JPH09159461A - 角速度センサとそのセンサ素子および角速度演算方法 - Google Patents

角速度センサとそのセンサ素子および角速度演算方法

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JPH09159461A
JPH09159461A JP7346685A JP34668595A JPH09159461A JP H09159461 A JPH09159461 A JP H09159461A JP 7346685 A JP7346685 A JP 7346685A JP 34668595 A JP34668595 A JP 34668595A JP H09159461 A JPH09159461 A JP H09159461A
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vibrator
vibration
axis
oscillator
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JP7346685A
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Iwao Ozaki
巌 尾崎
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動子に励起されたx軸方向の振動の漏れに
起因するオフセット成分の低減を通してセンサの感度向
上を図る。 【解決手段】 基部から突出した第1振動子と第2振動
子は、x軸に沿った定常振動のy軸方向への漏れにより
起きる楕円運動の挙動がx軸を中心に対象となるよう質
量調整されており、この楕円運動を規定する振動変遷軸
x0は、第1振動子でx軸から+y方向に、第2振動子
ではx軸から−y方向にそれぞれ角度θだけずれてい
る。このため、この楕円運動によるオフセット成分は、
第1振動子と第2振動子とではy軸方向に反転して現わ
れる。そして、第2振動子では、第1振動子とx軸方向
の振動の向きが逆なので、第2振動子から得られる検出
出力では、オフセット成分は第1振動子と同位相で現わ
れ、検出振動成分は、第1振動子と逆位相で現われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基部から第1振動
子と第2振動子を突出して備えるセンサ素子とこれを用
いて回転角速度を求める角速度センサおよび角速度演算
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の角速度センサでは、角速
度算出に当たり、そのセンサ素子を構成する振動子をx
−y平面におけるx軸に沿って定常の振動状態に置く。
そして、この振動状態にある振動子にx−y平面と直交
するz軸回りに回転角速度が加わると、当該振動子には
定常の振動方向と交差してy軸方向にコリオリの力が作
用し、コリオリの力に起因して新たに励起したy軸方向
の振動(検出振動)がx軸方向の定常の振動に加わる。
このため、振動子は全体として楕円運動を起こすので、
この楕円運動におけるy軸方向の振動成分(検出振動成
分)を電気信号(交流電圧)として取り出すことが行な
われている。この場合、上記の楕円運動はその運動の周
期がx軸方向の定常振動に依存することから、y軸方向
の検出振動成分は、x軸方向の振動と位相の相関がある
振動成分となり、その位相はx軸方向の定常振動に依存
して定まる。そして、この検出振動成分を取り出した電
気信号の周波数も、その位相はx軸方向の定常振動に依
存して定まり、コリオリの力に起因して新たに励起した
y軸方向の振動の周波数となる。
【0003】ところで、z軸回りの回転角速度に基づく
コリオリの力は、x軸方向の振動の振幅に比例した大き
さを示し、y軸方向の振動を引き起こす。よって、コリ
オリの力、延いてはこの力を振動子に作用させる回転角
速度の検出感度を高めるには、x軸方向の振幅を大きく
し、振動子のx軸方向の振動の固有振動数とy軸方向の
固有振動数をできるだけ近似させることが望ましい。従
って、従来は、x軸,y軸の固有振動数を近似させるた
めに、往々にして振動子のx−y平面における断面形状
を正方形にすることが行なわれている。また、断面形状
をこのようにすることに加え、質量の付加或いは除去に
より、上記の両固有振動数をより近似させることも行な
われている。
【0004】この場合、振動子の断面形状を正方形にし
たりx軸,y軸の固有振動数を近似させたりすると、こ
のx軸,y軸の振動モードも近似する。よって、振動子
をx軸方向に定常の振動状態に置くと、この振動がy軸
方向に漏れて、振動子には、当初置かれたx軸方向の定
常振動にこの漏れに起因する漏れ振動が加わる。よっ
て、z軸回りに回転角速度が加わっていないにも拘ら
ず、この漏れ振動のy軸方向に沿った振動成分(オフセ
ット成分)が検出されてしまい、このオフセット成分が
z軸回りに回転角速度が加わったときのy軸方向の検出
振動に重畳する。従って、オフセット成分の低減がセン
サの感度向上にも必要となり、種々の技術が提案されて
いる。
【0005】例えば、特開昭60−49216には、振
動子の振動状態を検出するために対向して配置された二
つの圧電素子(検出用圧電素子)から得られる信号のう
ち、一方の圧電素子からの信号の位相反転をする技術が
提案されている。この技術によれば、当該信号に含まれ
るコリオリの力に起因したy軸方向の検出振動成分につ
いては、対向する二つの検出用圧電素子に逆位相で現わ
れるので、位相反転により同位相とする。その一方、オ
フセット成分については、当該成分は対向する二つの検
出用圧電素子にx軸方向の振動とは位相の相関がない信
号として現われるので、位相反転により逆位相とし、両
信号の加算合成時にオフセット成分を低減させることが
行なわれている。
【0006】また、この角速度センサの搭載対象、例え
ば車両や産業用ロボット等にあっては、車両等に横加速
度等が加わると、この横加速度がセンサの検出出力に外
乱として含まれセンサの検出感度を低下させる。このた
め、従来は、2本の振動子を用い、この2本の振動子の
x軸方向における振動の向きを逆にして、センサに加わ
った外乱が反映する成分(外乱成分)を各振動子で逆位
相で発現させ、各振動子からの検出出力の加算合成時に
この外乱成分を相殺することがなされていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た公報で提案された角速度センサにあっても、以下にそ
の理由と共に記すようにセンサの検出感度が低下すると
いう問題が起きた。
【0008】振動子にz軸回りに回転角速度が加わって
いない状態において現われる上記の漏れ振動は、振動子
におけるx軸方向の振動と位相の関係がないと思われて
いたが、実際にはこのx軸方向の振動の所定関係にある
ことが実験的に確認されるに至った。この様子を図をも
って説明すると、図13に示すように、振動子100を
x軸方向に沿った定常の振動状態に置くと、振動子10
0の振動は、y軸方向への漏れ振動がx軸方向の定常振
動に加わることで次第に変遷し、やがて振動子100
は、定常の振動とされた際の振動方向(x軸方向)から
所定角度θだけずれた軸(以下、この軸を振動変遷軸x
0という)を長軸とする偏平の楕円運動を起こす(図1
3(b))。この場合、振動変遷軸x0は、漏れ振動の
漏れの方向によって定まる。また、この楕円運動はその
運動の周期がx軸方向の定常振動に依存することから、
この楕円運動について検出方向たるy軸方向で得られる
振動成分、即ちオフセット成分は、上記した検出振動成
分と同様に、x軸方向の振動と位相の相関がある振動成
分となり、その位相はx軸方向の定常振動に依存して定
まる。このため、オフセット成分と検出振動成分の位相
差は、漏れ振動の漏れの方向(+y方向と−y方向)が
変わらない限り同じとなる。
【0009】そして、このオフセット成分は、対向する
二つの検出用圧電素子102,104にて検出され、そ
の際には、この二つの検出用圧電素子102,104に
は、図14に示すように、コリオリの力に起因したy軸
方向の検出振動成分と同様に逆位相で現われる。このた
め、位相反転による逆位相化を経た加算合成によって
は、検出振動成分が打ち消されてしまうので、このオフ
セット成分を打ち消すことはできない。ましてや、二つ
の検出用圧電素子102,104から得られる信号につ
いて位相反転を行なわないとすれば、検出振動成分の検
出ができないことから、位相反転によらずに加算或いは
減算合成してもオフセット成分を打ち消すこともできな
い。また、漏れ振動に起因する振動子の楕円運動の長軸
と検出方向たるy軸とが斜めに交差することから、オフ
セット成分は大きな値として検出される。
【0010】なお、漏れ振動の漏れの方向やx軸方向の
定常振動との位相の関係を示す角度θは、振動子の材
質,組成や環境温度により定まることも実験的に判明し
た。
【0011】また、横加速度等の外乱成分を相殺するた
めに2本の振動子100,100aを用いた場合では、
x軸方向の振動の向きは逆ではあるものの、それぞれの
振動子にはx軸方向の振動と位相の関連をもって個別に
上記した楕円運動が起きる(図13(c))。その一
方、コリオリの力に起因したy軸方向の検出振動も、既
述したようにx軸方向の振動とは位相の関連をもってそ
れぞれの振動子に現われる。このため、それぞれの振動
子ごとの検出用圧電素子の対(検出用圧電素子102と
検出用圧電素子104の対,検出用圧電素子102aと
検出用圧電素子104aの対)では、オフセット成分と
検出振動成分とは逆位相で現われる。従って、2本の振
動子を用いた場合であっても、オフセット成分はそれぞ
れの振動子における検出用圧電素子の出力の位相反転を
経た加算合成によっては打ち消されない。
【0012】また、このオフセット成分は、異なる振動
子における圧電素子の対、具体的には振動子100の検
出用圧電素子102と振動子100aの検出用圧電素子
104aの対,検出用圧電素子102aと検出用圧電素
子104の対,検出用圧電素子102と検出用圧電素子
102aの対,検出用圧電素子104と検出用圧電素子
104aの対をもってしても、以下の理由から、打ち消
されることはない。
【0013】上記の両振動子ではx軸方向の振動の向き
が逆であることから、各振動子におけるオフセット成分
と検出振動成分は、この両成分をもたらす振動の向き
(即ち、両成分の符号)が振動子同士では逆向きとなる
が、各振動子では同じとなる。例えば、振動子100の
検出振動成分が+y方向であれば、振動子100aでは
検出振動成分が−y方向となり、そして、この時の振動
子100でのオフセット成分が振動子100についての
検出振動成分から所定の位相差をもって+y方向から−
y方向に推移していれば、振動子100aではこの振動
子についての検出振動成分から所定の位相差をもってオ
フセット成分は−y方向から+y方向に推移しているこ
とになる。また、この場合の振動子100についてのオ
フセット成分と検出振動成分との位相差と振動子100
aについてのオフセット成分と検出振動成分との位相差
は、既述したように同一となる。このため、振動子10
0aの検出用圧電素子102aは振動子100の検出用
圧電素子104と等価となり、検出用圧電素子104a
は検出用圧電素子102と等価となる。
【0014】よって、検出用圧電素子102と検出用圧
電素子104aとであっても、振動子100についての
検出用圧電素子102と検出用圧電素子104の対の場
合と同様、位相反転を経た加算合成によっては勿論、信
号の減算合成によっても、オフセット成分だけを検出振
動とは別個に相殺することはできない。上記したその他
の検出用圧電素子の対についても同様である。
【0015】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、オフセット成分の低減を通してセンサの感度向上
を図り、延いては回転角速度を正確に求めることを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題を解決するため、第1の発明のセンサ素子は、
基部から第1振動子と第2振動子を突出して備えるセン
サ素子であって、前記第1振動子と第2振動子とに第1
の軸に沿った定常振動を励起する励振手段と、前記第1
の軸に直交する第2の軸に沿って前記第1振動子に励起
された振動を検出する第1検出手段と、前記第2の軸に
沿って前記第2振動子に励起された振動を検出する第2
検出手段とを有し、前記第1振動子と第2振動子とは、
前記定常振動の状態に置かれた前記第1,第2振動子に
前記第1と第2の軸とに直交する第3の軸回りの回転角
速度が加わっていない非検出状態において前記第1,第
2振動子に発現する運動の挙動の軌跡が前記第1の軸を
中心に対称となるように構成されている。
【0017】上記構成を有する第1の発明のセンサ素子
では、基部から突出した第1振動子と第2振動子とは、
励振手段により第1の軸(以下、この軸を便宜上x軸と
する)に沿った定常振動の状態に置かれる。その一方、
第1振動子と第2振動子とに第2の軸(以下、この軸を
便宜上y軸とする)に沿って励起された振動は、第1検
出手段と第2検出手段とにより検出される。そして、第
1の発明のセンサ素子では、以下のようにして、第1検
出手段と第2検出手段から得られる検出出力に含まれる
オフセット成分を打ち消すことができる。
【0018】x軸に沿った定常振動の状態に置かれた第
1振動子と第2振動子には、この定常振動のy軸方向へ
の漏れによる漏れ振動が加わるので、回転角速度が加わ
っていない非検出状態においてこの漏れ振動に起因した
楕円運動が発現する。この場合、第1振動子の楕円運動
の挙動の軌跡と第2振動子の楕円運動の挙動の軌跡とは
x軸を中心に対称とされている。ここで、両振動子の楕
円運動の挙動の軌跡がx軸を中心に対称であることと
は、第1振動子と第2振動子をそのx−y断面で原点が
一致するように重ね合わせた場合に、その楕円運動の挙
動の軌跡を規定する振動変遷軸x0がx軸(又はy軸)
を中心に対称であることをいう。つまり、図1に示すよ
うに、この振動変遷軸x0は、第1振動子でx軸から+
y方向に角度θだけずれていれば、第2振動子ではx軸
から−y方向に角度θだけずれることになる。このた
め、漏れ振動に起因した楕円運動についてy軸方向の振
動成分(オフセット成分)は、第1振動子と第2振動子
とではy軸方向に反転して現われる。
【0019】その一方、定常振動の状態に置かれた第1
振動子と第2振動子に第3の軸回りの回転角速度が加わ
ってコリオリの力が振動子に作用すると、第1振動子と
第2振動子は、コリオリの力を受けて新たな楕円運動を
起こす。この回転角速度に起因する楕円運動についての
y軸方向の振動成分(検出振動成分)は、x軸方向の定
常振動に依存して定まる。そして、この検出振動成分と
上記したオフセット成分とは、共に第1振動子と第2振
動子ごとのx軸方向の定常振動に依存するものの、第1
振動子と第2振動子とでは、以下に示すようにその位相
差が180度異なるものとなる。
【0020】図2に示すように、第1,第2振動子がx
軸方向に定常振動の状態に置かれその振動方向が一致す
る場合、即ち、同じ軸たるx軸方向に同位相で振動して
いる振動状態の場合には、第1振動子では、その漏れ振
動の方向が従来と同じである。よって、第1振動子のy
+面とy−面での検出出力におけるオフセット成分と検
出振動成分の出力は従来と変わることはない。しかし、
第2振動子では、第1振動子とx軸方向に同一の向きで
振動しているものの、その漏れ振動の方向が従来と反転
していることから、第2振動子のy+面とy−面での検
出出力におけるオフセット成分は、第1振動子のy+面
とy−面でのオフセット成分とその位相が180度ずれ
て現われる。しかし、両振動子のx軸方向の振動の向き
が同一なので、第2振動子のy+面とy−面での検出出
力における検出振動成分は、第1振動子のy+面とy−
面と同じ位相で現われる。よって、第1振動子と第2振
動子とでは、検出振動成分とオフセット成分との位相差
は180度異なる。
【0021】一方、図3に示すように、第1,第2振動
子がx軸方向に定常振動の状態に置かれその振動方向が
逆向きの場合、即ち、同じ軸たるx軸方向に逆位相で振
動している振動状態の場合には、次のようになる。ま
ず、この場合であっても、第1振動子ではその漏れ振動
の方向が従来と同じなので、第1振動子のy+面とy−
面での検出出力におけるオフセット成分と検出振動成分
の出力は従来と変わることはない。しかし、第2振動子
では、第1振動子とx軸方向に逆向きで振動しており、
しかもその漏れ振動の方向が従来と反転していることか
ら、第2振動子のy+面とy−面での検出出力における
オフセット成分は、第1振動子のy+面とy−面でのオ
フセット成分と同位相で現われる。しかし、両振動子の
x軸方向の振動の向きが逆なので、第2振動子のy+面
とy−面での検出出力における検出振動成分は、第1振
動子のy+面とy−面と逆位相で現われる。よって、両
振動子のx軸方向の振動の向きが逆でも、第1振動子と
第2振動子とでは、検出振動成分とオフセット成分との
位相差は180度異なることになる。
【0022】従って、第1振動子と第2振動子がx軸方
向にその振動の向きを一致させて定常振動する場合に
は、図2に示す第1振動子のy+面での検出出力と第2
振動子のy+面での検出出力とを用いれば、或いは第1
振動子のy−面での検出出力と第2振動子のy−面での
検出出力とを用いれば、これら出力における検出振動成
分は同位相でオフセット成分は逆位相であるので、出力
の加算合成によりオフセット成分のみを相殺することが
できる。また、図2に示す第1振動子のy+面での検出
出力と第2振動子のy−面での検出出力とを用いれば、
或いは第1振動子のy−面での検出出力と第2振動子の
y+面での検出出力とを用いれば、これら出力における
検出振動成分は逆位相でオフセット成分は同位相である
ので、出力の位相反転を経た加算合成によりオフセット
成分のみを相殺することができる。
【0023】その一方、第1振動子と第2振動子がx軸
方向にその振動の向きを逆にして定常振動する場合に
は、図3に示す第1振動子のy+面での検出出力と第2
振動子のy+面での検出出力とを用いれば、或いは第1
振動子のy−面での検出出力と第2振動子のy−面での
検出出力とを用いれば、これら出力における検出振動成
分は逆位相でオフセット成分は同位相であるので、出力
の位相反転を経た加算合成によりオフセット成分のみを
相殺することができる。また、図3に示す第1振動子の
y+面での検出出力と第2振動子のy−面での検出出力
とを用いれば、或いは第1振動子のy−面での検出出力
と第2振動子のy+面での検出出力とを用いれば、これ
ら出力における検出振動成分は同位相でオフセット成分
は逆位相であるので、出力の加算合成によりオフセット
成分のみを相殺することができる。
【0024】つまり、第1の発明のセンサ素子では、第
1,第2振動子についてそれぞれ検出したy軸方向の振
動状態の検出出力から、両振動子のx軸方向の定常振動
の向きに拘らず、オフセット成分を除去できる。よっ
て、第1の発明のセンサ素子によれば、オフセット成分
が除去された検出結果をセンサ出力として用いることで
センサの感度向上を図ることができる。なお、第1振動
子では振動変遷軸x0がx軸から−y方向に角度θだけ
ずれ、第2振動子でx軸から+y方向に角度θだけずれ
るようにしてもよいことは勿論である。
【0025】上記した構成の第1の発明のセンサ素子に
おいて、前記第1振動子と第2振動子とは、その少なく
とも一方が質量調整を受けて、前記非検出状態における
前記運動の挙動の軌跡が前記第1の軸を中心に対称とな
るように構成されている。
【0026】つまり、x軸方向の定常振動の状態に置か
れた第1,第2振動子に非検出状態において発現する運
動の挙動の軌跡が第1の軸を中心に対称とするには、図
4に示すように、質量調整を第1振動子と第2振動子の
少なくとも一方に施せばよい。
【0027】まず第1の例としては、振動変遷軸x0を
調整前の状態から変更させる振動子(図では第2振動
子)の先端コーナー部を適宜な手法(例えば、切削や溶
融等)により所定の大きさで除去する(図4(a))。
この際の除去コーナー部の選定は、調整前の振動変遷軸
x0と変更を望む振動変遷軸x0とを参照して行なわれ
る。例えば、図示するように調整前の振動変遷軸x0が
x軸から+y方向にずれていれば、この当初の振動変遷
軸x0のずれの方向と一致する先端コーナー部を除去コ
ーナーとする。なお、この除去コーナーは、対角の関係
にある両コーナーとなる。そして、除去コーナーに該当
する先端コーナー部を除去して質量調整するに当たって
は、第2振動子の楕円運動挙動をモニタしつつ、当該コ
ーナー部の除去範囲を徐々に拡大していく。例えば、端
面に沿った長さaと振動子の長さ方向の長さbとを、図
示する如くa1,a2…,b1,b2,b3…のように
随時変えながら、除去範囲を拡大する。こうして、除去
コーナーの除去範囲に相当する質量が第2振動子から除
去されてその質量除去量が適切となると、調整前はx軸
から+y方向に角度θだけずれていた振動変遷軸x0が
x軸から−y方向に角度θだけずれる。これで、質量調
整は終了する。
【0028】第2の例としては、振動変遷軸x0を調整
前の状態から変更させる振動子(図では第2振動子)の
先端部の側面に金属,樹脂等の質量体Mを適宜な手法
(例えば、半田付けや接着等)で付加する(図4
(b))。この際の質量体Mの付加対象先端部側面やそ
の付加位置、並びに付加量(質量体の重量)は、上記し
た質量除去の場合と同様に、第2振動子の楕円運動挙動
をモニタしつつ定められる。図示する場合には、質量体
Mは、変更を望む振動変遷軸x0のずれの方向と一致す
る先端部の側面に付加されている。
【0029】上記した構成の第1の発明のセンサ素子に
おいて、前記励振手段は、前記第1振動子に設けられ、
前記定常振動を励起する第1励振手段と、前記第2振動
子に設けられ、前記第2振動子に前記第1振動子の定常
振動と振動の向きが逆で振幅が同一の定常振動を励起す
る第2励振手段とを有する。
【0030】この構成のセンサ素子では、第1振動子と
第2振動子とを、その振動の向きが逆で振幅を同一にし
てx軸方向の定常振動の状態に置く。このため、センサ
素子に横加速度等の外乱が加わっても、その外乱成分を
相殺することができる。つまり、図3に示すように横加
速度が加わった場合、第1振動子のy+面での検出出力
と第2振動子のy+面での検出出力、および第1振動子
のy−面での検出出力と第2振動子のy−面での検出出
力とには、この外乱成分は同位相で現われる。しかし、
上記したようにこの場合には、オフセット成分の除去に
当たり出力の位相反転を経た加算合成がなされるので、
この加算合成により外乱成分は相殺される。また、この
外乱成分は、第1振動子のy+面での検出出力と第2振
動子のy−面での検出出力、および第1振動子のy−面
での検出出力と第2振動子のy+面での検出出力とには
逆位相で現われるので、この場合の出力の加算合成によ
り相殺される。この結果、この構成のセンサ素子によれ
ば、オフセット成分の除去に加えて外乱成分をも検出出
力から除去できるので、より一層のセンサの感度向上を
図ることができる。
【0031】第2の発明の角速度センサは、振動子に加
わってコリオリの力を作用させる回転角速度を求める角
速度センサであって、請求項1又は請求項2記載のセン
サ素子の前記励振手段を起動する励振起動手段と、前記
定常振動の状態に置かれた前記第1,第2振動子に前記
第3の軸回りの回転角速度が加わってコリオリの力が両
振動子に作用している検出状態において前記第1検出手
段と前記第2検出手段とから得られる検出時出力に基づ
いて、前記回転角速度を演算する演算手段とを有する。
【0032】上記構成を有する第2の発明の角速度セン
サでは、上記した構成の第1の発明のセンサ素子の励振
手段を励振起動手段により起動して、第1振動子と第2
振動子とをx軸方向に定常振動の状態に置く。そして、
この第1振動子の第1検出手段と第2振動子の第2検出
手段からそれぞれ得られた検出時出力に基づいて、演算
手段により、検出状態においてコリオリの力を作用させ
た回転角速度を演算する。上記したように第1の発明の
センサ素子の第1振動子,第2振動子について得られた
検出時出力を所定の加算合成すれば、検出出力に含まれ
ているオフセット成分を除去できる。このため、第2の
発明の角速度センサによれば、オフセット成分の影響を
受けない検出出力を回転角速度演算に用いて、容易に高
い精度で回転角速度を求めることができる。
【0033】第3の発明の角速度演算方法は、振動子に
加わってコリオリの力を作用させる回転角速度を求める
角速度演算方法であって、基部から突出した第1,第2
振動子を、該振動子の側面に振動エネルギを与えて第1
の軸に沿った定常の振動状態に置く振動工程と、前記定
常振動の状態に置かれた前記第1,第2振動子に前記第
1の軸とこれに直交する第2の軸とに直交する第3の軸
回りの回転角速度が加わっていない非検出状態において
前記第1振動子と第2振動子とに発現する運動の挙動の
軌跡が前記第1の軸を中心に対称となるようにされた前
記第1,第2振動子について、前記第2の軸に沿ってそ
れぞれ励起された振動を検出する検出工程と、前記定常
の振動状態に置かれた前記第1,第2振動子に前記第3
の軸回りの回転角速度が加わってコリオリの力が振動子
に作用している検出状態における前記第1,第2振動子
についての検出時出力に基づいて前記回転角速度を演算
する演算工程とを有する。
【0034】上記構成を有する第3の発明の角速度演算
方法では、基部から突出した第1振動子と第2振動子
を、該振動子の側面に振動エネルギを与えてそれぞれ第
1の軸に沿った定常の振動状態に置く。そして、このよ
うに振動状態に置かれた第1振動子と第2振動子とにつ
いて、第2の軸に沿ってそれぞれ励起された振動を検出
し、検出状態においてこの第1振動子と第2振動子とか
ら得られた検出時出力に基づいて、コリオリの力を作用
させた回転角速度を演算する。この際に検出対象となる
第1振動子と第2振動子とは、非検出状態においてこの
両振動子とに発現する運動の挙動の軌跡が第1の軸を中
心に対称となるようにされているので、第1振動子と第
2振動子とでは、検出振動成分とx軸方向の振動の漏れ
に起因するオフセット成分との位相差が既述したように
180度異なることになる。よって、第1の発明のセン
サ素子において説明したように、検出状態においてこの
第1振動子と第2振動子とから得られた検出時出力を所
定の加算合成すれば、検出出力に含まれているオフセッ
ト成分を除去できる。このため、第3の発明の角速度演
算方法によれば、オフセット成分の影響を受けない検出
出力を回転角速度演算に用いて、容易に高い精度で回転
角速度を求めることができる。
【0035】
【発明の他の態様】本発明は、以下のような他の態様を
採ることも可能である。第1の態様は、基部から第1振
動子と第2振動子を突出して備えるセンサ素子であっ
て、前記第1振動子と第2振動子とに第1の軸に沿った
定常振動を励起する励振手段と、前記第1の軸に直交す
る第2の軸に沿って前記第1振動子に励起された振動を
検出する第1検出手段と、前記第2の軸に沿って前記第
2振動子に励起された振動を検出する第2検出手段とを
有し、前記第2の軸方向への前記定常振動の漏れにより
前記第1振動子に起きるオフセット成分と、前記第1と
第2の軸とに直交する第3の軸回りの回転角速度が加わ
って前記第1振動子に生じるコリオリの力による検出振
動成分との位相差と、前記第2の軸方向への前記定常振
動の漏れにより前記第2振動子に起きるオフセット成分
と、前記第3の軸回りの回転角速度が加わって前記第2
振動子に生じるコリオリの力による検出振動成分との位
相差との差が実質的に180度となるように、前記第1
振動子と第2振動子とは構成されているセンサ素子。
【0036】この態様のセンサ素子における第1振動子
と第2振動子とでは、図2,図3に示すように検出振動
成分とオフセット成分との位相差は180度異なるの
で、上記したようにオフセット成分のみを相殺して、セ
ンサの感度向上を図ることができる。そして、この態様
のセンサ素子を角速度センサに用いれば、高い精度で回
転角速度を求めることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図5は、実施例における角速度セ
ンサ10の全体構成とこのセンサに用いられるセンサ素
子20の外観とを示す概略構成図である。
【0038】図示するように、角速度センサ10は、セ
ンサ素子20をその主要な構成部材として備え、このセ
ンサ素子20は、第1振動子21と第2振動子22とを
共通する基部23から平行に突出して備える。この基部
23並びに第1振動子21,第2振動子22は、コバー
ル材等の金属弾性体により形成されている。第1振動子
21,第2振動子22は、図中のx−y平面において正
方断面とされており、x軸方向とy軸方向における振動
モードが近似されている。第1振動子21は、x軸と交
差するy−z平面と平行な両側面に、励振用圧電素子2
1a,21bを有し、当該圧電素子からx軸方向の振動
エネルギを受ける。また、第1振動子21は、z軸と交
差するy−z平面と平行な上面のみに、検出用圧電素子
21cを有し、当該振動子のy軸方向の振動をこの検出
用圧電素子21cで電気信号に変換して出力する。同様
に、第2振動子22は、上記両側面に励振用圧電素子2
2a,22bを有し、上記上面のみに検出用圧電素子2
2cを有する。なお、これら圧電素子は、本実施例にあ
ってはピエゾ素子である。
【0039】励振用圧電素子21a,21bは、対をな
して、図示しない導電ラインにより後述する励振側回路
に接続されている。このため、対となる励振用圧電素子
の一方、例えば励振用圧電素子21aに交流電圧が印加
されると、励振用圧電素子21aの伸縮により第1振動
子21がx軸方向に振動する。一方、この第1振動子2
1の振動に追従した他方の励振用圧電素子21bの伸縮
により、当該伸縮に応じた電気信号、即ち第1振動子2
1のx軸方向の振動状態を表わす電気信号(交流電圧)
が得られる。また、検出用圧電素子21cは、図示しな
い導電ラインより後述の検出用回路に接続されており、
第1振動子21に現われた振動のy軸方向の振動成分
を、自身の伸縮に応じた電気信号(交流電圧)に変換す
るので、第1振動子21のy軸方向の振動状態を表わす
電気信号(交流電圧)がこの検出用圧電素子21cから
得られる。第2振動子22についても同様である。
【0040】この場合、検出用圧電素子21c,22c
は、x軸方向の振動の漏れに起因して起きる既述した楕
円運動についてのy軸方向の振動成分(オフセット成
分)と、振動子にz軸回りの回転角速度が加わってコリ
オリの力が作用したことにより起きる既述した楕円運動
についてのy軸方向の振動成分(検出振動成分)とを検
出する。
【0041】そして、上記したセンサ素子20にあって
は、図示するように、第2振動子22の先端コーナー部
は、その対角の位置において所定の質量だけ切削除去さ
れている。よって、このセンサ素子20では、z軸回り
の回転角速度が振動子に加わっていない非検出状態にお
ける振動変遷軸x0は、第1振動子21にあってはx軸
から角度θだけ+y方向にずれており、第2振動子22
にあっては角度θだけ−y方向にずれている。このよう
に第2振動子22における振動変遷軸x0をずらすため
の質量調整は、既述した通りである(図4参照)。
【0042】このセンサ素子20を用いた角速度センサ
10は、第1振動子21,第2振動子22をx軸方向に
定常的な振動状態に置くための励振側回路30A,30
Bと、角速度検出用の信号を得るための検出側回路40
とを有する。
【0043】第1振動子21の励振用の励振側回路30
Aは、圧電素子がその圧電効果により生じた電気信号を
増幅する増幅回路32Aと、第1振動子21のx軸方向
の振動についての共振周波数を中心とした所定幅の周波
数の電気信号を選別するバンドパスフィルタ34Aと、
入力した電気信号のレベルに拘らず一定の出力レベルと
するオートマティックゲインコントローラ(AGC)3
6Aと、圧電素子に交流電圧を印加する励振回路38A
とを備える。そして、増幅回路32Aには励振用圧電素
子21bが、励振回路38Aには励振用圧電素子21a
がそれぞれ接続されている。よって、角速度センサ10
は、励振用圧電素子21aを励振回路38Aにより起動
(伸縮)させて第1振動子21をx軸方向に振動させ、
この励振用圧電素子21aへの交流電圧の印加を励振用
圧電素子21bが検出した第1振動子21のx軸方向の
振動状態に基づいて制御することで、第1振動子21を
x軸方向に定常的に振動させる。
【0044】第2振動子22の励振用の励振側回路30
Bも同様の構成を備え、励振用圧電素子22aを励振回
路38Bにより起動(伸縮)させて第2振動子22をx
軸方向に定常的に振動させる。しかし、励振側回路30
Bと励振側回路30Aとは、互いに接続されてデータの
送受信を行なういわゆるマスタースレーブの関係にあ
り、励振側回路30Aがマスタとされている。このた
め、励振側回路30Bの励振回路38Bからは、励振回
路38Aの出力を参照して、同じ周波数の交流電圧が、
その位相,振幅を調整して励振用圧電素子22aに印加
される。本実施例にあっては、位相が180度ずれた交
流電圧を励振用圧電素子22aするので、第2振動子2
2は、第1振動子21と振動の向きが逆にX軸方向に振
動する。また、励振回路38A,38Bから印加される
交流電圧値は、位相が異なるものの同一とされているの
で、第1振動子21と第2振動子22は、同一振幅で逆
向きに振動する。
【0045】検出側回路40は、第1振動子21の検出
用圧電素子21cと第2振動子22の検出用圧電素子2
2cと接続されており、このそれぞれの圧電素子の圧電
効果により生じる電気信号(交流電圧)の位相の調整を
行なう検出バランス調整回路41と、検出バランス調整
回路41により調整された電気信号の出力レベルを増幅
する増幅回路43と、交流電圧である電気信号の負の部
分を反転して正電圧とし、整流作用をはたす同期検波回
路45と、正電圧化された電気信号を整流電圧の電気信
号とする積分回路47と、整流電圧の電気信号の出力レ
ベルを増幅する増幅出力回路49とを備える。この場
合、同期検波回路45には、同期を採るべき参照信号と
して、励振回路38Aの出力が入力される。
【0046】なお、検出バランス調整回路41で行なう
位相の調整の内容は、検出用圧電素子21c,22cか
ら入力される電気信号が有するそれぞれの位相に応じて
予め決定されている。例えば、両圧電素子からの電気信
号が、上記した検出振動成分を同位相で含んだものであ
れば、この両検出振動成分から回転角速度を求めるべ
く、検出バランス調整回路41では両電気信号をその位
相通りに加算合成する位相調整が行なわれる。その一
方、両圧電素子からの電気信号が検出振動成分を逆位相
で含んだものである場合には、検出バランス調整回路4
1では位相反転により逆位相化を行なって両電気信号を
同位相に揃え、この両電気信号を加算合成する位相調整
が行なわれる。
【0047】以下に第1振動子21,第2振動子22の
振動の様子と、両振動子にz軸回りの回転角速度が作用
したときのその回転角速度の検出の様子について、上記
各回路の動作と併せて説明する。
【0048】励振側回路30A,30Bの励振回路38
A,38Bから第1振動子21,第2振動子22の励振
用圧電素子21a,22aに180度位相がずれた交流
電圧を印加すると、各励振用圧電素子21a,22a
は、自身の逆圧電効果により電圧に応じて逆向きに伸縮
し、第1振動子21と第2振動子22をx軸方向に同一
振幅で逆向きに振動させる。この際、各励振用圧電素子
21b,22bは、各励振用圧電素子21a,22aが
伸びるときに縮み、各励振用圧電素子21a,22aが
縮むときに伸びる。換言すれば、各励振用圧電素子21
b,22bは、該当する振動子の振動に追従して伸縮す
る。そして、各励振用圧電素子21b,22bはこの伸
縮に応じた電気信号を該当する増幅回路32A,32B
に送り出す。よって、両電気信号は、別系統でバンドパ
スフィルタ34A,34Bにより共振周波数を中心とし
た所定幅の電気信号に選別され、AGC36A,36B
により出力レベルを一定にされる。
【0049】そして、励振回路38A,38Bにより選
別された電気信号が各励振用圧電素子21a,22aに
位相を逆にして印加される。従って、励振回路38Aに
よる励振用圧電素子21aへの交流電圧の印加は、励振
用圧電素子21bが検出した第1振動子21のx軸方向
の振動状態に基づいて一定レベルに制御されることにな
り、第1振動子21は、x軸方向に定常的に振動する。
第2振動子22は、上記した制御に加えて交流電圧の位
相が逆とされるので、第1振動子21とは逆向きにx軸
方向に定常的に振動する。
【0050】第1振動子21,第2振動子22における
これらx軸方向の振動は、両振動子におけるx軸方向,
y軸方向の形状の近似等によりy軸方向に漏れる。そし
て、この場合の第1振動子21での漏れ振動の方向は、
x軸から角度θだけ+y方向にずれており、第2振動子
22ではx軸から角度θだけ−y方向にずれている。こ
のため、第1振動子21は、図1における第1振動子の
如く、x軸から角度θだけ+y方向にずれた振動変遷軸
x0を長軸とする偏平の楕円運動を起こす。その一方、
第2振動子22は、図1における第2振動子の如く、x
軸から角度θだけ−y方向にずれた振動変遷軸x0を長
軸とする偏平の楕円運動を起こす。
【0051】そして、第1振動子21,第2振動子22
がそれぞれの振動変遷軸x0を長軸として楕円運動を起
こしている状態にあるときに、z軸の回りに回転角速度
ωが加わると、両振動子に式F=2mV・ωで表わされ
るコリオリの力Fが、この振動変遷軸x0と直交する方
向に作用する。この場合、第1振動子21,第2振動子
22のx軸方向の振動方向が逆であることから、コリオ
リの力Fは、第1振動子21と第2振動子22で逆向き
に作用する。ここで、mは振動部分の質量、Vは振動部
分の速度である。振動部分の速度Vは、式V=Aω・co
s ωtで表わされる。なお、回転角速度ωが一定のとき
には、振動子の楕円運動の振動変遷軸x0成分の振動の
振幅Aに比例する。
【0052】このようにしてコリオリの力Fが作用する
と、第1振動子21,第2振動子22は、振動変遷軸x
0を長軸とする楕円運動とコリオリの力Fに起因する振
動とにより、全体として新たな楕円運動を起こす。そし
て、検出用圧電素子21c,22cは、この新たな楕円
運動についてのy軸方向の振動成分に伴って伸縮し、各
素子の圧電効果により各素子の伸縮に応じた交流電圧の
電気信号、即ち回転角速度の大きさに応じた電気信号を
生じて、この電気信号を検出側回路40に出力する。
【0053】本実施例の角速度センサ10では、第1振
動子21と第2振動子22とはx軸方向の振動の向きが
逆で、検出用圧電素子21c,22cは第1振動子2
1,第2振動子22の上面(y+面)にそれぞれ位置す
る。よって、検出用圧電素子21cの検出出力は、図3
に示した第1振動子のy+面での検出出力となり、検出
用圧電素子22cの検出出力は、同じく第2振動子のy
+面での検出出力となる。そして、この両検出出力が検
出側回路40に入力される。
【0054】検出側回路40の検出バランス調整回路4
1では、検出用圧電素子21c,22cからの電気信号
(上記検出出力)の位相が揃えられる。本実施例にあっ
ては、検出用圧電素子21cの検出出力と検出用圧電素
子22cの検出出力とにおける検出振動成分は逆位相な
ので、この検出バランス調整回路41では、位相反転に
より逆位相化を行なって両電気信号を同位相に揃え、こ
の両電気信号が加算合成される。増幅回路43では、電
気信号の出力レベルが増幅される。同期検波回路45で
は、励振回路38Aの参照信号と同期して交流電圧であ
る電気信号を検波して正電圧となる。積分回路47で
は、正電圧化された電気信号は整流電圧の電気信号とな
る。整流電圧の電気信号は、増幅出力回路49により増
幅され、センサ出力として演算装置62に出力される。
この演算装置62は、入力を受けた電気信号を、予め回
転角速度と対応付けたマップに参照して、回転角速度を
演算する。
【0055】以上説明した角速度センサ10では、第1
振動子21と第2振動子22とをそれぞれの振動変遷軸
x0がx軸を中心に対称となるよう予め質量調整し、こ
の両振動子をその振動の向きが逆となるようx軸方向に
振動させる。そして、第1振動子21と第2振動子22
とに回転角速度が加わったときのy軸方向の検出振動成
分を、両振動子の所定の位置に設けた検出用圧電素子2
1c,22cにより逆位相で検出し、その検出出力の位
相反転を経た加算合成により、回転角速度演算のための
出力を得る。この際、検出用圧電素子21c,22cの
検出出力には、オフセット成分を同位相で含ませている
ので、回転角速度演算のための出力を得るの際の位相反
転を経た加算合成により、オフセット成分のみを相殺し
て検出振動成分のみを取得することができる。この結
果、本実施例の角速度センサ10によれば、検出振動成
分のみが反映したセンサ出力により演算装置62で回転
角速度を演算するので、センサの感度向上を図ることが
できる。
【0056】更に、このようにセンサ出力にオフセット
成分を含まないので、次のような利点がある。振動子の
x軸方向の振動の漏れの様子は環境温度等に左右され、
この漏れを規定するx軸からの振動変遷軸x0のずれの
角度θは、環境温度により変化する。このため、従来
は、この振動の漏れに起因するオフセット成分を環境温
度に応じて補正する温度補正回路が必要であった。しか
し、角速度センサ10にでは、環境温度によりオフセッ
ト成分が変化しても、その変化したままのオフセット成
分を検出用圧電素子21c,22cの検出出力に同位相
で含ませる。このため、角速度センサ10によれば、変
化したオフセット成分を相殺できるので、温度補正回路
が不要となり、構成の簡略化、延いてはコスト低下を図
ることができる。
【0057】また、本実施例の角速度センサ10では、
第1振動子21と第2振動子22とを、その振動の向き
が逆で振幅を同一にしてx軸方向に振動させ、検出用圧
電素子21c,22cを該当する振動子の同じ側(上
面,y+面)に有する。よって、図3に示すように、セ
ンサ素子20に加わった外乱、例えば横加速度に起因す
る外乱成分を、検出用圧電素子21c,22cの検出出
力に同位相で含ませる。このため、角速度センサ10に
よれば、オフセット成分と共にこの外乱成分をも、回転
角速度演算のための出力を得るの際の位相反転を経た加
算合成により相殺するので、センサの感度をより向上す
ることができる。
【0058】なお、本実施例では第1振動子21,第2
振動子22および基部23から構成されるセンサ素子2
0を金属弾性体により形成したが、適当な振動を生じる
ものであればアルミニウム,ジュラルミン,恒弾性材等
の金属や、Si,Ge等の半導体、SiO2,Si
34,ガラス等の誘電体、水晶,PZT,TiPbO3
等の圧電体等如何なる材料により形成しても差し支えな
い。この場合、センサ素子20を水晶で形成した場合
は、水晶の圧電効果を利用することができるので、励振
用圧電素子の対の代わりに、水晶の逆圧電効果により振
動を与える励振用電極の対と、水晶の圧電効果により発
生する電圧を検出する検出用電極の対とを、それぞれの
振動子に設置すればよい。このようにセンサ素子20を
水晶で形成する場合、センサ素子20の制作は、半導体
の製造工程を用いることができ、小型の素子を高精度に
多量に作成できる。
【0059】また、検出用圧電素子21c,22cのよ
うに検出振動成分を振動子の振動から直接電気信号とし
て取り出すのではなく、対向する部材間の間隔の変位を
両部材に設けたコンデンサの静電容量の変化として捕ら
える静電容量式の検出器を用いることもできる。更に
は、振動子の形状についても特段の制約はなく、三角断
面を有する振動子としたり、音叉型の振動子とすること
ができることは勿論である。
【0060】また、第1振動子21,第2振動子22に
おける検出用圧電素子21c,22cの配置位置が上記
した角速度センサ10と異なる以下の変形例とすること
もできる。この変形例を、第1振動子21,第2振動子
22とのx軸方向の振動の向きが角速度センサ10と同
様に逆の場合と、同じ場合とに分けて説明する。
【0061】第1振動子21と第2振動子22のx軸方
向の振動の向きが逆の場合の変形例 第1振動子21の検出用圧電素子21cはそのまま
で、第2振動子22の検出用圧電素子22cを振動子下
面に設置した第1変形例(図6)。この変形例では、検
出用圧電素子21cの検出出力は、図3に示した第1振
動子のy+面での検出出力となり、検出用圧電素子22
cの検出出力は、同じく第2振動子のy−面での検出出
力となる。そして、この第1変形例では、上記の両検出
出力における検出振動成分は同位相でオフセット成分は
逆位相であるので、検出出力の加算合成によりオフセッ
ト成分のみを相殺して、検出振動成分のみが反映したセ
ンサ出力としセンサの感度向上を図ることができる。 検出用圧電素子21cと検出用圧電素子22cとをそ
れぞれ各振動子下面に設置した第2変形例(図7)。こ
の変形例では、検出用圧電素子21cの検出出力は、図
3に示した第1振動子のy−面での検出出力となり、検
出用圧電素子22cの検出出力は、同じく第2振動子の
y−面での検出出力となる。そして、この第2変形例で
は、上記の両検出出力における検出振動成分は逆位相で
オフセット成分は同位相であるので、検出出力の位相反
転を経た加算合成によりオフセット成分のみを相殺し
て、検出振動成分のみが反映したセンサ出力としセンサ
の感度向上を図ることができる。 検出用圧電素子21cを振動子下面に設置し、検出用
圧電素子22cを動子上面に設置した変形例(図8)。
この変形例では、検出用圧電素子21cの検出出力は、
図3に示した第1振動子のy−面での検出出力となり、
検出用圧電素子22cの検出出力は、同じく第2振動子
のy+面での検出出力となる。そして、この第3変形例
では、上記の両検出出力における検出振動成分は同位相
でオフセット成分は逆位相であるので、検出出力の加算
合成によりオフセット成分のみを相殺して、検出振動成
分のみが反映したセンサ出力としセンサの感度向上を図
ることができる。
【0062】第1振動子21と第2振動子22のx軸方
向の振動の向きが同じ場合の変形例 検出用圧電素子21cと検出用圧電素子22cとをそ
れぞれ各振動子上面に設置した第4変形例(図9)。こ
の変形例では、検出用圧電素子21cの検出出力は、図
2に示した第1振動子のy+面での検出出力となり、検
出用圧電素子22cの検出出力は、同じく第2振動子の
y+面での検出出力となる。そして、この第4変形例で
は、上記の両検出出力における検出振動成分は同位相で
オフセット成分は逆位相であるので、検出出力の加算合
成によりオフセット成分のみを相殺して、検出振動成分
のみが反映したセンサ出力としセンサの感度向上を図る
ことができる。 検出用圧電素子21cと検出用圧電素子22cとをそ
れぞれ各振動子下面に設置した第5変形例(図10)。
この変形例では、検出用圧電素子21cの検出出力は、
図2に示した第1振動子のy−面での検出出力となり、
検出用圧電素子22cの検出出力は、同じく第2振動子
のy−面での検出出力となる。そして、この第5変形例
では、上記の両検出出力における検出振動成分は同位相
でオフセット成分は逆位相であるので、検出出力の加算
合成によりオフセット成分のみを相殺して、検出振動成
分のみが反映したセンサ出力としセンサの感度向上を図
ることができる。 検出用圧電素子21cを振動子上面に設置し、検出用
圧電素子22cを振動子下面に設置した第6変形例(図
11)。この変形例では、検出用圧電素子21cの検出
出力は、図2に示した第1振動子のy+面での検出出力
となり、検出用圧電素子22cの検出出力は、同じく第
2振動子のy−面での検出出力となる。そして、この第
6変形例では、上記の両検出出力における検出振動成分
は逆位相でオフセット成分は同位相であるので、検出出
力の位相反転を経た加算合成によりオフセット成分のみ
を相殺して、検出振動成分のみが反映したセンサ出力と
しセンサの感度向上を図ることができる。 検出用圧電素子21cを振動子下面に設置し、検出用
圧電素子22cを振動子上面に設置した第7変形例(図
12)。この変形例では、検出用圧電素子21cの検出
出力は、図2に示した第1振動子のy−面での検出出力
となり、検出用圧電素子22cの検出出力は、同じく第
2振動子のy+面での検出出力となる。そして、この第
7変形例では、上記の両検出出力における検出振動成分
は逆位相でオフセット成分は同位相であるので、検出出
力の位相反転を経た加算合成によりオフセット成分のみ
を相殺して、検出振動成分のみが反映したセンサ出力と
しセンサの感度向上を図ることができる。
【0063】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセンサ素子の作用・効果をその第1,
第2振動子の運動の挙動と共に説明するための説明図。
【図2】本発明のセンサ素子の第1,第2振動子がx軸
方向に同一の向きで振動している場合に各振動子から得
られる出力の様子を説明するための説明図。
【図3】本発明のセンサ素子の第1,第2振動子がx軸
方向に逆向きで振動している場合に各振動子から得られ
る出力の様子を説明するための説明図。
【図4】本発明のセンサ素子の第1,第2振動子に非検
出状態において発現する運動の挙動の軌跡を第1の軸を
中心に対称とするために行なう振動子の質量調整の様子
を説明するための説明図。
【図5】実施例の角速度センサ10の全体構成とこのセ
ンサに用いられるセンサ素子20の外観とを示す概略構
成図。
【図6】センサ素子20の第1変形例を示す概略斜視
図。
【図7】センサ素子20の第2変形例を示す概略斜視
図。
【図8】センサ素子20の第3変形例を示す概略斜視
図。
【図9】センサ素子20の第4変形例を示す概略斜視
図。
【図10】センサ素子20の第5変形例を示す概略斜視
図。
【図11】センサ素子20の第6変形例を示す概略斜視
図。
【図12】センサ素子20の第7変形例を示す概略斜視
図。
【図13】従来の角速度センサでの問題点を、振動子の
運動の挙動と共に説明するための説明図。
【図14】従来の角速度センサでの問題点を説明するた
めの説明図。
【符号の説明】 10…角速度センサ 20…センサ素子 21…第1振動子 21a,21b…励振用圧電素子 21c…検出用圧電素子 22…第2振動子 22a,22b…励振用圧電素子 22c…検出用圧電素子 30A,30B…励振側回路 38A,38B…励振回路 40…検出側回路 41…検出バランス調整回路 43…増幅回路 45…同期検波回路 47…積分回路 49…増幅出力回路 62…演算装置 M…質量体 x0…振動変遷軸 ω…回転角速度

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基部から第1振動子と第2振動子を突出
    して備えるセンサ素子であって、 前記第1振動子と第2振動子とに第1の軸に沿った定常
    振動を励起する励振手段と、 前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って前記第1振動
    子に励起された振動を検出する第1検出手段と、 前記第2の軸に沿って前記第2振動子に励起された振動
    を検出する第2検出手段とを有し、 前記第1振動子と第2振動子とは、前記定常振動の状態
    に置かれた前記第1,第2振動子に前記第1と第2の軸
    とに直交する第3の軸回りの回転角速度が加わっていな
    い非検出状態において前記第1,第2振動子に発現する
    運動の挙動の軌跡が前記第1の軸を中心に対称となるよ
    うに構成されているセンサ素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセンサ素子であって、 前記第1振動子と第2振動子とは、その少なくとも一方
    が質量調整を受けて、前記非検出状態における前記運動
    の挙動の軌跡が前記第1の軸を中心に対称となるように
    構成されている。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のセンサ素子であって、 前記励振手段は、 前記第1振動子に設けられ、前記定常振動を励起する第
    1励振手段と、 前記第2振動子に設けられ、前記第2振動子に前記第1
    振動子の定常振動と振動の向きが逆で振幅が同一の定常
    振動を励起する第2励振手段とを有する。
  4. 【請求項4】 振動子に加わってコリオリの力を作用さ
    せる回転角速度を求める角速度センサであって、 請求項1ないし請求項3いずれか記載のセンサ素子の前
    記励振手段を起動する励振起動手段と、 前記定常振動の状態に置かれた前記第1,第2振動子に
    前記第3の軸回りの回転角速度が加わってコリオリの力
    が両振動子に作用している検出状態において前記第1検
    出手段と前記第2検出手段とから得られる検出時出力に
    基づいて、前記回転角速度を演算する演算手段とを有す
    る角速度センサ。
  5. 【請求項5】 振動子に加わってコリオリの力を作用さ
    せる回転角速度を求める角速度演算方法であって、 基部から突出した第1,第2振動子を、該振動子の側面
    に振動エネルギを与えて第1の軸に沿った定常の振動状
    態に置く振動工程と、 前記定常振動の状態に置かれた前記第1,第2振動子に
    前記第1の軸とこれに直交する第2の軸とに直交する第
    3の軸回りの回転角速度が加わっていない非検出状態に
    おいて前記第1振動子と第2振動子とに発現する運動の
    挙動の軌跡が前記第1の軸を中心に対称となるようにさ
    れた前記第1,第2振動子について、前記第2の軸に沿
    ってそれぞれ励起された振動を検出する検出工程と、 前記定常の振動状態に置かれた前記第1,第2振動子に
    前記第3の軸回りの回転角速度が加わってコリオリの力
    が振動子に作用している検出状態における前記第1,第
    2振動子についての検出時出力に基づいて前記回転角速
    度を演算する演算工程とを有する角速度演算方法。
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