JPH09241755A - 深絞り性に優れた薄鋼板の製造方法 - Google Patents
深絞り性に優れた薄鋼板の製造方法Info
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- JPH09241755A JPH09241755A JP8046244A JP4624496A JPH09241755A JP H09241755 A JPH09241755 A JP H09241755A JP 8046244 A JP8046244 A JP 8046244A JP 4624496 A JP4624496 A JP 4624496A JP H09241755 A JPH09241755 A JP H09241755A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来より各段に優れた深絞り性を有
する鋼板を経済的に、且つ安定して製造する方法を提案
することを目的としている。 【解決手段】所定成分の鋼素材に、Ar3 変態点以下、
500℃以上の温度域にて合計圧下率が50%以上95
%以下の仕上げ圧延を施し、かつ該圧延中の入側板厚が
10mm以下となる各スタンドに強潤滑を施しつつパス
圧下率X(%)が次式 X≧4/3×TS(kgf/mm2 )−30 の関係を満たす圧延を施し、その後自己焼鈍あるいは均
熱温度700〜950℃に加熱して熱延板再結晶化処理
を施すことを特徴とする深絞り性に優れた薄鋼板の製造
方法である。
する鋼板を経済的に、且つ安定して製造する方法を提案
することを目的としている。 【解決手段】所定成分の鋼素材に、Ar3 変態点以下、
500℃以上の温度域にて合計圧下率が50%以上95
%以下の仕上げ圧延を施し、かつ該圧延中の入側板厚が
10mm以下となる各スタンドに強潤滑を施しつつパス
圧下率X(%)が次式 X≧4/3×TS(kgf/mm2 )−30 の関係を満たす圧延を施し、その後自己焼鈍あるいは均
熱温度700〜950℃に加熱して熱延板再結晶化処理
を施すことを特徴とする深絞り性に優れた薄鋼板の製造
方法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄鋼板の製造方法
に関し、特に自動車用鋼板の使途に有用な深絞り性に優
れた薄鋼板の製造に係わる。
に関し、特に自動車用鋼板の使途に有用な深絞り性に優
れた薄鋼板の製造に係わる。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車に用いられる鋼板には、
高加工性が要求され、また、機械特性として高いr値
(ランクフォード値)と良好な延性が要求される。その
ため、深絞り用(高加工性)薄鋼板は、比較的軟らかい
低炭素Alキルド鋼あるいは極低炭素鋼に通常の熱間圧
延を施した後、冷間圧延、再結晶焼鈍を順次施して製造
されていた。
高加工性が要求され、また、機械特性として高いr値
(ランクフォード値)と良好な延性が要求される。その
ため、深絞り用(高加工性)薄鋼板は、比較的軟らかい
低炭素Alキルド鋼あるいは極低炭素鋼に通常の熱間圧
延を施した後、冷間圧延、再結晶焼鈍を順次施して製造
されていた。
【0003】ところで、該鋼板の深絞り性向上に関する
技術としては、特開平5−339643号公報が開示し
た「仕上圧延を変態点以下で潤滑を施しつつ行う方法」
がある。しかしながら、特開平5−339643号公報
記載の方法では、40kgf/mm2 以上のハイテンで
期待したほど、高r値が得られない。また、軟鋼におい
ても仕上圧延全域を潤滑熱延をするのはコスト・エネル
ギがかかる。さらに、潤滑下での圧下率をどう最適化す
るかについての記載が無いが、例えば特開昭64−31
935号公報によると、従来から低温域すなわち後段で
かなりの強圧下が必要とされており、この点でもコスト
・エネルギ上不利である。
技術としては、特開平5−339643号公報が開示し
た「仕上圧延を変態点以下で潤滑を施しつつ行う方法」
がある。しかしながら、特開平5−339643号公報
記載の方法では、40kgf/mm2 以上のハイテンで
期待したほど、高r値が得られない。また、軟鋼におい
ても仕上圧延全域を潤滑熱延をするのはコスト・エネル
ギがかかる。さらに、潤滑下での圧下率をどう最適化す
るかについての記載が無いが、例えば特開昭64−31
935号公報によると、従来から低温域すなわち後段で
かなりの強圧下が必要とされており、この点でもコスト
・エネルギ上不利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を有利に解決するものであり、鋼成分及び製造条件を特
定することにより、TS 40kgf/mm2 以上のハ
イテンでは、従来より格段に優れた深絞り性を有する鋼
板、軟鋼では、従来より格段に経済的に深絞り性を有す
る鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。
を有利に解決するものであり、鋼成分及び製造条件を特
定することにより、TS 40kgf/mm2 以上のハ
イテンでは、従来より格段に優れた深絞り性を有する鋼
板、軟鋼では、従来より格段に経済的に深絞り性を有す
る鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成すべく鋭意研究し、以下の知見を得た。例えば、C:
0.0020wt%、Si:0.1〜2.0wt%、M
n:0.1〜3.0wt%、P:0.01〜0.15w
t%、S:0.0050wt%、Al:0.06wt
%、N:0.0025wt%、Nb:0.025wt
%、B:0.0030wt%を含有し、残部はFe及び
不可避的不純物よりなる鋼鋳片を1150℃に加熱〜均
熱後、熱間仕上げ温度を700℃として合計仕上げ圧下
率(複数の仕上げスタンドでの)が85%になるよう熱
間圧延を強潤滑、あるいは無潤滑で行った後、均熱温度
850℃で該熱延板に再結晶化処理を施した。そして、
仕上圧延前の板厚23mm,仕上圧延出側の板厚3.5
mmと一定にし、潤滑圧延時の各パス入側厚を8.8m
m以下とした。得られた薄鋼板のr値に及ぼす圧下率の
影響を調査したところ、図1に示す結果になった。この
図1の結果は、各パスの圧下率X(%)が次式,つま
り、X≧(4/3×TS(kgf/mm2 )−30)な
る関係を満たし、かつ強潤滑圧延を施すと、鋼板のr値
が1.5以上になることを示唆した。特に、ハイテンに
おいては、強度に応じた高圧下率で、従来より高r値が
可能であり、軟鋼においては、低圧下率で入側板厚の薄
い場合のみ潤滑を施すことで十分高r値が得られる。
成すべく鋭意研究し、以下の知見を得た。例えば、C:
0.0020wt%、Si:0.1〜2.0wt%、M
n:0.1〜3.0wt%、P:0.01〜0.15w
t%、S:0.0050wt%、Al:0.06wt
%、N:0.0025wt%、Nb:0.025wt
%、B:0.0030wt%を含有し、残部はFe及び
不可避的不純物よりなる鋼鋳片を1150℃に加熱〜均
熱後、熱間仕上げ温度を700℃として合計仕上げ圧下
率(複数の仕上げスタンドでの)が85%になるよう熱
間圧延を強潤滑、あるいは無潤滑で行った後、均熱温度
850℃で該熱延板に再結晶化処理を施した。そして、
仕上圧延前の板厚23mm,仕上圧延出側の板厚3.5
mmと一定にし、潤滑圧延時の各パス入側厚を8.8m
m以下とした。得られた薄鋼板のr値に及ぼす圧下率の
影響を調査したところ、図1に示す結果になった。この
図1の結果は、各パスの圧下率X(%)が次式,つま
り、X≧(4/3×TS(kgf/mm2 )−30)な
る関係を満たし、かつ強潤滑圧延を施すと、鋼板のr値
が1.5以上になることを示唆した。特に、ハイテンに
おいては、強度に応じた高圧下率で、従来より高r値が
可能であり、軟鋼においては、低圧下率で入側板厚の薄
い場合のみ潤滑を施すことで十分高r値が得られる。
【0006】そこで、発明者は、図1の強潤滑の場合と
同様な結果を得る素材の鋼成分、圧延条件及び熱処理条
件をさらに詳細に検討し、本発明を完成させた。すなわ
ち、本発明は、C:0.01wt%以下、Si:2.0
wt%以下、Mn:3.0wt%以下、P:0.15w
t%以下、S:0.05wt%以下、Al:0.01〜
0.2wt%、N:0.01wt%以下、B:0.00
01〜0.0080wt%を含み、且つTi:0.00
5〜0.20wt% Nb:0.015〜0.20wt%の1種又は2種を含
有し,残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼素材
に、Ar3 変態点以下、500℃以上の温度域にて合計
圧下率が50%以上95%以下の仕上げ圧延を施し、か
つ該圧延中の入側板厚が10mm以下となる各スタンド
に強潤滑を施しつつパス圧下率X(%)が次式 X≧(4/3)×予想TS(kgf/mm2 )−30 の関係を満たす圧延を施し、その後自己焼鈍あるいは均
熱温度700〜950℃に加熱して熱延再結晶化処理を
施すことを特徴とする深絞り性に優れた薄鋼板の製造方
法である。また、本発明は、Ni:1.5wt%以下、
Cu:1.5wt%以下及びMo:1.5wt%以下の
1種又は2種以上を含有することを特徴とする深絞り性
に優れた薄鋼板の製造方法である。加えて、本発明は、
上記熱延板再結晶化処理後に、さらに冷間圧延を圧下率
50〜95%で施し、引続き700〜950℃の温度域
にて再結晶化焼鈍を施すことを特徴とする深絞り性に優
れた薄鋼板の製造方法でもある。
同様な結果を得る素材の鋼成分、圧延条件及び熱処理条
件をさらに詳細に検討し、本発明を完成させた。すなわ
ち、本発明は、C:0.01wt%以下、Si:2.0
wt%以下、Mn:3.0wt%以下、P:0.15w
t%以下、S:0.05wt%以下、Al:0.01〜
0.2wt%、N:0.01wt%以下、B:0.00
01〜0.0080wt%を含み、且つTi:0.00
5〜0.20wt% Nb:0.015〜0.20wt%の1種又は2種を含
有し,残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼素材
に、Ar3 変態点以下、500℃以上の温度域にて合計
圧下率が50%以上95%以下の仕上げ圧延を施し、か
つ該圧延中の入側板厚が10mm以下となる各スタンド
に強潤滑を施しつつパス圧下率X(%)が次式 X≧(4/3)×予想TS(kgf/mm2 )−30 の関係を満たす圧延を施し、その後自己焼鈍あるいは均
熱温度700〜950℃に加熱して熱延再結晶化処理を
施すことを特徴とする深絞り性に優れた薄鋼板の製造方
法である。また、本発明は、Ni:1.5wt%以下、
Cu:1.5wt%以下及びMo:1.5wt%以下の
1種又は2種以上を含有することを特徴とする深絞り性
に優れた薄鋼板の製造方法である。加えて、本発明は、
上記熱延板再結晶化処理後に、さらに冷間圧延を圧下率
50〜95%で施し、引続き700〜950℃の温度域
にて再結晶化焼鈍を施すことを特徴とする深絞り性に優
れた薄鋼板の製造方法でもある。
【0007】本発明では、上記のような条件で鋼鋳片を
圧延するようにしたので、熱延材及び冷延材において、
従来より深絞り性が格段に優れた薄鋼板を製造できるよ
うになる。
圧延するようにしたので、熱延材及び冷延材において、
従来より深絞り性が格段に優れた薄鋼板を製造できるよ
うになる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態は、上記手段を
文字通り実施することであるので、ここでは各成分、仕
上げ圧延条件及び熱処理条件について範囲を限定した理
由を説明する。 1:組成 (1)C:0.01wt%以下 C量が少ないほど深絞り性は向上するが、0.01wt
%以下であれば如何なる値でも悪影響を及ぼさないの
で、このように限定した。
文字通り実施することであるので、ここでは各成分、仕
上げ圧延条件及び熱処理条件について範囲を限定した理
由を説明する。 1:組成 (1)C:0.01wt%以下 C量が少ないほど深絞り性は向上するが、0.01wt
%以下であれば如何なる値でも悪影響を及ぼさないの
で、このように限定した。
【0009】(2)Si:2.0wt%以下 所望の強度を得るために含有させる必要があるが、2.
0wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすので、
2.0wt%以下に限定した。 (3)Mn:3.0wt%以下 所望の強度を得るために含有させる必要があるが、3.
0wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすので、
3.0wt%以下に限定した。
0wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすので、
2.0wt%以下に限定した。 (3)Mn:3.0wt%以下 所望の強度を得るために含有させる必要があるが、3.
0wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすので、
3.0wt%以下に限定した。
【0010】(4)P:0.15wt%以下 所望の強度を得るために含有させる必要があるが、0.
15wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、0.15wt%以下に限定した。 (5)S:0.05wt%以下、 S量が少なければ少ないほど深絞り性は向上するが、
0.05wt%以下であれば如何なる値でも悪影響を及
ぼさないので、このように限定した。
15wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、0.15wt%以下に限定した。 (5)S:0.05wt%以下、 S量が少なければ少ないほど深絞り性は向上するが、
0.05wt%以下であれば如何なる値でも悪影響を及
ぼさないので、このように限定した。
【0011】(6)Al:0.01〜0.2wt% Alは、溶鋼段階で脱酸を行い、炭窒化物形成成分の歩
留りを向上させるために必要に応じて含有させるもので
あり、その含有量が0.01wt%に満たないと効果が
なく、一方、0.2wt%を越えて含有させても、より
一層の効果は得られないため、0.01〜0.2wt%
に限定した。
留りを向上させるために必要に応じて含有させるもので
あり、その含有量が0.01wt%に満たないと効果が
なく、一方、0.2wt%を越えて含有させても、より
一層の効果は得られないため、0.01〜0.2wt%
に限定した。
【0012】(7)N:0.01wt%以下 N量が少なければ少ないほど深絞り性は向上するが、
0.01wt%以下であれば、如何なる値でも悪影響を
及ぼさないので、このように限定した。 (8)B:0.0001〜0.0080wt% Bは、耐二次加工脆性を改善させるために含有させる
が、その含有量が0.0001wt%に満たないと効果
はなく、0.0080wt%を超えて含有させると深絞
り性がかえって劣化するので、上記範囲に限定した。
0.01wt%以下であれば、如何なる値でも悪影響を
及ぼさないので、このように限定した。 (8)B:0.0001〜0.0080wt% Bは、耐二次加工脆性を改善させるために含有させる
が、その含有量が0.0001wt%に満たないと効果
はなく、0.0080wt%を超えて含有させると深絞
り性がかえって劣化するので、上記範囲に限定した。
【0013】(9)Ti:0.01〜0.05wt% 鋼中の固溶C,Nを析出固定して減少し、深絞り性に有
利な{111}方位を優先的に形成させる効果がある
が、その含有量が0.01wt%に満たないと効果はな
く、また0.05wt%を超えて含有させても効果はな
い。したがって、0.01〜0.05wt%以下に限定
した。
利な{111}方位を優先的に形成させる効果がある
が、その含有量が0.01wt%に満たないと効果はな
く、また0.05wt%を超えて含有させても効果はな
い。したがって、0.01〜0.05wt%以下に限定
した。
【0014】(10)Nb:0.015〜0.20wt
% Nbは、本発明において重要な成分であり、鋼中の固溶
Cを炭化物として析出固定させて低減し、深絞り性に有
利な{111}方位の結晶粒を優先的に形成させる効果
がある。また、Nbを含有させることにより仕上げ圧延
前組織が微細化し、熱延板焼鈍後に深絞り性に有利な
{111}方位の結晶粒を優先的に形成させる効果があ
る。そのためには、その含有量が0.015wt%に満
たないと効果はなく、0.20wt%以上含有させても
効果の向上は見られないので、このように限定した。
% Nbは、本発明において重要な成分であり、鋼中の固溶
Cを炭化物として析出固定させて低減し、深絞り性に有
利な{111}方位の結晶粒を優先的に形成させる効果
がある。また、Nbを含有させることにより仕上げ圧延
前組織が微細化し、熱延板焼鈍後に深絞り性に有利な
{111}方位の結晶粒を優先的に形成させる効果があ
る。そのためには、その含有量が0.015wt%に満
たないと効果はなく、0.20wt%以上含有させても
効果の向上は見られないので、このように限定した。
【0015】なお、Ti及びNbの1種又は2種とした
のは、どちらか1方を含有していれば{111}方位の
結晶粒を優先的に形成するからである。さらに、本発明
では、上記の成分限定に加えて、下記成分をも考慮し
た。 (11)Ni:1.5wt%以下 Niは、所望の強度を得るために含有してもよいが、
1.5wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、1.5wt%以下に限定した。
のは、どちらか1方を含有していれば{111}方位の
結晶粒を優先的に形成するからである。さらに、本発明
では、上記の成分限定に加えて、下記成分をも考慮し
た。 (11)Ni:1.5wt%以下 Niは、所望の強度を得るために含有してもよいが、
1.5wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、1.5wt%以下に限定した。
【0016】(12)Cu:1.5wt%以下 Cuは、所望の強度を得るために含有してもよいが、
1.5wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、1.5wt%以下に限定した。 (13)Mo:1.5wt%以下 Moは、所望の強度を得るために含有してもよいが、
1.5wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、1.5wt%以下に限定した。
1.5wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、1.5wt%以下に限定した。 (13)Mo:1.5wt%以下 Moは、所望の強度を得るために含有してもよいが、
1.5wt%以上含有させるとr値に悪影響を及ぼすの
で、1.5wt%以下に限定した。
【0017】なお、Ni,Cu及びMoは、いずれか1
種類の含有でも効果を発揮する。 2:次に、仕上げ圧延条件及び熱処理条件の限定理由を
説明する。 (1)熱間圧延 熱間仕上圧延をAr3 変態点より高い温度域で行うと、
圧延後にオーステナイト(γ)からフェライト(α)へ
変態し、集合組織がランダム化するため、熱延板に{1
11}集合組織が形成されず、そのため冷延焼鈍後には
低いr値しか得られない。一方、500℃未満に仕上圧
延温度を低下させても、より高いr値は望めず圧延荷重
が増大するのみであるので、仕上圧延温度はAr3 変態
点以下500℃以上に限定した。
種類の含有でも効果を発揮する。 2:次に、仕上げ圧延条件及び熱処理条件の限定理由を
説明する。 (1)熱間圧延 熱間仕上圧延をAr3 変態点より高い温度域で行うと、
圧延後にオーステナイト(γ)からフェライト(α)へ
変態し、集合組織がランダム化するため、熱延板に{1
11}集合組織が形成されず、そのため冷延焼鈍後には
低いr値しか得られない。一方、500℃未満に仕上圧
延温度を低下させても、より高いr値は望めず圧延荷重
が増大するのみであるので、仕上圧延温度はAr3 変態
点以下500℃以上に限定した。
【0018】また、仕上圧延(複数のスタンドでの)の
合計圧下率が50%に満たないと、熱延板に{111}
集合組織が形成されず、一方、95%を越えると、熱延
板にr値に好ましくない集合組織が形成するという不都
合が生じるので、50%以上95%以下に限定した。ハ
イテンで圧延素材が10mm以下の場合、強度に応じて
1パス当たり高圧下率[ X≧(4/3)×(予想TS
/K)−30 ]とし、仕上圧延すなわちAr3 変態点
以下の圧延を潤滑圧延すると、無潤滑圧延に比較して板
厚方向に均一に歪みを蓄積し、かつ同時に表層における
剪断変形の抑制が可能となり、再結晶処理後に{11
1}集合組織が発達するような集合組織が形成される。
合計圧下率が50%に満たないと、熱延板に{111}
集合組織が形成されず、一方、95%を越えると、熱延
板にr値に好ましくない集合組織が形成するという不都
合が生じるので、50%以上95%以下に限定した。ハ
イテンで圧延素材が10mm以下の場合、強度に応じて
1パス当たり高圧下率[ X≧(4/3)×(予想TS
/K)−30 ]とし、仕上圧延すなわちAr3 変態点
以下の圧延を潤滑圧延すると、無潤滑圧延に比較して板
厚方向に均一に歪みを蓄積し、かつ同時に表層における
剪断変形の抑制が可能となり、再結晶処理後に{11
1}集合組織が発達するような集合組織が形成される。
【0019】軟鋼の場合、従来よりも1パス当たり低圧
下率で圧延素材が10mm以下においてのみ仕上圧延す
なわちAr3 変態点以下の圧延を潤滑圧延すると、ロー
ルと鋼板との間の摩擦力に起因する剪断変形が抑制可能
となり、高r値が得られる。したがって、深絞り性を確
保するために、本発明では、積極的に強潤滑圧延するこ
とを採用した。ここでの強潤滑圧延とは、ロールと鋼板
表面の摩擦係数が0.15未満、より好ましくは0.1
0未満である。
下率で圧延素材が10mm以下においてのみ仕上圧延す
なわちAr3 変態点以下の圧延を潤滑圧延すると、ロー
ルと鋼板との間の摩擦力に起因する剪断変形が抑制可能
となり、高r値が得られる。したがって、深絞り性を確
保するために、本発明では、積極的に強潤滑圧延するこ
とを採用した。ここでの強潤滑圧延とは、ロールと鋼板
表面の摩擦係数が0.15未満、より好ましくは0.1
0未満である。
【0020】ここに、上記の仕上圧延前の工程について
は、特に限定をするものではなく、例えば圧延素材につ
いては、連続鋳造スラブを再加熱又は連続鋳造後、Ar
3 変態点以下に降温することなく直ちに、又は保温処理
したものを粗圧延にてシートバーにしたものを使用する
のが好適である。また、潤滑剤は、例えば合成エステル
油、鉱物油等が挙げられるが、特に限定するものではな
い。
は、特に限定をするものではなく、例えば圧延素材につ
いては、連続鋳造スラブを再加熱又は連続鋳造後、Ar
3 変態点以下に降温することなく直ちに、又は保温処理
したものを粗圧延にてシートバーにしたものを使用する
のが好適である。また、潤滑剤は、例えば合成エステル
油、鉱物油等が挙げられるが、特に限定するものではな
い。
【0021】なお、本願の実施には、TSを予め予測す
る必要があるが、本願適用鋼の強度は通常固溶強化が支
配的因子であるため、成分から計算される予測強度、ま
たは、同一成分の鋼を予め通常工程で冷延焼鈍板とした
際の実測強度を用いればよい。本願における実施例の強
度は、全て後者により(SRT 1200℃、FDT9
00℃、冷延圧下率80%、焼鈍温度 830℃)求め
たものである。
る必要があるが、本願適用鋼の強度は通常固溶強化が支
配的因子であるため、成分から計算される予測強度、ま
たは、同一成分の鋼を予め通常工程で冷延焼鈍板とした
際の実測強度を用いればよい。本願における実施例の強
度は、全て後者により(SRT 1200℃、FDT9
00℃、冷延圧下率80%、焼鈍温度 830℃)求め
たものである。
【0022】(2)熱延板再結晶化の焼鈍条件 本発明の鋼は、熱延終了温度がAr3 変態点以下である
ため、圧延板は加工組織を呈している。そのため、この
鋼板には次いで再結晶化処理を施して{111}方位の
結晶粒を形成させる必要がある。再結晶化処理を施さな
いと、圧延板に{111}集合組織は発達せず、熱延板
のr値は低く、したがって、最終の冷延焼鈍板のr値も
低くなるので、本発明では上記のように限定する。焼鈍
温度が700℃より低い場合、再結晶組織は未発達であ
り、950℃より高い温度で焼鈍を施すと、変態過程を
経るためr値が低下する。
ため、圧延板は加工組織を呈している。そのため、この
鋼板には次いで再結晶化処理を施して{111}方位の
結晶粒を形成させる必要がある。再結晶化処理を施さな
いと、圧延板に{111}集合組織は発達せず、熱延板
のr値は低く、したがって、最終の冷延焼鈍板のr値も
低くなるので、本発明では上記のように限定する。焼鈍
温度が700℃より低い場合、再結晶組織は未発達であ
り、950℃より高い温度で焼鈍を施すと、変態過程を
経るためr値が低下する。
【0023】なお、該再結晶化は、熱延板を700℃以
上で巻取るだけでも行われるので、本発明では、それを
自己焼鈍と称した。以上述べた熱間圧延及び再結晶化処
理で所望の深絞り性に優れた薄鋼板が得られるが、本発
明では、さらに該熱延板を下記条件で冷間圧延及び焼鈍
を追加することで、一層深絞り性に優れた薄鋼板を製造
可能とした。
上で巻取るだけでも行われるので、本発明では、それを
自己焼鈍と称した。以上述べた熱間圧延及び再結晶化処
理で所望の深絞り性に優れた薄鋼板が得られるが、本発
明では、さらに該熱延板を下記条件で冷間圧延及び焼鈍
を追加することで、一層深絞り性に優れた薄鋼板を製造
可能とした。
【0024】(3)冷間圧延 この工程は、高いr値を得るためには必要不可欠であ
り、本発明では、上記条件で得た熱延焼鈍板を、さらに
圧下率50〜95%で冷間圧延を行うようにした。該圧
下率の増加と共に、冷延焼鈍板のr値は向上するが、圧
下率95%以上で冷間圧延を行うとr値はかえって劣化
するので、このように限定する。
り、本発明では、上記条件で得た熱延焼鈍板を、さらに
圧下率50〜95%で冷間圧延を行うようにした。該圧
下率の増加と共に、冷延焼鈍板のr値は向上するが、圧
下率95%以上で冷間圧延を行うとr値はかえって劣化
するので、このように限定する。
【0025】(4)冷延板の焼鈍条件 加工組織となっている上記冷延板に、700〜950℃
で焼鈍を施すことによって{111}再結晶集合組織が
発達し、高いr値が得られる。焼鈍温度が700℃より
低い場合、再結晶組織は未発達であり、r値は低い。ま
た、950℃より高い温度で焼鈍を施すと、冷却過程に
おいてオーステナイトからフェライトへの変態を生じる
ために{111}再結晶集合組織はランダム化し、低い
r値しか得られない。特に、NbCが(Nb+C)に分
解する温度域830〜900℃が望ましく、r値に好ま
しい{111}集合組織を形成後、固溶Cが生じるた
め、格段に優れた深絞り性が得られるのである。
で焼鈍を施すことによって{111}再結晶集合組織が
発達し、高いr値が得られる。焼鈍温度が700℃より
低い場合、再結晶組織は未発達であり、r値は低い。ま
た、950℃より高い温度で焼鈍を施すと、冷却過程に
おいてオーステナイトからフェライトへの変態を生じる
ために{111}再結晶集合組織はランダム化し、低い
r値しか得られない。特に、NbCが(Nb+C)に分
解する温度域830〜900℃が望ましく、r値に好ま
しい{111}集合組織を形成後、固溶Cが生じるた
め、格段に優れた深絞り性が得られるのである。
【0026】
【実施例】表1に、本発明及び比較例で素材として使用
した鋼鋳片の組成を示す。表1には、本発明の範囲を外
れる値には下線を付して比較例であることを明示してあ
る。これらの鋳片を熱間で粗圧延し、表2に示す条件の
熱間仕上げ圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、そして冷延板
焼鈍を施し、その結果得た熱延及び冷延鋼板の材料特性
を引張試験により求めてr値等を表2に同時に示した。
なお、r値の測定時、引張予歪みを15%とし、3点法
により求め、L方向(圧延方向)、D方向(圧延方向と
45度)そしてC方向(圧延方向と垂直)のr値を、r
値=(rL+2rD+rC)/4を用いて演算した。
した鋼鋳片の組成を示す。表1には、本発明の範囲を外
れる値には下線を付して比較例であることを明示してあ
る。これらの鋳片を熱間で粗圧延し、表2に示す条件の
熱間仕上げ圧延、熱延板焼鈍、冷間圧延、そして冷延板
焼鈍を施し、その結果得た熱延及び冷延鋼板の材料特性
を引張試験により求めてr値等を表2に同時に示した。
なお、r値の測定時、引張予歪みを15%とし、3点法
により求め、L方向(圧延方向)、D方向(圧延方向と
45度)そしてC方向(圧延方向と垂直)のr値を、r
値=(rL+2rD+rC)/4を用いて演算した。
【0027】表2から明らかなように、本発明の条件下
においては、比較例(☆印)に比して優れた深絞り特性
が得られている。なお、表2のNo.1〜20までの圧
延における入側厚10mm以下の全パス圧下率を表3に
一括して示しておく。
においては、比較例(☆印)に比して優れた深絞り特性
が得られている。なお、表2のNo.1〜20までの圧
延における入側厚10mm以下の全パス圧下率を表3に
一括して示しておく。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、鋼成分及び製造条件を
限定することにより、TS 40kgf/mm2 以上、
特に50kgf/mm2 以上のハイテンにおいては、強
度に応じた高圧下率(1パス当たり)をとることによ
り、従来より高r値化が可能となる。軟鋼においては、
従来考えられていたより(1パス当たり)低圧下率で、
しかも入側10mm以下においてのみ潤滑を施すことで
十分高r値が確保でき、低コスト、低エネルギで従来よ
りも格段に優れた深絞り性を有する薄鋼板の製造が可能
となる。
限定することにより、TS 40kgf/mm2 以上、
特に50kgf/mm2 以上のハイテンにおいては、強
度に応じた高圧下率(1パス当たり)をとることによ
り、従来より高r値化が可能となる。軟鋼においては、
従来考えられていたより(1パス当たり)低圧下率で、
しかも入側10mm以下においてのみ潤滑を施すことで
十分高r値が確保でき、低コスト、低エネルギで従来よ
りも格段に優れた深絞り性を有する薄鋼板の製造が可能
となる。
【図1】仕上圧延の圧下率と熱延板のr値との関係を示
す図である。
す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/16 C22C 38/16 (72)発明者 坂田 敬 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究所内 (72)発明者 加藤 俊之 千葉市中央区川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】 C:0.01wt%以下、 Si:2.0wt%以下、 Mn:3.0wt%以下、 P:0.15wt%以下、 S:0.05wt%以下、 Al:0.01〜0.2wt%、 N:0.01wt%以下、 B:0.0001〜0.0080wt% を含み、且つ Ti:0.005〜0.20wt% Nb:0.015〜0.20wt% の1種又は2種を含有し,残部はFe及び不可避的不純
物よりなる鋼素材に、 Ar3 変態点以下、500℃以上の温度域にて合計圧下
率が50%以上95%以下の仕上げ圧延を施し、かつ該
圧延中の入側板厚が10mm以下となる各スタンドに強
潤滑を施しつつパス圧下率X(%)が次式 X≧(4/3)×予想TS(kgf/mm2 )−30 の関係を満たす圧延を施し、その後自己焼鈍あるいは均
熱温度700〜950℃に加熱して熱延板再結晶化処理
を施すことを特徴とする深絞り性に優れた薄鋼板の製造
方法。 - 【請求項2】 Ni:1.5wt%以下、Cu:1.5
wt%以下及びMo:1.5wt%以下の1種又は2種
以上を含有することを特徴とする請求項1記載の深絞り
性に優れた薄鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 上記熱延板再結晶化処理後に、さらに冷
間圧延を圧下率50〜95%で施し、引続き700〜9
50℃の温度域にて再結晶化焼鈍を施すことを特徴とす
る請求項1又は2記載の深絞り性に優れた薄鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8046244A JPH09241755A (ja) | 1996-03-04 | 1996-03-04 | 深絞り性に優れた薄鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8046244A JPH09241755A (ja) | 1996-03-04 | 1996-03-04 | 深絞り性に優れた薄鋼板の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09241755A true JPH09241755A (ja) | 1997-09-16 |
Family
ID=12741743
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8046244A Pending JPH09241755A (ja) | 1996-03-04 | 1996-03-04 | 深絞り性に優れた薄鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09241755A (ja) |
Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61159528A (ja) * | 1985-01-08 | 1986-07-19 | Nippon Steel Corp | 加工用熱延鋼板の製造方法 |
| JPS63121623A (ja) * | 1986-11-11 | 1988-05-25 | Kawasaki Steel Corp | 耐リジング性と化成処理性に優れる深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
| JPH03140417A (ja) * | 1989-10-27 | 1991-06-14 | Kawasaki Steel Corp | 深絞り性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
| JPH03150316A (ja) * | 1989-11-07 | 1991-06-26 | Kawasaki Steel Corp | 深絞り用冷延鋼板の製造方法 |
| JPH0570838A (ja) * | 1991-09-13 | 1993-03-23 | Kawasaki Steel Corp | 深絞り用熱延鋼板の製造方法 |
| JPH0598355A (ja) * | 1991-10-02 | 1993-04-20 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 深絞り性に優れた熱延鋼板の製造方法 |
| JPH06220546A (ja) * | 1993-01-26 | 1994-08-09 | Kawasaki Steel Corp | 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 |
-
1996
- 1996-03-04 JP JP8046244A patent/JPH09241755A/ja active Pending
Patent Citations (7)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS61159528A (ja) * | 1985-01-08 | 1986-07-19 | Nippon Steel Corp | 加工用熱延鋼板の製造方法 |
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| JPH06220546A (ja) * | 1993-01-26 | 1994-08-09 | Kawasaki Steel Corp | 深絞り性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040625 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060425 |
|
| A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060622 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060725 |