JPH08711B2 - 光学ガラス - Google Patents

光学ガラス

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JPH08711B2
JPH08711B2 JP2413881A JP41388190A JPH08711B2 JP H08711 B2 JPH08711 B2 JP H08711B2 JP 2413881 A JP2413881 A JP 2413881A JP 41388190 A JP41388190 A JP 41388190A JP H08711 B2 JPH08711 B2 JP H08711B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として高出力光に使
用される光学ガラスに係り、特にYAG(1064n
m),Arレーザ(350〜515nm),KrF(24
8nm)若しくはArF(193nm)エキシマレーザ光
その他の高出力レーザに使用される光学ガラスに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、エキシマレーザその他の高出力レ
ーザは、LSI製造のためのリソグラフィー技術、光化
学反応を利用する技術、切断研削の為の加工技術、レー
ザ核融合技術に利用されるものとして注目を集めてい
る。そしてこの種の高出力レーザを透過、伝送、屈折、
反射、吸収、干渉させる為のレンズ、プリズム、フィル
ター等としてシリカガラス光学体の適用が試みられてい
る。 しかしながら、前記各種オプテイクスを構成する
シリカガラスに、略700〜600nmの可視波長域の
光が作用した場合、又略360nmから略160nmの
紫外波長域の光が作用した場合は、特にガラスの構造上
ダメージを受けやすい。
【0003】なぜならば高出力レーザが長時間照射され
るといわゆるNBOHC(ノンブリッジ、オキシジェ
ン、ホール、センター)と呼ばれる略630nmの吸収
バンド、及びE’センターと呼ばれる略215nmの吸
収バンドと、別の略260nm吸収バンドが生成し、こ
の結果略750〜500nm及び略360nmから略1
60nmの紫外線の透過率を低下させ、光学特性を劣化
させてしまう。従って、シリカガラスを前記波長域にお
ける高出力レーザに対して耐久性を向上させることは構
造上極めて困難である。
【0004】更に、特に略250nm以下の短紫外域に
おけるKrF若しくはArFエキシマレーザは、他の紫
外光に比較して最も強いエネルギーを持っており、該エ
キシマレーザの照射により前記シリカガラスは一層強い
光学的ダメージを受けやすいことが確認されている。
【0005】そこで本発明者等は、高純度高均質性の合
成シリカガラス(商品名SUPRASIL−P10、信
越石英株式会社製)を出発母材として、該母材中に紫外
線レーザ照射による光透過率を抑制するのに充分な量の
アルゴンその他の希ガスを含有させた技術を提案してい
る。(特願平2ー184048号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記技術
においても照射レーザを高出力化するにつれ尚好ましい
耐レーザ性が得られないことが判明した。その理由を分
析してみるに、高出力レーザ用シリカガラス体は高純度
と高均質性を前提とするものである為に、合成シリカガ
ラス、特に透明合成シリカガラス以外を用いる事ができ
ないが、これらの合成シリカガラスは酸水素炎加水分解
法若しくはCVDスート法いずれで製造する場合でも短
時間で而も酸水素炎を用いて高温合成を行なう為に、平
衡化反応が十分行なわれず構造的には充分安定とは言え
ない。
【0007】そこで前記技術においては合成シリカガラ
スを出発母材として用いるも、該ガラス体中に希ガスを
ドープする事により、前記欠点を解消し、耐レーザ性の
向上を図っているが、かかる技術がはあくまでも不安定
構造の存在を前提とする対処療法であり、必ずしも根本
的な解決につながらない。
【0008】又前記先願技術においては、シリカガラス
の徐冷点以下で850〜1150℃の温度で加熱してい
るが、この様に徐冷点以下の温度で加熱加圧処理をして
もドープ出来る希ガス含有量に制限を受け、プリズムや
レンズ等の厚肉の光学ガラスの生成が困難になるという
欠点を有す。
【0009】本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み、合
成石英ガラスを用いつつも該合成石英ガラスに所定の熱
処理を加えてガラス構造の安定化を図り、これにより高
出力耐レーザ性の向上とともに光学ガラス自体の特性の
向上を図る事を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に至った経過を順
を追って説明する。先ず、前記したように耐レーザ性を
得るには高純度高均質且つ透明である事が必要でありこ
の様な条件は合成シリカガラス以外では得る事が出来な
いが、合成シリカガラスは短時間で高温合成を行なうた
めに、平衡化反応が十分行なわれず構造的には充分安定
とは言えない点は前記した通りである。
【0011】そしてこのような平衡化反応が十分行なわ
れないために、構造的に不安定な三員環及び四員環構造
のガラス組織を多く含む事が本発明者によって把握され
た。そこで本発明者は更に研究を重ね、前記三、四員環
構造は、前記ガラス体の絶対屈折率を上昇させうる加圧
熱処理により低減させる事が可能となり、そして安定構
造たる六員環構造が増加し得る事が知見し得た。
【0012】そして更に本発明者は、ガラス体中の絶対
屈折率nd(ナトリウムのd線)を略1.461以上に
設定する事により、前記高出力レーザを照射した場合に
おいても実質的にレーザ透過率が低下する事のない耐レ
ーザ性を確保し得る事が実験によリ確認できた。即ち、
本発明は、前記透明合成シリカガラス体を希ガス雰囲気
下で軟化点(1600℃)以上の温度で且つ高圧加圧下
で再溶融処理を行う事により、より具体的には前記透明
合成シリカガラス体を希ガス雰囲気下で軟化点(160
0℃)以上の温度で、且つ2000Kgf/cm圧力
で熱間等方圧加圧法にて再溶融処理を行う事により、前
記ガラス体に希ガス元素を含有させるとともに、該ガラ
ス体の絶対屈折率(nd)を略1.461、具体的には
1.4615以上に設定したことを特徴とするものであ
る。
【0013】しかしながら前記の構成を取っても充分な
耐高出力レーザ性は得られなかった。そこで前記圧力熱
処理を希ガス雰囲気で行なう事により、シリカガラス体
中に希ガスをドープさせ、ガラスネットワーク構造の強
化と耐レーザ性の向上を図った点を第2の特徴とするも
のである。
【0014】即ち前記技術は希ガスをドープする事によ
り員環構造の隙間に希ガスを入り込ませることにより、
レーザ照射による元素間結合の切断抑制を図るととも
に、前記合成時若しくはその後の熱処理時に含有された
酸素ガスその他の紫外光によって分解、励起される有害
ガスを外部へ脱ガスさせ易くする事を可能とした。
【0015】尚、前記希ガスの代りに窒素ガスを用いて
ガスドープを行うと例え絶対屈折率を向上させても後記
実験例に示すようにガラス中に何らかのチッ素化合物が
生成して透過率低下が起こりやすく、好ましい耐レーザ
性は得られず、従って希ガスドープは必須要件である。
【0016】この場合、前記希ガスドープは従来技術の
様にシリカガラスの徐冷点以下の850〜1150℃の
低温度で加圧加熱処理を行なうのではなく、軟化点以上
である1600〜1700以上の温度域で加圧加熱処理
を行なうものである為に、前記従来技術に比較してガス
含有量とドープ可能な肉厚を大に設定する事が出来、一
層好ましい耐レーザ性を実現出来る。
【0017】さて前記特徴はあくまでも耐レーザ性を考
慮したものであり、この為光学ガラスとしての好ましい
特性を得るためには併せて高均質性も考慮する必要があ
る。特に、屈折率変動幅 (△n)と歪量が大になると、
レンズ、プリズム等を製造した場合に光学的特性が低下
し、例えばステッパー等の微細描画装置に組込んだ場合
に精度よい描画が困難になるのみならず、該レンズに高
出力レーザを長時間照射した場合に破損に至る場合があ
る。即ち、前記ガラス中の歪量を5(nm/cm)以内
に維持し且つ屈折率変動幅(△n)を2×10-6以内に
維持する事により前記要請を満足し得る光学ガラスを得
る事が出来る。
【0018】
【実施例】先ず、原料四塩化ケイ素を蒸留処理して不純
物を除去させた後弗素樹脂ライニング付ステンレス製容
器に貯溜した高純度四塩化ケイ素を用意し、該高純度の
四塩化ケイ素原料を用いて酸水素炎加水分解法の直接火
炎法(以下ダイレクト法という)にて、高純度シリカガ
ラスインゴットを各々複数個合成した。次にこれらのイ
ンゴットを一定の直径の棒状体に延伸した後、横型浮遊
帯域融解法 (FZ法) により混練り均質化し、三方向にお
ける脈理が認められず且つ光使用領域(クリヤ−アパ−
チャ−)における屈折率変動幅 (Δn)を 2×10-6以内に
抑えたシリカガラス体を切断、研削加工して直径100φ
×h100mmの試験片を数個作成した。(以下第1試験片と
いう)又前記インゴットをFZ法により混練り化させる
事なくそのまま切断、研削加工して直径100φ×h100mm
の試験片も数個作成した。(以下第2試験片という)
【0019】次に前記各2種の試験片を白金ーロジウム
製坩堝に入れ、熱間等方圧加圧法(HIP処理法)によ
り、アルゴンガス100%の2000Kg/cm2の高圧雰囲気で、
1750℃の温度を3hr維持して再溶融した後、図1に基づ
く温度/圧力曲線に基づいて徐冷速度をほぼ100℃/hr
に維持して900℃まで徐冷しつつ及び減圧速度を前記徐
冷速度に対応させて50〜100Kg/cm2.hrにて1300Kg/cm2
まで降圧する。そして1300Kg/cm2の圧力を維持した状
態で前記熱処理温度が200℃に低下するのをまち、その
後暫くして徐々に放圧する。又加熱温度においても、前
記900℃まで徐冷した後そのまま自然放冷を行なう。そ
して第1試験片から製造した実験例を実施例1、第2試
験片から製造した実験例を実施例2とする。
【0020】一方窒素ガス100%の2000Kg/cm2
の高圧雰囲気で、前記実施例1と同様な温度、圧力条件
で再溶融処理を行なったものを作成する(比較例1)
【0021】次に前記各サンプルの物性値を測定する。
先ず希ガス含有量を測定する為に、前記各サンプルを切
断、研磨加工し、20×20×t1mmの希ガス放出量測定用サ
ンプルを作成し、該サンプルをセットした石英チャンバ
ー内を真空雰囲気にした後、4℃/min で1000℃まで昇
温させた後、該1000℃にて2hr 保持する。その時放出
される希ガスを四重極型質量分析計に導入してその放出
量を測定する。この結果実施例1及び実施例2について
は希ガス含有量が、約5×1020atoms/m2であった
が、一方比較例1については希ガスが検出できなかっ
た。
【0022】次に日本光学硝子工業会規格「JOGIS1
4」光学ガラスの歪測定方法に基づいて歪量を測定した
ところ、実施例1及び比較例1ではいずれも5(nm/
cm)以内に維持され又屈折率変動幅 (Δn)も2×10-6以内
で且つ3軸方向に脈理も見られなかったが、実施例2に
ついては前記再溶融により脈理の強度は弱くなったが、
尚歪が10(nm/cm)、屈折率変動幅 (Δn)が1×10
-5以上であった。
【0023】次に前記各実施例と比較例について耐エキ
シマレーザ性評価用に40×30×t10mm、両面鏡面
仕上げサンプルと、ラマン散乱測定及び絶対屈折率測定
用に5×10×t20mm、3面鏡面仕上げサンプルを作
成し、下記評価を行った。先ず耐KrFエキシマレーザ性
の評価では、照射条件がパルスエネルギー密度を約90
0(mj/cm2.pulse)と高出力に設定し、周波数100(H
z)、照射パルス数1×106(pulses)としてレーザ照
射前後での140nm〜900nm波長域での透過率の
変化を調べた。
【0024】その結果、前記実施例1及び2のサンプル
において、実質的に透過率低下が認められなかった。特
に、E’センター吸収バンドに対応する5.8eV(約21
4nm)での透過率は、いずれもレーザ照射前後で91
%±0.5(%)以内の見かけの透過率であり、測定器の
精度内のばらつきの範囲であった。しかし、比較例1の
サンプルでは、照射前91%の見かけの透過率が照射後
80%まで低下してしまった。次に、耐ArFエキシマレ
ーザ性の評価では、照射条件がパルスエネルギー密度約
200(mj/cm2.pulse)周波数100(Hz)、照射パル
ス数1×106(pulses)としてレーザ照射前後でのシリ
カガラスの140nm〜900nm域での透過率の変化
を調べた。
【0025】その結果、実施例No.1及び2のサンプル
の5.8eVでの見かけの透過率91%がレーザ照射後に
いずれのサンプルも低下が認められなかったが、比較例
1のサンプルについては、レーザ照射前後で91%から
70%に大幅に低下し、好ましい耐レーザ性は得られな
かった。この原因は、ガラス中に何らかのチッ素化合物
が生成したためと推定される。
【0026】この結果短波長紫外線レーザの場合、特に
希ガスの存在が有効である事が確認されるとともに、耐
レーザ性の面では歪や屈折率変動幅 (Δn)が特別に影響
しない事が理解された。
【0027】次に、前記サンプルについて波長588nm
における絶対屈折率ndの測定を行った。その結果、実施
例1、2及び比較例1ではいずれも、nd=1.4615で
あり、再溶融処理前の試験片の屈折率はnd=1.4585
であることから各実施例のサンプルについて屈折率が
0.003上昇している事が確認された。
【0028】また、各実施例のサンプル及び処理前のサ
ンプルについてレーザラマン散乱測定法による、珪素と
酸素との間の基本振動による散乱ピーク(800-1cm)
と495(cm-1)のD1ラインと606(cm-1)のD2ライン
のピークを測定し、下記1及び2式に基づいてその強度
比を求めた所、処理前のサンプルはR1=0.485〜
0.503 R2=0.155〜0.160であるのに対
し、実施例1のサンプルについてはR1=0.405 R
2=0.110、実施例2のサンプルについてはR1=0.
400 R2=0.110、比較例1のサンプルについて
はR1=0.415 R2=0.115と大幅に低減してい
る事が確認された。 R1=I1(495cm-1)/I0(800cm-1) (1)式 R2=I2(606cm-1)/I0(800cm-1) (2)式 I1:495cm-1散乱ピーク強度 I2:606cm-1散乱ピーク強度 I0:800cm-1散乱ピーク強度
【0029】次に絶対屈折率若しくは員環構造と耐エキ
シマレーザ性に対する影響を調べるため、温度条件を実
施例1と同一で固定しつつ、アルゴンガス100%の圧
力条件を10Kg/cm2の圧力下で再溶融し所定時間維持
した後、前記圧力条件を維持して徐冷速度をほぼ100
℃/hrに維持して900℃まで徐冷し、そして前記再溶
融圧力を維持した状態で前記熱処理温度が200℃に低
下するのをまち、該低下した後暫くして徐々に放圧しつ
つ自然放冷を行なう処理実験を行った(比較例2)。
【0030】そして前記各比較例についてその中心域の
サンプルを採取し、耐KrFエキシマレーザ性の評価を実
施例1と同一の手法を行った結果、照射前の5.8eVの
見かけの透過率が91%であったサンプルがレーザ照射
後は、比較例2のサンプルでは30%前後に低下してし
まった。
【0031】次に前記各比較例のサンプルについて波長
588nmにおける絶対屈折率ndの測定を行った所比較
例2ではnd=1.4585, と熱処理前の試験片の屈折率
とほぼ同等であった。
【0032】また、レーザラマン散乱測定法による、珪
素と酸素との間の基本振動による散乱ピーク(800cm
-1)と495(cm-1)のD1ラインと606(cm-1)のD2
ラインのピークを測定し、上記1及び2式に基づいてそ
の強度比を求めた所、比較例2ではR1=0.495
R2=0.160と処理前のサンプルに比較して低減は
見られなかった。
【0033】従って希ガスの存在を前提に、絶対屈折率
の向上若しくは三員環四員環の不安定なガラス組織割合
の低減を図る事により、耐レーザ性の大幅向上を可能な
らしめることが出来る事も確認された。
【発明の効果】従って上記記載より理解される如く、本
発明は希ガスの存在を前提としつつ合成シリカガラス中
の絶対屈折率の上昇及びこれに対応する三員環四員環の
不安定なガラスリング構造割合を低減し、高密度化を図
る事により、耐レーザ性の大幅向上を可能ならしめるこ
とが出来る。等の種々の著効を有す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における熱処理状態を示す温度
と圧力の時系列曲線図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明合成シリカガラスで形成された光学
    ガラスにおいて、前記透明合成シリカガラス体を、希ガス雰囲気下で軟化
    点(1600℃)以上の温度で且つ高圧加圧下で再溶融
    処理を行う事により、 前記ガラス体に希ガス元素を含有させるとともに、該ガ
    ラス体の絶対屈折率(nd)を略1.461以上に設定
    したことを特徴とする光学ガラス
  2. 【請求項2】 前記ガラス中の歪量を5(nm/cm)
    以内に又屈折率変動幅(Δn)を2×10−6以内に維
    持するように構成した請求項1記載の光学ガラス
  3. 【請求項3】 透明合成シリカガラスで形成された耐レ
    ーザ用光学ガラスにおいて、 前記透明合成シリカガラス体を希ガス雰囲気下で軟化点
    (1600℃)以上の温度で、且つ2000Kgf/c
    の圧力で熱間等方圧加圧法にて再溶融処理を行う事
    により、 前記ガラス体に希ガス元素を含有させるとともに、該ガ
    ラス体の絶対屈折率(nd)を1.4615以上に設定
    したことを特徴とする光学ガラス
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