【発明の詳細な説明】
発明の名称 膵臓島細胞におけるインシュリン表現を刺激す
る新しいホメオボックス因子
発明の分野
本発明は核酸と、それによってコード表現されるレセプター蛋白質に関するも
のである。本発明による核酸は新しい組織固有膵臓ホルモン因子蛋白質をコード
表現する。本発明はまた、そうした転写因子をつくる方法と、インビボとインビ
トロの両方で、膵臓島ホルモン遺伝子プロモータからのホルモン遺伝子表現を調
節するためにその転写因子蛋白質を用いる方法に関するものである。
発明の背景
内分泌性器官である膵臓は、主にペプチドホルモングルカゴン(A−細胞)、
インシュリン(B−細胞)、ソマトスタチン(D−細胞)、および膵臓ポリペブ
チド(F−細胞)を合成し、分泌する。小腸から発生学的手法で取り出したこれ
らの膵臓島細胞は、同じペブチドホルモン遺伝子の表現を指令する腸を出発点と
する調節経路を有している可能性がある。形成初期の内分泌性膵臓には、ソマト
スタチン、インシュリン、およびグルカゴンを共表現する多機能(pluripotent
)細胞が存在している。これらの基幹細胞が成長すると、その内分泌性ホルモン
レセプターが単一の遺伝子からの表現に拘束されてしまう傾向が観察され、この
ことは、一般の転写因子が当初3つの遺伝子すべてを規制できるのに対して、個
々の核酸転写遺伝子蛋白質は、後で、個々の成熟島細胞タイプ
においてグルカゴン組織固有ペプチド生産を指定しなければならないことを示唆
している。
グルカゴンおよびインシュリンの表現に比べて、ソマトスタチンの表現の開始
はやや遅い。マウスでは、ソマトスタチンの表現はインシュリン遺伝子を共表現
する細胞における発生学的発展の17日目に開始され、その後、成長したソマトス
タチン生産D−細胞において抑制される。また、インシュリンおよびソマトスタ
チン遺伝子の両方を共表現する細胞の別のサブセットでは、膵臓ポリペプチド遺
伝子は活性化され、その後、インシュリン遺伝子とソマトスタチン遺伝子の両方
が抑制される。この発展調節のパターンはインシュリンおよびソマトスタチン遺
伝子の表現はポジティブ制御メカニズムとネガティブ制御メカニズムの両方の影
響を受けていることを示している。
ラットの膵臓島細胞系Tu−6のソマトスタチン遺伝子の表現は、cAMP反応
要素(CRE)と共同して高度の構成的活性をつくりだす組織固有プロモータ要
素(TSE)を必要とすることが観察されている。TSE状の配列はソマトスタ
チンプロモータの500塩基対領域で3度繰り返されており、−300および−100に
位置しているプロモータ近接TSEが最も高い活性を示す。ソマトスタチンTS
Eは通常ホメオボックス−タイプの蛋白質によって識別される正統TAATモチ
ーフを含んでいる。ホメオボックス因子ISL−1は、例えば、TSEに結合し
て、ラットインシュリノーマ細胞系RI
N 5AH内のソマトスタチン表現を調節することができる。しかしながら、I
SL−1はソマトスタチン生産TU−6細胞の抽出物内のTSE結合活性のほと
んど無視し得る程度の部分だけを含んでいるように思われる。膵臓島細胞に加え
て、ソマトスタチン遺伝子はニューロン、甲状腺のC−細胞、それに消化腺のD
−細胞でも表現される。
膵臓における個々の遺伝子のキー調節因子として、多数のホメオボックス−タ
イプ因子が提案されているが、それらの構造、細胞分布およびそれらが豊富に含
まれている部位に関してはまだ解明されていない問題が多数存在している。
膵臓ホルモンの重要な機能はグルコースの血管流体レベルを制御することであ
る。グルカゴンはランゲルハンス島のA−細胞によって合成され、低血液グルコ
ースレベルに反応して放出される。グルカゴンは主として肝臓細胞に影響を与え
、アデニレートシクラーゼおよびcAMPカスケードを誘発し、グリコーゲンの
劣化と血中グルコースの増大をもたらす。代謝にグルコースがどの程度使えるか
どうかは、体循環内のインシュリンおよびグルカゴン濃度の調節によって、(食
事後の)過剰時期と(急激な活動後の)欠乏時期の両方に調節される。
食事後に、血中グルコースが100mlあたり80〜90mgという正常レベル以上に上
昇すると、インシュリンが膵臓のランゲンルハンス島のB−細胞内の分泌小胞か
らの血液に放出される。島細胞自体はグルコースまたはアミノ酸レベルの上昇に
反応して血液中にインシュリンを放出し、血液がそれを身体中に分配する。細胞
表面レセプターに結合することによって、インシュリンは血液からのグルコース
を取り除かせ、それをグリコーゲンとして蓄積させる。グルコースが100mlあた
り80mg以下に低下すると、その島のA−細胞がグルカゴンの分泌を開始する。グ
ルカゴンは肝臓細胞のグルカゴンレセプターと結合し、アデニレートシスラーゼ
およびcAMPカスケードを活性化させる(エピネフィリンの反応に類似した反
応)。その結果。グリコーゲンの劣化と循環中へのグルコースの放出をもたらす
。
糖尿病は体内のインシュリン作用の不十分さによって起こされ、インシュリン
レベルの調整に関与する種々の欠陥から発生する場合がある。例えば、インシュ
リンレセプターの機能あるいは調節における異常は、糖尿病を持つ一部の人々に
おいて観察されている。この病気は、構造的に異常なインシュリンの生産、また
はプロインシュリンのインシュリンへの転換の不良によって、正常なインシュリ
ン合成が行われないことによっても発生する。幼児期、あるいは早い時期の糖尿
病は膵臓島のB−細胞による不十分な、あるいは異常なインシュリン合成によっ
て引き起こされる。こうした状況のほとんどでは、インシュリンの注射によって
問題を克服することができる。したがって、特定のタイプの糖尿病を持った患者
を措置するためには、糖尿病患者の体内でのインシュリンレベルを増大させる方
法の開発が望ましい。
発明の簡単な説明
本発明によれば、新しいホメオボックス−タイプの転写因子蛋白質が提供され
る。本発明による蛋白質は膵臓島細胞から抽出され、インビボとインビトロの両
方でのホルモン遺伝子の調節に有益な役割を果たす。加えて、これらの蛋白質、
あるいはそれらの断片は、抗転写因子抗体をつくりだす免疫源としても有益であ
る。
上述の膵臓島転写因子蛋白質をコード表現する分離された核酸分子、およびそ
うした分子を含んだ組換え細胞も提供される。ここで述べた分子は当業者には公
知の種々の表現システムに組み込むことができる。加えて、本発明による核酸分
子は任意のサンプル内での膵臓島転写因子遺伝子またはmRNAトランスタリプ
トが存在しているかどうか、そして、存在している場合の量に関するアッセイの
プローブとしても有用である。上に述べた核酸分子、およびそれらの断片は、膵
臓島転写因予をコード表現する遺伝子の増強のためのPCR反応におけるプライ
マーおよび/またはテンプレートとしても有用である。
本発明による膵臓島ホルモン転写因子蛋白質と免疫反応性のある抗体も提供さ
れる。これらの抗体は任意のサンプル、例えば組織サンプルやウェスターンブロ
ットなどに存在する膵臓島転写因子蛋白質のレベルを判定するための診断アッセ
イにおいて有用である。これらの抗体は、膵臓島転写因子蛋白質を生成するため
にも用いることができる。
内分泌性ホルモン遺伝子を制御するプロモータからの転写を形成するための方
法も提供される。また、哺乳動物におけるインシュリンのレベルを調節し、グル
コースが存在している場合の哺乳動物における糖尿病を措置する方法も提供して
くれる。
発明の詳細な説明
本発明によれば、分離された哺乳動物のホメオボックス−タイプの転写因子蛋
白質が提供される。“ホメオボックス−タイプの転写因子蛋白質”あるいは“転
写因子蛋白質”という表現は膵臓島ホルモン遺伝子の天然のプロモータ領域に結
合して、mRNA転写を調節することができる蛋白質を意味している。
本明細書および特許請求の範囲における、DNA,RNA、ポリペプチド、ま
たは蛋白質の形容詞として“分離された”または“精製された”という用語が使
用されている場合、そのように限定されたDNA,RNA、ポリペプチド、また
は蛋白質が人の手によって生産され、したがって、インビボ細胞環境におけるそ
の天然の状態からは分離されていることを意味している、こうした人為的操作の
結果として、本発明による組換えDNA,RNA、ポリペプチド、および蛋白質
は、天然のままのDNA,RNA、ポリペプチド、および蛋白質では果たすこと
ができない役割を果たすことができる。
ここで用いられている“哺乳動物の”という用語は、例えば、ヒト、ラット、
マウス、ウサギ、サル、ヒヒ、ニワトリ、
ブタ、ヒツジ類、イヌ類、ネコ類など、そこから本発明による転写因子蛋白質が
抽出される種々の種を意味している。
ここで用いられている“ホメオボックス”という用語は任意のプロモータ領域
内の特定のヌクレオチド配列に結合する本発明による転写因子内部の約60〜65の
アミノ酸によって構成される領域を意味している。ホメオボックス領域に関する
一般的な検討については、Gehring,W.,TIBS,17:277−280(August/1992
)参照。本発明によるホメオボックス領域は、好ましくは、それそれTSE−I
およびTSE−IIに対応したSEQ ID NO:3およびNO:4に規定される“
組織固有要素”のいずれか、あるいは両方に結合する。典型的なホメオボックス
領域は、SEQ ID NO:2のアミノ酸146〜205と同じアミノ酸配列を有して
いる。
ホメオボックス領域内に、“認識ヘリックス”と呼ばれるDNA−結合特性に
関与するα−ヘリックスが存在している。この認識ヘリックスは、通常、本発明
による蛋白質ホメオボックス領域の約42〜52アミノ酸で発生する(例えばSEQ
ID NO:2のアミノ酸187〜197)。好ましい実施例においては、本発明によ
る転写因子蛋白質はホメオボックス領域の位置44、例えば、SEQ ID NO:
2のアミノ酸位置189にヒスチジンアミノ酸残基を含んでいる。
“プロモータに結合する”という表現、あるいはそれが文法的に変化した表現
は、DNA−結合転写因子(例えば、クロレセプター、ラムダレセプターなど)
の核酸の特定の領域
との、RNA転写を調節するための結合を意味している〔例えば、Freifelder,
D.,Molecular Biology,188−194(第2版、1987)参照〕。本発明による転写
因子は少なくとも、哺乳動物のインシュリンまたはソマトスタチン遺伝子から選
択されたプロモータ領域に結合する。典型的な組織固有要素としては、ラットイ
ンシュリン“P−ボックス”(SEQ ID NO:8)(例えば、Ohlssonおよ
びEdlund,1986,Cell,45:35−44、本明細書に引例)に述べられているラット
インシュリン遺伝子の−82から−64のヌクレオチド位置);ラットインシュリン
−1“FLAT”または“E2”応答要素(SEQ ID NO:9)(例えば、
上述のOhlssonおよびEdlundに述べられているラットインシュリンの−222から−
208ヌクレオチド位置);TSE−I(SEQ ID NO:3);TSE−II(
SEQ ID NO:4)などがある。特に好ましい実施例においては、本発明に
よる転写因子は上に述べた応答要素のそれぞれを結合させる能力を有している。
“膵臓島ホルモン遺伝子”という表現は内分泌性膵臓島細胞にとって内発性の
ホルモンをコード表現する遺伝子を示している。“膵臓島”という用語は内分泌
性膵臓島細胞に対して内発性の、ホルモンコード表現遺伝子を示している。“膵
臓島”とは、哺乳動物の内分泌性膵臓(島細胞)から取り出した細胞のグループ
を意味している。こうした細胞はペプチドホルモングルアカゴン(膵臓A−細胞
)、インシュリン(膵臓B−細胞)、ソマトスタチン(膵臓D−細胞)、およ
び膵臓ポリペプチド(膵臓F−細胞)を合成し、分泌する。
本発明による転写因子は、膵臓島細胞におけるホルモン遺伝子表現を制御する
複数のプロモータに結合する能力(つまり、2つ以上のホルモン遺伝子プロモー
タに結合する能力)を有していることを特徴とする。好ましくは、本発明による
転写因子は少なくともインシュリンおよびソマトスタチン遺伝子からのRNA転
写を調節する。本発明による転写因子はトランス活性化、またはトランス抑制R
NA転写のいずれかで転写を調節する。
特殊な実施例においては、本発明による転写因子はさらに膵臓ホルモン遺伝子
をトランス活性化する能力、例えば、膵臓および小腸内部でのインシュリン、グ
ルカゴン、およびソマトスタチンの表現を活性化する能力を有していることを特
徴とする。“トランス活性化”という表現、またはそれが文法的に変化した表現
は、それがホルモン遺伝子表現に関する場合、膵臓島ホルモン遺伝子のプロモー
タ領域への結合とmRNA転写開始における共同作業における本発明による転写
因子の作用を示している。
別の実施例で、本発明による転写因子は、さらに、膵臓ホルモン遺伝子表現を
トランス抑制する能力、例えば、膵臓および小腸内部でのインシュリン、グルカ
ゴン、およびソマトスタチンの表現を抑制する能力を有していることを特徴とし
ている。“トランス抑制”という表現、またはその文法的に変化した表現は、そ
れがホルモン遺伝子表現に関する場合、
膵臓島ホルモン遺伝子のプロモータ領域への結合と、mRNA転写の開始(つま
り、プロモータからのRNA転写活性の除去)の開始の抑止における本発明によ
る転写因子、またはそのポリペブチド断片の作用によるものである。
別の側面で、本発明による転写因子は、特に小腸および膵臓における、インシ
ュリンおよびソマトスタチン転写の組織固有レギュレータである。自然に発生す
る本発明による蛋白質の表現はそれがインシュリンおよびソマトスタチンプロモ
ータ上での機能的に重要なcis要素での主要な結合活性を構成している膵臓およ
び小腸内部での内分泌細胞タイプに高度に限定されている。本発明による蛋白質
は、同じcis要素を通じてインビトロとインビボの両方で転写を刺激(つまり、
トランス活性化)することが認められている。
顕著な点は、本発明による転写因子はインシュリンおよびソマトスタチン生産
膵臓島細胞からの核酸抽出物における圧倒的なTSE結合活性の原因となってお
り、この蛋白質がペプチドホルモン表現の調節と成長中の腸組織内の内分泌性細
胞の指定において重要な役割を果たしているという仮説を裏づけるものである。
CREBはTu−6細胞におけるCRE結合活性の主要な役割を果たしている
ので、インビボで観察される共作用性はCREBと本発明による膵臓転写因子と
の間の相互作用から生じているかもしれないと考えられている。ホルモン性刺激
がない場合、CREB活性はcAMP調節PK−A部位から
発生するものではなく、Q2と呼ばれるグルタミンを豊富に含んだ領域から発生
しているように思われる。したがって、CREBは本発明による細胞固有転写因
子と相乗作用してインシュリンおよびソマトスタチン遺伝子などの膵臓ホルモン
遺伝子の高レベル表現を提供する役割を果たすホスホリル化依存または構成的活
性化領域を交互に採用することによっていくつかの機能を副次的に果たしている
のかもしれない。
本発明のさらに別の実施例において、本発明による転写因子は、内分泌性膵臓
のB−細胞とD−細胞では均一に表現されるのに外分泌性細胞では表現されない
ことを特徴としている。
ここで用いられている“均一に表現される”という表現は本発明による転写因
子をコード表現する自然発生的なRNAがインシュリンおよびソマトスタチンを
つくりだす膵臓島細胞タイプのそれぞれに検出することができることを意味して
いる。好ましくは、表現のレベルはこれらの膵臓島細胞タイプのそれぞれにおい
て基本的には均等である。
別の側面で、本発明による転写因子蛋白質は、さらに、グルコース濃度の変動
に反応を示すことを特徴としている。ここで用いられている“グルコース濃度の
変動に反応を示す”という表現は、本発明による転写因子の表現が存在している
グルコース濃度に対応して変動することを意味している。例えば、本発明による
蛋白質をコード表現するmRNAのレベルは、膵臓島細胞が20mM程度のグルコー
スにおいて培養され
た場合、膵臓島細胞が2mM程度のグルコース内部で培養する場合よりかなり高い
。
現在の段階で好ましい本発明による膵臓島ホルモン転写因子蛋白質は、SEQ
ID NO:2に示されている蛋白質配列と基本的には同じアミノ酸配列、およ
び、アクセス番号69385に基づいてATCCに寄託されたプラスミドpITF−1
および生物学的な活性を有し、その修正された形態の転写因子コード表現部分に
よってコード表現されるアミノ酸配列と基本的には同じアミノ酸配列を有してい
る。当業者なら、結果としてもたらされるレセプター種の生物学的活性を変えず
に、上に述べた配列の多数の残基を他の、化学的、立体構造的および/または電
子的に同様の残基と取り替えることができることが分かるであろう。
大腸菌XL1−ブルー細胞(ストラタジーン)内で形質変換されたプラスミド
pITF−1は、本条約によって布告された規制を目的とする微生物の寄託の国
際識別に関するブタペスト条約の条件に基づいて、12301 Parklawn Drive,Rock
ville,Maryland,U.S.A.20852のAmerican Type Culture Collection(AT
CC)に、1993年8月12日に寄託された。寄託された素材のサンプルは工業所有
権事務局あるいは条約および規制の諸条件、あるいは米国および他のすべての国
、あるいは本出願、または本出願の優先性を主張する出願が申請されている、あ
るいは該出願に基づくいずれかの特許が認められている国際的の特許法やその他
の規制に基づ
いてそれらを受けとる資格を持った個人に対して使用が認められているし、将来
においても使用が認められる。特に、本出願に基づいた、あるいは本願に対する
優先性を主張する、あるいは参照によってそれを組み込んだすべての出願に基づ
く米国特許が発行された場合、寄託された素材の利用可能性に関するすべての制
限は撤廃され、その制限解除は撤回されない。
ここで使われている“基本的には同じアミノ酸配列”という表現は、基準とな
るアミノ酸配列に対して少なくとも70%程度の同一性を有しており、そして、基
準アミノ酸配列によって定義される蛋白質と同様の機能的、および生物学的特性
を保持しているアミノ酸配列を示している。好ましくは、“基本的に同じアミノ
酸配列”を有している蛋白質は、基準アミノ酸配列に対して少なくとも80%、よ
り好ましくは90%のアミノ酸同一性を有している。そして、95%以上のアミノ酸
同一性を有するものが最も好ましい。
“生物学的な活性を有する”または“機能的”という用語は、本明細書中で本
発明による転写因子蛋白質、またはそのポリペプチド断片の形容詞として用いら
れた場合、ここで述べられているホメオボックス−タイプの転写因子のいずれか
と類似した機能的特性を示すポリペプチドを意味している。例えば、ひとつの実
施例において、生物学的な活性を有する蛋白質はTSE−I,TSE−II,“P
−BOX”,“FLAT”のいずれかと結合してそれらからのRNAの転写を調
節するものである。こうした活性は、ゲルシフトおよび実施例5に述べるDNA
se I保護アッセイなど、当業者に公知のいずれの方法によってでも評価するこ
とができる。
本発明による転写因子蛋白質は、実施例1〜3に述べられている方法、以下に
述べる組換え表現システムなど、当業者に公知の種々の方法で分離することがで
きる。
本発明の別の実施例によれば、本発明による転写因子蛋白質をコード表現する
分離された核酸が提供される。ここに述ベられている核酸分子は、こうした核酸
を当業者に公知の種々の蛋白質表現システムに組み込んだ場合、本発明による転
写因子蛋白質をつくりだすのに有益である。加えて、こうした核酸分子またはそ
の断片を簡単に検出可能な置換基とラベルすることができ、任意のサンプルにお
ける膵臓ホルモン転写因子遺伝子またはmRNA転写の存在および/またはその
量の評価のためのハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。
ここに述べられる核酸分子、およびその断片は、ここで述べられている本発明に
よる転写因子蛋白質をコード表現する遺伝子を増幅するためのPCR反応におい
てプライマーおよび/またはテンプレートとしても有益である。
内分泌性転写因子をコード表現する典型的な核酸は以下のものから選択するこ
とができる。
(a) SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列をコード表現するDNA、
または、アクセス番号69385に基づ
いてATCCに寄託された、プラスミドpITF−1の転写因子コード表現部分
、
(b) やや厳格な条件下で(a)のDNAとハイブリダイズするDNAにおいて、
該DNAが生物学的な活性を有する内分泌性転写因子をコード表現することを特
徴とするDNA、
(c) (a)か(b)のDNAで変性したもの、該DNAが生物学的な活性を有する
内分泌性ホルモン転写因子をコード表現するDNA。
ここで使われている“核酸”という用語は、リボ核酸(RNA)またはデオキ
シリボ核酸(DNA)を意味している。DNAは相補DNA(cDNA)であっ
ても、内分泌性転写因子を表現する遺伝子など、ゲノム性DNAであっても、い
ずれでもよい。
ハイブリダイゼーションとは、染色体DNAにおいて自然に発生する結合と類
似した水素結合を通じて核酸の相補ストランド(つまり、センス:アンチセンス
ストランド、またはプローブ:標的−DNA)が相互に結合することを意味して
いる。任意のプローブを標的−DNAとハイブリダイズさせるのに用いられる厳
しさのレベルは当業者なら容易に変更できるであろう。
“厳格なハイブリダイゼーション”という用語は、ここでは、ポリ核酸ハイブ
リッドが安定的に存在できる状態を意味している。当業者にはよく知られている
ように、ハイブリッ
ドの選択性はそのハイブリッドの溶解温度(Tm)に関連している。一般的に、
ハイブリッドの安定性はナトリウムイオン濃度および温度の関数である。通常、
ハイブリダイゼーション反応は厳格さがより低い条件下で行われ、その後厳格さ
を変えて、より高い厳格さで洗浄する。ハイブリダイゼーションの厳格さとは、
その洗浄条件に関連している。
ここで用いられている“やや厳格なハイブリダイゼーション”とは、標的−D
NAが、その標的−DNAに対して60%程度、好ましくは75%程度、そしてより
好ましくは85%程度、そして最も好ましくは90%以上の相同性を有する相補核酸
に結合できるようにする状態を意味している。好ましくは、やや厳格な条件とは
50%ホルムアミド、5Xデンハート溶液、5X SSPE,0.2%SDS内で42
℃の温度下でハイブリダイゼーションを行い、その後、65℃の温度下で0.2X
SSPE,0.2%SDSで洗浄する場合と同等の条件である。
“高厳格なハイブリダイゼーション”とは、その核酸配列が65℃で0.018M
NaClで安定にハイブリッドする許容条件である(即ち、もしハイブリッドが
65℃で0.018M NaClで不安定であれば、ここでいう、高厳格な条件下で安
定ではない)。高厳格な条件は例えば、42℃で50%ホルムアミド、5Xデンハー
ト溶液、5X SSPE,0.2%SDS内でハイブリダイゼーションし、後65℃
で0.1X SSPEおよび0.1%SDS洗浄する条件である。
“低厳格度ハイブリダイゼーション”という表現は、10%
ホルムアミド、5Xデンハート溶液、6X SSPE,0.2%SDS内で42℃の
温度下でハイブリダイゼーションを行い、その後、1X SSPE,0.2%SD
S内で50℃の温度下で洗浄を行う場合と同様の条件を意味する。デンハート溶液
およびSSPE(Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Laboratory Press,1989)は、他の適切なハイブリダイゼーシ
ョン緩衝液と同様、当業者にはよく知られている。
ここで用いられている“変性したもの”とは、少なくともひとつのヌクレオチ
ドが基準核酸、例えばSEQ ID NO:1と違っているが、基準アミノ酸と同
じアミノ酸をコード表現するコドンを意味している。例えば、“UCU”,“U
CC”,“UCA”および“UCG”などの3文字で示されるコドンは、これら
4つのコドンがすべてアミノ酸セリンをコード表現するので、変性物である。
好ましい実施例においては、ここで開示されている内分泌性ホルモン低蛋白質
をコード表現するcDNAは、SEQ ID NO:1のヌクレオチド331−1182
、あるいはアクセス番号69385に基づいてATCCに寄託されたプラスミドpIT
F−1の転写因子コード表現部分と基本的には同じヌクレオチド配列を有してい
る。内分泌性ホルモン転写因子蛋白質をコード表現する現在の段階で最も好まし
いcDNAは、SEQ ID NO:1のヌクレオチド331−1182、またはアクセス
番号69385に基づいてATCCに寄託されたプラスミドpI
TF−1の転写因子コード表現部分と同じヌクレオチド配列を有している。
ここで用いられている“基本的に同じヌクレオチド配列”という用語は、基準
ポリヌクレオチドに対して十分な相同性を有しており、やや厳格なハイブリダイ
ゼーション条件に基づいてハイブリダイズするDNAを意味している。ひとつの
実施例において、基準となるヌクレオチド配列と同じヌクレオチド配列は、SE
Q ID NO:2に指定されているのと基本的に同じアミノ酸配列をコード表現
する。別の実施例で、基準ヌクレオチド配列と“基本的に同じヌクレオチド配列
”を有しているDNAは、基準となるヌクレオチド配列に対して少なくとも60%
の相同性を有している。基準ヌクレオチド配列に対して少なくとも70%、好まし
くは90%、そして、より好ましくは95%以上の相同性を有するDNAが好ましい
。
本発明による核酸は、例えば、SEQ ID NO:1などの種々の領域からの
オリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR増幅を行う実施例1および2に述
べられている方法など、先行技術において公知の種々の方法によってつくること
ができる。
本発明のさらに別の実施例によれば、任意にラベルされた転写因子コード表現
cDNAあるいはその断片を用いて新しい哺乳動物の膵臓島ホルモン転写因子を
コード表現するさらに別の核酸配列のライブラリー(例えば、cDNA、ゲノム
性など)をプローブすることができる。実施例1および2に
述べられているように、哺乳動物の膵臓島cDNAライブラリー、好ましくはヒ
トの膵臓島cDNAライブラリーの構造は先行技術において公知である。こうし
たcDNAライブラリーのスクリーニングは、当初、約42℃以下の温度、約50%
以下のホルムアミド濃度、そして、低塩分濃度を内容とする厳格さの低い条件で
行われる。
現在の段階で好ましいプローブに基づいたスクリーニング条件は約37℃の温度
、約20%のホルムアミド濃度、そして5X標準くえん酸食塩水(SSC:20X
SSCは3M塩化ナトリウム、0.3Mくえん酸ナトリウム、pH7.0を含んでいる)
を内容としている。こうした条件は、完全な相同性がなくても、プローブ配列と
かなりの程度の類似性を有する配列を確認できるようにしてくれる。“かなりの
類似性”という表現は少なくとも50%の相同性を有している配列を意味している
。好ましくは、プローブと少なくとも70%の相同性を有する配列が可能となり、
プローブとより低い相同性を有する配列を区別できるようにするハイブリダイゼ
ーション条件が指定される。その結果、SEQ ID NO:1のヌクレオチド33
1−1182と基本的には同じヌクレオチド配列が得られる。
ここで用いられている核酸“プローブ”とは単一鎖DNAまたはRNA、ある
いはその断片で、SEQ ID NO:1のいずれか、好ましくはヌクレオチド33
1−1182に示されているいずれか14またはそれ以上と同じ(あるいはそれと相補
的な)少なくとも14、好ましくは20、より好ましくは50の継
続的な塩基を含んだヌクレオチドの配列を有している。それからプローブを構成
する好ましい領域はSEQ ID NO:1の5′および/または3′コーディン
グ領域を含んでいる。さらに、本発明の転写因子蛋白質のcDNAコード表現領
域全体をプローブとして用いることもできる。プローブは、以下に述べるような
先行技術において公知の方法でラベルすることができ、種々の診断キットで用い
ることができる。
ここで述べられている、種々の文法的形態における“ラベル”または“表示手
段”とは、検出可能な信号をつくりだすのに直接または間接的に関与する単一の
原子または分子を示している。いずれのラベルまたは表示手段も本発明の核酸プ
ローブ、表現された蛋白質、ポリペプチド断片、あるいは抗体分子に結合させる
ことができる。これらの原子または分子は単独でも、または別の試薬との組み合
わせでも用いることができる。こうしたラベルは臨床診断化学において良く知ら
れている。
このラベル手段は変性しないで抗体または抗原と化学的に結合して有益な免疫
蛍光トレーサであるフルオロクローム(染料)を形成する蛍光ラベリング試薬な
どであってよい。適切な蛍光ラベリング試薬は、フルオレセインイソシアネート
(FIC)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、5−ジメチルア
ミン−1−ナフタレンスルホニルクロライド(DANSC)、テトラメチルロー
ダミンイソチオシアネート(TRITC)、リスアミン、ローダミン8200スル
ホニルクロライド(RB−200−SC)などである。免疫蛍光分析法の説明は、D
eLuca,“Immunofluorescence Analysis”,in Antibody As a Tool,Marchalon
isら、eds.,John Wiley & Sons,Ltd.,pp.189−23(1982)に開示されている
。この資料は本明細書に引例として組み込まれいている。
ひとつの実施例では、その指示グループはホースラディッシュペロキシダーゼ
(HRP)、グルコースオキシダーゼなどの酵素である。主要指示グループが酵
素である場合、目に見える信号をつくりだすために別の試薬が必要となる。HR
Pのためのそうした追加試薬としては過酸化水素、ジアミノベンジジンなどの酸
化染料前駆体などである。グルコースオキシダーゼを用いて有用な追加試薬は2
,2′−アジノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン−G−スルホン酸)(A
BTS)である。
別の実施例では、放射性元素がラベリング用試薬として用いられる。典型的な
放射ラベル用試薬はガンマ線放射を発生する放射性元素である。124I,125I,126
I,131Iおよび51Crなどガンマ線を放出する元素は、ひとつのタイプの放
射性元素指示グループを代表するものである。特に好ましいのは125Iである。
別のグループの有用なラベルする手段は陽電子を放出する11C,18F,15Oおよ
び13Nなどの元素である。このように放出された陽電子は動物体内に存在する電
子と衝突するとガンマ線を発生する。32P,111インジウムまたは3Hなどのデー
タ線放出元素も有用である。
核酸、抗体、ポリペプチド、および蛋白質のラベリングなど、基質へのラベル
の結合は先行技術において良く知られている。例えば、本発明による抗体は培養
媒体で提供される放射ラベルされたアミノ酸の代謝による取り込みによってラベ
ルすることができる。例えば、Galfreら、Meth,Enzymol.,73:3−46(1981)
参照。活性化された機能基による蛋白質接合、あるいは結合の従来の手段は特に
利用性が高い。例えば、Aurameasら、Scand.J.Immunol.,Vol.8,Suppl.7
:7−23(1978),Rodwellら、Biotech.,3:889−894(1984)、および米国
特許第4,493,795号参照。
本発明のさらに別の実施例においては、適切な宿主細胞内に上に述べた核酸配
列を表現させることによって本発明による転写因子を遺伝子組換えでつくるため
の方法が提供される。ここで述べられている膵臓転写因子をつくりだすのに適し
た組換えDNA表現システムは先行技術において良く知られている。例えば、上
に述べたヌクレオチド配列をさらに操作するためにベクターに組み込むことがで
きる。ここに用いられているベクター(またはプラスミド)という用語は、その
表現または複製を目的としてヘテロロガスDNAを細胞に導入するために用いら
れる個々の要素を意味している。
適切な表現ベクターには、そうしたDNAの表現を規制することができるプロ
モータ領域など、調節配列に操作的に結合されるDNAを表現することができる
ベクターなどがある。したがって、表現ベクターとは、プラスミド、ファージ、
遺
伝子組換えウィルス、あるいはその他の、適切な宿主細胞に導入すると挿入され
たDNAの表現をもたらすベクターなど、遺伝子組換えDNAまたはRNA構成
を示している。適切な表現ベクターは当業者にはよく知られており、真核細胞そ
して/または原核細胞内で複製することができるもの、そしてエピゾーム性のま
までいるもの、そして宿主細胞のゲノムに組み込まれるなどを含む。
ここで用いられているプロモータ領域という用語はそれが操作によって結合さ
れるDNAの転写を制御するDNAのセグメントを意味している。プロモータ領
域としては、ポリメラーゼ認識、結合、および転写を開始させるのに十分な特定
の配列を含んでいる。さらに、プロモータ領域には、RNAポリメラーゼの認識
、結合、および転写の開始を調節する配列を含んでいる。これらの配列はcisア
クティングであってもよいし、トランスアクティング因子に反応性のあるもので
もよい。プロモータは、調節に応じて、構成的である場合もあり、また、規制的
であってもよい。本発明の実施での使用が考えられる典型的なプロモータには、
SV40アーリープロモータ、サイトメガロウィルス(CMV)プロモータ、マウ
ス乳腺腫瘍ウィルス(MMTV)ステロイド誘発性プロモータ、マックロニーマ
ウスロイケニアウイルス(MMLV)プロモータなどを含んでいる。
ここで用いられている“操作的に結合される”という用語は、DNAとプロモ
ータ、エンハンサ、転写または翻訳停止
サイト、および他の信号配列など、調節およびエフェクタヌクレオチド配列との
機能的な関係を示している。例えば、DNAのプロモータへの操作的結合とは、
DNAとプロモータとの間の、そのDNAの転写が、特にそのDNAを識別し、
そのDNAに結合し、そしてそれを転写するRNAポリメラーゼによって、その
プロモータから開始されるような物理的、機能的関係を意味している。表現、そ
して/またはインビトロでの転写を最適化するためには、余分な、不適切な別の
翻訳の開始(スタート)コドン、あるいは転写または翻訳のレベルのいずれかで
表現に干渉したり、あるいはそれを低下させてしまう他の配列を除去するために
、それらクローンの5′未翻訳部分を取り除いたり、加えたり、あるいは変更し
たりすることが必要な場合もある。また、コンセンサスリボゾーム結合部位〔例
えば、Kozak(1991)J.Biol.Chem.266:19867−19870参照〕を5′のスター
トコドンに直接挿入することもできるし、表現を増幅してもよい。こうした修正
が望ましいこと(あるいはその必要性)は経験的に判断できる。
ここで用いられている表現という用語は、ポリ核酸がmRNAに転写されて、
ペプチド、ポリペプチド、または蛋白質に翻訳されるプロセスを意味している。
ポリ核酸がゲノム性DNAから取り出される場合、その表現には、適切な真核宿
主細胞または生物が選ばれた場合、スプライシングまたはmRNAが含まれる。
原核形質変換ベクターは先行技術においてよく知られており、pブルースクリ
プト、およびファージ/ラムダZAPベクター(Stratagene,La Jolla,CA)な
どを含んでいる。他の適切なベクターおよびプロモータは、1989年1月17日の米
国特許第4,798,885号に詳しく開示されており、その開示全体は本明細書に引例
として組み込まれる。さらに、lac z遺伝子(オペレータ、プロモータ、転写ス
タート部位、シャイン−デリガーノ配列、および翻訳開始信号を含む)の5′領
域、トリプトファン遺伝子(trpオペレータ、プロモータ、リボゾーム結合部位
および翻訳イニシエータ)からの調節領域、そして、tap−lacまたは一般的にT
acプロモータと呼ばれる2つのプロモータを含んでいる融合遺伝子などの配列を
含む表現カセットを用いて、それらの配列にそれらカセットが選ばれたクローニ
ングベクターに挿入される前に、合成DNAを挿入しても差し支えない。
大腸菌細胞を形質変換させるための他の適切なベクターには、pET表現ベク
ター(Novagen,米国特許第4,952,496号参照)、例えば、T7プロモータ、T7
ターミネータ、誘発性大腸菌lacオペレータ、そしてlacレセプター遺伝子および
T7ターミネータを含むpET12a−c、およびT7ターミネータ、および大腸
菌ompT分泌信号などを含む。別の適切なベクターは、lppプロモータ、lacUV
5プロモータオペレータ、ompA分泌信号、およびlacレセプター遺伝子を含むp
IN−III opmA2(Duffaudら、Meth.in Enzymology,153:
492−507,1987)である。好ましい表現ベクターは実施例3に述べるPGEX−
2Tベクター(Pharmacia)である。
典型的な真核形質変換ベクターには、クローンされた仔ウシパピローマウィル
スゲノム、マウスレトロウィルスのクローンされたゲノム、および〔Mulliganお
よびBerg,NatureVol.277:108−114(1979)〕に述べられているpSV−2gpt
システム、オカヤマ−ベルグクローニングシステム〔Mol.Cell.Biol.Vol.2
:161−170(1982)〕、およびGenetics Institute〔Science Vol.228:810−8
15(1985)〕に述べられている表現クローニングベクターなどが含まれており、
形質変換された真核細胞系において関心の対象となる蛋白質を少なくとも一定程
度確実に表現してくれる。
哺乳動物の細胞のトランスフェクションのために本発明による転写因子コード
表現DNAに結合することができる調節要素を含んでいる特に好ましいベースベ
クターはpcDNA1などのサイトメガロウィルス(CMV)プロモータに基づく
ベクター(Invitrogen,San Diego,CA),pMAMNeo(Clontech,Palo Alto,
CA)、pMSG(Pharmacia,Piscataway,NJ)などのMMTVプロモータに基づ
くベクター、およびpSVβ(Clontech,Palo Alto,CA)などのSV40プロモー
タに基づくベクターである。
本発明の別の実施例によれば、本発明の核酸分子(つまり、DNAまたはmR
NA)を含む“組換え細胞”が提供される。適切な宿主細胞、好ましくはバクテ
リア細胞、より好ましく
は大腸菌細胞を形質変換する方法、およびヘテロロガス蛋白質をコード表現する
遺伝子を含む該細胞を培養するために適用可能な方法は、先行技術においてよく
知られている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual
(2ed),Cold Spring Harbor,Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New
York,USA(1989)参照。
形質変換を行うための典型的な方法は、例えば、プラスミド、ウィルス性また
はバグテリア性ファージベクターを用いた形質変換、トランスフェクション、エ
レクトロポレーション、リポフェクションなどである。ヘテロロガスDNAは、
そのエクストラクロモゾーマルメンテナンスを可能にする配列を任意に含み、該
ヘテロロガスDNAは(宿主内で安定して保持されるようにさせるための別の手
段として)宿主のゲノムに組入させることができる。
本発明の実施において使用が考えられる宿主生物としては、その内部において
ヘテロロガス蛋白質の遺伝子組換えによる生産が行われている生物を含んでいる
。こうした宿主生物の例としては、バクテリア(例えば、大腸菌)、イースト菌
(サッカロミセスセレビシアエ、カンジダトロピカリス、ハンセヌラポリモルフ
ィア、およびP.パストリスなど;米国特許第4,882,279号、第4,837,148号、第
4,929,555号および第4,855,231号参照)、哺乳動物細胞(例えば、HEK293,
CHOおよびLtk細胞)、昆虫細胞などである。現在の段階で好ましい宿主生物
はバクテリアである。最も好ましいバク
テリアは大腸菌である。
本発明の別の実施例によれば、本発明による膵臓転写因子に対して発生する抗
体が提供される。こうした抗体は、本発明による蛋白質、その断片を抗体生産の
ための抗原として用いることによって、当業者によく知られている標準的な手法
を用いてつくることができる(例えば、実施例6参照)。本発明による抗体は、
通常、本発明による転写因子蛋白質、またはその断片を含むインカラムで哺乳動
物を免疫化し、それによって、免疫化試薬のための免疫特性を有する抗体分子の
生産を誘発することによってつくりだされる。
例えば、本発明による蛋白質の合成ペブチド断片に対してウサギ内に発生され
る抗体は、合成ペプチドおよび等モルベースの対応する本発明による転写因子蛋
白質を識別し、好ましくは、天然の蛋白質の活性を抑制する能力を有している。
本発明に対する抗体は、例えば、4℃で2時間の反応によるビスジアゾ化ベンジ
ジン(BDB)リンケージによるBSAにそれを抗原として結合させるために、
C−端末にTyrが加えられた適切な合成断片によって、雄および雌の生後3か月
のニュージーランド白ウサギを免疫化することによって得ることができる。低分
子量物質を除去するためにこの反応混合体を透析され、得られた物質を液体窒素
内で凍結され、−20℃で保存される。動物はBenoitら、P.N.A.S.USA,79,9
17−921(1982)の手順によって、1mg当量のペプチド抗原で免疫化される。4
週間の間隔を置いて、これらの動物を
200μgの抗原を注射することによってブーストし、その後、10日から14日間飼育
する。3回目のブースト後、クロラミン−T法によってつくられた放射沃素化抗
原ペブチドを結合する能力について抗血清を調べ、CMC−イオン交換カラムク
ロマトグラフィーによって精製される。次に、抗体分子を哺乳動物から集めて、
例えば、IgGフラクションを得るためにDEAEセファデックスを用いるなど
の、公知の方法において望ましい程度にまで分離される。
この抗体の特異性をさらに強化するために、これらの抗体を固体相添加免疫化
ポリペプチドを用いた免疫親和性クロマトグラフィーによって精製することがで
きる。抗体は抗体分子と免疫反応して固体相免疫複合体を形成するのに十分な時
間、固体相転写因子ペプチドと接触される。結合した抗体は、次に、標準的な手
法で複合体から分離される。SEQ ID NO:2のアミノ酸196−214と免疫反
応性がある典型的な抗膵臓ホルモン抗体については、実施例6に述べる。
このようにしてつくられた抗体は、なかんずく、組織または血管流体などの哺
乳動物、好ましくはヒトの体サンプルに存在している膵臓島転写因子蛋白質のレ
ベルを検出するための診断方法およびシステムにおいて用いることができる。こ
うした抗体は、また、本発明による転写因子蛋白質の免疫親和性または親和性ク
ロマトグラフィーによる精製のために用いることができる。
本発明のさらに別の実施例においては、膵臓ホルモン遺伝
子を制御する転写を調節する方法が提供され、この方法は:
該プロモータを本発明による転写因子蛋白質と接触させるステップで構成され
ている。
ここで用いられいる“接触させる”という用語は、(例えば、適切な緩衝液、
または生理学的条件など)適切な環境条件の下で、本発明による転写因子、ある
いはDNAに結合するその断片を、膵臓ホルモン遺伝子プロモータからの組織特
異性プロモータ要素、好ましくはインシュリン遺伝子プロモータと結合させるの
に十分な時間だけ提供することを意味している。こうした接触は細胞を含まないインビトロ
システムか、生物学的に活性を有するインシュリン蛋白質をコード表
現する遺伝子を含んだ細胞の内部で、インビトロまたはインビボで培養された細
胞のいずれかで行われる。
本発明のさらに別の実施例においては、哺乳動物におけるインシュリンのレベ
ルを調整する方法が提供され、該方法は:
グルコースの存在下で、生物学的に活性を有するインシュリン蛋白質をコード
表現する遺伝子を本発明による転写因子蛋白質、またはそのDNA結合断片と接
触させるステップを含んでいる。
“グルコースの存在下で”という表現は、本発明による転写因子蛋白質のグル
コースに応答した表現が発生するのに十分な濃度でグルコースが存在しているこ
とを意味している。例えば、グルコースレベルが80〜90mg/ml血管流体の正常範
囲より慢性的に高い患者においては、本発明による転写因子
蛋白質のグルコース応答反応が起きる。
本治療法を実施するためには、膵臓転写因子蛋白質をコード表現する本発明に
よる核酸を膵臓島B−細胞などの生物学的に活性のあるインシュリンを表現する
ことができる適切な細胞に導入する。本発明によるホメオボックス−タイプの転
写因子はインシュリン遺伝子の表現をトランスアクティベートすることは分かっ
ているので、本発明による転写因子蛋白質の表現を発生させると、インシュリン
遺伝子を含んだ任意の細胞のインシュリンの表現を発生させると考えられる。加
えて、本発明による転写因子蛋白質の表現レベルは種々の濃度のグルコースと反
応することが分かっているので、本発明による方法は、インシュリンのグルコー
ス応答表現のための手段を提供してくれる。
本発明による核酸はインビボでそうした細胞に導入することもできるし、ある
いは、インビトロでそれら細胞をそうしたことを必要とする患者の体内に移植す
る前にインビトロで培養された細胞に導入することもできる。本発明による核酸
は、インビトロで上に述べた組換え細胞をつくるためのいずれかの方法を用いて
適切な内分泌性細胞に導入することができる。
膵臓細胞を移植するための方法は先行技術においてよく知られている。例えば
、ヒトへの挿入に適した成長可能な細胞、好ましくは膵臓島細胞を含んでいる移
植可能な合成組織マトリックス構造について開示している米国特許第4,997,443
号
および第4,902,295号参照。移植される細胞を宿主の免疫応答から保護するため
の細胞カプセル化移植法は先行技術においてよく知られている(例えば、米国特
許第4,353,888号および第4,696,286号参照)。したがって、インシュリンをプロ
セスできるどのヒト細胞、好ましくは内分泌性細胞を、ここで述べられている治
療法での使用の対象として考えることができる。
例えば、本発明による転写因子蛋白質のグルコース応答表現を確実に行わせ、
それによってインシュリンのグルコース応答表現を起こさせるようにするために
、哺乳動物のプライマリー発生時島細胞、好ましくはヒトのものを、本発明によ
る転写因子をコード表現する核酸および/または生物学的に活性を有するインシ
ュリン蛋白質をコード表現するひとつ、または複数の適切なベクターと共に分離
または形質導入してもよい。さらに、上皮細胞を島細胞内に区別させる方法につ
いて述べた米国特許第4,935,000号および生物学的な活性を有するインシュリン
をつくりだすことができるランゲルハンスの島をつくりだす方法について述べて
いる米国特許第4,868,121号参照。
ひとつの実施例において、本発明による転写因子蛋白質をコード表現する核酸
を哺乳動物の細胞、好ましくは膵臓島細胞に、適切な先行技術においてよく知ら
れているウィルス性ベクターを用いて、インビボまたはインビトロのいずれかで
伝達することができる。特にインビボでの“遺伝子治療”方
法のために設計された適切なレトロウィルス性ベクターは、例えば、WIPOの
刊行物WO 9205266およびWO 9214829に述べられており、これらの資料は核酸
をインビボでヒトの細胞に効率的に導入する方法について述べている。さらに、
本発明による転写因子のインビボでの表現を制限あるいは低下させることが望ま
しい場合、本発明による核酸のアンチセンスストランドを導入することが考えら
れる。
ここで望まれている“生物学的に活性を有するインシュリン蛋白質をコード表
現する遺伝子”とは、イン−ビボで表現された場合に、その蛋白質が生理学的に
正常な方法でグルコースの濃度を調整できるように、インシュリン蛋白質をコー
ド表現する遺伝子を指している。
本発明のさらに別の実施例においては、哺乳動物の糖尿病を措置するための方
法が提供され、該方法は:
グルコースの存在下で、生物学的に活性を有するインシュリン蛋白質をコード
表現する遺伝子を含んだ細胞内で、本発明の核酸ベクターを表現するステップを
含んでいる。
以下の非限定的実施例を参照して、本発明についてさらに詳しく説明する。こ
こで触れられているすべての米国特許および刊行物はその全体が引例として組み
込まれる。
特に他の記述がないかぎり、本発明は、例えば、Maniatisら、Molecular Clon ing:A Laboratory Manual
,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spri
ng Harbor,New York,USA(1982);Sambrookら、Molecular Cloning:A Labor
atory
Manual(2ed),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor
,New York,USA(1989);Davisら、Basic Methods in Molecular Biology,El
sevier Science Publishing,Inc.,New York,USA(1986);またはMethodsin Enzymology:Guide to Molecular Cloning Technique
:Vol.152,S.L.Berger
およびA.R.Kimmerl Eds.,Academc Press Inc.,San Diego,USA(1987)など
の資料に述べられている。
Tu6細胞系は膵臓腫瘍から得られたものである(Madsenら、1986,J.Cell B iol
.,103:2025−2034参照)。本発明によるcDNAは、先行技術においてよく
知られている方法を用いていずれかの膵臓島細胞源から得ることができる。すべ
ての場合に、共トランスフェクトされたRSV−ルシフェラーゼレセプタープラ
スミドの活性に正常化した後、CAT活性が測定された。CMV−ITF−1表
現プラスミドは標準クローニング手順を用いて、ペアレントプラスミドを含んだ
CMVプロモータ(例えば、Stratagene,La Joll,CAから商業的に入手できるp
OG44など)にITF−1 cDNAを挿入することによって構成された。“−
TSE”および“4X TSE”ソマトスタチンプラスミドがLeonardら、(199
2)PNAS,89:6247−6251に述べられている手順で作成された。
実施例1
Tu6 cDNAライブラリー構成
Tu6 cDNAは、タイムセーバーcDNA合成キット
(Pharmacia)を用いて5μgのTu6細胞誘導ポリ(A)指定RNAから合成され
た。Eco RIオーバーハングを有するNot I/Eco RIアダプタがcDNA端
に結紮され、組み込まれなかったリンカーはCL−4Bセファロースカラム(Ph
armacia)によるクロマトグラフィーによってcDNAから分離した。1.5〜4kb
のcDNAがアガロースゲル電気泳動によってサイズ指定され、λgt−11ファー
ジアームに結紮された。Gigapack II Gold(Stratagene)でパッケージングし
た後、このライブラリーは4×106pfuを含んでおり、これは青/白色選択で判定
して再結紮されたファージアームの2%以下であった。
実施例2
ホメオボックス−タイプ転写因子蛋白質をコード表現するcDNAの分離
ホメオボックス配列はアミノ酸LEKEF(センス方向、aa.ホメオドメイン
の17−21)およびIWFQN(アンチセンス方向、aa.48−52)をコード表現す
る変性オリゴヌクレオチドプライマーによってPCR増幅を行うことによってフ
ァージTu−6 cDNAライブラリーから分離された。用いられた合成プライマ
ーは5′−GGCGGATCCCTXRARARRGART(A/T)C−3′(SEQ ID NO:5
)および5′GGCGGATCCC(G/T)RTTYTGRAACCA−3′(SEQ ID NO:6
)で、ここでR=A/GおよびY=C/Tである。PCRは各プライマーおよび1
ng Tu6 cDNAを20pmol用いて行われた。
アニーリング温度が45℃で3サイクル行われ、その後55℃の温度で35サイクル行
われた。予想された129bpのPCR生成物をアガロースゲル電気泳動で溶かし、
ゲルから取り出して、ブルースクリプトSK IIにサブクローンし、そして、二
重鎖DNA配列決定によって分析された。予想されたサイズの6つの増幅された
DNA断片が得られ、ブルースクリプトSK IIにサブクローンされた。分析の
対象となった6つの組換えクローンのうち、5つは同じホメオドメイン断片に対
応していた。
全長ITF−1 cDNAクローンを得るために、ITF−1 PCR断片を
ランダムプライマーラベリングで高度の特異活性にラベルした。Tu−6 λgt1
1ライブラリーから106程度のプラークがITF−1断面プローブへのハイブリダ
イゼーションによってスクリーンされた。30のポジティブプラークが精製され、
そのうちのいくつかはブルースクリプトSK IIにサブクローンされ、両方の鎖
の上で配列された。
283個のアミノ酸によって構成される新しい蛋白質をコード表現する全長1.6kbの
cDNAクローンが得られ、これはインシュリン転写因子−1またはITF−1
(SEQ ID NO:1)と命名された。
実施例3
大腸菌内でのホメオボックス−タイプ転写因子蛋白質の表現
上の実施例2に述べられた1.6kb ITF−1のcDNA配列をフレームで、バ
クテリア性表現ベクターpGEX−2T
(Pharmacia)に挿入した。その結果得られた表現プラスミドを“pITF−1”
にラベルして、大腸菌鎖BL21に導入した。LB培養液(Sambrookら、supra参
照)+30μg/mlのアンピシリンを0.6のOD A600に加えたもの1リットル内で
培養された。0.25g IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピアノシ
ド)で3時間刺激を与えた後、遠心分離にかけ、プロテアーゼ抑制因子(1mM
PMSF、トラシロル、および100U/mlレウペプチン)を含んでいるHDB緩衝
液(140mM NaCl,5mM KCl,0.7mM Na2HPO4,25mMヘペスpH7.4)に
再懸濁させた。氷上で30分間リソザイム(1mg/ml)によって措置することによ
って細胞を溶解した。その後、抽出物が1%トリトンX−100、5mM EDTA,
1mM DTT,1M NaClの最終濃度を持つように、細胞溶解液を加えた。次
に細胞溶解物を40kgで30分間遠心分離にかけ、上澄液を1%トリトン、プロテア
ーゼ抑制因子、およびDTTを含んだHDB緩衝液内で1mMで2時間平衡透析し
た。その溶解物をさらに500μlグルタチオン−アガロースビーズと4℃の温度下
で20分間混合した。このビーズを7回洗浄し、分離したところ、このビーズを7
ユニットのトロンビンと室温で1時間培養することによって、組換えITF−1
蛋白質が溶出した。
実施例4
RNAse保護およびインサイ(in situ)ハイブリダイゼーション分析
本発明による転写因子蛋白質の生産がインシュリンおよびソマトスタチン生産
に関連する内分泌性細胞タイプにだけ限定されているかどうかを判定するために
、RNAse保護アッセイを種々の細胞系および組織から得たRNAに関して行っ
た。RNAは、11種類のラットの細胞株と、11匹の成熟したラットの視床株、大
脳、中脳、脳幹、小腸、皮質、膵臓、心臓、腎臓、肝臓、および脾臓から得た組
織を用いて、標準酸/グアジニジウム/フェノール方法(上述Sambrook参照)で
作成された。RNAse保護分析を行うために、SEQ ID NO:1のアミノ酸
60〜165に対応するITF−1 cDNAの318bp断片を含むHind III直線化プラ
スミドリボプローブが用いられた。このリボプローブを総量30μgのRNAにア
ニールして、上のLeanordらに述べられているように処理した。Tu−6およびR
IN5 AH膵臓島細胞系の両方でITF−1RNAが観察されたが、PC12,
JEG−3,COS,HT22,Helaその他を含む非内分泌性細胞株では検出でき
る程のITF−1 RNAは観察されなかった。検査された11種類のラット組織
のうち、膵臓および小腸だけがITF−1 RNAを含んでおり、対応する本発
明による転写因子蛋白質が小腸および膵臓の内分泌性細胞だけに高度に限定され
ていることを示している。
ITF−1 RNA生産の部位はインサイ(in situ)ハイブリダイゼーショ
ンでも確認された。インサイハイブリダイゼーションを行うために、膵臓および
小腸を低温保持装置
上で切開して、スライド上に載せ、ITF−1アンチセンスリボプローブとハイ
ブリダイズさせた(例えば、Leeら、(1990)Mol.and Cellular Neuroscience
,1:168−177参照)。35SでラベルしたITF−1アンチセンスリボプローブ
を用いて、ITF−1 RNAが島に観察されたが、周辺の外分泌性腺房細胞で
は観察されなかった。島内部では、ハイブリダイゼーション信号はすべての細胞
に均等に分散されていた。島細胞のわずか10〜20%だけがソマトスタチンをつく
りだすので、β−細胞を含んでいるインシュリンなどの他の細胞タイプもこの因
子をつくりだすものと考えられる。ITF−1 RNAは小腸のほとんどの上皮
細胞に存在しているが、これらのうちの少数のみがソマトスタチンをつくりだす
ことが分かっている。したがって、両方の組織で、ソマトスタチンをつくりだす
細胞はITF−1を表現する細胞のうちの小部分だけであるように思われる。
実施例5
ゲル流動性変動およびDNAse I保護分析
ラットのインシュリンプロモータ内部では、“P−Box”(SEQ ID NO
:8)および“FLAT”または“E2”(SEQ ID NO:9)と呼ばれる
2つの組織特異性要素は、膵臓島細胞内のインシュリン表現のプロモートに関与
している。ソマトスタチンプロモータの内部では、TSE I(SEQ ID N
O:3)およびTSE II(SEQ ID NO:4)と呼ばれる2つの相互に関連
した組織特異性要素
が膵臓島Tu−6細胞内でのソマトスタチン表現をプロモートする。ITF−1
がこれら機能的に定義された要素に結合できるかどうかを判定するために、組換
えITF−1蛋白質を原核GST−ITF−1表現プラスミド(実施例3に説明
)を用いて形質変換した大腸菌から作成した。グルタチオン−アガロースビーズ
上で精製した後、GST−ITF−1融合蛋白質をスロンビンで切断してアミノ
酸から伸びた161アミノ酸ITF−1ポリペプチド断片の検索を可能にした。S
EQ ID NO:12の124−283。
ソマトスタチンプロモータによるDNAse I保護に関する研究それぞれ−10
4から−86まで(5′−TTGCGAGGCTAATGGTGCG−3、SEQ ID NO:3)およ
び−303から−281(5′−GATCTCAGTAATAATCATGCAG−3′,SEQ ID NO:
4)に広がっている二重鎖スマトスタチンTSE IおよびTSE IIオリゴ類を
用いて行われた(ヤマモトら、1990,Cell,60:611−617参照)。ミュータント
TSE Iは上述のLeonardらに述べられている方法にしたがって作成され、TS
E IIオリゴは5′−GATCTCAGGCCGGCCGCATGCAC−3′(SEQ ID NO:7)
の配列を含んでいた。TSE IおよびTSE II部位の両方にわたって個別のフ
ットプリントが観察された。両方の部位での保護は粗Tu−6核抽出物を用いて
得られたフットプリンティングパターンと一致していた。TSE II部位は更に
低い濃度のITF−1で完全に保護されたが、このことはこの部位がTSE I
部位より高い親和
性でこの蛋白質と結合するのかもしれないことを示している。
同様のDNAse保護アッセイがラットインシュリンI組織−特異性プロモータ
断片“P−Box”(SEQ ID NO:8)および“FLAT”(SEQ ID
NO:9)(上述のOhlssonおよびEdlund参照)に対応する二重鎖オリゴヌクレ
オチドを用いて行われた。ソマトスタチンプロモータ断片のために得られた結果
と同様、組換えITF−1蛋白質を用いて行われたアッセイで、インシュリンプ
ロモータ“P−Box”および“FLAT”部位の両方に広がる個別フットプリン
トが観察された。
ラベルされたTSE IおよびTSE IIオリゴを用いたゲル流動性変動アッセ
イ(例えば、上述のYamamotoら参照)が、ITF−1のDNA結合特性を評価す
るために行われた。その結果はいずれの部位に対する組換えITF−1蛋白質の
結合もラベルされていない野生タイプのTSE IまたはTSE IIコンペティタ
DNAによって簡単に取って代わられることを示している。しかしながら、TA
AT認識モチーフに置換基を有したTSE IおよびTSE IIのミュータントバ
ージョン(Version)はITF−1結合に対して同様の能力を示すことはできな
かった。フットプリンティングに関する研究の場合と同様、ITF−1蛋白質の
TSE II蛋白質に対する親和性はTSE Iに対する親和性より高いように思わ
れる。
同様のゲル流動性変動アッセイがラットインシュリンI組
織特異性プロモータ断片“P−Box”および“FLAT”(上述の、Ohlssonお
よびEdlund参照)に対応する二重鎖オリゴヌクレオチド類を用いて行われた。そ
の結果は、いずれの部位に対する組換えITF−1蛋白質の結合もラベルされな
い野生タイプのP−BoxまたはFLATコンペティタDNAによって簡単に取っ
て代わられることを示している。しかしながら、P−BoxおよびFLATのミュ
ータントバージョンがITF−1結合に関して同様の力を発揮することはできな
かった。
ソマトスタチン表現細胞における他のDNA−結合活性に対してITF−1
DNA−結合が相対的にどれ程強力かについてのアッセイがTu−6核抽出物を
用いた変動実験で行われた。高親和性TSE IIプローブを用いて、C1,C2
,C3と命名された3つの複合体がそれぞれの流動性に基づいて観察された。複
合体C1とC3は抽出物の量が少なくても現れたのに、複合体C2は抽出物の濃
度を高くした場合にだけ現れた。C1とC2は、両方とも野生タイプに取って代
わられたのに対して、ミュータントTSEIおよびTSE IIオリゴによっては
取って代わられなかったので、高い親和性複合体を示しているように思われる。
C1とC2のいずれも、Helaなどの非内分泌性細胞抽出物では観察されなかった
ので、これらの複合体も組織特異性であるように思われる。
実施例6
抗体およびウェスターンブロット分析
(実施例5に述べられた)C1,C2およびC3複合体がITF−1に関連し
た因子を持っているかどうかを判定するために、SEQ ID NO:2のアミノ
酸196−214から延びている合成ITF−1ペプチドに対して、ウサギのモノクロ
ーナル抗血清(抗ITF−1)が形成された。この抗ITF−1抗血清は、ウェ
スターンブロット分析で組換えITF−1蛋白質を特異的に識別する。ITF−
1抗血清によるウェスターンブロット分析は細胞質および核Tu−6抽出物(例
えば、上述Leonardら参照)で行われた。
Tu−6抽出物において、ITF−1抗血清は核および細胞質抽出物の49kD蛋
白質を特異的に識別した。この帯域の分子量は予想されたITF−1の質量(31
kD)とはまったく異なっており、この49kD免疫反応性生成物がITF−1 RN
Aによってプログラムされるレチクロサイト細胞溶解物からのインビトロ翻訳生
成物とコミグレートする。
核および細胞質フラクションの両方でのITF−1蛋白質を示しているウェス
ターンブロットデータから予想されるように、複合体C1は両方の抽出物(細胞
質と核)で観察され、この蛋白質が抽出物調製中に漏出する可能性を示唆してい
る。Tu−6核抽出物によって予備培養した場合、ITF−1抗血清はC1およ
びC2複合体を完全に破壊したが、C3に対してはまったく影響を示さなかった
。免疫前血清はこれら複合体のいずれに対してもまったく影響を示さなかったの
で、我々が得た結果は、ITF−1蛋白質がTu−6細胞内のT
SE結合活性の大部分を担っていることを示唆している。
さらに、複合体C1は全長組換えITF−1蛋白質−TSE複合体と同じ相対
流動性を示しているおり、これはC1がITF−1を含んでいることを示してい
る。Tu−6核抽出物の濃度を増大させるとC2が出現するという事実は、この
複合体がITF−1の2量体形態に基づくものかもしれない可能性を示唆してい
る。実際に、TSE II部位はこの部位上の2つのホメオドメインモノマー間の
協同的結合を促進する可能性のある2TAATモチーフを含んでいる。
ゲル流動性変動アッセイのテストでは、ITF抗血清は組換えITF−1のT
SEプローブへの結合を特異的に抑制したが、ISL−1蛋白質の結合は抑制し
なかった。
実施例7
インビトロ転写
インシュリンおよびソマトスタチンプロモータからの転写に対する組換えIT
F−1の影響は、PC12抽出物の代わりにHeLa核抽出物が用いられたことを除け
ば、前に述べたのと同様の方法で(例えば、Gonzalesら、(1991)Mol. & Cell .Biol.
,11(3):1306−1312参照)行われた。ITF−1およびCREB蛋
白質は個別と組み合わせの両方で評価が行われた。Hela核抽出物は検出可能なレ
ベルのITF−1蛋白質を含んでおらず、内発性の蛋白質の干渉を受けずにこの
因子のテストを行うことが可能であった。
簡単に言うと、10mM HEPES pH7.9,60mM KCl,
0.2mM EDTA,5mM MgCl2,5%グリセロール、2%ポリビニルアルコー
ル、2mM DTT,100ng pUCα1(コントロールDNAテンプレート)、20
0ngソマトスタチンプロモータテンプレート、83g核酸抽出物、および組換え転
写アクチベータ“−TSE”および“4X TSE”を含んだ最終体積50l内で
反応が行われた。“−TSE”プラスミドはCRE部位は含んでいるが、TSE
部位は含んでいない最小ソマトスタチンプロモータ構成物を含んでいる。“4X
TSE”プラスミドはCRE部位の上流に配置された4つのTSE I部位を
含むソマトスタチンプロモータベクターである。中間コントロールとして、ヒト
α−グロブリンテンプレートが用いられた。
4つのリボヌクレオチドすべてを加えてそれぞれ400Mの最終濃度にするまえ
に、DNAテンプレート、核抽出物、およびアクチベータ蛋白質が30℃の温度下
で、30分間、集合させられた。さらに30分間培養した後、フェノール/クロロホ
ルム/イソアミルアルコール[50:49:1]による抽出を行って反応を終わらせ
、プライマー延長分析によって分析された(上述のGonzalesら参照)。α−グロ
ブリンプロモータからの延長生成物は64ヌクレオチドであり、ソマトスタチンプ
ロモータからの生成物は56および57ヌクレオチドの二重構造である。
精製ITF−1蛋白質を追加した後にソマトスタチン転写が著しく誘発される
ことが、ソマトスタチンCREの上流に
挿入された4TSE I部位を用いて観察された。対照的に、ITF−1は、テ
ストされた蛋白質のどのようなレベルでも、TSE部位(−TSE)を欠いたα
−グロブリン制御プライマーやソマトスタチンテンプレートには刺激性の影響を
及ぼさなかった。対照的に、精製されたCREB蛋白質は−TSEと4X TS
E Iテンプレートの両方から転写を開始させた。
ITF−1がインビボでのソマトスタチン転写を刺激するかどうかを判定する
ために、ITF−1 cDNAが、標準的な方法を用いて、サイトメガロウィルス
(CMV)表現ベクター(例えば、POG4,Stratagene)に挿入された。Hela
細胞で調べた場合、CMV−ITF−1表現プラスミドはTSE IおよびTS
E IIソマトスタチンレポータープラスミドの両方を12倍程度刺激したのに対し
て、これらの部位を含んでいない親のソマトスタチンプラスミドには軽微な影響
が現れただけだった。CMV−ITF−1も、PC12細胞に共トランスフェクシ
ョンするとTSE IおよびTSE IIレポーター活性を刺激したが、−TSEプ
ラスミドは刺激性を示さなかった。これらの結果は、ITF−1が細胞のタイプ
に依存して、ソマトスタチンプロモータからの転写を特異的に刺激することがで
きることを示している。
組換えITF−1のラットインシュリンプロモータへの影響を評価するために
、同様のアッセイが行われた。この場合も、結果は、ITF−1が細胞タイプに
依存した形態でイン
シュリンプロモータからの転写を特異的に刺激することができることを示してい
る。
実施例8
本発明によるホメオボックス−タイプ転写因子蛋白質の内発性遺伝子表現に対す
るグルコース濃度の影響
膵臓島細胞を0〜20mMの範囲の種々の濃度のグルコースの存在下で培養した。
次に、RNAを島細胞の種々の培養物から分離して、SEQ ID NO:1から
選んだcDNA断片でプローブした。
その結果は、グルコース濃度が高い場合(つまり、20mM程度)、ITF−1
RNAの量に対してかなり高いレベルのITF−1 RNAが検出された。した
がって、本発明による膵臓転写因子の内発性表現はグルコースの濃度に対応した
反応性を示す。
いくつかの好ましい実施例を参照にしつつ、上に本発明について説明してきた
が、本明細書および特許請求の範囲に述べられている本発明の精神と範囲を逸脱
せずに修正、変更が可能なことは分かるであろう。
配列の要約
配列ID NO:1は本発明による内分泌性ホルモン転写因子(ITF−1)を
コード表現するcDNAの核酸配列(および推測されるアミノ酸配列)である。
配列ID NO:2は本発明による内分泌性転写因子(ITF−1)の推測され
るアミノ酸配列である。
配列ID NO:3はTSE Iである。
配列ID NO:4はTSE IIである。
配列ID NO:5は実施例2に述べられている合成プライマーである。
配列ID NO:6は実施例2に述べられている合成プライマーである。
配列ID NO:7は実施例5に述べられているミユータントTSE IIである
。
配列ID NO:8はインシュリンプロモータ“P−Box”領域である。
配列ID NO:9はインシュリンプロモータ“FLAT”(E2)領域である
。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07K 14/47 8517−4H C07K 16/18
16/18 7804−4B C12N 1/21
C12N 1/21 9358−4B C12P 21/08
5/10 9284−4C A61K 39/395 D
15/09 ZNA 9284−4C N
C12P 21/08 0276−2J G01N 33/566
// A61K 39/395 9162−4B C12N 15/00 ZNAA
9281−4B 5/00 B
G01N 33/566 9051−4C A61K 37/02 ADP