JPH09262689A - 継手の溶接方法 - Google Patents

継手の溶接方法

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JPH09262689A
JPH09262689A JP7501096A JP7501096A JPH09262689A JP H09262689 A JPH09262689 A JP H09262689A JP 7501096 A JP7501096 A JP 7501096A JP 7501096 A JP7501096 A JP 7501096A JP H09262689 A JPH09262689 A JP H09262689A
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Yasuo Murai
康生 村井
Kenji Saito
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接母材の煩雑な組み立て作業が不要であ
り、開先部の形成又は部材の組み立て等に必要なコスト
を上昇させることなく、容易に溶接開先部を加工するこ
とができると共に、良好な溶込み深さを得ることがで
き、これにより、継手強度を高め、優れた寸法精度で溶
接することができる継手の溶接方法を提供する。 【解決手段】 板状部材12の一方の端面には、板状部
材12の表面から裏面に延びるように、等間隔に複数の
溝状の凹部12aが形成されており、この凹部12aを
形成することにより、隣接する凹部12a間に凸部12
bが形成されている。従って、板状部材12の一方の端
面においては、凹部12aと凸部12bとが交互に配置
され、平面視で波形の凹凸面が形成されている。そし
て、垂直に配置した板状部材11の表面に水平に配置し
た板状部材12の凹部12aが形成された端面を当て、
板状部材11と板状部材12とが垂直に交差するように
T字型に組み立てた後、このような継手10を溶接す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼構造物の突合せ継
手、角継手、T継手、十字継手及びはめ込み継手等の溶
接に適用される溶接方法に関し、特に、継手の前加工及
び組立を低コストで実施することができると共に、継手
強度を向上することができる継手の溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は従来のT継手の開先部を示す正面
図である。図8に示すように、垂直の鋼板1と水平の鋼
板2とは垂直に交差するように正面視でT字型に組み立
てられており、鋼板2の先端面2bは、鋼板1の表面に
当接している。
【0003】図8に示すように組み立てられたT継手に
おいては、いわゆる隅肉溶接により部分溶込み溶接を実
施するものである。このように、T継手において、要求
される継手強度が比較的低い場合には、一方の部材(鋼
板2)の先端面2bを他方の部材(鋼板1)の表面に沿
うように平坦に切断するのみで、開先を加工することが
できる。
【0004】しかしながら、このような開先部を有する
T継手においては、部材(鋼板2)の加工は容易である
が、溶接時において、所望の溶込み深さを確保すること
が困難であるので、高い継手強度を得ることはできな
い。そこで、一般的に、鋼構造物等においては、突合せ
継手、角継手及びT継手等を溶接する場合に、良好な溶
込み深さを確保し、所望の継手強度を得るために、少な
くとも一方の部材に傾斜した切欠きを形成した後、継手
を組み立てて溶接している。
【0005】図9は従来のT継手の他の開先部の形状を
示す正面図である。図9に示すT継手においては、鋼板
4の片端面において、その上面から端面に至るように、
傾斜した切欠き4aが形成されている。そして、図8に
示す継手と同様に、垂直の鋼板3と水平の鋼板4とが垂
直に交差するように正面視でT字型に組み立てられてい
て、その開先端にレ形の開先部5が形成されていると共
に、鋼板4の先端面4bが鋼板3の表面に当接してい
る。
【0006】このように、継手の開先端に傾斜した切欠
き4aが形成されていると、溶接時において深い溶込み
が得られ、これにより、高い継手強度を得ることができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示すような開先部5を加工する場合、一方の部材(鋼板
4)の端面4bを、他方の部材(鋼板3)に沿うように
平坦に切断する工程と、切欠き4aを形成する工程との
2工程が必要となるという問題点がある。従って、レ形
の開先部5を形成するためには、図8に示すように、単
に部材(鋼板2)の先端面2bを他の部材(鋼板1)に
沿うように平坦に切断するのみの場合と比較して、2倍
又はそれ以上の加工コストが必要となる。
【0008】更に、傾斜した開先部(傾斜開先部)が形
成された部材を溶接する場合、単層で十分な適正量の余
盛りを得るための溶接条件の設定が比較的困難である。
即ち、ルート部(鋼板4の端面4bと鋼板3との接触部
分)において、溶融金属の溶け落ちが発生しない条件で
溶接すると、余盛りが不足することがあり、十分な余盛
りを得るための溶接条件を設定すると、溶融金属の溶け
落ちが発生しやすくなる。
【0009】また、図8に示すように、傾斜した開先部
(傾斜開先部)を形成しない場合、一般的に、溶込みを
深くするためには、部材間にルートギャップを設けると
いう方法が適用されている。そこで、均一な適正幅のル
ートギャップを維持するためには、継手の両部材の組立
工程において、ギャップを計測調整しながら仮付け溶接
するか、又は部材間にスペーサを配置する必要がある。
【0010】しかしながら、このような方法を使用する
場合、溶接線が直線でない継手においては、均一にギャ
ップを形成することが困難である。また、部分溶込み状
態となったときに、鋼板2の未溶接の先端面2bと鋼板
1との接触部分が存在しないか、又は接触部分が少なく
なるので、溶接によって収縮変形が発生し、寸法精度が
低下してしまう。更に、継手部材の組立工程が煩雑にな
り、スペーサ等を使用する場合には、このような継手部
材以外の部材が必要となるため、コストアップとなって
しまう。また、継手形状によっては、適切なルートギャ
ップを維持することは極めて困難となる。
【0011】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接母材の煩雑な組み立て作業が不要であ
り、開先部の形成又は部材の組み立て等に必要なコスト
を上昇させることなく、容易に溶接開先部を加工するこ
とができると共に、良好な溶込み深さを得ることがで
き、これにより、継手強度を高め、優れた寸法精度で溶
接することができる継手の溶接方法を提供することを目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る継手の溶接
方法は、2つの部材を溶接して接合する継手の溶接方法
において、前記2つの部材の少なくとも一方の部材の開
先端に凹凸面を形成して、前記凹凸面を他方の部材に当
接させて溶接することを特徴とする。
【0013】この一方の部材は板状部材であり、この板
状部材の端面に前記凹凸面を有することが好ましい。
【0014】また、板状部材の端面に前記板状部材に対
して直交する方向に複数本の溝状の凹部を形成し、前記
凹部により凹凸面が形成されていてもよい。更に、この
溝状の凹部は板状部材に直交する方向に対して60°以
下に傾斜して形成されていることが好ましい。
【0015】更にまた、前記一方の部材は、前記凹凸面
からこれに隣接する面に至る傾斜した切欠きが形成され
ていてもよい。
【0016】また、前記凹凸面は凹部及び凸部が一定間
隔で交互に形成されているものであって、凹部の空間体
積が凸部の体積の2倍未満のとき、前記板状部材の板厚
をt(mm)とすると、隣接する凸部間の距離を2乃至
20mm、凹部の深さを(0.08×t)乃至(0.6
×t)mmとすることが好ましく、凹部の空間体積が凸
部の体積の2倍以上、凸部の幅が5mm以下であると
き、凹部の深さを0.5乃至3mm、隣接する凸部間の
距離を50mm以下とすることが好ましい。
【0017】本発明方法においては、2つの部材の少な
くとも一方の部材の開先端に凹凸面を形成し、その凹凸
面を他方の部材に当接させて溶接するので、凹部が局部
的なルートギャップとなり、仮溶接又はスペーサ等によ
りルートギャップを維持する必要が無く、溶接のための
部材の組立が容易になる。また、凹凸面の凸部は熱容量
が小さく、溶接熱により比較的容易に溶融するので、凹
部が有するルートギャップとしての作用により、溶込み
深さを深くすることができると共に、凸部の存在により
溶融金属の溶け落ちを防止することができ、これによ
り、継手強度を向上させることができる。
【0018】更に、凹凸面の形成と部材の切断とを同時
に実施することができるので、低コストで開先部を加工
することができる。
【0019】更にまた、部分溶込み溶接を実施する場
合、未溶接部分が他方の部材に当接しているので、溶接
収縮を少なくすることができ、これにより、溶接後の寸
法精度を高めることができる。
【0020】また、本発明方法において、板状部材の端
面に凹凸を形成し、この端面を他方の部材に当接させて
T継手を組み立てて溶接すると、凹凸面の凹凸の加工及
び継手の組立が容易になり、凹凸面から隣接する面に至
る切欠きを形成すると、溶接時において深い溶込みが得
られる。
【0021】更に、板状部材の表面から裏面に至る溝状
の凹部を板状部材の端面に形成すると、凹凸面を更に一
層容易に加工することができ、この溝状の凹部を板状部
材に直交する方向に対して傾斜させて形成すると、溶融
金属の溶け落ちを防止する効果が高められる。この傾斜
角度は板状部材に直交する方向に対して60°を超える
と、溝状の凹部の加工が困難になると共に、溶融金属の
溶け落ちを防止する効果はそれ以上向上しなくなる。従
って、板状部材の表面から裏面に至る溝状の凹部を傾斜
させて形成する場合、その傾斜角度は板状部材に直交す
る方向に対して60°以下であることが好ましい。
【0022】更にまた、凹部及び凸部が一定間隔で交互
に形成されていて、凹部の空間体積が凸部の体積の2倍
未満である場合、隣接する凸部間の距離が2mm未満で
あると、加工が煩雑になるので好ましくない。一方、凸
部間の距離が20mmを超えると、溶け落ちが発生しや
すくなる。
【0023】また、凹部の深さが板状部材の板厚t(m
m)に対して(0.08×t)mm未満であると、所望
の溶込み深さを得ることができず、凹部の深さが(0.
6×t)mmを超えると、溶融金属の溶け落ちが発生す
る。従って、凹部の空間体積が凸部の体積の2倍未満の
とき、隣接する凸部間の距離を2乃至20mm、凹部の
深さを(0.08×t)乃至(0.6×t)mmとする
ことが好ましい。
【0024】一方、凹部及び凸部が一定間隔で交互に形
成されていて、凹部の空間体積が凸部の体積の2倍以上
であると共に、凸部の幅が5mm以下である場合、隣接
する凸部間の距離が50mmを超えると、溶融金属の溶
け落ちが発生しやすくなる。
【0025】また、凹部の深さが0.5mm未満である
と、所望の溶込み深さを得ることができず、凹部の深さ
が3mmを超えると、溶融金属の溶け落ちが発生しやす
くなる。従って、凹部の空間体積が凸部の体積の2倍以
上、凸部の幅が5mm以下であるとき、凹部の深さを
0.5乃至3mm、凸部間の距離を50mm以下とする
ことが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付の図面を参照して具体的に説明する。
【0027】図1(a)は本発明の実施例に係る継手の
溶接方法を説明するための継手を示す斜視図であり、
(b)はその平面図、(c)はその正面図である。
【0028】図1に示すように、板状部材12の一方の
端面には、板状部材12の表面から裏面に延びるよう
に、等間隔に複数の溝状の凹部12aが形成されてお
り、この凹部12aを形成することにより、隣接する凹
部12a間に凸部12bが形成されている。従って、図
1(b)に示すように、板状部材12の一方の端面にお
いては、凹部12aと凸部12bとが交互に配置され、
平面視で波形の凹凸面12cが形成されている。そし
て、垂直の板状部材11の表面に水平の板状部材12の
凹凸面12cが当てられ、板状部材11と板状部材12
とが垂直に交差するように正面視でT字型に組み立てら
れている。
【0029】このように継手10を組み立てた後、板状
部材12の凹凸面12cに沿って溶接する。そうする
と、板状部材12の凸部12bは熱容量が小さいので、
溶接熱により比較的容易に溶融する。また、凸部12b
が板状部材11の表面に接触するか又は近接し、凹部1
2aが局部的に板状部材11と12とのルートギャップ
としての役割を果たすので、深い溶込みを得ることがで
きる。即ち、凹部12aと凸部12bとの相互効果によ
り、所望の溶込み深さ及び所望の余盛りを得ることがで
きる。
【0030】また、本実施例においては、板状部材12
の一方の端面の切断加工と凹部の形成とを同時に実施す
ることができるので、1工程のみで所望の開先を得るこ
とができ、開先の加工コストを低くすることができる。
更に、部材の組立が容易であり、スペーサ等が不要であ
るので、そのためのコストアップを防止することができ
る。
【0031】更にまた、ルート部(板状部材12の凸部
12bと板状部材11との接触部分)において、未溶接
部分を極めて小さくし、完全溶込み溶接に近い溶接部を
得ようとする場合においては、凸部12bが存在するこ
とにより、溶融金属の溶け落ちの発生を防止することが
できる。一方、部分溶込み溶接をする場合、凸部12b
における未溶接部分が板状部材11に当接しているの
で、溶接による収縮変形が小さくなる。
【0032】本実施例においては、T継手の例について
示したが、例えば、突合せ継手、角継手、十字継手及び
はめ込み継手においても同様の効果を得ることができ
る。また、レ形及びV形等の傾斜開先部を有する継手に
おいても、両部材の接触面(ルート面)に同様の加工を
施すことができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明に係る溶接方法を使用して得ら
れた溶接継手の実施例についてその比較例と比較して具
体的に説明する。
【0034】先ず、本発明に係る溶接方法及び従来の溶
接方法によりT継手を溶接し、溶込み深さ比較試験を実
施した。
【0035】図2は溶込み深さ比較試験に使用したT継
手の形状及びサイズを示す正面図である。また、図3
(a)は本発明の実施例に係る溶接方法において使用し
た板状部材の形状及びサイズを示す平面図であり、
(b)はその正面図である。
【0036】比較例としては、図2に示すように、板厚
が14mmの板状部材13と板厚が12mmである板状
部材14とを準備し、垂直に配置された板状部材13と
水平に配置された板状部材14とが垂直に交差するよう
に、板状部材13の表面に板状部材14の平坦な端面1
4aを当てて組み立てたT継手を使用した。なお、板状
部材14は、その上面が板状部材13の端面13aから
12mmの位置になるように配置した。
【0037】また、実施例としては、板状部材14の代
わりに波形の凹凸面15cを有する板状部材15を使用
した。即ち、図3に示すように、板状部材15は、ガス
切断によって、一方の端面に、板状部材15の表面から
裏面に延びるように、等間隔に複数本の溝状の凹部15
a及び凸部15bを交互に形成したものであり、板状部
材14の表面に板状部材15の凸部15bを当接させて
継手を組み立てた。本実施例においては、板状部材15
の板厚を12mmとし、隣接する凸部15bの間隔を5
mm、各凹部15aの深さを2.5mmとした。
【0038】このような2種類のT継手に対して同一の
溶接条件によって溶接し、溶接後に、溶接部から断面マ
クロを採取し、未溶接部分のルート厚さを測定すること
により、溶込み深さを評価した。但し、溶接は直径が
1.4mmのワイヤを使用し、自動CO2 溶接とした。
溶接条件を下記表1に示し、評価結果を下記表2に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】上記表1及び2に示すように、本実施例方
法によって溶接すると、いずれの溶接条件においても、
比較例と比較して、未溶接部分のルート長さが減少し
た。即ち、溶込み深さが増大し、良好な溶接継手を得る
ことができた。
【0042】次いで、本発明に係る溶接方法及び従来の
溶接方法によりT継手を溶接し、曲げ疲労試験を実施し
た。この曲げ疲労試験においては、図3に示す板状部材
15を適用した継手を実施例No.7とし、図2に示す
形状及びサイズの継手を比較例No.8、傾斜開先部を
有するT継手を比較例No.9とした。
【0043】図4は曲げ疲労試験に使用した傾斜開先部
を有するT継手の形状及びサイズを示す正面図である。
図4に示すように、板状部材17は一方の端面におい
て、その上面から端面に至るように、傾斜した切欠き1
7aを形成した。そして、板厚が14mmである板状部
材16を準備し、板状部材16と板状部材17とが垂直
に交差するように、切欠き17aにより形成された板状
部材17の端面17bを、板状部材16の表面に当てる
ように正面視でT字型に組み立てた。従って、板状部材
16と板状部材17との間の切欠き17aの部分は、レ
形の傾斜開先部18となっている。
【0044】この曲げ疲労試験において使用した図4に
示す継手においては、レ形の傾斜開先部18の開先角度
を45°とし、板状部材17の板厚を12mm、先端面
17bの板厚方向の幅を3mmとした。
【0045】このような3種類の継手を溶接して、曲げ
疲労試験用の試験片とし、疲労限を比較した。但し、溶
接条件として、実施例No.7及び比較例No.8につ
いては、上記表1に示す溶接条件記号Cの条件を使用し
て溶接し、比較例No.9については、溶融金属の溶け
落ちを考慮して2層仕上げとした。比較例No.9の継
手に対する溶接時の溶接条件を下記表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】図5(a)は曲げ疲労試験用の試験片の形
状及びサイズを示す側面図であり、(b)はその正面図
である。図5においては、図2及び4の板状部材13及
び16を部材Dとし、板状部材14、15及び17を部
材Eとして説明する。
【0048】前述の如く、部材Dと部材Eとは垂直に交
差するようにT字型に組み立てられて溶接されており、
開先部には溶接金属20が形成されている。部材D及び
Eは、その長手方向の長さを120mm、幅を50mm
とした。また、部材Dには、4カ所に、これを貫通する
固定孔19が設けられており、これらの固定孔19に固
定ジグ(図示せず)を挿入し、この固定ジグを固定器
(図示せず)に締着することにより部材Dが固定される
ようになっている。更に、部材Eには、部材D側の端面
から20mm離れた位置において、板幅中央の表面及び
裏面に、歪みゲージ23が貼付されている。
【0049】このように作製された試験片において、部
材Dを固定した後、部材Eの溶接されていない端部25
に対して、部材Dに平行方向に繰り返し応力を印加し
て、歪みゲージ23にかかる歪から繰り返し曲げ応力を
設定し、応力振幅16kgf/mm2 における破断繰り
返し数を比較した。この曲げ疲労試験の評価結果を下記
表4に示す。
【0050】
【表4】
【0051】上記表4に示すように、実施例No.7は
比較例と比較して、破断繰り返し数が増加した。即ち、
本発明方法により溶接することによって、溶接継手の曲
げ疲労強度を高めることができる。
【0052】次いで、軟鋼製の2枚の板状部材を準備
し、一方の板状部材の端面に種々の幅及び高さを有する
凹凸面を形成した後、この凹凸面を他方の板状部材の端
面に当てて継手を組み立て、この突合せ継手を溶接して
ビードの外観及び溶込み状況を評価した。但し、凹凸面
においては、凹部の空間体積が凸部の体積の2倍未満と
なるように形成した。また、板状部材は12mmと25
mmの2種の板厚のものを使用し、板厚が12mmの板
状部材についてはMAG溶接、板厚が25mmの板状部
材についてはサブマージアーク溶接により溶接した。
【0053】このときの溶接条件を下記表5に示し、板
厚が12mmの板状部材におけるビードの外観及び溶込
み形状の評価結果を下記表6、板厚が25mmの板状部
材におけるビードの外観及び溶込み形状の評価結果を下
記表7に示す。なお、下記表6及び7において、○(合
格)は平坦な開先の突合せ溶接の溶込み深さと比較し
て、板厚の10%以上溶込み深さが増大すると共に、表
面にアンダーフィルが発生せず、溶融金属の溶け落ちが
発生しなかったものである。また、△は溶接の位置によ
って不合格の部分があったもの、×は溶込み深さが合格
の基準を満足しなかったもの、××は溶融金属の溶け落
ちが発生したものを示し、−は凹凸面を加工するための
工程が煩雑になるため、実施しなかったことを示す。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】上記表6に示すように、板状部材の板厚が
12mmの場合、凹部の深さが0.5mm以上であると
共に、ピッチが2mm以上であると、溶込み深さが増大
し、凹部の深さが10mm以上になると、溶融金属の溶
け落ちが発生した。
【0058】一方、上記表7に示すように、板状部材の
板厚が25mmの場合、凹部の深さが15mmの範囲ま
で良好な溶接継手を得ることができるピッチが存在し
た。また、ピッチが30mm以上になると、溶接線方向
において溶け込み深さが大きく変動した。
【0059】これらの結果より、良好な溶接継手を得る
ための凹部の深さは板厚に依存し、凹凸面における凹部
の深さが部材の板厚の60%までであると、所望の溶込
み深さが得られると共に、溶融金属の溶け落ちを防止す
ることができる。
【0060】更に、凹凸面の形状を変化させた板状部材
を準備し、この凹凸面を他の板状部材に当接させて継手
を組み立て、この突合せ継手を溶接することによって、
ビードの外観及び溶込み状況を評価した。なお、凹凸面
を形成する板状部材としては12mmと25mmの2種
の板厚のものを準備し、板厚が12mmの板状部材につ
いてはMAG溶接、板厚が25mmの板状部材について
はサブマージアーク溶接を適用し、上記表5に示す溶接
条件に準じて溶接した。
【0061】図6(a)は本実施例において使用した板
状部材の形状を示す平面図であり、(b)はその正面図
である。図6に示すように、板状部材21の端面には板
状部材21の表面から裏面に至る凸部21bが等間隔に
形成されていて、隣接する凸部21b間に幅広の凹部2
1aが形成されている。
【0062】図6に示すような形状の凹凸面を有する板
状部材21を使用した場合、凹部21aの深さDが0.
5乃至3mmであるとき、凸部の幅Wを5mm以下に設
定すると、隣接する凸部間の距離Pが50mm程度であ
っても、ビードの外観及び溶込み状況の評価結果が合格
となった。
【0063】図7は本実施例において使用した板状部材
の他の形状を示す斜視図である。図7に示すように、板
状部材22は、その端面に板状部材22の上面から裏面
に延びるように、等間隔に複数本の溝状の凹部22aが
形成されており、この凹部22aを形成することによ
り、隣接する凹部22a間に凸部22bが形成されてい
る。従って、板状部材22の端面においては、凹部22
aと凸部22bとが交互に配置されて波形となっている
が、図3に示す板状部材15と異なり、凹部22a及び
凸部22bは板状部材22に直交する方向に対して傾斜
して形成されている。
【0064】この傾斜した凹部22aの傾斜角度を20
乃至70°の範囲で変化させて種々の溶接電流で溶接し
た結果、従来の平坦な開先部を溶接した場合と比較し
て、深い溶込みを得ることができた。また、本実施例は
溝状の凹部22aを板状部材に直交する方向に形成した
場合(傾斜角0°)と比較して、溶接電流を高くして
も、溶融金属の溶け落ちが発生しにくくなった。
【0065】従って、このような形状の凹凸面を有する
板状部材22は、完全溶込みに近い溶込みが要求される
継手に対して有効である。但し、溝状の凹部22aの傾
斜角が60°を超えると、凹凸面の加工が困難になると
共に、溶融金属の溶け落ちを防止する効果は向上しなく
なる。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
継手の少なくとも一方の部材の開先端に凹凸面を形成し
ているので、傾斜開先を形成することなく深い溶込みで
継手強度が高い溶接継手を得ることができると共に、溶
融金属の溶け落ちを防止することができ、これにより、
容易に溶接のための加工及び組立を低コストで実施する
ことができる。また、凸部が他方の部材に当接している
ので、部分溶込み溶接の場合でも溶接収縮を防止するこ
とができ、溶接後の寸法精度を高めることができる。更
に、この凹凸面を板状部材の端面に形成し、板状部材の
表面から裏面に至るように溝状の凹部を形成すると、更
に一層加工及び組立が容易になり、凹凸面における凹部
の深さ及び凸部間の距離を適切に規制することにより、
更に一層良好な溶接継手を得ることができると共に、継
手強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施例に係る継手の溶接方法
を説明するための継手を示す斜視図であり、(b)はそ
の平面図、(c)はその正面図である。
【図2】溶込み深さ比較試験に使用したT継手の形状及
びサイズを示す正面図である。
【図3】(a)は本発明の実施例に係る溶接方法におい
て使用した板状部材の形状及びサイズを示す平面図であ
り、(b)はその正面図である。
【図4】曲げ疲労試験に使用した傾斜開先部を有するT
継手の形状及びサイズを示す正面図である。
【図5】(a)は曲げ疲労試験用の試験片の形状及びサ
イズを示す側面図であり、(b)はその正面図である。
【図6】(a)は本実施例において使用した板状部材の
形状を示す平面図であり、(b)はその正面図である。
【図7】本実施例において使用した板状部材の他の形状
を示す斜視図である。
【図8】従来のT継手の開先形状を示す正面図である。
【図9】従来のT継手の他の開先形状を示す正面図であ
る。
【符号の説明】
1、2、3、4;鋼板 4a;切欠き 5、18;開先部 10;継手 11、12、13、14、15、16、17、21、2
2;板状部材 12a、15a、21a、22a;凹部 12b、15b、21b、22b;凸部 19;固定孔 20;溶接金属 23;歪みゲージ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの部材を溶接して接合する継手の溶
    接方法において、前記2つの部材の少なくとも一方の部
    材の開先端に凹凸面を形成して、前記凹凸面を他方の部
    材に当接させて溶接することを特徴とする継手の溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 前記一方の部材が板状部材であり、この
    板状部材の端面に前記凹凸面を有することを特徴とする
    請求項1に記載の継手の溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記板状部材の端面に前記板状部材に対
    して直交する方向に複数本の溝状の凹部を形成し、前記
    凹部により凹凸面が形成されていることを特徴とする請
    求項2に記載の継手の溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記板状部材の端面に、前記板状部材に
    直交する方向に対して60°以下に傾斜した複数本の溝
    状の凹部を形成し、前記凹部により凹凸面が形成されて
    いることを特徴とする請求項2に記載の継手の溶接方
    法。
  5. 【請求項5】 前記一方の部材は、前記凹凸面からこれ
    に隣接する面に至る傾斜した切欠きが形成されているこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の
    継手の溶接方法。
  6. 【請求項6】 前記凹凸面は凹部及び凸部が一定間隔で
    交互に形成されているものであって、凹部の空間体積が
    凸部の体積の2倍未満のとき、前記板状部材の板厚をt
    (mm)とすると、隣接する凸部間の距離を2乃至20
    mm、凹部の深さを(0.08×t)乃至(0.6×
    t)mmとすることを特徴とする請求項3又は4に記載
    の継手の溶接方法。
  7. 【請求項7】 前記凹凸面は凹部及び凸部が一定間隔で
    交互に形成されているものであって、凹部の空間体積が
    凸部の体積の2倍以上、凸部の幅が5mm以下であると
    き、凹部の深さを0.5乃至3mm、凸部間の距離を5
    0mm以下とすることを特徴とする請求項3又は4に記
    載の継手の溶接方法。
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