JPH09228169A - ポリエステル系マルチフィラメント複合糸および該複合糸を用いた織編物 - Google Patents

ポリエステル系マルチフィラメント複合糸および該複合糸を用いた織編物

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JPH09228169A
JPH09228169A JP3832696A JP3832696A JPH09228169A JP H09228169 A JPH09228169 A JP H09228169A JP 3832696 A JP3832696 A JP 3832696A JP 3832696 A JP3832696 A JP 3832696A JP H09228169 A JPH09228169 A JP H09228169A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優しい薄起毛調の豊かな膨らみ感、ソフトド
ライなパウダータッチ、適度なハリ、コシ、ドレープ性
などを全て満足する高品質の織編物を与える合成複合糸
を開発し、更には該複合糸を用いた優れた品質の織編物
を提供すること。 【解決手段】 下記の糸物性を有するポリエステル系マ
ルチフィラメントAとポリエステル系マルチフィラメン
トBとが、前者:20〜80%、後者80〜20%のデ
ニール比率で複合されると共に、それらが交絡度20〜
120個/mで絡合した複合糸からなるポリエステル系
マルチフィラメント複合糸、およびこれを用いた織編物
である。 マルチフィラメントA:dpfA が0.2〜0.5デニ
ール、SHWA が7%以下で、仮撚捲縮されたマルチフ
ィラメント マルチフィラメントB:dpfB が2デニール以上、S
HWB が5〜60%、DTB が3.5g/d以上、DE
B が45%以下であるマルチフィラメント 但し、SHWB −SHWA は5%以上

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、適度なハリ、コ
シ、ドレープ性を有すると共に、優しい薄起毛調のパウ
ダータッチを有する織編物を与える新規なポリエステル
系マルチフィラメント複合糸、およびこの複合糸を用い
たポリエステル系複合織編物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系マルチフィラメント糸
は、その優れた特性を生かして衣料用途を始めとする各
種の用途で広く活用されている。特に最近では、シルク
タッチの合成繊維用としてポリエステル系フィラメント
糸の研究が盛んに進められている。ことに衣料用途で
は、絹をターゲットとしてそれを越えて合繊でしか表現
できない膨らみ、ハリ、コシ、キシミ等を持たせるた
め、熱処理により伸長するマルチフィラメントを含む異
収縮混繊糸を使用し、更にはその一部もしくは全部のフ
ィラメントを異形断面形状とし、且つフィラメント表面
にマイクロポーラスを持たせるため、TiO2 等の微粒
子を均一分散させた後アルカリ減量したり、あるいは芯
/鞘2重構造としてそのフィラメントデニールを調整し
た複合糸も知られている。また特開平7−118991
号には、単繊維繊度0.2デニール以下の低収縮マルチ
フィラメントと、単繊維繊度1デニール以上の高収縮マ
ルチフィラメント糸からなる異収縮混繊糸を50回/m
以上に撚糸加工した複合糸を緯糸に配した織物も知られ
ている。
【0003】しかしこれまでに提案されているこれらの
糸を用いた織編物は、ソフトな薄起毛調、キシミといっ
た特性は良好であっても、ソフト感やハリ、コシ、ヌメ
リのないソフトドライ感といった特性を満足し得るもの
とはいえない。ハリ、コシを改善するための手段とし
て、複合される芯糸に単繊維繊度の太いフィラメントを
使用することも知られているが、0.2デニール以下と
いった細いマルチフィラメントを鞘糸として使用する
と、複合糸が芯のある嫌なタッチとなるばかりでなく、
表面側に露出する鞘糸を構成するフィラメントが細過ぎ
るため、該鞘糸部が弾力不足によりクタッとした感じと
なってヌメリ感が強く、ソフトなドライタッチが得られ
ない。
【0004】しかも、単繊維繊度が0.2デニール未満
のものは染着性が悪く、これを鞘糸として使用すると、
芯糸(高収縮糸)との間で染着性差を生じてイラツキが
目立つ様になり、高級品嗜好の現状にそぐわなくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な従
来技術の問題点に着目してなされたものであって、その
目的は、優しい薄起毛調の豊かな膨らみ感、ソフトドラ
イなパウダータッチ、適度なハリ、コシ、ドレープ性な
どを全て満足する高品質の織編物を与える合成複合糸を
開発し、更には該複合糸を用いた優れた品質の織編物を
提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明に係るポリエステル系マルチフィラメン
ト複合糸の構成は、下記の糸物性を有するポリエステル
系マルチフィラメントAとポリエステル系マルチフィラ
メントBとが、前者:20〜80%、後者80〜20%
のデニール比率で複合されると共に、それらが交絡度2
0〜120個/mで絡合した複合糸からなるところにそ
の特徴を有している。
【0007】マルチフィラメントA:dpfA が0.2
〜0.5デニール、SHWA が7%以下で、仮撚捲縮さ
れたマルチフィラメント マルチフィラメントB:dpfB が2デニール以上、S
HWB が5〜60%、DTB が3.5g/d以上、DE
B が45%以下であるマルチフィラメント 但し、SHWB −SHWA は5%以上 上記において、dpfA およびdpfB は、ポリエステ
ル系マルチフィラメントAおよびBの単繊維デニール、
SHWA およびSHWB は、ポリエステル系マルチフィ
ラメントAおよびBの熱水(100℃)収縮率、DEB
はポリエステル系マルチフィラメントBの破断伸度、D
B はポリエステル系マルチフィラメントBの破断強度
をそれぞれ表わす。
【0008】上記複合糸を構成するマルチフィラメント
BまたはこれとマルチフィラメントAは、横断面形状に
おいて3以上の突起を有すると共に異形度が1.1以上
のフィラメントの集合体とすることにより、複合糸もし
くは織編物としてのテカリを抑えると共に染色性を高め
ることができるので好ましく、またこれらマルチフィラ
メントA,Bの全部もしくは一部をカチオン可染性ポリ
エステルとすれば、カチオン系染料を用いることによっ
て鮮明色も表現できるし、更にシャンブレー、霜降り、
杢等も表現できるので好ましく、またこれらマルチフィ
ラメントA,Bの全部又は一部として、微細孔形成剤を
0.5%以上含有するポリエステルからなるものを使用
し、紡糸・延伸時の減量加工により微細孔を現出させた
フィラメントを使用すれば、複合糸あるいは織編物とし
てのヌメリ感や光沢感(反射)が抑えられ、深色性の表
現が可能になるばかりでなくソフトドライ感も一段と高
められるので好ましい。
【0009】そして、上記のポリエステル系マルチフィ
ラメント複合糸を全部もしくは一部として用いて製織も
しくは製編した後、染色および仕上げ加工を施すことに
よって得られる織編物は、上記処理工程で受ける熱処理
によりマルチフィラメントBが収縮すると共に、収縮率
の小さいマルチフィラメントAが織編物の表面にループ
状に膨出し、優しい薄起毛調の豊かな膨らみ感、ソフト
ドライなパウダータッチ、適度なハリ、コシ、ドレープ
性などを全て満足する高品質の織編物となる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。まず、本発明のポリエステル系マルチフィラ
メント複合糸を構成するマルチフィラメントとしては、
熱水収縮率(100℃での値:以下同じ)が7%以下で
あるマルチフィラメントAと、熱水収縮率が5〜60%
の範囲にあるマルチフィラメントBをそれぞれ選択し、
且つ得られる織編物に膨らみを発現させるには、上記マ
ルチフィラメントAとマルチフィラメントBの熱水収縮
率差(ΔSHW)を少なくとも5%以上、好ましくは1
0%以上にしなければならない。但し、マルチフィラメ
ントBの熱水収縮率があまりに大きくなると、織編物製
品としたときにパッカリングの問題を起こし易くなるの
で、マルチフィラメントBの熱水収縮率は60%以下、
より好ましくは50%以下とすべきである。
【0011】尚、本発明の複合糸を使用することによっ
て得られる織編物の収縮力は、該複合糸において芯糸を
構成するマルチフィラメントBであり、後述する様にそ
の収縮によってマルチフィラメントAを複合糸の外周側
へうまく膨出させるには、該マルチフィラメントBの熱
収縮応力を0.3g/d以上、より好ましくは3.5g
/d以上とし、かつ収縮能を決める該熱応力の立ち上が
り温度を65℃以上、より好ましくは80℃以上とする
のがよい。
【0012】しかして熱応力の立ち上がり温度が65℃
未満の低いものでは、撚糸セットやサイジング等の工程
で該熱応力立上り温度以上の熱を受けたときに熱セット
が固定され、その後の染色加工工程で熱処理しても織編
物が収縮し得なくなって満足な風合いが得られなくな
る。こうした問題を回避するには、熱応力が低下しない
上記熱応力立上り温度未満の温度で熱セットや乾燥を行
なわなければならなくなり、それに伴って熱セットや乾
燥に長時間を要することになって生産性が損なわれるか
らである。
【0013】また、マルチフィラメントAの熱水収縮率
は7%以下に抑えなければならず、これは、複合糸とし
た後の熱水処理工程で、フィラメントA,Bの熱収縮差
による膨らみを発現させるうえで重要な要件となる。即
ち上記熱収縮差によってフィラメントAを膨出させるに
は、芯糸を構成するマルチフィラメントBを十分に熱収
縮させて糸長差を発現させることが必要であり、マルチ
フィラメントAの熱水収縮率が大き過ぎると、それに伴
ってマルチフィラメントBの熱水収縮率をそれ以上に大
きくしなければならなくなり、ひいては織編物の収縮量
が過度に大きくなって織編物が硬質化し、満足のいく特
性の織編物が得られなくなるからである。
【0014】次に、マルチフィラメントAを構成する単
繊維の繊度は0.2〜0.5デニールの範囲から選択さ
れる。これは、0.2デニール未満の細いものではソフ
トなタッチは得られるものの、鞘糸成分として複合糸の
外側に膨出するマルチフィラメントAが弾力不足でクタ
ッとした感じとなり、薄起毛調のパウダータッチが得ら
れなくなるばかりでなく、該マルチフィラメントの繊度
が細くなるほど見掛けの染着性が低下し、芯糸となるマ
ルチフィラメントBとの染着性差が大きくなってイラツ
キが目立つ様になるからである。しかし、該マルチフィ
ラメントAの単繊維繊度が過度に大きくなると、複合
糸、更には織編物のソフト感が著しく損なわれるので、
0.5デニール以下に抑えなければならない。
【0015】またこのマルチフィラメントAは、仮撚加
工を施したものでなければならず、これは、芯糸として
複合されるマルチフィラメントBの単繊維繊度との関係
で決められる。即ち、芯糸として複合されるマルチフィ
ラメントBの単繊維繊度は後述する如く2デニール以上
のものが選択されるが、周知の様にマルチフィラメント
の見掛け染着性は単繊維繊度が太いほど濃くなる傾向が
あり、極細フィラメントと太デニールフィラメントの混
繊糸ではその染着差でイラツキが発生し易いが、マルチ
フィラメントAに仮撚加工を施しておけば染着の濃化が
起こり、太デニールのマルチフィラメントBとの染着差
によるイラツキが軽減されるからであり、しかも仮撚加
工によって弾力性も高められ、0.2〜0.5デニール
のフィラメントであっても非常にソフト感のある複合糸
となる。上記仮撚を行なうに当たっては、仮撚数や湿度
などの仮撚加工条件を低めに抑えた方が、マルチフィラ
メントの開繊性を高める上で好ましい。
【0016】尚本発明においては、上記の様にマルチフ
ィラメントAの断面が仮撚加工により異形化されている
ので、それによりヌメリ感がなく且つソフトドライ感を
備えたものを得ることができるが、より好ましくは、該
マルチフィラメントAを構成する各フィラメントとして
複数の突起を有する異形横断面のものを使用したり、あ
るいは、各フィラメントを構成するポリエステル系樹脂
の製造時に無機又は有機の微細孔形成剤を0.5%以上
含ませ、織編物にした後でアルカリ減量などで微細孔を
生ぜしめる等の工夫をすれば、ソフトドライ感を一段と
改善することができるので好ましい。
【0017】本発明で用いられるポリエステル系マルチ
フィラメントAの捲縮加工として、仮撚加工を採用する
ことによる利点をまとめると下記の通りである。 前記の様に加工後異形化してソフトドライタッチとな
る。 単糸でトルク(旋回性)を持っているので、絡合性が
向上してソフトタッチ感が助長される。 仮撚加工に引き続いてマルチフィラメントBと混繊が
行なえる。 捲縮加工の中で最も品質が安定しており且つ高速加工
も可能である。
【0018】上記マルチフィラメントAの鞘糸としての
特性を有効に発揮させるには、複合糸中に占める該マル
チフィラメントAのデニール比率を20〜80%、より
好ましくは30〜70%の範囲としなければならず、2
0%未満では鞘糸としての前記特性を複合糸もしくはこ
れを用いた織編物として有効に発揮させることができ
ず、一方80%を超えると、相対的に芯糸を構成するマ
ルチフィラメントBの比率が少なくなり過ぎて複合糸と
しての糸強力が低下する他、混繊、撚糸、サイジング、
製繊等の後加工通過性および織編布としての物性が確保
できなくなる。尚、該マルチフィラメントAの鞘糸とし
ての特性をより確実に発揮させるうえでは、複合糸中に
占める該マルチフィラメントAを、フィラメントの全本
数比で80%以上、より好ましくは85〜99%の範囲
とすることが望ましい。
【0019】次に、マルチフィラメントBの単繊維繊度
は2デニール以上でなければならない。しかしてマルチ
フィラメントBは、本発明の複合糸において芯糸を構成
するものであり、その単繊維繊度が2デニール未満で
は、複合糸あるいはこれを用いた織編物がハリ、コシの
ないものになってしまう。このマルチフィラメントBを
構成するフィラメントは、複数の突起を有する異形横断
面のものを使用することが望ましい。これは、鞘糸を構
成する前記マルチフィラメントAは単繊維繊度が細く、
上記の様に構成フィラメントの横断面を異形化したり微
細孔を生ぜしめても乾いたタッチが不十分になり易いの
で、こうしたドライタッチを芯糸部分で補うことが望ま
しいからである。また、マルチフィラメントBは単繊維
繊度が太いので、いやな光沢が目立ち易く、これを防止
する為にも前記の突起を持たせる方が好ましい。こうし
た目的を有効に発現させるには、突起を3個以上とし且
つ異形度は1.1以上とするのが良い。
【0020】該マルチフィラメントBは、破断強度が
3.5g/d以上、より好ましくは3.8g/d以上
で、且つ複合糸中に占める比率はデニール比率で20〜
80%、より好ましくは30〜70%の範囲とすべきで
ある。しかして、複合糸としての糸強力は、芯糸を構成
するマルチフィラメントBで殆んど決まってくるので、
混繊、撚糸、サイジング、製繊等の後加工通過性および
織編布としての物性を確保するには、上記の破断強度と
デニール比率が必要となるからである。勿論、複合糸中
のマルチフィラメントBのデニール比率が80%を超え
ても、安定した工程通過性や織編物としての強力は確保
できるが、その場合は本発明で意図するソフトで優しい
パウダータッチが得られなくなる。
【0021】次にマルチフィラメントBの破断伸度は4
5%以下でなければならない。しかして、前述の如く本
発明の複合糸及び織編物の張力の殆どはマルチフィラメ
ントBに依存するが、破断伸度の大きい(ヤング率の小
さい)ものでは、糸加工、サイジング、撚糸、織編工程
で張力を受けた時に不均一に引っ張られてヒケ状のムラ
糸になったり、製品としたときにパッカリングが生ずる
等の問題を引き起こすからである。こうした観点から、
より好ましい破断伸度は40%以下である。
【0022】上記のマルチフィラメントA,Bを複合し
て糸状に加工するに当たっては、実質的に同じ長さのも
のを使用し、それらを交絡処理されるが、このときの交
絡度は20〜120個/m、より好ましくは30〜10
0個/mの範囲に設定しなければならない。交絡度が2
0個/m未満では、芯糸と鞘糸との染着差によるイラツ
キが生じ易くなるばかりでなく、複合糸がばらけ易くな
って後工程通過性を阻害する。逆に交絡度が120個/
mを超えると、毛羽が発生し易くなるばかりでなく、ま
たインターレースマークによるイラツキが生じ易く、い
ずれも本発明の目的にそぐわなくなる。
【0023】本発明で使用する前記マルチフィラメント
A,Bの構成素材は、ポリエステル系である限り格別の
制限はないが、中でも特に好ましいのは、5−ナトリウ
ムスルホン酸金属塩等を分子中に含むカチオン可染性ポ
リエステルであり、この様なポリエステル系樹脂からな
るマルチフィラメントを選択使用すれば、単繊維繊度の
細かいものであっても、カチオン系染料を用いることに
よって鮮明色も表現できるし、さらにシャンブレー、霜
降り、杢等も表現できるので好ましい。
【0024】またこれらマルチフィラメントA,Bを構
成するフィラメントとして、原料ポリエステル系樹脂中
にカオリン、メタカオリン、酸化チタン等の微細孔形成
剤を適量(好ましくは0.5重量%程度以上)含有さ
せ、紡糸・延伸時の減量加工により微細孔を現出させた
フィラメントを使用すれば、複合糸としてのヌメリ感や
光沢感(反射)が抑えられ、深色性の表現が可能になる
ばかりでなくソフトドライ感も一段と高められるので好
ましい。
【0025】本発明の複合糸は、上記の様に適度の交絡
処理によって収斂されているが、これを更に加撚処理す
ることは、イラツキ防止や後工程通過性を高める上で好
ましい。しかし、あまり強撚されているとフィラメント
の移動が阻害され、マルチフィラメントA,Bの熱収縮
差による鞘糸の膨出が起こり難くなるので、好ましくは
20,000/√D(T/M)程度以下、より好ましく
は1,800/√D(T/M)程度以下に抑えるべきで
ある。
【0026】本発明で芯糸および鞘糸として用いるマル
チフィラメントA,Bを構成する各フィラメントの横断
面が、複合糸にソフトドライタッチを持たせる為に複数
の突起を有し且つ異形度1.1以上が好ましいことは先
に述べたが、この他、必要によっては、マルチフィラメ
ントBを構成するフィラメントを中空構造(異形を含
む)とすることにより、ハリ、コシを一段と強調したり
軽量感を高めることも可能である。細デニールであるマ
ルチフィラメントAについてはその効果が少ないが、中
空断面のフィラメントを使用することも勿論可能であ
る。更にマルチフィラメントA,Bのいずれか一方又は
両方とも所謂シックアンドシンヤーンとし、自然なタッ
チと外観を与えることも、好ましい態様として推奨され
る。
【0027】次に、本発明に係るポリエステル系マルチ
フィラメント複合糸の製造方法について、好ましい例を
示して具体的に説明するが、本発明はもとより下記の製
法によって制限を受けるものではない。
【0028】図1は、マルチフィラメントAの仮撚とマ
ルチフィラメントBとの交絡・複合を一連の工程で連続
的に実施する場合の説明図である。図1において、Xは
(延伸)仮撚加工後の状態で単繊維繊度が0.2〜0.
5デニールとなる原糸であり、これをガイド1を経てフ
ィードローラー2により送り出し、該ローラー2と第1
デリベリーローラー5の間でヒーター3により加撚状態
の糸を適度の温度に加熱してから仮撚ツイスターで加熱
・解撚し、仮撚加工されたマルチフィラメントAとす
る。引き続いて、第2デリベリーローラー7との間に設
けられたインターレーサー6でボビンYから繰り出され
てくるマルチフィラメントBと合わせて交絡処理し、交
絡度20〜120個/mとなる様に絡合してからチーズ
9に巻き取る。8はテークアップローラである。このと
き仮撚に用いられるスピンドルとしてはピンタイプのも
のが好ましいが、3軸ディスクタイプやベルトニップタ
イプであっても、各フィラメントへの損傷の少ない条件
を選定すれば適用可能である。
【0029】仮撚加工条件は特に限定はないが、マルチ
フィラメントBとの交絡を阻害しない様適度の開繊性を
保つため、仮撚数は28,000/√D以下、加工温度もやや
低めの160〜200℃、加工張力はやや高めの0.4
〜0.6g/dに設定するのが好ましい。ただし複合糸
の用途によっては、開繊性に問題ない範囲で且つ仮撚機
の操業性に悪影響を及ぼさない範囲でマルチフィラメン
トA,Bの一部に毛羽を生じさせることも可能である
が、その場合は、カット毛羽端が糸条に巻き付いたり未
解撚になって交絡が入り難くなることがあるので注意し
なければならない。
【0030】上記の様にして得られる本発明のマルチフ
ィラメント複合糸を使用し、常法に従って製織若しくは
製編してから、染色および仕上げ加工を施すと、該織編
物を構成する複合糸内のマルチフィラメントBが上記処
理工程で受ける熱処理により収縮すると共に、収縮率の
小さいマルチフィラメントAが織編物の表面にループ状
に膨出し、優しい薄起毛調の豊かな膨らみ感、ソフトド
ライなパウダータッチ、適度なハリ、コシ、ドレープ性
などを全て満足する高品質の織編物を得ることができ
る。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限
を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲
で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、
それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。な
お、実施例で採用した各物性の測定方法は以下の通りで
ある。
【0032】(1)破断強度、破断伸度 JIS−L−1013(1992)に準じ、東洋ボール
ドウィン社製「テンシロン」を用いて試料長(ゲージ
長)200mm、引張速度200mm/分でS−S曲線
を測定し、破断強度および破断伸度を算出した。
【0033】(2)熱水収縮率(SHW) JIS−L−1013(1992)に準じ、次の方法に
よって測定した。即ち、適当な枠周のラップリールで初
荷重1/10g/デニールで8回捲のカセをとり、カセ
に1/30g/デニールの荷重をかけてその長さI0
(mm)を測定する。次いでその荷重を取り除き、1/
1000g/デニールの荷重をかけた状態でカセを沸騰
水中に30分間浸漬する。その後カセを沸騰水から取り
出し、冷却後再び1/30g/デニールの荷重をかけて
その時の長さI1 (mm)を測定し、下記式によって熱
水収縮率(SHW)を算出する。 SHW=(I0 −I1 )×100÷I0 (%)
【0034】(3)交絡度 適当な長さの糸を取り出し、下端に1/10g/デニー
ルの荷重をかけて垂直に吊り下げる。次いで適当なニー
ドルを糸に突き刺して静かに持ち上げ、ニードルが停止
した距離(cm)を100回測定して平均値I(cm)
を求め、次式により交絡度を算出する。 交絡度=100÷(2×I)
【0035】(4)ウースターノルマル(URn) ツェルベガー社製「ウースターイーブネステスターC
型」を使用し、糸速度50m/分で走行させて仮撚を付
与しつつ試料のデニールに応じたスロットによりノーマ
ルで2分間、2.5cm/分で測定チャートを描く。次
いでチャートを2.5cmで2分割し、それぞれの最高
値(M1,2)/最低値(L1,2)を読み取り、その
値から次式によって算出する。 URn=[(M1+M2)+(|L1|+|L2|)]
/2 (5)異形度 適当な倍率で断面を撮影し内接円と外接円の比から算出
する。
【0036】実施例1〜3,比較例1〜9 三菱重工(株)製「LS−6」仮撚機を一部改造した図
1の仮撚機を使用し、表1に示す諸元のマルチフィラメ
ントA,Bを同表に示す比率および交絡度で複合して複
合糸を製造し、その物性、風合い、外観、操業性を評価
すると共に総合品質を評価し、結果を表2に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表1,2より次の様に考察される。実施例
1〜3は本発明の規定要件を全て満足する実施例であ
り、風合い、外観、操業性のいずれにおいても良好な結
果が得られている。特に実施例1は、マルチフィラメン
トBにカオリナイトが含まれているので光沢が抑えら
れ、また実施例3では、マルチフィラメントBがカチオ
ン染料可染性であるため、シャンブレー効果が見られて
好ましい。
【0040】これに対し比較例1は、マルチフィラメン
トAのSHWA が大き過ぎるため、マルチフィラメント
BとのΔSHWは十分大きい値となっているが、膨らみ
に欠けており、またマルチフィラメントBのSHWB
大き過ぎるため、製品でのパッカリングが発生した。
【0041】また比較例2は、マルチフィラメントBの
破断強度が不足すると共に破断伸度が大き過ぎるため、
撚糸や製繊工程で糸切れが発生し、しかも不均一に伸長
されてヒケ状の欠点が発生しており、更に織物としての
引裂強力も低かった。比較例3は、マルチフィラメント
Aの単繊維繊度が規定範囲を超えているため、ソフト感
に欠け外観も単調な物となった。
【0042】比較例4は、マルチフィラメントAの単繊
維繊度が細か過ぎるため、染着度差が大きくなってイラ
ツキが目立つ。しかも複合糸の外側に膨出するフィラメ
ントAがソフト過ぎてクタットした物となっている。
【0043】比較例5は、マルチフィラメントAとして
丸断面のフラットヤーンを用いた例であるが、仮撚捲縮
加工が施されていないため柔軟さが不足し、ヌメリの強
い物となっている。
【0044】比較例6は、マルチフィラメントAの複合
比率が不足(マルチフィラメントBの複合比率が過大)
するため、ソフト感に欠けるものであった。またマルチ
フィラメントBの横断面も丸であるため、ややドライ感
が不足している。比較例7は、マルチフィラメントBの
SHWB が低く、マルチフィラメントAとのΔSHWも
小さいために膨らみが不足する。
【0045】比較例8は、交絡度(Di)が不足するた
め染着差がそのまま木目状となって表われ、しかもフィ
ラメントBが分離し操業性が著しく害される。比較例8
は、逆にDiが大き過ぎる比較例であり、操業性に問題
はなかったが、一部のフィラメントが切断して毛羽立ち
を起こし、またインターレースマークが目立った。
【0046】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、複
合糸の鞘糸を構成するポリエステル系マルチフィラメン
トAと芯糸を構成するポリエステル系マルチフィラメン
トBの単繊維デニールや熱水収縮率、収縮率差、破断強
度などを規定すると共に、それらの複合比率と交絡度を
適正に設定することにより、従来のポリエステル系複合
糸に比べて、優れた工程通過性のもとで、優しい薄起毛
調のパウダータッチを有すると共に、適度なハリ、コ
シ、ドレープ性を備えた織編物を与える複合糸を提供
し、更にはこの複合糸を使用することによって、優れた
品質・特性を備えた織編物を提供し得ることになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合糸の製造装置を例示する説明
図である。
【符号の説明】
A マルチフィラメントA B マルチフィラメントB C 複合糸 2 フィードローラー 3 ヒーター 4 仮撚ツイスター 5 第1デリベリーローラー 6 インターレーサー 7 第2デリベリーローラー 9 チーズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の糸物性を有するポリエステル系マ
    ルチフィラメントAとポリエステル系マルチフィラメン
    トBとが、前者:20〜80%、後者80〜20%のデ
    ニール比率で複合されると共に、それらが交絡度20〜
    120個/mで絡合した複合糸からなることを特徴とす
    るポリエステル系マルチフィラメント複合糸。 マルチフィラメントA:dpfA が0.2〜0.5デニ
    ール、SHWA が7%以下で、仮撚捲縮されたマルチフ
    ィラメント マルチフィラメントB:dpfB が2デニール以上、S
    HWB が5〜60%、DTB が3.5g/d以上、DE
    B が45%以下であるマルチフィラメント 但し、SHWB −SHWA は5%以上 上記において、dpfA およびdpfB は、ポリエステ
    ル系マルチフィラメントAおよびBの単繊維デニール、
    SHWA およびSHWB は、ポリエステル系マルチフィ
    ラメントAおよびBの熱水(100℃)収縮率、DEB
    はポリエステル系マルチフィラメントBの破断伸度、D
    B はポリエステル系マルチフィラメントBの破断強度
    をそれぞれ表わす。
  2. 【請求項2】 少なくともマルチフィラメントBが、横
    断面形状において3以上の突起を有すると共に異形度が
    1.1以上のフィラメントの集合体である請求項1に記
    載の複合糸。
  3. 【請求項3】 マルチフィラメントA,マルチフィラメ
    ントBの全部又は一部がカチオン可染性ポリエステルか
    らなる請求項1または2に記載の複合糸。
  4. 【請求項4】 マルチフィラメントA,マルチフィラメ
    ントBの全部又は一部が、微細孔形成剤を0.5%以上
    含有するポリエステルからなるものである請求項1〜3
    のいずれかに記載の複合糸。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載されたポ
    リエステル系マルチフィラメント複合糸を全部もしくは
    一部として用いて製織もしくは製編した後、染色および
    仕上げ加工を施し、織編物表面に前記ポリエステル系マ
    ルチフィラメントAをループ状に膨出させたものである
    ことを特徴とするポリエステル系複合織編物。
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JP2003003342A (ja) * 2001-06-18 2003-01-08 Unitica Fibers Ltd 複合交絡糸
WO2005075722A1 (ja) * 2004-02-06 2005-08-18 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha エア交絡紡績糸及びそれを含む布帛

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