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KANEBO SILK EREGANSU KK
Kanebo Ltd
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KANEBO SILK EREGANSU KK
Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】油性香料を高率で吸蔵していて保香機能に優
れ、しかも付着性、伸展性、隠蔽性、感触等の化粧料基
剤としての基本機能に優れた微粉末を提供する。又、油
性香料を高率で吸蔵していながら、乾燥時に香料が気化
が飛散すること無く、その結果、作業環境を臭いで汚染
することなく、技術的、経済的有利に該微粉末を製造す
る方法を提供する。 【構成】微粉末状の再生蛋白質又は基体顔料含有再生蛋
白質よりなり、且つ該微粉末の内部に油性香料が0.5
〜50重量%の範囲で、しかも再生蛋白質の25倍(重
量)以下で微粒子状に分散吸蔵されていて、マイクロス
フィア構造を形成していること、及び蛋白質水溶液に油
性香料、又は油性香料と基体顔料とを混合した乳化懸濁
液に等電点凝固、蛋白質凝固剤の混合、速いずり変形速
度での攪拌の処理をして前記油性香料の微小粒子又は該
粒子と基体顔料とを分散内包した再生蛋白質を凝固析出
せしめ、次いで水洗後、凍結乾燥し粉砕することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保香機能を持つ油性香料
吸蔵再生蛋白質微粉末及びその製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】再生蛋白質微粉末、殊に再生絹フィブロ
イン粉末(シルクパウダー)は、その適度の吸湿性及び
保湿性、皮膚に対するすぐれた親和性、良好な親水性−
親油性バランス、更には紫外線吸収性等の特性を有し、
従来から主としてメーキャップ化粧料基剤に添加使用さ
れている(特公昭58−38449号公報)。
【0003】さらに本発明者等は上述の絹フィブロイン
の好ましい性質を活用して、再生絹フィブロイン被膜に
より一般的な顔料の粒子表面を実質的に被覆することに
よる付着性、伸展性、分散性、混和性、被覆性、吸油
性、親水性との親油性のバランス、発汗防止性、感触、
皮膚保護性、染色性等に著しく優れた化粧料配合顔料及
びその製造法を特公昭57−11577号として提供し
た。
【0004】近年、化粧料の高級化に伴い、顔料につい
ても従来の一般的な機能では不充分で、より高度ないわ
ゆる高機能が要求されていて、絹フィブロイン被覆顔料
についても前述の機能のみではもはや満足されていない
のが実情である。顔料の高機能化の一手法として、顔料
と高機能成分との複合化を図ることが考えられ、その場
合顔料の用途としての化粧料配合基剤を考慮した場合、
水や汗での溶出や粘結を回避するために高機能成分は油
性体が望ましい。
【0005】これに鑑み本発明者等は、先に、油性高機
能成分を高率に内包していて、しかも上述の絹フィブロ
インの好ましい性質を保持している油性体吸蔵再生蛋白
質微粉末及びその製造法を特公平5−79260号公報
及び特開平4−193812号公報として提案した。
【0006】該両発明は微粉末状の再生蛋白質又は基体
顔料含有再生蛋白質よりなり、且つ該微粉末の内部に油
性体が微小粒子状に分散吸蔵されたものであり、該発明
方法は蛋白質水溶液に油性体、又は油性体と基体顔料と
を混合した乳化懸濁液に等電点凝固、及び/又は蛋白質
凝固剤の混合、及び/又は速いずり変形速度での攪拌の
処理をして前記油性体の微小粒子又は該粒子と基体顔料
とを分散内包した再生蛋白質を凝固析出せしめ、次いで
水洗後、乾燥し粉砕することを特徴とする。
【0007】従来、顔料の油性体処理の方法としては、
油性体を適当な溶媒で溶解希釈し、これに顔料を混合懸
濁させ、次いで攪拌下溶媒を留去させる方法が一般的で
ある。しかしながら、該方法による場合、油性体は顔料
粒子表面への単なる付着であるため、顔料の粘結防止の
ために油性体は顔料に対して1〜2%以下程度の極少量
しか混合できない。又、顔料表面への単なる付着である
ため、油性体の量を顔料に対して1〜2重量%以下に限
定した場合でも、得られる製品は例えば化粧料用基剤と
しては、多くの場合、付着性、伸展性、分散性、混和性
等の機能に劣るもので、高率で配合できない等使用上種
々問題があった。
【0008】特公平5−79260号公報及び特開平4
−193812号公報は従来技術の欠点を改良したもの
で、得られた製品は、高機能の油性体を高率で内包して
いて、しかも付着性、伸展性、隠蔽性、分散性、混和
性、親水性と親油性のバランス、発汗防止性、感触、皮
膚保護性に優れ、浴用剤、食品、塗料、特に化粧料用配
合基剤として極めて有用な微粉末である。
【0009】しかしながら、特公平5−79260号公
報及び特開平4−193812号公報提案の製造方法に
おいて、油性体が香料の場合は当然その目的は保香性微
粉末体を形成せしめることにあるが、該両発明は今一つ
保香機能が不充分であった。特公平5−79260号公
報及び特開平4−193812号公報の製造方法は、油
性体を微小粒子状、又は該粒子と基体顔料とを分散内包
した再生蛋白質を凝固析出させて得られたゲル状物を、
水洗後、常圧又は減圧下で60〜120℃で乾燥する。
この時、加熱乾燥前のゲル状物は再生蛋白質で形成され
た高分子マトリックスの中に油性体が芯物質として微粒
子状に散在するマイクロスフィア構造を形成していると
思われる。上記の両発明の方法で、油性香料をマイクロ
スフィアの芯物質とした微粉体の保香機能が不充分であ
ったのは、このマイクロスフィア構造が破壊されたこと
にその原因があると思われる。即ち、このマイクロスフ
ィアを加熱乾燥した場合、油性体が香料の場合、香料の
特性上それだけでも非常に蒸気化しやすいのであるが、
さらに水蒸気蒸溜の現象がプラスされて香料はかなりの
割合で蒸気化する。その過程で油性香料は蛋白質マトリ
ックスの外に移動し該マイクロスフィアは破壊される。
その結果、該微粉体は保香機能が不充分なものになる。
事実、特公平5−79260号公報の実施例にも見られ
るように、油性体が香料の場合のゲル体の収率がかなり
低い。例えば特公平5−79260号公報の実施例を通
じて、油性体がクマリンやヨノンといった香料の場合、
ゲル体収率で4〜10重量%程度の散逸が見られ、この
ほとんどが油性香料の散逸と考えられるが、その場合油
性香料の混合量から見て吸蔵収率は約84〜50重量%
で残りの16〜50重量は気化蒸発したことになる(基
体顔料を配合しない場合の比較)。
【0010】さらに、上記両発明で油性体が香料の場合
の問題点は、気化飛散した香料で作業環境が猛烈に臭う
ことにある。香料は微かな香りの場合に心地良いのであ
って、その程度が激しい場合むしろ悪臭に感じられ、何
等かの対策を講じなければ操業は困難になる。さらに、
その対策を講じようとしても、対象が気体であるため広
範囲且つ重装備の対策になり、その結果、技術的、経済
的に不利な面が多く、乾燥作業のみならず関連する各種
作業も煩わしいものになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は油性香料
吸蔵再生蛋白質のマイクロスフィア構造を破壊しない乾
燥方法の改良について鋭意研究した結果、本発明を完成
したものである。その目的とするところは、油性香料を
高率で吸蔵していて保香機能に優れ、しかも付着性、伸
展性、隠蔽性、感触等の化粧料基剤としての基本機能に
優れ化粧料や浴用剤、その他食品や塗料用の配合基剤と
して極めて有用な微粉末を提供すること、及びそれを工
業的有利に製造する方法を提供することにある。さら
に、本発明のもう一つの目的は油性香料を高率で吸蔵し
ていながら、乾燥時に香料が気化飛散すること無く、そ
の結果、作業環境を臭いで汚染することなく、技術的、
経済的有利に油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末を製造する
方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は微粉末状
の再生蛋白質又は基体顔料含有再生蛋白質よりなり、且
つ該微粉末の内部に油性香料が0.5〜50重量%の範
囲で、しかも再生蛋白質の25倍(重量)以下で微粒子
状に分散吸蔵されていて、マイクロスフィア構造を形成
していることを特徴とする保香性油性香料吸蔵再生蛋白
質微粉末に関わるものであり、本発明の方法は蛋白質水
溶液に油性香料、又は油性香料と基体顔料とを混合した
乳化懸濁液に等電点凝固、及び/又は蛋白質凝固剤の混
合、及び/又は速いずり変形速度での攪拌の処理をして
前記油性香料の微小粒子又は該粒子と基体顔料とを分散
内包した再生蛋白質を凝固析出せしめ、次いで水洗後、
棚温度0℃以下で凍結乾燥し粉砕することを特徴とす
る、微粉末状の再生蛋白質又は基体顔料含有再生蛋白質
よりなり、且つ該微粉末の内部に油性香料が0.5〜5
0重量%の範囲でしかも再生蛋白質の25倍(重量)以
下で微粒子状に分散吸蔵されていて、マイクロスフィア
構造を形成している保香性油性香料吸蔵再生蛋白質微粉
末の製造法である。
【0013】本発明は、前記した特公平5−79260
号公報及び特開平4−193812号公報と比較した場
合、析出したゲル状物の乾燥方法として棚温度が0℃以
下、より好ましくは−10℃以下での凍結乾燥を採るこ
とを特徴とする。通常、凍結乾燥の棚温度としては生産
性を高める為、20℃〜40℃で実施されるのが普通で
あるが、本発明の場合0℃の棚温度を境にして製造物に
本質的な差異があり、0℃を越える棚温度での凍結乾燥
では油性香料が高率で吸蔵され、且つ優れた保香機能を
持つ微粉末は製造できない。棚温度0℃を境にして製造
物の本質に差異が出る詳しい理由は不明であるが、ゲル
状物の含有する水を凝固点以下で凍結乾燥するか、また
は以上で凍結乾燥するか、即ち完全な水の昇華で乾燥す
るか、ある程度水の低温蒸発による乾燥を加えるかに関
係していると思われる。
【0014】本発明の油性香料の量は粉体の0.5〜5
0重量%の範囲で、しかも再生蛋白質の25倍(重量)
以下であって、より好ましくは粉体の1〜20重量%で
再生蛋白質の10倍(重量)以下である。油性香料の量
が0.5重量%未満の場合、化粧料への配合率の関係
で、油性香料吸蔵再生蛋白質の機能が殆ど認められない
粉体となり、又粉体の50重量%を越えるか再生蛋白質
の25倍を越す場合、油性香料が吸蔵されきれずに粉体
の外表面に滲み出して粉体が団子状に固まったり、化粧
料基剤としての平滑性や分散性等の性能が低下する。本
発明の油性香料としては動植物性の天然香料、クマリ
ン,ヘリオトロピン等のベンゼン系合成香料、シトロネ
ロール,ヨノン等のテルペン系合成香料、大環状ムスク
等のムスク系合成香料が挙げられる。
【0015】本発明に適用する再生蛋白質としては各種
蛋白質を原料とすることができる。例えば、絹フィブロ
イン,カゼイン,コラーゲンを原料として公知の方法で
水溶液とし、それを再生した蛋白質が使用できる。就
中、絹フィブロインは化粧料配合基剤としての特性がす
ぐれているため特に好ましい。
【0016】本発明に適用する絹フィブロイン水溶液
は、例えば特公昭58−38449号公報記載の方法で
製造する。即ち、溶媒としてカルシウム又はマグネシウ
ムの塩酸塩又は硝酸塩の10〜80重量%の水溶液を用
いて絹繊維を溶解し、好ましくは溶解後、透析脱塩して
塩酸塩又は硝酸塩を完全に除去する。
【0017】本発明に適用するカゼイン水溶液は、市販
の牛乳カゼイン又は大豆カゼインを0.1〜1.0%
(重量)の希薄なアルカリ水溶液に溶解し、不純物を濾
別して使用するのが一般的である。
【0018】本発明に適用するコラーゲン水溶液、特に
アテロコラーゲン水溶液は、例えば若い牛の皮を細砕
後、水に分散させ、pH=1.5〜4.0に調整後、こ
れに耐酸性プロテアーゼ(例えばペプシン)を加え、2
〜3日間攪拌を続けた後、不溶物を濾過で除き水溶液と
する。
【0019】本発明に使用する蛋白質水溶液の蛋白質濃
度は通常2〜20重量%、好ましくは4〜15重量%、
特に好ましくは5〜10重量%である。該濃度が2重量
%未満では、蛋白質水溶液の再生時間が長くなって非経
済的であり、一方20重量%を越えると、水洗、乾燥工
程における脱水が難しい場合がある。
【0020】本発明に於いて、基体顔料は化粧料用、時
には塗料用の白色顔料、体質顔料、パール顔料等の総称
であって、例えば、タルク、カオリン、マイカ、酸化チ
タン、酸化亜鉛、雲母チタン、炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、ステリアン酸亜鉛、ステリアン酸マグネシ
ウム、有機顔料、又はそれ等の複合物を挙げることがで
きる。基体顔料の粒径は通常0.03〜20μである。
基体顔料の配合量は再生蛋白質に対して0〜49倍(重
量)であって、より好ましくは0〜20倍(重量)であ
る。
【0021】本発明の油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末の
最大粒径は通常0.5〜100μ、好ましくは1〜60
μ、特に好ましくは3〜30μである。最大粒径が10
0μよりも大きくなると皮膚に対する付着性、親和性、
伸展性が悪くなる。
【0022】本発明方法は蛋白質水溶液に油性香料又は
油性香料と基体顔料とを混和攪拌した乳化液に、等電点
凝固、及び/又は蛋白質凝固剤の混和、及び/又は再生
蛋白質が絹フィブロインである場合に特に有用な速いず
り変形速度での攪拌処理等で蛋白質を凝固再生させ、同
時に基体顔料及び微小粒子に乳化した油性香料を該凝固
体内部に分散吸蔵せしめマイクロスフィア構造のゲル粉
末を形成せしめる。
【0023】蛋白質の再生方法が等電点凝固の場合、蛋
白質が絹フィブロインやカゼインの場合はpH=4.0
〜5.0、蛋白質がコラーゲンの場合はpH=7.0〜
8.0にて10分間以上攪拌する。又、凝固性塩を使用
する場合は、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸
ナトリウム等の濃厚水溶液を混合攪拌して蛋白質を再生
析出させる。凝固性塩の量は蛋白質水溶液との混合液で
の濃度が5〜10重量%となるよう調整する。
【0024】蛋白質水溶液が絹フィブロイン水溶液の場
合、等電点凝固や凝固性塩の混合でも蛋白質はゲル粉末
状に再生するが、50/秒、好ましくは100/秒以上
の速いずり変形速度での攪拌処理が特に好ましい状態で
絹フィブロイン・ゲルが再生される。攪拌時間は水溶液
の濃度、ずり変形速度等により多少異なるが通常1〜3
時間でゲル化が完了する。
【0025】いずれの凝固法を採った場合でも、再生し
た蛋白質ゲル又は基体顔料含有再生蛋白質ゲルは、その
内部に油性香料を微小粒子状に分散吸蔵したゲル体であ
る。
【0026】ここで、蛋白質水溶液に混合する油性香料
の量が再生したゲル体(乾物換算)の50重量%を越す
か、再生蛋白質の25倍を越える場合、再生処理によっ
て離漿した母液の方に多数の油性香料が分離して浮遊し
ており、又生成したゲル粉体表面にも油性香料が付着し
ているのが視覚及び及び触覚により明らかに認められる
が、油性香料の量が該ゲル体の50重量%以下で、且つ
再生蛋白質の25倍以下の場合、母液及びゲル体表面に
はほとんど油性香料の存在を認めることはできない。特
に、油性香料の量がゲル体の20重量%以下で、且つ再
生蛋白質の10倍以下の場合、母液及びゲル体表面に全
く油性香料は認められない。即ち、本発明の場合、油性
香料の量が該範囲の場合、驚くべきことに殆ど定量的に
再生蛋白質ゲル又は基体顔料含有再生蛋白質ゲルに吸蔵
され、該油性香料は後工程の水洗でも全く該ゲル体から
離脱しない。
【0027】比較として、油性香料を混合せずに再生し
た再生蛋白質ゲル体の水懸濁液に、油性香料を後から混
合した場合、油性香料のゲル体への吸着量はせいぜい1
重量%あるいはそれ以下で、しかも単なる表面吸着であ
ること、又1重量%以上混合した場合吸着し切れないこ
とが、母液及びゲル体の視覚及び聴覚により明らかに判
定できる。
【0028】得られた油性香料吸蔵再生蛋白質ゲル体は
引き続き水洗、脱水する。脱水は遠心脱水機によりゲル
体の乾燥重量の200〜500重量%程度まで脱水され
る。
【0029】本発明の特徴として、水洗、脱水された油
性香料吸蔵再生蛋白質ゲル体は、棚温度0℃以下での凍
結乾燥により水分が0〜数%になるまで乾燥する。該凍
結乾燥方法を採ることで、該ゲル体のマイクロスフィア
構造が破壊されることなく保香機能に優れた微粉体が形
成される。さらに、加熱乾燥でなく極低温での乾燥であ
るため環境が臭いで汚染されることが無く、技術的、経
済的に有利な方法での油性香料吸蔵再生蛋白質粉末の製
造が可能になる。
【0030】凍結乾燥は、水洗した該ゲル体を浅いバッ
ト状の容器に深さ5〜10mmになるように盛り付け、
全体を一旦−20〜−40℃に急冷して凍結させる。こ
れを凍結乾燥機のチャンバーの中の棚に複数段挿入し、
初期は0.5torr.程度、終了時には0.05to
rr.程度の減圧下で乾燥する。減圧乾燥中は棚に埋め
込んだヒーターで昇華熱を補給し、凍結物の表面温度を
適当な範囲(共晶点)に調節する。凍結乾燥時間は大体
8〜24時間掛かる。但し、本発明では棚温度を0℃以
下になるように調節する。
【0031】かくして得られた乾燥物はハンマーミル、
ジェットミル等の粉砕機で容易に微粉末化され油性香料
吸蔵再生蛋白質微粉末が得られる。
【0032】本発明の油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末の
蛋白質成分が絹フィブロインの場合、少なくともその5
0重量%が熱水不溶性であるが、乾燥前に蛋白質のβ化
処理を行うことによって、絹フィブロインの熱水不溶化
率(β構造化率)を更に促進することができ、前述した
絹フィブロインの化粧量基剤としての特性を更に向上す
ることができる。
【0033】そのβ化処理としては、凝固再生した絹フ
ィブロイン・ゲル体を乾燥前に塩化ナトリウム、硫酸ア
ンモニウム等の中性塩水溶液で処理することによって行
われる。該β化処理によって、上述の如く再生絹フィブ
ロインの熱水不溶化の促進と共に絹フィブロインの結晶
化度をも更に増大することができ、化粧量配合基剤とし
て、付着性、伸展性、隠蔽性、分散性、混和性、それに
感触に優れた油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末を得ること
が出来る。
【0034】
【実施例】以下実施例で本発明を具体的に説明する。
【0035】(実施例1)絹フィブロイン原料として生
糸屑を用いて、これの100部をマルセル石鹸30部、
水3000部の溶液で95〜98℃に於いて3時間攪拌
精練し、残膠を0.1%以下にまで減少させ水洗後80
℃で熱風乾燥した。塩化カルシウム(CaCl2 ・2H
2 O)100部に水100部を混合して、38重量%塩
化カルシウム水溶液200部を調整して110℃に加熱
した。これに精練ずみの生糸屑40部をニーダーを用い
て5分間攪拌しながら投入後、更に30分間攪拌し完全
に溶解させた。次に、内径200μ、膜厚20μ、長さ
500mmのキュプロハン系中空糸を2000本束ね、
これの両端を中空穴を閉鎖することなく集束固定(シー
ル)したホローファイバー型透析装置を用いて、前記溶
解液を0.1l/時間の割合で流入させて透析し、純粋
な絹フィブロイン水溶液を得た。該絹フィブロイン水溶
液の絹フィブロイン濃度は6.5重量%で、残留塩化カ
ルシウムは0.001重量%であった。油性香料として
テルペン系香料であるシトロネロールを用い、これの
3.25部を先に製造した絹フィブロイン水溶液500
部に混合し100/秒以上のずり変形速度で激しく攪拌
した。攪拌を2〜3時間続けると、次第に絹フィブロイ
ンが析出し、ついには全体が小さなゲル粒子(結晶化度
11%、β構造率56%)の集合体として固まり水と分
離する。この際、離漿した母液(水)に油性香料の浮遊
は全く認められず、又、ゲル粒子の感触も油じみたもの
ではなく、指先で強くつまんでも指先への油性香料の付
着は全く見られなかった。さらに高速攪拌を続け、次い
で飽和硫安水溶液を40cc混合し、さらに1時間攪拌
し、絹フィブロインのβ化処理を行った結果、ゲル体は
小さな粒子状に解砕された。次いで、ゲル体を濾別し水
洗後、凍結乾燥(棚温度0℃)を15時間行った。凍結
乾燥は該ゲル体を−30℃に急速に冷却し凍結せしめ
た。これを乾燥初期は0.5torr.終了時では0.
05torr.程度の凍結乾燥法で乾燥した。その結果
35.5部の強いシトロネロールの香りを持つ粗粉体が
得られた。これによりシトロネロールがほぼ定量的に再
生絹フィブロインに吸蔵されたことが分かる。ここで凍
結乾燥中、乾燥機周辺は全くシトロネロールの匂いはせ
ず、凍結乾燥機の真空ポンプの排気ガスも微かにシトロ
ネロールの匂いがする程度であった。得られた粗粉体を
次いでジェットミルで粉砕し、平均粒径8.0μの微粉
末を得た。該微粉末の結晶化度はX線測定の結果28%
であり、熱水不溶性絹フィブロインの割合(β構造率)
は99%で皮膚上での付着性、伸展性、感触等で極めて
良好な粉末であった。該微粉末を開放容器で1ケ月間放
置した後、専門検査員10人で検査したところ、依然と
して強いシトロネロールの香りがあり保香性化粧料顔料
として好適なことが分かった。
【0036】(比較例1)乾燥以外は実施例1と全く同
様の処方でシトロネロール吸蔵再生絹フィブロインのゲ
ル体を製造した。これを水洗後110℃で熱風乾燥した
ところ外気への排出ダクトが設置されているにもかかわ
らず、乾燥室内にシトロネロール臭が充満し脱臭マスク
を着用くなければ作業は不可能であった。又、排出ダク
トからの排気ガスはさらにシトロネロール臭の強いもの
で、これの工業的な製造は排ガスの脱臭処理設備の設置
無しでは実施は困難と感じさせるものであった。さらに
乾燥で得られた粗粉体は34.45部でシトロネロール
の収率は約60%であった。得られた粗粉体を次いでジ
ェットミルで粉砕し、平均粒径7.7μの微粉末を得
た。該微粉末の結晶化度は30%であり、熱水不溶性絹
フィブロインの割合(β構造率)は100%で皮膚上で
の付着性、伸展性、感触等で極めて良好な粉末であっ
た。但し、該微粉末を1ケ月間、開放容器で放置し実施
例1に準じて検査したところシトロネロールの香りは殆
ど無くなっていた。
【0037】(実施例2)実施例1に準じ、混合する油
性香料としてベンゼン系合成香料のヘリオトロピンを用
い、これの量を増減することで吸蔵する油性香料を変化
させた。全ての配合率を通じて凍結乾燥機の周辺にヘリ
オトロピンの匂いは全く感じられず、排出ガスも微かに
ヘリオトロピンの匂いがする程度であった。ヘリオトロ
ピンはn−ヘキサンに溶解して混合した。得られたヘリ
オトロピン吸蔵再生絹フィブロイン微粉末の結晶化度、
β構造率及び化粧料基剤としての評価を実施例1に準じ
て行った。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】 (注)上記の◎は極めて良好、○は良好、△はやや不良、×は不良を意味する。
【0039】この結果から、棚温度0℃以下での凍結乾
燥の場合油性香料は微粉体の50重量%程度までは高率
で吸蔵され、凍結乾燥での乾燥の場合、臭気で環境を汚
染することなく実施できるため、本発明が技術的、経済
的に有利な製造法であることが分かる。又、得られた微
粉体は皮膚上での付着性、伸展性、感触等で極めて良好
な粉末であり、実施例1に準じた検査で保香性にも優れ
た化粧料顔料であることが分かった。又、微粉体は油性
香料の吸蔵量が50重量%を越えると、急激に粘結しや
すくなり、結晶化度、β構造率も低くなり、化粧料配合
基剤としての性能が低くなることが分かる。ただし油性
香料の吸蔵率が0.50重量%未満では、化粧料への配
合率の関係でその保香機能はほとんど発現しない。
【0040】(実施例3)実施例1に準じて溶解、透析
して絹フィブロイン水溶液を製造した。該水溶液に油性
香料としてムスク系香料のムスコン、基体顔料として酸
化チタンを種々の割合で混合し、激しく攪拌下希塩酸を
滴下してpHを4.0とした。攪拌を2〜3時間続ける
と、次第に酸化チタンを核として絹フィブロインが析出
し、ついには全体が小さなゲル粒子の集合体として固ま
り水と分離する。この際、ムスコンが凝固体(乾物換
算)の0.5〜50重量%で且つ絹フィブロイン量の2
5倍以下の場合、離漿した母液(水)にムスコンの油滴
は全く認められず、又ゲル粒子の感触も油じみたもので
はなく、指先で強くつまんでも指先へのムスコンの付着
は全く認められなかった。さらに高速攪拌を続け、次い
で飽和食塩水を混合し、さらに1時間攪拌し絹フィブロ
インのβ化処理を行った結果、ゲル体は小さな粒子状に
解砕された。次いで、ゲル体を濾別し水洗後、前記の処
方で凍結乾燥を15時間行った後、得られた粗粉体をジ
ェットミルで粉砕し微粉末化した結果、強いムスコンの
香りを持つ微粉体が得られた。この場合も凍結乾燥中、
乾燥機周辺は全くムスコンの匂いはせず、凍結乾燥機の
排出ガスも微かにムスコンの匂いがする程度であり、本
発明の環境対策上での技術的、経済的な有利性が確認で
きた。表2に微粉末中のムスコン割合(重量%・混合
量)、絹フィブロインに対するムスコン倍率を変化させ
た場合の絹フィブロインの結晶化度、β構造率、それに
実施例1に準じた保香性化粧料基剤としての評価の結果
を示す。
【0041】
【表2】
【0042】この結果から、棚温度0℃以下での凍結乾
燥の場合油性香料は微粉体の50重量%程度までは高率
で吸蔵され、絹フィブロインの化粧料配合基剤としての
好ましい機能が損なわれないのが分かる。該範囲で得ら
れた微粉体は皮膚上での付着性、伸展性、隠蔽性、感触
で極めて良好な粉末であり、実施例1に準じた検査で保
香性のある化粧料顔料として好適であった。しかしなが
ら油性香料の混合量が50重量%を越えると、急激に粘
結しやすくなり、結晶化度、β構造率も低くなり、化粧
料配合基剤としての性能が低くなることが分かる。又、
油性香料が0.5重量%未満では、化粧料への配合率の
関係でその保香機能はほとんど発現しない。そして、こ
の場合も凍結乾燥での乾燥の場合、臭気で環境を汚染す
ることなく実施できるため、技術的、経済的に有利な製
造法であることが分かる。
【0043】(実施例4)幼牛の皮の毛及び肉組織を除
去し、細砕し、水にて充分洗浄した。該不溶性コラーゲ
ン100部を水1000部に懸濁させ、これに0.2部
のペプシン(耐酸性蛋白分解酵素)を混合し、希塩酸に
てpH=2〜3に調整し攪拌した。該酵素反応を72時
間続けると不溶性コラーゲンは、テロペプタイドとアテ
ロコラーゲンの結合が分解され水に溶解した。次いで溶
解液を濾過し、未溶解物を濾別した後溶解液を希水酸化
ナトリウム液でpH=7〜8に調整しアテロコラーゲン
のみを沈澱させた。これを分解し、1000部の水に混
合後、希塩酸にてpH=3に調整し攪拌することで6.
0重量%のアテロコラーゲン水溶液を製造した。得られ
たコラーゲン水溶液500部にテルペン系香料のゲラニ
ロール3部を混合した後20〜30分間激しく攪拌して
該混合液を乳化させた。これに希水酸化ナトリウム水溶
液を滴下し、pH=7〜8に調整するとコラーゲンがゲ
ラニロールを吸蔵して凝固再生し水と分離した。この
際、離漿した母液(水)にゲラニロールの油滴は全く認
められず、ゲル粒子の感触も油じみたものでなく、指先
で強くつまんでも指先へのゲラニロールの付着は全く認
められなかった。ゲル体を濾別、水洗した後実施例1の
処方で凍結乾燥を15時間行った結果、33部の強いゲ
ラニロールの香りを持つ粗粉体が得られた。これにより
ゲラニロールがほぼ定量的にコラーゲンに吸蔵されたこ
とが分かる。実施例1に準じた保香性試験でも良好であ
った。又、この場合も凍結乾燥中、乾燥機周辺は全くゲ
ラニロールの匂いはせず、真空ポンプの排気ガスも微か
にゲラニロールの匂いがする程度であった。
【0044】(実施例5)市販の牛乳カゼイン60部を
0.5%水酸化ナトリウム水溶液に混合し攪拌溶解し1
000部にした。得られた6.0重量%カゼイン水溶液
500部に油性香料として3.0部のムスコンを混合
し、激しく攪拌して乳化させた。次いで、こに希塩酸を
滴下しpH=4.5に調整すると油性香料を吸蔵したカ
ゼインがゲル状に凝固再生し水と分離した。この際、離
漿した母液(水)にムスコンの油滴は全く認められず、
又、ゲル粒子の感触も油じみたものではなく、指先で強
くつまんでも指先への油性香料の付着は全く見られなか
った。ゲル体を濾別、水洗した実施例1の処方で凍結乾
燥を15時間行った結果、33部の強いムスコンの香り
を持つ粗粉体が得られた。これによりムスコンがほぼ定
量的にカゼインに吸蔵されたことが分かる。実施例1に
準じた保香性試験でも良好であった。又、この場合も凍
結乾燥中、乾燥機周辺は全くムスコンの匂いはせず、真
空ポンプの排気ガスも微かにムスコンの匂いがする程度
であった。
【0045】(実施例6)実施例1に準じて、シトロネ
ロールを吸蔵したゲル体を製造し、これを棚温度を変化
させて凍結乾燥した。その結果を表3に示す。
【0046】
【表3】 (注)絹フィブロインの収率は100%である。
【0047】この結果から、本発明において棚温度が0
℃に絹フィブロイン・ゲルと油性香料とで形成されるマ
イクロスフィアの破壊される臨界点があり、棚温度が0
℃を越えると急激に油性香料の吸蔵収率が低下し実用的
でないことが分かる。さらに該マイクロスフィアが破壊
されるため保香性も不良であることが分かる。
【0048】
【発明の効果】本発明は油性体、特に保香性に優れた油
性香料吸蔵再生蛋白質微粉末の製造に関するもので、凝
固再生した油性香料吸蔵再生蛋白質ゲル体の乾燥を、0
℃以下の棚温度での凍結乾燥で行うことにその特徴があ
る。該乾燥を採ることにより凝固再生した油性香料吸蔵
蔵再生蛋白質が形成しているマイクロスフィア構造の破
壊が回避されるために油性香料が高率で吸蔵され、且つ
優れた保香機能を持つ微粉末の製造が可能になった。就
中、化粧料配合基剤や浴用剤配合基剤として特に有用な
油性香料吸蔵再生絹フィブロインの場合、高価な香料の
蒸気としての飛散によるロスが小さく、しかも得られた
保香性油性香料吸蔵再生絹フィブロイン微粉末が、さら
に皮膚に対する付着性、伸展性、隠蔽性、保湿性感触等
の該基剤としての基本性能が優れていて特に有用であ
る。又、凍結乾燥である為、該ゲル体を加熱乾燥した場
合や棚温度を0℃を越えて凍結乾燥する場合のもう一つ
の問題点、即ち乾燥機周辺の香料臭気での汚染に対する
作業環境対策、及び乾燥機からの排気ガスに対する公害
対策設備の設置が不必要になり、技術的、経済的に有利
な製造法を提供できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微粉末状の再生蛋白質又は基体顔料含有
    再生蛋白質よりなり、且つ該微粉末の内部に油性香料が
    0.5〜50重量%の範囲で、しかも再生蛋白質の25
    倍(重量)以下で微粒子状に分散吸蔵されていて、マイ
    クロスフィア構造を形成していることを特徴とする保香
    性油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末。
  2. 【請求項2】 蛋白質水溶液に油性香料、又は油性香料
    と基体顔料とを混合した乳化懸濁液に等電点凝固、及び
    /又は蛋白質凝固剤の混合、及び/又は速いずり変形速
    度での攪拌の処理をして前記油性香料の微小粒子又は該
    粒子と基体顔料とを分散内包した再生蛋白質を凝固析出
    せしめ、次いで水洗後、棚温度0℃以下で凍結乾燥し粉
    砕することを特徴とする、微粉末状の再生蛋白質又は基
    体顔料含有再生蛋白質よりなり、且つ該微粉末の内部に
    油性香料が0.5〜50重量%の範囲で、しかも再生蛋
    白質の25倍(重量)以下で微粒子状に分散吸蔵されて
    いて、マイクロスフィア構造を形成している保香性油性
    香料吸蔵再生蛋白質微粉末の製造法。
JP4616795A 1995-02-09 1995-02-09 保香性油性香料吸蔵再生蛋白質微粉末及びその製造法 Pending JPH08217630A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011088978A (ja) * 2009-10-21 2011-05-06 Shunsho Kan 符籍顔料及びその製造方法
JP2017002251A (ja) * 2015-06-15 2017-01-05 Sis株式会社 残香性シルクおよびその製造方法、残香性シルク中の香成分の検出方法、ならびに残香性シルク膜の製造方法

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