JPH09298945A - 植物体の芳香強化剤、その芳香強化方法及びそれにより芳香が強化された植物体 - Google Patents

植物体の芳香強化剤、その芳香強化方法及びそれにより芳香が強化された植物体

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JPH09298945A
JPH09298945A JP11729596A JP11729596A JPH09298945A JP H09298945 A JPH09298945 A JP H09298945A JP 11729596 A JP11729596 A JP 11729596A JP 11729596 A JP11729596 A JP 11729596A JP H09298945 A JPH09298945 A JP H09298945A
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JP
Japan
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aroma
plant
plant body
enhancer
alcohol
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JP11729596A
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Takashi Kimura
隆 木村
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薬害を与えることなく、植物体の芳香を強化
させることのできる植物体の芳香強化剤、その芳香強化
方法及びそれにより芳香が強化された植物体を提供す
る。 【解決手段】 アニスアルコールの配糖体を有効成分と
して含有してなることを特徴とする植物体の芳香強化
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切り花等の植物体
の芳香を強化させることのできる植物体の芳香強化剤、
その芳香強化方法及びそれにより芳香が強化された植物
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】花の主要香気成分として、例えば、ゲラ
ニオール、シトロネロールのようなモノテルペンアルコ
ールやフェネチルアルコール、ベンジルアルコールのよ
うな芳香族アルコールが知られている。植物体内におい
て、これらのアルコールは遊離の形で存在する以外に、
葉、花あるいは根中で配糖体として存在することが報告
されている。これらの配糖体はそのもの自体無香性であ
るが、開花時に酵素により加水分解され香気を呈するよ
うになると考えられている(化学と生物、Vol.32、No.
3、1994、203 )。この花の香気生成メカニズムを利用
した研究は近年盛んに行われてきており、例えば、香料
配糖体の、植物体の芳香強化剤への利用が提案されてい
る(特開平6-336401号公報、特開平6-57288 号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、今まで
報告されている香料配糖体を有効成分とする植物体の芳
香強化剤はいずれもその毒性により植物体の茎、葉、花
に黒い斑点等の薬害を生じさせる。その結果、植物体に
十分に付香させうる香料配糖体の濃度で植物体を処理す
ると、植物体に薬害を生じせしめ、また、植物体に薬害
を生じさせない香料配糖体の濃度で植物体を処理した場
合には、芳香強化効果が十分ではないという問題があっ
た。本発明は、植物体に薬害を与えることく、植物体の
芳香を強化させることのできる植物体の芳香強化剤、そ
の芳香強化方法及びそれにより芳香が強化された植物体
を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
課題を解決するために鋭意検討の結果、アニスアルコー
ルの配糖体が、植物体に薬害を与えることなく、植物体
の芳香を強化させることを見い出し、本発明を完成する
に到った。すなわち、第1の発明は、アニスアルコール
の配糖体を有効成分として含有してなることを特徴とす
る植物体の芳香強化剤を要旨とするものである。また、
第2の発明は、上記の芳香強化剤と植物体とを接触させ
て植物体の芳香を強化することを特徴とする植物体の芳
香強化方法を要旨とするものである。さらに、第3の発
明は、上記の芳香強化剤で芳香が強化された植物体を要
旨とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の対象となる植物体としては、菊、バラ、カスミ
ソウ、カーネーション等が挙げられるが、これらの植物
体に限定されるものではなく、また、これらの植物体
は、切り花はもとより、例えば、路地、ハウス、植え木
鉢等で栽培される、観葉植物である隠花植物あるいは花
を観賞する顕花植物等を包含するものである。
【0006】本発明に用いられるアニスアルコールの配
糖体としては、O−グリコシド結合を持つものだけに限
定されるものではなく、C−グリコシド結合等の結合を
持つものも挙げられる。具体的には、糖部分としては、
単糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、ラム
ノース、キシロース、リボース、アラビノース、グルコ
サミン、ガラクトサミン等)、二糖類(ラクトース、マ
ルトース、シュウクロース、セロビオース、イソマルト
ース等)、多糖類(デンプン等)、還元糖(ソルビトー
ル、ガラクチトール、マンニトール、キシリトール等)
が挙げられるが、この中でも合成が容易で、植物体内で
蓄積、分解されやすいガラクトースが望ましい。アニス
アルコールと糖との結合はα体、β体いずれでもよく、
また、α体とβ体の混合物でもよいが、植物体内で蓄
積、分解されやすいと考えられるβ体、特にβ−D−ガ
ラクトシド体が望ましい。
【0007】これらのアニスアルコールの配糖体は、市
販されているものはないが、公知の方法で容易に合成す
ることができる。例えば、α体は糖類とアニスアルコー
ルとを酸触媒の存在下に反応させることにより容易に合
成でき、β体はKoenigs-Knorr 反応〔Chem.Ber.,34957
(1901) 〕を用いることにより合成することができる。
また、例えばβ−D−ガラクトシド体は酵素法により合
成することもできる。このようにして合成されたこれら
の配糖体はカラムクロマト等の手段を用いて精製するこ
とができる。
【0008】植物体に接触させる際のアニスアルコール
の配糖体の濃度としては、対象となる植物体の種類及び
糖部分の種類等様々な条件に影響されるので、一概には
特定できないが、一般的には約0.01〜10重量%で
あることが好ましく、特に約0.1〜1重量%であるこ
とが好ましい。また、植物体の芳香強化剤に含まれるア
ニスアルコールの濃度は特に限定されるものではなく、
アニスアルコールの濃度が上記の範囲を超える場合に
は、水で薄めて使用すればよい。
【0009】本発明の植物体の芳香強化剤は、アニスア
ルコールの配糖体のほかに、他の香料配糖体、水溶性香
料、分散性香料と適宜に混合して種々の芳香を有する芳
香強化剤としても使用することができることは言うまで
もない。また、アニスアルコールの配糖体の水に対して
の溶解性をさらに挙げるために、所望によりアルキルベ
ンゼンスルホン酸塩、しょ糖脂肪酸エステル等の界面活
性剤やエタノール等の極性溶媒を含有してもよく、さら
に、窒素、リン酸、カリウム、しょ糖、ビタミンC等の
栄養源、鉄、亜鉛、マンガン、銅、ほう素等の微量栄養
素分、B−ナイン、ベンジルアデニン、ブラシノライド
等の植物生長調節剤、市販の切り花延命剤等を含有して
もよい。
【0010】次に、本発明の植物体の芳香強化方法につ
いて説明すると、上記の芳香強化剤と植物体とを接触さ
せるには、例えば、切り花の場合には、切り花の切り口
を上記の芳香強化剤の水溶液に浸けて、切り花に吸収さ
せるだけでよく、特別な処理をなんら必要としないので
容易に実施することができる。また、本発明の芳香強化
剤の水溶液に浸漬したままで芳香を強化させることも可
能であるし、一定時間のみ浸漬することによりその後の
芳香を強化させることも可能である。切り花以外の植物
体の芳香強化方法としては、例えば、植物体を植えてい
る路地、ハウス、植木鉢等の土壌中に適当濃度の本発明
の芳香強化剤の水溶液を散布すればよい。散布されたア
ニスアルコールの配糖体は植物体の毛根を通して植物体
に吸収され、花もしくは葉からアニスアルコールの芳香
が持続的に発散される。
【0011】このようにして芳香が強化された植物体
は、元々植物体が有する香りとアニスアルコールの香り
が組み合わさることにより嗜好的に好ましい香りを呈す
る。
【0012】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 参考例1(アニシルα−グルコシドの合成) D−グルコース20g、アニスアルコール120g、ア
ンバーリスト15E 4gを80〜90℃で12時間反応さ
せた後、反応液を冷却してろ過し、ろ液より過剰のアニ
スアルコールを減圧下に溜去した。残渣に50ミリリッ
トルのクロロホルムを加えた後、200ミリリットルの
水で2回抽出操作を行い、配糖体を水層に抽出した。こ
の水層をHP−20カラム(三菱化学社製)にかけた
後、凍結乾燥を行い、アニシルα−グルコシド9.6g
を白色粉末として得た(収率:3.7%)。得られたア
ニシルα−グルコシド粉末の13C-NMR (機種:ラムダ3
00WB日本電子社製、以下同様)を測定した結果、10
0.5ppmにC-1 位のシグナルが検出されたことから、得ら
れた粉末がアニシルα−グルコシドであることが明らか
である。
【0013】参考例2(アニシルβ−グルコシドの合
成) モレキュラーシーブ4A50g、炭酸銀11.0g、アセ
トブロモグルコース20.0gを含むドライエーテル1
50ミリリットルに、アニスアルコール6.1gを含む
ドライエーテル20ミリリットルを滴下した後、室温
(20℃)下で20時間反応させた。反応終了後、反応
液をろ過し、ろ液中のエーテルを減圧下に溜去した。得
られたアニシルテトラ−O−アセチル−β−グルコシド
を室温(20℃)下で1Mのカリウムメトキシドを含む
メタノール溶液中で3時間反応させて反応生成物を得
た。得られた反応生成物を1Nの塩酸で中和後、ろ過
し、ろ液中のメタノールを減圧下に溜去した。残渣をH
P−20カラム(三菱化学社製)にかけた後、凍結乾燥
を行い、アニシルβ−グルコシドを白色粉末2.7gと
して得た(収率:20%)。得られたアニシルβ−グル
コシド粉末の13C-NMR を測定した結果、104.8ppmにC-1
位のシグナルが検出されたことから、得られた粉末がア
ニシルβ−グルコシドであることが明らかである。
【0014】参考例3(アニシルα−ガラクトシドの合
成) D−グルコースの代わりにD−ガラクトースを用いた以
外は参考例1の方法と同様にしてアニシルα−ガラクト
シドを合成し、アニシルα−ガラクトシドを白色粉末1
0.0gとして得た(収率:3.9%)得られたアニシ
ルα−ガラクトシド粉末の13C-NMR を測定した結果、9
8.8ppm にC-1 位のシグナルが検出されたことから、
得られた粉末がアニシルα−ガラクトシドであることが
明らかである。
【0015】参考例4(アニシルβ−ガラクトシドの合
成) ラクトース200g、アニスアルコール20gを含む1
0mMのリン酸緩衝液(pH7.0)1リットルに、大
腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ(シグマ社製)を20
ユニット/ミリリットルとなるように添加して反応を開
始し、40℃で5時間反応させた後、5分煮沸すること
により反応を終了した。未反応のアニスアルコールをク
ロロホルムにより抽出除去し 得られた水層をHP−2
0カラム(三菱化学社製)にかけた後、凍結乾燥を行
い、アニシルβ−ガラクトシド16.5gを白色粉末と
して得た(収率:38%)。得られたアニシルβ−ガラ
クトシド粉末の13C-NMR を測定した結果、103.0ppmにC-
1 位のシグナルが検出されたことから、得られた粉末が
アニシルβ−ガラクトシドであることが明らかである。
【0016】参考例5 アニスアルコールの代わりにフェネチルアルコール、シ
ス−3−ヘキセノール、シンナミルアルコールを用いた
以外は参考例4の方法と同様にして、各種香料のβ−ガ
ラクトシド体を合成した。
【0017】実施例1〜4、比較例1 参考例1〜4で得られた各種のアニスアルコールの配糖
体を有効成分として含有する芳香強化剤(1.0重量%
水溶液)を調製し、これらを花器に300ミリリットル
入れ、バラの切り花をそれぞれ3本生けた(実施例1〜
4)。また、比較のため、花器に300ミリリットルの
水道水をいれ、バラの切り花を3本生けた(比較例
1)。1日及び2日後におけるこれらの切り花から発散
される香気の強弱について、水道水に生けたバラの香気
を基準にして10人の専門パネラーにより官能評価を行
った。その結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】表1からわかるように、専門パネラーの全
員がアニスアルコールの配糖体の水溶液に生けたバラの
切り花の香気の中に、アニスアルコールの香気を感じ、
特にβ−ガラクトシド体の水溶液に生けたバラの切り花
から、アニスアルコールの香気を強く感じていた。さら
に、3日後における切り花から発散される香気中のアニ
スアルコールの含有量をヘッドスペース法により分析し
たところ、アニシルβ−ガラクトシドで処理した切り花
から放出されたアニスアルコールの含有量は、アニシル
α−グルコシド、アニシルβ−グルコシド、アニシルα
−ガラクトシドで処理した切り花と比較して20〜30
倍の値を示した。この結果から、アニスアルコールの配
糖体の中でも、アニシルβ−ガラクトシドが特に強い芳
香強化作用を有していることがわかる。
【0020】実施例5、比較例2〜5 参考例4で得られたアニシルβ−ガラクトシド(実施例
5)及び参考例5で得られたフェネチルアルコール、シ
ス−3−ヘキセノール、シンナミルアルコールの各β−
ガラクトシド体(比較例3〜5)を有効成分として含有
する芳香強化剤(1.0重量%水溶液)を調製し、これ
らの溶液を花器に300ミリリットル入れ、バラの切り
花をそれぞれ3本生けた。また、比較のため、花器に3
00ミリリットルの水道水をいれ、バラの切り花を3本
生けた(比較例2)。1日及び2日後におけるこれらの
切り花から発散される香気の強弱について、水道水に生
けたバラの香気を基準にして10人の専門パネラーによ
り官能評価を行い、同時に薬害の程度を観察した。その
結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】表2からわかるように、専門パネラー全員
がアニシルβ−ガラクトシドの水溶液に生けたバラの切
り花の香気の中にアニスアルコールの香気を非常に強く
感じていた。一方、フェネチルアルコール、シス−3−
ヘキセノール、シンナミルアルコールの各β−ガラクト
シド体を有効成分として含有する芳香強化剤に生けたバ
ラの切り花については、それぞれの香気を感じることが
できるものの、その香気の強さはアニシルβ−ガラクト
シドに生けたバラの切り花の香気の中のアニスアルコー
ルの香気の強さよりも弱いものであった。また、アニシ
ルβ−ガラクトシドを有効成分として含有する芳香強化
剤に生けたバラの切り花は2日後において完全に鮮度を
保持していたが、他の切り花は葉の退色、黄化、茎の褐
変等の薬害が観察された。この結果から、香料配糖体の
中でも、アニスアルコールの配糖体は特に強い芳香強化
作用を有し、かつ薬害を与えないという植物体の芳香強
化剤として好ましい性質を有していることがわかる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、薬害を与えることな
く、植物体の芳香を強化させることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニスアルコールの配糖体を有効成分と
    して含有してなることを特徴とする植物体の芳香強化
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の芳香強化剤と植物体とを
    接触させて植物体の芳香を強化することを特徴とする植
    物体の芳香強化方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の芳香強化剤で芳香が強化
    された植物体。
JP11729596A 1996-05-13 1996-05-13 植物体の芳香強化剤、その芳香強化方法及びそれにより芳香が強化された植物体 Pending JPH09298945A (ja)

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