【発明の詳細な説明】
C-22環安定化ラパマイシン誘導体
発明の背景
本発明は、C-22環安定化ラパマイシン誘導体またはその医薬上許容される
塩に関する。これらは、免疫抑制を誘発したり、移植時の拒絶反応、宿主対移植
片疾患、自己免疫疾患、炎症の疾患、充実性腫瘍、真菌感染症、成人T細胞白血
病/リンパ腫および過増殖性の血管疾患を治療したりするのに有用である。
ラパマイシンは、ストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyceshyg roscopicus
)によって産生される大環状トリエン系の抗生物質であり、インビト
ロおよびインビボの両方において、抗真菌活性、特にカンジダ・アルビカンス(C andida albicans
)に対する抗真菌活性を有することが見い出されている[シー・
ヴェチーナ(C.Vezina)ら、ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス (J.Anti
biot.)28,721(1975);エス・エヌ・セーガル(S.N.Seghal)ら、ジャーナル・オ
ブ・アンチバイオティクス(J.Antibiot.)28,727(1975);エイチ・エイ・ベイカ
ー(H.A.Baker)ら、ジャーナル・オブ・アンチバイオティクス(J.Antibiot.)31
,539(1978);米国特許第3,929,992号;および米国特許第3,993,749号]。
ラパマイシンは、単独(米国特許第4,885,171号)またはピシバニルと組み合わ
せて(米国特許第4,401,653号)、抗腫瘍活性を有することが示されている。アー
ル・マーテル(R.Martel)ら [カナディアン・ジャーナル・オブ・フィジオロジ
ー・アンド・ファーマコロジー(Can.J.Physiol.Pharmacol.)55,48(1977)]は
、ラパマイシンが実験的なアレルギー性脳脊髄炎モデルや多発性硬化症のモデル
において;アジュバント性関節炎モデルや慢性関節リウマチのモデルにおいて有
効であり、IgE様抗体の形成を効果的に阻害したことを開示した。
ラパマイシンの免疫抑制効果は、ファセブ (FASEB)3,3411(1989)に開示されて
いる。シクロスポリンAおよびFK-506や、他の大環状分子もまた、免疫抑
制薬として有効であり、それゆえ、移植組織片の拒絶反応を防止するのに
有用であることが示されている[ファセブ(FASEB)3,3411(1989);ファセブ(FASEB
)3,5256(1989);アール・ワイ・カルネ(R.Y.Calne)ら、ランセット(Lancet)118
3(1978);および米国特許第5,100,899号]。
また、ラパマイシンは、全身性紅斑性狼瘡 [米国特許第5,078,999号]、肺炎[
米国特許第5,080,899号]、インスリン依存性真性糖尿病[第5回炎症研究学会国
際会議,121(要旨),(1990)]、ならびに、血管損傷後における平滑筋細胞増殖お
よび血管内膜の肥厚化[モリス,アール(Morris,R.),ジャーナル・オブ・ハー
ト・アンド・ラング・トランスプラント(J.Heart Lung Transplant)11(pt.2):
197(1992)]を予防または治療するのに有用であることが示されている。
ラパマイシンのモノ-およびジ-アシル化誘導体(28位および43位でエステ
ル化されている)は、抗真菌薬として有用であることが示され(米国特許第4,316,
885号)、また、ラパマイシンの水溶性プロドラッグを製造するのに用いられてい
る(米国特許第4,650,803号)。最近、ラパマイシンの番号付けの規約が変更され
ており;それゆえ、ケミカル・アブストラクツ(Chemical Abstracts)の命名法に
従えば、上記エステルは、31位および42位におけるものとなる。米国特許第
5,118,678号は、免疫抑制薬、抗炎症薬、抗真菌薬および抗腫瘍薬として有用な
ラパマイシンのカルバメートを開示している。米国特許第5,100,883号は、ラパ
マイシンのフッ素化エステルを開示している。米国特許第5,118,677号は、ラパ
マイシンのアミドエステルを開示している。米国特許第5,130,307号は、ラパマ
イシンのアミノエステルを開示している。米国特許第5,117,203号は、ラパマイ
シンのスルホネートおよびスルファメートを開示している。米国特許第5,194,44
7号は、ラパマイシンのスルホニルカルバメートを開示している。
発明の説明
本発明は、インビボにおける免疫抑制活性および/または抗真菌活性および/ま
たは抗炎症活性を有し、および/または、胸腺細胞の増殖をインビトロで阻害す
るC-22置換ラパマイシン誘導体に関する。これらの化合物は、それゆえ、カ
ンジダ・アルビカンス(Candida albicans)感染症、炎症の疾患および移植組織
片の拒絶反応、ならびに、狼瘡、慢性関節リウマチ、真性糖尿病、多発性硬化症
などを含む自己免疫疾患の治療に有用である。
さらに詳しくは、本発明は、C-22位における置換によって安定化されたラ
パマイシン誘導体およびそのすべての医薬上許容される塩に関する。このような
誘導体は、以下の構造を有する:
[式中、R1は、C1-C6アルキル、C2-C7アシル、C1-C6アルキルチオ、C7-
C16アリールアルキル、C6-C10アリールチオ、C7-C16アリールアルキルチオ
、シアノ、C1-C6フルオロアルキル、または、所望により、ハロゲン、C1-C6
アルコキシ、ヒドロキシ、C2-C7アルカノイルもしくはシアノの1個またはそ
れ以上で置換されていてもよいC6-C10アリール;および、
R2、R3およびR4は、各々独立して、
a)水素;または、
b)SiEt3;または、
c)
(式中、R5は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜4のアミノアルキル
、炭素数7〜10のアラルキル、-(CH2)dCO2R8、-(CH2)eNR9CO2R10
、炭素数2〜3のカルバミルアルキル、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル、
炭素数2〜4のグアニルアルキル、炭素数1〜4のメルカプトアルキル、炭素数
2〜6のアルキルチオアルキル、インドリルメチル、ヒドロキシフェニルメチル
、イミダゾイルメチル、または、所望により、炭素数1〜6のアルキル、炭素数
1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2〜7のカル
ボアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノもしくはカルボン酸から選択される
置換基で一置換、二置換もしくは三置換されていてもよいフェニル;
R6およびR9は、各々独立して、水素、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数
7〜10のアラルキル;
R7、R8およびR10は、各々独立して、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜
10のアラルキル、フルオレニルメチル、または、所望により、炭素数1〜6の
アルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭
素数2〜7のカルボアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノもしくはカルボン
酸から選択される置換基で一置換、二置換もしくは三置換されていてもよいフェ
ニル;
aは0〜4;
bは0〜4;
cは1〜2;
dは0〜4;
eは0〜4;
ここで、R5、R6、aおよびbは、c=2の場合、サブユニット:
の各々において独立している);または、
d)-CONH(CR11R12)f-X
(式中、R11およびR12は、各々独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭
素数7〜10のアラルキル、炭素数3〜8のシクロアルキル、ハロゲンまたはト
リフルオロメチル;
Xは、水素、炭素数1〜6の低級アルキル、炭素数3〜8のシクロアルキル、
トリフルオロメチル、ニトロ、炭素数1〜6のアルコキシ、炭素数2〜7のカル
ボアルコキシ、炭素数7〜10のアラルキル、ハロ、アルキル基1個あたりの炭
素数1〜6のジアルキルアミノ、炭素数1〜6のチオアルキルまたはY;
Yは、所望により、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜10のアラルキル、
炭素数1〜6のアルコキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2〜7のカルボアル
コキシ、トリフルオロメチル、アルキル基1個あたり炭素数1〜6のジアルキル
アミノ、炭素数1〜6のアルキルチオ、SO3H、PO3HまたはCO2Hから選
択される基で一置換、二置換もしくは三置換されていてもよいフェニル基;
f=0〜5;
ただし、R2、R3およびR4は、全部が水素である訳ではなく、f=0の場合、
Xは炭素数1〜6の低級アルキル、炭素数3〜8のシクロアルキル、炭素数7〜
10のアラルキルまたはY);または、
e)
(式中、R13、炭素数1〜10のモノ-、ジ-、ポリ-もしくは過フッ素化アルキル
基;ただし、R2、R3およびR4は、全部が水素、炭素数1〜10のアルキル、
炭素数7〜10のアリールアルキルまたはアリール(ここで、アリール基は、所
望により、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜10のアリールアルキル、炭素
数1〜6のアルコキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2〜7のカルボアルコキ
シ、トリフルオロメチル、アミノ、アルキル基1個あたり炭素数1〜6のジアル
キルアミノ、炭素数1〜6のアルキルチオ、-SO3H、-PO3HまたはCO2H
から選択される基で一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい)である訳
ではない);または、
f)
(式中、Xは、-(CH2)g-または-Ar-;
R14およびR15は、各々独立して、水素、炭素数1〜12のアルキル、-(CH2
)b-Ar、-(CH2)i-NR16R17または-(CH2)i-N+R16R17R18Y-;
R16およびR17は、各々独立して、水素、炭素数1〜12のアルキルまたは-(
CH2)h-Ar;
Arは、
から選択される所望により一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい基;
ここで、所望により存在する置換基は、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜1
0のアラルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2
〜7のカルボアルコキシまたは炭素数1〜6のペルフルオロアルキルから選択さ
れる;
R18は、炭素数1〜6のアルキル;
Yは、ハライド、スルフェート、ホスフェートまたはp-トルエンスルホネー
トのアニオン;
g=1〜6;
h=1〜6;
i=1〜6);または、
g)-CONHSO2-Ar
(式中、Arは、フェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、キ
ノキサリル、チエニル、チオナフチル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾジオキシ
ル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリルまたはベンゾジオキソリル;
ここで、Ar基は、所望により、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜10のア
リールアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2
〜7のカルボアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、アルキル基1個あたり
炭素数1〜6のジアルキルアミノ、炭素数1〜6のアルキルチオ、-SO3H、-
PO3HまたはCO2Hから選択される基で一置換、二置換もしくは三置換されて
いてもよい);
ただし、R2、R3およびR4は、全部が水素である訳ではない;または、Ar基
が塩基性窒素を含んでいる場合、もしくは、Ar基がアルキル基1個あたり炭素
数1〜6のジアルキルアミノ、-SO3H、-PO3HまたはCO2Hで置換されて
いる場合、その医薬上許容される塩である;
h)-SO2R19
(式中、R19は、炭素数1〜6のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル;ま
たは、フェニルおよびナフチルからなる群から選択される芳香族部分、または、
チオフェニルおよびキノリニルからなる群から選択される複素環部分、または、
NHCO2R20(ここで、R20は炭素数1〜6の低級アルキル));または、
i)
(式中、R21およびR22は、各々、水素もしくは炭素数1〜3のアルキルである
か、または、R21およびR22は、それらが結合する窒素と共に、炭素数4〜5の
飽和複素環を形成する;および、j=1〜3);または、R2およびR3は、一緒
になって、次式で示される二価の基を表す:
j)
(式中、R24は、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜10のアリールア
ルキル、(CH2)pNR25R26、炭素数1〜4のアミノアルキル、炭素数1〜4の
ヒドロキシアルキル、炭素数2〜4のグアニルアルキル、炭素数1〜4のメルカ
プトアルキル、炭素数2〜6のアルキルチオアルキル、インドールメチル、ヒド
ロキシフェニルメチル、イミダゾリルメチル、または、所望により、炭素数1〜
6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ
、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノもしくはカル
ボン酸から選択される置換基で一置換、二置換もしくは三置換されていてもよい
フェニル;
R25は、水素、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数7〜10のアラルキル;
R23およびR26は、各々独立して、水素、ホルミル、炭素数2〜7のアルカノ
イル、炭素数8〜11のアリールアルカノイル、アリロイル(aryloyl)またはC
O2R27;
R27は、炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜10のアリールアルキル、アリ
ル、フルオレニルメチル、または、所望により、炭素数1〜6のアルキル、炭素
数1〜6のアルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2〜7のカ
ルボアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノもしくはカルボン酸から選択され
る置換基で一置換、二置換もしくは三置換されていてもよいフェニル;
kは0〜4;
lは0〜4;
mは0〜1;
nは0〜4;
oは0〜4;および、
pは0〜4)]
またはその医薬上許容される塩またはそのプロリン類似体またはそのプロリン
類似体の医薬上許容される塩。
R1として上に掲げた置換基のうち、より好ましいのは、C1-C6低級アルキル
基である。これらのうち、最も好ましいのは、メチルおよびエチル置換基である
。
上に掲げたR1置換基が線状または分岐状のいずれであってもよく、付加的な置
換基を有するものを包含しうることは、当業者の理解するところである。これら
R1基上の置換基は、ヒドロキシ、ケト、シアノおよびハロ基を包含しうるが、
これらに限定されない。上の項目c)に記載したアミノエステルの場合、好まし
い化合物は、a=0、b=0およびc=1;a=0、b=0およびc=2;b=
0およびR5が-(CH2)dCO2R7;a=0、b=0およびR5が-(CH2))eNR9
CO2R10;ならびに、a=0、b=0およびR5が水素であるものである。R1
で表されるC1-C6フルオロアルキル化合物のうち、最も好ましいのは、トリフ
ルオロメチルおよびトリフルオロエチル置換基である。
この開示の目的上、「低級アルキル」は、単独または組み合わせて用いられる
場合、炭素鎖に1〜6個の炭素原子を有する部分を意味する。用語「アシル」は
、
示される置換基(例えば、アセチルまたはプロピオニル)を意味する。
ここでアリールアルキルまたはアリールオキシなどの基または基の一部として
用いられる用語「アリール」によって、(i)芳香族性を有し、フェニルおよび
ナフチルなどの炭素数6〜10の基を包含する一価の炭素環基;および(ii)芳
香族性を有し、5〜10個の環原子と、酸素、窒素および硫黄から選択される1
個またはそれ以上(例えば、2または3個)のヘテロ原子とを持つ複素環基を意
味する。後者の例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル
、キノリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリルおよびイミダゾリルである。これ
らの基は、所望により、1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい(
これによって、所望による置換を意味する)。これらの置換基は、ハロゲン(例
えば、Cl、Br、F)、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、ハロ (C1-C6
)アルキル (例えば、CF3、CF3CH2-)、もしくはハロ (C1-C6)アルコキシ
(例えば、CHF2O、CF3CH2O-)、NO2、NH2、CN、C1-C6アルキル
アミノ、ジ-(C1-C6)アルキルアミノ、カルボキシ、(C1-C6アルコキシ)カル
ボニル、アシル(例えば、(C1−C6アルキル)カルボニル、アリールカルボ
ニル)、アシルアミノ(例えば、(C1−C6アルキル)CONH)、アリール(例えば
、フェニル)またはアミノ(C1-C6)アルキルなどの、薬化学で一般的に用いられ
ているものでよい。
用語「アリールアルキル」は、単一の原子価が側鎖に位置する炭素数約7〜約
16の芳香族置換基を意味する。このようなアリーリアルキル置換基の例は、ベ
ンジル、トリル、ベンズエチル、フェネチルおよびスチリル基を包含する。用語
「アルキルチオ」、「アリールチオ」および「アリールアルキルチオ」は、構造
:-SR[式中、Rは、各々、上記の「低級アルキル」、「アリール」および「ア
リールアルキル」基を意味する]を有する置換基を意味する。用語「ハロ」は、
フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
アミノ基などの塩基性官能基を含むこれら化合物の医薬上許容される塩は、ナ
トリウム、カリウムなどの無機カチオン、および、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石
酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルコン酸などの有機酸から形成すれば
よい。
このようなアミノエステルは、上記の式1aまたは1b[ここで、R2〜4の1
つまたはそれ以上は水素]で示される化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ドなどの結合剤の存在下、一般的な構造:
[式中、XはOH]を有するアシル化剤でアシル化することによって調製するこ
とができる。これらのアミノエステルは、上記カルボン酸の混合無水物をアシル
化種として用いて調製することもできる。あるいは、酸ハロゲン化物[ここで、
XはCl、BrまたはIであり得る]をアシル化種とすることができる。本発明
の化合物を調製するために用いられるアシル化基は、市販品を利用するか、また
は、文献に開示されている方法によって調製することができる。
上の項目d)に開示したカルバミル化化合物のうち、好ましいメンバーは、R3
が水素であるもの;R2が水素であるもの;R4が水素であるもの;fが0、
XがYであるもの;R3が水素、fが0、XがYであるもの;および、fが0、
XがY、Yがフェニル、4-フルオロフェニル、2,4-ジフルオロフェニル、4-
ニトロフェニルまたは4-メチルフェニルであるものである。
これら化合物の一例として、本発明の31-カルバミル化化合物は、ラパマイ
シンの42-アルコールをtert-ブチルジメチルシリル基などの保護基で保護した
後、一般的な構造:
OCN-C(R11R12)nX
を有するイソシアネートで31位をカルバミル化することによって調製すること
ができる。保護基を除去すると、31-カルバミル化化合物が得られる。tert-ブ
チルジメチルシリル保護基の場合、脱保護化は穏やかな酸性条件下で達成するこ
とができる。
31位をカルバミル化し、42位を脱保護化すれば、31-アルコールと反応
したものとは異なるイソシアネートと42位で反応させ、31位および42位に
おいて異なるカルバメートを有する化合物を得ることができる。あるいは、上記
のように調製された42-カルバミル化化合物を異なるイソシアネートと反応さ
せ、31位および42位において異なるカルバメートを有する化合物を得ること
ができる。
これらのカルバミル化化合物を調製するのに用いられるイソシアネートは、市
販品を利用するか、または、公表されている方法で調製することができる。
これらのカルバミル化ラパマイシン化合物の医薬上許容される塩は、酢酸、乳
酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルコン酸、塩酸、
臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸および同様に公知の許容さ
れる酸などの有機酸および無機酸から誘導されるものである。
上の項目e)に記載したグループの好ましいフッ素化エステルは、R3が水素
であるもの;R13が炭素数1〜6のモノ-、ジ-、ポリ-または過フッ素化アルキ
ル基であるもの;および、R3が水素、R13が炭素数1〜6のモノ-、ジ-、ポリ-
または過フッ素化アルキル基であるものである。
項目c)〜j)の他のアシル化化合物がアリールまたはアリールアルキル部分
を含む場合、このアリール部分は、所望により、炭素数1〜6のアルキル、炭素
数7〜10のアリールアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、シアノ、ハロ、ニ
トロ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、トリフルオロメチル、アミノ、アルキ
ル基1個あたり炭素数1〜6のジアルキルアミノ、炭素数1〜6のアルキルチオ
、-SO3H、-PO3Hおよび-CO2Hから選択される基で一置換、二置換または
三置換されていてもよい、フェニル、ナフチル、ピリジル、キノリル、イソキノ
リル、キノキサリル、チエニル、チオナフチル、フリル、ベンゾフリル、ベンゾ
ジオキシル、ベンゾオキソゾリル、ベンゾインオキサゾリルまたはベンゾジオキ
ソリル基であることが好ましい。このアリール部分は、所望により、炭素数1〜
6のアルキル、炭素数7〜10のアリールアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ
、シアノ、ハロ、ニトロ、炭素数2〜7のカルボアルコキシ、トリフルオロメチ
ル、アミノ、アルキル基1個あたり炭素数1〜6のジアルキルアミノ、炭素数1
〜6のアルキルチオ、-SO3H、-PO3Hおよび-CO2Hから選択される基で一
置換、二置換または三置換されていてもよいフェニル基であることがより好まし
い。
本発明のアシル化化合物は、ラパマイシンを、CMC(1-シクロヘキシル-3-
(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメタ-パラ-トルエンスルホネート)などの
結合剤の存在下、一般的な構造:
[式中、XはOH]を有するアシル化剤でアシル化することによって調製するこ
とができる。本発明の化合物は、上記のカルボン酸の無水物をアシル化種として
用いることによって調製することもできる。さらに、酸ハロゲン化物[ここで、
XはCl、BrまたはIであり得る]をアシル化種とすることができる。あるい
は、イシカワ(Ishikawa)試薬(N,N-ジエチル-1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオ
ロプロピルアミン)などの試薬をアシル化試薬として用い、本発明の化合物を得
ることができる。
27-、31-および42-位の各々においてアシル化された本発明の化合物は
、
反応時間、温度およびアシル化剤の量などの変数を増大させることにより、上記
の方法によって調製することができる。
一例として、本発明の31-アシル化化合物は、ラパマイシンの27-および4
2-アルコールを、イミダゾールなどの塩基の存在下、tert-ブチルジメチルシリ
ル基などの保護基で保護した後、31位を上に示した一般的な構造を有するアシ
ル化剤でアシル化することによって調製することができる。保護基を除去すると
、31-アシル化化合物が得られる。tert-ブチルジメチルシリル保護基の場合、
脱保護化は、酢酸水溶液およびTHFの混合物を用いるなどの穏やかな酸性条件
下で達成することができる。
31位をアシル化し、42位を脱保護化すれば、この42位を所望のアシル化
剤と反応させ、31位および42位において異なるアシル部分を有する化合物を
得ることができる。同様に、上記のように調製された42-アシル化化合物を異
なる構造を有するアシル化剤と反応させ、31位に異なるアシル基を配置させる
ことができる。本発明の化合物を調製するのに用いられるアシル化剤は、市販品
を利用するか、または、文献に開示されている方法で調製することができる。
上の項目f)に開示したもののうち、ラパマイシンの好ましいアミドエステル
は、Xが-(CH2)g-であるもの;Xが-(CH2)g、R14およびR15が炭素数1〜
6のアルキルであるもの;および、Xが-(CH2)g-、R14が水素、R15がArま
たは-(CH2)h-Arであるものである。
これらの化合物の医薬上許容される塩は、R14またはR15が-(CH2)i-NR16
R17である場合に、または、Arが所望により一置換または二置換されていても
よいピリダルまたはキノリル基である場合に、形成すればよい。これらの医薬上
許容される塩は、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、マロ
ン酸、グルコン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸
などの有機酸および無機酸から誘導される。
ラパマイシンのアミドエステルの製造は、米国特許第5,118,677号(これは出
典を示すことによって明細書の一部とする)に教示されている。
上の項目g)に記載したスルホニルカルバメートラパマイシン化合物の医薬上
許容される塩は、ナトリウム、カリウムなどの無機カチオン;アルキル基1個あ
たり炭素数1〜6のモノ-、ジ-およびトリアルキルアミン、および、アルキル基
1個あたり炭素数1〜6のモノ-、ジ-およびトリヒドロキシアルキルアミンなど
の有機塩基;ならびに、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸
、マロン酸、グルコン酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスル
ホン酸および同様に公知の許容される酸などの有機酸および無機酸から誘導され
るものである。
これらの化合物のうち、好ましいメンバーは、Arが所望により一置換、二置
換または三置換されていてもよいフェニルであるものである。Arが炭素数7〜
10のアリールアルキルで置換されている場合、このアリールアルキル部分のア
リール部分は、フェニル基であることが好ましい。
27位、31位もしくは42位のアルコール部位の1つにおいて、または、こ
れらの位置のすべてにおいて、カルバミル化された本発明の化合物は、ラパマイ
シンを、中性条件下、または、ピリジンなどの塩基の存在下、一般的な構造:
O=C=N-SO2-Ar
を有するイソシアネートと反応させることによって調製することができる。
本発明のカルバミル化化合物は、反応させるべきではないアルコール基を、te
rt-ブチルジメチルシリル基などの保護基で保護した後、非保護化部分を上記の
一般的な構造を有するイソシアネートでカルバミル化することによって調製する
ことができる。保護基を除去すると、所望のカルバミル化化合物が得られる。te
rt-ブチルジメチルシリル保護基の場合、脱保護化は穏やかな酸性条件下で達成
することができる。
1または2つの位置をカルバミル化し、別の位置を脱保護化すれば、このとき
の非保護化部分を、最初のアルコールと反応させたものとは異なるイソシアネー
トと反応させ、問題の位置において異なるカルバメートを有する化合物を得るこ
とができる。
本発明の化合物を調製するのに用いられるイソシアネートは、市販品を利用す
るか、または、文献に開示されている方法によって調製することができる。マー
チ(March)[アドバンスド・オーガニック・ケミストリー (Advanced Organic Ch
emistry),第3版,391,452および479頁(1985)]は、アリールスルホニルイソシア
ネートを調製する一般的な方法を記載しているが、これらはアリールスルホニル
イソシアネートが市販されていない場合に用いることができる。以下のスキーム
は、アリール部分から出発するひとつの方法を例示するものである。アリールス
ルホニルイソシアネートを調製する他の方法は、文献に公知である。
上の項目h)に示すような本発明のラパマイシン27-、31-および42-ス
ルホネートは、以下の一般的な反応式によって略述されるように、標準的な文献
記載の手順によって調製することができる。
アルコールとハロゲン化スルホニルとの間のスルホネート形成は、[ジェリー
・マーチ(Jerry March),アドバンスド・オーガニック・ケミストリー Advanced
Organic Chemistry),第3版,1985年に出版,444頁]に記載されている。本発明に
採用される特定の反応条件は、アイエルスト・ラボラトリーズ(Ayerst Laborato
ries)のエス・ラキット(S.Rakhit)によって開発され、米国特許第4,316,885号(
1982年2月23日)に報告されている。
本発明の27-、31-および42-(N-カルボアルコキシ)スルファメートは、
ラパマイシンとアルキル(カルボキシスルファモイル)トリエチルアンモニウムヒ
ドロキシド内部塩 (バージェス(Burgess)塩;ジー・エム・アトキンス・ジュニ
アー(G.M.Atkins Jr.)およびイー・エム・バージェス(E.M.Burgess),ジャー
ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.),90,
4744,1968;イー・エム・バージェス(E.M.Burgess),エイチ・アール・ペント
ン・ジュニアー(H.R.Penton Jr.)およびイー・エイ・テイラー E.A.Taylor),
ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),38,26,1978を
参照)との反応によって調製することもできる。
[中、R1およびR2は上記と同意義]
上の項目i)のアミノアルキルエステル化合物は、27位、31位または42
位の残りを、例えば、トリエチルシリル基によって保護した状態で、所望の位置
を、米国特許第4,650,803号(その開示内容は出典を示すことによって明細書の
一部とする)に記載のような適当なアシル化剤でアシル化することによって調製
することができる。
上の項目i)に示すような本発明のアミノジエステル含有化合物は、ラパマイ
シンを、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは水溶性カルボジイミドなどの結
合剤の存在下、一般的な構造:
[式中、R23、R24、k、l、m、nおよびoは上記と同意義、XはOH]を有
するアシル化剤でアシル化することによって調製することができる。本発明の化
合物は、上記のカルボン酸の混合無水物または活性化エステル(例えば、p-ニ
トロフェノール、ペンタクロロもしくはペンタフルオロフェノール、2,4,5-
トリクロロフェノール、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシフタルイ
ミドまたは1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾールなど)をアシル化種として
用
いて調製することもできる。あるいは、前記酸の酸ハロゲン化物[ここで、Xは
Cl、BrまたはF(R23またはR27=t-Buの場合を除く)であり得る]、
アジドまたはイミダゾリド誘導体をアシル化種とすることができる。
本発明の化合物を調製するのに用いられるアシル化基は、市販品を利用するか
、または、文献に開示されている方法によって調製することができる。本発明の
化合物を調製するのに用いられるアミノ酸は、RまたはS配置のいずれを有する
こともでき、本発明の化合物に変換されるとき、光学活性炭素は、その相対的な
配置を保持する。mが1の場合、アシル化種は、典型的には、2個のアミノ酸を
縮合させてジペプチドを形成し、これを標準的な化学方法論によって上記のアシ
ル化種に変換することによって調製することができる。
これらアミノジエステル化合物のうち、好ましいメンバーは、mが0であるも
の;および、mが0、1が1〜2であるものである。本発明のより好ましいアミ
ノジエステルの1つは、C-22-メチル-42-ジメチルグリシンラパマイシンで
ある。この化合物の合成データは、実施例7として以下に与えられている。
本発明のC-22置換ラパマイシン誘導体が、R2、R3およびR4の各々が水素
であるか、または、R2、R3およびR4の1または2個が水素であって、残りの
ものが上の項目b)〜j)に掲げた基であるものを包含しうることは、当業者の
理解するところである。本発明は、C-22置換ラパマイシンのうち、R2、R3
およびR4が上の項目b)〜j)として示す同じ項目から選択されないような誘
導体を含めて、R2、R3およびR4の各々が上の項目a)〜j)から選択される
基であるような化合物をも包含する。本発明がこのような化合物のすべでの医薬
上許容される塩、類似体、ラセミ体および個々のエナンチオマーを包含すること
も理解されるところである。
本発明のC-22置換化合物は、まず、31位および42位のヒドロキンル部
位を保護し、次いで、C-22位における置換を完了することによって調製する
ことができる。このような置換の一例を、以下のスキーム1のC-22メチル化
によって例示する。
α-メチル化合物の合成を例示するスキーム1では、まず、31位および42
位のヒドロキシル基をトリエチルシリル(TES)保護基などの適当な保護基で
保護する。次いで、ビス-TESラパマイシンをリチウムジイソプロピルアミド
(DA)で処理した後、トリフルオロメタンスルホン酸メチル(MeOTf)で
アルキル化する。このスキームによれば、アルキル化は、C-22位において排
他的に起こる。次いで、TES保護基は、HF・Pyr錯体を用いた処理によっ
て除去すればよい。次いで、31位および42位のヒドロキシル部位を上記のよ
うに置換すればよい。あるいは、C-22置換のTES-保護化物質をL-セレク
トライドで還元し、C-27-ヒドロキシ-C-22-メチル保護化誘導体を得ても
よい。31位および42位は、さらに、以前に記載したように官能化することが
できる。
他のアルキル化は、類似の方法で実施することができる。以下のスキーム2は
、ラパマイシンのC-22エチル化を例示する。
当業者は、本発明の誘導体が容易に調製することができることを理解するはず
である。例えば、当業者は、C-42-グリシン-C-22-メチル-ラパマイシンな
どのC-42-アシル化誘導体を調製することができる。C-27およびC-31位
は、同様に官能化することができる。さらに、ラパマイシンのプロリン類似体が
公知であるので、以下のスキーム3に例示するように、対応するアルキル化プロ
リン類似体を調製することができる。
[式中、置換されたメチル基は所望のアルキル基を例示する]C-22アルキル
化プロリン類似体のC-42およびC-31官能化誘導体を調製することもできる
。同様に、スキーム1に示す方法のように、C-27還元プロリン類似体を調製
することができる。この位置は、上記のように官能化することもできる。
当業者は、C-22位におけるアルキル化が、文献に詳しく記載された方法に
よって実施できることを容易に理解する。このようなアルキル化は、以下のタイ
プのアルデヒド:
または、以下のタイプの酸塩化物:
または、以下のタイプのハロゲン化アルキル:
[式中、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表す]を利用する方法を包含する。こ
れらのアルデヒド、酸塩化物およびハロゲン化アルキルを示す式の各々において
、Rは上記のC-22に置換したR1置換基の一部を表すことを意図する。
C-22位におけるアルキル化が、塩化スルホニル、RSCl(例えば、R=
低級アルキルまたはフェニル)、または、シアン化トシル(TsCN)を利用し
て実施できることも理解される。さらに、同様の方法で目的のチオアルキル化を
達成することができることが理解される。一例は、TESによるヒドロキシル基
の保護化、LDAを用いた処理、および、ジメチルジスルフィドまたはフェニル
-S-ブロミドを用いたチオアルキル化である。
本発明の代表的な化合物の免疫抑制活性は、リンパ球の増殖(LAF)を測定
するインビトロでの標準的な薬理学的試験法によって、および、ピンチ皮膚移植
片(pinch skin graft)の生存時間を評価するインビボでの標準的な薬理学的試験
法によって評価された。コウマイトジェン comitogen)の誘発により胸腺細胞の
増殖(LAF)を行う方法を、代表的な化合物の免疫抑制効果のインビトロ測定
法として用いた。簡単に説明すると、正常BALB/cマウスの胸腺由来の細胞
を、PHAおよびIL-1と共に72時間培養し、最後の6時間はトリチウム化
チミジンでパルスした。細胞は、様々な濃度のラパマイシン、シクロスポリ
ンA、または、試験化合物を用いて、あるいは、用いずに培養する。細胞を採取
し、導入された放射活性を測定する。リンパ球増殖の阻害は、非薬剤処理の対照
に対する1分間あたりのカウント数の変化率(%)で評価する。結果はIC50と
して表す。
本発明の代表的な化合物は、雄BALB/cレシピエントに移植された雄DB
A/2ドナー由来のピンチ皮膚移植片の生存時間を測定するように設計されたイ
ンビボ試験法によっても評価された。この方法は、ビリンガム・アール・イー (
Billingham R.E.)およびメダワォール・ピー・ビー(Medawar P.B.)、ジャーナル
・オブ・エクスペリメンタル・バイオロジー(J.Exp.Biol.),28:385-402(1951
)を改作したものである。簡単に説明すると、ドナー由来のピンチ皮膚移植片を
レシピエントの背中に同種異系移植片として移植し、同種同系移植片は同一領域
で対照として用いる。これらのレシピエントを様々な濃度の試験対照であるシク
ロスポリンAまたは試験化合物のいずれかで腹腔内処理する。処理していないレ
シピエントは拒絶反応の対照とする。移植片は毎日モニターし、移植片が乾くか
、または、黒化した痂皮を形成するまで観察結果を記録する。これは拒絶反応日
と見なす。薬剤処理グループにおける移植片の平均生存時間(日数±S.D.)
を、対照グループと比較する。
さらに、代表的な化合物の安定性を、0.1Mリン酸塩緩衝液(pH7.4、3
7℃)中、HPLCによって試験した。
これらのLAF、皮膚移植片および安定性の試験の各々の結果を以下の表に示
す:
これらの標準的な薬理学的試験法の結果は、本発明の化合物のインビボおよび
インビトロのいずれにおける免疫抑制活性をも示している。LAF試験法の結果
は、安定化されたラパマイシン誘導体がT細胞増殖の抑制を誘発することを示し
ている。さらに、移植されたピンチ皮膚移植片が、典型的には、免疫抑制薬を用
いなければ、6〜7日以内に拒絶反応を示すので、22-メチルラパマイシンの
使用によって示される増大した生存時間は、免疫抑制に関する本発明の有用性を
示している。
本発明の化合物は、ラパマイシンと構造的に類似しており、ラパマイシンと同
様の活性プロフィールを有するので、それらはまた、抗腫瘍活性、抗真菌活性お
よび抗増殖活性を有すると考えられる。本発明の化合物は、それ自体としては、
心臓、腎臓、肝臓、骨髄および皮膚移植組織片などの移植時の拒絶反応;狼瘡、
慢性関節リウマチ、真性糖尿病、重症筋無力症および多発性硬化症などの自己免
疫疾患;乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、炎症性腸疾患および眼のブドウ膜炎など
の炎症の疾患;充実性腫瘍;真菌感染症;ならびに、再発狭窄症などの過増殖性
の血管疾患の治療に有用である。本発明は、それゆえ、免疫抑制を必要とする哺
乳動物における免疫抑制を誘発する方法であって、このような哺乳動物に、ここ
で考察した化合物の1種またはそれ以上の免疫抑制量を投与することからなる方
法をも提供する。
0.1Mリン酸塩緩衝液による安定性試験の結果は、本発明の化合物がラパマ
イシンに比べて増大した安定性を有することを示している。上に示すように、2
2-メチル-ラパマイシンおよび22-メチル-27-ヒドロキシ-ラパマイシンは、
各々、半減期が38および21.8時間であることが見い出された。これらの結
果は、同一条件下で測定されたラパマイシンの半減期12〜13時間と対照的で
ある。
本発明の化合物は、そのままで、あるいは、医薬用担体と共に処方し、それを
必要とする哺乳動物に投与することができる。医薬用担体は、固形または液状の
いずれでもよい。
固形担体は、香味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、潤滑剤、圧縮補
助剤、結合剤または錠剤崩壊剤としても作用しうる一種またはそれ以上の物質を
含有することができる;それはカプセル化材料とすることもできる。散剤の場合
、担体は、細かく粉砕された固体であって、やはり細かく粉砕された活性成分と
混合されている。錠剤の場合、活性成分は、必要な圧縮性を有する担体と適当な
割合で混合され、所望の形状および寸法に成形される。散剤および錠剤は、好ま
しくは99%までの活性成分を含有する。適当な固形担体は、例えば、リン酸カ
ルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、デキストリン、デ
ンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、ポリビニルピロリドン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂を
包含する。
液状担体は、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤および加圧組成
物を調製するのに用いられる。活性成分は、医薬上許容される液状担体(例えば
、水、有機溶媒、両方の混合物、または医薬上許容される油脂)中に溶解または
懸濁させることができる。液状担体は、他の適当な医薬用添加物(例えば、可溶
化剤、乳化剤、緩衝化剤、保存剤、甘味料、香味剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤
、粘度調節剤、安定化剤または浸透圧調節剤)を含有することができる。経口お
よ
び非経口投与用の液状担体の適当な例は、水(上記の添加剤、例えば、セルロー
ス誘導体、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を部分的に含
有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコ
ールを含む)およびそれらの誘導体、ならびに油(例えば、分別ヤシ油および落
花生油)を包含する。非経口投与の場合、担体は、オレイン酸エチルおよびミリ
スチン酸イソプロピルなどの油状エステルとすることもできる。無菌の液状担体
は、非経口投与用の無菌液状組成物に有用である。加圧組成物用の液状担体は、
ハロゲン化炭化水素または他の医薬上許容される噴射剤とすることができる。
無菌の液剤または懸濁剤である液状医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹腔内ま
たは皮下への注射によって利用することができる。無菌液剤は、静脈内投与する
こともできる。本発明の化合物は、液状または固形のいずれの組成物形態でも、
経口投与することができる。
本発明の化合物は、例えば、従来の坐剤または軟膏の形態で直腸内に投与して
もよい。
鼻腔内または気管支内へ吸入または吹入による投与の場合、本発明の化合物は
、水溶液または部分的水溶液に処方すればよく、次いで、エアロゾルの形態で利
用することができる。本発明の化合物は、活性化合物と、この活性化合物に対し
て不活性であり、皮膚に対して毒性を有さず、しかも、皮膚を介して全身吸収用
薬剤を血流中に送達するような担体とを含有する経皮貼付薬を用いて、経皮的に
投与してもよい。このような担体は、クリーム剤や軟膏剤、パスタ剤、ゲル剤、
ならびに密封用具などの数多くの形態をとりうる。クリーム剤や軟膏剤は、水中
油型または油中水型のいずれかのタイプの粘稠液または半固形乳剤であればよい
。活性成分を含有する鉱油または親水ワセリン中に分散させた吸収性粉末からな
るパスタ剤も適当でありうる。例えば、必要に応じて担体と共に活性成分を含有
する貯蔵部を覆う半透膜や、活性成分を含有するマトリックスのように、様々な
密封用具を用いて、活性成分を血流中に放出させてもよい。他の密封用具は文献
で知られている。
さらに、本発明の化合物は、医薬上許容される賦形剤が、真菌感染した領域に
投与すればよい活性成分を0.1〜5%、好ましくは2%の割合で含有するよう
に処方することによって、液剤、クリーム剤またはローション剤として用いても
よい。
用量に関する必要条件は、用いた特定の組成物、投与の経路、発現した症状の
重篤度および治療中の特定の患者によって変化する。他のラパマイシン化合物に
ついて標準的な薬理学的試験法で得られた結果に基づいて、本発明の化合物を静
脈内投与する場合の計画的な一日量は、0.001〜25mg/kg、好ましくは
0.005〜5mg/kg、より好ましくは0.01〜0.5mg/kgである。本
発明の化合物を経口投与する場合の計画的な一日量は、0.005〜75mg/k
g、好ましくは0.01〜50mg/kg、より好ましくは0.05〜10mg/k
gである。
一般に、治療は、上記化合物の適量より少ない用量から開始する。その後、こ
のような状況下で至適な効果に達するまで用量を増大させる;経口的、非経口的
、鼻腔内、気管支内、経皮的または直腸内への投与に対する正確な用量は、治療
を受ける個々の患者による経験に基づいて、投与する医師が決定する。一般的に
、本発明の化合物は、通常、有害または有毒な副作用を起こすことなく、有効な
効果を与える濃度で投与するのが最も望ましい。
本発明の化合物が免疫抑制薬または抗炎症薬として用いられる場合、それらを
1種またはそれ以上の他の免疫調節薬と組み合わせて投与することができること
は期待される。このような他の抗拒絶反応化学療法薬は、アザチオプリン、コル
チコステロイド(例えば、プレドニゾンおよびメチルプレドニゾロン)、シクロホ
スファミド、ラパマイシン、シクロスポリンA、FK-506、OKT-3および
ATGを包含するが、これらに限定されない。本発明の薬物の1種またはそれ以
上を、免疫抑制を誘発したり、炎症の症状を治療したりするためのこのような他
の薬物または薬剤と組み合わせることによって、これら薬剤の各々は、所望の効
果を達成するのに、より少ない量しか必要としない。このような組合せ治療の基
礎はステプコフスキー(Stepkowski)によって確立され、その結果によると、ラパ
マイシンとシクロスポリンAを治療量以下の用量で組み合わせて用いたとこ
ろ、心臓の同種異系移植片の生存時間が延長された。
本発明は、本発明の化合物の調製方法をも提供する。これらの方法は、以下の
1つからなる:
(i)式:
[式中、R2'およびR3'は、各々、トリエチルシリル]で示される化合物または
そのプロリン類似体を、式:RaCHOまたはRbCOhal またはRc-hal または
RdS-hal またはシアン化トシルまたはReS-SRe[式中、Raは炭素数1〜5
のアルキル、アリールまたは炭素数1〜5のフルオロアルキル、Rbは炭素数1
〜6のアルキル、Rcは炭素数1〜6のアルキル、炭素数7〜16のアリールア
ルキルまたは炭素数1〜6のフルオロアルキル、Rdは炭素数1〜6のアルキル
、アリールアルキルまたはアリール、Reは炭素数1〜6のアルキル、アリール
またはアリールアルキル、および、halは塩素または臭素]で示されるアジル化
剤で、C22の位置においてアルキル化またはアシル化し、上記の式[ここで、
R2〜3はトリエチルシリル]で示される化合物を得て、必要なら、保護基の1つ
またはそれ以上を除去すること;
(ii)式:
[式中、R2'およびR3'は上記と同意義]で示される化合物またはそのプロリン
類似体を還元し、式Ia[ここで、R2およびR3はトリエチルシリル、R4は水
素]の化合物を得て、必要なら、保護基の1つまたはそれ以上を除去すること;
または、
(iii)上記の式[ここで、R2〜3は上記と同意義;ただし、R2〜3の少なく
とも1つは水素]で示される化合物を、式:
HOA
[ここで、Aは、R2〜4に対する上記の定義c)、e)、f)、i)またはj)の1
つ]示される化合物またはその反応性誘導体でアシル化し、式IaまたはIb[
ここで、R2〜4の1つまたはそれ以上は上記の意義c)からj)を有する]で示さ
れる対応の化合物を得て、必要なら、存在するトリエチルシリル保護基を除去す
ること;または、
(iv)上記の式[ここで、R2〜4は上記と同意義;ただし、R2〜4の少なくと
も1つは水素]で示される化合物を、式:
OCN-SO2ArまたはOCN-(CR11R12)nX
で示される化合物でカルバミル化し、式IaまたはIbで示される対応の化合物
を得て、必要なら、存在するトリエチルシリル基を除去すること;または、
(v)上記の式[ここで、R2〜4は上記と同意義;ただし、R2〜4の少なくと
も1つは水素]で示される化合物を、式:
R19SO2halまたは(R19SO2)2OまたはR20OCONSO2N+(アルキル)3[
式中、halは塩素または臭素などのハロゲン、アルキルはアルキル基(例えば、炭
素数1〜6のアルキル)、R19およびR20は上記と同意義]で示される化合物で
スルホン化し、必要なら、存在するトリエチルシリル基を除去すること;または
、
(vi)上記の式で示される塩基性化合物をその医薬上許容される塩に変換する
こと、または、上記の式で示される塩基性化合物の医薬上許容される塩を塩基性
化合物に変換すること。
方法i)については、アルキル化(チオアルキル化を含む)またはアシル化を
強塩基(例えば、リチウムジイソプロピルアミド(LDA))の存在下で実施する
のが好都合である。アシル化剤が式:RaCHOで示される場合、式Icの生成
物は、1位がヒドロキシで置換された炭素数1〜6のアルキルまたはフルオロア
ルキルを表すR1を有する。方法ii)については、生成物は、1位がケトで置換
された炭素数1〜6のアルキル置換基を有する。方法iii)の生成物は、炭素数
1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアリールアルキルまたはフルオロアルキルで
同様に置換されている。方法iv)およびv)の生成物は、炭素数1〜6のアルキ
ル置換基、アリールアルキルまたはアリール[ここで、1位は「S」である]を
有する。
以下の合成法は、本発明の化合物の調製に有用な製造方法を例示するために与
えられる。これらの実施例は、全く単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定す
るものではない。
実施例1
C-22-メチル-ビス-TES-ラパマイシン
ビス-TESラパマイシン(0.50g、0.483ミリモル)をTHF(4.4
mL、0.1M)に溶解し、−78℃に冷却した。この溶液を10分間撹拌した
。この溶液にLDA・THF錯体(シクロヘキサン中に1.5M、0.73mL、
1.1ミリモル)を滴下し、45分間撹拌した。反応物にトリフルオロメタンス
ルホン酸メチル(0.18g、1.1ミリモル)を添加し、−78℃で1.5時間
撹拌した。反応物を−78℃にてNaHCO3(5mL)でクエンチした。次い
で、反応物を室温に加温した。この混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水で洗浄
し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮し、黄色の発泡体を得た。残渣を、ヘ
キサン-酢酸エチル(9:1次いで4:1)を溶離液として用いるクロマトグラ
フィーに付し、22-メチル化ビス-TESラパマイシン(0.138g、収率27
%)を白色の発泡体として得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ0.
50(comp m,9H),0.71(m,1H),0.82-1.59(comp m,38H)
,1.65(s,3H),1.69(s,3H),1.78(m,2H),181(s,3
H),1.85-1.95(comp m,4H),2.05(m,2H),2.32(m,3H
),2.36(s,1H),2.39(s,1H),2.61(m,2H),2.89(m,
1H),3.14(s,mに重畳,1H),3.14(m,1H),328(s,3H)
,3.38(m,1H),3.40(s,mに重畳,3H),3.40(m,2H),3.
51(m,1H),3.53(m,1H),3.67(dd,J=
5.71,9.47Hz,1H),3.79(d,J=5.57Hz,1H),3.82
(m,1H),4.17(d,J=5.35Hz,1H),4.84(m,1H),5.
15(d,J=10.2Hz,1H),5.42(dd,J=9.01,14.2Hz
,1H),6.08(d,J=10.9Hz,1H),6.20(m,1H),6.23(
m,1H),6.42(dd,J=11.01,14.01Hz,1H);高分解能マ
ススペクトル(負イオンFAB)m/z1155.7[(M-H);C64H108NO13
Si2としての計算値:1155.7]。
実施例2
C-22-メチル-ラパマイシン
C-22-メチル-ビス-TES-ラパマイシン(0.489g、0.42ミリモル)
をTHF(4ml)に溶解し、数個の4Åモレキュラーシーブを入れたナルジー
ン(nalgene)試験管に移した。別のナルジーン試験管中で、HF/ピリジン錯体(
1mL)を0℃の乾燥ピリジン(1mL)に添加した。0℃の基質に、1.8m
Lの上記溶液を添加した。反応物を0℃で15分間保持し、次いで室温に加温し
、2時間撹拌した。次いで、反応物を0℃に冷却し、NaHCO3で徐々にクエ
ンチした。この混合物をEtOAcで抽出し、次いで0.1N HCl、NaH
CO3および食塩水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下でエバ
ポレートした。この混合物を、2.5%次いで5%のMeOH/CH2Cl2を溶離
液として用いるクロマトグラフィーに付し、C-22-メチル-ラパマイジン(0.
36g、収率93%)を得た。IR(KBr)3440(s),2940(s),
1725(s),1650(m),1455(w),1380(w),1240(w),1
195(w),1090(s),995(m),915(w),735(w);1H NMR
(400MHz,CDCl3)δ0.67(m,1H),0.90(d,J=6.38H
z,3H),0.92(d,J=6.32Hz,3H),1.01(d,J=6.56H
z,3H),1.05(d,J=7.24Hz,3H),1.07(d,J=6.95H
z,3H),1.11-1.48(comp m,15H),1.63(s,3H),1.65(
s,3H),1.75(s,3H)1.58-2.06(comp m,10H),2.63(s
,1H),2.65(m,3H),3.00(m,2H),3.14(s,3H),3.3
4(m,1H),3.36(s,3H),3.38(s,3H),3.50(m,2H),
3.63(m,1H),3.76(m,3H),4.21(d,J=4.47Hz,1H)
,4.52(s,1H),5.04(m,1H),5.43(m,2H),6.05(d,
J=10.1Hz,1H),6.13 (m,1H),6.25 (m,1H),6.41(
m,1H);高分解能マススペクトル (負イオンFAB)m/z927[(M-H);
C52H80NO13としての計算値:927]。
実施例3
C-22-メチル-C-27−ヒドロキシ-ビス-TES-ラパマイシン
C-22-メチル-ビス-TES-ラパマイシン(0.27g、0.23ミリモル)
をTHF(1.5mL)に溶解し、−78℃に冷却した。L-セレクトライド(
THF中に1.0M、0.17mL)を迅速に添加した。反応物を30分間撹拌し
、
次いで、さらに0.5当量のL-セレクトライド(0.05mL)を添加した。反
応物を2時間にわたって徐々に室温に加温した。この混合物をH2Oでクエンチ
し、EtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下でエ
バポレートした。この混合物を、20%次いで40%のEtOAc/ヘキサンを
溶離液として用いるクロマトグラフィーに付した。この物質をHPLC(20%
EtOAc、ヘキサン、21mmシリカカラム)でさらに精製し、C-22-メチ
ル-C-27-ヒドロキシ-ビス-TES-ラパマイシン(0.08g、収率30%)
を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ0.0-0.3(comp m,18
H),0.40(m,1H),0.89-0.94(comp m,36H),1.55(s,3
H),1.62(s,3H),1.10-2.10(comp m,13H),1.93-2.0
2(comp m,6H),2.65(m,3H),2.88(m,1H),3.12(s,3
H),3.24(m,1H),3.26(s,mに重畳,3H),3.26(m,1H),
3.40(s,mに重畳,3H),3.40(m,1H),3.51(m,1H),3.5
3(m,2H),3.63(ほぼt,J=7.16Hz,1H),3.77(d,J=5
.19Hz,1H),4.17(d,J=0.62Hz,1H),4.82(m,2H)
,5.37(m,1H),5.48(m,1H),5.98 (ほぼt,J=0.62Hz
,1H),6.15(m,2H),6.38(m,1H);高分解能マススペクトル(
負イオンFAB)m/z1157[(M-H);C64H110NO13Si2としての計算
値:1157]。
実施例4
C-22-メチル-C-27-ヒドロキシ-ラパマイシン
還元されたメチル化ビス-TESラパマイシン(0.055g、0.047ミリ
モル)をTHF(0.5mL)に溶解し、数個の4Åモレキュラーシーブを入れ
たナルジーン(nalgene)試験管に移した。別のナルジーン試験管中で、HF/ピリ
ジン錯体(1mL)を0℃の乾燥ピリジン(1mL)に添加した。0℃の基質に
、1.0mLの上記溶液を添加した。反応物を0℃で15分間撹拌し、次いで、
室温で2時間撹拌した。次いで、反応物を0℃に冷却し、NaHCO3で徐々に
クエンチした。この混合物をEtOAcで抽出し、0.1N HCl、NaHCO3
および食塩水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下でエバポレ
ートした。この混合物を、フラッシュシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し
、2.5%次いで5%のMeOH/CH2Cl2で溶離し、C-22-メチル-C-27
-ヒドロキシ-ラパマイシン (0.016g、収率36%)を得た。IR(KBr)
3440(s),2920(s),1720(s),1645(m),1455(m),1
375(w),1235(w),1190(w),1085(s),995(m),915
(w),735(w);1H NMR(400MHz,CDCl3)δ0.77(m,1
H),0.87(d,J=6.64Hz,3H),0.90(d,J=6.85Hz,3
H),0.93(d,J=6.64Hz,3H),0.97(d,J=6.64Hz,3
H),1.02(d,J=6.423Hz,3H),1.04(m,1H),1.18-1
.42(comp m,15H),1.61(s,3H),1.63(s,3H)1.65(s,
3H),1.53-2.06(comp m,10H),2.28(m,2H),2.65(m,
2H),2.92(m,2H),3.10(m,1H),3.13(s,3H),3.32(
s,3H),3.36(m,2H),3.38(s,3H),3.51(m,2H),3.
61(ほぼt,J=7.37Hz,1H),3.78(d,J=5.19Hz,1H)
,3.87(m,1H),4.29(m,1H),4.30(s,1H),4.81(m,
1H),5.40(m,2H),6.00(d,J=10.2Hz,1H) 6.09(m
,1H),6.22(dd,J=10.4,14.7Hz,1H),6.37(dd,J
=11.0,14.73Hz,1H);高分解能マススペクトル(負イオンFAB
)m/z929[(M-H);C52H82NO13としての計算値:929]。
実施例5
ビス-TES-ラパマイシン(2.0g、1.75ミリモル)をTHF(17.6
mL)に溶解し、−78℃に冷却した。この溶液にLDA・THF錯体(シクロ
ヘキサン中に1.5M、2.9mL、4.38ミリモル)を滴下し、45分間撹拌
した。反応物にトリフルオロメタンスルホン酸エチル(0.78g、4.38ミリ
モル)を添加し、−78℃で2時間撹拌した。反応物を−78℃にて飽和NaH
CO3(5mL)でクエンチし、室温に加温した。この混合物を酢酸エチルで抽
出し、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下でエバポレートし、黄色
の発泡体を得た。この混合物を、10%次いで20%の酢酸エチル/ヘキサンを
溶離液として用いるクロマトグラフィーに付した。この物質をHPLC(20%
EtOAc/ヘキサン、41mmシリカカラム上)でさらに精製し、C-22-エ
チル-ビス-TES-ラパマイシン(0.25g、収率13%)を得た。1H NMR
(400MHz,CDCl3)δ0.0-0.64(comp m,18H),0.73(m
,1H),0.85-1.50(comp m,46H),1.54-1.78(comp m,3H
),1.67(s,3H),1.80(s,3H),1.85-2.05(comp m,4H)
,2.32(m,3H),2.37(s,1H),2.41(s,1H),2.56(m,
2H),2.89(m,1H),3.14(m,1H),3.15(s,3H),3.26(
s,3H),3.40(s,3H),3.42 (m,1H),3.48(s,1H),3.
50(s,1H),3.74(m,1H),3.89(m,1H),
4.14(m,1H),4.88(m,2H),5.16(d,J=10.3Hz,1H)
,5.40(dd,J=9.28,14.21Hz,1H),6.05(d,J=11.
1Hz,1H),6.16(m,1H),6.25(m,1H),6.43(dd,J=
11.1,13.9Hz,1H);13C NMR(100MHz,CDCl3)δ3.
74,4.37,4.50,4.76,6.31,6.42,6.50,8.33,9.
98,12.79,13.18,13.83,14.80,15.25,15.49,
16.39,20.71,21.81,26.26,26.71,29.83,30.
61,31.31,31.37,33.00,33.94,34.64,35.99,
39.23,39.47,39.75,41.34,41.75,42.52,46.
06,48.37,49.22,55.56,56.41,57.78,60.40,
64.02,66.76,73.62,75.53,75.56,78.85,83.
37,83.99,84.16,85.60,98.77,126.54,126.9
4,128.63,130.87,132.61,136.50,137.14,1
39.55,167.70,171.56,172.01,207.99,211.3
8;高分解能マススペクトル(負イオンFAB)m/z1169.7[(M-H);C64
H111NO13Si2としての計算値:1169.7]。
実施例6
C-22-エチル-ラパマイシン
C22-エチル-ビス-TES-ラパマイシン(0.25g、0.21ミリモル)を
THF(2mL)に溶解し、数個の4Åモレキュラーシーブを入れたナルジーン
(nalgene)試験管に移した。別のナルジーン試験管中で、HF/ピリジン錯体(1
mL)を0℃の乾燥ピリジン(1mL)に添加した。0℃の基質に、1.8mL
の上記溶液を添加した。反応物を0℃で15分間撹拌し、次いで、室温で2時間
撹拌した。次いで、反応物を0℃に冷却し、NaHCO3で徐々にクエンチした
。この混合物をEtOAcで抽出し、0.1N HCl、NaHCO3および食塩
水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減圧下でエバポレートした。こ
の混合物を、2.5%次いで5%のMeOH/CH2Cl2を溶離液として用いるク
ロマトグラフィーに付し、C-22-エチル-ラパマイシン(0.13g、収率64
%)を得た。IR(KBr)3440(s),2940(s),1725(s),165
0(m),1460(w),1380(w),1235(w),1190(w),1090
(s),995(m),915(w),735(w);1H NMR(400MHz,CD
Cl3)δ0.68(m,1H),0.87-1.06(comp m,15H),1.06-1
.45(comp m,15H),1.57(m,3H),1.66(s,3H),1.75(s
,3H),1.90-2.08(comp m,10H),2.31(m,3H),2.64(m
,3H),2.89(s,1H),2.90(m,2H),3.13(s,3H),3.3
3(m,1H),3.38(s,3H),3.47(m,2H),3.66(ほぼt,J=
7.24Hz,1H),3.82(d,J=5.47Hz,1H),3.95(m,1H
),4.21(d,J=5.54Hz,1H),4.43(s,1H),5.09(m,1
H),5.37(d,J=9.62Hz,1H),5.42(d,J=9.49Hz,1
H),6.05(d,J=10.93Hz,1H),6.13(dd,J=10.5,1
4.8Hz,1H),6.24(m,1H),6.39(m,1H);13C NMR(1
00MHz,CDCl3)δ8.53,10.19,13.44,13.98,15.
66,15.91,15.96,16.53,21.83,21.97,26.47,
26.93,29.74,30.79,31.23,31.44,32.79,33.
27,34.10,34.59,35.97,39.12,39.89,40.04,
40.66,41.36,42.76,46.20,55.85,56.58,58.
94,64.17,67.41,73.97,74.97,74.96,76.81,
83.37,84.42,
85.16,98.82,126.84,127.03,128.66,130.78
,132.82,135.61,136.99,139.66,167.40,17
2.03,194.05,207.88,213.99;高性能マススペクトル(負
イオンFAB)m/z941[(M-H);C53H82NO13としての計算値:941]
。
実施例7
C-22-メチル-42-ジメチルグリシンラパマイシンの合成
a)22-メチル化ビス-TESのモノ脱保護化
メチル化ビス-TESラパマイシン(0.42g、0.36ミリモル)をHOA
c:THF:H2Oの3:1:1溶液に溶解した。TLCによれば、反応は10
分間で完了し、反応物をNaHCO3でクエンチし、10分間撹拌した。この混
合物をEtOAcで抽出し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下でエバポレ
ートした。残渣をシリカゲル上のクロマトグラフィーに付し、2.5%MeOH/
CH2Cl2で溶離し、モノ-TESメチル化ラパマイシン(0.37g、収率99
%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ0.47(m,6H),0
.68(m,1H),0.79-1.0(comp m,30H),1.01-1.83(comp m
,13H),160(s,3H),1.63(s,3H),1.75(s,3H),1.9
2(m,2H),2.10(m,3H),2.31(m,2H),2.65(m,2H),
2.91(m,1H),3.16(s,3H),3.21(m,2H),3.29(s,3
H),3.36(s,3H),3.53(m,2H),3.64(m,1H),3.78 (
m,1H),3.81 (m,1H),4.14(d,1H),4.75(s,1H),4.
85(m,1H),5.13(m,1H),5.4(m,1H),6.07(m,1H),6
.2(m,2H),6.4(m,1H)。
b)22-メチル化モノ-TESのアセチル化
メチル化モノ-TESラパマイシン(0.36g、0.35ミリモル)を塩化メ
チレン(8mL)に溶解した。ジメチルグリセリン(3当量、0.11g)、(3-
ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(4当量、0.27g)
、およびスパチュラチップのDMAPを反応物に連続して添加し、次いで、一晩
撹拌した。次いで、反応物を塩化メチレンで希釈し、水で洗浄した。水層を塩化
メチレンで抽出した。合わせた有機物を再び水で1回洗浄し、次いで、Na2S
O4で乾燥し、濾過し、減圧下でエバポレートした。この混合物をシリカゲル上
のクロマトグラフィーに付し、1%次いで2.5%のMeOH/CH2Cl2で抽出
し、42-グリシネートモノ-TESラパマイシン(0.12g、収率30%)を得
た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ0.73-1.06(comp m,30
H),1.18-1.81(comp m,23H),1.62(s,3H),1.67(s,3
H),1.82(s,3H),1.87-2.1(comp m,4H),2.41(s,6H)
,2.63(m,2H),316(m,2H),3.29(s,2H),3.35(s,3
H),3.36(s,2H),3.21-3.37(comp m,2H),3.53(m,2H
),3.68(ほぼt,J=7.41Hz,1H),3.89(m,2H),4.18(d
,J=4.1Hz,1H),4.74(m,1H),4.80(s,1H),4.92(m
,1H),5.20(d,J=10.4Hz,1H),5.40(dd,J=7.0,7
.1Hz,1H),6.09(d,J=10.7Hz,1H),6.22(m,2H),
6.42(dd,J=7.1,7.2Hz,1H);
高性能マススペクトル(負イオンFAB)m/z1126.5[(M−・);C62H1 02
NO14Siとしての計算値:1126.5]。
c)42-グリシネートモノ-TESの脱保護化
42-グリシネートモノ-TESラパマイシン(0.11g、0.1ミリモル)を
THF(2mL)に溶解し、数個の4Åモレキュラーシーブを入れたナルジーン
(nalgene)試験管に移した。別のナルジーン試験管中で、1mlのHF/ピリジ
ン錯体を0℃の乾燥ピリジン1mlに添加した。この溶液1mlを0℃の基質を
含む試験管に添加した。反応物を15分間撹拌し、次いで、氷浴を取り除き、反
応物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応物を0℃に冷却し、NaHCO3で
徐々にクエンチした。この混合物をEtOAcで抽出し、0.1N HCl、Na
HCO3および食塩水で連続的に洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、減
圧下でエバポレートした。この混合物をシリカゲル上のクロマトグラフィーに付
し、2.5%次いで5%のMeOH/CH2Cl2で溶離し、C-22-メチル-42-
グリシネートラパマイシン(0.043g、収率44%)を得た。IR(KBr)
3440(s),2940(s),1730(s),1650(m),1460(m),1
375(w),1290(w),1240(w),1190(w),1135(w),11
00(m),990(w),730(w);1H NMR(400MHz,CDCl3)
δ0.84(dd,J=12.1,12.2Hz,1H),0.89(d,J=5.26
Hz,3H),0.91(d,J=5.32Hz,3H),1.00(d,J=6.56
Hz,3H),1.05(d,J=1.7Hz,3H),1.
07(d,J=1.73Hz,3H),0.87-1.45(comp m,15H),1.4
6-2.08(comp m,10H),1.61(s,3H),1.65(s,3H),1.7
5(s,3H),2.35(s,6H),2.65(m,2H),2.95(s,1H),
3.14(s,3H),3.15(m,1H),3.17(s,2H),3.32(m,1
H),3.34(s,3H),3.36(s,3H),3.37(m,1H),3.50(m
,2H),3.64(ほぼt,J=7.4Hz,1H),3.79(m,2H),4.2
2(d,J=5.7Hz,1H),4.46(s,1H),4.59(m,1H),5.0
4 (m,1H),5.41(d,J=9.92Hz,1H),5.44(dd,J=4.
2,7.1Hz,1H),6.05(d,J=10.4Hz,1H),6.13(dd,
J=10.4,12.6Hz,1H),6.26(dd,J=12.6,12.7Hz
,1H),6.38(dd,J=7.2,7.3Hz,1H);13C NMR(100
MHz,CDCl3)δ10.15,13.31,14.02,15.72,16.0
1,16.08,17.17,19.67,21.81,22.50,26.96,2
9.77,30.91,31.10,32.88,32.96,33.71,33.7
7,35.80,36.28,38.84,39.66,39.98,40.64,4
1.32,42.44,45.21,46.25,55.93,57.21,59.0
9,60.85,67.32,75.14,76.33,76.69,77.00,7
7.21,77.32,80.79,83.68,85.43,98.66,126.
85,128.93,130,59,133.03,135.75,136.49,
139.94,167.86,170.19,172.36,194.84,207.
97,214.39;高性能マススペクトル(負イオンFAB)m/z1012.
6[(M−・);C62H102NO14Siとしての計算値:1012.6]。
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,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD),AM,AU,
BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,FI,G
E,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK,LT
,LV,MD,MG,MN,NO,NZ,PL,RO,
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