JPH0926424A - 重症筋無力症のための改良アッセイ法とその用途のための基質およびキット - Google Patents

重症筋無力症のための改良アッセイ法とその用途のための基質およびキット

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JPH0926424A
JPH0926424A JP8154101A JP15410196A JPH0926424A JP H0926424 A JPH0926424 A JP H0926424A JP 8154101 A JP8154101 A JP 8154101A JP 15410196 A JP15410196 A JP 15410196A JP H0926424 A JPH0926424 A JP H0926424A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重症筋無力症診断のための改良された免疫化
学的アッセイ系を提供すること。 【解決手段】 重症筋無力症関連抗AChR自己抗体を
検出する方法であって、重症筋無力症関連抗AChR自
己抗体を含むと疑われる試料を固相結合AChRととも
にインキュベートする;および該インキュベートにより
AChRに結合した抗AChR自己抗体のタイターを測
定する;の各工程を含み、該AChRがTE671系の
細胞に由来することを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は重症筋無力症(my
asthenia gravis)の診断のための免疫
化学的アッセイ法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】重症筋無力症は自己免疫病の一つであ
る。該疾患にかかった患者は、神経筋接合部のアセチル
コリン受容体上の抗原決定基(epitope)に対す
る自己抗体を生成する。該自己免疫応答は、神経筋伝達
を損なう。該神経筋伝達減損が、該疾患の特徴である筋
肉の弱化および易疲労性の原因となる。
【0003】参照によりここに含めるものとする、米国
特許第4,202,875号およびRE30,059号
に於いて、重症筋無力症の診断のための生化学的アッセ
イ法が示されている。
【0004】上記特許によるアッセイ法は、重症筋無力
症患者の血清由来の受容体タンパク質に対する自己抗体
と複合体を形成している標識アセチルコリン受容体タン
パク質の、抗ヒト免疫グロブリンとの免疫沈降を含む。
使用されるアセチルコリン受容体タンパク質(acet
ylcholine receptor protei
n,以下“AChR”とする)は、哺乳類筋肉の粗抽出
液の一部である。該アッセイ法におけるAChRの標識
は、粗抽出液中の該タンパク質に、放射性標識したナジ
ャ・ナジャ・シアメンシス毒(Najanaja si
amensistoxin)やアルファ−ブンガロトキ
シンなどのクラーレ様神経毒素を結合させることにより
行なう。上記毒素は、該タンパク質上のアセチルコリン
結合部位に結合することによってAChRと複合体を形
成する。
【0005】上述の特許で述べられているアッセイ法
は、商業的使用が広く行なわれ、現状では重症筋無力症
の診断で推奨されるアッセイ法であるが、多くの欠点も
含んでいる。上記アッセイで用いられるAChRの望ま
しい素材は、ヒトの切断された足の筋肉である。該組織
は、供給量が少なく、多くの法的な難点のため、入手可
能な場合でも商業的使用のために得ることが困難であ
る。さらに、該タンパク質は健康な、切断されていない
組織でさえ非常に低濃度でしか存在しておらず、また、
切断された組織から該タンパク質を含む筋肉の粗抽出液
を分離する前に不可避的に該タンパク質の実質的なタン
パク質分解反応が起こるため、アッセイに適当なACh
Rは組織から非常に少量にしか得ることができない。他
の、より豊富な、AChRのための哺乳動物筋肉源も入
手可能である;しかし、これらの他の筋肉源は、ヒトの
足筋肉源における、少量しか得られないことやタンパク
質分解などの欠点を完全に解消するわけではなく、より
重要なことには、ヒトAChRに対するヒト自己抗体が
他の哺乳動物由来AChRと低頻度でしか交叉反応しな
い(例えば、ヒト足筋肉AChRの典型的な代用物であ
る、除神経ラット筋肉由来AChRの場合には、わずか
に2.1%程度まで)ため、非ヒト供給源由来AChR
は該アッセイにはより適していない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】免疫化学的アッセイに
適当なヒト筋肉AChRの供給量に制限があることによ
り、上記特許で示された筋肉粗抽出液を用いた免疫沈降
アッセイによる以外の、ヒト血清中の重症筋無力症関連
自己抗体のアッセイを行なうことは、実際的ではない。
ヒト筋肉AChRと実質的に同程度にヒト筋肉AChR
に対するヒト自己抗体と反応する、より豊富なAChR
源が容易に入手できることは、固相法および酵素結合性
イムノソルベントアッセイ(enzyme−linke
d immunosorbent assay;ELI
SA)などの、重症筋無力症診断のための、他のより感
度の高い免疫アッセイ法を実行可能にするであろう。
【0007】重症筋無力症患者の筋肉の弱さの重症度
は、患者の血清中の抗AChR抗体濃度と密接に関連し
ているわけではない。これは恐らく、これらの抗体が伝
達を減損させる多様で複雑な機構(抗原による免疫調製
による受容体数の減少、補体媒介集中性分解、結合した
抗体によるAChR機能の直接的低下)、および、神経
筋伝達の性質(伝達を確実にするための大きな安全係数
を持つ“全か無か”の形式で起こる)、および、低下し
た神経筋伝達を補うために体内で行なわれ得る複雑な適
応機構(アセチルコリン放出の増加、神経筋接合部領域
の増大)に主によるものであろう。
【0008】重症筋無力症患者においては、自己抗体は
AChRの多様な領域上の多様なエピトープに結合す
る。これらの領域のひとつは、“主要免疫原領域”と呼
ばれる。この領域はAChRのアルファ−サブユニット
の細胞外表面上に位置する。これらの領域の別のもの
は、アセチルコリン(以下“ACh”)結合部位であ
り、これもまたアルファ−サブユニット上に位置してい
る。平均的な重症筋無力症患者では、約半分の抗ACh
R自己抗体が主要免疫原領域に対するものである。主要
免疫原領域に結合する自己抗体は抗原による免疫調製を
引き起こし、生体内で補体を固定することができ、それ
によってACh受容体数を減少させる。ACh結合部位
に対する抗体は、非常に低濃度で、神経筋伝達における
AChR機能を即時に低下させるのに極めて効果的であ
ると考えられる。重症筋無力症患者の血清中の全抗AC
hR抗体濃度だけでなく、AChRの主要免疫原領域お
よびACh結合部位に対する、これらの抗体の一部を測
定することが可能となることは、有用であろう。
【0009】上述の特許によるアッセイ法は、筋肉AC
hRのACh結合部位に結合する、放射性標識した毒素
と、筋肉AChRとを結合させることにより該タンパク
質を高比活性で標識することによっている。上記アッセ
イ法では、結合部位およびその近傍領域が毒素によって
遮断され、それによって結合部位のエピトープ、および
その近傍の他のエピトープが自己抗体による結合を受け
られなくなるため、前記特許のアッセイ法では、ACh
結合部位に対する自己抗体を特異的にアッセイすること
は不可能であった。ここに示す本発明は、実際的な目的
では、ヒト筋肉AChRと免疫学的に区別できず、容易
に単離できる、多量のAChRの供給源の発見に基づ
き、自己抗体の結合によってAChR上の一部のエピト
ープが遮断されない免疫アッセイ法を実行可能にする。
従って、本発明によれば、診断が可能である、患者血清
中の抗AChR自己抗体の全濃度のみでなく、患者の疾
患のより詳しい解析や疾患の治療法計画の基礎の改善を
可能とするような、AChRの病理的に特徴的な部位に
対するこれらの抗体の一部を測定することが可能とな
る。
【0010】マクアリスター(McAllister)
ら、Int.J.Cancer 20、206−212
(1977)は、ヒト小脳髄芽細胞腫由来の、TE67
1、サブラインNo.2と呼ばれる細胞系の確立を報告
した。上記およびそれと同等のAChR産生細胞系を本
明細書では“TE671系”と呼ぶ。
【0011】シアピン(Syapin)ら、Brain
Research 231、365−377(198
2)は、TE671系細胞は哺乳類神経ニコチン性アセ
チルコリン受容体を有するものとして特徴づけた。本分
野では、上記受容体タンパク質は、重症筋無力症自己抗
体が反応するAChRとは免疫学上実質的に異なる(す
なわち、低い免疫学的交叉反応性を有する)と考えられ
ている(すなわち、神経性AChRと筋肉性AChRに
対する抗体は互いにほとんど、あるいは完全に交叉反応
性を持たないと考えられている)(パトリック(Pat
rick)とスタルカップ(Stallcap)、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)
74、4689(1977);スワンソン(Swans
on)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.
(U.S.A.)80、4532(1983);スミス
(Smith)ら、J.Neuroscience
5、2726(1985))。
【0012】mAb35と呼ばれるものを含む、筋肉A
ChRの主要免疫原領域に対するラットモノクローナル
抗体を分泌するハイブリドーマが、ツアルトス(Tza
rtos)ら、J.Biol.Chem.256、86
35−8645(1981)およびProc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A.79、188(1
982)によって示されている。筋肉AChRに対する
モノクローナル抗体を分泌する、mAb64と呼ばれる
ものを含む他のハイブリドーマも開発されている(ツア
ルトス(Tzartos)ら、J.Neuroimmu
nology,10、235−253(1986))。
【0013】
【課題を解決するための手段】TE671系細胞上のA
ChRが、免疫アッセイにおける実際的目的において、
ヒト筋肉AChRと免疫学的に区別できず、上記特許で
示された重症筋無力症のための免疫沈降アッセイにおい
て、切断されたヒト脚部筋肉由来のヒト筋肉AChRと
実質的に同様に機能することが、予期せず、現在明らか
になっている。
【0014】しかしながら、ヒト脚部筋肉由来AChR
とは異なり、TE671系細胞由来AChRは実質的に
無限量、比較的高濃度で容易に入手可能であり、筋肉供
給源由来AChRでの混入につながるタンパク質分解や
他の要素による不均質性および不純性が実質的に回避で
きる。
【0015】上記発見により、重症筋無力症診断のため
の本質的な改良免疫化学的アッセイ系が実行可能とな
る。
【0016】すなわち本発明は、重症筋無力症関連抗A
ChR自己抗体を検出する方法であって、重症筋無力症
関連抗AChR自己抗体を含むと疑われる試料を固相結
合AChRとともにインキュベートする;および該イン
キュベートによりAChRに結合した抗AChR自己抗
体のタイターを測定する;の各工程を含み、該AChR
がTE671系の細胞に由来することを特徴とする方法
を提供する。好ましくは、AChRのエピトープのサブ
セットに結合した抗AChR自己抗体のタイターは、該
エピトープのサブセットに結合するエピトープ遮断物質
の存在下でAChRに結合した抗AChR自己抗体のタ
イターと、エピトープ遮断物質の非存在下でAChRに
結合した抗AChR自己抗体のタイターとを比較するこ
とにより測定される。
【0017】本発明はまた、重症筋無力症関連抗ACh
R自己抗体用の血清の固相イムノアッセイのための基質
であって、TE671系の細胞から得られるAChRと
複合された固体支持体を含む基質を提供する。
【0018】さらに本発明は、重症筋無力症関連抗AC
hR自己抗体用の血清の固相イムノアッセイによる重症
筋無力症の診断のためのキットであって、液体を保持す
るウエルおよびTE671系の細胞から得られるACh
Rと複合された固体支持体を含む基質を含むキットを提
供する。
【0019】
【発明の実施の形態】一つの局面において、本発明は重
症筋無力症診断のための、前述の特許に示されたアッセ
イおよび方法における改良を含むものである。これらの
改良点は、筋肉粗抽出液中のAChRを用いず、TE6
71系細胞由来AChRを使用するところにある。
【0020】前述のように、上記特許のアッセイおよび
その方法は、重症筋無力症患者の血清中の抗AChR自
己抗体を結合した標識AChRの免疫沈降による。AC
hRの標識は、放射性標識、望ましくは 125I標識を施
した。AChRのACh結合部位に高親和的に結合する
クラーレ様神経毒素で行なう。AChRを標識するのに
用いられるクラーレ様毒素は、コブラや海蛇のような多
種の有毒爬虫類動物に見出される、天然に存在するタン
パク質である。
【0021】多くの上記毒素が単離され、配列が決定さ
れている。例えば、カールソン(Karlsson)、
Handbook of Experimental
Pharmacology 52、159−212(1
979)参照。標識に望ましい毒素は、カールソン、前
出に示されている、いわゆる“長神経毒(longne
urotoxin)”である。最も望ましいのは、ブン
ガルス・マルチシンクタス(Bungarus mul
ticinctus)由来のアルファ−ブンガロトキシ
ンである。
【0022】別の局面においては、本発明は、TE67
1系細胞を培養することにより、ヒト血清中の抗ACh
R自己抗体の免疫アッセイによる重症筋無力症診断に適
当なAChRを産生する方法、および、TE671系細
胞培養液から上記免疫アッセイに使用するのに適当な上
記AChRの調製液を得る方法に関するものである。
【0023】TE671系細胞の培養、および、同培養
液からのAChR調製液の回収は、以下の実施例に示
す。
【0024】本明細書における“TE671系細胞”と
は、(i)亜系(subline)No.2培養液、お
よび寄託番号CRL8805としてATCCに寄託され
ている該亜系の培養液を含む、あらゆるTE671細胞
系培養液由来の細胞;あるいは(ii)(i)で規定し
たあらゆる培養液の二次培養液の細胞;あるいは(ii
i)(i)あるいは(ii)で規定したあらゆる細胞の
突然変異体を意味する;上記細胞((i)、(ii)お
よび(iii)のもの)は免疫アッセイにおける実際的
な目的で、ヒト筋肉AChRと免疫学上実質的に同等の
AChRを産生するものとする。“二次培養液”とは、
ある培養液の細胞から培養した培養液(原培養液(so
urce culture))あるいは、問題となる二
次培養液と原培養液との間の二次培養の回数に関わら
ず、原培養液のあらゆる二次培養液を意味する。“TE
671系細胞”の定義(i)および(ii)で規定され
る細胞の突然変異体は、天然に生じる変異体、あるい
は、継代の繰り返し、化学的処理、照射、細胞融合、形
質転換、形質導入、細胞核への核酸のマイクロインジェ
クション等の人為的介入による変異体を含む。
【0025】免疫アッセイにおける実質的目的で、ある
AChRがヒト筋肉AChRを免疫学上実質的同等であ
ることを確実にするための方法は実施例IIに示されて
いる。一般的には、ヒト血清中の抗ヒト筋肉AChR抗
体が、問題となるAChRと高度な交叉反応性(少なく
とも50%程度まで)を有するかどうかという規準は確
認される。規準が得られるか否かは、ヒト筋肉AChR
と問題のAChRの双方を、いずれかのAChR上の抗
原決定基に対して反応すると知られている一群のモノク
ローナル抗体で試験することによって確認される;も
し、モノクローナル抗体に対応する抗原決定基の全て、
あるいはほぼ全て(すなわち、10分の9以上)が上記
試験の結果双方のAChR上に存在するとすれば、免疫
アッセイにおける実際的目的では、二つのAChRは免
疫学上区別できない(すなわち、実質的に同等である)
と結論することができる。上記の免疫学上区別できない
2種のAChRを特徴づける、高度のモノクローナル抗
体の交叉反応性はまた、前述の特許で述べられている免
疫沈降アッセイにおける標識毒素に対する親和性の相違
などの、あらゆる既知の非免疫学的要素についての補正
後、ヒト筋肉AChRの免疫アッセイで決定された血清
試料の抗AChR抗体の力価がTE671系細胞由来A
ChRの力価に比べ、わずか25%(不可避の実験上の
不確実性により若干の変動がある)しか大きくないであ
ろうということを示唆する。二種のAChRで決定され
た抗AChR抗体の力価の相関は、上記特許による免疫
沈降アッセイで決定された力価と実施例IIに示される
力価を、抗AChR抗体力価が少なくとも一桁以上の範
囲の少なくとも10種の血清について比較することによ
って確実に確かめることが可能である。
【0026】ATCCに寄託番号CRL8805として
寄託されている、TE671系亜系2の培養細胞のAC
hRは、免疫アッセイにおける実際的目的では、ヒト筋
肉AChRと免疫学上区別できない。実際、第1図でプ
ロットされたデータに示されるように、毒素に対する親
和性の相違で補正した後(実施例II参照)、上記培養
細胞由来AChRとヒト脚部筋肉由来AChRに関す
る、ヒト血清中の抗AChR自己抗体の交叉反応性は、
実験的誤差内で、ほぼ100%であり;これら二種の供
給源由来のAChRは、重症筋無力症患者の同疾患の診
断の為の血清の免疫アッセイで交換可能である。
【0027】本発明はさらに、TE671系細胞由来A
ChRを抗原として用いる、ヒト筋肉AChRに対する
自己抗体の固相免疫アッセイを含む。抗AChR自己抗
体に関する免疫アッセイは、これまではヒト筋肉ACh
Rを十分量得ることが極めて困難であり、それに付随す
る高コストのために実行不可能であったが、TE671
細胞由来AChRの有効性により、容易に行なえるよう
になる。固相免疫アッセイは、固相免疫アッセイ分野で
既知の方法に従い、TE671系細胞由来AChRを用
いて行なう。
【0028】固相免疫アッセイの“基質”は、免疫アッ
セイ分野で既知の多くの方法のいずれかによって、AC
hRを固体支持体に共有結合的あるいは非共有結合的に
結合させることによって作製する。同分野で知られてい
る固相支持体のうちで使用し得るものは、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポ
リメタクリレート、ポリアクリルアミド、AChRを付
着させることのできる他の合成重合体物質、ガラス、ニ
トロセルロース、セルロース、およびアガロース製のも
のである。固相支持体は、例えばある種のアガロース物
質(例えば、米国ニュージャージー州ピスカタウエイ、
ファルマシア社のセファクリルS−500)などで形成
されているような“マクロポア(macroporou
s)”ゲル型支持体も可能である。固相支持体は、極小
球あるいはビーズ(例えば“ラテックス”ビーズ)など
の極小顆粒の形態、あるいは、微量遠心チューブなどの
チューブの内壁、マイクロタイタープレートあるいはミ
リタイタープレートのウエルも可能である。AChRを
付着させた固相支持体は、本分野で理解されているよう
に、AChRで占められていない支持体上の部位を遮断
することによりバックグラウンドを低下させるために適
当な洗浄および材料とのインキュベーションを行なった
後、また、AChR上のあるエピトープを遮断する物質
(クラーレ様神経毒素、低分子コリン作動性リガンド、
あるいは抗体など)と随意のプレインキュベーションを
行なった後、実施例IIIで示されているように、ある
いは本分野で理解されているように、血清あるいは、よ
り一般的には適当な緩衝液によるその希釈液とともにイ
ンキュベートする。随意に、AChR結合固相支持体と
のインキュベートに先立ち、血清(あるいは希釈液)を
ある種の物質(クラーレ様神経毒素、低分子量コリン作
動性化合物、あるいは抗体)と、血清中のあらゆる自己
抗体がAChR上のあるエピトープに結合することと外
的に競合するのに十分な濃度で混合することもできる。
使用され得る上記エピトープ遮断物質によって遮断され
ないAChR上のエピトープに対する血清中の自己抗体
はAChRに結合するであろう。本分野で理解されてい
るように適当な洗浄を行なった後、次に、標識抗自己抗
体、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphyl
ococcus aureus)由来の標識したAタン
パク質、あるいは検出のために標識されており、自己抗
体には結合するが上記系の他の物質には有意には結合し
ないようなタンパク質などの物質とインキュベートする
ことにより、AChRに結合する自己抗体を検出する。
【0029】望ましくは、標識抗自己抗体を検出に使用
する。典型的には、標識抗自己抗体は、標識されたポリ
クローナル抗ヒトIgGと規定されるであろう。しかし
ながら、抗ヒトIgG1あるいは抗ヒトIgMなどのポ
リクローナルサブクラス特異的抗イムノグロブリン、あ
るいは、一定のクラスあるいはサブクラスに特異的では
ない抗ヒトイムノグロブリンも使用し得る。検出のため
に使用する抗血清は、典型的にはヤギ、ウサギ、ラッ
ト、あるいは、マウスであるが、他の非ヒト哺乳類も供
給源として使用可能である。
【0030】固相免疫アッセイがELISAである場合
には、抗ヒト免疫グロブリン、S.アウレウスのAタン
パク質、あるいは抗AChR自己抗体に結合する物質の
標識は、酸あるいはアルカリホスファターゼ、ペルオキ
シダーゼ、あるいは、ベータ−ガラクトシダーゼなどの
酵素であって、検出は、本分野で知られているように、
酵素標識によって触媒される反応によって産生される産
物を用いて行なう。
【0031】固相免疫アッセイがELISAでなく、抗
免疫グロブリン、S.アウレウスAタンパク質、あるい
は、他の物質上に標識が存在する場合には、標識は通常
酵素とは異なるものとなるであろう。上記非酵素標識
は、放射性元素、クロモフォアあるいはフルオロフォ
ア、およびビオチンを含む;これら各々の標識各々の検
出法は、本分野で知られている他の使用可能な標識と同
様に、本分野で既知である。 125I標識が望ましい。
【0032】別の方法では、抗AChR自己抗体が結合
し、非標識抗自己抗体も結合しているAChRは、標識
したS.アウレウスAタンパク質をともにインキュベー
ションし、Aタンパク質上の標識を検出することによっ
て検出する。Aタンパク質上の標識は、上記の、あるい
は本分野で知られている他の酵素あるいは別のいかなる
標識も可能である。
【0033】本発明の別の局面は、AChR上のエピト
ープの多様なサブセットに結合する上記自己抗体の分画
の力価によって、重症筋無力症患者の抗AChR自己抗
体を解析する方法である。本方法は、患者血清に対する
4種の固相免疫アッセイのうち少なくとも2種のアッセ
イを行なうことを含むものであり、その4種の免疫アッ
セイは次の点を除いては実質的に同等である:一つは、
AChRのみが結合している固相を用いるもの;一つ
は、血清試料とのインキュベーションの前に、あるいは
同時に、主要免疫原領域に対するモノクローナル抗体
(mAb 35など)とインキュベートしたAChRが
結合した固相を用いるもの;一つは、血清試料とのイン
キュベーションに先立つか、あるいは同時にクラーレ様
神経毒素とインキュベートしたAChRが結合した固相
を用いるもの;および、一つは、血清試料とのインキュ
ベーションに先立つか、あるいは同時に、ACh結合部
位に強く結合するが、神経毒素のように近傍領域を遮断
しないような低分子量化合物(例えば、カルバミルコリ
ンなどのニコチン性コリン作動性化合物)とインキュベ
ートしたAChRが結合した固相を用いるもの。ACh
Rのみを用いたアッセイは、AChR上のエピトープに
対する全自己抗体の力価についての情報を与える。主要
免疫原領域に対するモノクローナル抗体を用いたアッセ
イは、AChRの主要免疫原領域の外側のエピトープに
対する自己抗体の力価に関する情報を与える。クラーレ
様神経毒素を用いたアッセイは、ACh結合部位、およ
び毒素によって遮断された近傍部位の外側のエピトープ
に対する自己抗体の力価に関する情報を与える。最後
に、ACh結合部位に結合する低分子量化合物を用いた
アッセイは、ACh結合部位自体に対する自己抗体の力
価に関する情報を与える。通常これらのアッセイでは、
エピトープ遮断物質とAChRとのインキュベーション
は、遮断物質と血清試料とを化合させることによって行
なわれ、遮断物質と同じエピトープに結合すると考えら
れる血清中のほぼ全ての自己抗体が結合する際に外的に
競合するために、試料中十分に高濃度で、遮断物質を免
疫アッセイ基質(すなわち、AChRが結合した固相支
持体)とインキュベートする。
【0034】上で示唆したように、固相免疫アッセイの
基礎は、TE671系細胞由来AChRが共有結合ある
いは非共有結合で複合体を作る基質物質である。これら
のAChRが結合した固相基質もまた、本発明の一部で
ある。これらの基質は、ある抗原に対する抗体に関する
固相免疫アッセイに適当な方法で、固相支持体に抗原を
付着させるための、本分野で既知のいずれかの方法で調
製する。
【0035】TE671系細胞由来AChRは、重症筋
無力症診断のためのキットの作製を容易にする。該キッ
トもまた、本発明に含まれる。該キットは、TE671
系細胞由来AChRおよび、本発明による基質を調製す
るためにAChRが付着し得る固相支持体を含む。任意
に、該キットは、本発明による基質を含むことができる
(すなわち、TE671系細胞由来AChRが既に付着
している、固相支持体)。本発明のキットはまた、抗A
ChR自己抗体に関する患者血清の固相免疫アッセイに
必要な他の要素、例えば、抗AChR自己抗体によるA
ChRの部分への結合を遮断するリガンドあるいはモノ
クローナル抗体(キットが、自己抗体が結合するACh
R上の部位を解析するアッセイに使用される場合)、緩
衝液、検出のために標識された抗ヒトIgG、および実
施例IIIに示される他の構成要素、および、固相免疫
アッセイ分野で理解される他の構成要素なども含むこと
ができる。
【0036】本発明は、以下の実施例で、より詳細に示
される。
【0037】
【実施例】実施例I TE671系細胞の培養 哺乳動物細胞の培養に関する、本分野で既知のいかなる
技術も、TE671系細胞の培養に使用し得る。
【0038】TE671細胞を培養する望ましい方法
は、37℃で、90%空気、10%CO2 である大気中
で、10%ウシ胎児血清を含む、イスコフ(Iscov
e)が修飾したダルベッコの最小必要培地(Dulbe
cco′s minimalessential me
dium)(米国カリフォルニア州サンタアナ、アービ
ン・サイエンティフイック社)を用いるものである。
【0039】微小体積は、1.5ml培地中3×105
細胞のイノキュラムを用いて、35mm培養皿で培養す
る。3日後に培地を交換し、6日目あるいは7日目に最
適のAChR量を得る。
【0040】大量培養では、プラスチック製ローラーボ
トル(米国カリフォルニア州オックスナルド、ファルコ
ン・ラブウエア、ベクトン−ディキンソン社)が使用さ
れる。850cm2 ボトルの場合には、培地150ml
に3×107 細胞を注入する;1750cm2 ボトルの
場合では、培地300mlに6×107 細胞を注入す
る。培地は5日目に交換し、9日目から10日目に、A
ChR収量は最適となる。
【0041】実施例II TE671系細胞由来アセチルコリン受容体の単離およ
び解析と、免疫沈降アッセイにおける該受容体の使用 AChRは、典型的には、一度に850cm2 ローラー
ボトル6個から7個分の培養液から単離されてきたが、
はるかに多量の培養液を同時に、容易に操作することが
可能である。以下の方法は、TE671系サブラインN
o.2の細胞培養液からAChRを単離する際に通常用
いたものであり、細胞試料は、寄託番号CRL8805
として、ATCCに寄託されている:実施例Iに述べた
ように培養し、9日目あるいは10日目の各々850c
2ボトルの培養液に、25mlの回収緩衝液(har
vest buffer)(100mM NaCl、1
0mM、Na- リン酸緩衝液、10mM、NaN3 、1
5mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、2mM
PMSF(フェニルメタンスルホニルフルオライ
ド)、15mM IAA(ヨード酢酸)、および5mM
ベンズアミジン、pH7.5)を加える、次に、細胞が
プラスチックから離れるまでボトルを激しく振盪する。
緩衝液および細胞を氷上のボトルに集め、ローラーボト
ルをさらに100mlの回収緩衝液でボトルからボトル
へすすぎ、残りとともにプールする。次に、ポリトロン
ホモジナイザーを用い、泡が生じる直前のスピードで1
5秒間細胞を破壊する。膜と他の粒子を、ホモジュネー
トをベックマンTi50.2ローター(米国カリフォル
ニア州パロアルト、ベックマン・インストルメント社、
スピンコ部門)で4℃、45,000rpm(302,
000×g)で30分間遠心することによって集める。
典型的には、850cm2 ボトルあたり、1.5mgの
ペレットが回収される。ペレットは、4倍量の抽出緩衝
液(10mM リン酸ナトリウム、5mM EDTA、
5mM EGTA(エチレングリコール、ビス−(2−
アミノエチルエーテル)−N,N,N′,N′−四酢
酸)、5mM IAA、5mM ベンズアミジン、2m
M PMSF、2%トリトンX−100、pH7.5)
中に置き、ポリトロンで15秒間おだやかに懸濁する。
4℃で緩やかに振盪して30分間抽出した後、調製液を
上と同様に遠心する。上清は典型的には、850cm2
ボトルあたりおよそ6.6×10-11 モルの収量で、約
1.1×10-8MのAChRを含む。比較となる刻んだ
筋肉組織の粗抽出液では、AChRは約2×10-10
から2×10-9M、一般的には1×10-9以下しか含ま
ない。
【0042】免疫沈降アッセイは、TE671細胞ある
いは切断したヒト脚部由来筋肉のいずれかの2%トリト
ンX−100抽出液(本実施例中で前述)から2nMの
AChRを用いて、実質的に前述の特許に示された方法
で、45人の患者の血清に対して行なった。TE671
細胞抽出液中のAChR濃度は、アッセイ緩衝液(10
0mM NaCl、10mM リン酸ナトリウム緩衝
液、10mM NaN3、0.5%トリトンX−10
0、pH7.5)で希釈し、2nMに下げた。使用した
筋肉抽出液はまれなものであり、AChR濃度は約2n
Mであり、希釈せずに使用した。より典型的には、筋肉
抽出液中のAChR濃度は、顕著により低いはずであ
り、標準的な方法(例えば、アミコン濃縮機(米国マサ
チューセッツ州ダンバース、アミコン社))によって、
AChR濃度が2nMに達するまで増加させる。
【0043】AChRは、リン酸ナトリウム緩衝液、p
H7−7.5中 125I標識アルファ−ブンガロトキシン
濃度を4nMとした 125I標識アルファ−ブンガロトキ
シン溶液2マイクロリットル量とAChR溶液を混合
し、次に、得られた溶液を4℃で4時間インキュベート
することによって標識した。
【0044】分析は、試験される各々の血清をアッセイ
緩衝液で多種に希釈し、三重に行なった。補充用正常ヒ
ト血清を、各試料に加え、最終反応混合液中の血清が全
部で5マイクロリットルになるようにした。希釈の目的
は、試験する血清由来抗AChR自己抗体の濃度を、ア
ッセイで測定可能な範囲、望ましくは、アッセイ溶液中
の標識AChRの10−20%が抗AChR自己抗体に
結合されている範囲内にすることである。行なう希釈は
様々であろうが、血清試料が結合するアッセイ溶液中の
標識AChRの濃度、および、重症筋無力症患者血清中
の抗AChR自己抗体がおよそ1500nMまで高くな
り得るという事実を考慮に入れて決定される。補充正常
血清は各試料の免疫グロブリンの全濃度がほぼ等しくな
るように加える。
【0045】各々の試験血清の各々を希釈した3つの試
料のそれぞれは、100マイクロリットルの標識ACh
R溶液(2nM)と結合させ、結合は、4℃で一晩イン
キュベートした。次に、100マイクロリットルのヤギ
抗ヒトIgG(血清5マイクロリットル中の全てのIg
Gを沈降させるのに十分な濃度で)を加え、得られた溶
液を4℃で30分間インキュベートし、全てのヒト血清
IgGを沈降させた。1mlのアッセイ緩衝液を加えた
後、溶液を20℃で2分間10,000×gで遠心し
た。上清を吸引し、ペレットを2回、各回1mlのアッ
セイ緩衝液でボルテックスをかけて洗浄した後2分20
℃で10,000×gで遠心し、上清を吸引した。最後
に、ペレット中の 125Iを標識的方法で、ガンマー計数
によって決定した。
【0046】5マイクロリットルの正常血清を用いて得
られたブランク量は、各試料から決定される量から減じ
た。
【0047】本実施の結果は、第1図に示している。図
では、ヒト脚部筋肉AChRで決定した、抗IgGによ
って沈降し得る抗AChR抗体の血清濃度の対数を、T
E671細胞由来AChRで決定した同じ濃度の対数の
関数としてプロットしている。各々の試料におけるこれ
ら2つの濃度の同一性の相違は、アッセイ法での実験的
な誤り、および、ヒト筋肉由来AChRと結合したアル
ファ−ブンガロトキシンの解離定数(1.8×10-10
M、ルーキー(Luky)およびモルガン−ヒュース
(Morgan−Hughes)、Ann.N.Y.,
Acad.Sci.377,61(1981))と、T
E671系サブラインNo.2細胞由来AChRと結合
しているアルファ−ブンガロトキシンの解離定数(1.
4×10-9M、シアピン(Syapin)ら、前出)と
の間の報告されている相違によって説明される。本実験
の結果により、ヒト筋肉由来AChRに対する血清自己
抗体は、TE671細胞由来AChRと70%以上の交
叉反応性を有すること、および、免疫アッセイにおける
実際的目的では、二種の供給源由来AChRは相互換的
に使用可能である。
【0048】二つの供給源由来のAChRが、少なくと
も免疫アッセイの目的では、免疫学上同等であるという
結論をさらに支持するものとして、ヒト脚部筋肉由来A
ChRとTE671系細胞由来AChRとのモノクロー
ナル抗体を用いた比較により、TE671細胞由来AC
hR上にも存在しない脚部筋肉由来AChR上のいかな
る抗原決定基も同定できなかった。
【0049】実施例III ヒト筋肉アセチルコリン受容体に対する血清自己抗体の
ための固相免疫アッセイにおけるTE761系細胞由来
アセチルコリン受容体の使用 (A)AChRが付着した固相の調製 実施例IIで述べた方法に引きつづき、ただし、ペレッ
トの体積に比較して、4倍の抽出緩衝液ではなく、8倍
量を用い、TE671系サブラインNo.2の細胞培養
液から、75mlのAChRのトリトンX−100抽出
液が得られ、その試料は、寄託番号CRL8805とし
てATCC寄託している。抽出液のAChRは、次に、
リンドストロム(Lindstrom)ら、Metho
ds in Enzymology 74C、432−
459(1981)の以下に示す方法により、毒素−ア
ガロースでアフィニティーによって精製した:およそ
5.9×109 M AChRを含むトリトンX−100
抽出液を、毒素−アガロースの3mlのカラム(セファ
ロースC14B(米国ニュージャージー州ピスカタウエ
イ、ファルマシア社)1mlあたり0.5mgナジャナ
ジャシアメンシス毒III)を42ml/hrの速度
で、4℃で一晩再循環させた。(明らかに毒素に対して
低アフィニティーである、TE671AChRの改良さ
れた結合は、おそらく、5−10mg/mlの毒素を含
むアフィニティカラムを用いて得られたものであろ
う。)次にカラムを10nMリン酸ナトリウム緩衝液、
pH7.5中0.1%トリトンX−100 10mlで
洗浄した。AChRの溶出は、溶出緩衝液(0.1%ト
リトンX−100、100mM NaCl、10mM
NaN3 、10mM リン酸ナトリウム、pH7.5)
中1Mカルバミルコリンを用いて、3mlの独立のアリ
コートで、4℃において8時間、次に18時間、そして
最後に36時間再循環させる。3つの溶出液は、次に混
合し、カルバミルコリンを除くために溶出緩衝液に対し
て4℃で透析した。上記の条件で、0.44nmole
加えたうち、0.226nmoleが結合し、全部で
0.101nmoleが13.8nM溶液8.1mlに
溶出した。
【0050】AChR濃度は、 125I標識アルファ−ブ
ンガロトキシン(リンドストロムら、前出)で標識した
AChRの免疫沈降によってアッセイする。アッセイ
は、ウサギ、マウス、あるいはラットなど由来ポリクロ
ーナル抗AChR抗血清、高血清力価の抗AChR自己
抗体を有する重症筋無力症患者由来血清、あるいは、m
Ab35やmAb64などの抗AChRモノクローナル
抗体を用いて、行ない得る。
【0051】精製したAChRは、ミリポアミリタイタ
ー−HA96ウエル濾過プレート(米国マサチューセッ
ツ州ベッドフォード、ミリポア社、カタログ番号STH
A096NS)のウエルに、30マイクロリットルのア
リコートを4℃で一晩作用させることによって結合させ
た(一つのウエルあたり400fmole以上のACh
Rが結合可能である)。過剰の結合は、50マイクロリ
ットルの抑制緩衝液(quench buffer)
(3%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.2%トゥィ
ーン20、100mM NaCl、10mM NaN
3 、10mM リン酸ナトリウムpH7.5)を加え、
2時間4℃で放置することにより抑制した。全ての液体
は、ミリポアミリタイター真空ホルダー(ミリポア社、
カタログ番号XX2809600)を用いて除去した。
次に、試験血清資料(抑制緩衝液で適当に30マイクロ
リットルに希釈)を各ウエルに加え、4℃で4時間放置
した。上述のように液体を除去した後、ウエルを300
マイクロリットルの抑制緩衝液で2度洗浄した。次に
125I標識した。アフィニティー精製したヤギ抗ヒトI
gG(抑制緩衝液中1×10-8Mの溶液30マイクロリ
ットル)をウエルに加え、2時間4℃で放置した。この
液体を除去し、300マイクロリットルの抑制緩衝液で
二度洗浄した後、フィルターに穴をあけてウエルから取
りだし(ミリポアフィルターパンチを用いる。ミリポア
社カタログ番号XX2809620)、標準的方法でガ
ンマ計数を行なうため、ガンマーカウンターに入れた。
抑制緩衝液で希釈した正常ヒト血清を対照として用い、
試験試料中の抗AChR自己抗体のAChRへの結合を
示す、ガンマ線放出値は、試験試料について得られた値
から、固有の正常血清値を減じることによって得られ
る。本アッセイを用いて得られたデータは、第2図に示
しており、縦軸はガンマ線放出の1分あたりのカウント
(cpm)の単位、横軸はアッセイした試験血清のマイ
クロリットルの単位である。
【0052】正常ヒトIgGをAChRの換わりにウエ
ルに加え、正常ヒトIgGに結合した 125I標識抗ヒト
IgGからのガンマ線放射を測定するものを標準とし
て、上述のように得られたガンマ線放出データから、自
己免疫IgGのグラム数あるいはモル数/患者血清のリ
ットル数、の単位で、重症筋無力症患者血清中のACh
Rに対する自己抗体濃度を計算することができる。結果
はまた、実施例IIで示した免疫沈降アッセイを用いて
得られる値に標準化することも可能である。AChRに
結合する自己抗体を検出するために抗IgGのみを用い
るのでなく、標識したサブクラス特異的な血清も使用で
き、それによって、自己抗体のサブクラスの寄与が決定
される。
【0053】明らかに、ミリタイタープレートウエルに
結合しているAChRのおよそ半数は、 125I標識アル
ファ−ブンガロトキシンに結合する能力を保持してい
る。従って、AChR結合部位あるいはその近傍に対す
る、患者血清中の自己抗体分画は、血清について2種の
免疫アッセイを行なうことによって決定される:一つは
上述のものであり、もう一方では、ウエルに結合してい
るAChRを、過剰量のアルファ−ブンガロトキシン
(あるいは類似の毒素)、あるいは、カルバミルコリン
などの低分子量コリン作動性リガンドを含む血清試料と
ともにインキュベートし、毒素あるいはコリン作動性リ
ガンド結合部位に、実質的に上記部位に結合する血清中
のあらゆる自己抗体が結合する際に外的に競合させるも
のである。上記二種のアッセイの結果から、毒素あるい
はコリン作動性リガンドによってAChRに対する結合
を阻害される自己抗体分画が決定可能である;この分画
は、ACh結合部位、あるいはその近傍に対する自己抗
体分画である、あるいは、ほぼそうであると言える。同
様に、AChRの主要免疫原領域に対する自己抗体分画
は、ラットモノクローナル抗体mAb35などの、AC
hRの主要免疫原に対する過剰量のモノクローナル抗体
と混合した血清とともに、ウエルに結合したAChRを
インキュベートすることにより、AChRとの結合を阻
害された分画を決めることによって決定できる。
【0054】細胞系の寄託 TE671細胞系(サプラインNo.2)、ハイブリド
ーマ系mAb35(モノクローナル抗体mAb35を産
生する)およびmAb64(モノクローナル抗体mAb
64を産生する)の培養液は、1986年1月6日に先
立ち、特許手続の目的のための微生物寄託に関するブダ
ペスト協定および、その下に公布された規約に基づき、
米国メアリーランド州ロックビル、アメリカン・タイプ
・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託され
た。TE671細胞培養液は、ATCC寄託番号CRL
8805を与えられている。ハイブリドーマmAb35
の培養液はATCC寄託番号HB8857を与えられて
いる。ハイブリドーマmAb64は、ATCC寄託番号
HB8987を与えられている。これら3つの培養液全
ての試料は、産業財産局あるいは法的にそれらを入手す
る資格を与えられている他の部局から入手することが可
能になるであろう。
【0055】本発明は、ここに幾つかの特異的例ととも
に述べられているが、この分野に携わる者は、本発明の
本質の範囲内で多くの修飾および変法を考えつくであろ
う。これらの修飾法および変法は、ここに述べ、請求さ
れるように、本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、上記特許に示された血清抗AChR
自己抗体の免疫沈降アッセイ法における、ヒト脚部筋肉
由来AChRとTE671系細胞由来AChRの実質的
な同等性を示している。図は、 125I標識アルファ−ブ
ンガロトキシンで標識したヒト脚部筋肉AChRを用い
た上記免疫沈降アッセイで決定した45人の重症筋無力
症患者血清中の抗AChR自己抗体濃度(nM単位)の
対数(10を底とする)を、同じ血清中の抗AChR自
己抗体濃度を、ヒト脚部筋肉AChRをTE671系細
胞由来AChRに換えた以外は上記と同様のアッセイ法
で決定したもの(nM単位)の対数(10を底とする)
の関数として示したグラフである。
【図2】 図2は、TE671系細胞由来AChRを固
相結合抗原とし、12 5I標識ヤギ抗ヒトIgGを抗原結
合自己抗体の検出に用いた、多数の重症筋無力症患者の
血清抗AChR自己抗体の免疫アッセイのデータを示し
ている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 596086505 10010 North Torrey Pi nes Road,La Jolla,C alifornia 92037,Unite d States of America

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重症筋無力症関連抗AChR自己抗体を
    検出する方法であって、重症筋無力症関連抗AChR自
    己抗体を含むと疑われる試料を固相結合AChRととも
    にインキュベートする;および該インキュベートにより
    AChRに結合した抗AChR自己抗体のタイターを測
    定する;の各工程を含み、該AChRがTE671系の
    細胞に由来することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 AChRのエピトープのサブセットに結
    合した抗AChR自己抗体のタイターが、該エピトープ
    のサブセットに結合するエピトープ遮断物質の存在下で
    AChRに結合した抗AChR自己抗体のタイターと、
    エピトープ遮断物質の非存在下でAChRに結合した抗
    AChR自己抗体のタイターとを比較することにより測
    定される、特許請求の範囲第1項記載の方法。
  3. 【請求項3】 エピトープ遮断物質がクラーレ様神経毒
    素、ニコチン様アセチルコリンリガンド、および、抗A
    ChR自己抗体のAChR部分への結合を遮断するモノ
    クローナル抗体から選択される、特許請求の範囲第2項
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 エピトープのサブセットがアセチルコリ
    ン結合部位を含み、エピトープ遮断物質がアルファ−ブ
    ンガロトキシンまたはカルバミルコリンである、特許請
    求の範囲第2項記載の方法。
  5. 【請求項5】 エピトープのサブセットがAChRの主
    要免疫原領域を含み、エピトープ遮断物質がATCC受
    託番号HB8857により寄託されているハイブリドー
    マ細胞株から得ることができる抗体mAb35である、
    特許請求の範囲第2項記載の方法。
  6. 【請求項6】 重症筋無力症関連抗AChR自己抗体用
    の血清の固相イムノアッセイのための基質であって、T
    E671系の細胞から得られるAChRと複合された固
    体支持体を含む基質。
  7. 【請求項7】 AChRがATCC受託番号CRL88
    05により寄託されているTE671系サブラインN
    o.2の細胞から得られるものであることを特徴とす
    る、特許請求の範囲第6項記載の基質。
  8. 【請求項8】 チューブの内壁の一部、あるいは、ミリ
    タイターまたはマイクロタイタープレートのウエルの一
    部である、特許請求の範囲第6項記載の基質。
  9. 【請求項9】 重症筋無力症関連抗AChR自己抗体用
    の血清の固相イムノアッセイによる重症筋無力症の診断
    のためのキットであって、液体を保持するウエルおよび
    TE671系の細胞から得られるAChRと複合された
    固体支持体を含む基質を含むキット。
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