JPH0822930B2 - 二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物フィルムおよびその製造法 - Google Patents

二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物フィルムおよびその製造法

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JPH0822930B2
JPH0822930B2 JP63067272A JP6727288A JPH0822930B2 JP H0822930 B2 JPH0822930 B2 JP H0822930B2 JP 63067272 A JP63067272 A JP 63067272A JP 6727288 A JP6727288 A JP 6727288A JP H0822930 B2 JPH0822930 B2 JP H0822930B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂
組成物フィルムに関し、さらに詳しくは、溶融粘度が1,
000ポイズ以上の実質的に直鎖状の高分子量ポリアリー
レンスルフィドにスチレン系樹脂を配合した樹脂組成物
を二軸延伸してなる易滑性で、かつ耐電圧特性に優れた
ポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物フィルムとその
製造法に関する。このフィルムは、殊にコンデンサー用
フィルムとして有用である。
[従来の技術] ポリ−p−フェニレンスルフィドに代表されるポリア
リーレンスルフィドを二軸延伸フィルムとすることは知
られている。ところで、一般にプラスチックフィルムを
加工する際にフィルム相互あるいはフィルムと他の材料
との間の摩擦係数すなわちスリップ性は作業性に大きな
影響があり、スリップ性の悪いフィルムは、表面コーテ
ィングや印刷、あるいは包装などの作業をするとフィル
ムに大きな張力がかかってフィルムが送りにくく、ま
た、ロール状に巻き取ることも困難である。特にコンデ
ンサー用フィルムとして用いる場合、コンデンサー素子
までに組み上げられる過程で多くの巻き取り、巻き返し
工程を経る。これらの工程でフィルムの滑り性が悪い
と、フィルムが破れたり、伸びて白化したり、あるいは
フィルムにしわが入ったりする。このような現象によ
り、フィルムをコンデンサー素子として組み上げること
ができないか、あるいは見かけ上組み上がっても致命的
な欠陥部を有することになり、コンデンサー素子として
使用できないものとなる。他方、極端にスリップ性が良
くてもフィルムの巻きずれが発生するなど作業性がかえ
って悪くなる場合もある。そこで、ある範囲内でフィル
ムのスリップ性を良くすること、つまり易滑性とするこ
とが必要である。ポリ−p−フェニレンスルフィドから
なるフィルムにおいても実用上易滑性化が必須であり、
従来、例えば炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カー
ボンブラック、ガラス、リン酸カルシウムなどの不活性
無機微粉末をフィラーとして添加することによりフィル
ムの表面粗度を調整する方法が知られている(特公昭59
−5101号公報)。しかしながら、これらの無機フィラー
を添加すると、ポリ−p−フェニレンスルフィドフィル
ムの耐電圧性が低下し、コンデンサー用フィルムや電気
絶縁用フィルムなどの用途に用いる場合、現在要求され
ている性能の水準からみてやや不十分である。
本発明者らは、先にポリアリーレンスルフィドの易滑
性化を図るために、従来の無機フィラーに代えてポリ−
4−メチルペンテン1を配合することを提案したが(特
願昭61−75827号)、この組成物は押出安定性などの加
工性にやや難点がある。一方、ポリスチレンフィルムは
優れた電気的特性を有し、絶縁材料、特にコンデンサー
用フィルムとして使用されているが、耐熱性に劣る欠点
を有する。
他方、ポリアリーレンスルフィドを改質するためにポ
リスチレン系樹脂を混合し樹脂組成物とすることは、例
えば、特公昭53−13469号公報に記載されているように
公知である。しかし、そこで使用されているポリアリー
レンスルフィドは、例えば特公昭45−3368号公報に開示
されているような方法、すなわち極性有機媒体中で高め
られた温度において、ポリハロ芳香族化合物とアルカリ
金属の硫化物を反応させることによって得られるもの
で、このような方法で得られるポリアリーレンスルフィ
ドは極めて低重合度であり、溶融粘度が低く、フィルム
に押出し成形することはもとより二軸延伸フィルムにす
ることができないものである。また、この低重合度のポ
リフェニレンスルフィドを射出成形用に橋かけ(キュア
ー)したものも、実用的なフィルムを作ることができな
いものである。そして、特公昭53−13469号公報に記載
されている樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィドの
引張特性を低下させることなく、その成形性と耐衝撃性
を改善することを目的としており、各種用途の成形品に
成形することができるとされているがフィルムにするこ
とについては開示されていない。
また、一般的に高分子量のポリアリーレンスルフィド
に各種合成樹脂を配合し、成形品とすることも知られて
いるが、ポリアリーレンスルフィドとポリスチレン系樹
脂からなる樹脂組成物を二軸延伸フィルムとすることは
知られていなかった。
このように、従来、無機フィラーの添加ではポリアリ
ーレンスルフィドフィルムの易滑性化に伴なう耐電圧特
性の低下は避けることができず、他方、ポリアリーレン
スルフィドとポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物を
二軸延伸フィルム化することは知られていなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、耐熱性に優れていると共に易滑性
で、かつ耐電圧特性が高度に保持されたポリアリーレン
スルフィド系フィルムを提供することにある。
また、本発明の目的は、実質的に直鎖状で高分子量の
ポリアリーレンスルフィドにポリスチレン系樹脂を配合
した樹脂組成物から二軸延伸フィルムを得ることにあ
る。
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭
意研究を積み重ねた結果、実質的に直鎖状で高分子量の
ポリアリーレンスルフィドにポリスチレン系樹脂を配合
した樹脂組成物が驚くべきことに製膜性良く二軸延伸す
ることができ、しかも無機フィラーを添加しなくても易
滑性で、かつ耐電圧特性に優れた二軸延伸フィルムを与
えることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明の要旨は、溶融粘度が1,000ポイズ
以上の実質的に直鎖状のポリアリーレンスルフィド100
重量部とスチレン系樹脂0.5〜80重量部からなる樹脂組
成物を二軸延伸してなることを特徴とする二軸延伸ポリ
アリーレンスルフィド系樹脂組成物フィルム、にある。
また、本発明は、予めポリアリーレンスルフィド100
重量部にスチレン系樹脂10〜100重量部を配合した樹脂
組成物をマスターバッチとし、これをさらにポリアリー
レンスルフィドで希釈して、ポリアリーレンスルフィド
100重量部当りポリスチレン系樹脂が0.5〜80重量部の割
合となる樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物を二軸延伸
することを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフィ
ド系樹脂組成物フィルムの製造法である。
以下、本発明の構成要素について詳述する。
(ポリアリーレンスルフィド) 本発明で用いるポリアリーレンスルフィドは、溶融粘
度が1,000ポイズ(310℃、せん断速度200/秒で測定した
ものである。)以上、好ましくは2,500〜100,000ポイズ
の実質的に直鎖状の高分子量のものである。ここで「実
質的に直鎖状の」高分子量ポリアリーレンスルフィドと
は、酸化架橋による増粘(キュアー)で得られるような
ポリマーではなく、実質的に二官能性モノマーのみから
得られたポリマーをいう。このような実質的に直鎖状の
高分子量ポリアリーレンスルフィドの評価は、例えば31
0℃での溶融粘度の測定において、せん断速度依存性が
小さく、したがってせん断速度(S)とせん断応力
(D)との間の関係式S=αDnにおいて、非ニュートニ
アン係数(n)が1に近いことが判定の基準となる。こ
こで、nとαは定数である。実質的に直鎖状の高分子量
ポリアリーレンスルフィドは、nの値が、せん断速度20
0sec-1近辺で求めたとき、好ましくは、1≦n<2程度
の範囲内にあるものである。
溶融粘度が1,000ポイズ未満であると、スチレン系樹
脂と配合した場合相分離が大きく、均一な組成物とする
ことが困難で、しかも製膜性に劣り二軸延伸フィルムを
安定して得ることができにくいからである。
このような実質的に直鎖状の高分子量のポリアリーレ
ンスルフィドは、公知の方法で製造することができる。
例えば、特開昭61−7332号公報に記載されているよう
に、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とをN−
メチルピロリドンなどの有機アミド溶媒中で水の存在下
に特定の二段階昇温重合方法により好適に得ることがで
きる。
アルカリ金属硫化物としては、硫化リチウム、硫化ナ
トリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セジウ
ムおよびこれらの混合物がある。
ジハロ芳香族化合物としては、p−ジクロルベンゼ
ン、m−ジクロルベンゼン、2,5−ジクロルトルエン、
p−ジブロムベンゼン、1,4−ジクロルナフタリン、1
−メトキシ−2,5−ジクロルベンゼン、4,4′−ジクロル
ビフェニル、3,5−ジクロル安息香酸、p,p′−ジクロル
ジフェニルエーテル、3,3′−ジクロルジフェニルスル
ホン、3,3′−ジクロルジフェニルスルフォキシド、3,
3′−ジクロルジフェニルおよびこれらの混合物などが
ある。
本発明で使用するポリアリーレンスルフィドは実質的
に直鎖状であり、中でもポリ−p−フェニレンスルフィ
ドあるいはm−フェニレンスルフィド単位を少量成分と
して含有するポリ−p−フェニレンスルフィド共重合体
が好ましい。このようなポリ−p−フェニレンスルフィ
ドやその共重合体などは、市販のものを使用することも
できる。
以下、特に断らない限り、ポリアリーレンスルフィド
とは、全て実質的に直鎖状の高分子量ポリアリーレンス
ルフィドを意味する。
(スチレン系樹脂) 本発明で用いるスチレン系樹脂としては、ポリスチレ
ン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレンとα−メ
チルスチレンやアクリロニトリル、ビニルトルエンなど
の共重合可能な単量体との共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)などを挙げる
ことができる。
(配合割合および配合方法) 本発明におけるポリアリーレンスルフィドとスチレン
系樹脂との配合割合は、ポリアリーレンスルフィド100
重量部に対しスチレン系樹脂を0.5〜80重量部、好まし
くは2〜50重量部、特に好ましくは3〜25重量部であ
る。
スチレン系樹脂の配合割合が極端に少ないとフィルム
に易滑性を付与する効果が小さく、逆に極端に多すぎる
と加工性は改善されるもののポリアリーレンスルフィド
本来の耐熱性が低下し、また、易滑性および耐電圧性付
与効果も上昇しないので好ましくない。
配合方法については特に限定されないが、通常、所定
量のポリアリーレンスルフィドの粉末とスチレン系樹脂
の粉末を溶融ブレンドし、ペレット化する方法が好適で
ある。スチレン系樹脂は、それ単独ではポリアリーレン
スルフィドの加工温度、300〜350℃では発泡するなど不
安定であるが、両者のブレンド物は予想に反し安定して
加工することができる。このペレットは、次の製膜工程
に供給される。ところで、この場合、予め比較的少量の
ポリアリーレンスルフィドにスチレン系樹脂を所定量よ
り多く配合したマスターバッチを作っておき、これをポ
リアリーレンスルフィドで希釈すると、その組成物から
得られる二軸延伸フィルムの表面粗度は、単に両者をブ
レンドした場合に比較して高い値を示す。つまり、マス
ターバッチ法を適用することにより、より少量のスチレ
ン系樹脂で高度の易滑性化を図ることができるのであ
る。マスターバッチは、ポリアリーレンスルフィド100
重量部に対し、スチレン系樹脂を10〜100重量部配合し
たものが好ましく、これをさらにポリアリーレンスルフ
ィドで希釈してスチレン系樹脂が所定量の配合割合、す
なわちポリアリーレンスルフィド100重量部に対し0.5〜
80重量部となるように樹脂組成物を調製する。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、各種充填
剤、顔料等を配合してもよい。
(二軸延伸方法) ポリアリーレンスルフィドとスチレン系樹脂からなる
樹脂組成物は、通常の溶融製膜法により二軸延伸、熱固
定を行なう。樹脂組成物は、溶融状態でシートに押出す
か、あるいはプレス成形後急冷して非晶性のフィルムと
し、次いで伸張延伸または圧延などの方法で二軸延伸す
る。二軸延伸方法としては、同時二軸延伸法または逐次
二軸延伸法のいずれでもよい。延伸温度は、80〜120
℃、延伸倍率は面積倍率で4倍以上、好ましくは6倍以
上である。また、熱固定温度は、200〜280℃の範囲が適
当である。
二軸延伸フィルムの厚さは、使用目的に応じて薄いも
のから厚いものまで適宜定めることができ、特に制限は
ないが、通常、1〜150μm程度の範囲にある。用途に
よっても異なるが、例えば、コンデンサー用フィルムと
しては1〜20μmが、フレキシブルプリント回路基板と
しては15〜125μmが好ましい。
ところで、ポリアリーレンスルフィドの二軸延伸は、
一般的にガラス転移点(Tg)より少し高い温度で行なう
が、均一で良好なフィルムを得るためには温度条件を極
めて狭い範囲に厳密にコントロールすることが必要であ
り、特に薄いフィルムを安定して得ることは困難であ
る。ところが、ポリアリーレンスルフィドにスチレン系
樹脂を配合すると製膜性が改善され、例えば、逐次二軸
延伸において厳しいコントロールを必要とされる縦延伸
の温度範囲を通常よりも広くすることができ、また、ロ
ールからのフィルムのはがれも良好となる。このような
現象は、長さ方向に均一なフィルムを安定して得るのに
極めて重要な意味を有する。すなわち、ポリスチレン系
樹脂を含まない通常のポリアリーレンスルフィドの延伸
では、特に薄膜の場合、延伸ロールからのはがれが不安
定である。(このような現象を当業者間では、“スチッ
ク・スリップ現象”と呼んでいる。)この不安定性は、
延伸温度、延伸倍率、雰囲気温度等を極めて厳密にコン
トロールすることにより解決し得る場合もあるが、いく
ら努力しても解決し得ない場合もある。このような不安
定性は、延伸後のフィルムの配向状態の不均一性を引き
起こし、次の工程である横延伸、熱固定工程でフィルム
が破れたり、白化したりすることになる。すなわち、実
質上ランニング性が悪くなることを意味する。一方、ス
チレン系樹脂をブレンドすると、上述のスチック・スリ
ップ現象が実質上大幅に軽減される。それゆえ、結果と
して製膜性が改善されるのである。
(二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物フィ
ルム) 本発明の二軸延伸フィルムは、ポリアリーレンスルフ
ィドの有する耐熱性、寸法安定性を保持すると共に、好
ましい表面粗度を有しており易滑性である。これは、両
樹脂が完全に相溶するのではなく、スチレン系樹脂がポ
リアリーレンスルフィド中に分散するためであり、しか
も予想以上に小さく分散してフィルム表面に適当な凹凸
を付与するためと推定できる。スチレン系樹脂の添加量
が少ない割に好ましい表面粗度が得られることからも、
スチレン系樹脂の分散性が良好であることが分る。さら
に、本発明の二軸延伸フィルムは、耐電圧(絶縁破壊強
度)が高いことから明らかなようにポリアリーレンスル
フィドフィルムの有する耐電圧特性を高度に保持するだ
けではなく、より一層改善されているのである。
本発明の二軸延伸フィルムの有する易滑性で耐電圧特
性に優れている点について、具体的に物性値および測定
方法を挙げて説明する。
フィルムの表面特性は、微小凹凸の程度(表面粗度)
と動摩擦係数により特徴ずけることができる。表面粗度
が小さく、平面性に優れているとともに、動摩擦係数も
小さく易滑性であることが好ましい。
表面粗度 フィルム表面の凹凸(表面粗度)の測定は、一般に
は、触針式の表面粗度計を用いて測定することができ
る。本発明において、表面粗度は、JIS B−0601で規
定されている中心線平均粗さRa(μm)の測定方法にし
たがい、東京精密社製“サーフコムA−550"を用いて測
定した値である。
中心線表面粗さRaは、粗さ曲線からその中心線の方向
に測定長さlの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中
心線をX軸、縦倍率の方向をY軸とし、粗さ曲線をy=
f(x)で表したとき、次の式によって求められる値を
μmで表したものをいう。
表面粗度Raの測定に際し、lは0.25mm、針先端部曲率
半径2μmの針を使用し、0.4gの荷重下で走査し、凹凸
の感度は5万倍で粗度を観察した。
本発明の二軸延伸フィルムは、表面粗度Raが0.50μm
以下、好ましくは0.02〜0.50μmの平面性に優れたフィ
ルムである。
表面粗度Raが0.50μmを越えると、動摩擦係数は小さ
くなるが、凹凸が大きくなり、例えば、写真用ベースフ
ィルムや磁気テープ用ベースフィルムなどとして使用す
る場合に良好なものを得ることができない。
逆に、表面粗度Raが極端に小さいものは、動摩擦係数
が大きくなり易く、例えば、フィルムの巻き取りや巻き
返しなどが繰返し行なわれるコンデンサー用ベースフィ
ルムの製造工程で、取り扱いが困難となり、また、製品
として、例えば、磁気テープ用ベースフィルムとした場
合には、フィルムの滑りが悪いため、テープが伸びてし
まうといった不都合が生じる。
動摩擦係数 動摩擦係数は、ASTM−D1894に準じ、相対湿度50%、2
3℃の雰囲気にコントロールされた部屋にフィルムを40
時間放置後、その部屋で東洋精機製作所製の摩擦測定機
TR型を用い、フィルムとフィルムの接触面積63.5mm×6
3.5mm、荷重200g下で、引張り速度150mm/分で測定し
た。
本発明の二軸延伸フィルムの動摩擦係数は、0.9以
下、好ましくは0.7以下である。動摩擦係数が0.9を越す
と、フィルムの巻き取り時にしわになったり、折れ目が
発生したり、あるいは薄膜の場合には切断し易くなるの
で好ましくない。
耐電圧 耐電圧(V/μm)は、JIS C2318にしたがい、室温
(24℃)、空気中で、電極径25mmφで直流電圧を印加し
て測定した。耐電圧のデータは、40個の測定値の平均値
を用いた。
耐電圧が高いフィルムは高い電圧を印加することがで
きるが、耐電圧の低いフィルムは低電圧で破壊する。し
たがって、フィルムの耐電圧は、コンデンサー用フィル
ムとしての物性評価の1つの重要な目安になる。また、
耐電圧の高いフィルム程薄くできるので、小型で電気容
量の大きいコンデンサー素子とすることができる。
耐電圧は、同一の測定条件であっても、フィルムの厚
みによって異なり、比較的薄いフィルムの領域では薄く
なる程耐電圧の値は低くでる傾向がある。
本発明の二軸延伸フィルムは、例えば、フィルム厚約
4〜約10μmの範囲で耐電圧が約260〜約400(V/μm)
という高い値を示し、かつ、フィルム厚が大きくなる程
耐電圧の増加傾向が大きい。
このように、本発明の二軸延伸フィルムは、ポリアリ
ーレンスルフィドフィルムの耐電圧特性を低下させるこ
となく易滑性化されたものであり、コンデンサー用フィ
ルムをはじめフレキシブルプリント回路基板、磁気テー
プ用フィルム、モーターやトランスなどの電気絶縁材
料、感熱転写プリンター等の広範な用途に有用である。
[実施例] 以下、本発明を実施例および比較例を挙げて具体的に
説明するが、いうまでもなく本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。なお、特に断らない限り部
等は重量基準である。
実施例1、比較例1〜2 ポリ−p−フェニレンスルフィド(呉羽化学社製、溶
融粘度6,800ポイズ、非ニュートニアン係数nが1.30)
の粉末100部に、ポリスチレン系樹脂(三井東圧社製、
商品名トーポレックス、HI860、メルトインデックス3.
0)を10部ブレンドし、押出機中で310℃で混練しペレッ
ト化した。このペレットを押出し、未延伸シートを製造
した。
このシートをロール表面温度を約60℃にコントロール
した金属ロールにて予熱後、97℃にコントロールされた
セラミックロール上で3.3倍にロール間延伸を行なっ
た。続いてテンター延伸・熱固定装置に導入し、テンタ
ー延伸機にて熱風温度96℃にコントロールされた雰囲気
中で、横方向に3.3倍延伸した。横延伸後、バッファー
ゾーンを介して直ちに熱固定ゾーンで熱風温度265℃で
熱固定した。このとき、横方向の緩和率は5%であっ
た。フィルム厚さは8μmであった。
比較のため、同じポリ−p−フェニレンスルフィドを
用いて、無添加のフィルム(比較例1)および無機フィ
ラーとして炭酸カルシウムの微粉末(平均粒径0.7μ
m)を0.3部添加したフィルム(比較例2)を実施例1
と同様にして製膜した。
次に、これらのフィルムについて、表面粗度、動摩擦
係数、耐電圧および製膜時のランニング性(製膜安定
性)について測定した。その結果を第1表に示す。
なお、表面粗度Ra(μm)、動摩擦係数および耐電圧
(V/μm)は、前記測定方法により測定した。
第1表下段における「製膜時のフィルムのランニング
性」とは、フィルムが製造過程でのテンター内(延伸・
熱固定ゾーン)で破れる度合を示したものである。「や
や悪い」は、連続製膜時に1時間当り1〜2度破れる場
合があることを示し、「極めて良好」は、全く破れない
場合を示す。
スチレン系樹脂添加フィルムは無添加フィルムに比べ
ても耐電圧が良好であり、かつフィルム表面が粗面化さ
れ充分な滑性が付与されたフィルムとなっている。例え
ば、コンデンサー用フィルムとして使用するとした場
合、比較例1および比較例2のフィルムが実質的に使用
不能であったり、物性上劣っていたりするのに対し、本
発明の実施例1のフィルムは極めて好適なフィルムであ
る。
実施例2 実施例1においてポリ−p−フェニレンスルフィドに
対するスチレン系樹脂の配合割合を変化させた場合の二
軸延伸フィルムの表面粗度を第1図に示す。なお、第1
図において、ポリ−p−フェニレンスルフィド100部に
対するスチレン系樹脂の配合割合が10部(すなわち10PH
R)および25部の場合は、両樹脂の粉末を単に溶融ブレ
ンドしてペレットを作り、そのペレットを用いて製膜し
たフィルムについての測定値(第1図−a)であり、3
部および5部の場合は、予めスチレン系樹脂を10PHR溶
融ブレンドした樹脂組成物をマスターバッチとし、これ
をポリ−p−フェニレンスルフィドで希釈したペレット
を用いて得たフィルムについての測定値(第1図−b)
である。第1図から明らかなように予めマスターバッチ
を作って、それを希釈した場合の方が少量のスチレン系
樹脂でも表面粗度は高い値を示すことが分る。
実施例3および比較例3〜6 実施例1と同じ配合で同様の製膜法により、膜厚を種
々変化させて得たフィルムの耐電圧を測定した。
比較のため、無添加のポリ−p−フェニレンスルフィ
ド(PPS)、無添加のMPS(ポリ−m−フェニレンスルフ
ィドとポリ−p−フェニレンスルフィドのブロックコポ
リマーである)、カオリン(平均粒径0.3μm)を0.3部
添加したPPS、炭酸カルシウムを0.3部添加したPPSから
各種の膜厚の二軸延伸フィルムを作り、同様に耐電圧を
測定した。
なお、MPSは、特開昭61−14228号公報に記載の製造方
法にしたがって、製造したものであり、具体的には、予
め重合されたm−フェニレンスルフィドプレポリマー
(GPC法での測定で重合度が約30)とp−ジクロルベン
ゼンおよび硫化ソーダ(Na2S)を、水を含むN−メチル
ピロリドン溶媒下で重合したブロックポリマーであり、
ブロックに属するm−フェニレンスルフィド繰返し単位 のモル分率が約0.15(赤外線分析による)のものであ
る。このブロックポリマーの溶融粘度は310℃、せん断
速度200sec-1の測定で3,700ポイズ、非ニュートニアン
係数は1.24であった。
これらの測定結果を第2図に示す。
第2図中、無添加のポリ−p−フェニレンスルフィド
(PPS)は、+印で示した。また、無添加のMPSは、×印
で、カオリンを0.3部添加したPPSは、□印で、さらに炭
酸カルシウムを0.3部添加したPPSは、○印で示した。一
方、スチレン系樹脂を10部添加したPPSを●印で示し
た。
フィルムの耐電圧(絶縁破壊強度)は、フィルムの厚
みにも依存し、各種フィルムとも厚い程耐電圧が大き
い。一方、同一厚さで各種フィルムを比較すると、スチ
レン系樹脂ブレンドフィルムは、無添加フィルムより優
れ、さらにカオリンや炭酸カルシウムを添加したフィル
ムよりも大幅に優れている。
[発明の効果] 本発明の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂組
成物フィルムは、易滑性であると共に耐電圧特性に優れ
ており、しかも製膜性が良好であるという優れた効果を
有し、各種用途、特にコンデンサー用フィルムとして有
用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のフィルムの表面粗度を表わすグラフ
である。 第2図は、本発明および比較例のフィルムの耐電圧を表
わすグラフである。 +印:無添加のPPS ×印:無添加のMPS □印:カオリンを0.3部添加したPPS ○印:炭酸カルシウムを0.3部添加したPPS ●印:スチレン系樹脂を10部添加したPPS
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 81:00 B29L 7:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融粘度が1,000ポイズ以上の実質的に直
    鎖状のポリアリーレンスルフィド100重量部とスチレン
    系樹脂0.5〜80重量部からなる樹脂組成物を二軸延伸し
    てなることを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフ
    ィド系樹脂組成物フィルム。
  2. 【請求項2】フィルム同士の動摩擦係数が0.9以下であ
    り、フィルムの表面粗度Ra(μm)が0.50以下である請
    求項1記載の二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂
    組成物フィルム。
  3. 【請求項3】請求項1記載の二軸延伸ポリアリーレンス
    ルフィド系樹脂組成物フィルムからなる高耐電圧用フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】請求項1記載の二軸延伸ポリアリーレンス
    ルフィド系樹脂組成物フィルムからなる電気絶縁用フィ
    ルム。
  5. 【請求項5】請求項1記載の二軸延伸ポリアリーレンス
    ルフィド系樹脂組成物フィルムからなるコンデンサー用
    フィルム。
  6. 【請求項6】予め調製した溶融粘度が1,000ポイズ以上
    の実質的に直鎖状のポリアリーレンスルフィド100重量
    部とスチレン系樹脂10〜100重量部からなる樹脂組成物
    に、さらに該ポリアリーレンスルフィドを配合すること
    により、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対しポ
    リスチレン系樹脂が0.5〜80重量部の割合となる樹脂組
    成物を調製し、次いで、該樹脂組成物を二軸延伸するこ
    とを特徴とする二軸延伸ポリアリーレンスルフィド系樹
    脂組成物フィルムの製造法。
  7. 【請求項7】請求項6記載の製造法により得られる二軸
    延伸ポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物フィルム。
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