JPH08295782A - An系重合体組成物及び該組成物の製造方法並 びに該組成物からの成形体の製造方法 - Google Patents

An系重合体組成物及び該組成物の製造方法並 びに該組成物からの成形体の製造方法

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JPH08295782A
JPH08295782A JP7124296A JP12429695A JPH08295782A JP H08295782 A JPH08295782 A JP H08295782A JP 7124296 A JP7124296 A JP 7124296A JP 12429695 A JP12429695 A JP 12429695A JP H08295782 A JPH08295782 A JP H08295782A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、毒性の有るAN単独、ある
いはAN系単量体混合物を含まず、その除去工程の不要
な、加熱溶融性AN系重合体組成物、およびその製造方
法と、該組成物の成形加工後においてAN系単量体混合
物除去工程を無くし、容易に該単量体を含まないAN系
重合体成形体を得る製造方法を提供することにある。 【構成】 AN単独、あるいはAN系単量体混合物を化
学反応により不揮発成分に変性せしめた不揮発成分、お
よびAN系重合体と、水とでなる加熱溶融性AN系重合
体組成物。そして、その製造方法。さらには、該組成物
を加熱溶融せしめた後に賦形することを特徴とするAN
系重合体成形体の製造方法である。 【効果】 アクリロニトリル系重合体溶融物より得ら
れる成形体には、単量体を含まないことより、単量体等
の除去、回収工程が省略できるため、工程が非常に簡略
化できること、および高速成形加工できる点で生産性の
著しい向上が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、AN系重合体組成物及
び該組成物の製造方法並びに該組成物からの成形体の製
造方法に関し、特にAN系単量体の重合後に、未反応物
として残留した単量体および単量体混合物あるいは可塑
剤として用いた単量体および単量体混合物そのものを、
成形された直後の成形体に含まない、AN系重合体組成
物及び該組成物の製造方法並びに該組成物からの成形体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】AN系重合体を少量の非溶剤の存在下に
高温、加熱処理すると、該重合体と非溶剤とが均相な流
動物、即ち溶融物となり、ポリエステル、ポリアミドの
溶融物の如き流動性を示すことが明らかとなり、かかる
溶融物を繊維等に成形する方法も、例えば米国特許第3
388202号明細書、特開昭48ー28982号公
報、特開昭48ー49839号公報、特開昭48ー52
832号公報等に見いだされる如く、いくつか提案され
ている。特に、これらの方法の多くは、AN系重合体に
対する非溶剤として水を使用するものであって、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ロダン塩水溶
液、濃硝酸等の如き従来から用いられている高価な溶剤
を使用せず、AN系重合体の成形体が得られるところ
に、著しい特徴を有するものである。
【0003】さらに、かかるAN系重合体の溶融現象を
重合系に応用することにより、ANの重合と同時に、A
N系重合体溶融体を製造する方法が特開昭50ー976
83号公報、特開昭54ー30281号公報、特開昭5
4ー23724号公報、特開昭54ー93122号公報
に、あるいは、AN単量体を可塑化効果を高める可塑化
剤として用いた特開昭51ー101061号公報等が提
案されるに至り、工程の短縮化、簡略化、コストダウ
ン、省資源等の観点から、プラスチック、フィルム、繊
維等の成形体製造にAN系重合体溶融体を用いる方法が
注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特許において提案された、AN単独、またはANを主成
分とする単量体混合物(以下、単にAN系単量体混合物
ともいう)の重合と同時に、AN系重合体溶融体を製造
する方法の場合、あるいは特開昭51ー101061号
公報にみられる通り、ANを可塑化効果を高める可塑化
剤として用いた場合、成形された直後の成形体には、A
Nを主成分とする未反応単量体および可塑化剤としての
AN単量体を含んでいる。
【0005】ANは、毒性が有り、最終製品には含まれ
ていてはならない。従って、最終製品に至るまでに完全
に除去されなければならず、この目的のために、成形加
工された製品は、長時間をかけて水中あるいは熱水中で
処理される、あるいは、減圧中で処理されるなどしてA
Nを除去する方法がとられている。また、この除去され
たAN自体も完全に回収されなければならず、そのため
の設備を必要とし、また生産性も低下させ、製造コスト
を上げるなどの問題があった。
【0006】本発明の目的は、毒性の有るAN単独、あ
るいはAN系単量体混合物を含まず、その除去工程の不
要な、加熱溶融性AN系重合体組成物、およびその製造
方法と、該組成物の成形加工後においてAN系単量体混
合物除去工程を無くし、容易に該単量体を含まないAN
系重合体成形体を得る製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、AN系単量
体混合物を含有する、加熱溶融性AN系重合体組成物を
成形加工する方法に関して、鋭意研究を続けてきた。そ
の結果、AN系単量体混合物を含有するAN系重合体で
なる加熱溶融性AN系重合体組成物において、AN系単
量体混合物を化学反応により不揮発性物質に変換させる
ことにより、もはや「単量体」としては含まれない加熱
溶融性AN系重合体組成物を得ることが出来、さらに該
組成物を成形加工することにより、成形加工後に、AN
系単量体混合物を除去する工程を必要としない、AN系
重合体成形体を得る製造方法を見出し本発明を完成させ
るに到った。
【0008】即ち本発明は、 ・AN単独、またはANを主成分とし、残部が少なくと
も1種の他の重合性エチレン系不飽和化合物でなるAN
系単量体混合物を化学反応により不揮発性に変性せしめ
た不揮発成分(a)と、 ・AN単独、または60重量%以上のANを結合含有す
るAN系重合体(b)と、 ・水(c)、でなる加熱溶融性AN系重合体組成物にあ
る。ここで該化学反応はマイケル付加反応であることが
望ましい。また本発明は、 ・AN単独、またはANを主成分とし、残部が少なくと
も1種の他の重合性エチレン系不飽和化合物でなるAN
系単量体混合物(d)と、 ・AN単独、または60重量%以上のANを結合含有す
るAN系重合体(b)と、 ・水(c)、でなる混合物を溶融せしめ、該溶融物中の
単量体混合物(d)を化学反応により不揮発性に変性せ
しめることを特徴とする、加熱溶融性AN系重合体組成
物の製造方法であり、望ましくは、該化学反応がマイケ
ル付加反応であるものが推奨される。さらに本発明は、
上記のいずれかの加熱溶融性AN系重合体組成物を、加
熱溶融せしめた後に賦形することを特徴とする、AN系
重合体成形体の製造方法を包含する。尚ここで、不揮発
性とは常圧における沸点が200℃以上または沸点を有
しないことをいう。かかる本発明により、毒性のある
「単量体」としてのAN系単量体混合物を含有しないA
N系重合体組成物あるいは成形体や、それらの製造方法
が提供される。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明にお
ける化学反応により不揮発成分に変換されるAN系単量
体混合物とは、AN単独または、ANを主成分とし残部
が少なくとも1種の他のエチレン系不飽和化合物からな
る単量体混合物であり、具体的には、ANと共重合し得
る公知の不飽和化合物、例えば塩化ビニル、臭化ビニ
ル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニ
ルおよびハロゲン化ビニリデン類;アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸
およびこれらの塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリ
ル酸メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸
シクロヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、
メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタク
リル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;メ
チルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等の不飽和
ケトン類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル
類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等の
ビニルエーテル類;アクリルアミドおよびそのアルキル
置換体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン
酸およびこれらの塩類;スチレン、メチルスチレン、ク
ロロスチレン等のスチレンおよびそのアルキルまたはハ
ロゲン置換体;アリルアルコールおよびそのエステルま
たはエーテル類;ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の塩基性ビ
ニル化合物;アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和
アルデヒド類;メタクリロニトリル、シアン化ビニリデ
ン等の不飽和ニトリル類;グリシジルメタクリレート、
N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタ
クリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
アクリレート等の架橋性ビニル化合物をあげることがで
きる。
【0010】なお、本発明における、不揮発成分
(a)、AN系重合体(b)および水(c)の混合体の
割合は加熱溶融性AN系重合体組成物を得られる範囲で
あれば特に限定はなく、任意に設定することができる
が、AN系重合体(b)が50重量%以上、水(c)が
40重量%以下および不揮発成分(a)が30重量%以
下である場合が望ましい。
【0011】また、本発明における、AN系単量体混合
物(d)、AN系重合体(b)および水(c)の混合体
の割合は加熱溶融性AN系重合体組成物を得られる範囲
であれば特に限定はなく、任意に設定することができる
が、AN系重合体(b)が50重量%以上、水(c)が
40重量%以下およびAN系単量体混合物(d)が30
重量%以下である場合が望ましい。
【0012】本発明における、AN系単量体混合物を不
揮発成分に変換する化学反応としては、特に限定はな
く、該混合物、およびAN単独または少なくとも60重
量%のANおよび少なくとも1種の他のエチレン系不飽
和化合物でなるAN系重合体と、水とが存在する混合系
で行える反応であり、かつ目的とする該混合物の不揮発
性への変性が成り、AN系重合体自身が化学的に影響を
受けない限りにおいては、いかなる反応をも用いること
ができる。
【0013】ただ望ましくは、AN系重合体に影響をあ
たえず、AN系単量体混合物の主成分であるAN単量体
を効率的に不揮発性物質に変換するために、ANの反応
性を利用した、マイケル付加反応を用いると良い結果を
与える。また、このマイケル付加反応の場合、AN単量
体と共重合し易い単量体は、同様な反応をする場合が多
く有効である。
【0014】尚ここで、不揮発性とは前述したように常
圧における沸点が200℃以上または、沸点を有しない
ことをいうが、例えば、ANは亜硫酸ナトリウムと反応
するとスルホプロピオニトリルのナトリウム塩となり、
沸点を有しない化合物に変性させることができる。ま
た、よく共重合に使用される、アクリル酸メチルも亜硫
酸ナトリウムとの反応により、スルホプロピオン酸メチ
ルエステルのナトリウム塩となり、沸点を有しない化合
物に変性させることができる。これらは、ANのごとき
毒性を有しないため、製品中に残存しても問題となるも
のではない。
【0015】該マイケル付加反応を起こすための反応剤
としては、求核性を有する化合物であり、その単量体と
の反応による生成物が上述の不揮発性物質を与えるもの
であれば、いかなる反応剤も用いることができる。具体
的には、アルコール、メルカプト、エーテル、アルデヒ
ド、ケトン、酸クロライド、カルボン酸、エステル、ア
ミド、1級,2級,3級,4級の各アミン、サルファイ
ドなどの官能基を有する有機化合物、および該化合物の
アニオン誘導体並びに各種アニオン化合物;オキサイ
ド、チオレート、ヒドリド、チオレート、サルファイ
ド、サイアナイド、ヒドロキシド、アイオダイド、アザ
イド、クロライド、ブロマイド、アセテート等の有機化
合物があげられる。また、水酸化ナトリウム,カリウ
ム,リチウム等の水酸化アルカリ塩化合物、炭酸塩、ア
ルカリ性無機塩、無機酸等の無機物質を用いることがで
きる。
【0016】また、これらの反応剤とともに、触媒とし
て各種アルカリ物質、金属アルカリ、水酸化化合物、炭
酸塩化合物、トリトンB、アルキルアルコキシド等の有
機および無機塩基性化合物等を用いることは、何ら本発
明において制限されるものではない。
【0017】さらに不揮発化変性対象がAN単量体の場
合には、マイケル付加反応のなかでも特に、シアノエチ
レーションと呼ばれる一連の反応があり、この反応は、
ANを不揮発性物質に変換するためには特に好ましい。
この反応剤としては、例えば、「ORGANIC RE
ACTIONS,Volume V」に記載されている
反応剤等があげられ、水、アルコール、オキシム、硫化
水素、メルカプタン、無機酸、青酸、ハロホルム、サル
ホン、ニトロ化合物、ケトン、アルデヒド、マロン酸お
よびシアノ酢酸の誘導体、アリルアセトニトリル、α、
βー不飽和ニトリル、環状ジエン、有機過酸、アンモニ
ア、アミド、スルファミン酸、3級アルキル、スルフィ
ン酸などが用いられる。この中でも特に好ましい反応剤
としては、コスト、反応性、反応生成物の点から、亜硫
酸、亜硫酸アルカリ塩、メタ重亜硫酸アルカリ塩、重亜
硫酸アルカリ塩、あるいは多価アルコール類等が望まし
い。
【0018】なお本発明におけるAN系単量体混合物
の、不揮発成分への化学変換に際して、化学反応を起こ
させる反応剤の混合方法は、格別の制限は認められず、
公知の混合手段から任意に選択することができるが、ピ
ンミキサー等で瞬時に完全に混合したほうが良い結果を
与える場合がある。また、該化学変換に際して、化学反
応を起こさせる反応剤の混合量については、該単量体成
分が完全に反応しうる量であれば特に限定はない。但
し、反応剤自体が有害な物質である場合はAN系重合体
組成物およびその成形体に残留することは好ましくない
ため、AN系単量体混合物と等モル量の添加を行う必要
がある。一方、反応剤自体が有害でない場合は、AN系
単量体混合物に対し過剰モル量の添加が好ましい。
【0019】本発明における、AN系単量体混合物が化
学反応により変換された不揮発成分は、該不揮発成分を
含むAN系重合体組成物が成形体となった後、有害な物
質が揮発、飛散しないものである限りは何ら限定はな
い。実際には、既述したように常圧での沸点が200℃
以上、あるいは沸点を有しない物質、即ち、沸騰よりも
前に分解が生じる化合物が望ましい。この様な化合物と
しては、アルカリ性の水との反応によるオキシジプロピ
ルニトリル、青酸との反応によるサクシノニトリル、青
酸ナトリウムとの反応によるサクシノイミド、アルコー
ル類との反応によるアルコキシプロピオニトリル類、ア
ルキル過酸化物との反応によるアルキルパーオキシプロ
ピオニトリル類、硫化水素との反応によるチオプロピオ
ニトリル、アルキルメルカプト類との反応によるアルキ
ルメルカプトプロピオニトリル類、アンモニアとの反応
によるイミノジプロピオニトリルあるいはトリシアノエ
チルアミン、アルキルアミン類との反応によるアルキル
アミノジプロピルニトリル類、アルキルアミド類との反
応によるアシルイミノジプロピルニトリル類、亜硫酸あ
るいは亜硫酸ナトリウムによるスルホプロピオニトリル
およびそのナトリウム塩、3級アルキル類との反応によ
るアルキル置換ブチロニトリル、アルキルスルフィン類
との反応によるアルキルスルホニルプロピオニトリル
類、アルキルスルファミン類との反応によるアルカンス
ルフォニルイミノジプロピオニトリル類などがあげら
れ、なかでも特に分子量が大きな物質、またはスルホン
酸基等の不揮発性物質を誘導し易い、極性官能基を有す
る化合物、例えばナトリウムスルホプロピオニトリル、
アルカンスルフォニルイミノジプロピオニトリル類、ア
ルキルスルホニルプロピオニトリル類等、あるいは多価
アルコールとの反応によるアルコキシプロピオニトリル
類が望ましい。
【0020】本発明におけるAN系重合体成形体の形状
としては、3次元のブロック、即ち、プラスチック、二
次元のフィルム、一次元の繊維等であり、所望の形状に
成形する技術および装置は、従来の方法および装置をそ
のまま採用することが可能である。例えば、プラスチッ
クの成形技術として、圧縮成形、トランスファー成形、
射出成形、押し出し成形等、フィルムの成形技術とし
て、カレンダー法、Tダイ法、インフレーション法等、
繊維の紡糸技術として、半溶融紡糸法、溶融紡糸法等を
任意に選択して使用することが出来る。
【0021】なお、本発明の実施に際して、成形して得
られたフィルムを1軸または2軸延伸して配向させた
り、また半溶融紡糸法、溶融紡糸法で得られたAN系合
成繊維に、引き続き通常の延伸、乾燥、弛緩熱処理、機
械倦縮付与等を施したりすることは、本発明の要旨から
なんら逸脱するものではない。
【0022】また、成形加工される際の温度に関して
は、AN系重合体溶融体が得られる温度である限り特に
限定はない。但し実用上の点から、温度が高すぎた場
合、着色が起こる、あるいはAN系重合体自体が、化学
反応を起こし変性するといった問題を起こす可能性があ
るので、230℃以下、さらには190℃以下とするこ
とが好ましい。
【0023】なお、本発明に係わるAN系重合体組成物
あるいは成形体に悪影響を与えない範囲において、AN
系重合体の性質を改善するための添加剤、例えば着色防
止剤、耐熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線安定
剤、顔料、発泡剤等をAN系重合体混合物系に存在せし
めることも何ら差し支えない。
【0024】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明の要旨はこれによって限定されるもので
はない。なお、実施例中、部および百分率は特に断りの
ない限り重量基準で示す。
【0025】また、成形加工後に残留している単量体成
分である、AN単独、またはANを主成分としたAN系
単量体混合物の測定は、成形加工直後の雰囲気ガスを回
収し、ガスクロマトグラフにより該単量体の濃度を測定
した。また、得られた成形製品については、20倍量の
ヘキサンを用い、1日室温で抽出処理を行い、ヘキサン
中の単量体成分濃度を測定することにより、もとの成形
製品中に残存する単量体成分の濃度を定量した。それぞ
れの検出限界は、0.5体積ppmおよび0.5重量p
pmである。
【0026】実施例1 AN90部およびアクリル酸メチル10部よりなる単量
体混合物に、開始剤として、ジーtertーブチルパー
オキサイド1部を混合し、溶解せしめた。次いでこの単
量体溶液88部と水12部をオートクレーブに供給し、
撹拌、自生圧下、2℃/分の割合で120℃まで加熱昇
温し、この温度で60分間保持することにより重合せし
め、AN系重合体溶融物を得た。ついで得られた該溶融
物に、メタ重亜硫酸ナトリウム3部を添加し150℃で
10分間反応を行い、未重合であったAN系単量体混合
物を不揮発成分に化学変性せしめた溶融物を得た。得ら
れた該溶融組成物を孔径0.1mmの紡糸孔を通じて水
蒸気加圧下の紡糸筒中に紡出した。その結果、紡出時に
未反応単量体が急激に蒸発する現象は認められず、安定
な紡糸が継続できた。また紡出繊維から、粘度平均分子
量が57、800のAN系重合体を生成していることを
確認した。延伸処理後の得られた繊維は、5.2デニー
ル、強度3.8g/dであった。紡糸加工直後の雰囲気
ガス中の単量体、および得られた製品中の単量体濃度は
いずれも、検出限界以下であり実用上問題がなかった。
【0027】実施例2 88部のANと12部のメタクリル酸メチルからなり、
且つ55,000の粘度平均分子量をもつAN系重合体
83.2部に対し、12.8部の水と4.0部のANを
加える。該重合体ー水ーAN混合物を128℃、単軸押
出機で均一な溶融物にした後、連続してこの溶融物に、
メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液を混合し、128℃のピ
ンミキサーに、滞留時間2分という条件で、通すことに
よりANをβスルホプロピオニトリルに変換する。該ピ
ンミキサーの末端には、直径120μm、169のオリ
フィスを有する紡糸口金を装備し、この口金より水蒸気
加圧下の紡糸筒中に紡出された繊維を延伸することによ
り2.5dの繊維を得ることができた。紡出時に未反応
単量体が急激に蒸発する現象は認められず、安定な紡糸
が継続できた。紡糸加工直後の雰囲気ガス中の単量体、
および得られた製品中の単量体濃度はいずれも、検出限
界以下であり実用上問題がなかった。
【0028】実施例3 ピンミキサーの末端に、幅20ミル、長さ160ミルの
ダイスを取り付け、溶融物を5m/分で押し出し、延伸
してフィルムを得ること以外は、実施例2と同様な操作
をおこなった。得られたフィルムの厚みは概ね2ミルで
あった。フィルム押し出し成形時に未反応単量体が急激
に蒸発する現象は認められず、安定な吐出が継続でき
た。フィルム加工直後の雰囲気ガス中の単量体、および
得られた製品中の単量体濃度はいずれも、検出限界以下
であり実用上問題がなかった。
【0029】実施例4 メタ重亜硫酸ナトリウムのかわりに、ベンゼンスルフィ
ン酸を用いた以外は、実施例1と同じ方法で、4.8d
のAN系繊維を得た。この系においても、紡出時に未反
応単量体が急激に蒸発する現象は認められず、安定な紡
糸が継続できた。フィルム加工直後の雰囲気ガス中の単
量体、および得られた製品中の単量体濃度はいずれも、
検出限界以下であり実用上問題がなかった。
【0030】実施例5 メタ重亜硫酸ナトリウムのかわりに、ペンタエリスリト
ールを用いた以外は、実施例2と同じ方法で、2.2d
のAN系繊維を得た。この系においても、紡出時に未反
応単量体が急激に蒸発する現象は認められず、安定な紡
糸が継続できた。紡出直後の雰囲気ガス中の単量体、お
よび得られた製品中の単量体濃度はいずれも、検出限界
以下であり実用上問題がなかった。
【0031】実施例6 メタ重亜硫酸ナトリウムのかわりに、ベンゼンスルホン
アミドを用いた以外は、実施例3と同じ方法で、2.5
ミル厚のAN系フィルムを得た。この系においても、溶
融物吐出時に未反応単量体が急激に蒸発する現象は認め
られず、安定な成形加工が継続できた。フィルム加工直
後の雰囲気ガス中の単量体、および得られた製品中の単
量体濃度はいずれも、検出限界以下であり実用上問題が
なかった。
【0032】
【比較例】
【0033】比較例1 メタ重亜硫酸ナトリウムを溶融物に添加しなかった以外
は、実施例1と同様な方法で、繊維を得ることを試み
た。しかし、紡出時に未反応単量体の強い臭気が認めら
れ、作業環境として問題であった。紡糸加工直後の雰囲
気ガス中の単量体濃度は23体積ppm、得られた製品
中の単量体濃度は46重量ppmであり、有害物質を多
量に含んでいることより実用に供することはできなかっ
た。
【0034】比較例2 ペンタエリスリトールを溶融物に添加しなかった以外
は、実施例5と同様な方法で、繊維を得ることを試み
た。しかし、紡出時に未反応単量体の強い臭気が認めら
れ、作業環境として問題があった。紡糸加工直後の雰囲
気ガス中の単量体濃度は82体積ppm、得られた製品
中の単量体濃度は36重量ppmであり、有害物質を多
量に含んでいることより実用に供することはできなかっ
た。
【0035】比較例3 ベンゼンスルホンアミドを溶融物に添加しなかった以外
は、実施例6と同様な方法で、フィルムを得ることを試
みた。しかし、溶融物吐出時に未反応単量体の強い臭気
が認められ、作業環境としては問題があった。吐出加工
直後の雰囲気ガス中の単量体濃度は66体積ppm、得
られた製品中の単量体濃度は21重量ppmであり、有
害物質を多量に含んでいることより実用に供することは
できなかった。
【0036】
【発明の効果】本発明は、AN系重合体の溶融物を成形
加工するという方法であることより、従来のAN系成形
品の製造方法に不可欠なドープ調整、溶剤回収の工程が
省略でき、経済性、操業性の点で有利になるばかりか、
成形体には単量体を含まないことより、人体に対しても
安全な製品を提供でき、単量体等の除去、回収工程も不
要となって、工程が非常に簡略化できること、および高
速成形加工できる点で生産性の著しい向上が期待でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠原 竜一 岡山県岡山市金岡東町3丁目1番12号

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】・アクリロニトリル(以下、ANという)
    単独、またはANを主成分とし、残部が少なくとも1種
    の他の重合性エチレン系不飽和化合物でなるAN系単量
    体混合物を化学反応により不揮発性に変性せしめた不揮
    発成分(a)と、 ・AN単独、または60重量%以上のANを結合含有す
    るAN系重合体(b)と、 ・水(c)、でなる加熱溶融性AN系重合体組成物。但
    し、不揮発性とは常圧における沸点が200℃以上また
    は沸点を有しないことをいう。
  2. 【請求項2】化学反応がマイケル付加反応によるもので
    あることを特徴とする、請求項1記載の加熱溶融性AN
    系重合体組成物。
  3. 【請求項3】・AN単独、またはANを主成分とし、残
    部が少なくとも1種の他の重合性エチレン系不飽和化合
    物でなるAN系単量体混合物(d)と、 ・AN単独、または60重量%以上のANを結合含有す
    るAN系重合体(b)と、 ・水(c)、でなる混合物を溶融せしめ、該溶融物中の
    単量体混合物(d)を化学反応により不揮発性に変性せ
    しめることを特徴とする、加熱溶融性AN系重合体組成
    物の製造方法。但し、不揮発性とは常圧における沸点が
    200℃以上または沸点を有しないことをいう。
  4. 【請求項4】化学反応がマイケル付加反応であることを
    特徴とする、請求項3記載の加熱溶融性AN系重合体組
    成物の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1から4のいずれかに記載の、加熱
    溶融性AN系重合体組成物を加熱溶融せしめた後に賦形
    することを特徴とする、AN系重合体成形体の製造方
    法。
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