JPH0931338A - 3次元網目状微粒子分散型分子複合材、その製造方法、およびその成形品 - Google Patents

3次元網目状微粒子分散型分子複合材、その製造方法、およびその成形品

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JPH0931338A
JPH0931338A JP19924295A JP19924295A JPH0931338A JP H0931338 A JPH0931338 A JP H0931338A JP 19924295 A JP19924295 A JP 19924295A JP 19924295 A JP19924295 A JP 19924295A JP H0931338 A JPH0931338 A JP H0931338A
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Koji Akita
浩司 秋田
Hiroto Kobayashi
啓人 小林
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強高分子である剛直芳香族ポリマーが、マ
トリックスポリマー中に微細に均一に良好に分散し、加
熱成形段階での補強高分子の凝集などもなく、もって機
械的強度などに優れた分子複合材を提供する。 【解決手段】 マトリックスポリマーと3次元網目状微
粒子分散型構造を形成してなる芳香族複素環コポリマー
とからなる3次元網目状微粒子分散型分子複合材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マトリックスポリ
マーと芳香族複素環コポリマーとからなる分子複合材に
関するものであって、特に機械的特性などに優れ、航空
機や自動車、宇宙機器などの構造材料として使用するの
に適した分子複合材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、航空機や自動車などの軽量化の目
的で、機械的性質や耐熱性などに優れた、いわゆるエン
ジニアリングプラスチックが広く使われるようになって
いる。また、強度や剛性を向上するために、プラスチッ
ク材とカーボンファイバーなどの高強度、高弾性の繊維
とを組み合わせたFRPなどの複合材料の開発も盛んに
行われるようになり、広く実用に供されている。
【0003】これらの複合材の強度は、マトリックスと
なるプラスチック、および補強材として用いた繊維自身
の強度のほかに、繊維とマトリックス樹脂との界面接着
性に大きく影響されることが知られている。また、繊維
強化プリフォームへのマトリックス樹脂の含浸性の良不
良も、製造の観点のみならず製品の強度に影響してく
る。このような事情から、材料として高強度、高弾性を
示す繊維または樹脂を用いても、必ずしも強度、剛性に
優れた複合材を得ることができるとは限らない。
【0004】そこで、芳香族ポリアミドなどのいわゆる
剛直ポリマーを、マトリックス樹脂となるポリマー中に
分子レベルまで微細に分散させることにより、いわゆる
ポリマーブレンド系複合材(分子複合材)として上記の
問題を克服し、高強度の複合材を得ようとする試みが提
案され、その研究が行われている。
【0005】分子複合材に好適に使用される芳香族高分
子としては、例えばチアゾール環、イミダゾール環、オ
キサゾール環、オキサジノン環などの複素環を繰り返し
単位内に有するものがあり、中でもチアゾール環を有す
るポリチアゾールは、その優れた機械的強度により、分
子複合材の補強高分子として有望視されている。
【0006】ところで、芳香族チアゾールなどの補強高
分子とマトリックスポリマーとを単純に混合して分子複
合材を製造しようとしても、補強高分子の有する剛直性
のために、補強高分子とマトリックスポリマーとの相溶
性が一般に良好とはならず、補強高分子のマトリックス
ポリマー中への均一な分散を得ることは難しい。補強高
分子がマトリックスポリマー中に均一に分散しなけれ
ば、機械的特性に優れた分子複合材を得ることはできな
い。そのために、これまで種々の試みがなされている。
【0007】例えば、特開平1−287167号公報
は、実質的に棒状骨格を有するポリチアゾールからなる
補強高分子(A)と融着性を有するマトリックスポリマ
ー(B)とを主として含有する高分子溶液を凝固浴中に
導入し、製膜することからなる高分子複合体の製造法で
あって、上記高分子溶液が光学的異方性を呈し、上記高
分子溶液が凝固浴中に浸漬後、見掛け上、光学的等方性
相を経由したのち、凝固させる方法を開示している。
【0008】また、特公平2−7976号公報は、実質
的に棒状骨格を有するポリチアゾールからなる補強高分
子(A)と、200℃以上のガラス転移温度および50
0℃以下の流動開始温度を有し、かつガラス転移温度と
流動開始温度との間の温度でそのものを5時間以内の任
意の時間保持したとき、形成される見掛けの結晶サイズ
が25Å以下である難結晶性芳香族コポリアミドからな
るマトリックス高分子(B)とが、(A)/〔(A)+
(B)〕=0.15〜0.70(重量基準)の割合で含
有される高分子組成物を開示している。
【0009】しかしながら、特開平1−287167号
公報に示される高分子複合体の製造方法、および特公平
2−7976号公報に開示の高分子組成物を用いた複合
材の製造では、補強高分子とマトリックスポリマーとの
均一な分散がそれほど期待できず、得られる分子複合材
の機械的強度などが大きく向上しない。これは、剛直性
を示す補強高分子とマトリックスとの相溶性が良くない
ため、補強高分子のマトリックスポリマー中への分散が
充分とならないためであると思われる。
【0010】そこで、剛直芳香族ポリマーとマトリック
スポリマーとを混合するのではなく、剛直芳香族ポリマ
ーの前駆物質と、マトリックスポリマーまたはその前駆
物質とを有機溶媒中で均一に混合し、有機溶媒を除去後
に加熱して前駆物質を剛直芳香族ポリマーとする方法が
提案されている(特開昭64−1760号公報および特
開昭64−1761号公報)。上記の方法によれば、機
械的強度などが比較的良好な分子複合材を製造すること
ができるようになる。
【0011】しかしながら、本発明者らの研究によれ
ば、例えば分子複合材の熱圧成形を目的としてマトリッ
クスポリマーに熱可塑性樹脂を用い、これと芳香族ポリ
チアゾール前駆物質とを用いて、上述の特開昭64−1
760号公報または特開昭64−1761号公報に示さ
れた方法により分子複合材を製造しようとすると、マト
リックスポリマーと前駆物質との均一混合物の加熱成形
段階で、チアゾール閉環反応により形成される芳香族ポ
リチアゾールが凝集してしまい、その結果、分子複合材
の機械的特性が低下することが分かった。また、芳香族
ポリチアゾールは、マトリックスポリマーと水素結合な
どの相互作用に乏しいため、得られる分子複合材の伸び
が小さい。これは、構造材などに用いる場合の欠点とな
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の技術的課題を背景になされたものであり、本発
明の目的は、上記の問題を解決し、補強高分子である剛
直芳香族ポリマーが、マトリックスポリマー中に微細に
均一に良好に分散し、加熱成形段階での補強高分子の凝
集などもなく、もって機械的強度などに優れた分子複合
材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、マトリックス
ポリマーと3次元網目状微粒子分散型構造を形成してな
る芳香族複素環コポリマーとからなる3次元網目状微粒
子分散型分子複合材を提供するものである。また、本発
明は、マトリックスポリマーと芳香族複素環コポリマー
の前駆体を有機溶媒中で相溶し、この溶液を非溶媒中で
脱溶媒して繊維状に凝固させこれらの複合材を得たの
ち、この繊維状複合材を緊張下および/または延伸しつ
つ熱処理することにより芳香族複素環コポリマーの前駆
体の閉環反応を起こし、マトリックスポリマーと芳香族
複素環コポリマーの複合材を得、この複合材を金型ホッ
トプレス成形することを特徴とする3次元網目状微粒子
分散型分子複合材の製造方法、およびこの製造方法によ
って得られる成形品を提供するものある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明によれば、マトリックスポ
リマー中に分子レベルで均一に分散した前駆体コポリマ
ーがそのまま芳香族複素環コポリマーになるので、芳香
族複素環コポリマーはマトリックスポリマー中に微細に
均一に分散することになり、良好な機械的特性を有する
分子複合材となる。また、閉環反応時、繊維に張力がか
かることにより、強化材分子が粒状に凝集することが無
く、その後の溶融成形での加熱で、網目が粒子の集団に
細分化してしまい、均一な3次元網目状微粒子分散構造
となる。
【0015】本発明において、マトリックスポリマーと
しては、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、
アラミド系樹脂(芳香族ポリアミド)、ポリエーテルス
ルホン、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。これら
のマトリックスポリマーは、芳香族複素環コポリマーと
の相溶性が良好であり、機械的強度に優れた分子複合材
を与えることができる。マトリックスポリマーとして
は、特に芳香族ポリアミドが好ましい。
【0016】次に、芳香族複素環コポリマーについて説
明する。本発明において、分子複合材の補強高分子とな
る芳香族複素環コポリマーは、複合材中でマトリックス
ポリマー中に微粒子として3次元網目状の分布をもっ
て、均一に分散しており、もって本発明の複合材は、優
れた機械的特性を有するのである。芳香族複素環コポリ
マーは、少なくともマトリックスポリマーの一部分を含
むフラグメントを有するものが好ましい。このような芳
香族複素環コポリマーとしては、ポリベンゾチアゾール
(PBT)あるいはポリベンゾオキサゾール(PBO)
の、ランダムあるいはブロックコポリマーが挙げられ
る。
【0017】本発明においては、マトリックスポリマー
とこれらの芳香族複素環コポリマーの複合は、まずマト
リックスポリマーと芳香族複素環コポリマーの前駆体を
混合し複合材とし、その後、緊張下および/または延伸
しつつ所定の温度で加熱して閉環反応を起こし、もって
最終的にマトリックスポリマーと芳香族複素環コポリマ
ーの複合材とする。そして、さらにこれを金型ホットプ
レスにて成形することにより、本発明の複合材を得るこ
とができる。
【0018】従って、まずPBTコポリマーの前駆体に
ついて説明する。PBT前駆体コポリマーの製造 本発明において、分子複合材の補強高分子となるPBT
コポリマーの前駆体は、下記式(化1)で表される。
【0019】
【化1】
【0020】(ただし、ArおよびAr′は芳香族残基
であり、Rは置換または無置換のアルキル基であり、X
はジカルボン酸誘導体の残基であり、mおよびnはとも
に整数であり、m:nは0.01:99.99〜99.
99:0.01である。)
【0021】この前駆体コポリマーは、(a)チオール
基の水素原子を、置換または無置換のアルキル基で置換
した芳香族ジアミノジチオール化合物、(b)芳香族ジ
アミノ化合物および(c)ジカルボン酸誘導体とから製
造することができる。
【0022】(a)チオール基の水素原子を、置換また
は無置換のアルキル基で置換した芳香族ジアミノジチオ
ール化合物 本発明において、(a)チオール基の水素原子を、置換
または無置換のアルキル基で置換した芳香族ジアミノジ
チオール化合物〔以下「化合物(a)」と呼ぶ〕は、下
記一般式(化2)で表されるものである。
【0023】
【化2】
【0024】(ただし、Arは芳香族残基であり、Rは
置換または無置換のアルキル基である。) ここで、芳香族残基Arは、ベンゼン環に限らず2つ以
上のベンゼン環が縮合した芳香族環でもよく、またビフ
ェニルなどのように2つ以上のベンゼン環が結合したも
のでもよい。また、両側のアミノ基およびチオエーテル
基の位置は、芳香族残基を中心として左右対称でも点対
称でもよい。この化合物(a)の具体例としては、(化
3)などが挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】この化合物(a)は、芳香族残基の両側に
それぞれアミノ基およびチオール基を有する化合物であ
る芳香族ジアミノジチオール化合物より合成することが
できる。芳香族ジアミノジチオール化合物としては、上
述した(化3)に示す各化合物のアルキル基Rを水素原
子で置き換えたものを使用することができるが、この芳
香族ジアミノジチオール化合物は、劣化を防ぐためには
塩酸塩などの塩の形で使用する。
【0027】芳香族ジアミノジチオール化合物のチオー
ル基に結合するアルキル基Rは、置換または無置換のア
ルキル基である。無置換のアルキル基としては、イソプ
ロピル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ
る。アルキル基としては、2級および3級のアルキル基
が特に好ましい。
【0028】また、置換アルキル基としては、カルボキ
シル基、エステル基、シアノ基またはベンゼン基などに
より置換されたアルキル基が好適である。なお、このよ
うな置換基を有する場合には、アルキル基は特に2級の
ものである必要はない。置換基を有するアルキル基とし
ては、例えば(化4)などが挙げられる。
【0029】
【化4】
【0030】なお、上記の6つの置換アルキル基のう
ち、上位に示す2つのエステル基を置換したものにおい
ては、エステル結合中の酸素原子に結合するアルキル基
がメチル基に限らず、炭素数2〜10のアルキル基であ
ってもよい。
【0031】特に、芳香族ジアミノジチオール化合物の
チオール基の水素原子を、シアノ基を有するアルキル基
またはエステル基を有するアルキル基で置換しておく
と、前駆体コポリマー〔上記した(化1)のポリマー〕
の、Nメチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒への溶解
度が向上する。
【0032】上記したアルキル基は、そのハロゲン化物
であるアルキルハライドとして用い、これと、さきに述
べた芳香族ジアミノジチオール化合物(の塩)とから、
以下に示す方法により化合物(a)を合成する。なお、
ハロゲン化物としては、上記したアルキル基の臭素化
物、塩化物、ヨウ化物などが使用できる。
【0033】化合物(a)の合成では、上述した芳香族
ジアミノジチオール化合物の塩およびアルキルハライド
とをアルカリ性水溶液中で反応させる。使用するアルカ
リ性水性溶媒としては、水、または水とアルコール(エ
タノールおよび/またはメタノール)との混合溶媒に、
水酸化ナトリウムなどの塩基性塩を溶解したものを使用
することができる。溶媒をアルカリ性とすることで、芳
香族ジアミノジチオール化合物の塩を容易に溶解するこ
とができる。また、チオール基の求核性を増大させ、置
換反応を助長する。なお、アルカリ性水性溶媒のアルカ
リ濃度は、モノマーの2等量以上、6等量以下とするの
がよい。平衡反応であり、2等量未満では反応が充分進
行せず、一方6等量を超えると、未反応のアルカリの除
去処理が煩雑となる。
【0034】この置換反応は、0℃〜100℃の範囲で
行うことができる。温度が0℃未満であると、反応速度
が遅くなり好ましくない。一方、100℃を超えると副
反応が起こってしまい好ましくない。より好ましい反応
温度は、0〜95℃である。反応時間は、特に制限はな
いが、一般に2〜24時間程度でよい。なお、反応速度
を高めるために、溶液の攪拌を行うことが好ましい。ま
た、アルキルハライドの量を過剰にすることで、反応速
度を高めることができる。
【0035】さらに、セチルトリメチルアンモニウムク
ロライド、臭化n−ブチルトリフェニルホスホニウム、
臭化テトラフェニルホスホニウム、18−クラウン−6
などを相間移動触媒として加えると、反応速度を高める
ことができる。このような相間移動触媒は、芳香族ジア
ミノジチオール化合物の塩とアルキルハライドとの反応
を速やかに進行させる。
【0036】以上の条件で置換反応を行うことにより、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩のチオール基の水
素原子をアルキル基で置換したモノマー〔化合物
(a)〕を得ることができる。
【0037】化合物(a)を合成する反応において、芳
香族ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライド
との反応は、以下(化5)のとおり進行する。ここで、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩の例として、2,
5−ジアミノ−1,4−ベンゼンジチオール二塩酸塩を
用いる。また、式中、X−Rはアルキルハライドを表
す。
【0038】
【化5】
【0039】(b)芳香族ジアミノ化合物 本発明で用いる芳香族ジアミノ化合物としては、屈曲可
能な構造を有する芳香族ジアミノ化合物が好ましく、ジ
フェニルエーテル、ビフェニルなどの芳香族残基を有す
るジアミンを好適に用いることができる。芳香族ジアミ
ノ化合物としては、具体的には(化6)で表される芳香
族残基を有するものを使用することができる。
【0040】
【化6】
【0041】上記した(化6)中の芳香族残基のうち、
上位に示すジフェニルエーテル基、トリフェニルエーテ
ル基が好ましい。このようなジフェニルエーテル基を用
いれば、得られる前駆体コポリマーに充分な屈曲性を付
与することができる。なお、芳香族複素環コポリマーと
マトリックスとなるポリマーとの相溶性を向上させるた
めに、この化合物(b)として、少なくとも混合相手と
なるマトリックスポリマーの一部分を含む構造を有する
ものを選択するのがよい。
【0042】(c)ジカルボン酸誘導体 本発明において使用するジカルボン酸の誘導体として
は、各カルボキシル基を以下(化7)のように置換した
ものが挙げられる。
【0043】
【化7】
【0044】また、上記ジカルボン酸誘導体の残基とし
ては、比較的短鎖(炭素数2〜10)のアルキレン基や
以下のような(化8)に示す芳香族系残基が挙げられ
る。なお、ジカルボン酸の例としては、芳香族系のジカ
ルボン酸が好ましい。
【0045】
【化8】
【0046】なお、芳香族残基には、ハロゲン、および
/または低級アルキル基、低級アルコキシル基、または
フェニル基などの置換基を付加し得る。このような置換
基を導入することによって、反応性、溶媒への溶解性を
向上させることができる。
【0047】このような芳香族ジカルボン酸誘導体の中
では、特にテレフタル酸ジクロリド、またはそのハロゲ
ン置換体、イソフタル酸ジクロリドが好ましく、具体的
には2−クロロテレフタル酸ジクロリド、および2,5
−ジクロロテレフタル酸ジクロリドなどを好適に用いる
ことができる。なお、これらの芳香族ジカルボン酸誘導
体は、単独で用いても、あるいは2種以上混合して用い
てもよい。
【0048】(1)PBT前駆体ランダムコポリマーの
製造 次に、前駆体ランダムコポリマーの製造方法について説
明する。ランダムコポリマーを製造する場合は、化合物
(a)、(b)および(c)を所望の配合比で有機溶媒
に溶解し、この三者を共重合する。好ましくは化合物
(a)と化合物(b)との均一溶液をまず調製し、これ
に(c)ジカルボン酸誘導体を加える。
【0049】有機溶媒を用いた溶液中の化合物(a)と
化合物(b)の量の比は、最終的に得られるPBT前駆
体ランダムコポリマーにおいて、剛直鎖部位に変化する
部分と柔軟な鎖部分となる部分との比率〔すなわち、上
記した(化1)におけるmとnの比〕となるが、PBT
前駆体ランダムコポリマーの使用目的に合わせて、化合
物(a)と化合物(b)の量を適宜決定する。本発明に
おいては、m:nが、0.01:〜99.99〜99.
99:0.01となるように、化合物(a)と化合物
(b)を配合する。
【0050】また、(c)ジカルボン酸誘導体の量は、
化合物(a)と化合物(b)の合計モル量と等量または
それ以上とする。また、有機溶媒中における化合物
(a)、化合物(b)および化合物(c)の合計量の濃
度は、0.1〜5モル/リットル程度とするのがよい。
濃度が5モル/リットルを超す濃度となると、各成分の
溶解が難しくなり、好ましくない。
【0051】有機溶媒としては、アミド系有機溶媒を好
適に用いることができる。アミド系有機溶媒としては、
N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルフォスフォ
リックトリアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなど
が挙げられ、これらの単独または混合溶液を使用するこ
とができる。また、反応性を高めるために、最大限5重
量%のLiCl、CaCl2 などの塩化物を添加しても
よい。
【0052】化合物(a)、(b)および(c)とを重
合し、前駆体ランダムコポリマーを製造するが、このと
きの重合反応温度は、−20〜250℃とするのがよ
い。重合温度が−20℃未満では、充分な重合反応が起
こらず、また得られる前駆体ランダムコポリマーの重合
度も低くなる。一方、250℃程度の温度ではチアゾー
ル閉環反応が起こる可能性があるので、安全をみて重合
反応の温度の上限は200℃とする。より好ましくは、
−20〜50℃の範囲である。
【0053】上記の重合反応では、その反応速度を高め
るために、溶液の攪拌を行うことが好ましい。また、反
応時間は特に制限はないが、一般に1〜24時間程度で
よい。以上の条件で重合反応を行うことにより、チアゾ
ール閉環反応を起こすことなく、大きな重合度を有する
前駆体ランダムコポリマーが得られる。得られる前駆体
ランダムコポリマーの固有粘度ηinh (N−メチル−2
−ピロリドン、30℃、0.5g/dl)は、0.4以
上が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.2程度で
ある。
【0054】この重合反応は、以下の(化9)のとおり
進行するものと考えられる。なお、下記の反応式(化
9)において、化合物(a)の例として2,5−ジアミ
ノ−1,4−ベンゼンジチオール二塩酸塩のアルキル基
置換体を用い、化合物(b)の例として4,4′−ジア
ミノジフェニルエーテル(4−アミノ−p−フェノキシ
アニリン)を用い、(c)ジカルボン誘導体の例として
2−クロロテレフタル酸ジクロライドを用いている。な
お、mおよびnは、重合度を表す。
【0055】
【化9】
【0056】得られた前駆体ランダムコポリマーは、公
知の方法により洗浄および乾燥することができる。
【0057】(2)PBT前駆体ブロックコポリマーの
製造 本発明において、前駆体ブロックコポリマーは、上記の
ランダムコポリマーと同様に上記の(化1)で表され、
上記と同様の(a)チオール基の水素原子を置換または
無置換のアルキル基で置換した芳香族ジアミノジチオー
ル化合物、(b)芳香族ジアミノ化合物および(c)ジ
カルボン酸誘導体とから製造することができる。
【0058】具体的には、前駆体ブロックコポリマーは
(i)化合物(a)および(b)をそれぞれ、別々に有
機溶媒中で(c)ジカルボン酸誘導体と反応させること
により、2種類のオリゴマーを合成し、(ii)得られた
2種類のオリゴマーを有機溶媒中で反応させることによ
り製造することができる。
【0059】ここで、説明を簡単にするため、化合物
(a)と(c)ジカルボン酸誘導体とを反応させて得ら
れるオリゴマーをオリゴマー(I)と呼び、化合物
(b)と(c)ジカルボン酸誘導体とを反応させて得ら
れるオリゴマーをオリゴマー(II)と呼ぶ。
【0060】(2)−1PBT前駆体ブロックコポリマ
ー用のオリゴマーの合成 (a)芳香族ジアミノジチオール化合物と(c)ジカル
ボン酸誘導体とを有機溶媒に溶解し、所定の温度で攪拌
してオリゴマー(I)を製造する。オリゴマー((イ)
合成において、化合物(a)のモル量と(c)ジカルボ
ン酸誘導体のモル量とは基本的には等量とするが、オリ
ゴマー(I)の分子量を適切なものとし、また後述する
オリゴマー(II) との反応を良好にするために、(c)
ジカルボン酸誘導体の量を多少調節してもよい。
【0061】また、有機溶媒中における化合物(a)と
(c)ジカルボン酸誘導体の合計量の濃度は、0.5〜
5モル/リットル程度とするのがよい。濃度が5モル/
リットルを超えると、各成分の溶解が難しくなり好まし
くない。有機溶媒としては、ランダムコポリマーの製造
の際に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0062】(a)芳香族ジアミノジチオール化合物と
(c)ジカルボン酸誘導体とを重合してオリゴマー
(I)を合成する時の重合反応温度は、−20〜250
℃とするのがよい。反応温度が−20℃未満であると、
充分な重合反応が起こらない。一方、250℃程度の温
度ではチアゾール閉環反応が起こる可能性があるので、
重合反応の温度の上限は、200℃とするのが好まし
い。より好ましくは、−10〜50℃の範囲とする。
【0063】上記のオリゴマー(I)の製造において
は、反応速度を高めるために、溶液の攪拌を行うことが
好ましい。また、反応時間は、1〜120分程度とする
のがよい。化合物(a)と(c)ジカルボン酸誘導体と
の重合反応は、以下の(化10)のとおり進行するもの
と考えられる。なお、下記の反応式(化10)におい
て、化合物(a)の例として2,5−ジアミノ−1,4
−ベンゼンジチオール二塩酸塩のアルキル基置換体を用
い、(c)ジカルボン酸誘導体の例として2−クロロテ
レフタル酸ジクロライドを用いている。なお、mは、重
合度を表す。オリゴマー(I)の固有粘度はηinh (N
−メチル−2−ピロリドン、30℃、0.5g/dl)
は、0.1〜0.8程度である。
【0064】
【化10】
【0065】また、オリゴマー(II) も、上述したオリ
ゴマー(I)の合成方法と同様にして合成することがで
きる。オリゴマー(II) の合成の場合も、(c)ジカル
ボン酸誘導体の量は基本的には化合物(b)のモル量と
等量とするが、オリゴマー(I)の合成時の(c)ジカ
ルボン酸誘導体の量の調節に合わせて、オリゴマー(I
I) の合成における(c)ジカルボン酸誘導体の量も調
節するのがよい。
【0066】有機溶媒中における化合物(b)および
(c)ジカルボン酸誘導体の合計量の濃度は、0.5〜
5モル/リットル程度とするのがよい。また、重合反応
温度は、−20℃〜300℃、好ましくは−20〜20
0℃とするのがよい。温度が−20℃未満であると、充
分な重合反応が起こらない。一方、400℃程度の温度
では、熱分解が生じるので、重合反応の温度の上限は3
00℃とする。より好ましくは、−10〜50℃の範囲
である。
【0067】なお、オリゴマー(II) の合成において用
いる有機溶媒としては、上述のオリゴマー(I)の合成
に用いたものと同様のものが挙げられる。反応時間は、
特に制限はないが、一般に1〜120分程度とするのが
よい。
【0068】化合物(b)と(c)ジカルボン酸誘導体
との重合反応は、以下の(化11)のとおり進行するも
のと考えられる。なお、下記の反応式(化11)におい
て、化合物(b)の例として4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル(4−アミノ−p−フェノキシアニリン)
を用い、(c)ジカルボン酸誘導体の例として2−クロ
ロテレフタル酸ジクロライドを用いている。なお、n
は、重合度を表す。オリゴマー(II) の固有粘度ηinh
(N−メチル−2−ピロリドン、30℃、0.5g/d
l)は、0.1〜0.6程度である。
【0069】
【化11】
【0070】(2)−2PBT前駆体ブロックコポリマ
ーの製造 上述した方法により得られたオリゴマー(I)とオリゴ
マー(II) とを有機溶媒中で反応させ、前駆体ブロック
コポリマーを合成する。有機溶媒としては、上記のオリ
ゴマー(I)あるいは(II) の合成で用いたものを使用
することができる。
【0071】具体的には、オリゴマー(I)を溶解した
有機溶媒とオリゴマー(II) を溶解した有機溶媒とを混
合し、−10〜50℃で攪拌して前駆体ブロックコポリ
マーを合成する。−10℃未満では、重合が進まない。
なお、250℃を超す温度とするとチアゾール閉環反応
が進行してしまう。
【0072】以上の条件で重合反応を行うことにより、
チアゾール閉環反応を起こすことなく、大きな重合度を
有する前駆体ブロックコポリマーが得られる。得られる
PBT前駆体ブロックコポリマーの固有粘度ηinh (N
−メチル−2−ピロリドン、30℃、0.5g/dl)
は、0.8〜2.0程度である。
【0073】オリゴマー(I)とオリゴマー(II) との
重合反応は、以下の(化12)のとおりに進行し、前駆
体ブロックコポリマーが得られる。ここで、オリゴマー
(I)として先に(化10)で示した反応により得られ
たものを用い、オリゴマー(II) としては(化11)で
示したものを用いているが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0074】
【化12】
【0075】なお、mおよびnは、重合度を示してい
る。本発明においては、1つのコポリマー中のmの合計
(上記式でmによって括られている部位の前駆体コポリ
マー中における合計の重合度)とnの合計(上記式でn
によって括られている部位の前駆体コポリマー中におけ
る合計の重合度)との比m:nは、0.01:〜99.
99〜99.99:0.01の範囲をとる。
【0076】得られた前駆体ブロックコポリマーは、公
知の方法により洗浄および乾燥することができる。
【0077】PBO前駆体コポリマーの製造 本発明において、PBO前駆体コポリマーは、下記式
(化13)で表される。
【0078】
【化13】
【0079】(ただし、Arは芳香族残基であり、mお
よびnはともに整数であり、m:nは0.01:99.
99〜99.99:0.01である。)
【0080】このPBO前駆体コポリマーは、(d)ア
ミノ基および/またはヒドロキシル基の水素原子を置換
または無置換した芳香族ジアミノジヒドロキシ化合物、
(e)アミノ基の水素原子を置換または無置換した芳香
族ジアミノ化合物および(c)ジカルボン酸誘導体とか
ら製造することができる。
【0081】(d)アミノ基および/またはヒドロキシ
ル基の水素原子を置換または無置換した芳香族ジアミノ
ジヒドロキシ化合物 本発明における芳香族ジアミノヒドロキシ化合物は、芳
香族残基の両側にそれぞれアミノ基、ヒドロキシル基を
有する化合物であり、芳香族残基はベンゼン環に限らず
2つ以上のベンゼン環が縮合した芳香族環でもよく、ま
たビフェニルなどのように2つ以上のベンゼン環が結合
したものでもよい。また、両側のアミノ基およびヒドロ
キシル基の位置関係は、芳香族残基を中心として左右対
称でも点対称でもよい。このような芳香族ジアミノジヒ
ドロキシ化合物の例としては、(化14)などが挙げら
れる。
【0082】
【化14】
【0083】なお、本発明において、(d)芳香族ジア
ミノジヒドロキシ化合物は、そのアミノ基および/また
はヒドロキシル基の水素原子が置換されたものでもよ
い。水素基がシリル基で置換されたシリル化物により前
駆体コポリマーを製造すると、高分子量のものを高い収
率で得ることができ、好ましい。
【0084】また、上述した(d)芳香族ジアミノジヒ
ドロキシ化合物において、その芳香族残基にClなどの
置換基を有したものを用いてもよい。これらの芳香族ジ
アミノジヒドロキシ化合物は、劣化を防ぐために塩酸塩
などの塩の形で使用するのがよい。芳香族ジアミノジヒ
ドロキシ化合物としては、特に4,6−ジアミノ−1,
3−ジヒドロキシベンゼン(またはその塩)、そのシリ
ル化物が好適に用いられる。
【0085】(e)アミノ基の水素原子を置換または無
置換した芳香族ジアミノ化合物 本発明で用いる芳香族ジアミノ化合物としては、屈曲可
能な構造を有する芳香族ジアミノ化合物が好ましく、ジ
フェニルエーテル、ビフェニルなどの芳香族残基を有す
るジアミンを好適に用いることができる。芳香族ジアミ
ノ化合物としては、具体的には上記の(化6)で表され
る芳香族残基を有するものを使用することができるが、
これらの芳香族ジアミノ化合物のアミノ基の水素原子は
置換されたものであってもよい。特に、シリル化された
ものが好ましい。上記した(化6)中の芳香族残基のう
ち、上位に示すジフェニルエーテル基、トリフェニルエ
ーテル基が好ましい。このようなジフェニルエーテル基
を用いれば、得られる前駆体コポリマーに充分な屈曲性
を付与することができる。
【0086】なお、前駆体コポリマーと、マトリックス
となるポリマーとの相溶性を向上させるために、この化
合物(e)として、少なくとも混合相手となるマトリッ
クスポリマーの一部を含む構造を有するものを選択する
のがよい。
【0087】本発明のPBO前駆体コポリマーは、上記
の化合物(d)、(e)、(c)より得られるものであ
るが、コポリマーはブロックコポリマーであっても、ラ
ンダムコポリマーであってもどちらでも構わない。以下
に、これらの製造方法について説明する。
【0088】(3)PBO前駆体ランダムコポリマーの
製造 PBO前駆体ランダムコポリマーを製造するには、化合
物(d)として、芳香族ジアミノジヒドロキシ化合物の
アミノ基およびヒドロキシル基をシリル化した芳香族ジ
アミノジヒドロキシ化合物を用い、化合物(e)とし
て、アミノ基をシリル化した芳香族ジアミノ化合物を用
い、これらと(c)ジカルボン酸誘導体と反応させるの
がよい。上述したように、このように化合物(d)、
(e)としてシリル化を行った化合物を用いコポリマー
を製造すると、高分子量のものを高い収率で得ることが
できる。
【0089】芳香族ジアミノジヒドロキシ化合物のアミ
ノ基およびヒドロキシル基をシリル化するには、芳香族
ジアミノジヒドロキシ化合物またはその塩、特に塩酸塩
を、チッ素含有シリル化剤を用いて、有機溶媒中または
溶媒なしで、80℃〜140℃で6〜72時間処理す
る。
【0090】このようなシリル化反応に有効なチッ素含
有シリル化剤としては、ヘキサメチルジシラザン、N,
N−ジエチルアミノトリメチルシラン、N,O−ビス
(トリメチルシリル)カーバメイト、N−トリメチルシ
リルイミダゾールなどが挙げられる。
【0091】また、シリル化反応を行う有機溶媒とし
て、テトラヒドロフラン、四塩化炭素、N,N−ジメチ
ルアセトアミドなどを用いることができるが、有機溶媒
を省略することもできる。シリル化温度が、80℃より
低いと反応性が充分でなく、一方140℃より高いとア
ミン塩酸塩の分解が起こり、好ましくない。
【0092】同様にして、(e)芳香族ジアミノ化合物
も、シリル化することができる。上記の条件でシリル化
物を製造したならば、次に上記の化合物(d)、(e)
および(c)を所望の配合比で有機溶媒に溶解し、−1
0〜40℃で6〜24時間攪拌して、この3者を共重合
する。好ましくは、化合物(d)と化合物(e)との均
一溶液をまず調製し、これに(c)ジカルボン酸誘導体
を加える。また、重合温度は、−20℃未満では重合が
進まず、一方250℃を超す温度とするとオキサゾール
閉環反応が進行してしまう。
【0093】以上の条件で重合反応を行うことにより、
オキサゾール閉環反応を起こすことなく、大きな重合度
を有する前駆体ランダムコポリマーが得られる。得られ
るPBO前駆体ランダムコポリマーの固有粘度η
inh (N−メチル−2−ピロリドン、30℃、0.5g
/dl)は、0.6〜2.0程度である。
【0094】有機溶媒を用いた溶液中の化合物(d)と
化合物(e)の量の比は、最終的に得られるランダムコ
ポリマーにおいて、剛直鎖部位に変化する部分と柔軟な
鎖部分となる部分との比率〔すなわち、上記した(化1
3)におけるmとnの比〕となるが、前駆体ランダムコ
ポリマーの使用目的に合わせて、化合物(d)と化合物
(e)の量を適宜決定する。本発明においては、m:n
は、0.01:〜99.99〜99.99:0.01の
範囲をとることができる。
【0095】また、(c)ジカルボン酸誘導体の量は、
化合物(d)と化合物(e)の合計モル量と等量または
それ以上とする。また、有機溶媒中における化合物
(d)、化合物(e)および化合物(c)の合計量の濃
度は、0.1〜5モル/リットル程度とするのがよい。
濃度が5モル/リットルを超す濃度となると、各成分の
溶解が難しくなり、好ましくない。
【0096】有機溶媒としては、例えばN,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−
メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒、ピリジン
などの芳香族アミン系溶媒、ジメチルスルホキシド、テ
トラメチルスルホンなどのイオウ系溶媒、ベンゼン、ト
ルエン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベン
ゼン、ベンゾニトリルなどのベンゼン系溶媒、テトラヒ
ドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶
媒、クロロホルム、トリクロルエタン、四塩化炭素など
のハロゲン化炭化水素などの中性溶媒(aprotic
solvent)を挙げることができる。得られたラ
ンダムコポリマーは、公知の方法により洗浄および乾燥
することができる。
【0097】(4)PBO前駆体ブロックコポリマーの
製造 本発明において、PBO前駆体ブロックコポリマーは、
上記のランダムコポリマーと同様に上記の(化13)で
表され、上記と同様なシリル化した(d)芳香族ジアミ
ノジヒドロキシ化合物、シリル化した(e)芳香族ジア
ミノ化合物、および(c)ジカルボン酸誘導体とから製
造することができる。
【0098】具体的には、PBO前駆体ブロックコポリ
マーは(i)化合物(d)および(e)をそれぞれ、別
々に有機溶媒中で(c)ジカルボン酸誘導体と反応させ
ることにより、2種類のオリゴマーを合成し、(ii)得
られた2種類のオリゴマーを有機溶媒中で反応させるこ
とにより製造することができる。ここで、説明を簡単に
するため、化合物(d)と(c)ジカルボン酸誘導体と
を反応させて得られるオリゴマーをオリゴマー(III)と
呼び、化合物(e)と(c)ジカルボン酸誘導体とを反
応させて得られるオリゴマーをオリゴマー(IV)と呼
ぶ。
【0099】(4)−1PBO前駆体ブロックコポリマ
ー用のオリゴマーの合成 上述の条件でシリル化芳香族ジアミノジヒドロキシ化合
物を製造したならば、次にこのシリル化芳香族ジアミノ
ヒドロキシ化合物とジカルボン酸誘導体とを反応させ
て、オリゴマー(III)を製造する。シリル化芳香族ジア
ミノジヒドロキシ化合物とジカルボン酸誘導体との反応
は、有機溶媒中、実質的に無水、無酸素の条件下、乾燥
チッ素またはアルゴンガス下で、使用する溶媒により多
少異なるが、−20℃〜100℃にて5分〜2時間行え
ばよい。反応温度が−20℃未満であると、反応性が充
分でなく、一方100℃を超えると上記反応物の酸化な
どが起こる恐れがある。好ましくは、反応温度を−10
〜40℃とする。
【0100】化合物(d)のモル量と(c)ジカルボン
酸誘導体のモル量とは基本的には等量とするが、化合物
(d)に対し(c)ジカルボン酸誘導体のモル量を適宜
増減するのがよい。この(c)ジカルボン酸誘導体の量
の調節については、後述する。また、有機溶媒中におけ
る化合物(a)と(c)ジカルボン酸誘導体の合計量の
濃度は、0.1〜5モル/リットル程度とするのがよ
い。濃度が5モル/リットルを超えると、各成分の溶解
が難しくなり、好ましくない。
【0101】有機溶媒としては、ランダムコポリマーの
製造の際に用いられるものと同様のものが挙げられる。
化合物(d)と(c)ジカルボン誘導体との重合反応
は、以下の(化15)のとおり進行するものと考えられ
る。なお、下記の反応式(化15)において、シリル化
芳香族ジアミノヒドロキシ化合物としては、ジアミノジ
ヒドロキシベンゼンをシリル化したものを用いている。
【0102】
【化15】
【0103】(ただし、式中、Arは芳香族残基、Xは
ハロゲン、Meはメチル基を表す。) オリゴマー(IV) の合成も、上述したオリゴマー(III)
の合成と同様にし、化合物(e)として芳香族ジアミノ
化合物をシリル化したものを用い、これを(c)ジカル
ボン酸誘導体と反応させて行うことができる。
【0104】オリゴマー(IV) の合成の場合も、(c)
ジカルボン酸誘導体の量は基本的には化合物(e)のモ
ル量と等量とするが、オリゴマー(III)の合成時の
(c)ジカルボン酸誘導体の量の調節に合わせて、オリ
ゴマー(IV) の合成における(c)ジカルボン酸誘導体
の量も調節するのがよい。これについては、後述する。
【0105】有機溶媒中における化合物(e)および
(c)ジカルボン酸誘導体の合計量の濃度は、0.1〜
5モル/リットル程度とするのがよい。濃度が5モル/
リットルを超えると、各成分の溶解が難しくなり、好ま
しくない。また、重合反応は、−20℃〜100℃にて
5分〜2時間行えばよい。反応温度が−20℃未満であ
ると、反応性が充分でなく、一方100℃を超えると上
記反応物の酸化などが起こる恐れがある。好ましくは、
反応温度を−10〜40℃とする。
【0106】なお、オリゴマー(IV) の合成に用いる有
機溶媒としては、上述のオリゴマー(III)の合成に用い
たものと同様のものが挙げられる。化合物(e)と
(c)ジカルボン誘導体との重合反応は、以下の(化1
6)のとおり進行するものと考えられる。なお、下記の
反応式(化16)において、(e)シリル化芳香族ジア
ミノ化合物としては、3,4′−ジアミノジフェニルエ
ーテルをシリル化したものを用いている。
【0107】
【化16】
【0108】(ただし、式中、Arは芳香族残基、Xは
ハロゲン、Meはメチル基を表す。)次に、オリゴマー
(III)およびオリゴマー(IV) の合成における(c)ジ
カルボン酸誘導体の量の調節について説明する。それぞ
れのオリゴマーの合成においては、化合物(d)または
化合物(e)のモル量とジカルボン酸誘導体のモル量は
基本的には等量とするが、以下の理由 オリゴマー(III)と、オリゴマー(IV) とが良好に反
応できるように、オリゴマー(III)、オリゴマー(IV)
のうちの一方における末端を−COClとし、他方のオ
リゴマーの末端を−NH2 とするため、および オリゴマー(III)あるいは(IV) の分子量を適切なも
のとするために、化合物(d)あるいは化合物(e)に
対して(c)ジカルボン酸誘導体のモル量を適宜増減す
るのがよい。
【0109】本発明者らの研究によれば、後述する前駆
体コポリマーの製造において、オリゴマー(III)を比較
的多く用いる場合には(すなわち、最終的に得られるP
BOコポリマー中に、ジヒドロキシル基を有する剛直部
位を多く導入する場合には)、オリゴマー(III)の合成
における(c)ジカルボン酸誘導体の量を化合物(d)
のモル数より多少多めにするのがよい。一方、前駆体コ
ポリマーの製造において、オリゴマー(III)の量をオリ
ゴマー(IV) の量より少なくする場合には、オリゴマー
(III)の合成における(c)ジカルボン酸誘導体の量を
化合物(d)のモル数よりわずかに少なめにするのがよ
い。ただし、一方のオリゴマーの合成において、(c)
ジカルボン酸誘導体の量を少々減じた場合には、その減
じた分だけ、他方のオリゴマーの合成において(c)ジ
カルボン酸誘導体の量を増やす。
【0110】(4)−2PBOブロックコポリマーの製
上述した方法により得られたオリゴマー(III)とオリゴ
マー(IV) とを有機溶媒中で反応させ、ブロックコポリ
マーを合成する。有機溶媒としては、上記のオリゴマー
(III)あるいは(IV) の合成で用いたものを使用するこ
とができる。
【0111】具体的には、オリゴマー(III)を溶解した
有機溶媒とオリゴマー(IV) を溶解した有機溶媒とを混
合し、−20〜250℃で6〜24時間攪拌してブロッ
クコポリマーを合成する。−20℃未満では重合が進ま
ず、一方250℃を超す温度とするとオキサゾール閉環
反応が進行してしまう。
【0112】以上の条件で重合反応を行うことにより、
オキサゾール閉環反応を起こすことなく、大きな重合度
を有するブロックコポリマーが得られる。得られるPB
O前駆体ブロックコポリマーの固有粘度ηinh (N−メ
チル−2−ピロリドン、30℃、0.5g/dl)は、
0.6〜2.0程度である。
【0113】オリゴマー(III)とオリゴマー(IV) との
重合反応は、以下の(化17)のとおりに進行し、ブロ
ックコポリマーが得られる。ここでオリゴマー(III)と
して先に(化15)で示した反応により得られたものを
用い、オリゴマー(IV) としては(化16)で示したも
のを用いているが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0114】
【化17】
【0115】なお、mおよびnは、重合度を示してい
る。また、m:nは、0.01:〜99.99〜99.
99:0.01の範囲をとることができる。得られるブ
ロックコポリマーは、公知の方法により洗浄および乾燥
することができる。
【0116】分子複合材の製造方法 本発明の3次元網目状微粒子分散型分子複合材を得るに
は、まず上述のマトリックスポリマーと上記のようにし
て得られた芳香族複素環コポリマー前駆体とを両者が良
好に溶解する有機溶媒中に溶解し相溶させたのち、非溶
媒中で脱溶媒して繊維状に凝固させ、マトリックスポリ
マーと前駆体コポリマーとからなる分子複合材の繊維を
得る。
【0117】このような有機溶媒としては、N−メチル
−2−ピロリドン、ジメチルスルフォキサイド、N,N
−ジメチルアセトアミドなどのアミド系の有機溶媒を好
適に用いることができる。
【0118】前駆体コポリマーとマトリックスポリマー
との配合において、前駆体コポリマーの配合量が極めて
少なくても補強効果はあるが、最終的に芳香族複素環コ
ポリマーとマトリックスポリマーとの配合比が重量比で
1:99〜90:10の範囲となるように設定するのが
好ましい。補強高分子である芳香族複素環コポリマーの
配合比が多くなりすぎると、その存在が密になりすぎ、
芳香族複素環コポリマーどうしが凝集して分子レベルで
の分散が悪くなり、それが分子複合材の機械的強度を低
下させると考えられる。より好ましい配合比は、3:9
7〜80:20である。
【0119】前駆体コポリマーとマトリックスポリマー
の溶解は、均一溶液となる限りいかなる方法で行っても
よい。例えば、前駆体コポリマーおよびマトリックスポ
リマーの溶液をそれぞれ調製し、次にこれらを混合して
均一溶液としてもよいし、前駆体コポリマーを溶解した
溶液にマトリックスポリマーを加え均一溶液としてもよ
い。また、両者を、一度に1種類の溶媒に溶解させても
よい。最終的な溶液の濃度は、1〜40重量%が好まし
い。さらに好ましくは、3〜30重量%である。最終的
な溶液の濃度が、1重量%未満では薄すぎて実用的では
なく、一方40重量%を超えると溶解性が低下する。
【0120】混合は、用いるマトリックスポリマーおよ
び溶媒によって多少異なるが、6時間〜30日程度がよ
い。また、混合の温度は、−15〜150℃とするのが
よいが、好ましくは室温〜80℃であり、さらに好まし
くは室温〜60℃である。−15℃より低温では溶解性
が低く、一方150℃を超えると、分解が進行し好まし
くない。前駆体コポリマーとマトリックスポリマーの溶
液の調製および混合は、チッ素ガス、アルゴンガスなど
の不活性ガス雰囲気下で行うのがよい。
【0121】繊維状に凝固させるには、溶液を凝固浴中
に注ぎ込むとよい。注ぎ込みは、単に凝固浴中にたらし
込んでもよいが、0.1〜1mmφのダイより吹き出す
となおよい。凝固浴中の繊維は、連続的に巻き取るのが
よい。脱溶媒に用いる非溶媒としては、メタノール、エ
タノールなどのアルコール、蒸留水などが挙げられる。
【0122】なお、PBO前駆体コポリマーを用いる場
合、化合物(d)、(e)としてシリル化物を用いた場
合には、メチルアルコールなどのアルコール中で数時間
攪拌し、アルコール洗浄を繰り返すことにより、下記反
応式(化18)に例示するように脱シリル化反応処理を
施す。なお、式中、Arは、芳香族残基である。
【0123】
【化18】
【0124】次に、上記で得られた前駆体コポリマーと
マトリックスポリマーとの複合体の繊維を、緊張下およ
び/または延伸しながら熱処理し、前駆体コポリマー中
においてチアゾールあるいはオキサゾール閉環反応を起
こし、芳香族複素環コポリマーの複合材繊維を得る。
【0125】この加熱において、PBT前駆体コポリマ
ーであればアルキル基R、PBO前駆体コポリマーであ
れば水素が離脱するとともに、その部位でチアゾール
環、あるいはオキサゾール環が形成され、芳香族複素環
コポリマーが形成される。前駆体コポリマーとして上述
の(化12)に示す反応式で得られたもの(PBT前駆
体コポリマー)を用いれば、下記構造式(化19)の芳
香族複素環コポリマーが形成される。
【0126】
【化19】
【0127】また、前駆体コポリマーとして上述の(化
18)に示す反応式で得られたもの(PBO前駆体コポ
リマー)を用いれば、下記構造式(化20)の芳香族複
素環コポリマーが形成される。
【0128】
【化20】
【0129】本発明においては、このような加熱処理
は、緊張下および/または延伸しつつ行われる。すなわ
ち、一定長に保持したり、延伸しながら加熱処理するの
である。これらの両方を行ってもよい。一定長に保持す
る場合(緊張熱処理)、繊維の両端をクランプし得る治
具を用いるのがよい。また、延伸する場合は、1.1〜
2.0倍程度に延伸するのが好ましい。本発明において
用いられる前駆体コポリマーは、閉環反応などに伴い収
縮が起こるので、加熱時に収縮張力がかかり、これを一
定長に保持すると、自己延伸するので延伸と同様の状態
にある。従って、このような張力のかかる条件で加熱す
ることによって、芳香族複素環コポリマー分子の凝集を
防ぎ、剛直高分子をよく一軸配向させることができる。
【0130】前駆体コポリマーとマトリックスポリマー
との複合体繊維の熱処理温度は、用いるマトリックスポ
リマーの種類、緊張、延伸の方法などによって異なる
が、一般には250〜400℃とする。250℃未満の
温度では、チアゾール環あるいはオキサゾール環の形成
はみられない。一方、400℃を超えると、分解が進行
する。一定長に保持しながら加熱する場合は、PBTの
場合、250℃で1時間加熱し、その後275℃に昇温
して1時間加熱し、さらに300℃に昇温して延伸しつ
つ1時間加熱するのが最適である。PBOの場合、25
0〜400℃、30分〜1時間加熱を行うのが最適であ
る。また、延伸する場合は、250℃で1時間、275
℃に昇温して延伸しつつ、1時間加熱し、さらに300
℃に昇温して1時間加熱するのがよい。加熱は、このよ
うな段階的に温度を変える加熱プログラムによるもので
も、一定の加熱温度によるものでもよい。また、加熱
は、大気中でもよいが、真空中または不活性雰囲気中で
行うことが好ましい。
【0131】このようにして得られるマトリックスポリ
マーと芳香族複素環コポリマーの複合材繊維を、金型ホ
ットプレス法にて成形することにより、本発明の複合材
を得ることができる。成形に際しては、このようにして
得られる繊維を、長さ1〜30mm、直径0.3〜1.
0mmの短繊維にして金型に入れ、金型ホットプレスす
ることが好ましい。
【0132】成形温度は、250〜400℃が好まし
い。250℃未満では、溶融が生じず一方400℃を超
えるとマトリックス成分の分解が生じ好ましくない。ま
た、圧力は、50〜500kgf/cm2 が好ましく、
より好ましくは100〜300kgf/cm2 である。
50kgf/cm2 未満では、成形品中にボイドが残
り、一方500kgf/cm2 を超えると、残留応力が
大きくなる。また、成形は、大気中でもよいが、不活性
雰囲気中が好ましい。
【0133】上述した方法によれば、マトリックスポリ
マー中に分子レベルで均一に分散した前駆体コポリマー
がそのまま芳香族複素環コポリマーになるので、芳香族
複素環コポリマーはマトリックスポリマー中に微細に均
一に分散することになり、良好な機械的特性を有する分
子複合材となる。また、閉環反応時、繊維に張力がかか
ることにより、強化材分子が粒状に凝集することが無
く、その後の溶融成形での加熱で、網目が粒子の集団に
細分化してしまい、均一な3次元網目状微粒子分散構造
となる。
【0134】図1に本発明の複合材の状態を表す模式図
を示す。成形品は、マトリックスポリマー中に、強化材
である芳香族複素環コポリマーリッチ相が3次元網目状
に分布し、しかもPBTコポリマーリッチ相に微粒子が
分散している。これは、図2に示す本発明のPBTコポ
リマー複合材の電子顕微鏡写真(倍率;34,000
倍)により明らかである。網目の平均径は、2μm以
下、芳香族複素環コポリマーの微粒子の平均径(φ)が
60nm以下のものが好ましい。
【0135】本発明の複合材は、このように強化材であ
る芳香族複素環コポリマーが3次元網目状微粒子分散構
造を形成しており、非常に微細に均一にマトリックスポ
リマー中に分散しており、一般的な溶融成形が可能とな
り、成形時にも強化材ポリマーの凝集などがなく、大き
な相分離を生じない。これにより、本発明の複合材は、
優れた機械的物性を有する。
【0136】以上のように、芳香族複素環ポリマーは、
その高い剛直性のために一般に溶解性に乏しく、強酸に
のみ可溶であり、熱により溶融することがなく、また相
溶性にも劣り、成形加工が困難であり、マトリックスポ
リマーと複合材料とする際においても問題がある。
【0137】本発明では、このような欠点を解決する手
段として、芳香族複素環ポリマーにマトリックスポリマ
ーと同一または類似のフラグメントを導入し共重合体と
し、マトリックスポリマーとの相溶性を向上させてい
る。そして、閉環反応時、繊維へ張力をかけることによ
って、強化材分子が粒状に凝集することを防ぎ、その後
の溶融成形での加熱で網目を粒子の集団に細分化させ、
補強材である芳香族複素環コポリマーに3次元網目状微
粒子分散構造を形成させ、マトリックスポリマー中に微
細に均一に分散させ複合させることが可能である。そこ
で、一般的な溶融成形が可能となり、成形時にも大きな
相分離を生じず、芳香族複素環コポリマーの凝集もな
く、機械的特性に優れた分子複合材を得ることができ
る。
【0138】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに詳しく
説明する。 実施例1(1) PBT前駆体ランダムコポリマーの合成 下記式(化21)
【0139】
【化21】 で表される化合物(a)8ミリモルと、下記式(化2
2)
【0140】
【化22】
【0141】で表される化合物(b)2ミリモルとを、
アルゴン雰囲気下、N−メチル−ピロリドン(以下「N
MP」と呼ぶ)15mlに溶解し、均一な溶液を調製し
た。この溶液を容器ごと氷冷し、化合物(c)として2
−クロロテレフタル酸ジクロライド10ミリモルを加え
た。溶液を攪拌しながら、徐々に温度を上げてゆき、室
温に達したところで温度を保ち、さらに6時間反応させ
た。得られたエメラルドグリーンの溶液を大量のメタノ
ール中に注いだ。なお、この操作は、メタノールを攪拌
しながら行った。
【0142】30分間攪拌を続けたのち、ろ過し、さら
に水−メタノール溶液で一晩還流し、溶媒を除去した。
得られたポリマーを真空中、100℃で24時間乾燥し
た。収量は99.8%であった。このポリマーの固有粘
度ηinh は、1.4であった。なお、固有粘度の測定
は、NMP中で、ポリマー濃度を0.5g/dlとし、
30℃にてウベローデ法により行った。得られたランダ
ムコポリマーの構造は、以下のとおり(化23)である
と考えられる。
【0143】
【化23】
【0144】なお、このポリマーにおいて、m:nは、
8:2となる。(2)分子複合材の製造 上記のようにして得られた前駆体ランダムコポリマー1
8.35gと、マトリックスポリマーとして下記の式
(化24)で表される芳香族ポリアミド21.64gと
をNMP100mlに溶解し、室温〜80℃で1週間攪
拌して混合し、均一な茶褐色の溶液を得た。
【0145】
【化24】
【0146】この溶液を大量のエタノール中に糸状に注
ぎ込み、凝固させ、前駆体ランダムコポリマーとマトリ
ックスポリマー複合繊維を得た。得られた繊維を100
℃で真空乾燥した。この真空乾燥した繊維をクランプ
し、一定長に保持して熱処理を行い、前駆体ランダムコ
ポリマーを閉環した。この時の加熱プログラムを、図3
に示す。
【0147】このようにして得られた熱処理繊維を、
0.5〜5mmに切断し、これを図8に示す金型に入
れ、金型ホットプレス成形を行い、15×50×2t
(mm)の平板成形品を得た。このときの金型の加熱プ
ログラムを、図4に示す。なお、成形は、アルゴン雰囲
気中で行った。この成形品の曲げ物性を、表1に示す。
【0148】また、成形品の透過電子顕微鏡写真(超薄
切片法)を図2に示す。写真より、成形品はマトリック
スポリマー中にPBTコポリマーリッチ相が3次元網目
状に分布し、しかもPBTコポリマーリッチ相中に微粒
子として分散していることが分かる。網目の平均径は
0.5μm以下であり、PBTコポリマー微粒子の平均
径(φ)は約50nmであった。
【0149】実施例2 実施例1と同様にしてマトリックスポリマーと前駆体ラ
ンダムコポリマーの複合繊維を得、真空乾燥した。この
繊維を250℃まで昇温する間一定長に保持し、さらに
330℃に昇温する間に1.5倍に延伸し、その後33
0℃にて30分間一定長に保持して、加熱処理を行っ
た。なお、この加熱プログラムを図5に示す。
【0150】このようにして得られた熱処理繊維を、
0.5〜5mmに切断し、これを図8に示す金型に入
れ、金型ホットプレス成形を行い、15×50×2t
(mm)の平板成形品を得た。このときの金型の加熱プ
ログラムを、図6に示す。なお、成形は、アルゴン雰囲
気中で行った。この成形品の曲げ物性を表1に示す。
【0151】比較例1 実施例1において用いたマトリックスポリマーのみか
ら、金型ホットプレス法により、50×15×2t(m
m)の成形品を得た。なお、図7に、加熱プログラムを
示す。得られた成形品の曲げ物性は表1に示す。
【0152】
【表1】
【0153】
【発明の効果】本発明の方法では、補強高分子である芳
香族複素環ポリマーに、少なくともマトリックスポリマ
ーの一部分を含むフラグメントを導入し共重合体とし、
補強高分子とマトリックスポリマーとの相溶性を向上さ
せている。そして、補強材である芳香族複素環コポリマ
ーを3次元網目状微粒子分散構造とすることにより、マ
トリックスポリマー中に良好に均一に分散させ、複合さ
せることが可能となる。そこで、一般的な溶融成形が可
能となり、成形時にも大きな相分離を生じず、芳香族複
素環コポリマーの凝集もなく、機械的特性に優れた分子
複合材を得ることができる。
【0154】このような微細複合化によって、成形性を
損なうことなく、機械特性を大幅に向上させることがで
きる。本発明の分子複合材は、良好な機械的強度を有す
るために、自動車部品、航空部品、宇宙機器を始めとし
て、幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の3次元網目状微粒子分散型分子複合材
の複合状態を示す模式図である。
【図2】実施例1における電子顕微鏡写真(粒子構造、
倍率=34,000倍)である。
【図3】実施例1における熱処理の加熱プログラムであ
る。
【図4】実施例1における成形の加熱プログラムであ
る。
【図5】実施例2における熱処理の加熱プログラムであ
る。
【図6】実施例2における成形の加熱プログラムであ
る。
【図7】比較例1における成形の加熱プログラムであ
る。
【図8】実施例で用いられる金型の構成図であり、
(a)は組み立て構成図、(b)は分解構成図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マトリックスポリマーと3次元網目状微
    粒子分散型構造を形成してなる芳香族複素環コポリマー
    とからなる3次元網目状微粒子分散型分子複合材。
  2. 【請求項2】 マトリックスポリマーが芳香族ポリアミ
    ド、芳香族複素環コポリマーがポリベンゾチアゾールコ
    ポリマーである請求項1記載の3次元網目状微粒子分散
    型分子複合材。
  3. 【請求項3】 ポリベンゾチアゾールコポリマーに、少
    なくともマトリックスポリマーの一部分を含むフラグメ
    ントを導入し、共重合体を形成させてなる請求項2記載
    の3次元網目状微粒子分散型分子複合材。
  4. 【請求項4】 マトリックスポリマーと芳香族複素環コ
    ポリマーの前駆体を有機溶媒中で相溶し、この溶液を非
    溶媒中で脱溶媒して繊維状に凝固させこれらの複合材を
    得たのち、この繊維状複合材を緊張下および/または延
    伸しつつ熱処理することにより芳香族複素環コポリマー
    の前駆体の閉環反応を起こし、マトリックスポリマーと
    芳香族複素環コポリマーの複合材を得、この複合材を金
    型ホットプレス成形することを特徴とする3次元網目状
    微粒子分散型分子複合材の製造方法。
  5. 【請求項5】 マトリックスポリマーが芳香族ポリアミ
    ド、芳香族複素環コポリマーがポリベンゾチアゾールコ
    ポリマーである請求項3記載の3次元網目状微粒子分散
    型分子複合材の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリベンゾチアゾールコポリマーに、少
    なくともマトリックスポリマーの一部分を含むフラグメ
    ントを導入し、共重合体を形成させてなる請求項5記載
    の3次元網目状微粒子分散型分子複合材の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6いずれか1項記載の製造方
    法によって得られる成形品。
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