JPH08231293A - 単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶の製造方法

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JPH08231293A
JPH08231293A JP3701695A JP3701695A JPH08231293A JP H08231293 A JPH08231293 A JP H08231293A JP 3701695 A JP3701695 A JP 3701695A JP 3701695 A JP3701695 A JP 3701695A JP H08231293 A JPH08231293 A JP H08231293A
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JP
Japan
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single crystal
axis
crystal
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growth
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JP3701695A
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English (en)
Inventor
Kazutaka Haniyu
和隆 羽生
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明なバナジン酸イットリウムを母結晶とす
る単結晶を製造し、製造コストを低減して生産性を向上
させる。 【構成】 正方晶系の結晶構造を有するバナジン酸イッ
トリウムを母結晶とする単結晶を製造する際の育成方位
をPとした場合、育成方位Pと[001]で示されるc
軸とのなす角度θを60゜≦θ≦90゜とし、上記育成
方位Pを[100]で示される一方のa軸と[010]
で示される他方のa軸により構成される面に投影した場
合の投影線P´と[100]で示される一方のa軸との
なす角度φを0゜≦φ≦45゜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体レーザ材料及び偏
光子として有用な単結晶の製造方法に関する。詳しく
は、育成方位を規制して透明なバナジン酸イットリウム
を母結晶とする単結晶を製造しようとする単結晶の製造
方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】最近、バナジン酸イットリウム(以下、
YVO4 と称する。)は、Nd:YAGレーザを凌駕す
る固体レーザ材料の母結晶として注目されている。ま
た、上記YVO4 を母結晶とした単結晶においては、一
軸性結晶をもつ正方晶結晶であり、方位による光学的異
方性をもつこと、さらにバイレフリンゼンスが大きいこ
とを利用して偏光子としての応用も考えられている。な
お、上記YVO4 を母結晶とする単結晶を製造する方法
のうち主なものとしては、いわゆる引き上げ法やフロー
ティングゾーン法が挙げられる。
【0003】しかしながら、上記YVO4 においては、
その融点が1810℃と高温であり、母結晶として上記
YVO4 を製造する場合、バナジウムの蒸気圧が高く、
蒸散し易く組成制御が難しいといった不都合がある。
【0004】また、上記YVO4 においては、一致溶融
組成の結晶育成において、黄色く着色してしまい、これ
を母結晶とする単結晶においても黄色の着色が生じると
いった不都合も生じている。このようなYVO4 の黄色
の着色は、酸素欠損によるバナジウムの価数変化に起因
すると言われているが、これは結晶の欠陥を誘発させる
ものであり、結晶の質を劣化させるものである。そし
て、上記YVO4 を母結晶とする単結晶の黄色の着色
は、これを光学材料として使用する場合の諸特性の劣化
を招き、好ましくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、上記のように
着色したYVO4 を母結晶とする単結晶においては、製
造後に酸素雰囲気中で加熱処理(いわゆるアニール処
理)を行い、透明化して各特性を向上させている。
【0006】しかしながら、上記のようにアニール処理
を行うと、長時間の処理時間を要し、かつアニール処理
装置等の装置も必要とされることから製造コストが高価
なものとなり、YVO4 を母結晶とする単結晶の生産性
はあまり良好ではなかった。
【0007】そこで本発明は、従来の実情に鑑みて提案
されたものであり、アニール処理等の別処理を行うこと
なく、透明なバナジン酸イットリウムを母結晶とする単
結晶を製造することを可能とし、製造コストを低減して
生産性を向上させることも可能とする単結晶の製造方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに本発明者等は鋭意検討した結果、バナジン酸イット
リウムを母結晶とする単結晶においては、その育成方位
が単結晶の着色の有無に関係していることを見い出し
た。
【0009】すなわち本発明の単結晶の製造方法は、正
方晶系の結晶構造を有するバナジン酸イットリウムを母
結晶とする単結晶を製造する際の育成方位をPとした場
合、育成方位Pと[001]で示されるc軸とのなす角
度θが60゜≦θ≦90゜であり、上記育成方位Pを
[100]で示される一方のa軸と[010]で示され
る他方のa軸により構成される面に投影した場合の投影
線P´と[100]で示される一方のa軸とのなす角度
φが0゜≦φ≦45゜であることを特徴とするものであ
る。
【0010】また、本発明の単結晶の製造方法において
は、単結晶が3d電子または4d電子をもった元素を含
有することが好ましく、上記3d電子または4d電子を
もった元素がTi,Cr,Ce,Pr,Sm,Nd,H
o,Er,Tm,Ybのうち少なくとも1種であること
が好ましい。
【0011】ただし、軸の決め方には結晶学的軸と光学
的軸があり、ここでは結晶学的軸で表すものとし、AS
TM(アメリカ材料試験協会)カードを基にしている。
また、ここでは、c軸が光軸に対応している。
【0012】
【作用】本発明の単結晶の製造方法においては、正方晶
系の結晶構造を有するバナジン酸イットリウムを母結晶
とする単結晶を製造する際の育成方位をPとした場合、
育成方位Pと[001]で示されるc軸とのなす角度θ
を60゜≦θ≦90゜とし、上記育成方位Pを[10
0]で示される一方のa軸と[010]で示される他方
のa軸により構成される面に投影した場合の投影線P´
と[100]で示される一方のa軸とのなす角度φを0
゜≦φ≦45゜としているため、単結晶育成時において
育成される単結晶に着色が生じない。
【0013】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施
例の単結晶の製造方法においては、単結晶の製造をフロ
ーティングゾーン法を適用した単結晶製造装置により行
うものとした。
【0014】本実施例で使用した単結晶製造装置は、図
1に示すように、赤外線集光加熱型育成炉2内に配され
る原料棒1の所定の位置に、上記赤外線集光加熱型育成
炉2内に配される赤外線ランプ3,4の赤外線を集光照
射して溶融帯を形成し、上記原料棒1を所定の速さで図
中下方に送り出す上部シャフト5と上記原料棒1を所定
の速さで図中下方に引き下げる下部シャフト6により原
料棒1を移動させることにより溶融帯を原料棒1の図中
上方に相対的に移動させて、溶融帯下端部を順次単結晶
化して連続的に単結晶を製造するものである。
【0015】上記赤外線集光加熱型育成炉2は、楕円の
一端部を切り欠いた略楕円形の断面の空洞部7a,7b
をそれぞれ有する炉体2a,2bが、上記空洞部7a,
7bを対向させるようにして突き合わされたものであ
る。そして、上記赤外線集光加熱型育成炉2内には、断
面が、2個の楕円の一方の焦点同士を重ねた形状、いわ
ゆる双楕円形の空洞部7が形成され、上記空洞部7の中
心は双楕円形の重ねた焦点となる。このとき、炉体2
a,2bの空洞部7a,7bの壁面が反射鏡となされて
いるため、空洞部7の壁面は双楕円面鏡となる。
【0016】また、上記赤外線集光加熱型育成炉2には
その中央を貫通するように図中上下方向に延在する石英
管8が設けられており、該石英管8の図中上下方向には
雰囲気ガス流入口9と雰囲気ガス排気口10が設けられ
ている。そして、雰囲気ガスの充填された石英管8内に
おいて、原料棒1は上部シャフト5,下部シャフト6に
より保持され、双楕円形の空洞部7の中心、すなわち重
ねた焦点上にその一部が位置するように配されている。
【0017】さらに、上記上部シャフト5には駆動装置
11が接続され、原料棒1を回転させながら図中下方に
送り出すことが可能とされており、下部シャフト6にも
駆動装置12が接続されて、原料棒1を回転させながら
図中下方に引き下げることが可能なようになされてい
る。
【0018】また、上部シャフト5の先端部には図示し
ないフックが設けられて原料棒1を保持できるようにな
され、下部シャフト6の先端部は図示しないアルミナの
チューブで芯出しされて原料棒1を固定できるようにな
されているが、上部シャフト5の先端部も同様の構成と
しても構わない。
【0019】そして、上記赤外線集光加熱型育成炉2の
炉体2a,2bの空洞部7a,7bの他方の焦点、すな
わち双楕円形の空洞部7の焦点にそれぞれ位置するよう
に一対の赤外線ランプ3,4が配されている。
【0020】従って、双楕円形の空洞部7の焦点に位置
する一対の赤外線ランプ3,4から照射される赤外線
は、空洞部7壁面の双楕円面鏡により反射されて、原料
棒1の空洞部7の重ねた焦点に位置する部分に必ず集光
され、この部分が加熱されて溶融帯となる。なお、上記
単結晶製造装置においては、赤外線ランプ3,4とし
て、ハロゲンランプを使用しているが、キセノンランプ
の使用も可能である。
【0021】また、上記赤外線集光加熱型育成炉2は、
炉体2a,2bを図中左右方向に移動させて開閉扉とし
て炉の開閉を可能とし、この開閉部から原料棒の取り付
け,取り外し、単結晶の取り出しを可能としている。
【0022】なお、上記単結晶製造装置においては、赤
外線集光加熱型育成炉2内部を観察できるように、該赤
外線集光加熱型育成炉2に図示しない観察用の窓が設け
られており、さらにこの観察用の窓に向けてレンズ1
3,フィルター14を介してビデオカメラ15が設けら
れている。
【0023】本実施例の単結晶の製造方法においては、
先ず、雰囲気ガスの充填された石英管8内において、上
部シャフト5に原料棒を保持させるとともに、下部シャ
フト6には種結晶を保持させる。
【0024】このとき、本実施例の単結晶の製造方法に
おいては、種結晶を下部シャフト6により図中下方に引
き下げた場合の引き下げ方向(育成方位)における種結
晶の方位Lが、方位Lと[001]で示されるc軸との
なす角度θが60゜≦θ≦90゜となり、上記方位Lを
[100]で示される一方のa軸と[010]で示され
る他方のa軸により構成される面に投影した場合の投影
線と[100]で示される一方のa軸とのなす角度φが
0゜≦φ≦45゜となる方位となるように、種結晶を下
部シャフト6に保持させる。
【0025】次に、上部シャフト5,下部シャフト6に
保持された原料棒及び種結晶を回転させ、例えば上部シ
ャフト5に保持される原料棒の先端部に、一対の赤外線
ランプ3,4の赤外線を空洞部7の双楕円面鏡により反
射させて集光して照射し、上記先端部を加熱して溶融さ
せ、メルトを形成する。
【0026】続いて、上部シャフト5に保持される原料
棒と下部シャフト6に保持される種結晶をメルトを介し
て接合させ、図1中に示すような原料棒1とする。
【0027】次に、上記メルトを最初の溶融帯とし、上
部シャフト5及び下部シャフト6により上記原料棒1を
所定の速さで図中下方に引き下げて移動させることによ
り上記溶融帯を原料棒1の図中上方に相対的に移動さ
せ、溶融帯の下端部を順次単結晶化して連続的に単結晶
を製造し、最終的には上部シャフト5側の原料棒全体を
単結晶化する。
【0028】このとき、本実施例の単結晶の製造方法に
おいては、種結晶を上記のようにして下部シャフト6に
保持させているため、上記種結晶上に育成される単結晶
の育成方位Pは、育成方位Pと[001]で示されるc
軸とのなす角度θが60゜≦θ≦90゜であり、上記育
成方位Pを[100]で示される一方のa軸と[01
0]で示される他方のa軸により構成される面に投影し
た場合の投影線P´と[100]で示される一方のa軸
とのなす角度φが0゜≦φ≦45゜である方位となり、
透明な単結晶が得られる。
【0029】続いて、本発明の単結晶の製造方法の効果
を確認するべく、以下のような実験を行った。ただし、
以下に述べる実験例においては、単結晶の優先成長方位
の調査も併せて行っている。
【0030】原料棒の作製 先ず、原料棒の作製を行った。最初に、純度4Nの酸化
イットリウム試薬(Y23 )の灼熱減量を空気中で1
000℃×10時間で加熱処理して求め、純度4Nの五
酸化バナジウム試薬(V25 )の灼熱減量を空気中で
500℃×10時間で加熱処理して求めた。そして、上
記Y23 及びV25 を1:1のモル比となるように
秤量した。なお、このとき、本実施例においては、添加
剤として、例えばTi,Cr,Ce、Pr,Sm,N
d、Ho、Er、Tm,Yb等の3d電子または4d電
子をもった元素を添加してもよく、上記添加剤を含有す
るYVO4 を母結晶とする単結晶はレーザ材料として好
適である。
【0031】次に、これらを分散媒としてエタノールを
用いて湿式混合して乾燥させて原料粉を作製した。そし
て、上記原料粉を直径が6〜8mm程度の袋状の生ゴム
(ラバー)内に充填し、これに静水圧3kg/cm2
圧力をかけて成形して原料棒とした。次に、この原料棒
を空気中で1300℃で3〜6時間程度焼成した。得ら
れた原料棒は、直径が約5〜8mm程度で長さは100
mm程度であった。
【0032】原料棒同士からの単結晶の製造 先ず、上記原料棒の直径5.2mmのものを長さ20m
m程度で切断し、長さ20mmの原料棒を前述の赤外線
集光加熱型育成炉2内の下部シャフト6にアルミナのチ
ューブで芯出しして保持させ、上記原料棒の切断した残
りを上部シャフト5に白金のフックにより保持させた。
【0033】そして、雰囲気ガスとして窒素ガスを使用
し、予め雰囲気ガス流入口9から流量を毎分2.5リッ
トルとして流入させておいた。
【0034】続いて、上部シャフト5に保持された原料
棒を駆動装置11により20rpmで回転させ、下部シ
ャフト6に保持された原料棒を駆動装置12により反対
方向に10rpmで回転させながら、一対の赤外線ラン
プ3,4により赤外線を上部シャフト5,下部シャフト
6に保持された原料棒の先端に照射した。
【0035】なお、赤外線ランプ3,4としては、10
0V−1.5kWのハロゲンランプを用い、該赤外線ラ
ンプ3,4の出力制御は電圧制御により行った。
【0036】赤外線の照射は、はじめ赤外線ランプ3,
4の電圧を原料棒が溶融すると思われる電圧よりも低め
の電圧まで2時間程度かけて自動的に上げ、続いて原料
棒の先端を観察しながら原料棒の先端が溶融するまで手
動で上げて行った。そして、溶融部分であるメルトを介
して原料棒同士を接合させて図1中に示すような形状の
原料棒1とした。
【0037】続いて、上記メルトを最初の溶融帯とし、
結晶成長速度を5.0mm/hとするべく、上部シャフ
ト5を6〜10rpmの回転速度で回転させながら3.
8〜5.0mm/hの速度で移動させるとともに下部シ
ャフト6を6rpmの回転速度で反対方向に回転させな
がら5.0mm/hの速さで移動させて上記原料棒1を
図中下方に移動させ、溶融帯を原料棒1の図中上方に相
対的に移動させ、溶融帯の下端部を順次単結晶化して連
続的に結晶を製造し、その長さを30mmとした。
【0038】上記のようにして製造された単結晶は棒状
に形成されるが、結晶の成長方向と上部シャフト5及び
下部シャフト6が原料棒1を図中下方に引き下げる方向
とは下部シャフト5の原料棒の芯出しが少しずれていて
も製造された結晶の長さが30mm程度になるとほぼ一
致していた。そして、得られた結晶の径は約4mm程度
であった。
【0039】このようにして原料棒同士から結晶を製造
すると、種結晶を用いていないことから、結晶の成長方
位は製造毎に異なる。そして、上記結晶の製造を数回行
ったところ、結晶に優先成長方位があることがわかっ
た。
【0040】そこで、本発明者等は、上記のようにして
得られた結晶の優先成長方位を調査することとした。す
なわち、ラウエカメラを用いてラウエパターンから方位
出しを行った。なお、X線の線源としてはタングステン
管球を使用した。
【0041】優先成長方位の特定は、下部シャフトを下
方に移動させた場合の引き下げ方向を成長方向とし、そ
の方向に育成された棒状の結晶の長手方向を優先成長方
位として行った。なお、結晶の成長方向(育成方位)が
優先成長方位と一致した状態で製造された結晶は透明な
ものであった。
【0042】その結果、上記単結晶の製造により得られ
た結晶における優先成長方位をMとすると、上記優先成
長方位Mは、[001]で示されるc軸とのなす角度θ
及び上記優先成長方位Mを[100]で示される一方の
a軸と[010]で示される他方のa軸により構成され
る面に投影した場合の投影線と[100]で示される一
方のa軸とのなす角度φが、(θ,φ)で示した場合、
(70゜,5゜),(78゜,3゜),(90゜,7
゜)で表されるような方位であることがわかった。
【0043】すなわち、単結晶の育成方位Pが、[00
1]で示されるc軸とのなす角度θ及び上記育成方位P
を[100]で示される一方のa軸と[010]で示さ
れる他方のa軸により構成される面に投影した場合の投
影線P´と[100]で示される一方のa軸とのなす角
度φが、(θ,φ)で示した場合、(70゜,5゜),
(78゜,3゜),(90゜,7゜)で表されるような
方位であれば、透明な単結晶が得られることがわかっ
た。
【0044】これを図を用いて説明する。すなわち、図
2に示されるように、先ず、育成方位Pが[001]で
示されるc軸となす角度をθとし、図3に示されるよう
に育成方位Pを[100]で示される一方のa軸と[0
10]で示される他方のa軸により構成される面に投影
した投影線P´が[100]で示される一方のa軸とな
す角度をφとする。
【0045】そして、図2及び図3を組み合わせて表示
すると、図4のようになる。図4においては、[00
1]で示されるc軸と[100]で示される一方のa軸
を紙面に平行で基点Oにおいて直角に交わる線とし、
[010]で示される他方のa軸を紙面に垂直に交わり
基点Oにおいて他の軸とも交わる線とする。このとき、
図4中に示す単結晶21の育成方位Pが紙面と平行なc
軸となす角度θと、育成方位Pを[100]で示される
紙面に平行な一方のa軸と[010]で示される紙面に
垂直な他方のa軸により構成される面に投影した投影線
P´が[100]で示される一方のa軸となす角度φ
が、(θ,φ)で示した場合、(70゜,5゜),(7
8゜,3゜),(90゜,7゜)で表されるような範囲
であれば透明な単結晶が得られることがわかった。
【0046】種結晶を用いた単結晶の製造(その1) 次に、上記のようにして得られた単結晶を種結晶として
用いて単結晶の製造を行った。すなわち、上記種結晶を
前述の赤外線集光加熱型育成炉2内の下部シャフト6に
原料棒の代わりにアルミナのチューブで芯出しして保持
させ、直径が5〜8mm程度で長さが100mm程度の
原料棒を上部シャフト5に白金のフックにより保持さ
せ、これらを用いて単結晶の製造を行った。ただし、こ
の場合、単結晶の育成方位がc軸となるように種結晶を
保持させるようにした。
【0047】そして、上述の原料棒同士からの単結晶の
製造と同様にして単結晶の製造を行った。その結果、育
成方位Pがc軸と一致し、(θ,φ)が(0゜,0゜)
となる上記単結晶においては黄色の着色が生じていた。
【0048】種結晶を用いた単結晶の製造(その2) そこで、種結晶の保持方向を変えて、単結晶の育成方位
を様々に変化させ、単結晶の製造を行ってみた。ただ
し、このとき、雰囲気ガスとして窒素ガスと酸素ガスの
混合ガスを使用するものとし、図1に示す単結晶製造装
置の石英管8内を雰囲気ガス排気口10から排気し、窒
素ガスの流量が毎分2.5リットル、酸素ガスの流量が
毎分0.02リットルとなるように雰囲気ガス流入口9
から石英管8内に各ガスを流し、雰囲気ガス中の酸素濃
度を0.81%とした。
【0049】そして、メルトの形成及び種結晶と原料棒
の接合までは上述の原料棒同士からの単結晶の製造と同
様に行った。
【0050】続いて、上記メルトを最初の溶融帯とし、
結晶成長速度を5.0mm/hとするべく、上部シャフ
ト5を6.5rpmの速度で回転させながら3.5〜
7.5mm/hの速度で移動させるとともに下部シャフ
ト6を6.0rpmの速さで回転させながら5.0mm
/hの速度で移動させて原料棒1を図1中下方に移動さ
せ、溶融帯を原料棒1の図中上方に相対的に移動させ、
溶融帯の下端部を順次単結晶化して連続的に結晶を製造
し、その長さを30mmないしそれ以上の長さとした。
【0051】そして、このようにして得られた単結晶の
育成方位と着色の有無を調べたところ、前述の育成方位
Pの(θ,φ)が(60゜,0゜),(70゜,27
゜),(90゜,7゜),(90゜,45゜),(90
゜,0゜)である単結晶においては、着色が生じていな
かった。
【0052】また、育成方位Pの(θ,φ)が(0゜,
0゜),(10゜,0゜),(16.5゜,0゜),
(60゜,35゜)である単結晶においては、黄色い着
色が生じていた。
【0053】種結晶を用いた単結晶の製造(その3) 次に、雰囲気ガス中の酸素濃度の影響を調査するため
に、酸素濃度を変えて単結晶の製造を行ってみた。すな
わち、窒素ガスの流量を毎分2.4リットル、酸素ガス
の流量を毎分0.13リットルとし、雰囲気ガス中の酸
素濃度を5%として、上述の種結晶を用いた単結晶の製
造(その2)と同様に単結晶の育成を行った。
【0054】その結果、上記雰囲気中で製造され、育成
方位Pの(θ,φ)が(65゜,33゜)である単結晶
が得られたが、着色は生じていなかった。
【0055】次に、これまで得られた結果における単結
晶の育成方位の(θ,φ)と着色有無の関係をまとめて
図5に示す。ただし、図5中においては、[001]で
示されるc軸と[010]で示される他方のa軸を紙面
に平行で一点において交わる線とし、[100]で示さ
れる一方のa軸を紙面に対して垂直で且つ上記c軸と他
方のa軸に対しこれらの交差点にて交差する線とする。
【0056】そして、図5は、ウルフネット表示で育成
方位と着色の関係を示したものであり、これら3つの軸
を含む球体をa軸を南北軸として平行にステレオ投影し
たものの1/4の部分を示すものであり、縦軸は[10
0]で示される一方のa軸から[001]で示されるc
軸に向かう場合の角度の大きさを示し、横軸は[10
0]で示される一方のa軸から[010]で示される他
方のa軸に向かう場合の角度の大きさを示す。
【0057】従って、これまでの結果は図4に示したよ
うに[010]で示される他方のa軸側から見た育成方
位Pとc軸及び一方のa軸のなす角度で表したが、図5
においては[100]で示される一方のa軸から見た角
度で示すこととなるため、上記図5中にこれまでの結果
を示そうとすると、若干の換算が必要となる。すなわ
ち、図5中縦軸は、90゜−θの大きさを表し、図5中
横軸はφを示すこととなる。
【0058】そして図5中においては、単結晶の着色が
生じなかったものを△,○,□で示し、着色の生じたも
のを×,●で示す。なお、図中△は、窒素ガス中におけ
る原料棒同士からの単結晶の製造により得られた結果を
示し、図中○は雰囲気ガス中の酸素濃度を0.81%と
して種結晶を用いて単結晶を製造した場合に得られた結
果を示し、図中□は雰囲気ガスの酸素濃度を5%として
種結晶を用いて単結晶を製造した場合に得られた結果を
示す。また図中×は、窒素ガス中における種結晶を用い
た単結晶の製造により得られた結果を示し、図中●は、
雰囲気ガスの酸素濃度を0.81%として種結晶を用い
て単結晶を製造した場合に得られた結果を示す。
【0059】図5の結果から、0≦90゜−θ≦30゜
であり、且つ0゜≦φ≦45゜である単結晶においては
着色が生じていないことがわかる。言い換えれば、育成
方位Pと[001]で示されるc軸とのなす角度θが6
0゜≦θ≦90゜であり、上記育成方位Pを[100]
で示される一方のa軸と[010]で示される他方のa
軸により構成される面に投影した場合の投影線P´と
[100]で示される一方のa軸とのなす角度φが0゜
≦φ≦45゜である単結晶においては、着色が生じてい
ないことがわかる。
【0060】すなわち、雰囲気ガスとして窒素ガスを使
用した場合を比較すると、製造される単結晶の着色の有
無は育成方位により決定されている。また、雰囲気ガス
として窒素ガスを使用した場合と酸素混入ガスを使用し
た場合を比較しても、酸素ガスの有無或いは濃度により
単結晶の着色の有無が左右されるのではなく、その育成
方位により単結晶の着色の有無が決定されていることが
わかる。本発明者等は、この原因を、育成方位により成
長速度が異なるため、育成方位によっては欠陥が生じ、
単結晶に着色が生じてしまうためと推察している。
【0061】従って、本発明の単結晶の製造方法のよう
に、正方晶系の結晶構造を有するバナジン酸イットリウ
ムを母結晶とする単結晶の育成方位Pを、育成方位Pと
[001]で示されるc軸とのなす角度θが60゜≦θ
≦90゜であり、上記育成方位Pを[100]で示され
る一方のa軸と[010]で示される他方のa軸により
構成される面に投影した場合の投影線P´と[100]
で示される一方のa軸とのなす角度φが0゜≦φ≦45
゜である方位とすれば、単結晶育成時において育成され
る単結晶に着色が生じない。
【0062】このことから、本発明の単結晶の製造方法
によれば、製造した単結晶に従来のようにアニール処理
等の別処理を行う必要がなく、製造コストを低減して生
産性を向上させることが可能である。
【0063】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明の単結晶の製造方法においては、正方晶系の結晶構造
を有するバナジン酸イットリウムを母結晶とする単結晶
を製造する際の育成方位をPとした場合、育成方位Pと
[001]で示されるc軸とのなす角度θを60゜≦θ
≦90゜とし、上記育成方位Pを[100]で示される
一方のa軸と[010]で示される他方のa軸により構
成される面に投影した場合の投影線P´と[100]で
示される一方のa軸とのなす角度φを0゜≦φ≦45゜
としているため、単結晶育成時において育成される単結
晶に着色が生じない。
【0064】このことから、本発明の単結晶の製造方法
によれば、製造した単結晶に従来のようにアニール処理
等の別処理を行う必要がなく、製造コストを低減して生
産性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単結晶製造装置の一構成例を示す模式的に示す
断面図である。
【図2】単結晶の育成方位とc軸の関係を示す模式図で
ある。
【図3】単結晶の育成方位とa軸の関係を示す模式図で
ある。
【図4】単結晶の育成方位とc軸及びa軸の関係を示す
模式図である。
【図5】単結晶の育成方位と着色の有無の関係を示す特
性図である。
【符号の説明】
1・・・原料棒 2・・・赤外線集光加熱型育成炉 3,4・・・赤外線ランプ 5・・・上部シャフト 6・・・下部シャフト

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正方晶系の結晶構造を有するバナジン酸
    イットリウムを母結晶とする単結晶を製造する際の育成
    方位をPとした場合、育成方位Pと[001]で示され
    るc軸とのなす角度θが60゜≦θ≦90゜であり、上
    記育成方位Pを[100]で示される一方のa軸と[0
    10]で示される他方のa軸により構成される面に投影
    した場合の投影線P´と[100]で示される一方のa
    軸とのなす角度φが0゜≦φ≦45゜であることを特徴
    とする単結晶の製造方法。
  2. 【請求項2】 単結晶が3d電子または4d電子をもっ
    た元素を含有することを特徴とする請求項1記載の単結
    晶の製造方法。
  3. 【請求項3】 3d電子または4d電子をもった元素が
    Ti,Cr,Ce,Pr,Sm,Nd,Ho,Er,T
    m,Ybのうち少なくとも1種であることを特徴とする
    請求項2記載の単結晶の製造方法。
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