JPH0917671A - 希土類系焼結永久磁石の製造方法 - Google Patents

希土類系焼結永久磁石の製造方法

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JPH0917671A
JPH0917671A JP7183440A JP18344095A JPH0917671A JP H0917671 A JPH0917671 A JP H0917671A JP 7183440 A JP7183440 A JP 7183440A JP 18344095 A JP18344095 A JP 18344095A JP H0917671 A JPH0917671 A JP H0917671A
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granulated
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Wataru Takahashi
渉 高橋
Nobushige Hiraishi
信茂 平石
Yoshihisa Kishimoto
芳久 岸本
Osamu Yamashita
治 山下
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Proterial Ltd
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Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 合金粉末とバインダーとの反応を抑制し、焼
結体の残留酸素量、残留炭素量を低減させるとともに、
成形時の粉体の流動性、配向性、潤滑性を向上させて、
成形体の寸法精度の向上及び生産性の向上を図った希土
類系焼結永久磁石の製造方法の提供。 【構成】 R−Fe−B系合金粉末やR−Co系合金粉
末などの希土類含有合金粉末に、水溶性ポリマーと水か
らなる極少量のバインダーを添加、混練したスラリーを
スプレードライヤー装置により造粒して、その流動性を
改善し、造粒粉への脂肪酸エステルまたはホウ酸エステ
ル系の潤滑剤混合にて、粉末の磁場配向性を改善し、造
粒粉を成形用金型に充填した後、パルス磁場を印加した
後成形することにより、造粒粉を解砕するとともに配向
性を向上させ、成形、焼結、熱処理することにより、成
形体単重、密度バラツキが小さく、薄肉形状や複雑形状
でかつ優れた磁気特性を有する希土類系焼結永久磁石を
得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、R−Fe−B系合金
やR−Co系合金などの希土類(R)含有合金からなる
造粒粉を用いた焼結永久磁石の製造方法に係り、該希土
類含有合金粉末に水溶性ポリマーと水とからなるバイン
ダーを添加しスプレードライヤー装置にて造粒粉となす
ことにより、圧縮成形時の粉体の流動性、潤滑性を向上
させ、この造粒粉に脂肪酸エステルまたはホウ酸エステ
ル系化合物を添加し、あるいはさらにパルス磁界を印加
することにより、成形サイクルの向上、成形体の寸法精
度を向上させ、かつ磁気特性の優れた薄肉形状や複雑形
状の焼結永久磁石を提供することができる希土類系焼結
永久磁石の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、家電製品を初めコンピュータの周
辺機器や自動車等の用途に用いられる小型モーターやア
クチュエータ等には、小型化、軽量化とともに高性能化
が求められており、その磁石材料も小型化、軽量化、薄
肉化からさらに磁石材料表面の所定位置に凹凸を設けた
り、貫通孔を設ける等、複雑な形状製品が要求されてい
る。現在の代表的な焼結永久磁石材料としては、フェラ
イト磁石、R−Co系磁石、そして、出願人が先に提案
したR−Fe−B系磁石(特公昭61−34242号
等)が挙げられる。上記の中でも、特に、R−Co系磁
石やR−Fe−B系磁石などの希土類系磁石は、他の磁
石材料に比べて磁気特性が格段にすぐれるために、各種
用途に多用されている。
【0003】上記の希土類系磁石、例えばR−Fe−B
系焼結永久磁石は、最大エネルギー積((BH)ma
x)が40MGOeを超え、最大では50MGOeを超
える極めて優れた磁気特性を有するが、それを発現させ
るためには、所要組成からなる合金を1〜10μm程度
の平均粒度に粉砕することが必要となる。しかし、合金
粉末の粒度を小さくすると、成形時の粉末の流動性が悪
くなり、成形体密度のバラツキや成形機の寿命を低下さ
せるとともに、焼結後の寸法精度にもバラツキを生じる
こととなり、特に薄肉形状や小型形状の製品を得るのが
困難であった。
【0004】また、希土類系磁石は、大気中で酸化し易
い希土類元素や鉄を主成分として含有するため、合金粉
末の粒度を小さくすると、酸化により磁気特性が劣化す
る問題があり、特にR−Fe−B系焼結永久磁石は、従
来から知られる希土類コバルト磁石等に比べ極めて優れ
た磁気特性を発現するという特徴を有するが、その磁気
特性の発源となる希土類やBとの新たな組織の特定の化
合物や化合物相が活性なため、合金粉末の粒度を小さく
すると、酸化により磁気特性が劣化する問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そのため、特に成形性
を改良するために、成形前の合金粉末に、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル等を添加したもの(特公平4−
80961号)、それらにさらにパラフィンやステアリ
ン酸塩を添加したもの(特公平4−80962号、特公
平5−53842号)、またオレイン酸を添加したもの
(特公昭62−36365号)等が提案された。しか
し、ある程度の成形性は向上できるものの、その改善効
果にも限界があり、近年要求される薄肉形状や小型形状
の成形は依然困難であった。
【0006】また、上記のバインダーや潤滑剤の添加と
ともに、さらに成形性を改良し、薄肉形状品や小型形状
品を製造する方法として、成形前の合金粉末に飽和脂肪
族カルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸にミリスチン酸
エチルやオレイン酸からなる滑剤を添加して混練した
後、造粒を行なって成形する方法(特開昭62−245
604号)、あるいはパラフィン混合物に飽和脂肪族カ
ルボン酸や不飽和脂肪族カルボン酸等添加、混練後、造
粒した後成形する方法(特開昭63−237402号)
も提案されている。
【0007】しかし、上記の方法では、粉末粒子の結合
力が十分でなく、造粒粉が壊れやすいために、十分な粉
末の流動性を実現することが困難であった。成形性を向
上させたり、粉末粒子の結合力を高めるためには、種々
バインダーや潤滑剤の添加量を増やすことが考えられる
が、多量に添加すると、希土類合金粉末中のR成分とバ
インダーとの反応により、焼結後の焼結体の残留酸素
量、残留炭素量が増加し、磁気特性の劣化を招くことに
なるので、添加量にも制限があった。
【0008】また、希土類含有の磁性合金粉末を対象と
するものではないが、Co系スーパーアロイ粉末を対象
とした圧縮成形用のバインダーとして、対象合金粉末に
対して、1.5〜3.5wt%のメチルセルロースとさ
らに所定量の添加物であるグリセリンとほう酸を混合し
た組成が提案(USP4,118,480)され、ま
た、工具用合金粉末の射出成形用のバインダーとして、
特殊組成からなり、対象合金粉末に対して0.5〜2.
5wt%のメチルセルロースに水、グリセリン等の可塑
剤、ワックスエマルジョン等の滑剤、離型剤を添加した
組成が提案(特開昭62−37302号)されている。
しかし、それらはいずれも所定の流動性と成形体強度を
確保するため、いずれも対象合金粉末に対して、上記の
ように例えば0.5wt%以上もの比較的多量のバイン
ダーを使用するもので、しかも種々のバインダー添加剤
の添加、例えばグリセリン等の可塑剤をメチルセルロー
スと同量程度添加することが不可欠であるため、射出成
形や圧縮成形後、脱脂した後、焼結後でもかなりの炭素
と酸素が残留し、特に希土類系焼結磁石の場合、磁気の
劣化を招くので、容易には適用できない。
【0009】また、フェライトなどの酸化物粉末を対象
として、平均粒度1μm以下の粉末に、バインダーとし
て0.6〜1.0wt%のポリビニルアルコールを添加
したのち、スプレードライヤー装置により造粒粉を製造
し、該造粒粉を成形、焼結する方法が知られている。し
かし、それらはいずれも酸化物粉末に対して0.6wt
%以上もの多量のバインダーを使用するもので、脱脂処
理を施したのちの焼結体にもかなりの炭素及び酸素が残
留するため、非常に酸化及び炭化しやすい性質を有し、
少しの酸化あるいは炭化によっても極端に磁気特性が劣
化するこの発明の対象とする希土類含有合金粉末に、上
記のような酸化物を対象とした方法をそのまま適用する
ことはできない。
【0010】特に、酸化物の場合は比較的多量のバイン
ダーを用いても大気中で脱脂、焼結できるため、脱脂、
焼結時にバインダーが燃焼してある程度の残留炭素の抑
制を図ることができるが、この発明の対象とする希土類
含有合金粉末の場合は、酸化により磁気特性が劣化する
ため大気中で脱脂、焼結することができないので、多量
のバインダー添加は得られる焼結磁石の磁気特性に致命
的な悪影響を及ぼすこととなる。このように、成形前の
合金粉末に、種々のバインダーや潤滑剤を添加したり、
さらに造粒を行なって、成形性を改良する試みが種々提
案されてはいるが、いずれの方法によっても、近年要求
されるような、薄肉形状や小型形状でかつ優れた磁気特
性を有する希土類系焼結磁石を製造するのは困難であっ
た。
【0011】この発明は、希土類系焼結永久磁石の製造
方法において、合金粉末とバインダーとの反応を抑制
し、焼結体の残留酸素量、残留炭素量を低減させるとと
もに、成形時の粉体の給粉流動性及び粉末配向性を向上
させて、成形体の寸法精度の向上、生産性及び磁気特性
の向上を図った、小型形状や複雑形状でかつ優れた磁気
特性を有する希土類系焼結永久磁石の製造方法の提供を
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、希土類含有
合金粉末とスプレードライ造粒時に使用するバインダー
との反応を抑制でき、焼結体の残留酸素量、残留炭素量
を低減させる方法を種々検討した結果、バインダーとし
て、水溶性ポリマーの少なくとも1種と水とからなるバ
インダーを用いることにより、焼結前の工程における希
土類含有合金粉末とバインダーとの反応を抑制すること
ができ、焼結後の焼結体の残留酸素量、残留炭素量を大
幅に低減できることを知見した。
【0013】詳述すると、希土類含有合金粉末と上記の
バインダーとを添加、混練してスラリー状となし、該ス
ラリーをスプレードライヤー装置により得られた造粒粉
は十分な結合力を有し、プレス成形時の給粉流動性が良
好であることが分かった。しかし、造粒粉のままで成形
を行うと、造粒粉を構成する粉末(1次粒子)間の結合
力のために十分に配合せずに磁気特性が劣る欠点があっ
た。
【0014】そこで発明者らは、造粒粉と脂肪酸エステ
ルまたはホウ酸エステル系の潤滑剤を混合して、プレス
成形することにより、造粒粉の破壊後の1次粒子粉末間
のすべり性を向上させて、粉末の磁場配向性を改善でき
ることを確認した。さらに原料造粒粉末を成形用金型に
充填した後、予備破砕磁場として、パルス磁場を印加し
た後成形することにより、造粒粉を解砕するとともに配
向性を向上させることで、成形体単重、密度バラツキが
小さく、かつ、小物形状や複雑形状で優れた磁気特性を
有する希土類系焼結永久磁石が効率よく得られることを
知見し、この発明を完成した。
【0015】すなわち、この発明は、希土類含有合金粉
末に、水溶性ポリマーの少なくとも1種と水とからなる
バインダーを添加、混練してスラリー状となし、該スラ
リーをスプレードライヤー装置により、造粒粉となし、
次いで該造粒粉に脂肪酸エステルまたはホウ酸エステル
系化合物の少なくとも一種以上を添加した後にプレス成
形し、続いて焼結する粉末冶金法により焼結永久磁石を
得ることを特徴とする希土類系焼結永久磁石の製造方法
である。また、発明者らは、上記の構成において、プレ
ス成形前にあらかじめ10kOe以上のパルス磁界を1
回以上印加させる希土類系焼結永久磁石の製造方法を併
せて提案する。
【0016】希土類含有合金粉末 この発明において、対象とする希土類含有合金粉末は、
希土類元素Rを含有するいずれの組成のものも適用可能
であるが、中でもR−Fe−B系合金粉末や、R−Co
系合金粉末あるいはそれらの合金粉末中の希土類元素以
外の元素を別の元素で置換したもの、例えば、R−Fe
−B系のFeをCo等の遷移金属で、BをCやSi等の
半金属で置換したものなどが最も適している。特に、希
土類含有合金粉末としては、所要組成からなる単一の合
金を粉砕した粉末や、異なる組成の原料を混合して所要
組成に調整した粉末、保磁力の向上や製造性を改善する
ため添加元素を原料配合時や粉砕前後に加えたものな
ど、公知の合金粉末を用いることができる。
【0017】また、その製造方法も、溶解・粉化法、超
急冷法、直接還元拡散法、水素含有崩壊法、アトマイズ
法等の公知の方法を適宜選定することができ、その粒度
も特に限定しないが、合金粉末の平均粒度が1μm未満
では大気中の酸素あるいはバインダー及び溶媒と反応し
て酸化しやすくなり、焼結後の磁気特性を低下させる恐
れがあるため好ましくなく、また、10μmを超える平
均粒径では粒径が大きすぎて焼結密度が95%程度で飽
和し、該密度の向上が望めないため好ましくない。よっ
て1〜10μmの平均粒度が好ましい範囲である。特に
好ましくは1〜6μmの範囲である。
【0018】バインダー成分 この発明において、合金粉末に添加するバインダーとし
ては水溶性ポリマーの少なくとも1種と水からなるもの
を用いる。水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコ
ール、ポリアクリルアミド、水溶性セルロースエーテ
ル、ポリエチレンオキサイド、水溶性ポリビニルアセタ
ール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸誘導体から選ば
れた少なくとも1種が選定される。
【0019】上記ポリビニルアルコール、ポリアクリル
アミド、水溶性セルロースエーテル、ポリエチレンオキ
サイド、水溶性ポリビニルアセタール、ポリアクリル
酸、ポリアクリル酸誘導体から選ばれたポリマーは、そ
の添加量を合金粉末100重量部に対して0.5重量部
以下としても、成形時に金型へ粉末を供給するためのフ
ィーダー内における振動にも充分耐えられる程度の一次
粒子の粒子間結合力と、充分な流動性および成形体強度
を得ることができる。また、少量の添加で均一なスラリ
ーとなし、しかも該スラリー粘度をスプレー造粒を行う
ために好適な粘度に調整することが容易であるととも
に、乾燥後においても高い結合力を保持することがで
き、また添加量が少量でよいため、粉末中の残留酸素
量、残留炭素量を低減することができる。
【0020】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
ビニルアルコールは水に容易に溶解し、かつ強力な接着
力を有し、化学的安定性、熱分解性、圧縮成形時の潤滑
性にも優れ、工業的に安価に入手できることから、この
発明に用いるポリマーとして好適である。これらの特性
を充分に活かすためには、重合度の目安として、20
℃、4%水溶液濃度が3〜70cpsのポリマーを用い
るのが好ましい。3cps未満の重合度ではポリマー自
体の破断強度が低くなり、得られる造粒粉の粒子間結合
力が低下し、完全に造粒化せず、一次粒子の微粉のまま
残存することになる。また、70cpsを越える重合度
においてはスラリー粘度が著しく上昇し、スプレードラ
イヤーへの定常的な供給が困難となり生産性が著しく低
下する。また、用いるポリマーの鹸化度は70〜99モ
ル%が好適である。70モル%未満の鹸化度では、残存
するアセチル基が多いためポリビニルアルコールが本来
有する特性が充分得られず、逆に99モル%を越える鹸
化度を有するポリマーを工業的に入手することは困難で
ある。
【0021】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
アクリルアミドは水に容易に溶解し、かつ強力な接着力
を有し、高い破断強度を有し、化学的安定性、熱分解
性、圧縮成形時の潤滑性にも優れ、工業的に安価に入手
できることから、本発明に用いるポリマーとして好適で
ある。これらの特性を充分に活すためには、平均分子量
数千〜百万程度のポリマーが好ましい。数千程度以下の
重合度では、ポリマー自体の破断強度が低くなり、得ら
れる造粒粉の粒子間結合力が低下し、完全に造粒化せ
ず、一次粒子の微粉のまま残存することになる。また、
百万程度以上の重合度においてはスラリー粘度が著しく
上昇し、スプレードライヤーへの定常的な供給が困難と
なり生産性が著しく低下する。
【0022】この発明において、セルロースエーテルと
は、セルロース骨格の3個の水酸基(−OH)を一部エ
ーテル化剤でエーテル化し、水酸基のかわりにエーテル
基(−OR)を導入した化合物であり、これにはメチル
セルロース(R:CH3)、エチルセルロース(R:C2
5)、ベンジルセルロース(R:CH265)、シア
ンエチルセルロース(R:CH2CH2CN)、トリチル
セルロース(R:C(C653)、カルボキシルメチ
ルセルロース(R:CH2COOM、但しMは、1価の
金属あるいはアンモニウム基)、ヒドロキシプロピルセ
ルロース(R:CH2CH(OH)CH3)、ヒドロキシ
エチルセルロース(R:CH2CH2OH)等が有り、こ
れらの置換基を複数個有する、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース(R:CH2CH2OH,CH3,CH3)、
ヒドロキシエチルメチルセルロース(R:CH2CH2
,CH3)等を使用することができ、組合せ等に応じ
て、置換基と置換度を選定すると良い。
【0023】これらのセルロースエーテルは、水溶性に
優れ、増粘性を備え、界面活性を有し、化学的安定性に
優れることから好適である。用いるポリマーの重合度
は、エーテル化の種類、置換度によって異なるが、目安
として20℃、2%水溶液粘度が、10〜30000c
ps程度が好ましい。10cps未満の重合度ではポリ
マー自体の破断強度が低くなり、得られる造粒粉の粒子
間結合力が低下し、完全に造粒化せず、一次粒子の微紛
のまま残存することになる。また、30000cpsを
越える重合度においてはスラリー粘度が著しく上昇し、
スプレードライヤーへの定常的な供給が困難となり生産
性が著しく低下する。
【0024】上記のポリマーはそれぞれ単独あるいは複
合して用いることができ、また、セルロースエーテルの
複合添加も可能であり、好ましい組合せとしては、メチ
ルセルロース+ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
メチルセルロース+ヒドロキシエチルメチルセルロース
等が挙げられる。
【0025】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
エチレンオキサイドは、水に容易に溶解し、加温しても
ぜゲル化せず、熱分解性も良好であり、スラリー作製時
の粉末の分散性にも優れ、プレス成形時の潤滑性にも優
れていることから、この発明に用いるポリマーとして好
適である。これらの特性を充分に活すためには、その平
均分子量が2万〜数百万のものが好ましい。分子量が2
万以下であると、ポリマー自体がロウ状固体から液体と
なり、ポリマー自体の強度が充分でなく、その結果、造
粒工程において乾燥後の合金粒子に対する結合力が不足
し、完全に造粒せず、微粉のまま残存することがある。
また、その分子量が数百万を超えると、結合力は向上す
るが、水溶液粘度が著しく上昇し、スラリー作製時に少
量の添加でもスラリー粘度が高くなるため、回転ディス
クへの供給安定性が悪くなり、得られる造粒粉の粒度分
布が乱れることがある。またこれ以上の分子量のもの
は、工業的に汎用的には製造されておらず、経済的にも
不利である。
【0026】この発明で用いるポリマーにおいて、水溶
性ポリビニルアセタールはポリビニルアルコールとアル
デヒドの縮合反応で得られるポリマーであこの反応で得
られるポリマーの特性は、出発原料のポリビニルアルコ
ールの分子量、鹸化度、およびアセタール化度等により
大きく異なる。この発明においては、目的とする結合力
を有するとともに適当なスラリー粘土とスラリー分散性
を得ることができれば、これらの値に制限されるもので
はないが、一般的には鹸化度70〜99、重合度数百か
ら数千程度のポリビニルアルコールを用い、数モル%か
ら数十モル%程度をアセタール化したポリマーが好適で
ある。
【0027】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
アクリル酸、およびポリアクリル酸誘導体は、水溶性の
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの金
属塩、アンモニウム塩等である。ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸は無定形であり、非常に硬いポリマーであ
ることから、合金粒子に対して充分な結合力を与え、そ
の結果、少量の添加で造粒性を付与することが可能であ
る。また、それらの塩は、強度的には上記の2種のポリ
マーに比べて劣るものの、解膠作用を有することから、
スラリーの作製工程においてスラリーの均一性を向上さ
せるのに好適である。
【0028】この発明においては、合金粉末に上記ポリ
マーおよび溶媒である水を添加し、攪拌、混練すること
によりスラリーを作製するが、スラリー濃度はスラリー
粘度、合金粉末の分散性、スプレー造粒工程における処
理量等の観点から適宜選択することができるが、一般的
にはスラリー中の合金粉末濃度を40〜80重量%とす
ることが望ましい。40重量%未満では、攪拌混練工程
において固液分離が生じ、スラリーの分散性が低下し、
不均一なスラリーとなるのみならず、攪拌混練槽からス
プレードライヤー装置への供給中に供給パイプ内で沈降
が起こり、得られる造粒粉に造粒化されていない微紛が
混入したり、球状でない造粒粉になったりする。また、
逆に80重量%を超えるとスラリー粘度が著しく上昇
し、均一な攪拌混練ができないのみならず、攪拌混練槽
からスプレードライヤー装置まで該スラリーを供給でき
ない。
【0029】この発明において、スプレードライヤーに
供給するスラリーは、少なくとも合金粉末、上記ポリマ
ーを含むポリマー類、溶媒である水からなるが、この時
添加するポリマー類の添加量は、該合金粉末100重量
部に対して、0.05重量部〜0.7重量部好ましくは
0.05〜0.5重量部である。添加量が0.05重量
部未満では造粒粉内の粒子間の結合力が弱く、粉末中に
未造粒の微紛が混入したり、成形前の給紛時に造粒粉が
壊れるとともに紛体の流動性が著しく低下する。また、
0.7重量部を超えると、焼結体における残留酸素量と
残留炭素量が増加して保磁力が低下し磁気特性が劣化す
るためである。
【0030】この発明で用いる溶媒である水は、R−F
e−B系合金粉末のR成分との反応を極力抑制するため
に、脱溶存酸素処理した純水、あるいは窒素等の不活性
ガスでバブリング置換した水を用いることが望ましい。
【0031】この発明において、合金粉末へのバインダ
ーの添加、該スラリーの攪拌は、0℃〜30℃の温度範
囲で行うことが好ましく、合金粉末と水との酸化反応を
より抑制することができる。逆に30℃を超える温度範
囲の攪拌は、合金粉末と水との酸化反応を促進させ、そ
の結果得られる焼結体中の残存酸素量が増加し、磁気特
性が劣ることになる。従って、撹拌は0℃〜30℃の温
度範囲に保持する必要があり、そのためには予め該温度
に冷却した水を用いたり、攪拌槽を冷却水で保冷するな
どの手段などを採用することができる。
【0032】また、上記スラリーに可塑剤を添加する
と、造粒化した粉末を用いてプレス成形する際に、少し
の力で粉末の形態を永久変形することができる。この発
明におけるポリマー類は、造粒化を容易にするために高
い粒子間結合力を有するため、保形性は優れているもの
の、プレス成形時において一定加圧下でも、その保形性
を保持するため、圧粉体密度が下がったり、時には磁場
中成形時において印加磁場に対して、その優れた粒子間
結合力のため完全に配向せず、その結果得られる焼結体
の残留磁束密度が低下し、磁気特性が劣化する原因とな
る。そこで、ポリマー鎖の分子間相互作用を低下させ、
ガラス転移温度を低くするために可塑剤を添加すること
が好ましい。
【0033】可塑剤としては、その可塑効果、ポリマー
との相溶性、化学的安定性、物理特性(沸点,蒸気圧
等)、合金粉末との反応性などを考慮して、一般の公知
の可塑剤を用いることができ、この発明の如く水溶性ポ
リマーを用いた水系スラリーの場合には、エチレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブタン
ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ールなどを用いることができる。
【0034】水溶性スラリーへの可塑剤の添加量は、可
塑剤の上記特性により適宜選択できるが、通常スラリー
に添加するポリマー100重量部に対して、2〜100
重量部、好ましくは5〜70重量部である。添加量が2
重量部未満では、可塑効果が充分でなく、磁場中での配
向性が向上せず得られる焼結体の磁気特性(残留磁束密
度)が低下する。一方、100重量部を越える添加で
は、粒子間結合力が低下し、造粒性が低下し流動性が低
下するのみならず、これら水溶性可塑剤は一般的に吸湿
性が高いため、造粒工程での乾燥性が低下し粉末中の残
留水分が増加し酸化の原因になったり、粉末の保管中に
吸湿するといった問題を生じる。さらに必要に応じて、
解膠剤(分散剤)、滑剤、消泡剤、表面処理剤などの添
加剤を、焼結体の残留炭素濃度が大きく増加しない範囲
で添加することが可能である。
【0035】例えば、バインダーにグリセリン、ワック
スエマルジョン、ステアリン酸、フタール酸エステル、
ペトリオール、グライコール等の分散剤、潤滑剤のうち
少なくとも1種を添加するか、あるいはさらに、n−オ
クチルアルコール、ポリアルキレン誘導体、ポリエーテ
ル系誘導体等の消泡剤を添加すると、スラリーの分散
性、均一性の向上及びスプレードライヤー装置中での粉
化状態が良好になり、気泡が少なく、滑り性、流動性に
すぐれる球形の造粒粉が得ることが可能になる。なお、
添加する場合は、0.03wt%未満の含有量では造粒
粉を成形後の離型性改善に効果がなく、また0.3wt
%を超えると焼結体における残留炭素量と酸素量が増加
して保磁力が下がり磁気特性が劣化するので、0.03
wt%〜0.3wt%の含有量が好ましい。
【0036】造粒方法 この発明において、合金粉末に前述したバインダーを添
加、混練したスラリーは、スプレードライヤー装置によ
って造粒粉にする。まず、スプレードライヤー装置を用
いた造粒粉の製造方法を説明すると、スラリー撹拌機か
らスラリーをスプレードライヤー装置に供給する、例え
ば、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加圧ノズル先
端部で霧状に噴霧され、噴霧された液滴は、加熱された
不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造粒粉とな
り、回収部内の下部に自然落下する。
【0037】この発明において、スプレードライヤー装
置として回転ディスク型には、ベーン型、ケスナー型、
ピン型等種々のタイプがあるが、原理的にはどのタイプ
でも、上下2枚のディスクから構成され、そのディスク
が回転する構造となっている。スプレードライヤー装置
全体の構成としては、公知の開放型スプレードライヤー
装置を用いてもよいが、造粒する磁性粉末が希土類含有
合金粉末は非常に酸化し易いために、装置のスラリー収
納部内あるいは造粒粉の回収部内を不活性ガスなどで置
換でき、かつその酸素濃度を常時3%以下に保持できる
密閉構造であることが好ましい。
【0038】また、スプレードライヤー装置の回収部内
の構成としては、上述した回転ディスクにより噴霧され
た液滴を瞬時に乾燥させるために、回転ディスクの上方
に加熱された不活性ガスを噴射する噴射口を配置し、ま
た回収部内の下部に、噴射されたガスを回収部外へ排出
する排出口を設けるが、その際、予め装置外部あるいは
装置に付属された加熱器で所要温度に加熱された不活性
ガスの温度を低下させないように、上記噴射口を不活性
ガスの温度に応じた温度、例えば60〜150℃に保持
することが好ましい。
【0039】すなわち、不活性ガスの温度が低下する
と、噴霧された液滴を短時間で十分乾燥することができ
なくなるため、スラリーの供給量を減少させなければな
らず能率が低下してしまう。また、比較的大きな粒径の
造粒粉を作る場合は、回転ディスクの回転数を低下させ
るが、その際に不活性ガスの温度が低下していると、噴
霧された液滴を十分乾燥することができないので、結果
としてスラリーの供給量を減少させることにより、大き
な粒径の造粒粉を得る場合には極端に能率が低下するこ
とになる。従って、予め加熱された不活性ガスの温度を
そのまま維持しながら回収部内へ送り込むには、噴射口
の温度を60〜150℃に保持することが好ましく、特
に100℃前後に保持することが最も好ましい。
【0040】また、不活性ガスの噴射口と排出口の温度
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。不活性ガ
スとしては、窒素ガスやアルゴンガスが好ましく、加熱
温度は60〜150℃が好ましい。
【0041】得られる造粒粉の粒度は、スプレードライ
ヤー装置へ供給するスラリーの濃度やその供給量、ある
いは回転ディスクの回転数によって制御することができ
るが、例えば、希土類含有合金造粒粉の平均粒径が10
μm未満では、造粒粉の流動性がほとんど向上せず、ま
た、平均粒径が400μmを超えると、粒径が大きすぎ
て成形時の金型内への充填密度が低下するとともに成形
体密度も低下し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下
を来たすこととなるため好ましくなく、よって、造粒粉
の平均粒径は10〜400μmが好ましい。さらに好ま
しくは40〜200μmである。また、ふるいによりア
ンダーカット、オーバーカットを行なうことにより、さ
らに極めて流動性に富んだ造粒粉を得ることができる。
当然ながら該造粒粉は等方性である。
【0042】ついで、この造粒粉に脂肪酸エステルまた
はホウ酸エステル系化合物を潤滑剤として添加するが、
これはプレス成形時の磁場により造粒粉を構成する個々
の粉末が配向し易くなるためである。個々の粉末の表面
にはバインダーが付着しており、粒子間結合力があるた
め、またバインダーのすべり効果は十分ではなく、磁場
による配合性が造粒粉は劣るため、この造粒粉を用いた
永久磁石の磁気特性、特にBr(残留磁束密度)は低く
なるが、上記潤滑剤を添加することで、粒子間の滑りが
よくなり、Brが向上する。
【0043】脂肪酸エステルまたはホウ酸エステルを用
いるのは、少量の添加ですべり効果が大きいこと、焼結
体に残る炭素が少なく、磁気特性に悪影響を及ぼさない
ためである。この発明において、脂肪酸エステル系化合
物としては、C12〜C30の飽和(不飽和)脂肪族基を有
する脂肪酸エステルが好ましく、例えば、ラウリン酸メ
チル、ラウリン酸エチル、パルミチン酸メチル、ステア
リン酸メチル、オレイン酸メチル、等のモノカルボン酸
エステル、エチレングリコールジステアレート等の多価
カルボン酸エステル等を挙げることができる。C12以下
の脂肪酸エステルは、その潤滑性が低く、逆にC30以上
の脂肪酸エステルは、工業的に入手が難しい。
【0044】この発明において、ホウ酸エステル系化合
物とは、ホウ酸(オルトホウ酸H5BO3とメタホウ酸H
BO2を含む)または無水ホウ酸(B23)を1種もし
くは2種以上の1価または多価アルコールと反応させて
エステル化することにより得られるホウ酸トリエステル
型の化合物を意味する。
【0045】ホウ酸または無水ホウ酸のエステル化に使
用できる1価または多価アルコールとしては、下記
(1)〜(4)の化合物が例示される。 (1) 一般式:R1−OHで示される1価アルコー
ル、(2) 下記一般式で示されるジオール、(3)
グリセリンまたは置換グリセリンとそれらのモノまたは
シエステル、(4) 上記(2)および(3)以外の多
価アルコールならびにそのエステルもしくはアルキレン
オキサイド付加物。
【0046】
【化1】
【0047】上記一般式において、R1は炭素数3〜2
2の脂肪族、芳香族または複素環式の飽和または不飽和
有機基、R2,3,R4,R5は、同一でも異なるもので
もよく、それぞれHまたは炭素数1〜15の脂肪族また
は芳香族の飽和または不飽和1価有機基、R6は、単結
合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、または炭
素数1〜20の脂肪族もしくは芳香族の飽和もしくは不
飽和有機2価基を意味する。
【0048】(1)の1価アルコールとしては、例えば
n−ブタノール、iso−ブタノール、n−ベンタノー
ル、n−ヘキサノール、n−ヘブタノール、n−オクタ
ノール、2−エチルヘキサノール、ノナノール、デカノ
ール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノー
ル、テトラデカノール、ベンタデカノール、ヘキサデカ
ノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデ
カノールなどが挙げられ、好ましくは、炭素数3〜18
のアルコールである。そのほか、アリルアルコール、ク
ロチルアルコール、プロバルギルアルコールなどの脂肪
族不飽和アルコール、シクロベンタノール、シクロヘキ
サノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコー
ル、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール、フ
ルフリルアルコールなどの複素環式アルコールも使用で
きる。
【0049】炭素原子数2以下の1価アルコール(メタ
ノール、エタノール)とのほう酸エステルは沸点が低
く、R−Fe−B系合金粉末と混合した後に揮散する可
能性があるので、好ましくない。また、炭素数22以上
の1価アルコールとのホウ酸エステルは、融点が高く、
均一混合性にやや劣る上、焼結後に残炭として残存する
可能性がある。
【0050】(2)のジオール(2価アルコール)の例
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−
ベンタンジオール、ネオベンチルグリコール、1,6−
ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8
−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,1
0−デカンジオールなどのα、ω−グリコール類;ピナ
コール、ヘキサン−1,2−ジオール、オクタン−1,
2−ジオール、ブタノイル−α−グリコールなど対称α
−グリコール類が挙げられる。総炭素数が10以下で、
融点が比較的低いジオールが、合成が容易でコスト的に
も有利であることから好ましい。
【0051】(3)のグリセリン類の例としては、グリ
セリンそれ自体、ならびにグリセリンと炭素数8〜18
の脂肪酸とのモノエステルまたはジエステルが挙げられ
る。これらのエステルの代表例はラウリン酸モノおよび
ジグリセライド、オレイン酸モノおよびジグリセライド
などである。また、置換グリセリン(例、ブタン−1,
2,3−トリオール、2−メチルプロパン−1,2,3
−トリオール、ペンタン−2,3,4−トリオール、2
−メチルブタン−1,2,3−トリオール、ヘキサン−
2,3,4−トリオールなど)それ自体、ならびにそれ
らと炭素数8〜18の脂肪酸とのモノエステルまたはジ
エステルも使用できる。
【0052】(4)の多価アルコールの例としては、ト
リメチロールプロパン、ベンタエリトリット、アラビッ
ト、ソルビット、ソルビタン、マンニット、マンニタン
などが挙げられる。また、これらの多価アルコールと炭
素数8〜18の脂肪酸とのモノエステル、ジエステルま
たはトリエステルなどのエステル化物(但し、少なくと
も1個のOH基が残留)、ならびにこれらの多価アルコ
ールにアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイドなど)を1〜20モル、好ましくは
4〜18モル付加させたエーテル型の付加物も使用でき
る。
【0053】ホウ酸または無水ホウ酸と上記アルコール
とのエステル化反応は、これらの反応成分を単に一緒に
加熱するだけで容易に進行する。反応温度はアルコール
の種類によっても異なるが、通常は100〜180℃程
度である。反応成分は、ほぼ化学量論比で反応させるこ
とが好ましい。得られたホウ酸エステルの性状は通常は
液体もしくは固体である。
【0054】この発明において、脂肪酸エステルまたは
ホウ酸エステルの添加量は、0.01wt%未満では造
粒粉末への被覆が不十分となり、磁場中成形時の配合性
向上の効果が十分に得られず、また2.0wt%を超え
ると、焼結後の焼結体に炭素が残留して磁気特性が劣化
するため、0.01〜2.0wt%が好ましい添加量で
あり、さらに好ましくは0.1〜1.0wt%の範囲で
ある。
【0055】プレス成形以降の工程 次に潤滑剤を混合した造粒粉のプレス成形を行うが、こ
のときプレス成形前にあらかじめ磁場を印加して行うの
が望ましい。合金粉末をプレス成形して、異方性磁石を
製造する場合には、1次粒子を配合させるため、通常プ
レス成形中に8〜15kOeの磁場強度の静磁場で行
う。しかし造粒粉の成形時においては、バインダーによ
る個々の粒子間の結合力のため、前記強度レベルの静磁
場では十分に配向しないため、プレス成形前に1回以上
のパルス磁場を印加した後、プレス成形するのが望まし
い。この時プレス成形中にも磁場を印加するが、プレス
成形中に印加する磁場は静磁場でも前記パルス磁場を継
続したものであってもよい。印加時の磁場強度は10k
Oe以上が望ましく、プレス成形中もパルス磁場を印加
し続ける場合には、プレス成形前のパルスも含め、パル
ス回数は3回以上が高配向を得るためには好ましい。成
形圧力は0.3〜2ton/cm2程度である。
【0056】成形時の金型の表面は脂肪酸エステル等で
潤滑し、焼付けを防止する必要があり、金型材料には、
例えば非磁性の超硬材料を用いることが望ましく、Si
C、Si34等のセラミックス材料を用いるとさらに配
向性が向上する。また、焼結前には、真空中で加熱する
一般的な方法や、水素流気中で100〜200℃/時間
で昇温し、300〜600℃で1〜2時間程度保持する
方法などにより脱バインダー処理を行なうことが好まし
い。脱バインダー処理を施すことにより、バインダー中
のほぼ全炭素が脱炭され、磁気特性の向上に繋がる。
【0057】なお、R元素を含む合金粉末は、水素を吸
蔵しやすいために、水素流気中での脱バインダー処理後
には脱水素処理工程を行なうことが好ましい。脱水素処
理は、真空中で昇温速度は、50〜200℃/時間で昇
温し、500〜800℃で1〜2時間程度保持すること
により、吸蔵されていた水素はほぼ完全に除去される。
なお脱水素処理後は、引き続いて昇温加熱して焼結を行
うことが好ましく、500℃を超えてからの昇温速度は
任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時間
など、焼結に際して取られる公知の昇温方法を採用でき
る。
【0058】脱バインダー処理後の成形品の焼結並びに
焼結後の熱処理条件は、選定した合金粉末組成に応じて
適宜選定されるが、例えばR−Fe−B系磁石の場合で
あれば、焼結並びに焼結後の熱処理条件としては、10
00〜1200℃、1〜2時間保持する焼結工程、45
0〜800℃、1〜8時間保持する時効処理工程などが
好ましい。
【0059】
【作用】この発明は、希土類系焼結永久磁石の製造に際
して、成形時の粉体の給粉流動性及び粉末配向性を向上
させて、成形体の寸法精度の向上、生産性及び磁気特性
の向上を図るため、従来、希土類含有合金粉末が1〜1
0μm程度の微粉であるために流動性が悪く、安定して
プレス成形ができないことに鑑み、該合金粉末を特定の
バインダーを用いて造粒することによりその流動性を改
善し、さらにバインダーの粒子結合力によって十分に配
向性が向上しないことに対し、造粒粉への脂肪酸エステ
ルまたはホウ酸エステル系化合物の少なくとも一種から
なる潤滑剤の混合とあるいはさらにパルス磁場成形によ
って改善したもので、粉体の流動性、配向性が格段に向
上し、成形サイクルが向上するとともに、成形体密度の
バラツキや成形機の寿命を低下させることもなく、焼結
後の寸法精度にもすぐれる、薄肉形状や複雑形状でかつ
優れた磁気特性を有する希土類系焼結永久磁石が得られ
る。
【0060】なお、この発明における造粒粉は、元の微
粉の1次粒子は異方性であるが、造粒粉自体は等方性で
あるので、磁場を印加せずに成形した場合は当然のこと
ながら等方性の成形体になるが、磁場を印加しながら成
形すると、圧縮応力と磁場の作用によって、造粒粉が壊
れて元の一次粒子となり、該一次粒子が磁場によって配
向し、異方性の成形体が得られるもので、このときの1
次粒子の動きやすさがBr値を決定することから、この
発明の内部潤滑剤とパルス磁場が1次粒子の配合性の向
上を促進する。さらに、この発明における造粒粉は、バ
インダーによって被覆されているため、大気中において
酸化し難いので、成形工程における作業性が向上すると
いう利点も有する。
【0061】
【実施例】
実施例1 Rとして、Nd30.5原子%、Pr0.31原子%、
Dy1.5原子%、Co2.5原子%、B1.0原子
%、残部Fe及び不可避的不純物からなる原料を、Ar
ガス雰囲気中で高周波溶解して、ボタン状溶製合金を得
た。次に、該合金を粗粉砕した後、ジョークラッシャー
などにより平均粒度約15μmに粉砕し、さらに、ジェ
ットミルにより平均粒度3μmの粉末を得た。該粉末に
表1に示す種類及び添加量のバインダー(A,B)、
水、滑剤等を添加して室温で混練してスラリー状とな
し、該スラリーをディスク回転型スプレードライヤー装
置により、不活性ガスに窒素を用い、熱風入口温度を1
00℃、出口温度を40℃に設定して造粒を行なった。
【0062】得られた造粒粉を#350のふるいにより
微粒子をアンダーカットし、また#70のふるいにより
粗粒子をオーバーカットして、表1に示す平均粒度の造
粒粉No.1、2を得た。この時、#350〜#70の
歩留りは90%であった。該造粒粉にオレイン酸モノグ
リセライドとn−ブタノールとほう酸とを等モルづつ縮
合反応させて得た、代表的には下記構造で示されるほう
酸エステル系化合物をn−ドデカンで2倍に希釈した潤
滑剤を造粒粉100部に対して0.2wt%の割合でス
プレーで添加し、万能混合撹拌機により常温で乾式混合
し、潤滑剤を造粒粉中に均一に分散させた。この時、造
粒粉が解砕しないように撹拌を低速度、短時間で行なっ
た。得られた潤滑剤混合造粒粉をNo.3,4,5,6
とする。
【0063】
【化2】
【0064】次いで、これら造粒粉を成形圧力1.3t
on/cm2で磁場プレス成形を行った。No.1,
2,3,4は磁場強度10kOeの静磁場成形、No.
5,6に対しては、磁場強度40kOeのパルス磁場成
形(パルス回数 成形前1回、成形中2回、合計3回)
を行った。金型潤滑はミリスチン酸メチルを使用し、成
形圧力は共に1.3ton/cm2であり、成形体の形
状は、φ25mm×φ18mm×厚み10.0mmのリ
ング状であった。上記成形体を水素雰囲気中で、室温か
ら300℃迄を昇温速度100℃/hで加熱する脱バイ
ンダー処理を行い、引き続いて真空中で1100℃まで
昇温し4時間保持する焼結を行い、さらに焼結終了後、
Arガスを導入して7℃/minの速度で800℃迄冷
却し、その後100℃/hの速度で冷却して、550℃
で2時間保持の時間処理を施して異方性の焼結体を得
た。
【0065】成形時の造粒粉の流れ性、成形体の寸法、
密度及び得られた焼結磁石の残留酸素量、残留炭素量、
磁気特性を表2に示す。流れ性は内径8mmのロート管
を100gの原料粉が自然落下し、通過するまでに要し
た時間で測定した。また、得られた焼結体はどの場合で
も、割れ、ひび、変形は全くみられなかった。表2から
明らかなように、造粒粉末に内部潤滑することで配合性
が向上し、Br、(BH)maxが大きくなって、磁気
特性が改善されている。さらに、パルス磁場をかけるこ
とで磁気特性が大きく向上していることがわかる。
【0066】また、従来例として同じ3μm粉末を用い
て、造粒を行わずに、そのまま同一の磁場プレス機によ
り静磁場強度10kOe、成形圧力1.3ton/cm
2の条件でφ25mm×φ18mm×厚み10.0mm
のリングを成形した。金型潤滑は本発明例と同一の脂肪
酸エステルである。次いで、成形体を真空中で1100
℃で4時間保持する焼結を行い、さらに焼結完了後、A
rガスを導入して7℃/minの速度で800℃迄冷却
し、その後100℃/hの速度で冷却した後、550℃
で2時間保持の時効処理を施してNo.7の焼結磁石を
得た。
【0067】成形時の粉末No.7の流れ性、成形体の
各特性を従来例として表2に示した。造粒しない粉末N
o.7の流れ性は悪く、プレス成形品の寸法バラツキは
大きい。一方、比較例の造粒粉No.1,2は流れ性は
良好で寸法バラツキは小さいが、配向性が少し低く、B
r、(BH)maxが小さくなっている。ところが、本
発明例No.3,4,5,6によれば、流れ性が改善さ
れるとともに配向性が改善されて磁気特性が優れている
ことが明かになっている。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】実施例2 Sm 11.9at%、Cu 8.8at%、Fe 1
2.6at%、Zr1.2at%、残部Co及び不可避
的不純物からなる原料を、Arガス雰囲気中で高周波溶
解して、ボタン状溶製合金を得た。次に、該合金を粗粉
砕した後、ジョークラッシャーなどにより平均粒度約1
5μmに粉砕し、さらにジェットミルにより平均粒度3
μmの粉末を得た。該粉末に表1のAに示す種類及び添
加量のバインダー、水、滑剤等を添加して室温で混練し
てスラリー状となし、該スラリーをディスク回転型スプ
レードライヤー装置により、不活性ガスに窒素を用い、
熱風入口温度を100℃、出口温度を40℃に設定して
造粒を行った。
【0071】得られた造粒粉を#350のふるいにより
微粒子をアンダーカットし、また#70のふるいにより
粗粒子をオーバカットして、表3に示す平均粒度の造粒
粉8を得た。この時、#350〜#70の歩留りは86
%であった。造粒粉に実施例1で用いたホウ酸エステル
をn−ドデカンで2倍に希釈した潤滑剤を造粒粉100
部に対して0.2wt%の割合でスプレーで添加し、万
能混合撹拌機により常温で乾式混合し、潤滑剤を造粒粉
中に均一に分散させた。この時、造粒粉が解砕しないよ
うに撹拌を低速度、短時間で行った。得られた潤滑剤混
合造粒粉を9,10とする。
【0072】次いで、これら造粒粉を磁場プレス成形を
行った。No.8は磁場強度10kOe、成形圧力1.
3ton/cm2の静磁場成形、No.9,10に対し
ては、磁場強度10kOeの静磁場成形と、磁場強度1
0kOeのパルス磁場成形(パルス回数: 成形前1
回、成形中2回、合計3回)を行った。金型潤滑は脂肪
酸エステルを使用し、成形圧力は共に1.3ton/c
2であり、成形体の形状は、φ25mm×φ18mm
×厚み10.0mmのリング状であった。
【0073】上記成形体を水素雰囲気中で、室温から3
00℃までを昇温速度100℃/hで加熱する脱バイン
ダー処理を行い、引き続いて真空中で1200℃まで昇
温し1時間保持する焼結を行い、更に焼結完了後、11
60℃にて溶体化処理を施し、Arガスを導入して80
0℃から400℃まで多段時効処理を施した。成形時の
造粒粉の流れ性、成形体の寸法、密度及び得られた焼結
磁石の残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表3に示
す。流れ性は内径8mmのロート管を100gの原料粉
が自然落下し、通過するまでに要した時間で測定した。
また、得られた焼結体はどの場合でも、割れ、ひび、変
形は全く見られなかった。表3から明らかなように、造
粒粉末に内部潤滑することで配合性が向上し、Br、
(BH)maxが大きくなって、磁気特性が改善されて
いる。さらに、パルス磁場をかけることで磁気特性が大
きく向上していることが分かる。
【0074】また、従来例として同じ3μm粉末を用い
て、造粒を行わず、そのまま同一の磁場プレス機によ
り、磁場強度10kOe、圧力1ton/cm2で10
mm×15mm×厚み10mmの形状に成形した後、真
空中で1200℃で1時間保持する焼結を行い、さらに
焼結完了後は本実施例2と同一条件で多段時効処理を施
した。成形時の造粒粉の流れ性、成形体の寸法及び密度
及び得られた焼結磁石(No.11)の残留酸素量、残
留炭素量、磁気特性を実施例と共に表3に示す。成形時
の粉末No.11の流れ性、成形体の各特性を従来例と
して表3に示した。造粒しない粉末No.11の流れ性
は悪く、プレス成形品の寸法バラツキは大きい。一方、
比較例の造粒粉No.8は流れ性は良好で寸法バラツキ
は小さいが、配向性が少し低く、Br、(BH)max
が小さくなっている。ところが、本発明No.9.10
によれば、流れ性が改善されるとともに配向性が改善さ
れて磁気特性が優れていることが明らかになっている。
【0075】
【表3】
【0076】実施例3 実施例1において、表1に示すバインダー組成にかえ
て、表4に示す5種類の組成のバインダーC〜Gを用い
た点を除いて実施例1と同様に造粒を行いアンダーカッ
ト、オーバーカットして、造粒粉No.12〜16を得
た。この時の得られた造粒粉の平均粒度、及び歩留りを
表1に示す。ここでポリエチレンオキサイドとして、平
均分子量500000のものを、ポリビニルアセタール
として、平均分子量30000、アセタール基10mo
l%、アセチル基5mol%、水酸基85mol%のも
のを、ポリアクリル酸として、平均分子量10000の
ものを、ポリアクリル酸アンモニウムとして、平均分子
量20000のものを用いた。次いで、実施例1で用い
たホウ酸エステルを同様にして、混合し、潤滑剤混合造
粒粉No.17〜26を準備した。そして、これらN
o.12〜26の造粒粉を用い、磁場プレス成形を行っ
た。ここで、No.12〜16、17、19、21、2
3、25については、10kOeの静磁場を印加しなが
ら成形を行い、No.18、20、22、24、26に
ついては40kOeのパルス磁場をプレス成形前に加え
た後、10kOeの静磁場を印加しながら成形を行っ
た。
【0077】得られた成形体を実施例1と同様に焼結、
時効処理して、焼結磁石を得た。それらの試験結果を表
5,6に示す。また、得られた焼結体は、いずれの場合
も割れ、ひび、変形は見られなかった。表5から明らか
なようにどのバインダーを用いて造粒しても、実施例
1、2と同様に造粒粉末に内部潤滑することで配合性が
向上し、Br、(BH)maxが大きくなって磁気特性
が改善されている。さらにプレス成形前にあらかじめパ
ルス磁場を印加することで磁気特性が大きく向上してい
る。
【0078】
【表4】
【0079】
【表5】
【0080】
【表6】
【0081】
【発明の効果】この発明による希土類系焼結永久磁石の
製造方法は、R−Fe−B系合金粉末やR−Co系合金
粉末などの希土類含有合金粉末に、少なくとも1種以上
の水溶性ポリマーと水からなるバインダーを添加、混練
してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライヤ
ー装置により流動性の高い球状の造粒粉となし、造粒粉
と脂肪酸エステルまたはホウ酸エステル系の潤滑剤を混
合して、プレス成形することにより、造粒粉の破壊後の
1次粒子粉末間のすべり性を向上させて、粉末の磁場配
向性を改善でき、さらに成形時における静磁場に代えて
造粒粉を成形用金型に充填した後、予備破砕磁場とし
て、パルス磁場あるいはパルス磁場と静磁場を印加した
後成形することにより、造粒粉を解砕するとともに配向
性を向上させることで、成形体単重、密度バラツキが小
さく、かつ、小物形状や複雑形状で優れた磁気特性を有
する希土類系焼結永久磁石が効率よく得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 芳久 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 山下 治 大阪府三島郡島本町江川2丁目15ー17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類含有合金粉末に、水溶性ポリマー
    の少なくとも1種と水とからなるバインダーを添加、混
    練してスラリー状となし、該スラリーをスプレードライ
    ヤー装置により造粒粉となし、次いで該造粒粉に脂肪酸
    エステルまたはホウ酸エステル系化合物の少なくとも一
    種以上を添加した後にプレス成形し、続いて焼結する粉
    末冶金法により焼結永久磁石を得ることを特徴とする希
    土類系焼結永久磁石の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、プレス成形前に予め
    10kOe以上のパルス磁界を1回以上印加させること
    を特徴とする希土類系焼結永久磁石の製造方法。
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