JPH084501B2 - 糖鎖に関する変異tPA - Google Patents

糖鎖に関する変異tPA

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JPH084501B2
JPH084501B2 JP62064339A JP6433987A JPH084501B2 JP H084501 B2 JPH084501 B2 JP H084501B2 JP 62064339 A JP62064339 A JP 62064339A JP 6433987 A JP6433987 A JP 6433987A JP H084501 B2 JPH084501 B2 JP H084501B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (1)産業上の利用分野 本発明は新規な糖鎖変異tPAとその医薬組成物並びに
該変異tPAの生産に係る遺伝子組換技術に関する。さら
に詳しくはtPAのアミノ酸配列においてアミノ酸の新規
な置換をおこない,該置換によってアスパラギン結合型
糖鎖に変異をもたらし,該変異によってtPAの医薬用途
における特性を改善することを内容とする。従って本発
明は医療用医薬品の分野において利用することができ
る。
(2)従来技術 組織プラスミノーゲン活性化因子(本発明においてtP
Aと略記される)が医薬品分野において特に血栓症治療
剤として有用な物質であり,その利用をいっそう容易に
する目的で遺伝子組換技術が応用されることは一般に公
知であり,下記文献1)〜3)に示されるとおりであ
る。またtPAの生体内利用を高める目的でtPAのアミノ酸
配列に各種の構造的変異を加える試みがなされており,
この目的のために同様に遺伝子組換技術が応用されてい
ることも一般に公知であり,例えば下記文献4)〜9)
に示されるとおりである。
1)欧州特許出願公開 No.0041766 A2 2)欧州特許出願公開 No.0093619 A1 3)ペニカ エタール.,ネイチャー301 214−221(1983) (Pennica et al.,Nature301 214−221(1983)) 4)エッチ.カギタニ,エタール.,フェブスレット.189
巻,1号(1985)145−149 (H.Kagitani, et al.,FEBS Lett. Vol.189,No.1(198
5)145−149) 5)エー.ジェー.ブイ.ゾンネベルト,エタール:プ
ロッシ.ナショル.アカド.サイ.ユーエスエー83,467
0−4674(1986) (A.J.V.Sonneveld,et al:Proc.Natl.Acad.Sci.USA83,4
670−4674(1986)) 6)国際特許出願公開 No.8601538 7)欧州特許出願公開 No.0155387 A2 8)欧州特許出願公開 No.0178105 A2 9)欧州特許出願公開 No.0199574 A tPAのアミノ酸配列における構造的変異の中に糖鎖変
異を目的としたものがある。すなわちtPAは他の多くの
生理活性物質と同様に糖蛋白質であり,通常は分子内に
3本あるいは2本のアスパラギン結合型糖鎖を持ってい
る。従ってこれら糖鎖の増減変異がtPAの生体内利用に
関連する諸々の物理化学的特性に重要な影響を及ぼすで
あろうことは容易に推考することができる。例えばアス
パラギン結合型糖鎖を増加して水溶性を高めるとか,糖
鎖の結合位置を変化せしめて溶解度と血中消失時間の双
方を同時に満足する最適値を求めるとか,目的に応じた
各種の改良を意図することができる。前記文献8)は子
宮由来のtPAの3本のアスパラギン結合型糖鎖をすべて
消失せしめたるための技術を開示している。
他方,糖蛋白質において糖鎖が蛋白質に結合する部位
についてはある種の規則性の存在することが知られてい
る。すなわち糖鎖は一般に蛋白質中のアスパラギン残基
に結合し,しかも当該アスパラギンを含むアミノ酸配列
はいわゆるAsparginesequonと呼ばれる規則的な配列を
しており,これは例えば下記文献10)〜16)によれば三
つのアミノ酸から構成される配列,すなわちトリプレッ
トであって,具体的にはAsn−X−Thr,Asn−X−Serあ
るいはAsn−X−Cysによって示され,Xはプロリン以外の
いずれのアミノ酸でもよいことが知られている。
10)イー.バウゼ,エ タール:フェブスレターズ,108
巻2号 341〜344(1979) (E.Bause,et al:FEBS LETTERS Vol.108,No.2 341〜344
(1979)) 11)イー.バウゼ,エ タール:バイオケム.ジェー.
(1982)203,761〜768 (E.Bause,et al:Biochem.J.(1982)203,761〜768) 12)イー.バウゼ:バイオケム.ジェー.(1983)209,
331〜336 (E.Bause:Biochem.J.(1983)209,331〜336) 13)アール.ディー.マーシャル:バイオケミカル ソ
サイエティー トランスアクションズ(1984)12巻 51
3〜514 (R.D.Marshall:Biochemical Society Transactions(1
984)Vol.12,513〜514) 14)イー.バウゼ:同誌(1984)12巻 514〜517 (E.Bause:ibid.(1984)Vol.12,514〜517) 15)ディー.ケー.ストラック アンド ダブル.ジェ
ー.レンナルツ イン ダブル.ジェー.レンナルツ編
ザ バイオケミストリー オブ グリコプロティンア
ンド プロテオグリカンス,プレナムプレス,1980,ニュ
ーヨーク,35〜83頁 (W.K.Struck and W.J.Lennarz in W.J.Lennarz ed.The
Biochemistry of Glycoprotein and Proteoglycans,Pl
enum Press,1980,New York,pp35〜83) 16)シー.ロニン,エタール.,フェブス レット.,96,1
79(1978) (C.Ronin,et al.,FEBS Lett.,96,179(1978)) (3)発明が解決しようとする問題点 tPAにおける糖鎖の問題については,これまでに前記
文献8)による以外には特別な開示はなされていない。
しかしながら糖鎖の問題に対してはより多くの考慮がは
らわれる必要がある。例えば前記したAsparagine sequo
nを構成するトリプレットを分子内に有しながら,ある
種のトリプレットでは当該部位に糖鎖が結合する分子と
結合しない分子とが混在し,その結果生産物のロットご
とに結合糖鎖数が変動してしまうことが知られている。
このような結合糖鎖数の不均一性はプラスミノーゲン,
セルロプラスミン,プロラクチン,マウスIgM,ウシα−
ラクトアルブミン等においてすでに観察されているが,t
PAにおいても同様であり,下記文献17)によれば天然tP
Aのアミノ酸位置番号184〜186のトリプレットであるAsn
−Gly−Serに対する糖鎖の結合は特に不確実であり,そ
の結果,結合糖鎖数の不均一を招いている。
17)グンナー ポール,エタール.,バイオケミストリ
ー,23,3701−3707(1984) (Gunnar Pohl,et al.,Biochemistry,23,3701−3707(1
984)) 特定部位に糖鎖の結合している蛋白質と結合していな
い蛋白質とを分離することはきわめて困難であるので,
実際には不均一のまま使用されることになるが,その結
果は好ましくない。例えば溶解度等の物性が糖鎖の結合
していない蛋白質の存在に応じて変化し,また非経口投
与でしばしば観察される免疫原性が変化して品質が一定
しない。すなわち天然tPAには医療用医薬品として利用
する上で重要な用件である品質についてこれが一定しな
いという欠点がある。従って特定部位への糖鎖の結合を
均一にするための特別の技術が提供される必要がある。
またtPAの糖鎖には別の角度からも考慮がはらわれなけ
ればならない。すなわちtPAの実用化にあたってはこれ
を医療用医薬品として使用する目的や程度に応じてその
血栓溶解活性を変化させあるいは溶解度や血中半減期を
調整することが必要であり,これを糖鎖の変異で達成す
ることが望まれる。本発明はこの目的のためにおこなう
べき変異tPAの提供を問題点とした。
(4)問題点を解決するための手段 本発明者は前記問題点に対し種々の検討を行い,その
結果,天然tPAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186
番のSerをそれぞれSerおよびThrに置換するか,119番のS
erをMetに置換するか,96番のGln,98番のIle,119番のSer
をそれぞれAsn,Thr,Metに置換することによって解決さ
れることを知り,本発明を完成するに至った。すなわち
本発明は上記によって示されるとおりのアミノ酸置換を
特徴する糖鎖に関する変異tPA,その医薬組成物並びに該
tPAの生産に係る遺伝子組換技術を要旨とするものであ
る。
以下に本発明定義,構成,方法の項に分けて説明す
る。
定義 本発明において天然tPAとはヒトメラノーマ細胞のmRN
Aから転写して得られるcDNA(原cDNAと呼ぶことにす
る)並びに該cDNAに該cDNAがコードするアミノ酸配列に
変異が起らない範囲内の人工的変異が加えられたcDNA
(類似cDNAと呼ぶことにする)がコードするアミノ酸配
列を有するtPA活性ペプチドを言う。このアミノ酸配列
および該配列における各アミノ酸のアミノ酸位置番号は
ペニカらによってすでに文献3)に詳細に開示されてお
り,本発明における天然tPAのアミノ酸配列および各ア
ミノ酸のアミノ酸位置番号は同文献のFig3に記載される
配列および位置番号によって特定される。
変異tPAとは原cDNAまたは類似cDNAにこれらcDNAがコ
ードするアミノ酸配列に変異が起る程度に特別の人工的
変異が加えられたcDNA(変異cDNAと呼ぶことにする)が
コードするアミノ酸配列を有するtPA活性ペプチドであ
ると定義される。ここで特別な人工的変異とは遺伝子組
換操作,例えばZoller and Smithの部位特異的変異誘発
を利用してcDNAの核酸塩基配列に部分的な欠落,附加,
変換が加えられることを言う。従って変異tPAのアミノ
酸配列は天然tPAのアミノ酸配列が部分的に欠落,附
加,変換したものであると言うことができる。本発明に
おいて変異の語が各種の局面において各種の意味で使用
されるが,混乱を避けるために議論される局面に応じて
区別して使用される必要があり,例えば核酸塩基配列に
部分的な欠落,附加,変換があった場合にはcDNAの核酸
塩基配列の配列変異であり,アミノ酸配列に部分的な欠
落,附加,変換があった場合にはアミノ酸配列の配列変
異であり,結合糖鎖に欠落,附加,変換があった場合に
は糖鎖の結合変異であるとそれぞれ区別される。本発明
に係る変異tPAは当該変異の結果として二次的に糖鎖変
異を伴なっている。従って単にアミノ酸配列における変
異のみを問題として議輪する場合に該tPAを変異tPAと呼
び,糖鎖変異にまで着目し,糖鎖変異を特に強調する必
要のある変異tPAを指称する場合には別に糖鎖変異tPAの
語をもって区別することにする。
構成 本発明の構成上の特徴は糖鎖変異を目的とした所定の
アミノ酸位置番号のアミノ酸の他のアミノ酸への置換で
ある。第一種はアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186
番のSerをそれぞれSerおよびThrに置換することであ
り,これによりアミノ酸位置番号184番のAsnに対する糖
鎖結合を均一化することができる。すなわち前記したご
とく天然tPAの該Asnに対する糖鎖の結合が不均一である
ために品質を損ねているのであるが,本発明により一定
品質の生産物の提供が可能となる。第二種はアミノ酸位
置番号119番のSerをMetに置換することであり,これに
より117番のAsnに結合する糖鎖が消失し,血中半減期が
長くなる。第三種はアミノ酸位置番号96番のGln,98番の
Ileおよび119番のSerをそれぞれAsn,ThrおよびMetに置
換することであり,これによりアミノ酸位置番号117番
のAsnに結合する糖鎖が消失し,アミノ酸位置番号96番
に新たに糖鎖が結合する。
次に本発明の最終目的物質は遺伝子組換技術によって
生産することができる。従って本発明変異tPAをコード
するcDNA,該cDNAを外来遺伝子として含み,かつ選択し
た宿主内で制禦および発現が可能となるように連結して
得られた発現プラスミドは本発明最終目的物質の生産の
ために必要な中間物質であり,同一の問題点を解決する
意味において発明としては供に一体となるべきものであ
る。発現プラスミドの具体例としてZem99−6000,同−63
00,同−6400,によって識別表示されるプラスミドをあげ
ることができ,これらはいずれもそれぞれ後記実施例に
おいて示される。また発現プラスミドによって形質転換
された宿主もcDNAおよび発現プラスミドと同様に発明と
しては供に一体となるべきものであり,宿主としては大
腸菌や動物細胞,とりわけBHK細胞が使用される。形質
転換した大腸菌の例としてEscherichiacoli RR1−Zem99
−6000,同−6300,同−6400によって識別表示される大腸
菌をあげることができ,これらはいずれもそれぞれ後記
実施例において示され,かつそれぞれの表示をもって微
工研に寄託されている。
最終目的物質である本発明糖鎖変異tPAは天然tPAが変
異したものであるにもかかわらず,後記実験例によって
示されるごとく天然tPAの活性,すなわち血栓溶解活性
を天然tPAと同程度に有している。従って天然tPAが医薬
組成物の必須の有効成分となって,その活性を利用する
医療目的に提供されるのと同様に,本発明糖鎖変異tPA
もその活性を利用する治療目的のための医薬組成物の必
須の有効成分となることができる。とりわけ各種の血栓
症治療剤となることができるのは後記実験例より明らか
である。ところで後記実験例によって示されるごとく,
本発明糖鎖tPAの血中消失半減期は天然tPAのそれに比べ
て2〜10倍大きい。この点を考慮すると本発明糖鎖変異
tPAは天然tPAよりも優れた血栓症治療剤となることが知
られる。すなわち,天然tPAの一日当りの用量はその急
速な血中消失を配慮して30mg−150mg/人であるとみられ
るに対し,本発明糖鎖変異tPAのそれは0.3mg−75mg/人
で十分であることが知られる。もちろん本発明は当該範
囲に限定されるものではなく,一日用量は症状に応じて
適宜に増減すればよいが,本発明によってはるかに改良
された医薬組成物,とりわけ血栓症治療剤が提供される
ことは明らかである。
この場合に該医薬組成物は主として注射剤であり,動
静脈内投与される。注射剤として製造するためには,微
量生理活性物質を注射剤とするときの常法に従っておこ
なえばよい。従って例えば本発明糖鎖変異tPAを単独あ
るいは適当な賦形剤,溶解剤と供に水溶液とし,無菌
過して充填し,凍結乾燥し,他方溶解用水溶液を添付し
て用時溶解型注射剤とすればよい。
方法 本発明物質の製造方法および評価方法について説明す
る。
まず本発明物質を製造するために必要な天然tPAをコ
ードするcDNA(原cDNAまたは類似cDNA)を含むクローン
はボウズメラノーマ細胞ラインのmRNAを出発物質として
すでに数種のものが構成されているので,該cDNAを外来
遺伝子として含むプラスミドで形質転換した適当な株を
入手し,プラスミドを単離して使用すればよい。例えば
pDR1496(ATCC20728),pDR1296(ATCC53347)等であ
る。あるいはさらにこれらのプラスミドからtPAのコー
ド部分をとり出し,適当なプロモータおよびターミネー
タを連結して得られる発現プラスミドを用意し,これを
使用してもよい。例えば下記文献18)によって示される
MThGH111およびMThGH112からメタロチオネインプロモー
タ(MT−1プロモータと略記する)およびヒト成長ホル
モンターミネータ(hGHターミネータと略記する)を得
て,これらにtPAコード部分を連結して発現プラスミド
を用意し,使用すればよい。
18)パルミター,エタール.,サイエンス 222 809−81
4,1983 (Palmiter,et al.,Science 222 809−814,1983) 一例を示せば次のごとくである。まずMThGH111よりMT
−1プロモータを含むKpn I−Bam HI断片を単離し,プ
ラスミドpUC18に挿入した後,MT−1プロモータを含むBa
mHI−Sal I断片を用意する。他方MThGH112よりMT−1プ
ロモータおよびhGHターミネータを含むEco RI断片を単
離し,プラスミドpUC13に挿入した後,hGHターミネータ
を含むBgl II−Sal I断片を用意する。
以上の二つの断片とtPAのpre−pro部分をコードするBam
HI−Xho II断片とを結合し,その結果得られるプラス
ミドを精選し,さらにBgl IIで切断し,ここにpDR1296
から得てきたtPAをコードするXho II断片を挿入すれ
ば,目的とする発現プラスミドが得られる。Zem99はこ
のようにして得られる発現プラスミドの一例であり,図
1にその制限酵素マップを示す。
本発明変異tPAは公知の遺伝子組換操作を適宜組合わ
せることによって製造することができるが,本発明では
もっぱら特定位置のアミノ酸の置換が行なわれる関係で
本発明変異tPAをコードするcDNAの調製のためには特にZ
oller and Smithの部位特異的変異誘発(site−directe
d mutagenesis)を好便に利用することができる。すな
わち天然tPAのアミノ酸配列をコードするcDNA(原cDNA
および類似cDNA)をM13のごときファージベクターに組
込み,その結果得られる二本鎖M13DNAで形質転換した大
腸菌の培養液から一本鎖M13DNAを用意し,これに所定の
合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてアニーリン
グして変異を誘発させればよい。例えばプラスミドpDR1
496からtPAをコードするcDNAを含む断片をM13tg130RFベ
クターに組込み,その結果得られる二本鎖M13DNAから一
本鎖M13DNAを用意し,目的とするアミノ酸の置換に応じ
て所定の合成オリゴヌクレオチドをアニーリングすれば
よい。アミノ酸位置番号186番のSerをThrに置換し,さ
らに糖鎖結合を用意にする目的で同183番のGlyをSerに
置換するためには下記合成ヌクレオチドPM5を使用すれ
ばよい。
PM5:5′ACG GTA GGC TGT CCC ATT GCT AAA GTA GCA 3′ アミノ酸位置番号119番のSerをMetに置換するためには
下記合成ヌクレオチドPM6を使用すればよい。
PM6:5′GGC CAA CGC CAT GGA GTT CCA GTT 3′ アミノ酸位置番号96番のGlnおよび同98番のIleをそれぞ
れAsnおよびThrに置換するためには下記合成ヌクレオチ
ドPM7を使用すればよい。
PM7:5′CCT GTA GCT GGT ACC GTT GTC CTC GTA 3′ アミノ酸位置番号96のGln,98番のIle,119番のSerをそれ
ぞれAsn,Thr,Metに置換するためにはPM6およびPM7によ
って逐次的に一本鎖M13DNAに変異を導入すればよい。ま
たPM6およびPM7によってそれぞれ別の一本鎖M13DNAに変
異を導入し,別々に発現プラスミドを調製し,それぞれ
における所定の消化断片を連結してもよい。
部位特異的変異誘発を行った後は,得られた反応液で
大腸菌を形質転換し,これを培養して得られるプラーク
について放射標識した合成オリゴヌクレオチドをハイブ
リッドしてスクリーニングすれば,本発明に係る変異tP
AをコードするcDNAを外来遺伝子として含む二本鎖M13フ
ァージDNAを得ることができる。必要により該DNAから当
該cDNAを切り出し,これを宿主に応じて使用される適当
な発現ベクターに連結することは常法に従って適宜おこ
なえばよい。
以上の製造プロセスの中間段階で利用される個々の遺
伝子組換操作はほとんどが公知であるので,文献あるい
は簡単な記述によって以下に説明する。
制限酵素によるプラスミドの切断,および切断して得
られるDNA断片のアガロースゲル電気泳動またはポリア
クリルアミドゲル電気泳動による分離と回収と結合につ
いては下記文献19)の記述が参照される。
19)マニアティス,ティー,エタール.,モレキュラーク
ローニング,ア ラボラトリー マニュアル,コールド
スプリング ハーバー ラボラトリー 1982 (Maniatis,T,et al., Molecular Cloning,A Laborator
y Manual,Cold Spring Harbor Laboratory 1982) 例えば天然tPAをコードするcDNAを含むプラスミドお
よびM13ファージベクターを各々切断し,断片を結合し
てcDNAの組込まれた二本鎖M13DNAを得る場合に応用され
る。
プラスミドの大腸菌への形質転換は下記文献20)に従
えばよい。
20)DNA クローニング 第1巻第6章 ディー.エ
ム.グロバー編,アイ アール エル プレス1985 (DNA cloning Vol.1, chap.6, ed.D.M.Glover IRL pre
ss 1985) 例えば天然tPAをコードするcDNAの組込まれた二本鎖M
13DNAあるいはtPAをコードするcDNAの組込まれた発現プ
ラスミドを大腸菌への形質転換に供するときに応用され
る。
変異誘発用およびスクリーニング用のオリゴヌクレオ
チドのPhosphoamidite法による合成および5′末端の標
識はそれぞれ下記文献21)および22)によればよい。
21)エス.エル.ビューケージ,エタール.,:テトラヘ
ドロン レット.,22 1859(1981) (S.L.Beaucage,et al.,Tetrahedron Lett.,22 1859(1
981)) 22)エー.マキサム アンド ダブリュ.ギルバード,
メソッズ イン エンチモロジー,65巻499−560頁アカ
デミックプレス1980 (A.Maxam and W.Gilbert,Methods in Enzymology,Vol.
65 p499−560,Academic Press 1980) DNA塩基配列の決定は下記文献23)に従いdideoxy法に
よりおこなえばよい。
23)エフ.サンガー.エタール.,ピー.エヌ.エー.エ
ス.745463,1977 (F.Sanger et al.,P.N.A.S745463,1977) 例えば変異誘発し,スクリーニングした一本鎖M13DNA
について塩基配列を決定し,目的とする変異が誘発され
ているか否かを確認する場合に応用される。
二本鎖および一本鎖のM13ファージDNAは以下のように
調製される。すなわち形質転換した大腸菌を下記文献2
4)により培養し,さらに振盪培養し,遠心分離する。
沈澱部の大腸菌からは前記文献19)に記載の方法により
二本鎖M13DNAを得る。また上澄液からは,その1.3mlに2
60μlの2.5M NaClと20% PEG 6000を加え,混合物をエ
ッペンドルフミクロチューブで遠心分離し,得られるペ
レットを120μlの10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.9,0.1mM
EDTA)に懸濁し,フェノール抽出し,エタノールで沈
澱させ,70%エタノールで洗浄し,乾燥後30μlの10mM
トリス塩酸緩衝液(pH7.9,0.1mM EDTA)に再び懸濁して
一本鎖M13DNAを得る。
24)ジェー.メッシング,メソッズ イン エンチモロ
ジー101,20−78,1983 (J.Messing,Method in Enzymology 101,20−78,1983) 部位特異的変異誘発反応は下記文献25)に従っておこ
なわれる。
25)ゾラー アンド スミス,メソッズ イン エンチ
モロジー 100 468−500,1983 (Zoller and Smith,Methode in Enzymology,100 468−
500,1983) すなわち非放射性リン酸で末端標識した変異誘発用合
成オリゴヌクレオチド(プライマー)20pmolに一本鎖M1
3DNA1μg,アニーリング用緩衝液(50mMトリス塩酸,pH8.
0,0.25mM MgCl2)2μl,B緩衝液(0.2Mトリス塩酸,pH7.
5,0.1M MgCl2,0.1Mジチオスレイトール)8μl,dATP,dG
TP,dCTP,dTTP各2.5mMずつの混合物4μl,5mM rATP 2μ
l,蒸留水1μl,T4DNAリガーゼ5単位,DNAポリメラーゼI
Klenow フラグメント5単位を加え,最終全液量を20
μlとして14℃3時間反応させる。
次に反応混合液を用いて変異誘発を受けたDNAで大腸
菌を形質転換するためには下記文献26)に従って行な
い,さらに下記文献27)に従って形質転換した大腸菌を
大腸菌JM103とまぜて寒天培地上に拡げ,37℃で一夜培養
し,形成するプラークをニトロセルロースフィルター上
に写しとる。
26)クレーマー エタール.,セル 38 879−887,1984 (Kramer et al.,Cell 38 879−887,1984) 27)グルンスタイン アンド ホグネス,ピー.エヌ.
エー.エス.ユーエスエー 72 3961,1975 (Grunstein and Hogness,P.N.A.S.USA 72 3961,1975) ニトロセルロースフィルター上に写しとったプラーク
についてのスクリーニングは以下のように行なう。
ニトロセルロースフィルターを6倍のSSC(1倍のSSC
は150mM NaCl,15mMクエン酸ナトリウム),10倍のDenhar
dt's(1倍のDenhardt'sは0.02%ポリビニルピロリド
ン,0.02%フィコール,0.02%ウシ血清アルブミン),50
μg/ml超音波処理サケ精子DNAの中に加えて65℃3時間
処理し,予備ハイブリッドを形成させる。次いでフィル
ターを放射標識した変異誘発用合成オリゴヌクレオチド
と同一緩衝液条件下で混合し65℃で一夜放置してハイブ
リットを形成させる。フィルターを6倍のSSCで洗浄
し,水分をきった後,増感スクリーンを重ね,X線フィル
ムに露出して目的のプラークを選出する。
変異tPAをコードするcDNAを二本鎖M13DNAから切り出
し,これを発現ベクターに連結して得られる発現プラス
ミドは宿主に応じてそれぞれ形質転換に使用すればよい
が,例えばBHK細胞の形質転換のためには下記文献28)
に従ってLoyterらの方法によりおこなえばよい。すなわ
ち得られた発現プラスミドを例えばpSV2−dhfrと供にBH
K570細胞株(ts,tk-)に形質転換する。なおpSV2−dhfr
については下記文献29)が参照される。
28)ロイター エタール.,ピー.エヌ.エー.エス.ユ
ーエスエー,79 422,1982 (Loyter et al.,P.N.A.S.USA,79 422,1982) 29)サブラマニ,エタール:モル.セル.バイオロ.1
854−864,(1981) (Sabramani, et al:Mol.Cell.Biol.1 854−864,(198
1) クローニングは限界希釈法(limiting dilution法)
を利用して以下のごとく行なうことができる。
形質転換の数日後より200nM Amethopterin含有ダルベ
コ変法イーグル培地(ダルベコ変法イーグル培地,ブド
ウ糖3.5%,炭酸水素ナトリウム7.5%,牛胎児血清(FC
S)5%,トラネキサム酸3mM,グルタミン2mM,(+)−A
methopterin 200nM)で2〜3日毎に1〜2周培地交換
しながら限界希釈して産生株を得る。次に産生株をロー
ラーボトルに用意した200nM Amethopterin含有ダルベコ
変法イーグル培地300mlに接種し,37℃で培養し,培養開
始より3〜4日後より毎日3〜4週間同量の培地で培地
交換し,培養上清を集めればよい。
変異tPAの精製のためには抗tPA抗体を担体に結合した
抗体カラムによるアフィニティークロマトグラフィーを
好便に利用することができる。すなわちあらかじめトリ
ス緩衝液(100mMトリス塩酸,pH7.5,0.5M NaCl)で緩衝
化した抗体カラムに前記培養上清をチャージし,同上ト
リス緩衝液で洗浄後,5M KSCN溶液(同上トリス緩衝液に
溶解)で活性成分を溶出する。溶出した活性画分は濃縮
し,例えばセファクリルS−200にチャージし,トリス
緩衝液(50mMトリス塩酸,pH7.5,0.5M NaCl,1.5M KSCN)
でゲル過する。再び活性画分は濃縮し,脱塩し,例え
ばマニトールを添加して凍結乾燥すれば最終物質を得る
ことができる。
以上の工程操作によって得られた本発明糖鎖変異tPAに
おいては,糖鎖の結合位置を特定する必要があり,この
目的のためには以下の分析を行なえばよい。
まず糖鎖変異tPAについて,下記文献30)に示すWaxda
llらの方法に従い,ジスルフィド結合を還元アルキル化
後,反応液をPD−10カラム (ファルマシアジャパン
社)により脱塩し,ついで凍結乾燥物を1mlの4M尿素含
有50mMトリス緩衝液pH9.0に溶解し,リジルエンドペプ
チダーゼを酵素対基質モル比が1対100となるよう加え,
37℃で16時間酵素消化を行う。酵素消化終了後,反応液
に70%ギ酸を加え,pH2に調整して反応を止め,反応液は
下記の条件下での高速液体クロマトグラフィーによるペ
プチドマッピングに供する。
30)ワックスダール,エム.ジェー.,エタール.:バイオ
ケミストリー,7,1959,(1968) Waxdall,M.J.,et al.:Biochemistry,7,1959,(1968)) カラム Ultrapore RPSC(ベックマンジャパン社) 溶出液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液及び0.08%トリ
フルオロ酢酸含有アセトニトリル 溶出条件 アセトニトリル含量を60分で0%から60%に
上昇させるリニアグラジエント 流速 毎分1ml 検出 206nmの紫外吸収 ペプチドマッピングでは,あらかじめ天然tPAについ
て上記と同一の酵素消化を行い,糖含有ペプチドを含
め,すべての断片ペプチドについての溶出位置を決定し
ておく。この結果を基にして,各糖鎖変異tPAについて
の糖含有ペプチドの溶出位置を推定し,さらにレクチン
−パーオキシダーゼを用いたドットブロッティング法に
より,糖鎖の有無の確認を行う。
こうして得られた各糖鎖変異tPAの糖鎖含有フラグメ
ントは0.1M重炭酸アンモニウム水溶液に溶解し,トリプ
シン(Warthington,U.S.A.)を加え,37℃,6時間の酵素
消化を行い,上記の高速液体クロマトグラフィーの条件
でさらに分離精製する。各溶出ピークについてアミノ酸
配列を分析し,糖鎖の結合したアミノ酸を決定する。
(5)実施例 以下に記載する実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。
実施例1 (a)183番GlyをSerに,186番SerをThrに置換するため
のDNAプラスミドの調製 図2に示したようにZem99よりM13mp18/Bam Zem99を作
製した。すなわち,Zem99をBamH1にて切断し,Bgl II制限
酵素切断部位を含む約2.4KbpのDNA断片を回収する。こ
のDNA断片とM13mp18(ファルマシア(株))のBamH1切
断断片とを結合させ,二本鎖M13DNAとし,大腸菌へ形質
転換しM13mp18/Bam Zem99RFおよび一本鎖M13mp18/Bam Z
em99を得た。
次に,tPAの183GlyをSerに,186SerをThrに置換する目
的で式:5′ACGGTAGGCTGTCCCATTGCTAAAGTAGCA3′のオリ
ゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリゴヌク
レオチドプライマーとしM13mp18/Bam Zem99とにより部
位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニングし,部位
特異的な変異の生じたファージを得た。このファージよ
り一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩基配列を
確認し,M13−6000とした。
さらに二本鎖M13DNAを得,M13−6000RFとした。
次に図3に示したようにM13−6000RFよりZem99−6000
を調製した。すなわち,M13−6000RFをBgl II,Apalにて
切断し1.4KbpのDNA断片を回収し,この断片とZem99をBg
l II,Apalにて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質
転換し,プラスミドを回収しZem99−6000を得た。
なお,Zem99−6000の変異tPAコーディング領域のDNA配
列およびそのアミノ酸配列を図7−1,図7−2,図7−3
に示す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia co
li RR1−Zem99−6000は微工研寄託番号FERM P−9126で
ある。
b)糖鎖変異tPA 得られたZem99−6000とpSV2−dhfrとでBHK570細胞株
(ts,tk-)をLoyterの方法により形質転換し,限界希釈
法でクローニングし,培養上清を抗体カラムにチャージ
し,最終物質No.6000を得た。No.6000について糖鎖の結
合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列にお
けるアミノ酸位置番号117番,184番,448番のAsnに糖鎖が
結合しており,特に184番の糖鎖結合が不均一になりや
すいと考えられる問題が解決されていることが判明し
た。
実施例2 a)119番SerをMetに置換するためのDNAプラスミドの調
製 図4に示したようにpDR1496よりM13tg130−W RFを作
製した。
すなわちpDR1496をSph I,Xba Iにて切断し,Bgl II制
限酵素切断部位を含む約2.1KbpのDNA断片を回収した。
このDNA断片とM13tg130RFのSph I,Xba I切断断片とを結
合させ,二本鎖M13DNAとし,大腸菌へ形質転換しM13tg1
30−W RF及び一本鎖M13tg130−Wを得た。
次に,tPAの119SerをMetに置換させる目的で式:5′GGC
CAACGCCATGGAGTTCCAGTT3′のオリゴヌクレオチドを合成
し,これを変異誘発性オリゴヌクレオチドプライマーと
し一本鎖M13tg130−Wとにより部位特異的な変異誘発を
行ない,スクリーニングし,部位特異的な変異の生じた
ファージを得た。このファージより一本鎖M13DNAを得,D
NA塩基配列決定により塩基配列を確認し,更に二本鎖M1
3DNAを得,M13tg130−W16 RFとした。
次に図5に示した様にM13tg130−W16 RFよりZem99−6
300を調製した。
すなわちM13tg130−W16 RFをBgl II,Apalにて切断し
1.4KbpのDNA断片を回収しこの断片と,Zem99をBgl II,Ap
alにて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,
プラスミドを回収しZem99−6300を得た。
なおZem99−6300の変異tPAコーディング領域のDNA配
列およびそのアミノ酸配列を図8−1,図8−2,図8−3
に示す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia co
li RR1−Zem99−6300は微工研寄託番号FERM P−9127で
ある。
b)糖鎖変異tPA Zem99−6300を使用し,実施例1のb)項の記載と同
様にして最終物質No.6300を得た。No.6300について糖鎖
の結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列
におけるアミノ酸位置番号184番と448番のAsnにのみ糖
鎖が結合しており,117番のAsnには糖鎖が結合していな
いことが判明した。
実施例3 a)119番SerをMetに置換し,かつ96番GlnをAsnに,98番
Ile をThrに置換するためのDNAプラスミドの調製 実施例1のa)で作製したM13mp18/Bam Zem99を用意
した。
次に,tPAの96GlnをAsnに98IleをThrに置換させる目的
で式:5′CCTGTAGCTGGTACCGTTGTCCTCGTA3′のオリゴヌク
レオチドを合成し,これを変異誘発性オリゴヌクレオチ
ドプライマーとしM13mp18/Bam Zem99とにより部位特異
的な変異誘発を行ない,スクリーニングし,部位特異的
な変異の生じたファージを得る。このファージより一本
鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩基配列を確認
し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13m62.5 RFとした。(図
6) M13m62.5 RFをBgl II,Nar Iにて,また実施例2の
a)で作製したM13tg130−W16 RFをNar I,Apa Iにて切
断し,それぞれ331bp, 1068bpのDNA断片を回収する。こ
れらのDNAとZem99のBgl II,Apa I切断断片を結合させ,
大腸菌に形質転換し,プラスミドを回収しZem99−6400
を得た。(図6) なおZem99−6400の変異tPAコーディング領域のDNA配
列およびそのアミノ酸配列を図9−1,図9−2,図9−3
に示す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia co
li RR1−Zem99−6400は微工研寄託番号FERM P−9128で
ある。
b)糖鎖変異tPA Zem99−6400を使用し,実施例1のb)項の記載と同
様にして最終物質No.6400を得た。No.6400について糖鎖
の結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列
におけるアミノ酸位置番号98番,184番,448番のAsnに糖
鎖が結合しており,117番のAsnには糖鎖が結合していな
いことが判明した。
(6)発明の効果 以下の実験例によって本発明の効果を示す。
実験例1 試料と方法 実施例1〜3で得られたNo.6000,No.6300,No.6400を
検体試料とし,また天然tPAを対照試料とした。3%マ
ニトール,3%アスパラギン酸および3%アルギニンを含
むpH6.0の水溶液に各試料を溶解し,Sprague−Dawley系
雄性ラット(体重230〜270g)に各々0.4mg/kgずつを大
腿部静脈内に投与し,経時的に頸静脈から0.5mlずつ採
血し,少量の3.8%クエン酸を添加して遠心分離し,血
漿を得た。血漿中の各tPA濃度はサンドイッチ法による
酵素免疫測定法で測定した。
結果 結果を図10に示す。図10は各試料についての血漿中濃
度の経時的推移を示すグラフであり,図中●印線,○印
線,△印線,▲印線は,それぞれ天然tPA,No.6000,No.6
300,No.6400における結果を示す。図10において各試料
濃度の経時的推移はtwo−compartment modelで解析され
る。消失半減期T1/2(α)およびT1/2(β)を求めた。
その結果を表1に示す。表中の数値は3例の平均値であ
り,単位minである。
図10および表1より本発明糖鎖変異tPAが血中濃度消
失において天然tPAを格段に改善したものとなっている
ことが判明する。
実験例2 実施例1〜3で得られたNo.6000,No.6300,No.6400を
検体試料とし,また天然tPAを対照試料とした。各試料
約500μgにpH7.12緩衝液(イオン強度0.05)を溶解液
として加え,26℃で5分間攪拌し,8時間振とうしてから
遠心分離し,上澄液についてHPLC(UV220nm)により蛋
白量を求め溶解度を定めた。結果を表2に示す。表中の
数値はmg/mlによって示される。
表2より本発明糖鎖変異tPAは医療目的に応じて溶解
度を適宜に調節できるものとなっていることが判明す
る。
実験例3 試料と方法 実施例1〜3で得られたNo.6000,No.6300,No.6400を
検体試料とし,また天然tPAを対照試料とした。アトム
静脈カテーテル(4Fr,3.5cm)に3cm長の絹糸を入れ,注
入用シリンジに結合させておく。別に血液と3.8%クエ
ン酸ナトリウムを9:1に混合してヒトクエン酸血液を用
意し,この液0.5mlに125Iでラベルしたフィブリノーゲ
ン(25μCi/50μl生理食塩水),0.25M塩化カルシウム5
0μl,トロンビン5U/10μlを加える。得られる溶液16μ
lを前記注入用シリンジに吸いとってカテーテル内に注
ぎ,室温60分間放置する。絹糸をカテーテルからとり出
し,生理食塩水で洗浄してから放射活性を測定し,スタ
ート時のフィブリン血栓値とした。次にこの絹糸をSpra
gue−Dawley系雄ラット(200−300g)の頸動静脈(AVシ
ャント)内に入れ,続いて計算量の試料を1mlの溶解液
に希釈したものを同ラットの大腿静脈より投与し,2時間
経過後に絹糸をとりだし,放射活性を測定して残存フィ
ブリン血栓値とした。下式により血栓残存率(%)を求
めた。
結果 結果を図11に示す。図11は試料の投与量と血栓残存率
との関係を示すグラフであり,図中,実線(−),点線
(……),一点鎖線 二点鎖線 はそれぞれ天然tPA,No.6000,No.6300,No.6400について
の三例の平均値の結果を示す。
図11より本発明糖鎖変異tPAは天然tPAと同程度に血栓
溶解活性を有することが判明する。
【図面の簡単な説明】
図1はZem99の制限酵素マップである。 図2はM13mp18/Bam Zem99の構築図である。 図3はZem99−6000の構築図である。 図4はM13tg130−W RFの構築図である。 図5はZem99−6300の構築図である。 図6はZem99−6400の構築図である。 図7−1,図7−2,図7−3はZem99−6000の変異tPAコー
ディング領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列であ
る。 図8−1,図8−2,図8−3はZem99−6300の変異tPAコー
ディング領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列であ
る。 図9−1,図9−2,図9−3はZem99−6400の変異tPAコー
ディング領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列であ
る。 図10は血漿中濃度の経時的推移を示すグラフである。 図11は投与量と血栓残存率の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/64 Z C12R 1:91) (56)参考文献 欧州特許公開178105(EP,A) Biochemistry 23P.3701 −3707(1984)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然tPAのアミノ酸位置番号183番のGlyお
    よび186番のSerをそれぞれSerおよびThrに置換された変
    異tPA。
JP62064339A 1987-03-20 1987-03-20 糖鎖に関する変異tPA Expired - Lifetime JPH084501B2 (ja)

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