JPH08255678A - 急速昇温発熱素子およびその製造方法 - Google Patents

急速昇温発熱素子およびその製造方法

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JPH08255678A
JPH08255678A JP7351675A JP35167595A JPH08255678A JP H08255678 A JPH08255678 A JP H08255678A JP 7351675 A JP7351675 A JP 7351675A JP 35167595 A JP35167595 A JP 35167595A JP H08255678 A JPH08255678 A JP H08255678A
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layer
heat generating
lead
conductive layer
conductor
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JP7351675A
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English (en)
Inventor
Kentaro Sawamura
建太郎 澤村
Etsuo Mihashi
悦央 三橋
Masaru Nanao
勝 七尾
Nobuyuki Miki
信之 三木
Masahiro Kitajima
正裕 北島
Masatada Yodogawa
正忠 淀川
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TDK Corp
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱素子としての特性は保持したまま、効率
よくしかも安価に製造することができ、耐久性の高い急
速昇温発熱素子を提供する。 【解決手段】 発熱部1とリード部2とを有し、発熱部
1がセラミック製の発熱部導電体を有し、この発熱部導
電体が、セラミック製の発熱部絶縁層1cを介して積層
された4層以上の発熱部導電層1aと、隣り合う発熱部
導電層1a同士を接続する発熱部導電層連結部1bとか
ら構成され、リード部2がセラミック製のリード部導電
体を有し、このリード部導電体が、発熱部導電層1aの
最上層および最下層にそれぞれ電気的に接続された第一
および第二リード部導電層2a,2bから構成され、第
一および第二リード部導電層2a,2bがセラミック製
のリード部絶縁層2cを介して積層された急速昇温発熱
素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、急速昇温発熱素子およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】急速昇温発熱素子としては、例えば特公
平1−28467号公報および特公平4−61832号
公報に開示されたものが知られている。
【0003】特公平1−28467号公報に開示された
急速昇温発熱素子は、自動車ディーゼルエンジン用グロ
ープラグであって、例えば、炭化珪素(SiC)に周知
の焼結助剤(例えば、B4 C、Al23 等)を添加
した原料粉末をホットプレスモールド中に充填し、その
上の所定位置にタングステン、モリブデン等を主体とす
る高融点金属からなる線状体を埋設した後、約2000
℃でホットプレス法により加圧焼成して製造されるもの
であり、露出している線状体の両端部間に電圧を印加し
て発熱させて用いられる。
【0004】一方、特公平4−61832号公報に開示
された急速昇温発熱素子は、窒化珪素、窒化アルミニウ
ム、窒化硼素およびそれらの混合物からなる群から選択
された窒化物30〜70体積%、炭化珪素10〜45体
積%および二珪化モリブデン5〜50体積%から全体と
して構成され、かつ、密度が理論密度の少なくとも85
%であって、組成を異にする発熱帯域と非発熱端部とを
有する電気抵抗器であって、具体的には、焼成後高抵抗
となる材料と低抵抗となる材料を二層に成形して、ホッ
トプレス焼成し、この焼成体を層の方向に対して垂直方
向にU字形に機械加工により切り出してなるものであ
り、U字形の二つの自由端部間に電圧を印加し、連結部
において発熱させて用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特公平1−284
67号公報に開示された急速昇温発熱素子は、セラミッ
ク原料粉体で構成される成形体内に発熱体となる線状体
が埋め込まれるようにして、ホットプレスにより焼成し
てなるものであるが、発熱素子をほぼ完全に個別に製造
しなければならず、製造が非効率で、時間がかかり、し
かも高コストなものとなる。また、ヒーターが埋設され
ているため、ヒーターが表面に露出している構造に対し
て熱効率が劣る。
【0006】また、上記特公平4−61832号公報に
開示された急速昇温発熱素子は、例えば抵抗値の異なる
二層状の導電性焼結体を所定形状すなわちU字形に機械
加工により切り出して製造するものであり、セラミック
材料の焼結体のように高硬度のものを加工するため、加
工費がかかるとともに、製造効率も悪いという問題があ
る。
【0007】また、上記と同様のセラミックヒーターと
して、特開昭61−104581号公報に開示されたも
のが知られているが、このセラミックヒーターにあって
も、U字形のヒーターを形成する場合には、一つ一つ一
品製作しなければならず、製造が効率的でなく、かつ高
価なものとなるという問題点を有している。
【0008】さらに、従来のセラミックヒーターは、1
400℃に到達するのに10秒以上を要し、また長時間
使用により抵抗劣化するため、耐久性の点で不十分であ
る。
【0009】そこで、本発明は、加熱素子としての特性
は保持したまま、効率よくしかも安価に製造することが
でき、さらに耐久性の高い急速昇温発熱素子を提供する
ことを目的とするものである。
【0010】
【問題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(11)の本発明により達成される。 (1)発熱部とリード部とを有し、発熱部がセラミック
製の発熱部導電体を有し、この発熱部導電体が、セラミ
ック製の発熱部絶縁層を介して積層された4層以上の発
熱部導電層と、隣り合う発熱部導電層同士を接続する発
熱部導電層連結部とから構成され、最上層と最下層とを
除いた発熱部導電層が、一端部で上側に隣り合う発熱部
導電層と電気的に接続され、他端部で下側に隣り合う発
熱部導電層と電気的に接続され、全体として交互に折り
畳まれた形状となっており、リード部がセラミック製の
リード部導電体を有し、このリード部導電体が、発熱部
導電層の最上層および最下層にそれぞれ電気的に接続さ
れた第一および第二リード部導電層から構成され、第一
および第二リード部導電層がセラミック製のリード部絶
縁層を介して積層された急速昇温発熱素子。 (2)発熱部導電層の厚さが10〜200μmであり、
第一および第二リード部導電層の厚さが発熱部導電層の
厚さの3〜100倍である上記(1)の急速昇温発熱素
子。 (3)発熱部導電体およびリード部導電体が、二珪化モ
リブデンとアルミナとを含有するか、二珪化モリブデン
とアルミナとシリカとを含有し、二珪化モリブデンの体
積占有率が48〜97%である上記(1)または(2)
の急速昇温発熱素子。 (4)発熱部導電体における二珪化モリブデンの体積占
有率をリード部導電体における二珪化モリブデンの体積
占有率で除した値が0.53〜1.0である上記(3)
の急速昇温発熱素子。 (5)発熱部導電体および/またはリード部導電体が、
炭化チタンおよび硼化チタンの少なくとも一種を含有
し、二珪化モリブデンとアルミナとシリカとの合計に対
し、炭化チタンと硼化チタンとの合計が0.1〜5重量
%である上記(3)または(4)の急速昇温発熱素子。 (6)発熱部導電体の抵抗値がリード部導電体の抵抗値
の5倍以上である上記(1)〜(5)のいずれかの急速
昇温発熱素子。 (7)発熱部表面のうち少なくとも発熱部導電体露出面
が保護層で被覆されている上記(1)〜(6)のいずれ
かの急速昇温発熱素子。 (8)リード部表面のうち少なくともリード部導電体露
出面が保護層で被覆されている上記(7)の急速昇温発
熱素子。 (9)最上層および最下層の発熱部導電層よりそれぞれ
上側および下側に、絶縁層を介して第一および第二保護
導電層が積層されており、最上層の発熱部導電層と第一
リード部導電層とが第一保護導電層により接続され、最
下層の発熱部導電層と第二リード部導電層とが第二保護
導電層により接続され、第一保護導電層および第二保護
導電層が、いずれも保護絶縁層を介して積層された2層
の導電層からなり、これら2層の導電層が並列接続とな
っている上記(1)〜(8)のいずれかの急速昇温発熱
素子。 (10)上記(1)〜(9)のいずれかの急速昇温発熱
素子を製造する方法であって、導電性セラミック材料層
と電気絶縁性セラミック材料層とを積層した後、切断し
て焼成する工程を有する急速昇温発熱素子の製造方法。 (11)電気絶縁性セラミック材料層により導電性セラ
ミック材料層が包囲されるように両者を積層した後、焼
成することにより、少なくとも発熱部表面が保護層によ
り被覆された急速昇温発熱素子を得る上記(10)の急速
昇温発熱素子の製造方法。
【0011】
【作用】本発明の急速昇温発熱素子は、主要部分あるい
は全体をセラミックのグリーンシートを積層し、あるい
は印刷方法により積層し、これを単に短冊状に切断した
後、焼成することによって製造することができるので、
焼成の前工程までを複数の素子を一体にかつ同時に作製
することができ、しかもその後の工程も焼成前の生の材
料を単に短冊状に切断し、焼成するだけでよいので、効
率よく、しかも安価に製造することができる。
【0012】また上記特公平4−61832号公報の急
速昇温発熱素子にあっては、U字形で内部に切り欠き空
間を有しているので、強度的に弱いものになってしまう
ため、その2本の垂直部分の厚さをある程度大きく設定
しなければならず、従って全体としても大きなサイズの
ものとなってしまう。また、耐久性も低い。
【0013】そこで、本発明者らは特願平5−2003
14号、特願平6−187782号において、電気絶縁
性セラミック焼結体層を用いて、この層に、発熱体とな
る導電性セラミック焼結体層とリード部とを一体化した
構造の急速昇温発熱素子を提案した。この提案の急速昇
温発熱素子は、強度的に強く、小型化が可能であるとい
う利点があるが、発熱部導電層に絶縁物を多量に混入さ
せ、リード部より抵抗値を高めているので、導電物が酸
化されやすくなり、長時間使用後における抵抗変化率が
大きくなってしまうという問題があった。
【0014】これに対し、本発明の急速昇温発熱素子で
は、発熱部絶縁層を介して発熱部導電層を積層すると共
に隣り合う発熱部導電層同士を導電性の連結部により電
気的に接続することによって発熱部導電体を構成し、こ
れにより発熱部導電体を全体として交互に折り畳まれた
形状とする。そして、発熱部導電体の両端に第一および
第二リード部導電層をそれぞれ電気的に接続して発熱部
とリード部とを一体化し、通常、全体として一体の板状
とする。このため、機械的強度が高くなり、また、発熱
部導電層の厚さおよび電流路長の選択の幅が広がって抵
抗値の設計の自由度が高まるので、小型化が可能とな
る。この小型化に伴って、昇温に要するエネルギーが小
さくてすむようになる。また、小型でありながら発熱部
導電体の全長を長くできるので、発熱部導電層とリード
部導電層とを同一の材料で構成して熱膨張係数を合わせ
ることも容易となり、この結果、熱衝撃に強く、繰り返
し長時間の急速昇温に対して耐久性が高い急速昇温発熱
素子が実現する。
【0015】また、印加電圧に対して到達温度を高くし
たい場合は、導電層に炭化チタンおよび硼化チタンの少
なくとも一種を含有させる。これにより、NTC効果に
よってPTC効果が抑制され、到達温度を高く制御する
ことができる。また、硼化チタンの添加により耐炎性を
向上させることができる。
【0016】なお、特開平2−86086号公報には電
気絶縁層の上下および一端部に導電層を一体的に形成し
た焼結体にリード端子を接着したヒーターが開示されて
いる。しかし、このものはリード端子が一体的に形成さ
れていないので、素子全体が発熱体となり温度上昇する
ため、リード端子の接続部を高温に耐えるものにする必
要がある。しかし、リード端子の接続部の接着強度を高
温発熱時においても保つことはきわめてむずかしく、実
用的ではない。バネ等を用いて機械的な圧力で接触を取
ることも考えられるが、やはり高温となるとそれに耐え
る材質のものは少なく、例えあったとしても長時間の使
用は期待できない。接続部をセメント等で固めることも
考えられるが、いずれにしても接続部の温度上昇は避け
られない。また、同公報記載の導電層の組成は、本発明
における好ましい組成とは異なるため、耐酸化性が低
く、抵抗値ばらつきが大きくなる。
【0017】また、上記特公平1−28467号公報に
開示された急速昇温発熱素子の焼結体の組成および上記
特公平4−61832号公報に開示された急速昇温発熱
素子の導電性焼結体の組成は、いずれも本発明における
好ましい組成とは異なるため、耐酸化性が低く、抵抗値
ばらつきが大きくなる。また、上記特開昭61−104
581号公報に開示されたセラミックヒーターの組成
は、本発明における好ましい組成範囲と重なるが、本発
明における好ましい組成範囲内の実施例はない。
【0018】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成を詳細に説明
する。
【0019】本発明の急速昇温発熱素子は、導電性や電
気絶縁性のセラミック材料層をシート積層法や印刷法に
より積層した後、焼成することにより作製され、例えば
全体として長方形の板状であることが望ましいが、円柱
状等の他の形状であってもよい。
【0020】図1に、本発明の急速昇温発熱素子の構成
例を示す。図1に示される急速昇温発熱素子は、発熱部
1とリード部2とを有する。
【0021】発熱部1は、セラミック製の発熱部導電体
を有する。この発熱部導電体は、セラミック製の発熱部
絶縁層1cを介して積層された4層以上の発熱部導電層
1aと、隣り合う発熱部導電層1a同士を接続する発熱
部導電層連結部1bとから構成される。すなわち、最上
層と最下層とを除いた発熱部導電層1aは、一端部で上
側に隣り合う発熱部導電層と電気的に接続され、他端部
で下側に隣り合う発熱部導電層と電気的に接続され、全
体として交互に折り畳まれた形状となっている。その結
果、全体として上部から下部あるいは下部から上部に向
かって発熱部に電流路が形成されている。
【0022】リード部2は、セラミック製のリード部導
電体を有する。このリード部導電体は、発熱部導電層1
aの最上層および最下層にそれぞれ電気的に接続された
第一リード部導電層2aおよび第二リード部導電層2b
から構成され、第一および第二リード部導電層は、セラ
ミック製のリード部絶縁層2cを介して積層されてい
る。
【0023】発熱部1とリード部2との間には、発熱、
リード境界部絶縁体3が設けられている。この発熱、リ
ード境界部絶縁体3は、第一リード部導電層2aおよび
第二リード部導電層2bと発熱部導電体とを短絡させな
い役割を果たしている。
【0024】以上の構成により、第一リード部導電層2
aより発熱部導電体を経由して第二リード部導電層2b
に至る電流路を有する回路が形成される。
【0025】図2に、本発明の急速昇温発熱素子の他の
構成例を示す。図2に示される構成の第一リード部導電
層2aおよび第二リード部導電層2bは、それぞれ発熱
部1の上部および下部にまで延在しており、それぞれ発
熱部導電層連結部1bを介して最上層および最下層の発
熱部導電層1aと電気的に接続されている。両リード部
導電層は、発熱部導電層1aより厚くなっている。本発
明の急速昇温発熱素子では、素子使用時の加熱によっ
て、あるいは素子使用前に安定化のために施される熱処
理などによって、素子表面付近の導電層が酸化されて導
電率が低下してしまい、断線することがあるが、図2の
ように発熱部より外側に比較的厚い導電層を設けてリー
ド部導電層とすれば、素子の寿命を長くすることができ
る。この構成において、発熱部を挟むように延在してい
る領域のリード部導電層の厚さは、発熱部導電層の厚さ
の2〜4倍であることが好ましい。厚さが2倍未満であ
ると寿命延長効果が不十分であり、厚さが4倍以上であ
ると熱容量が大きくなって昇温速度が遅くなり、かつそ
の領域で温度勾配が生じて熱ストレスの原因となる。
【0026】図3に、本発明の急速昇温発熱素子の他の
構成例を示す。図3に示される構成では、最上層および
最下層の発熱部導電層1aよりそれぞれ上側および下側
に、それぞれ絶縁層を介して第一保護導電層11aおよ
び第二保護導電層12aが設けられている。最上層の発
熱部導電層と第一リード部導電層2aとは第一保護導電
層11aにより接続され、最下層の発熱部導電層と第二
リード部導電層2cとは第二保護導電層12aにより接
続されている。第一保護導電層11aおよび第二保護導
電層12aは、いずれも保護絶縁層1dを介して積層さ
れた2層の導電層からなり、これら2層の導電層は並列
接続となっている。第一および第二保護導電層におい
て、素子表面側に存在する導電層は、発熱部導電層の酸
化を防ぐ効果を示す。素子表面側に存在する導電層は、
使用に伴ない酸化され、微小なクラックが生じやすい
が、保護絶縁層1dが存在するため、それ以上の酸化は
防止される。また、素子表面に絶縁層と導電層との境界
が露出していると、その境界から酸素が侵入しやすい
が、この構成では保護絶縁層1dが素子上面および側面
(図示例では左側面)に露出していないため、酸素の侵
入が抑えられる。第一および第二保護導電層はいずれも
2層の導電層の並列接続であるため、酸化によるクラッ
クの発生によって素子表面側に存在する導電層の導電性
が実質的に消失した場合には、第一および第二保護導電
層全体の抵抗値が上昇して素子内側に存在する導電層が
発熱し、発熱部導電層としてのはたらきを示すことにな
る。このように、第一および第二保護導電層を設ける構
成では、素子の長寿命化がはかれる。
【0027】図3の構成において、保護絶縁層1dの厚
さは、発熱部導電層の厚さの0.5〜1倍であることが
好ましい。保護絶縁層が薄すぎると上記した効果が不十
分となる。一方、保護絶縁層が厚すぎると、酸化防止効
果はかえって低くなってしまう。これは、導電層は発熱
するが保護絶縁層は発熱しないため、保護絶縁層が厚す
ぎると素子使用時の両層の膨張量の違いが大きくなって
両層間の密着性が低下し、酸化が進みやすくなるからで
ある。なお、各保護導電層を構成する2層の導電層の厚
さは、いずれも発熱部導電層と同等であることが好まし
い。
【0028】第一リード部導電層2aおよび第二リード
部導電層2bのそれぞれ外表面には、端子電極4、5が
形成されている。端子電極4、5は金属からなり、第一
および第二リード部導電層表面の発熱部から最も離れた
位置に形成される。理由は高温にならないようにするた
めで、もしリード部導電層の温度が端子電極の耐熱温度
以下に保てるのであれば、端子電極の位置はリード部導
電層上のどこであってもよい。
【0029】本発明の急速昇温発熱素子においては、室
温から1000〜1500℃への昇温時間が10秒以
内、好ましくは1〜5秒に設定される。また、本発明の
急速昇温発熱素子の素子抵抗は使用電力と使用電圧範囲
とによって変わるが、概ね0.5〜2000Ωの範囲に
設定される。そして、発熱部導電体の抵抗値は、リード
部導電体の抵抗値の5倍以上、好ましくは10〜500
倍程度とする。この結果、特に端子電極の部分における
温度があまり高くならないようにすることができる。
【0030】本発明の急速昇温発熱素子において発熱部
導電層の厚さは、好ましくは10〜200μm、より好
ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜6
0μmである。また、リード部導電層の厚さは、発熱部
導電層の厚さの好ましくは3〜100倍、より好ましく
は10〜60倍の範囲に設定する。
【0031】発熱部導電層の厚さが10μm未満である
と耐酸化性に劣る。一方、発熱部導電層の厚さが200
μmを超えると抵抗値が低くなりすぎるため、所望の抵
抗値を得るには発熱部導電層の積層数を多くしなくては
ならず、素子が大型化しすぎて昇温速度が遅くなる。発
熱部導電層の厚さが100μm超200μm以下のとき
は使用上問題はないが素子が大型化する。10μm以上
20μm未満のときは使用上問題はないが、耐酸化性が
完全とは言えず、また、60μm超100μm以下のと
きは使用上問題はないが、素子がやや大型化する。20
〜60μmの範囲内としたとき、耐酸化性、昇温速度共
に最適の状態となる。
【0032】また、リード部導電層の厚さが発熱部導電
層の厚さの3倍未満の場合、両導電層の抵抗値の差が小
さいのでリード部でも発熱してしまい、一方、100倍
を超える場合、リード部が厚くなりすぎて熱伝導による
熱損失により昇温速度が遅くなる。3倍以上10倍未満
の範囲では素子の作動に特に問題はないが、特に10〜
60倍の範囲のときには、リード部での発熱の問題もな
くなり、昇温速度も速くなる。
【0033】発熱部導電層1aの積層数は、上記したよ
うに4以上である。この積層数が4未満であると、抵抗
値が小さくなり、機械強度が劣り、耐酸化性も劣る。ま
た、積層数が100を超えると、素子が大型化し、熱容
量が大きくなるため昇温速度が遅くなるばかりでなく、
急速昇温時のクラック発生の原因となる。
【0034】素子の全厚(導電層積層方向)は、上記し
た導電層の積層数とその好ましい厚さ範囲とを考慮し
て、全体として大型化しすぎないように適宜決定すれば
よいが、通常、0.5〜2mm程度とする。また、素子の
平面寸法は特に限定されないが、通常、幅1〜3mm程
度、長さ20〜60mm程度とする。なお、この場合の素
子長さとは、図示例において左右方向の寸法である。発
熱部の長さやリード部の長さは、両者の抵抗値の比や発
熱部と端子電極との距離などを考慮して適宜決定すれば
よい。
【0035】なお、発熱部絶縁層の厚さは、十分な絶縁
性が得られ、かつ発熱部の昇温を妨げない範囲で適宜決
定すればよいが、通常、10〜60μmとする。また、
リード部絶縁層の厚さは、十分な絶縁性を得るために、
通常、30μm以上とする。
【0036】リード部は、図示するように、通常、全体
で3層とするが、必要に応じ、リード部絶縁層を2層以
上設けることにより、第一および第二リード部導電層の
厚さを調整してもよい。
【0037】発熱部導電体およびリード部導電体は、二
珪化モリブデンおよびアルミナを含有するか、二珪化モ
リブデン、アルミナおよびシリカを含有することが好ま
しい。二珪化モリブデンを使用するのは高温で耐酸化性
に優れているためであり、アルミナを使用するのは二珪
化モリブデンと熱膨張係数が近く、耐高温性に優れた材
料であるためである。シリカは、ムライトやシリマナイ
トを導電体材料として使用した結果として導電体中に含
まれることが好ましい。ムライトおよびシリマナイト
は、いずれもシリカとアルミナとから形成され、二珪化
モリブデンに対する反応性がアルミナよりも低い。この
ため、ムライトおよびシリマナイトの少なくとも一種を
導電体材料として用いることにより、素子使用に伴なう
導電体の抵抗変化率を低く抑えることができる。なお、
シリカを含有させた場合には熱膨張係数が小さくなるた
め、導電体にシリカを含有させる場合には絶縁層にもシ
リカを含有させて熱膨張係数を合わせることが好まし
い。なお、導電体中および絶縁層中のシリカの含有量
は、ムライト+シリマナイト換算で52体積%以下であ
ることが好ましい。
【0038】発熱部導電体およびリード部導電体におい
て、二珪化モリブデンの体積含有率は、好ましくは48
〜97%、より好ましくは50〜95%、さらに好まし
くは55〜90%である。48%未満では二珪化モリブ
デン同士の結合が十分でなく、その結果、耐酸化性に劣
り、また焼成後の抵抗値ばらつきが大となる。97%を
超えると隣接する絶縁層とのなじみが悪くクラック発生
の原因となる。48%以上50%未満の範囲では使用可
能だが耐酸化性に若干劣り、焼成後の抵抗値ばらつきも
みられる。95%超97%以下の範囲では使用可能だが
抵抗値が小さくなる傾向にある。また、絶縁層とのなじ
みも十分ではない。50%以上55%未満の範囲では4
8%以上50%未満の範囲に比べ耐酸化性、焼成後の抵
抗値ばらつきが若干改善される。90%超95%以下の
範囲では95%超97%以下の範囲に比べ抵抗値が大き
くなるため、積層数を少なくでき、素子を小型にでき
る。55〜90%の範囲は、耐酸化性を確保でき、昇温
速度を大きくでき、クラックも発生しにくくなる最適範
囲となる。
【0039】なお、二珪化モリブデンの体積含有率を上
記範囲とすることにより、使用時の抵抗率変化はマイナ
ス、すなわち抵抗率が経時的に減少することになる。し
かし、抵抗率減少は50時間程度の加熱でなくなり、そ
の後の抵抗率はほとんど不変となるので、経時的な抵抗
率変化を抑えたいときには、後述する特性安定化のため
の熱処理をあらかじめ施しておくことが好ましい。
【0040】発熱部導電体とリード部導電体とは、熱膨
張係数を合わせるためにほぼ同じ組成とすることが好ま
しいが、リード部での昇温を抑えるために組成をずらし
てもよい。ただし、この場合、熱衝撃に対する耐性を高
くするためには、発熱部導電体における二珪化モリブデ
ンの体積占有率をリード部導電体における二珪化モリブ
デンの体積占有率で除した値が0.53〜1.0となる
ように各導電体の組成を決定することが好ましい。
【0041】導電体がシリカを含有する場合、導電体に
はマグネシアが含有されることが好ましい。マグネシア
は焼結助剤としてはたらく。マグネシアの添加量は、シ
リカ+アルミナに対し0.1〜1.0重量%であること
が好ましい。マグネシアの添加量が少なすぎると添加に
よる効果が不十分となり、多すぎると素子中にMgOと
して存在し、耐炎特性を低下させる原因となる。
【0042】発熱部導電体および/またはリード部導電
体に、炭化チタンおよび硼化チタンの少なくとも一種を
含有させてもよい。導電体に二珪化モリブデン、アルミ
ナおよびシリカのみを使用した場合、1500℃での抵
抗値が室温での約12倍と大きく、いわゆるPTC効果
が強く、一定電圧では到達温度を高くすることができな
い場合がある。しかし、炭化チタンおよび硼化チタンの
少なくとも一種を含有させるとそのNTC効果のためP
TC効果を抑制でき、1500℃での抵抗値を室温での
4〜12倍に制御できる。炭化チタンと硼化チタンとの
合計含有量は、二珪化モリブデンとアルミナとシリカと
の合計に対し好ましくは0.1〜5重量%、より好まし
くは1〜2重量%である。含有量が0.1重量%未満で
は効果がなく、5重量%を超えると耐酸化性に劣る。
0.1重量%以上1重量%未満の範囲では使用可能だが
PTC抑制効果は小さく、2重量%超5重量%以下の範
囲では使用可能だが耐酸化性は若干劣る。1〜2重量%
の範囲では耐酸化性も確保でき、PTC抑制効果も十分
に期待できる。
【0043】発熱部導電体の抵抗値は、リード部導電体
の抵抗値の好ましくは5倍以上、より好ましくは10〜
500倍程度であることが望ましい。5倍未満だと通電
時にリード部でも発熱してしまい、熱効率が低下するの
みならず、リード部に接続した端子電極が劣化しやすく
なる。
【0044】発熱部絶縁層、リード部絶縁層および発
熱、リード境界部絶縁体は、金属酸化物である絶縁性第
1成分と、金属珪化物および/または金属炭化物である
導電性第2成分とを主体とするセラミックで構成されて
いることが好ましい。絶縁性第1成分のみを用いてもよ
いが、導電性第2成分を含有させれば層間の結合性が良
好となり、耐久性が向上する。上記第1成分の金属酸化
物としては、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化クロ
ム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウムマグ
ネシウム、ムライト等のうちの少なくとも1種が挙げら
れ、これらのうち特にアルミナが好ましい。上記第2成
分の金属珪化物としては、モリブデン、タングステンお
よびクロムの珪化物のうちの少なくとも1種が挙げら
れ、金属炭化物としては、シリコンおよびチタンの炭化
物のうちの少なくとも1種が挙げられ、これらのうちで
は珪化物、特に二珪化モリブデンを用いることが好まし
い。絶縁層や絶縁体中の上記絶縁性第1成分と導電性第
2成分との組成比は、体積比で好ましくは10:0〜
8:2、より好ましくは10:0〜9.3:0.7であ
る。導電性第2成分が20体積%を超えると、絶縁性第
1成分による絶縁が崩れ、導電性を持ちやすくなる。
【0045】本発明の急速昇温発熱素子では、発熱部に
応力緩和用空隙を必要に応じて設けてもよい。この応力
緩和用空隙は、発熱部を実質的に分断し、各部分の応力
発生を抑制し、これによって発熱部全体としてのクラッ
クまたは破壊を防止するためのものであり、スリット状
や微小開口状であることが好ましい。このような応力緩
和用空隙については、本出願人による特願平6−114
460号に詳細に記載されている。
【0046】本発明の急速昇温発熱素子は、発熱部表面
のうち少なくとも発熱部導電体露出面が保護層で被覆さ
れていることが好ましく、さらに、リード部表面のうち
少なくともリード部導電体露出面が保護層で被覆されて
いることがより好ましい。保護層を形成した場合の構成
例を図4に示す。なお、図示するように、リード部表面
のうち端子電極近傍には保護層を設けなくてもよい。こ
の保護層は、化学的、熱的に安定な耐熱性、耐酸化性の
ものであればよく、シリカおよびアルミナの少なくとも
1種で構成されるか、これらを主成分とすることが好ま
しい。保護層の厚さは、シリカを主成分とする場合に
は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは2
〜20μm程度とされ、アルミナを主成分とする場合に
は、好ましくは2〜200μm、より好ましくは5〜1
00μm程度とされる。
【0047】次に、本発明の急速昇温発熱素子の製造方
法の一例について説明する。
【0048】製造にあたっては、まず、発熱部およびリ
ード部の原材料の調合を行う。
【0049】この調合は、絶縁層や絶縁体の材料である
電気絶縁性セラミック材料として好ましくは平均粒径
0.4〜1.5μmのアルミナを、また、導電性セラミ
ック材料として好ましくは平均粒径0.4〜1.5μm
のアルミナおよび好ましくは平均粒径1.0〜5.0μ
mの二珪化モリブデン、さらに、必要に応じてムライト
やシリマナイトを所定の体積占有率となるように秤取
し、それらにバインダおよび溶剤を添加することによっ
て行う。バインダーとしては、メタアクリル系バインダ
ー等を用いることができる。また、溶剤としては、トル
エン、エタノール等を用いることができる。
【0050】調合された材料は、例えばボールミルで混
合されて、スラリーとされる。混合時間は、例えば3〜
24時間程度とすればよい。上記スラリーを用いて、通
常のドクターブレード法あるいは押し出し法により、絶
縁層や導電層等のグリーンシートを作製する。各グリー
ンシートの厚さは、焼成後の厚さが所定の範囲になるよ
うに、予め計算して決定された値とする。
【0051】この後、各グリーンシートを、所望の構造
となるように積層する。この積層は、圧力50〜150
0kg/cm2、温度50〜100℃の条件で熱圧着により行
われる。積層化は、各シートを作らずに、各種スラリー
を用いて、スクリーン印刷を繰り返すことにより行うこ
とも可能であり、シート積層と印刷とを併用することも
できる。
【0052】この後、カッターにより各素子形状に短冊
状に切断する。この場合、最高でも長方形の4辺の切断
で済む。
【0053】上記切断の後、脱バインダー処理および焼
成を行う。脱バインダー処理は、例えば次の条件で行う
ことが望ましい。
【0054】昇温速度:6〜300℃/時間、特に30
〜120℃/時間 保持温度:250〜900℃、特に300〜350℃ 保持時間:1〜24時間、特に5〜20時間 雰囲気:窒素ガス、窒素ガス−水蒸気
【0055】焼成は、例えば次の条件で行うことが望ま
しい。
【0056】昇温速度:300〜2000℃/時間、特
に500〜1000℃/時間 保持温度:1400〜1800℃、特に1650〜17
50℃ 保持時間:0.5〜3時間、特に1〜2時間 冷却速度:300〜2000℃/時間、特に500〜1
000℃/時間
【0057】焼成雰囲気は、真空、アルゴンガス、ヘリ
ウムガス等とすることができる。なお、窒素雰囲気は用
いないことが望ましい。発熱部導電体が窒化されると、
負の抵抗温度特性を持ってしまうからである。上記脱バ
インダー処理および焼成は、それぞれ独立に行っても連
続して行ってもよい。
【0058】なお、焼成後に特性安定化のための熱処理
を施してもよい。この熱処理は、素子表面に露出してい
る導電体の表面付近を酸化させて、使用開始後初期の抵
抗値の急激な変化を抑えるためのものである。なお、こ
の熱処理により酸化された導電体表面付近は保護層とし
てはたらく。
【0059】以上のようにして得られた焼結体の表面に
前述した保護層を形成する方法は特に限定されず、例え
ば、空気中において1300℃以上で熱処理して、素子
表面に露出している導電体表面付近の二珪化モリブデン
を酸化することによりシリカ層を形成する方法、焼成前
の素子表面にシート圧着や印刷によりアルミナ層を積層
した後、素子と同時に焼成する方法、焼成後の素子表面
に化学的気相成長(CVD)法や物理的気相成長(PV
D)法などによりアルミナ層を形成する方法などのいず
れを利用してもよい。
【0060】また、素子表面の保護層は、導電性セラミ
ック材料層と電気絶縁性セラミック材料層とを積層する
際に同時に形成することもできる。この方法では、図5
(a)〜図6(f)に示されるように、電気絶縁性セラ
ミック材料層100により導電性セラミック材料層20
0が包囲されるように両者を積層する。この場合、枠状
の電気絶縁性セラミック材料層100の少なくとも一部
と、最下層および最上層の電気絶縁性セラミック材料層
100とが、焼成後に保護層を構成することになる。
【0061】図5(a)の電気絶縁性セラミック材料層
は、素子下面側の保護層となるものであり、また、リー
ド部導電層の端子電極が接続される領域の外面の保護層
となるものである。図5(b)の導電性セラミック材料
層200は、リード部導電層の端子電極が接続される領
域に相当する。図5(c)の導電性セラミック材料層2
00は、最下層の発熱部導電層および下側のリード部導
電層となるものである。図5(d)の電気絶縁性セラミ
ック材料層100は、発熱部導電層およびリード部導電
層の外面の保護層となるものである。図5(e)の電気
絶縁性セラミック材料層100は、発熱部絶縁層および
リード部絶縁層となるものであり、また、発熱部導電層
連結部の外面の保護層となるものである。図5(f)の
導電性セラミック材料層200は、発熱部導電層連結部
となるものである。図6(a)の導電性セラミック材料
層200は、2層目の発熱部導電層となるものである。
図6(b)の電気絶縁性セラミック材料層100は、リ
ード部絶縁層となるものであり、また、発熱部導電層の
外面の保護層となるものである。図6(c)の電気絶縁
性セラミック材料層100は、発熱部絶縁層およびリー
ド部絶縁層となるものであり、また、発熱部導電層連結
部の外面の保護層となるものである。図6(d)の導電
性セラミック材料層200は、発熱部導電層連結部とな
るものである。図6(e)の導電性セラミック材料層2
00は、3層目の発熱部導電層となるものである。図6
(f)の電気絶縁性セラミック材料層100は、リード
部絶縁層となるものであり、また、発熱部導電層の外面
の保護層となるものである。以降、このような工程を繰
り返して電気絶縁性セラミック材料層と導電性セラミッ
ク材料層とを積層し、図7の斜視図および図8の断面図
に示されるような積層体を形成し、次いで焼成する。
【0062】なお、図示例では、図5(a)、図5
(e)および図6(c)にそれぞれ示される電気絶縁性
セラミック材料層100がグリーンシートであり、他の
電気絶縁性セラミック材料層および導電性セラミック材
料層は印刷法により形成されるが、この他の組み合わせ
であってもよく、シート法だけまたは印刷法だけで形成
してもよい。
【0063】また、図示例では、説明を簡単にするため
に素子を1個単位で製造する構成としてあるが、通常は
多数の素子を同時に製造するため、多数の枠状部を有す
る絶縁性セラミック材料層のグリーンシートや印刷パタ
ーンを用い、積層後に素子単位に切断して焼成する。
【0064】焼成後、リード部導電体表面の所定位置に
ニッケル、銀ろう等を焼付け等して端子電極を形成し
て、本発明の急速昇温発熱素子の製造を完了する。さら
に、リード線を電気的に接続し、ソケットで固定しても
よい。
【0065】本発明の急速昇温発熱素子は、ガス着火器
等に用いられ、その駆動電圧は、例えばカーバッテリー
の12Vから400V程度とされる。
【0066】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0067】(実施例1:導電層厚さによる比較I)絶
縁層および導電層の主成分としてアルミナと二珪化モリ
ブデンとを用い、次のように配合した。
【0068】 アルミナ 二珪化モリブデン 導電層 : 40体積% 60体積% 絶縁層 : 100体積% 0 粉体平均粒径: 0.4μm 3μm バインダー : メタアクリル系バインダー 溶剤 : トルエン
【0069】以上をボールミルで24時間混合してスラ
リーをそれぞれ調製し、これらを用いてドクターブレー
ド法によりシートを作製し、さらに図1の構造(発熱部
導電層の積層数26層)になるように金型中に積層し、
60℃、1000kg/cm2の条件で加圧成形した。ただし
焼成後の発熱部およびリード部の導電層の厚さが表1の
厚さとなるように計算してシートを作製した。
【0070】次に、上記成形体を、図1に示す構造とな
るように切断した。切断した成形体を窒素ガス雰囲気中
で昇温速度1℃/分にて350℃まで昇温し、この温度
で5時間保持し、この後、昇温速度5℃/分にて900
℃まで昇温し、この温度で2時間保持した後、5℃/分
で冷却することにより脱バインダー処理を行った。この
脱バインダー処理した成形体を、真空中で昇温速度5℃
/分にて1400℃まで昇温し、この温度で1時間保持
した後、昇温速度5℃/分にて1750℃まで昇温し、
この温度で2時間保持した後、300℃/分の速度で冷
却することにより焼成を行った。ただし、800℃以下
は自然冷却とした。
【0071】さらに、空気中で1500℃にて4時間加
熱処理することにより、素子表面に露出した導電体表面
に厚さ約1μmのシリカ保護層を形成した。なお、この
加熱処理は、前述した抵抗値の安定化処理を兼ねるもの
であり、以下の実施例においても同様である。
【0072】この後、端子電極部分の保護層をサンドブ
ラストで削り、この部分にニッケル電極を焼付け、表1
に示す急速昇温発熱素子サンプルを得た。
【0073】なお、表1のサンプルNo. 102では、発
熱部およびリード部の各層を、上記各スラリーを用いて
スクリーン印刷法により作製した。
【0074】各サンプルの発熱部導電体とリード部導電
体との抵抗比は54:1であった。また、各サンプルの
発熱部絶縁層の厚さは25μmであった。
【0075】以上のサンプルについて、20V印加での
室温から1250℃までの昇温時間、通電10秒、通電
停止時間10秒を1サイクルとしたサイクルテストで1
0万回後のクラック発生率(100個中のクラック発生
個数)、および1500℃で100時間保持したときの
抵抗変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
【0077】表1から分かるように、サンプルNo. 10
2〜106および109は1250℃までの昇温時間が
10秒以内であり、クラックの発生も無く、しかも上記
の抵抗変化率が10%以内であった。
【0078】これに対し、導電層厚さが好ましい範囲を
外れるサンプルは、昇温時間が10秒以内、クラックの
発生率0%、抵抗変化率10%以内の少なくともいずれ
かの条件を満たすことができなかった。
【0079】(実施例2:導電層厚さによる比較II)絶
縁層および導電層の主成分としてアルミナとシリカと二
珪化モリブデンとを用い、次のように配合した。ただ
し、これらに加え、シリカ+アルミナに対し0.3重量
%のマグネシアも添加した。なお、アルミナの一部およ
びシリカは、ムライトにより供給した。ムライトの組成
は、シリカ:アルミナ=2:3(モル比)である。
【0080】 アルミナ ムライト 二珪化モリブデン 導電層 : 20体積% 20体積% 60体積% 絶縁層 : 80体積% 20体積% 0 粉体平均粒径: 0.4μm 1.0μm 3μm バインダー :メタアクリル系バインダー 溶剤 :トルエン
【0081】これらを用い、実施例1と同様にしてサン
プルを得た。
【0082】なお、表2のサンプルNo. 202では、発
熱部およびリード部の各層を、上記各スラリーを用いて
スクリーン印刷法により作製した。
【0083】以上のサンプルについて、実施例1と同様
な測定を行った。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】表2から分かるように、サンプルNo. 20
2〜206および209は1250℃までの昇温時間が
10秒以内であり、クラックの発生も無く、しかも上記
の抵抗変化率が10%以内であった。
【0086】これに対し、導電層厚さが好ましい範囲を
外れるサンプルは、昇温時間が10秒以内、クラックの
発生率0%、抵抗変化率10%以内の少なくともいずれ
かの条件を満たすことができなかった。
【0087】(実施例3:発熱部導電層の積層数による
比較)発熱部導電層の積層数を表3に示すように変え、
また、発熱部導電層厚さを60μm(ただしサンプルN
o.301は発熱部導電層厚さ400μm)、リード部
導電層厚さを1280μmとした以外は実施例1と同様
にして、表3に示すサンプルを作製した。
【0088】これらのサンプルについても実施例1と同
様な測定を行った。結果を表3に示す。
【0089】
【表3】
【0090】表3から明らかなように、サンプルNo. 3
02〜304においては、上記条件をすべて満たした
が、積層数が本発明範囲または好ましい範囲を外れるサ
ンプルにあっては、少なくともいずれかの条件を満たさ
なかった。
【0091】(実施例4:導電層の組成による比較I)
発熱部導電層の層数を26層、発熱部導電層厚さを60
μm、リード部導電層厚さを1280μmとし、発熱部
およびリード部の各導電体のアルミナと二珪化モリブデ
ンとの体積占有率を表4に示したように変えたこと以外
は実施例1と同様にして、表4に示すサンプルを作製し
た。
【0092】これらのサンプルについても実施例1と同
様な測定を行った。結果を表4に示す。
【0093】
【表4】
【0094】表4から明らかなように、サンプルNo. 4
02〜405においては、上記条件をすべて満たした
が、二珪化モリブデンの体積占有率が好ましい範囲を外
れるサンプルにあっては、少なくともいずれかの条件を
満たさなかった。
【0095】(実施例5:導電層の組成による比較II)
発熱部およびリード部の各導電体の二珪化モリブデンの
体積占有率を65%とし、さらに炭化チタン、硼化チタ
ンを表5に示すように添加したこと以外は実施例4と同
様にして、表5に示すサンプルを作製した。なお、炭化
チタン、硼化チタンの添加量は、アルミナ+二珪化モリ
ブデンに対する比率である。これらのサンプルについ
て、18V印加時の到達温度(目標値:1150℃)、
1500℃で100時間保持したときの抵抗変化率を測
定した。結果を表5に示す。
【0096】
【表5】
【0097】表5から明らかなように、サンプルNo. 5
02、503、505〜507においては、上記条件を
すべて満たしたが、炭化チタン+硼化チタンの添加量が
好ましい範囲を外れるサンプルにあっては、少なくとも
いずれかの条件を満たさなかった。
【0098】(実施例6:発熱部とリード部との導電体
抵抗値の比による比較)リード部導電体の断面積を変え
ることにより発熱部導電体とリード部導電体との抵抗値
の比を表6に示したように変化させたこと以外は実施例
5と同様にして、表6に示すサンプルを作製した。これ
らのサンプルについても実施例5と同様な測定を行っ
た。結果を表6に示す。
【0099】ただし、発熱部およびリード部の各導電体
には、炭化チタンを0.7重量%添加した。
【0100】
【表6】
【0101】表6から明らかなように、サンプルNo. 6
02、603においては、上記条件をすべて満たした
が、抵抗値の比が好ましい範囲を外れるサンプルにあっ
ては、少なくともいずれかの条件を満たさなかった。な
お、リード部導電体の抵抗値が大きい場合に素子の昇温
が阻害されるのは、エネルギーがリード部で消費されて
しまうからである。
【0102】(実施例7:構造による比較)図3の構造のサンプル 図3の構造となるように導電層用シートおよび絶縁層用
シートを積層した以外は実施例2と同様にしてサンプル
を得た。発熱部導電層の厚さは40μm、上下の保護絶
縁層の厚さは25μm、第一および第二保護導電層を構
成する各2層の導電層の厚さは40μmとした。
【0103】図4の構造のサンプル 最下層の発熱部導電層の下および最上層の発熱部導電層
の上にそれぞれ絶縁層が存在するようにシートを積層し
た以外は実施例2と同様にして成形体を作製し、切断し
た。次いで、発熱部導電層用シートが露出している切断
面に、絶縁層用のシートを気泡が入らないように熱圧着
し、さらに50℃で冷間静水圧プレスした後、実施例2
と同様にして脱バインダー等の工程を経て、図4に示す
構成のサンプルを得た。保護層の厚さは25μmとし
た。
【0104】図3+図4の構造のサンプル 上記2方法を組み合わせて、図3+図4に示す構造のサ
ンプルを得た。
【0105】これらのサンプルについて、以下の耐炎試
験を行った。
【0106】耐炎試験 LNG(ガス圧280mmH2O )の燃焼炎を金属製の炎ガ
イドにより横方向に曲げて、炎先端付近を素子の発熱部
に接触させ、素子の抵抗値が10%変化するまでの時間
を測定した。
【0107】また、上記実施例と同様に昇温時間および
クラック発生率を測定した。なお、比較のために、実施
例2で作製した図1に示す構造のサンプルについても、
同様な試験および測定を行った。結果を表7に示す。
【0108】
【表7】
【0109】表7から、図3や図4の構造とすることに
より耐久性が向上することがわかる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように本発明の急速昇温発
熱素子は、容易かつ安価に製造することができ、しかも
特性がよく、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の急速昇温発熱素子の構成例を示す斜視
図である。
【図2】本発明の急速昇温発熱素子の他の構成例を示す
斜視図である。
【図3】本発明の急速昇温発熱素子の他の構成例を示す
斜視図である。
【図4】本発明の急速昇温発熱素子の他の構成例を示す
斜視図である。
【図5】(a)〜(f)は、急速昇温発熱素子の製造工
程の説明図である。
【図6】(a)〜(f)は、急速昇温発熱素子の製造工
程(図5に続く工程)の説明図である。
【図7】図5および図6に示す工程により製造された積
層体を示す斜視図である。
【図8】図5および図6に示す工程により製造された積
層体を示す断面図である。
【符号の説明】
1 発熱部 1a 発熱部導電層 1b 発熱部導電層連結部 11a 第一保護導電層 12a 第二保護導電層 1c 発熱部絶縁層 1d 保護絶縁層 2 リード部 2a 第一リード部導電層 2b 第二リード部導電層 2c リード部絶縁層 3 発熱、リード境界部絶縁体 4、5 端子電極 10 保護層 100 電気絶縁性セラミック材料層 200 導電性セラミック材料層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三木 信之 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 北島 正裕 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 淀川 正忠 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発熱部とリード部とを有し、 発熱部がセラミック製の発熱部導電体を有し、この発熱
    部導電体が、セラミック製の発熱部絶縁層を介して積層
    された4層以上の発熱部導電層と、隣り合う発熱部導電
    層同士を接続する発熱部導電層連結部とから構成され、
    最上層と最下層とを除いた発熱部導電層が、一端部で上
    側に隣り合う発熱部導電層と電気的に接続され、他端部
    で下側に隣り合う発熱部導電層と電気的に接続され、全
    体として交互に折り畳まれた形状となっており、 リード部がセラミック製のリード部導電体を有し、この
    リード部導電体が、発熱部導電層の最上層および最下層
    にそれぞれ電気的に接続された第一および第二リード部
    導電層から構成され、第一および第二リード部導電層が
    セラミック製のリード部絶縁層を介して積層された急速
    昇温発熱素子。
  2. 【請求項2】 発熱部導電層の厚さが10〜200μm
    であり、第一および第二リード部導電層の厚さが発熱部
    導電層の厚さの3〜100倍である請求項1の急速昇温
    発熱素子。
  3. 【請求項3】 発熱部導電体およびリード部導電体が、
    二珪化モリブデンとアルミナとを含有するか、二珪化モ
    リブデンとアルミナとシリカとを含有し、二珪化モリブ
    デンの体積占有率が48〜97%である請求項1または
    2の急速昇温発熱素子。
  4. 【請求項4】 発熱部導電体における二珪化モリブデン
    の体積占有率をリード部導電体における二珪化モリブデ
    ンの体積占有率で除した値が0.53〜1.0である請
    求項3の急速昇温発熱素子。
  5. 【請求項5】 発熱部導電体および/またはリード部導
    電体が、炭化チタンおよび硼化チタンの少なくとも一種
    を含有し、二珪化モリブデンとアルミナとシリカとの合
    計に対し、炭化チタンと硼化チタンとの合計が0.1〜
    5重量%である請求項3または4の急速昇温発熱素子。
  6. 【請求項6】 発熱部導電体の抵抗値がリード部導電体
    の抵抗値の5倍以上である請求項1〜5のいずれかの急
    速昇温発熱素子。
  7. 【請求項7】 発熱部表面のうち少なくとも発熱部導電
    体露出面が保護層で被覆されている請求項1〜6のいず
    れかの急速昇温発熱素子。
  8. 【請求項8】 リード部表面のうち少なくともリード部
    導電体露出面が保護層で被覆されている請求項7の急速
    昇温発熱素子。
  9. 【請求項9】 最上層および最下層の発熱部導電層より
    それぞれ上側および下側に、絶縁層を介して第一および
    第二保護導電層が積層されており、最上層の発熱部導電
    層と第一リード部導電層とが第一保護導電層により接続
    され、最下層の発熱部導電層と第二リード部導電層とが
    第二保護導電層により接続され、第一保護導電層および
    第二保護導電層が、いずれも保護絶縁層を介して積層さ
    れた2層の導電層からなり、これら2層の導電層が並列
    接続となっている請求項1〜8のいずれかの急速昇温発
    熱素子。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかの急速昇温発
    熱素子を製造する方法であって、導電性セラミック材料
    層と電気絶縁性セラミック材料層とを積層した後、切断
    して焼成する工程を有する急速昇温発熱素子の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 電気絶縁性セラミック材料層により導
    電性セラミック材料層が包囲されるように両者を積層し
    た後、焼成することにより、少なくとも発熱部表面が保
    護層により被覆された急速昇温発熱素子を得る請求項1
    0の急速昇温発熱素子の製造方法。
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