JPH0827567A - 酸化物超電導体薄膜の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導体薄膜の製造方法

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JPH0827567A
JPH0827567A JP6160922A JP16092294A JPH0827567A JP H0827567 A JPH0827567 A JP H0827567A JP 6160922 A JP6160922 A JP 6160922A JP 16092294 A JP16092294 A JP 16092294A JP H0827567 A JPH0827567 A JP H0827567A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜組成の再現性に優れるというレーザアブレ
ーション法の利点を生かし、超電導転移温度の劣化等を
防止した上で、膜表面に生じる微粒子を大幅に低下さ
せ、膜表面の平滑性を大幅に向上させることを可能にし
た酸化物超電導体薄膜の製造方法を提供する。 【構成】 酸化物超電導体の薄膜形成材料となるターゲ
ット2に、焦点Fを集光レンズ8とターゲット2との間
に設定したエキシマレーザ光B、すなわちオーバーフォ
ーカス状態のエキシマレーザ光Cを照射し、酸化物超電
導体の構成成分を蒸発させると共に、エキシマレーザ光
Bの焦点または光路に向けて酸素を吹き付けつつ、酸化
物超電導体薄膜をレーザアブレーション法により形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザアブレーション
法を適用した酸化物超電導体薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】臨界温度の高い酸化物超電導体を電子デ
バイスに応用するためには、薄膜化することが不可欠で
ある。酸化物超電導体薄膜の形成方法としては、スパッ
タ法、反応性蒸着法、CVD法、レーザアブレーション
法等の各種薄膜製造方法を適用することが試みられてい
る。
【0003】上述したような薄膜製造方法のなかでも、
特にレーザアブレーション法によれば、バルク状の酸化
物超電導体ターゲットと同組成の薄膜を容易に得ること
ができ、かつ Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体薄膜の場合、
転移温度が 90K級の薄膜を容易に得ることができため、
膜組成の再現性が特に重要な酸化物超電導体薄膜の形成
方法として期待されている。
【0004】しかし、レーザアブレーション法は、上述
したような利点が得られる反面、電子デバイスへの応用
上重要な膜表面の平坦性が劣るという難点を有してい
た。すなわち、レーザアブレーション法によって形成し
た酸化物超電導体薄膜の表面は、通常 1μm 程度の微粒
子が多数付着した粗い表面となってしまう。酸化物超電
導体薄膜を利用して超電導デバイスを作製する場合、極
薄の絶縁層や常電導金属層との積層構造が必要となる
が、上記したような微粒子が多数付着した粗い表面を有
する酸化物超電導体薄膜を用いた場合には、上下の超電
導電極間でショートが発生したり、また積層界面で結晶
性や配向性に乱れが生じる等の問題を招いてしまう。
【0005】また、上述したようなレーザアブレーショ
ン法に特有な膜表面の微粒子を減らす方策として、アブ
レーションの際の 1パルス当りのエネルギー密度を下げ
たり、成膜ごとにターゲット表面を研磨してからアブレ
ーションを行う等が提案されているが、得られる膜の転
移温度が著しく低下したり、膜組成の再現性が低下する
等、無視できない問題が新たに生じている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、酸化
物超電導体薄膜の形成に従来のレーザアブレーション法
を適用した場合、膜組成の再現性等には優れるものの、
膜表面の平滑性が著しく低下してしまうという問題があ
った。
【0007】酸化物超電導体薄膜を用いて超電導デバイ
スを作製する場合、極薄の絶縁層や常電導金属層との積
層構造が必要となるため、上述したような膜表面の微粒
子に起因する表面粗さは、極めて大きな問題である。
【0008】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、膜組成の再現性に優れるというレー
ザアブレーション法の利点を生かし、超電導転移温度の
劣化等を防止した上で、膜表面に生じる微粒子を大幅に
低下させ、膜表面の平滑性を大幅に向上させることを可
能にした酸化物超電導体薄膜の製造方法を提供すること
を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の酸化物超
電導体薄膜の製造方法は、酸化物超電導体の薄膜形成材
料にエキシマレーザ光を照射し、前記酸化物超電導体の
構成成分を蒸発させて、前記酸化物超電導体の薄膜をレ
ーザアブレーション法で形成するにあたり、前記エキシ
マレーザ光の焦点を集光レンズ系と前記薄膜形成材料と
の間に設定した状態で、前記エキシマレーザ光を前記薄
膜形成材料に照射すると共に、前記焦点または前記エキ
シマレーザ光の光路に向けて酸素を吹き付けつつ、前記
酸化物超電導体の薄膜を形成することを特徴としてい
る。
【0010】酸化物超電導体としては多数のものが知ら
れているが、本発明においては希土類元素含有のペロブ
スカイト構造を有する酸化物超電導体や、 Bi-Sr-Ca-Cu
-O系、 Ti-Ba-Ca-Cu-O系の酸化物超電導体等、種々の銅
系酸化物超電導体を適用することができる。ここでいう
希土類元素を含有しペロブスカイト構造を有する酸化物
超電導体としては、超電導状態を実現できるものであっ
て、REM 2 Cu3 O 7-y(REは Y、La、Sc、Nd、Sm、Eu、G
d、Dy、Ho、Er、Yb、Lu等の希土類元素から選ばれた少
なくとも1種の元素を、M はBa、Sr、Caから選ばれた少
なくとも 1種の元素を、 yは酸素欠損を表し通常は 1以
下の数を示し、Cuの一部はTi、V 、Cr、Mn、Fe、Co、N
i、Zn等で置換可能)で表される酸化物等が例示され
る。本発明は、特に上記した希土類系の酸化物超電導体
薄膜の作製に好適である。
【0011】本発明の酸化物超電導体薄膜の製造方法
は、いわゆるレーザアブレーション法を利用したもので
あり、薄膜形成材料となるターゲットとしては、例えば
目的とする酸化物超電導体薄膜と同組成のバルク状酸化
物超電導体が用いられる。
【0012】本発明の製造方法においては、上記したよ
うなターゲットに直接集光したエキシマレーザ光を照射
するのではなく、ターゲットと集光レンズ系との間に焦
点を設けた状態、すなわちオーバーフォーカスの状態
で、エキシマレーザ光を照射すると共に、エキシマレー
ザ光の焦点または光路に酸素を吹き付けつつ、酸化物超
電導体薄膜を形成する。エキシマレーザとしては、例え
ば ArFエキシマレーザやKrFエキシマレーザ等の紫外線
レーザが用いられる。
【0013】すなわち、本発明の酸化物超電導体薄膜の
製造方法は、レーザアブレーション法により酸化物超電
導体薄膜を形成した際に生じる膜表面の球状微粒子が、
その成因の詳細は明かではないが、エキシマレーザビー
ムの集光の度合いと関係があることを見出し、これに基
いてなされたものである。レーザアブレーション法に特
有な膜表面の微粒子は、ターゲット最表面の極薄い層に
のみエキシマレーザ光が吸収され、この部分が瞬時に加
熱、沸騰し、急激な蒸発が起こることに伴って生ずるも
のと推定される。実際、ターゲットに照射するエキシマ
レーザ光のエネルギー密度を下げて成膜した場合は、得
られる膜表面の微粒子は激減する。ただし、この場合に
は、ターゲット表面での強い励起も減るため、結果とし
て酸化物超電導体薄膜の超電導転移温度等も著しく低下
してしまう。
【0014】そこで、本発明においては、エキシマレー
ザ光の焦点をターゲットの手前に設定し、オーバーフォ
ーカスの状態のエキシマレーザ光をターゲットに照射す
るとと同時に、成膜中に導入する酸素をエキシマレーザ
光の焦点または光路に向けて吹き付けつつ酸化物超電導
体薄膜を形成する。オーバーフォーカスの状態のエキシ
マレーザ光を用いることにより、ターゲット表面の急激
な加熱、沸騰を回避することができるため、アブレーシ
ョンに伴うターゲットからの数ミクロンにも及ぶ大きな
粒子状の蒸発物が著しく減少し、結果として得られる膜
の表面の微粒子は著しく減少して、得られる薄膜の表面
性が大幅に改善される。
【0015】エキシマレーザ光のオーバーフォーカスの
程度は、用いるエキシマレーザの種類等によっても異な
るが、ターゲット上におけるエキシマレーザ光のエネル
ギー密度が 1J/cm2 以上となるように、焦点の位置を調
節することが好ましい。エキシマレーザ光のエネルギー
密度が 1J/cm2 未満となると、ターゲットと薄膜間に組
成変動等が生じるおそれがある。また、単にエキシマレ
ーザ光のエネルギー密度を下げた場合には、ターゲット
表面での励起範囲が減少するため、実用性が大幅に低下
してしまう。オーバーフォーカス状態のエキシマレーザ
光の照射は、実用性を低下させることなく、膜表面の改
善を図る手段であるといえる。
【0016】また、上記したようなオーバーフォーカス
の状態のエキシマレーザ光の照射と同時に、成膜中に導
入する酸素をエキシマレーザ光の焦点または光路に向け
て吹き付けて、エキシマレーザ光により酸素を励起する
ことによって、活性酸素の雰囲気中で成膜を行うことが
可能となる。これにより、活性な酸素が成長中の膜に効
率よく取り込まれるため、酸化物超電導体薄膜の超電導
転移温度を殆ど上限値に近い値とすることができる。こ
れらによって、ほとんど微粒子の存在しない平滑な表面
を有し、かつ超電導特性にも優れる酸化物超電導体薄膜
を作製することが可能となる。
【0017】ここで、酸素の吹き付け位置は、エキシマ
レーザ光の焦点の位置に接近させることが望ましい。こ
れにより、酸素を効率よく励起することが可能となり、
超電導特性の低下をより一層抑制することができる。
【0018】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0019】図1は、この実施例において用いた成膜装
置の構成を模式的に示す図である。同図において、1は
成膜室であり、この成膜室1内には、蒸発源(薄膜形成
材料)となるターゲット2と、このターゲット2と対向
配置された基板ホルダ3とが設置されている。基板ホル
ダ3の後方には、図示を省略した基板加熱用ヒータが設
けられている。また、成膜室1には、排気系4と O2 ガ
ス供給系5とが接続されている。
【0020】そして、ターゲット2を臨む位置(成膜室
1外)には、エキシマレーザ源6が配置されている。エ
キシマレーザ源6から射出されたエキシマレーザ光Aは
絞り7を通過し、この絞り7によって断面形状が成形さ
れたエキシマレーザ光Bは、集光レンズ8により集光さ
れ、成膜室1の透光窓1aを通過してターゲット2に照
射される。そして、図1に示したように、集光レンズ8
はターゲット2の手前にエキシマレーザ光Bが焦点Fを
結ぶように設置されている。すなわち、ターゲット2に
照射されるエキシマレーザ光は、焦点Fで一旦集束した
後に、再び広がった状態(オーバーフォーカス状態)の
エキシマレーザ光Cである。
【0021】また、 O2 ガス供給系5の O2 ガス導入口
5aは、上記エキシマレーザ光Bの光路に接近させて配
置されていると共に、エキシマレーザ光Bの焦点Fに向
けて開口されている。成膜室1内は、例えば全体として
数10Pa程度の酸素ガスで満たされている。
【0022】上述したような構成の成膜装置を用いて、
以下に示す手順により Y-Ba-Cu-O系の酸化物超電導体薄
膜を作製した。
【0023】まず、基板9として SrTiO3 の (100)基板
を、基板ホルダ3にセットし、基板加熱用ヒータにより
SrTiO3 (100) 基板9を約973Kに加熱した。次いで、成
膜室1内を 2.7×10-4Paまで排気した後、酸素ガスを67
Paまで導入した。なお、ターゲット2としては、 Y1 Ba
2 Cu3 O 7-y 組成のバルク材を用いた。
【0024】このような状態で、 KrFエキシマレーザ源
6から射出された KrFエキシマレーザ光Aの外周部を、
絞り7によってカットしてビームプロファイルを成形
し、この KrFエキシマレーザ光Bを集光レンズ8により
ターゲット2の手前の位置(焦点F)に集束させ、再び
広がった状態の KrFエキシマレーザ光Cをターゲット2
に照射して、 SrTiO3 (100) 基板9上に Y-Ba-Cu-O系酸
化物超電導体薄膜を成膜した。なお、ターゲット2上に
おける KrFエキシマレーザ光Cのエネルギー密度は 3.5
J/cm2 とした。
【0025】成膜中の O2 ガス導入は、 KrFエキシマレ
ーザ光Bの焦点Fに向けて開口したO2 ガス導入口5a
から行い、導入酸素の一部を KrFエキシマレーザ光Bで
励起しながら成膜を行った。成膜後、直ちに成膜室1内
に 8×104 Paまで酸素を導入し、毎分7Kで室温まで冷却
した。
【0026】以上の手順に従って作製した複数の Y-Ba-
Cu-O系酸化物超電導体薄膜の表面に存在する微粒子(粒
径 0.2μm 以上)の密度および超電導転移温度Tc それ
ぞれを調べた。それらの結果を表1に示す。
【0027】また、本発明との比較例して、 KrFエキシ
マレーザ光を完全にフォーカスさせてターゲットに照射
する以外は、上記実施例と同一条件で、 Y-Ba-Cu-O系酸
化物超電導体薄膜を成膜(比較例1)した。また、基板
温度を比較例1より 50K程低く設定する以外は、上記比
較例1と同一条件で、 Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体薄膜
を成膜(比較例2)した。これらについても、膜表面に
存在する微粒子(粒径0.2μm 以上)の密度および超電
導転移温度Tc を調べた。その結果を併せて表1に示
す。
【0028】
【表1】 表1の結果から明らかなように、上記実施例により作製
した各酸化物超電導体薄膜は、超電導転移温度Tc が十
分に高く、しかもレーザアブレーション膜に特有である
と言われていた、膜表面上の微粒子の数が非常に少な
い。実際、 1辺10μm の正方形の中に 1個以下となり、
超電導デバイスの作製用としても十分な表面平滑性を有
していると言える。
【0029】これは、上記実施例においてはターゲット
に KrFエキシマレーザ光をオーバーフォーカス状態で照
射して、ターゲット表面の急激な加熱、沸騰を回避する
ことによって、アブレーションに伴うターゲットからの
数ミクロンにも及ぶ大きな蒸発物が著しく減少し、結果
として得られた膜の表面の粒子は著しく減り、表面性が
大幅に改善されたためであり、また酸素ガス導入口を光
路上もしくは焦点の位置に接近させることによって、導
入された酸素が大量に励起されて活性な酸素が生成さ
れ、これが成長中の膜に効率よく取り込まれたことによ
る。よって、得られる酸化物超電導体薄膜はほとんど微
粒子の無い平滑な表面を有し、かつ超電導特性にも優れ
たものとなる。
【0030】これに対して、本発明との比較として行っ
た比較例1では、エキシマレーザ光の焦点をターゲット
上に設けた状態、すなわちジャストフォーカスの状態で
ターゲットに照射したため、得られた膜表面の微粒子の
数は圧倒的に多く、Tc は十分高いものの、デバイス用
として使えるようなものではなかった。また、比較例2
では、基板温度を 50K程度低く設定した上で、エキシマ
レーザ光をターゲット上に集光して成膜したため、微粒
子数は幾分低下しているとはいえ、いまだ十分多く、ま
たレーザアブレーション法に特有の高いTc は得られて
いない。
【0031】なお、上記実施例においては、本発明の製
造方法を Y-Ba-Cu-O系酸化物超電導体薄膜の作製に適用
した例について説明したが、他の酸化物超電導体薄膜の
作製においても同等の効果が得られた。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の酸化物超
電導体薄膜の製造方法によれば、膜組成の再現性に優
れ、超電導特性に優れる酸化物超電導体薄膜が得られる
レーザアブレーション法を用いて、微粒子の少ない表面
平滑性に優れた酸化物超電導体薄膜を再現性よく得るこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例で使用した成膜装置の構成
を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1……成膜室 2……ターゲット 5…… O2 ガス供給系 6……エキシマレーザ源 8……集光レンズ 9…… SrTiO3 (100) 基板 A、B、C……エキシマレーザ光 F……焦点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体の薄膜形成材料にエキシ
    マレーザ光を照射し、前記酸化物超電導体の構成成分を
    蒸発させて、前記酸化物超電導体の薄膜をレーザアブレ
    ーション法で形成するにあたり、 前記エキシマレーザ光の焦点を集光レンズ系と前記薄膜
    形成材料との間に設定した状態で、前記エキシマレーザ
    光を前記薄膜形成材料に照射すると共に、前記エキシマ
    レーザ光の焦点または光路に向けて酸素を吹き付けつ
    つ、前記酸化物超電導体の薄膜を形成することを特徴と
    する酸化物超電導体薄膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH05320882A (ja) * 1992-05-20 1993-12-07 Mitsubishi Kasei Corp 蒸着薄膜の作製法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05320882A (ja) * 1992-05-20 1993-12-07 Mitsubishi Kasei Corp 蒸着薄膜の作製法

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