JPH084502B2 - 複合変異tPA - Google Patents

複合変異tPA

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JPH084502B2
JPH084502B2 JP62064340A JP6434087A JPH084502B2 JP H084502 B2 JPH084502 B2 JP H084502B2 JP 62064340 A JP62064340 A JP 62064340A JP 6434087 A JP6434087 A JP 6434087A JP H084502 B2 JPH084502 B2 JP H084502B2
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靖典 池田
明 橋本
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    • C12N9/6421Proteinases, e.g. Endopeptidases (3.4.21-3.4.25) derived from animal tissue from mammals
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    • C12N9/6459Plasminogen activators t-plasminogen activator (3.4.21.68), i.e. tPA
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Description

【発明の詳細な説明】 (1)産業上の利用分野 本発明は新規な複合変異tPAとその医薬組成物並びに
該変異tPAの生産に係る遺伝子組換技術に関する。さら
に詳しくはtPAを構成する領域についての欠落変異並び
にtPAのアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換を複合し
ておこない,該複合変異によってtPAの医薬用途におけ
る特性を改善することを内容とする。従って本発明は医
療用医薬品の分野において利用することができる。
(2)従来技術 組織プラスミノーゲン活性化因子(本発明においてtP
Aと略記される)が医薬品分野において特に血栓症治療
剤として有用な物質であり,その利用をいっそう容易に
する目的で遺伝子組換技術が応用されることは一般に公
知であり,下記文献1)〜3)に示されるとおりであ
る。またtPAの生体内利用を高める目的でtPAのアミノ酸
配列に各種の構造的変異を加える試みがなされており,
この目的のために同様に遺伝子組換技術が応用されてい
ることも一般に公知であり,例えば下記文献4)〜9)
に示されるとおりである。
1)欧州特許出願公開 No.0041766 A2 2)欧州特許出願公開 No.0093619 A1 3)ペニカ エタール.,ネイチャー301 214−221(198
3) (Pennica et al.,Nature 301 214−221(1983)) 4)エッチ.カギタニ,エタール.,フェブス レット.1
89巻,1号(1985) 145−149 (H.Kagitani, et al.,FEBS Lett. Vol.189,No.1(198
5)145−149) 5)エー.ジェー.ブイ.ゾンネベルト,エタール:プ
ロッシ.ナショル.アカド.サイ.ユーエスエー83 467
0−4674(1986) (A.J.V.Sonneveld,et.al:Proc.Natl.Acad.Sci.USA83 4
670−4674(1986)) 6)国際特許出願公開 No.8601538 7)欧州特許出願公開 No.0155387 A2 8)欧州特許出願公開 No.0178105 A2 9)欧州特許出願公開 No.0199574 A こうした各種の構造的変異の中で最近特に注目されるの
はtPAのアミノ末端側にあるH鎖を構成する各種の領域
についての欠落変異である。すなわち下記文献10)が提
示するtPAの二次構造モデルによれば,tPAのカルボキシ
末端側にあるL鎖にはセリンプロテアーゼとしての活性
部位があり,tPA活性,すなわちプラスミノーゲンをプラ
スミンに転換してフィブリンを分解する活性を示し,他
方アミノ末端側にあるH鎖にはフィンガー領域(以下F
領域と略記する),上皮,細胞増殖因子領域(以下G領
域と略記する),クリングル1領域(以下K1領域)およ
びクリングル2領域(以下K2領域と略記する)の四つの
主要な領域がこの順序で配列しており,フィブリンへの
結合に機能していることがわかっている。F領域はフィ
ブロネクチンのフィンガー領域に似ており,フィブロネ
クチンにおけると同様にフィブリンへの結合に寄与して
いると考えられる。クリングル領域はプロトロンビン,
プラスミノーゲン,ウロキナーゼにも存在しており,フ
ィブリンへの結合に寄与しているが,tPAのK2領域はフィ
ブリンの結合に寄与するばかりでなく,フィブリンがtP
A活性を増強するのを仲介する機能をも有している。G
領域はtPAのフィブリン溶解活性にとっては必須の領域
ではなく,親水性部分が乏しいのでG領域自体は疎水的
である。
10)ティー.ナイ,エタール.,プロン.ナショナル.ア
カド.サイ.ユーエスエー 81,5355−5359,1984(T.N
y,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81,5355−5359,198
4) これら各領域を欠落あるいは増加せしめることが可能で
あれば,そうした欠落あるいは増加による変異がtPAの
生体内利用に関連する諸々の物理化学的性質に重要な影
響を及ぼすであろうことは容易に推考することができ
る。例えばG領域を欠落せしめて水溶性を高めるとか,
K2領域を欠落せしめてK1領域の機能を高めてみるとか,
目的に応じた各種の改良を意図することができる。前記
文献5)は各領域を単独または各種の組合せにおいて欠
落せしめるための技術並びにその結果について開示して
いる。
他方,tPAのアミノ酸配列における構造的変異の中に糖
鎖変異を目的としたものがある。すなわちtPAは他の多
くの生理活性物質と同様に糖蛋白質であり,通常は分子
内に3本あるいは2本のアスパラギン結合型糖鎖を持っ
ている。従ってこれら糖鎖の増減変異がtPAの生体内利
用に関連する諸々の物理化学的特性に重要な影響を及ぼ
すであろうことは容易に推考することができる。例えば
アスパラギン結合型糖鎖を増加して水溶性を高めると
か,糖鎖の結合位置を変化せしめて溶解度と血中消失時
間の双方を同時に満足する最適値を求めるとか,目的に
応じた各種の改良を意図することができる。前記文献
8)は子宮由来のtPAの3本のアスパラギン結合型糖鎖
をすべて消失せしめるための技術を開示している。
なお,糖蛋白質において糖鎖が蛋白質に結合する部位
についてはある種の規則性の存在することが知られてい
る。すなわち糖鎖は一般に蛋白質中のアスパラギン残基
に結合し,しかも当該アスパラギンを含むアミノ酸配列
はいわゆるAsparagine sequonと呼ばれる規則的な配列
をしており,これは例えば下記文献11)〜17)によれば
三つのアミノ酸から構成される配列,すなわちトリプレ
ットであって,具体的にはAsn−X−Thr,Asn−X−Ser
あるいはAsn−X−Cysによって示され,Xはプロリン以外
のいずれのアミノ酸でもよいことが知られている。
11)イー.バウゼ,エ タール:フェブス レターズ,1
08巻 2号 341〜344(1979) (E.Bause,et al.:FEBS LETTERS Vol.108,No.2 341〜34
4(1979)) 12)イー.バウゼ,エ タール:バイオケム.ジェー.
(1982)203,761〜768 (E.Bause,et al.:Biochem.J.(1982)203,761〜768) 13)イー.バウゼ:バイオケム.ジェー.(1983)209,
331〜336 (E.Bause:Biochem.J.(1983)209,331〜336) 14)アール.ディー.マーシャル:バイオケミカル ソ
サイエティー トランスアクションズ(1984)12巻 51
3〜514 (R.D.Marshall:Biochemical Society Transactions(1
984)Vol.12,513〜514) 15)イー.バウゼ:同誌(1984)12巻 514〜517 (E.Bause:ibid.(1984)Vol.12,514〜517) 16)ディー.ケー.ストラック アンド ダブル.ジェ
ー.レンナルツ イン ダブル.ジェー.レンナルツ編
ザ バイオケミストリー オブ グリコプロティン
アンド プロテオグリカンス,プレナム プレス,1980,
ニューヨーク,35〜83頁 (D.K.Struck and W.J.Lennarz in W.J.Lennarz ed.The
Biochemistry of Glycoprotein and Proteoglycans,Pl
enum Press,1980,New York,pp35〜83) 17)シー.ロニン,エタール.,フェブス レット.,96,1
79(1978) (C.Ronin,et al.,FEBS Lett.,96,179(1978)) (3)発明が解決しようとする問題点 tPAにおける糖鎖の問題については,これまでに前記
文献8)による以外には特別な開示はなされていない。
しかしながら糖鎖の問題に対してはより多くの考慮がは
らわれる必要がある。例えば前記したAsparagine sequo
nを構成するトリプレットを分子内に有しながら,ある
種のトリプレットでは当該部位に糖鎖が結合する分子と
結合しない分子が混在し,その結果生産物のロットごと
に結合糖鎖数が変動してしまうことが知られている。こ
のような結合糖鎖数の不均一性はプラスミノーゲン,セ
ルロプラスミン,プロラクチン,マウスIgM,ウシα−ラ
クトアルブミン等においてすでに観察されているが,tPA
においても同様であり,下記文献18)によれば天然tPA
のアミノ酸位置番号184〜186のトリプレットであるAsn
−Gly−Serに対する糖鎖の結合は特に不確実であり,そ
の結果結合糖鎖数の不均一を紹いている。
18)グンナー ポール,エタール.,バイオケミストリ
ー,23,3701−3707(1984) (Gunnar Pohl,et al.,Biochemistry,23,3701−3707(1
984)) 特定部位に糖鎖の結合している蛋白質と結合していな
い蛋白質とを分離することはきわめて困難であるので,
実際には不均一のまま使用されることになるが,その結
果は好ましくない。例えば溶解度等の物性が糖鎖の結合
していない蛋白質の存在に応じて変化し,また非経口投
与でしばしば観察される免疫原性が変化して品質が一定
しない。すなわち天然tPAには医療用医薬品として利用
する上で重要な要件である品質についてこれが一定しな
いという欠点がある。従って特定部位への糖鎖の結合を
均一にするための特別の技術が提供される必要がある。
またtPAの糖鎖には別の角度からも考慮がはらわれなけ
ればならない。すなわちtPAの実用化にあたってはこれ
を医療用医薬品として使用する目的や程度に応じてその
血栓溶解活性を変化させ,あるいは溶解度や血中半減期
を調整することが望まれる。この目的を達成するための
手段として糖鎖の結合数を増減したり結合部位を変化せ
しめることができるならば,それが好ましい。この角度
から糖鎖変異にはいっそうの考慮がはらわれる必要があ
る。
他方tPAのH鎖を構成する各領域については多数の文
献がある。しかし領域の欠落変異の問題については,最
近特に注目されようとしているにもかかわらず,これま
でに前記文献4),5)による以外には特別な開示がなさ
れていない。しかしながら領域の欠落変異の問題に対し
ては多くの考慮がはらわれる必要がある。領域の欠落変
異で特に期待される効果は生体内におけるtpAの半減期
の改善である。ヒトの生体内におけるtpAの半減期は3
分程度であり,注射投与された場合には肝臓で急速に代
謝され,大部分が30分以内に低分子量化することが知ら
れている。そこで冠動脈に生成した血栓を溶解するため
には多量のtPAが必要となるが,これは逆にフィブリノ
ーゲンの過剰分解を招くことになる。こうした実情にか
んがみ臨床応用の面からフィブリン溶解作用に積極的な
役割を演ずるとはみられない部分はtPAから欠落せし
め,その結果としてフィブリン結合能の増強した,かつ
体内半減期の延長した変異tPAが提供されるのが望まれ
るのである。つまりtPAの活性部位はtPAの生理条件下で
急速に代謝される部位に直接的には関連しないので,急
速に代謝される部位に相当する領域の除去が体内半減期
の延長をもたらすと考えられるのである。領域の欠落変
異でさらに期待されるのは水溶性の増加や比活性の向上
であり,それによって臨床的な必要用量を減らすことが
できると予想されている。このように領域の欠落変異に
は多数の重要な課題が含まれているのであるが,いまだ
に十分な開示がなされていない。特にここで強調されな
くてはならないことは領域の欠落変異はtPAにおける他
の構造的変異と無関係ではないという点である。例えば
文献4),5)においては領域の欠落変異とその影響につ
いてそれらがあたかも独立した現象であるかのように考
察されているが,実際には他の変異と相互に関連してい
ることは容易に想像できる。特に糖鎖との関連は明瞭で
ある。例えばK1領域やK2領域が欠落すればこれらの領域
に結合していた糖鎖も同時に失なわれるので,これらの
糖鎖が水溶性や血中半減期に対してもともと有していた
効果は消失することになる。つまり領域の欠落変異はそ
れ独自に効果にとどまるのではなく,他のさまざまな変
異効果をも巻き込んで,全体としてまったく予期するこ
とのできなかった効果を招くものであると考えなくては
ならない。しかしながら領域の欠落変異がもたらす総合
的効果についてはいまだになんらの検討も加えられてい
ないのが実情である。
前記したごとく糖鎖変異にはそれ独自においても特別
の考慮がはらわれる必要がある。従ってこれが領域の欠
落変異と同時に生起した場合にはいっそう重要な課題が
提示されることになり,十分な検討が加えられなければ
ならない。この検討のためには領域の欠落変異した各種
のtPAが用意され,さらに該変異tPAに結合する糖鎖につ
いてその結合数を増減したり結合部位を変化せしめたり
するための特別の技術が提供される必要がある。
医療用医薬品として使用する目的や程度に応じてtPA
の活性および物性を適宜に調節するための手段として本
発明者はかねてより領域の欠落変異と糖鎖変異を同時に
生起せしめる技術に注目してきた。
以上によって示されるとおり,本発明が解決しようと
する問題点はtPAにおける領域の欠落変異と糖鎖変異を
任意に同時に生起せしめ,医療用医薬品としての使用を
いっそう容易にするための技術改良を提供することであ
る。
(4)問題点を解決するための手段 本発明者は前記問題点に対し種々の検討を行い,その
結果,下記a)〜g)のいずれかによって解決されるこ
とを知り,本発明を完成するに至った。
a)天然tPAのF領域およびG領域を欠落し,かつ天然t
PAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186番のSerをそ
れぞれSerおよびThrに置換する b)天然tPAのF領域およびG領域を欠落し,かつ天然t
PAのアミノ酸位置番号119番のSerをMetに置換する c)天然tPAのG領域を欠落し,かつ天然tPAのアミノ酸
位置番号183番のGlyおよび186番のSerをそれぞれSerお
よびThrに置換する d)天然tPAのG領域を欠落し,かつ天然tPAのアミノ酸
位置番号119番のSerをMetに置換する e)天然tPAのF領域,G領域およびK2領域を欠落し,か
つ天然tPAのアミノ酸位置番号119番のSerをMetに置換す
る f)天然tPAのF領域,G領域およびK2領域を欠落し,か
つ天然tPAのアミノ酸位置番号96のGln,98番のIleおよび
119番のSerをそれぞれAsn,ThrおよびMetに置換する g)天然tPAのF領域,G領域およびK1領域を欠落し,か
つ天然tPAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186番の
SerをそれぞれSerおよびThrに置換する すなわち本発明は上記によって示されるとおりの領域
の欠落変異およびアミノ酸の置換を分子中に併有するこ
とを特徴とする複合変異tPAを要旨とするものである。
以下に本発明を定義,構成,方法の項に分けて説明す
る。
定義 本発明において天然tPAとはヒトメラノーマ細胞のmRN
Aから転写して得られるcDNA(原cDNAと呼ぶことにす
る)並びに該cDNAに該cDNAがコードするアミノ酸配列に
変異が起らない範囲内の人工的変異が加えられたcDNA
(類似cDNAと呼ぶことにする)がコードするアミノ酸配
列を有するtPA活性ペプチドを言う。このアミノ酸配列
および該配列における各アミノ酸のアミノ酸位置番号は
ペニカらによってすでに文献3)に詳細に開示されてお
り,本発明における天然tPAのアミノ酸配列および各ア
ミノ酸のアミノ酸位置番号は同文献のFig3に記載される
配列および位置番号によって特定される。
変異tPAとは原cDNAまたは類似cDNAにこれらcDNAがコ
ードするアミノ酸配列に変異が起る特別の人工的変異が
加えられたcDNA(変異cDNAと呼ぶことにする)がコード
するアミノ酸配列を有するtPA活性ペプチドであると定
義される。ここで特別な人工的変異とは遺伝子組換操
作,例えばZoller and Smithの部位特異的変異誘発を利
用してcDNAの核酸塩基配列に部分的な欠落,附加,変換
が加えられることを言う。従って変異tPAのアミノ酸配
列は天然tPAのアミノ酸配列が部分的に欠落,附加,変
換したものであると言うことができる。アミノ酸配列に
おける領域の欠落によって得られる変異tPAを特に欠落
変異tPAと,またアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換
によって得られる変異tPAを特に置換変異tPAとそれぞれ
その必要があるときには呼ぶことにする。また天然tPA
の同一のアミノ酸配列に異なる二種類の変異が複合して
加えられた場合,例えば領域の欠落とアミノ酸の置換が
同時に加えられた場合には,得られる変異tPAは例えば
欠落変異tPAであると同時に変換変異tPAでもあるので,
この多面的な変異を特に強調する必要があるときに複合
変異tPAと呼ぶことにする。
本発明において変異の語が各種の局面において各種の
意味で使用されているが,混乱を避けるために議論され
る局面に応じて区別して使用される必要があり,例えば
核酸塩基配列に部分的な欠落,附加,変換があった場合
にはcDNAの核酸塩基配列変異であり,アミノ酸配列に部
分的な欠落,附加,変換があった場合にはアミノ酸配列
の配列変異であり,結合糖鎖に欠落,附加,変換があっ
た場合には糖鎖の結合変異であるとそれぞれ区別され
る。本発明に係る変異tPAは当該変異の結果として二次
的に糖鎖変異を伴なっている。従って単にアミノ酸配列
における変異のみを問題として議論する場合に該変異tP
Aを単に変異tPAと呼び,糖鎖変異にまで着目し,糖鎖変
異を伴う変異tPAを指称する場合には特に糖鎖変異tPAの
語をもって区別することにする。
本発明において領域とは天然tPAのH鎖を構成する各
領域を言い,具体的にはF領域,G領域,K1領域,K2領域
の四つの領域である。H鎖における位置関係はアミノ酸
末端側からF領域,G領域,K1領域,K2領域の順序である
が,各領域の区分を厳密に特定することはできない。天
然tPAのアミノ酸配列におけるアミノ酸位置番号および
該番号のアミノ酸をもって各領域の標準的な範囲を示せ
ば,F領域は4番Valから50番Ser,G領域は51番Cysから86
番Ile,K1領域は87番Aspから174番Ser,K2領域は175番号G
luから262番Serである。しかしながらここに示した範囲
は各領域の位置と範囲についての単なる中心的例示にす
ぎず,本発明における各領域の範囲を限定するものでは
ない。各領域の範囲については上記例示範囲を中心にし
て,該当する領域の性質と機能がいちじるしく失なわれ
ない範囲内の変動を含めた自由な解釈がなされるべきで
ある。従って例えばF領域が1番Serから48番Valとかあ
るいはK1領域が90番Alaから179番Aspとかのごとくに各
領域をその本質的概念が損なわれない範囲内で適宜に指
定すればよい。
領域の欠落とは該領域の指定された範囲のアミノ酸配
列が除去され,該アミノ酸配列の直前のアミノ酸と直後
のアミノ酸とがペプチド結合によって新たに連接するこ
とを言う。例えばG領域として50番Serから87番Aspのア
ミノ酸配列が指定されたG領域の欠落とは該アミノ酸配
列が除去され,49番Lysと88番Thrとが連接されることを
言う。同様にF領域として4番Valから50番Ser,G領域と
して51番Cysから86番Ile,K2領域として175番号Gluから2
62番Serの各アミノ酸配列が指定された場合に,F領域,G
領域およびK2領域の欠落とは各アミノ酸配列が除去さ
れ,3番Glnと87番Aspとが連接されかつ174番Serと263番T
hrとが連接されることを言う。
領域の欠落変異で特に注意しなければならない点はア
ミノ酸位置番号の変化である。すなわち領域が欠落する
と該領域の後方の領域におけるアミノ酸配列のアミノ酸
位置番号は欠落したアミノ酸配列のアミノ酸の数だけ繰
上がった数になる。しかしこの繰上がる数は欠落領域と
して指定されたアミノ酸配列の範囲および欠落領域の組
合せに応じて多様に変化するので,同一のアミノ酸であ
りながら多数のアミノ酸位置番号を持つという複雑な結
果となる。例えば天然tPAのアミノ酸配列におけるアミ
ノ酸位置番号186番のSerは,G領域として指定された51番
Cysから86番Ileのアミノ酸配列が欠落した場合およびK1
領域として指定された87番Aspから174番Serのアミノ酸
配列が欠落した場合にはそれぞれ150番および98番のア
ミノ酸となる。つまり同一のアミノ酸に複数の位置番号
が与えられ,混乱を招きやすい。そこで本発明では指定
されたアミノ酸配列が欠落により除去され,その結果該
当するアミノ酸が存在しなくても,該配列のアミノ酸位
置番号は失なわれることなくそのまま残すことにする。
従っていかなる欠落変異が生起しても,変異tPA中の同
一のアミノ酸は常に天然tPAのアミノ酸配列における唯
一のアミノ酸位置番号によって表示されることになる。
一個の独立した分子として表わされる核酸塩基配列上
あるいはアミノ酸配列上に相互に異なる二以上の変異が
同時に生起するとき,全体としての変異はこれら二以上
の変異が複合した複合変異であると定義する。本発明に
おいては一個の独立した分子として表わされる天然tPA
のアミノ酸配列上に領域の欠落変異およびアミノ酸の置
換変異が同時に生起し,全体としての変異はこれら二つ
の変異が複合した複合変異として示される。
構成 本発明の構成上の特徴は次の二点に示される。
第1点は本発明の目的物質は領域の欠落変異およびア
ミノ酸の置換変異を併有する複合変異tPAである。とこ
ろで該複合変異tPAは複合変異の結果として結合糖鎖に
おける変異を受ける。すなわち該複合変異tPAをコード
するcDNAを含む発現プラスミドで宿主を形質転換し,こ
れを培養して得られる生産物は糖鎖変異のある複合変異
tPAである。
第2点は第1点における領域の欠落変異とアミノ酸の
置換変異の特定に関するものであり,具体的には,次の
a)〜g)である。
a)天然tPAのF領域およびG領域を欠落し,かつ天然t
PAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186番のSerがそ
れぞれSerおよびThrに置換される b)天然tPAのF領域およびG領域が欠落し,かつ天然t
PAのアミノ酸位置番号119番のSerがMetに置換される。
c)天然tPAのG領域を欠落し,かつ天然tPAのアミノ酸
位置番号183番のGlyおよび186番のSerがそれぞれSerお
よびThrに置換される。
d)天然tPAのG領域を欠落し,かつ天然tPAのアミノ酸
位置番号119番のSerがMetに置換される。
e)天然tPAのF領域,G領域およびK2領域が欠落し,か
つ天然tPAのアミノ酸位置番号119番のSerがMetに置換さ
れる。
f)天然tPAのF領域,G領域およびK2領域が欠落し,か
つ天然tPAのアミノ酸位置番号96番のGln,98番のIleおよ
び119番のSerをそれぞれAsn,ThrおよびMetに置換され
る。
g)天然tPAのF領域,G領域およびK1領域が欠落し,か
つ天然tPAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186番の
SerがそれぞれSerおよびThrに置換される。
上記のアミノ酸の置換においてアミノ酸位置番号183
番のGlyおよび186番のSerがそれぞれSerおよびThrに置
換された場合には同185番のAsnに結合する糖鎖の結合が
均一化し,常に一定品質の生産物が得られる。またアミ
ノ酸位置番号119番のSerがMetに置換された場合には同1
17番のAsnに結合する糖鎖が消失し,またアミノ酸位置
番号96番のGln,98番のIle,119番のSerをそれぞれAsn,Th
r,Metに置換した場合には同117番のAsnに結合する糖鎖
が消失し,代わりに同96番に新たに糖鎖が結合して,そ
れぞれ血中半減期の長い生産物が得られる。
次に本発明の最終目的物質は遺伝子組換技術によって
生産することができる。従って本発明複合変異tPAをコ
ードするcDNA,該cDNAを外来遺伝子として含み,かつ選
択した宿主内で制禦および発現が可能となるように連結
して得られた発現プラスミドは本発明最終目的物質の生
産のために必要な中間物質であり,同一の問題点を解決
する意味において発明としては供に一体となるべきもの
である。発現プラスミドの具体例としてZem99−2660,同
−2663,同−2460,同−2463,同−2760,同−2810,同−282
0によって識別表示されるプラスミドをあげることがで
き,これらはいずれもそれぞれ後記実施例において示さ
れる。また発現プラスミドによって形質転換された宿主
もcDNAおよび発現プラスミドと同様に発明としては共に
一体となるべきものであり、宿主としては大腸菌や動物
細胞,とりわけBHK細胞が使用される。形質転換した大
腸菌の例としてEscherichia coli RR1−Zem99−2660,同
−2663,同−2460,同−2463,同−2760,同−2810,同−282
0によって識別表示される大腸菌をあげることができ,
これらはいずれもそれぞれ後記実施例において示され,
かつそれぞれの表示をもって微工研に寄託されている。
最終目的物質である本発明複合変異tPAは天然tPAが変
異したものであるにもかかわらず,後記実験例によって
示されるごとく天然tPAの活性,すなわち血栓溶解活性
を天然tPAと同程度に有している。従って天然tPAが医薬
組成物の必須の有効成分となって,その活性を利用する
医療目的に提供されるのと同様に,本発明複合変異tPA
もその活性を利用する治療目的のための医薬組成物の必
須の有効成分となることができる。とりわけ各種の血栓
症治療剤となることができるのは後記実験例より明らか
である。同じく後記実験例によって示されるごとく,本
発明複合変異tPAの血中濃度は天然tPAのそれに比べて10
〜20倍大きい。この点を考慮すると本発明複合変異tPA
は天然tPAよりも優れた血栓症治療剤となることが知ら
れる。すなわち天然tPAの一日当りの用量はその急速な
血中消失を配慮して30mg〜150mg/人であるとみられるの
に対し,本発明複合変異tPAのそれは1.5mg〜15mgで十分
であることが知られる。もちろん本発明は当該範囲に限
定されるものではなく,一日用量は症状に応じて適宜に
増減すればよいが,本発明によってはるかに改良された
医薬組成物,とりわけ血栓症治療剤が提供されることは
明らかである。
この場合に該医薬組成物は主として注射剤であり,静
脈内投与される。注射剤として製造されるためには,微
量生理活性物質を注射剤とするときの常法に従っておこ
なえばよい。従って例えば本発明複合変異tPAを単独あ
るいは適当な賦形剤,溶解剤と供に水溶液とし,無菌
過して充填し,凍結乾燥し,他方溶解用水溶液を添付し
て用時溶解型注射剤とすればよい。
方法 本発明物質の製造方法および評価方法について説明す
る。
まず本発明物質を製造するために必要な天然tPAをコ
ードするcDNA(原cDNAまたは類似cDNA)を含むクローン
はボウズメラノーマ細胞のmRNAを出発物質としてすでに
数種のものが作製されているので,該cDNAを外来遺伝子
として含むプラスミドで形質転換した適当な株を入手
し,プラスミドを単離して使用すればよい。例えばpDR1
496(ATCC20728),pDR1296(ATCC53347)等である。あ
るいはさらにこれらのプラスミドからtPAのコード部分
をとり出し,適当なプロモータおよびターミネータを連
結して得られる発現プラスミドを用意し,これを使用し
てもよい。例えば下記文献19)によって示されるMThGH1
11およびMThGH112からメタロチオネインプロモータ(MT
−1プロモータと略記する)およびヒト成長ホルモンタ
ーミネータ(hGHターミネータと略記する)を得て,こ
れらにtPAコード部分を連結して発現プラスミドを用意
し,使用すればよい。
19)パルミター,エタール.,サイエンス 222 809−81
4,1983 (Palmiter,et al.,Science 222 809−814,1983) 一例を示せば次のごとくである。まずMThGH111よりMT−
1プロモータを含むKpn I−Bam H I断片を単離し,プラ
スミドpUC18に挿入した後,MT−1プロモータを含むBamH
I−Sal I断片を用意する。他方MThGH112よりMT−1プ
ロモータおよびhGHターミネータを含むEcoR I断片を単
離し,プラスミドpUC13に挿入した後,hGHターミネータ
を含むBgl II−Sal I断片を用意する。
以上の二つの断片とtPAのpre−pro部分をコードするB
amH I−Xho II断片とを結合し,その結果得られるプラ
スミドを精選しさらにBgl IIで切断し,ここにpDR1296
から得てきたtPAをコードするXho II断片を挿入すれ
ば,目的とする発現プラスミドが得られる。Zem99はこ
のようにして得られる発現プラスミドの一例であり,図
1にその制限酵素マップを示す。
本発明変異tPAは公知の遺伝子組換操作を適宜組合わ
せることによって製造することができるが,本発明では
もっぱら特定位置のアミノ酸配列の除去および特定位置
のアミノ酸の置換が行われる関係で本発明変異tPAをコ
ードするcDNAの調製のためには特にZoller and Smithの
部位特異的変異誘発(site−directed mutagenesis)を
好便に利用することができる。すなわち天然tPAのアミ
ノ酸配列をコードするcDNA(原cDNAおよび類似cDNA)を
M13のごときファージベクターに組込み,その結果得ら
れる二本鎖M13 DNAで形質転換した大腸菌の培養液から
一本鎖M13 DNAを用意し,これに所定の合成オリゴヌク
レオチドをプライマーとしてアニーリングして変異を誘
発させればよい。例えばプラスミドpDR1496からtPAをコ
ードするcDNAを含む断片をM13tg130RFベクターに組込
み,その結果得られる二本鎖M13 DNAから一本鎖M13 DNA
を用意し,目的とする領域の欠落変異およびアミノ酸の
置換変異に応じて所定の合成オリゴヌクレオチドをアニ
ーリングすればよい。領域の欠落変異に応じた合成オリ
ゴヌクレオチドを示せば次のごとくである。まずF領域
として天然tPAのアミノ酸位置番号4番のValから同50番
のSerまでのアミノ酸配列を指定し,またG領域として
同51番のCysから同86番のIleまでのアミノ酸配列を指定
した場合に,G領域のみの欠落およびF領域とG領域の欠
落のためにはそれぞれ下記の合成ヌクレオタイドPM1お
よびPM2を使用すればよい。
PM1:5′GCA CGT GGC CCT GGT TTT GCA AGG CAC TGA 3′ PM2:5′CGT GGC CCT GGT ATC TTG GTA AG 3′ またK1領域として同87番のAspから同174番のSerまで
のアミノ酸配列を指定し,またK2領域として同175番のG
luから同262番のSerまでのアミノ酸配列を指定した場合
に,K1領域のみの欠落およびK2領域のみの欠落のために
はそれぞれ下記の合成ヌクレオチドPM3およびPM4を使用
すればよい。
PM3:5′GCA GTC ACT GTT TCC TTG GTA AG 3′ PM4:5′CAG GCC GCA GGT GCT ACA AGC TGG GGT GCT GCT
ACA G3′ F領域,G領域およびK1領域の欠落あるいはF領域,G領域
およびK2領域の欠落のためにはPM2およびPM3あるいはPM
2およびPM4によって一本鎖M13DNAにそれぞれ逐次的に変
異を導入すればよい。アミノ酸の置換変異に応じた合成
ヌクレオチドを示せば次のごとくである。アミノ酸位置
番号186番のSerをThrに置換し,さらに糖鎖結合を容易
にする目的で同183番のGlyをSerに置換するためには下
記合成ヌクレオチドPM5を使用すればよい。
PM5:5′ACG GTA GGC TGT CCC ATT GCT AAA GTA GCA 3′ アミノ酸位置番号119番のSerをMetに置換するために
は下記合成ヌクレオチドPM6を使用すればよい。
PM6:5′GGC CAA CGC CAT GGA GTT CCA GTT 3′ アミノ酸位置番号96番のGlnおよび同98番のIleをそれ
ぞれAsnおよびThrに置換するためには下記合成ヌクレオ
チドPM7を使用すればよい。
PM7:5′CCT GTA GCT GGT ACC GTT GTC CTCGTA 3′ 複数のアミノ酸を置換する場合,すなわち96番のGln,98
番のIle,119番のSerをそれぞれ上記の例のごとく置換す
るためにはPM6およびPM7によって逐次的に一本鎖M13DNA
に変異を導入すればよい。またPM6およびPM7によってそ
れぞれ別の一本鎖M13DNAに変異を導入し,別々に発現プ
ラスミドを調製し,それぞれにおける所定の消化断片を
連結してもよい。
領域の欠落のための部位特異的変異誘発とアミノ酸の
置換のための部位特異的変異誘発とを複合する方法は大
別すると二通りある。
第一は領域の欠落を目的とした部位特異的変異誘発の
ための合成オリゴヌクレオチドおよびアミノ酸の置換を
目的とした部位特異的変異誘発のための合成オリゴヌク
レオチドによって好ましくはこの順序で逐次的に一本鎖
M13DNAに変異を導入して複合する方法である。
第二は領域の欠落を目的とした部位特異的変異誘発の
ための合成オリゴヌクレオチドおよびアミノ酸の置換を
目的とした部位特異的変異誘発のための合成オリゴヌク
レオチドによってそれぞれ別の一本鎖M13DNAに変異を導
入する方法であり,この段階では複合しないが,各一本
鎖M13DNAから別々に発現プラスミドを調製し,それぞれ
における所定の消化断片を連結することにより複合を完
成する。
部位特異的変異誘発を行った後は,得られた反応液で
大腸菌を形質転換し,これを培養して得られるプラーク
について放射標識した合成オリゴヌクレオチドをハイブ
リッドしてスクリーニングすれば,本発明に係る変異tP
AをコードするcDNAを外来遺伝子として含む二本鎖M13フ
ァージDNAを得ることができる。必要により該DNAから当
該cDNAを切り出し,これを宿主に応じて使用される適当
な発現ベクターに連結することは常法に従って適宜おこ
なえばよい。
以上の製造プロセスの中間段階で利用される個々の遺
伝子組換操作はほとんどが公知であるので,文献あるい
は簡単な記述によって以下に説明する。
制限酵素によるプラスミドの切断および切断して得ら
れるDNA断片のアガロースゲル電気泳動またはポリアク
リルアミドゲル電気泳動による分離と回収と結合につい
ては下記文献20)の記述が参照される。
20)マニアティス,ティー,エタール.,モレキュラーク
ローニング,ア ラボラトリー マニュアル,コールド
スプリング ハーバーラボラトリー 1982 (Maniatis,T,et al., Molecular Cloning,A Laborator
y Manual,Cold Spring Harbor Laboratory 1982) 例えば天然tPAをコードするcDNAを含むプラスミドお
よびM13ファージベクターを各々切断し,断片を結合し
てcDNAの組込まれた二本鎖M13DNAを得る場合に応用され
る。
プラスミドの大腸菌への形質転換は下記文献21)に従
えばよい。
20)DNAクローニング第1巻第6章ディー.エム.グロ
バー編,アイアールエルプレス 1985 (DNA cloning Vol.1,Chap.6,ed.D.M.Glover IRL press
1985) 例えば天然tPAをコードするcDNAの組込まれた二本鎖M
13DNAあるいは変異tPAをコードするcDNAの組込まれた発
現プラスミドを大腸菌への形質転換に供するときに応用
される。
変異誘発用およびスクリーニング用のオリゴヌクレオ
チドのPhosphoamidite法による合成および5′末端の標
識はそれぞれ下記文献22)および23)によればよい。
22)エス.エル.ビューケージ,エタール.,:テトラヘ
ドロン レット.,22 1859,(1981) (S.L.Beaucage,et al.,Tetrahedron Lett.,22 1859(1
981)) 23)エー.マキサム アンド ダブリュ.ギルバード,
メソッズ イン エンチモロジー,65巻 499−560頁
アカデミックプレス 1980 (A.Maxam and W.Gilbert,Methods in Enzymology,Vol.
65 p499−560 Academic Press 1980) DNA塩基配列の決定は下記文献24)に従いdideoxy法に
よりおこなえばよい。
24)エフ.サンガー.エタール.,ピー.エヌ.エー.エ
ス.74 5463,1977 (F.Sanger et al.,P.N.A.S 74 5463,1977) 例えば変異誘発し,スクリーニングした一本鎖M13DNA
について塩基配列を決定し,目的とする変異が誘発され
ているか否かを確認する場合に応用される。
二本鎖および一本鎖のM13ファージDNAは以下のように
調製される。
すなわち形質転換した大腸菌を下記文献25)により培
養し,さらに振盪培養し,遠心分離する。沈澱部の大腸
菌からは前記文献20)に記載の方法により二本鎖M13DNA
を得る。また上澄液からは,その1.3mlに260μlの2.5M
NaCl-20% PEG 6000混合溶液を加え,混合物をエッペ
ンドルフミクロチューブで遠心分離し,得られるペレッ
トを120μlの10mMトリス塩酸緩衝液(pH7.9,0.1mM EDT
A)に懸濁し,フェノール抽出し,エタノールで沈澱さ
せ,70%エタノールで洗浄し,乾燥後30μlの10mMトリ
ス塩酸緩衝液(pH7.9,0.1mM EDTA)に再び懸濁して一本
鎖M13DNAを得る。
25)ジェー.メッシング,メソッズ イン エンチモロ
ジー 101 ,20−78 1983 (J.Messing,Method in Enzymology 101,20−78 1983 部位特異的変異誘発反応は下記文献26)に従っておこ
なわれる。
26)ゾラー アンド スミス,メソッズ イン エンチ
モロジー 100 468−500,1983 (Zoller and Smith,Methods in Enzymology,100 468−
500,1983) すなわち非放射性リン酸で末端標識した変異誘発用合
成オリゴヌクレオチド(プライマー)20pmolに一本鎖M1
3DNA 1μg,アニーリング用緩衝液(50mMトリス塩酸,p
H8.0,0.25mM MgCl2)2μl,B緩衝液(0.2Mトリス塩酸,p
H7.5,0.1M MgCl2,0.1Mジチオスレイトール)8μl,dAT
P,dGTP,dCTP,dTTP各2.5mMずつの混合物4μl,5mM rATP
2μl,蒸溜水1μl,T4DNAリガーゼ5単位,DNAポリメラー
ゼ I Klenow フラグメント5単位を加え,最終全液量
を20μlとして14℃3時間反応させる。
次に反応混合液を用いて変異誘発を受けたDNAで大腸
菌を形質転換するためには下記文献27)に従って行な
い,さらに下記文献28)に従って形質転換した大腸菌を
大腸菌JM103とまぜて寒天培地上に拡げ,37℃で一夜培養
し,形成するプラークをニトロセルロースフィルター上
に写しとる。
27)クレーマー エタール.,セル 38 879−887,1984 (Kramer et al.,Cell 38 879−887,1984) 28)グルンスタイン アンド ホグネス,ピー.エヌ.
エー.エス.ユーエスエー 72 3961,1975 (Grunstein and Hogness,P.N.A.S.USA 72 3961,1975) ニトロセルロースフィルター上に写しとったプラーク
についてのスクリーニングは以下のように行なう。
ニトロセルロースフィルターを6倍のSSC(1倍のSSC
は150mM NaCl,15mMクエン酸ナトリウム),10倍のDenhar
dt's(1倍のDenhardt'sは0.02%ポリビルニピロリド
ン,0.02%フィコール,0.02%ウシ血清アルブミン),50
μg超音波処理サケ精子DNAの中に加えて65℃3時間処
理し,予備ハイブリッドを形成させる。次いでフィルタ
ーを放射標識した変異誘発用合成オリゴヌクレオチドと
同一緩衝液条件下で混合し65℃で一夜放置してハイブリ
ッドを形成させる。フィルターを6倍のSSCで洗浄し,
水分をきった後,増感スクリーンを重ね,X線フィルムに
露出して目的のプラークを選出する。
変異tPAをコードするcDNAを二本鎖M13DNAから切り出
し,これを発現ベクターに連結して得られる発現プラス
ミドは宿主に応じてそれぞれ形質転換に使用すればよい
が,例えばBHK細胞の形質転換のためには下記文献29)
に従ってLoyterらの方法によりおこなえばよい。すなわ
ち得られた発現プラスミドを例えばpSV2−dhfrと共にBH
K570細胞株(ts,tk-)に形質転換する。なおpSV2−dhfr
については下記文献30)が参照される。
29)ロイター エタール.,ピー.エヌ.エー.エス.ユ
ーエスエー,79 422,1982) (Loyter et al.,P.N.A.S.USA,79 422,1982) 30)サブラマニ,エタール:モル.セル.バイオロ.1
854−864,(1981) (Sabramani, et al:Mol.Cell.Biol.1 854−864,(198
1)) クローニングは限界希釈法(limiting dilution法)
を利用して以下のごとく行なうことができる。
形質転換の数日後より200nM Amethopterin含有ダルベ
コ変法イーグル培地(ダルベコ変法イーグル培地,ブド
ウ糖3.5%,炭酸水素ナトリウム7.5%,牛胎児血清(FC
S)5%,トラネキサム酸3mM,グルタミン2mM,(+)−A
methopterin 200nM)で2〜3日毎に1〜2週培地交換
しながら限界希釈して産生株を得る。次に産生株をロー
ラーボトルに用意した200nM Amethopterin含有ダルベコ
変法イーグル培地300mlに接種し,37℃で培養し,培養開
始より3〜4日後より毎日3〜4週間同量の培地で培地
交換し,培養上清を集めればよい。
変異tPAの精製のためには抗tPA抗体を担体に結合した
抗体カラムによるアフィニティークロマトグラフィーを
好便に利用することができる。すなわちあらかじめトリ
ス緩衝液(100mMトリス塩酸,pH7.5,0.5M NaCl)で緩衝
化した抗体カラムに前記培養上清をチャージし,同上ト
リス緩衝液で洗浄後,5M KSCN溶液(同上トリス緩衝液に
溶解)で活性成分を溶出する。溶出した活性画分は濃縮
し,例えばセファクリルS−200にチャージし,トリス
緩衝液(50mMトリス塩酸,pH7.5,0.5M NaCl,1.5M KSCN)
でゲル過する。再び活性画分は濃縮し,脱塩し,例え
ばマニトールを添加して凍結乾燥すれば最終物質を得る
ことができる。
以上の工程操作によって得られた本発明糖鎖変異tPA
においては,糖鎖の結合位置を特定する必要があり,こ
の目的のためには以下の分析を行なえばよい。
まず糖鎖変異tPAについて,下記文献31)に示すWaxda
llらの方法に従い,ジスルフィド結合を還元アルキル化
後,反応液をPD−10カラム (ファルマシアジャパン
社)により脱塩し,ついで凍結乾燥物を1mlの4M尿素含
有50mMトリス緩衝液pH9.0に溶解し,リジルエンドペプ
チダーゼを酵素対基質モル比が1対100となるよう加え,
37℃で16時間酵素消化を行う。酵素消化終了後,反応液
に70%ギ酸を加え,pH2に調整して反応を止め,反応液は
下記の条件下での高速液体クロマトグラフィーによるペ
プチドマッピングに供する。
31)ワックスダール,エム.ジェー.,エタール.:バイオ
ケミストリー,7,1959,(1968) Waxdall,M.J.,et al.:Biochemistry,7,1959,(1968)) カラム Ultrapore RPSC(ベックマンジャパン社) 溶出液 0.1%トリフルオロ酢酸水溶液及び0.08%ト
リフルオロ酢酸含有ア セトニトリル 溶出条件 アセトニトリル含量を60分で0%から60%に
上昇させるリニアグラジ エント 流速 毎分1ml 検出 206nmの紫外吸収 ペプチドマッピングでは,あらかじめ天然tPAについ
て上記と同一の酵素消化を行い,糖含有ペプチドを含
め,すべての断片ペプチドについての溶出位置を決定し
ておく。この結果を基にして,各糖鎖変異tPAについて
の糖含有ペプチドの溶出位置を推定し,さらにレクチン
−パーオキシダーゼを用いたドットブロッティング法に
より,糖鎖の有無の確認を行う。
こうして得られた各糖鎖変異tPAの糖鎖含有フラグメ
ントは0.1M重炭酸アンモニウム水溶液に溶解し,トリプ
シン(Warthington,U.S.A.)を加え,37℃,6時間の酵素
消化を行い,上記の高速液体クロマトグラフィーの条件
でさらに分離精製する。各溶出ピークについてアミノ酸
配列を分析し,糖鎖の結合したアミノ酸を決定する。
(5)実施例 以下に記載する実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。
実施例1 a)F領域とG領域の欠落のためのDNAプラスミドの調
整 図2に示した様にpDR1496よりM13tg130−W RFを作製
した。
すなわちpDR1496をSph I ,Xba Iにて切断し,Bgl II制
限酵素切断部位を含む約2.1KbpのDNA断片を回収する。
このDNA断片とM13tg130 RF(アマシャムジャパン
(株))のSph I,Xba I切断断片とを結合させ,二本鎖M
13DNAとし,大腸菌へ形質転換しM13tg130−W RF及び一
本鎖M13tg130−Wを得た。
次に,tPAのF領域G領域を欠落させる目的で式: 5′CGTGGCCCTGGTATCTTGGTAAG 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとして一本鎖M13tg130−Wと
により部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニング
し,部位特異的な変異の生じたファージを得た。このフ
ァージより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩
基配列を確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13tg130−W
6 RF DNAとした。
次に図3に示した様にM13tg130−W6 RF DNAよりZem99
−2600を調製した。
すなわち,M13tg130−W6 RF DNAをBgl II,Apa 1にて切
断し1.15KbpのDNA断片を回収しこの断片と,Zem99をBgl
II,Apa 1にて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転
換し,プラスミドを回収しZem99−2600を得た。
b)183番GlyをSerに,186番SerをThrに置換するためのD
NA プラスミドの調製 図4に示したようにZem99よりM13mp18/BamZem99を作
製した。
すなわち,Zem99をBamH1にて切断し,Bgl II制限酵素切
断部位を含む約2.4KbpのDNA断片を回収する。このDNA断
片とM13mp18(フアルマシア(株))のBamH1切断断片と
を結合させ,二本鎖M13DNAとし,大腸菌へ形質転換しM1
3mp18/BamZem99を得た。
次に,tPAの183GlyをSerに,186SerをThrに置換する目
的で式: 5′ACGGTAGGCTGTCCCATTGCTAAAGTAGCA 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとしM13mp18/BamZem99とによ
り部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニングし,
部位特異的な変異の生じたファージを得る。このファー
ジより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩基配
列を確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13−6000 RFと
した。
次に図5に示したようにM13−6000 RFよりZem99−600
0を調製した。
すなわち,M13−6000 RFをBgl II,Apa Iにて切断し1.4
KbpのDNA断片を回収しこの断片と,Zem99をBgl II,Apa I
にて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,プ
ラスミドを回収しZem99−6000を得た。
c)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図6に示したように,Zem99−2600,Zem99−6000および
Zem99よりZem99−2660を調製した。すなわちZem99−260
0をBgl II,Nar Iにて,またZem99−6000をNar I,Apa I
にて切断し,それぞれ82bp,1068bpの断片を回収する。
これらのDNA断片とZem99のBgl II,Apa I切断断片を結合
させ,大腸菌に形質転換し,プラスミドを回収しZem99
−2660を得た。
なおZem99−2660の変異tPAコーディング領域のDNA塩
基配列およびそのアミノ酸配列を図18−1,図18−2に示
す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia coli R
R1−Zem99−2660は微工研寄託番号FERM P−9122であ
る。
d)糖鎖変異tPA 得られたZem99−2660とpSV2−dhfrとでBHK570細胞株
(ts,tk-)をLoyterの方法により形質転換し,限界希釈
法でクローニングし,培養上清を抗体カラムにチャージ
し,最終物質No.2660を得た。No.2660について糖鎖の結
合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列にお
けるアミノ酸位置番号117番,184番,448番のAsnに糖鎖が
結合しており,特に184番の糖鎖結合が不均一になりや
すいと考えられる問題が解決されていることが判明し
た。
実施例2 a)119番SerをMetに置換するためのDNAプラスミドの調
製 実施例1のa)で作製した一本鎖M13tg130−Wを用意
した。
次に,tPAの119SerをMetに置換させる目的で式: 5′GGCCAACGCCATGGAGTTCCAGTT 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとし一本鎖M13tg130−Wとに
より部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニング
し,部位特異的な変異の生じたファージを得た。このフ
ァージより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩
基配列を確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13tg130−W
16 RF DNAとした。
次に図7に示したようにM13tg130−W16 RF DNAよりZe
m99−6300を調製した。
すなわちM13tg130−W16 RF DNAをBgl II,Apa 1にて切
断し1.4KbpのDNA断片を回収しこの断片と,Zem99をBgl I
I,Apa 1にて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転
換し,プラスミドを回収しZem99−6300を得た。
b)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図8に示したように,Zem99−2600,Zem99−6300および
Zem99よりZem99−2663を調製した。すなわち実施例1の
a)で作製したZem99−2600をBgl II,Nar Iにて,またZ
em99−6300をNar I,Apa Iにて切断し,それぞれ82bp,10
68bpの断片を回収した。これらのDNA断片とZem99のBgl
II,Apa I切断断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,プ
ラスミドを回収しZem99−2663を得た。
なおZem99−2663の変異tPAコーディング領域のDNA塩
基配列およびそのアミノ酸配列を図19−1,図19−2に示
す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia coli R
R1−Zem99−2663は微工研寄託番号FERM P−9123であ
る。
c)糖鎖変異tPA Zem99−2663を使用し,実施例1のd)項の記載と同
様にして最終物質No.2663を得た。No.2663について糖鎖
の結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列
におけるアミノ酸位置番号184番と448番のAsnにのみ糖
鎖が結合しており,117番のAsnには糖鎖が結合していな
いことが判明した。
実施例3 a)G領域の欠落のためのDNAプラスミドの調製 図9に示したように実施例1のa)で作製した一本鎖
M13tg130−WよりM13tg130−24 RFを作製した。
すなわちtPAのG領域を欠落させる目的で式: 5′GCACGTGGCCCTGGTTTTGACAGGCACTGA 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとし一本鎖M13tg130−Wとに
より部位特異的な変異誘発を行い,スクリーニングし,
部位特異的な変異の生じたファージを得た。このファー
ジより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩基配
列を確認し,一本鎖M13tg130−24とし,さらに二本鎖DN
Aを得,M13tg130−24 RF DNAとした。
b)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図10に示したようにM13tg130−24 RF,Zem99−6000お
よびZem99よりZem99−2460を調製した。すなわちM13tg1
30−24RFをBgl II,Nar Iにて,また実施例1のb)で作
製したZem99−6000をNar I,Apa Iにて切断し,それぞれ
217bp,1068bpの断片を回収した。これらのDNA断片とZem
99のBgl II,Apa I切断断片を結合させ,大腸菌に形質転
換し,プラスミドを回収しZem99−2460を得た。
なお,Zem99−2460の変異tPAコーディング領域のDNA配
列およびそのアミノ酸配列を図23−1,図20−2,図20−3
に示す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia co
li RR1−Zem99−2460は微工研寄託番号FERM P−9270で
ある。
c)糖鎖変異tPA Zem99−2460を使用し,実施例1のd)項の記載と同
様にして最終物質No.2460を得た。No.2460について糖鎖
の結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列
におけるアミノ酸位置番号117番,184番,448番のAsnに糖
鎖が結合しており,特に184番の糖鎖結合が不均一とな
りやすいと考えられる問題が解決されていることが判明
した。
実施例4 a)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図11に示したように,M13tg130−24 RF,Zem99−6300,
およびZem99よりZem99−2463を調製した。すなわち,実
施例3のa)で作製したM13tg130−24 RFをBgl II,Nar
Iにて,また実施例2のa)で作製したZem99−6300をNa
r I,Apa Iにて切断し,それぞれ217bp,1068bpの断片を
回収した。これらのDNA断片とZem99のBgl II,Apa I,切
断断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,プラスミドを
回収しZem99−2463を得た。
なお,Zem99−2463の変異tPAコーディング領域のDNA塩
基配列およびそのアミノ酸配列を図21−1,図21−2,図21
−3に示す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichi
a coli RR1−Zem99−2463は微工研寄託番号FERM P−927
1である。
b)糖鎖変異tPA Zem99−2463を使用し,実施例1のd)項の記載と同
様にして最終物質No.2463を得た。No.2463について糖鎖
の結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列
におけるアミノ酸位置番号184番と448番のAsnにのみ糖
鎖が結合しており,117番のAsnには糖鎖が結合していな
いことが判明した。
実施例5 a)F領域,G領域およびK2領域の欠落のためのDNAプラ
スミドの調製 図12に示したように実施例1のa)で作製した一本鎖
M13tg130−W6よりM13tg130−612 RFを作製した。
すなわちtPAのK2領域を欠落させる目的で式: 5′CAGGCCGCAGGTGCTACAAGCTGGGGTGCTGCTGCAG 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとして一本鎖M13tg130−W6と
により部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニング
し,部位特異的な変異の生じたファージを得た。このフ
ァージより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩
基配列を確認し,一本鎖M13tg130−612とし,さらに二
本鎖DNAを得,M13tg130−612 RF DNAとした。
b)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図13に示したように一本鎖M13tg130−612よりZem99−
2810作製した。
すなわちtPAの119番SerをMetに変換させる目的で式: 5′GGCCAACGCCATGGAGTTCCAGTT 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとし一本鎖M13tg130−612と
により部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニング
し,部位特異的な変異の生じたファージを得た。このフ
ァージより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩
基配列を確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13tg130−6
12−16 RFとした。
M13tg130−612−16 RFをBgl II,Apa Iにて切断し,886
bpのDNA断片を回収した。このDNAとZem99のBgl II,Apa
I切断断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,プラスミ
ドを回収しZem99−2810を得た。
なお,Zem99−2810の変異tPAコーディング領域のDNA塩
基配列およびそのアミノ酸配列を図22−1,図22−2に示
す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia coli R
R1−Zem99−2810は微工研寄託番号FERM P−9124であ
る。
c)糖鎖変異tPA Zem99−2810を使用し,実施例1のd)項の記載と同
様にして最終物質No.2810を得た。No.2810について糖鎖
の結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列
におけるアミノ酸位置番号448番のAsnにのみ糖鎖が結合
しており,同117番のAsnには糖鎖が結合していないこと
が判明した。
実施例6 a)F領域とG領域の欠落および96番GlnをAsnに,98番I
leをThrに置換するためのDNAプラスミドの調製 実施例1のa)で作製した一本鎖M13tg130−W6を用意
した。
次に,tPAの96GlnをAsnに98IleをThrに置換させる目的
で式: 5′CCTGTAGCTGGTACCGTTGTCCTCGTA 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとしてM13tg130−W6とにより
部位特異的な変異誘発を行い,スクリーニングし,部位
特異的な変異の生じたファージを得た。このファージよ
り一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩基配列を
確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13tg130−62 RFとし
た。
b)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図14に示したように,M13tg130−62 RFをBgl II,Nar I
にて,また実施例5のb)で作製したM13tg130−612−1
6 RFをNar I,Apa Iにて切断し,それぞれ82bp,804bpのD
NA断片を回収した。これらのDNAとZem99のBgl II,Apa I
切断断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,プラスミド
を回収しZem99−2820を得た。
なおZem99−2820の変異tPAコーディング領域のDNA塩
基配列およびそのアミノ酸配列を図23−1,図23−2に示
す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia coli R
R1−Zem99−2820は微工研寄託番号FERM P−9125であ
る。
b)糖鎖変異tPA Zem99−2820を使用し,実施例1のd)の記載と同様
にして最終物質No.2820を得た。No.2820について糖鎖の
結合位置を分析したところ,天然tPAのアミノ酸配列に
おけるアミノ酸位置番号98番,448番に糖鎖が結合してお
り,同117番のAsnには糖鎖が結合していないことが判明
した。
実施例7 a)F領域,G領域およびK1領域の欠落のためのDNAプラ
スミドの調製 図15に示したように実施例1のa)で作
製したM13tg130−W6よりZem99−2700を作製した。
すなわちtPAのK1領域を欠落させる目的で式: 5′GCAGTCATCGTTTCCTTGGTAAG 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとして一本鎖M13tg130−W6と
により部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニング
し,部位特異的な変異の生じたファージを得た。このフ
ァージより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定により塩
基配列を確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13tg130−W
7 RFとした。
次に,M13tg130−W7 RFをBgl II,Apa 1にて切断し883bp
のDNA断片を回収し,この断片とZem99をBgl II,Apa 1に
て切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,プラ
スミドを回収しZem99−2700を得た。
b)複合変異のためのDNAプラスミドの調製 図16に示したように,Zem99−2700をBamH Iにて切断し
約1.9KbpのDNA断片を回収し,この断片とM13 mp 18 RF
をBamH Iにて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転
換し,M13 mp 18−2700のRF DNAおよび一本鎖M13 mp 18
−2700を得た。
次に図17に示したようにM13 mp 18−2700よりZem99−
2760を作製した。
すなわち96番GlyをSerに,98番SerをThrに置換させる
目的で式: 5′ACGGTAGGCTGTCCCATTGCTAAAGTAGCA 3′ のオリゴヌクレオチドを合成し,これを変異誘発性オリ
ゴヌクレオチドプライマーとして一本鎖M13 mp 18−270
0とにより部位特異的な変異誘発を行ない,スクリーニ
ングし,部位特異的な変異の生じたファージを得た。こ
のファージより一本鎖M13DNAを得,DNA塩基配列決定によ
り塩基配列を確認し,さらに二本鎖M13DNAを得,M13 mp
18−2760 RFとした。
次に,M13 mp 18−2760 RFをBgl II,Apa 1にて切断し8
83bpのDNA断片を回収し,この断片とZem99をBgl II,Apa
1にて切断した断片を結合させ,大腸菌に形質転換し,
プラスミドを回収しZem99−2760を得た。
なお,Zem99−2760の変異tPAコーディング領域のDNA塩
基配列およびそのアミノ酸配列を図24−1,図24−2に示
す。またこれで形質転換した大腸菌Escherichia coli R
R1−Zem99−2760は微工研寄託番号FERM P−9273であ
る。
c)糖鎖変異tPA Zem99−2760を使用し,実施例1のd)項の記載と同
様にして最終物質No.2760を得た。
(6)発明の効果 以下の実験例によって本発明の効果を示す。
実験例1 試料と方法 実施例1,2,7,8で得られたNo.2660,No.2663,No.2810,N
o.2820を検体試料とし,また天然tPAを対照試料とし
た。3%マニトール,3%アスパラギン酸および3%アル
ギニンを含むpH6.0の水溶液に各試料を溶解し,Spragu−
Dawley系雄性ラット(体重230〜270g)に各々0.4mg/kg
ずつを大腿部静脈内に投与し,経時的に頸静脈から0.5m
lずつ採血し,少量の3.8%クエン酸を添加して遠心分離
し,血漿を得た。血漿中の各tPA濃度はサンドイッチ法
による酵素免疫測定法で測定した。
結果 結果を図25に示す。図25は各試料についての血漿中濃
度の経時的推移を示すグラフであり,図中●印線,△印
線,×印線,▲印線,○印線はそれぞれ天然tPA,No.266
0,No.2663,No.2810,No.2820における結果を示す。図25
の各試料濃度の経時的推移はtwo−compartment modelで
解析される。α相の消失半減期T1/2(α)およびβ相の
Y切片血中濃度B並びに血中濃度−時間曲線下の面積AU
Cを求めた。その結果を表1に示す。表中の数値は3例
の平均値であり,T1/2(α),B,AUCの単位はそれぞれmi
n,μg/ml,min・μg/mlである。
図25および表1より本発明糖鎖変異tPAが血中濃度に
おいて天然tPAを改善したものとなっていることが判明
する。
実験例2 方法 実施例1,7,8で得られたNo.2660,No.2810,No.2820を検
体試料とし,また天然tPAを対照試料とした。各試料約5
00μgにpH7.12緩衝液(イオン強度0.05)を溶解液とし
て加え,26℃で5分間攪拌し,8時間振とうしてから遠心
分離し,上澄液についてHPLC(UV220nm)により蛋白量
を求め溶解度を定めた。結果を表2に示す。表中の数値
はmg/mlによって示される。
表2より本発明糖鎖変異tPAは天然tPAよりもはるかに
大きい溶解度を有することが判明する。
実験例3 試料と方法 実施例1,2,7,8で得られたNo.2660,No.2663,No.2810,N
o.2820を検体試料とし,また天然tPAを対照試料とし
た。アトム静脈カテーテル(4Fr,3.5cm)に3cm長の絹糸
を入れ,注入用シリンジに結合させておく。別に血液と
3.8%クエン酸ナトリウムを9:1に混合してヒトクエン酸
血液を用意し,この液0.5mlに125Iでラベルしたフィブ
リノーゲン(25μCi/50μl生理食塩水),0.25M塩化カ
ルシウム50μl,トロンビン5U/10μlを加える。得られ
る溶液16μlを前記注入用シリンジに吸いとってカテー
テル内に注ぎ,室温60分間放置する。絹糸をカテーテル
からとり出し,生理食塩水で洗浄してから放射活性を測
定し,スタート時のフィブリン血栓値とした。次にこの
絹糸をSprague−Dawley系雄ラット(200−300g)の頸動
静脈(AVシャント)内に入れ,続いて計算量の試料を1m
lの溶解液に希釈したものを同ラットの大腿静脈より投
与し,2時間経過後に絹糸をとりだし,放射活性を測定し
て残存フィブリン血栓値とした。
下式により血栓残存率(%)を求めた。
結果 結果を図26に示す。図26は試料の投与量と血栓残存率
との関係を示すグラフであり,図中,実線(−),点線
(……),三点鎖線 ,一点鎖線 ,二点鎖線 はそれぞれ天然tPA,No.2660,No.2663,No.2810,No.2820
についての三例の平均値の結果を示す。図26より本発明
複合変異tPAは天然tPAと同程度に血栓溶解活性を有する
ことが判明する。
【図面の簡単な説明】
図1はZem99の制限酵素マップである。 図2はM13tg130−W RFの構築図である。 図3はZem99−2600の構築図である。 図4はM13mp18/Bam Zem99 RFの構築図である。 図5はZem99−6000の構築図である。 図6はZem99−2660の構築図である。 図7はZem99−6300の構築図である。 図8はZem99−2663の構築図である。 図9はM13tg130−24 RFの構築図である。 図10はZem99−2460の構築図である。 図11はZem99−2463の構築図である。 図12はMtg130−612 RFの構築図である。 図13はZem99−2810の構築図である。 図14はZem99−2820の構築図である。 図15はZem99−2700の構築図である。 図16はM13 mp 18−2700 RFの構築図である。 図17はZem99−2760の構築図である。 図18−1,図18−2はZem99−2660の変異tPAコーディング
領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列である。 図19−1,図19−2はZem99−2663の変異tPAコーディング
領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列である。 図20−1,図20−2,図20−3はZem99−2460の変異tPAコー
ディング領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列であ
る。 図21−1,図21−2,図21−3はZem99−2463の変異tPAコー
ディング領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列であ
る。 図22−1,図22−2はZem99−2810の変異tPAコーディング
領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列である。 図23−1,図23−2はZem99−2820の変異tPAコーディング
領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列である。 図24−1,図24−2はZem99−2760の変異tPAコーディング
領域のDNA配列およびそのアミノ酸配列である。 図25は血漿中濃度の経時的推移を示すグラフである。 図26は投与量と血栓残存率の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 9/64 Z C12R 1:91) (56)参考文献 欧州特許公開196920(EP,A) 欧州特許公開178105(EP,A) Proc.Natl.Acad.Sc i.83P.4670−4674(1986) J.Biol.Chem.261(30)P. 14214−14218(1986) Biochemistry23P.3701− 3707(1984)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然tPAのF領域およびG領域を欠落し,
    かつ天然tPAのアミノ酸位置番号183番のGlyおよび186番
    のSerをそれぞれSerおよびThrに置換した複合変異tPA。
JP62064340A 1987-03-20 1987-03-20 複合変異tPA Expired - Lifetime JPH084502B2 (ja)

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JPS63230084A JPS63230084A (ja) 1988-09-26
JPH084502B2 true JPH084502B2 (ja) 1996-01-24

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