【発明の詳細な説明】
幹細胞増殖因子
1.導入
本発明は、胚細胞腫瘍株およびヒトCD34+細胞株から単離された自己分泌成長
因子に指向される。特に、幹細胞増殖因子(SCPF)の生産、精製、および使用に関
する。種々の細胞株において、本発明のタンパク質は、2つの形態、可溶性形態
および膜結合形態で存在し、膜結合形態は、少ないパーセンテージのヒト骨髄細
胞の表面で検出され、これらの細胞の増殖を刺激する。従って、SCPFは、造血性
幹細胞の成長を増加することを含むがこれに限定されない広域な適用を有する。
さらに、抗体によるそのタンパク質の除去は、腫瘍細胞成長の制御に有用である
。
2.発明の背景
自己分泌様式でその成長因子を生産する細胞にその刺激効果を作用させる成長
因子が記載されている。同じ因子が、他の標的細胞に同様の活性を示し得る。し
かし、神経系から得られる腫瘍細胞が、造血系の細胞の成長を調節する因子を生
産することは、文献に記載されていなかった。
2.1.胚細胞腫瘍
中枢神経系の胚細胞腫瘍は希少であり、小児固形腫瘍の3%未満である。これ
らの腫瘍は、最も一般的には松果体および視床下部に生じるが、それらは視床お
よび脳幹神経節においても記載されている。組織学的には、これらの腫瘍は、最
も一般的には胚細胞腫であることが見い出されている。より少数のサブタイプは
、絨毛癌、胚細胞腫瘍(embryonal germ cell tumor)、および混合胚細胞腫瘍を
含む。一般に、これらのタイプの腫瘍は、いっそう悪い予後を有する。
これらの腫瘍の治療は多様であり、胚細胞腫の手術および放射線治療、非胚細
胞腫性胚細胞腫瘍、転移性疾病、または再発性疾病の患者にとって重要な役割を
果たす集中的なプラチナベース化学療法プロトコールおよび自己骨髄移植がある
。心室(脳室)シャントを介して広がった転移が報告されており、そしてシャント
の
路に沿って何処でも生じ得る。頚部および肺の転移性沈積物が報告されているが
、最も一般的には、これらの沈積物は、心室腹膜シャントおよび大きな腹膜移植
片と関連する。頭蓋内胚細胞株腫瘍から培養された細胞株がまれに報告されてい
るが、いくつかの細胞株は、神経外起源の胚細胞腫瘍に由来した。インビトロで
継代された細胞株は、ラット癌に由来した。これらの細胞株は、初期多能性細胞
の分化の研究で非常に価値があることが分かった。
2.2.造血細胞および成長因子
ヒトの薬において、造血を開始し調節する能力は、非常に重要である(McCune
ら、1988,Science 241:1632)。悪性疾患を含む種々の疾病および免疫疾患は、
リンパ−造血系内の破裂に関するように考えられる。多くのこれらの疾患は、前
駆細胞を造血系に再居住させることにより緩和されそして/または治療され得、
前駆細胞が分化するように誘起された場合、患者の欠乏症は克服される。ヒトに
おいては、現在の補充療法は骨髄移植である。白血病の治療での骨髄移植の使用
は別として、現在では、それは他の新形成で頻繁に用いられる(EpsteinおよびSl
ease,1985,Surg.Ann.17:125)。しかし、このタイプの治療は、侵入性手順を
含んでいるため、(ドナーとレシピエントの)両方にとって痛みが伴われ、そして
レシピエントに重篤な合併症を与え、特に、移植片は同種異型である場合、移植
片対宿主疾病(Graft Versus Host Disease)(GVHD)を生じる。従って、GVHDの危
険性は、他の致命的な疾病の患者への骨髄移植の使用を制限する。造血疾患に対
し潜在的にさらに刺激的な他の治療は、コロニー刺激因子を1つまたは組合せに
よる患者の治療である(Dexter,1987,J.Cell Sci.88:1)。
少数の自己修復性幹細胞が系統特異的な前駆細胞を生じさせることによる血液
細胞形成のプロセスは、特異的ホルモンの制御下にあり、系統特異的な前駆細胞
は、続いて増殖し、分化し、成熟循環血液細胞を生産する。これらのホルモンは
、コロニー刺激因子(CSF)として集合的に知られている(Metcalf,1985,Science
229:16; Dexter,1987,J.Cell Sci.88:1; GoldeおよびGasson,1988,Scien
tific American,7月:62; TabbaraおよびRobinson,1991,Anti-Cacer Res.11:
81; Ogawa,1989,Environ.Health Presp.80:199; Dexter,1989,Br.Med.B
ull.45:337)。組換えDNA技術の出現により、多数のこれらのCSFは、今やクロー
ン化され、そして発現されている(Souzaら、1986,Science 232:61; Goughら、1
984,Nature 309:763; Yokotaら、1984,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:10
70; Kawasakiら、1985,Science 230:291)。これらの組換えCSFは今では入手可
能であり、そしてそれらの治療の潜在能力への広範囲な研究が始まった。薬にお
けるそれらの潜在性使用は広くまで及び、輸血、骨髄移植、免疫抑制疾患の矯正
、癌治療、創傷治癒、および免疫応答の活性化のような領域を含む。(Goldeおよ
びGasson,1988,Scientific American,7月:62)。造血性前駆細胞の増殖および
分化の誘導とは別に、CSFはまた、成熟血液細胞の多数の機能の活性化を示し(St
anleyら、1976,J.Exp.Med.143:631; Schraderら、1981,Proc.Natl.Acad
.Sci.U.S.A.78:323; Mooreら、1980,J.Immunol.125:1302; Kurlandら、19
79,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.76:2326; HandmanおよびBurgess,1979,J
.Immunol.122:1134; Vadasら、1983,Blood 61:1232; Vadasら、1983,J.Imm
unol.130:795)、成熟造血細胞の移動に影響することを含む(Weibartら、1986,
J.Immunol.137:3584)。
3.発明の要旨
本発明は、幹細胞増殖因子(SCPF)、造血幹細胞を含む種々の幹細胞集団の成長
を刺激することにおけるその使用、および胚細胞腫瘍または他の細胞株により生
産される他の成長因子またはサイトカインを同定する方法に関する。SCPFは、ヒ
ト骨髄幹細胞の増殖を刺激する新規な自己分泌成長因子のファミリーである。SC
PFはまた、32,000ダルトンの分泌形態および37,000ダルトンの分子量の膜結合形
態として751と称せられるネズミ細胞株により発現される。SCPFはまた、分子量2
3,000ダルトンのML-1と称される細胞株により発見される。SCPFは、CD34+ヒト骨
髄幹細胞と同様にそれを生産する細胞株の増殖および成長を刺激する。
本発明は、一部、ネズミ751細胞株が自己分泌成長因子を培養培地に放出する
という本出願者の発見に基づく。精製32kDaタンパク質に対して生成するポリク
ローナルウサギ抗体(SAM.1)は、751細胞により生産された32kDaの分泌産物およ
び37kDaの細胞結合タンパク質ならびにML-1細胞により生産された23kDaのタンパ
ク質の両方を認識する。この抗体はまた、ヒト骨髄における細胞集団を同定し得
、
正常(粘着涸渇した)骨髄細胞の2.6%未満と反応する。このSCPF+骨髄細胞集団は
、幹細胞マーカーCD34を同時発現する。本明細書に記載の実施例に示すように、
SCPFの生物学的活性は、任意の公知の骨髄コロニー刺激因子(CSF)(GM-CSF、G-CS
F、M-CSF、およびIL-3を含む)とは区別される。さらに、GM-CSF、G-CSF、M-CSF
、およびIL-3に特異的な抗体は、SCPFの生物学的活性を阻害しない。さらに、抗
SCPF抗体はSCF機能を中和しないので、SCPFはまた、c-kitオンコジーン産物(SCF
)に対するリガンドとも区別される。
本発明は、実施例の様式により記載されており、実施例では、SCPFは、特定の
細胞株、例えば、本明細書中に記載される細胞株により生産された自己分泌成長
因子として同定され、この因子の生化学的なおよび生物学的な特性を特徴づける
。これらの新規なタンパク質の広範囲な種類の使用は、本明細書に記載の発明に
より包含される。
4.図面の簡単な説明
図1.フローサイトメトリー分析による表現型の特徴付け。751細胞株は、非
神経性外胚葉胚細胞(抗PAP、抗HCG)、および神経起源の胚細胞(抗サイトケラチ
ン、ビメンチン、NSE、GFAP、およびNFP)の細胞骨格構造に特異的な抗原マーカ
ーに対して指向する抗体で染色した。抗HLAクラスIをコントロールとして使用し
た。染色パターンは、枠内に示すが、この細胞株がニューロン系統またはグリア
系統の細胞に分化し得る原始神経外胚葉細胞であることを示している。
図2.[35S]-メチオニン代謝標識後の751細胞からの上清のSDS-PAGEゲルのオ
ートラジオグラフおよびAmbisスキャン。上清は、インビトロでの成長の際に、7
51-GC(=元の胚細胞後)を35S:-パルスした後、24時間で回収した。751-T2(=nu/
nuネズミ継代細胞)は、原始皮下腫瘍から単離した。751-Met nu/nuネズミ継代細
胞は、肝臓転移から単離した。Ambisスキャンは、32kDaタンパク質に対して指向
し、ネズミ腫瘍、転移腫瘍、および組織培養でのみ継代した元の胚細胞株からの
32kDaタンパク質の分泌において量的な違いを示す。
図3.SAM.1抗体を用いて751細胞から精製した37kDaのゲル精製タンパク質(SC
PF)のウエスタンブロット分析。(A)SDS-PAGEゲルのクマシーブルー染色は37kDa
タンパク質を示している。(B)パネル3Aにおけるゲルのウエスタンブロット。
図4.腫瘍成長の抗体阻害。SAM.1抗体(抗SCPF)を用いて、軟寒天(メチルセル
ロース)での腫瘍細胞コロニー形成を阻害した。棒グラフは、抗体濃度を関数と
してコロニーの阻害(絶対数)を示す。NRSは、1:20希釈の正常ウサギ血清である
。下部のパネルは、メチレンブルーで染色した実際のコロニーを示す。
図5.腫瘍成長の抗体阻害。この図は、DNA複製を測定するトリチウム化チミ
ジンの取り込みを関数としてSAM.1抗体による腫瘍成長の阻害を示す。細胞を10,
000細胞/ウエルで96ウエルマイクロプレートに播き、そして希釈を変えた抗血
清を各ウエルに添加した。各希釈は、3組で反復させた。培養48時間後、細胞を3
H-チミジン(1U/ウエル)で標識し、12時間再度培養し、その後細胞を回収し、
ラジオアイソトープの取り込みをシンチレーションカウンターを用いて測定した
。データは、751細胞の増殖、そして非常に原始的な骨髄細胞株(BO-BM.1)がこの
抗体により阻害されるが、A251神経芽腫細胞株は阻害されないことを示す。
図6.クロノジェニック活性から単離されたヒト骨髄芽細胞のフローサイトメ
トリー分析:CD34発現。
図7.長期インビトロ培養におけるCD34+細胞の複製:CD34+細胞は、751細胞
から精製したSCPFを用いて誘導し、その後、インビトロ培養した。
図8.751細胞由来SCPFに応答して生じる正常ヒト骨髄の増殖:トリチウム化
チミジン取り込みアッセイ。
図9.SAM.1(抗SCPF)抗体で染色した粘着涸渇ヒト骨髄(9A)および臍帯血(9B)
のフローサイトメトリー分析。黒線は、FITCヤギ抗ウサギコントロールを表し、
青線は、ヤギ抗マウスFITCコントロールを表す。HLAクラスI(緑線)をポジティ
ブコントロールとして用いた。
図10.二重染色(SAM.1およびCD34)するヒト臍帯血の集団の分析。
図11.免疫磁気ビーズにより単離されたCD34+細胞に結合するSAM.1の1色およ
び2色のフローサイトメトリー分析。(1a)ヤギ抗ウサギFITCコントロール、(1b)S
AM.1抗体で染色したCD34+細胞、(1c)HLAクラスIマウスモノクローナル抗体で染
色されたCD34+細胞、(2a)ヤギ抗マウスPEコントロール、(2b)抗CD34抗体で染色
したCD34+細胞、(2c)ヤギ抗マウスFITCコントロール、(3b)SAM.1(FITC)および
抗CD34モノクローナル抗体(PE)で二重染色したCD34+細胞。
図12.フローサイトメトリー分析による、SAM.1および抗CD34の単独および組
合せでの結合効率の比較。
図13.751細胞由来のSCPFを用いるCD34+細胞の長期インビトロ培養。
図14.751細胞由来のSCPFを用いる長期培養で増大したCD34+細胞のフローサイ
トメトリー分析(3色):ゲートC。
図15.751細胞由来のSCPFを用いる長期培養で増大したCD34+細胞のフローサイ
トメトリー分析(3色):ゲートB。
図16.751細胞由来のSCPFの骨髄クロノジェニック活性。(A)CSF(100u/ml GM-C
SF、100u/ml IL-3、1u/ml EPO)のみの混合物のBFU活性(B)種々の濃度でのSCPFの
BFU活性。(C)100ng/mlのSCPFと混同したCSFのBFU活性。データは、SCPFが単独で
BFU活性を誘導し得ること(B)およびまたCSF混合物と相乗作用(synergises)する
こと(C)を示す。
図17.751細胞由来のSCPFの骨髄クロノジェニック活性。(A)(100u/ml GM-CSF
、100u/ml IL-3、1u/ml EPO)のみの混合物のCFU-GM活性、(B)種々の濃度でのSCP
FのCFU-GM活性、(C)100ng/mlのSCPFと混同したCSFのCFU-GM活性。データは、SCP
Fが単独でCFU-GM活性を誘導し得ること(B)およびまたCSF混合物と相乗作用する
こと(C)を示す。
図18.751細胞由来のSCPFの骨髄クロノジェニック活性。(A)(100u/ml GM-CSF
、100u/ml IL-3、1u/ml EPO)のみの混合物のCFU-GEMM活性、(B)種々の濃度でのS
CPFのCFU-GEMM活性、(C)100ng/mlのSCPFと混同したCSFのCFU-GEMM活性。データ
は、SCPFが単独でCFU-GEMM活性を誘導し得ないこと(B)およびまたCSF混合物と相
乗作用すること(C)を示す。
図19.抗ペプチド抗血清を用いるウエスタンブロット分析。レーン1、2、およ
び3:751細胞ライゼート(RPMI+10% FBS)をそれぞれ15μl、30μl、および40μl
;レーン4、5、および6:751細胞ライゼート(RPMI+10% FBS)+ML-1細胞由来の50
%無血清上清;それぞれ15μl、30μl、および40μl;レーン7、8、および9は、
ネガティブコントロールとして免疫前血清とブロットした30μlの751NA細胞ライ
ゼートを示す。
図20.ML-1細胞由来のSCPFの生物活性。(A)pH9.0領域のIEFゲルによる細胞増
殖、(B)pH5.0領域のIEFゲルによる細胞増殖。データは、生物活性がpI9.3を有す
る物質(27kDa)に主に存在したことを示す。pH5.0領域の物質に生物活性は観察さ
れなかった。
図21.ML-1細胞由来のSCPFの2-Dゲル電気泳動。ゲルは、Mono Sカラムからの5
0mM NaCl画分由来のSCPFについて予測される分子量範囲に分離した13のスポット
を示す。
5.発明の詳細な説明
本発明は、幹細胞増殖因子(SCPF)、従来技術または組換えDNA技術によるSCPF
の生産方法、SCPFの使用方法、および細胞株に同様に由来するSCPFファミリーの
他のメンバーを同定および単離する方法に関する。
SCPFは新規な自己分泌成長因子であり、膜結合形態および分泌形態の両方でネ
ズミ751細胞株により発現される。SCPFの膜形態はまた、CD34+ヒト骨髄細胞の小
画分の細胞表面上で発現される。SCPFは、CD34+ヒトML-1細胞株により発現され
、そして細胞ライゼートから単離されると23kDaの分子量および約7.7のpIを有す
る。さらに、SCPFはCD34+骨髄幹細胞の増殖を刺激し、それは造血細胞成長の促
進を必要とする条件下、すなわち、骨髄移植における使用のための幹細胞の培養
、または造血を調節するためのインビボにおける処置において有用であり得るこ
とを示している。751細胞培養物中の抗体によるSCPFの除去は、腫瘍細胞コロニ
ー形成の減少をもたらし、SCPFが腫瘍細胞増殖の支持に関与しており、従ってSC
PF活性の阻害が、特定の腫瘍の治療に有用であり得ることを示唆する。これは、
抗SCPF抗体および751細胞の同時注入により細胞株の腫瘍形成の減少が生じるイ
ンビボ実験によりさらに支持される。さらに、膜形態のSCPFはまた、抗SCPF抗体
の使用による多能性骨髄幹細胞の小集団の同定および単離のための細胞表面マー
カーとして有用であり得る。
SCPF、またはそのフラグメントおよび誘導体は、造血の調節および特定の胚細
胞の処置において広域な潜在的適用を有し得る。
本発明のもう一つの実施態様では、胚細胞腫瘍株は培養で生じ得る。このよう
な腫瘍細胞は、特に造血系の細胞、一般に種々の組織型の胚/幹細胞の成長増大
活性を有するサイトカインの供給源であり得る。
本発明は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明されるが、単に記載を目
的とするだけであり、限定されない。議論を明解にするために、本発明は、特定
のSCPFおよび細胞株によって記載される。しかし、この原理は、他の細胞株由来
の他の自己分泌因子に同様に適用され得る。
5.1.SCPFを生産する細胞株
中枢神経系の胚細胞腫瘍は、胚発生で他の組織部位にそれらが移動する間、神
経クレストに留まった原始細胞の産物であると考えられている。このような腫瘍
細胞が、神経系外の組織に作用する種々のサイトカインを生産し得る(Bhandar,
1988,Med.Hypoth,27:291)。従って、胚細胞腫瘍から生じる細胞株は、造血系
の細胞を含む種々の細胞タイプの増殖に影響する初期作用性成長因子の供給源で
あり得る。
ネズミ751細胞株は、手術により除去した胚細胞腫瘍から細胞株を樹立する過
程で発見された。胚細胞腫瘍は、腹膜腔(ventriculoperitoneal)シャントに沿っ
て複数の皮下塊を有すると診断された患者から得られた。培養751細胞は、非粘
着性であり、そしてインビトロで7〜8時間の極度に短い倍加時間を示す。この
迅速な成長速度(kinetic)はまた、BNXマウスへの培養細胞の移入の際、インビボ
においても確認された。培養細胞の移入は、ネズミモデルでの外因性腫瘍の大部
分に関する2〜3カ月とは対照的に、7日で103細胞の接種物から目視可能な皮
下腫瘍を発達させた。
特異的細胞決定因子を指向する抗体を用いるフローサイトメトリー分析は、75
1細胞が、適切な刺激の際に、ニューロン細胞系統またはグリア細胞系統へとさ
らに分化し得る原始脳神経外胚葉細胞株を表すことを示した。従って、これは、
成長および分化能力の両方を有する原始多能性細胞株である。さらに、オンコジ
ーンc-mycおよびc-fmsのmRNAは、オンコジーン配列のパネルに特異的な分子プロ
ーブを用いて検出された。c-fmsは、マクロファージコロニー刺激因子に対する
レセプターであることが示されたので、751細胞は同じ様式で骨髄の前駆細胞と
関係があり得る。
ML-1細胞株は、以下に記載するように、CD34+ヒト骨髄細胞の異種集団を751細
胞から得た部分的に精製したSCPF画分で処理することにより樹立させた。細胞を
、以下に記載するように、751 SCPF調製物の存在下で継代培養し、そして外因性
SCPFの非存在下で継続成長し得るML-1細胞株を単離した。この細胞株は、CD34+
、CD38-、HLADR+であるが、CD3-、CDR-、およびCD8-でないことが示される。
5.2.幹細胞増殖因子
本明細書の実施例に記載されるとおり751細胞株により生産される幹細胞増殖
因子は、2つの形態、約32kDaの分子量を有する分泌形態および37kDaの分子量の
膜結合形態で存在する。約7.0〜8.0範囲のP.Iを有する複数のSCPFイソ型が同定
される。
32kDa SCPFを用いて、ウサギにおいてポリクローナル抗血清を生成させた。SA
M.1と名付けられた特異的ポリクローナル抗体を用いて、751細胞による主要分泌
タンパク質のさらなる生化学的特徴付けを容易にした。抗体は、ウエスタン免疫
ブロッティング実験において751全細胞ライゼートで37kDaのタンパク質種と反応
したので、この抗体がSCPFタンパク質に特異的であることが最初に示された。こ
の所見は、目的のタンパク質が32kDaの分泌形態および固定(anchoring)のための
トランスメンブラン成分を含み得る37kDa分子量の膜形態で存在し得ることを示
す。従って、同じタンパク質が、可溶性分子および相互作用する細胞間の細胞表
面タンパク質の両方として機能し得る。
このタンパク質(以降、幹細胞増殖因子、SCPFと称する)の生物学的活性を示す
ために、コロニー阻害アッセイを行い、このアッセイでは751細胞コロニー形成
が種々の濃度のウサギ抗血清の存在下で評価された。この結果は、この抗体が腫
瘍細胞コロニー形成を阻害することを明確に示し、分泌されたタンパク質が751
細胞の成長を促進する自己分泌成長因子であることを示した。さらに、抗体の増
殖阻害効果は、神経芽腫細胞株の成長が阻害されない胚または幹細胞株に特異的
である。
SCPFは、ネズミ751細胞株から精製され、そしてヒト骨髄細胞の増殖を刺激す
るその能力についてテストした。SCPFはクロノジェニックアッセイで芽細胞の成
長を誘導した。これは、続いてフローサイトメトリー分析によりCD34マーカーお
よびHLAクラスI抗原を発現することが示された。同じ細胞が長期Gordon培養にお
いてSCPFの非存在下て成長し、そして組換えGM-CSFの存在下で再プレーティング
(replating)効率について試験する場合、細胞は応答して、顆粒球、単球、およ
び混合表現型のコロニーを生じさせた。従って、SCPFは、続くコロニー刺激因子
での刺激に応答して、分化能力を保持するCD34+骨髄細胞集団の複製を誘導し得
る。
抗SCPF抗体がヒト骨髄細胞と反応した場合、小さいが検出可能な細胞画分がポ
ジティブに染色されることが示された。同じ細胞はまた、造血幹細胞により発現
されたマーカーであると報告されたCD34タンパク質を発現する。しかし、SCPF産
生751胚細胞腫瘍がCD34発現についてネガティブであること、および抗SCPFおよ
び抗CD34抗体が精製CD34+細胞への結合において互いに拮抗的に阻害しないとい
う所見は、SAM.1抗体はCD34マーカーを指向しないが、SCPFの膜形態を指向する
ことを示す。SAM.1抗体はネズミ、ウシ、およびヒツジ骨髄から得られる細胞と
反応しなかったので、SAM.1抗体は、異なる非ヒト動物種の任意のタンパク質と
交差反応しない。
SCPFの生物学的特性をさらに特徴づけるために、CD34+細胞の長期培養を、751
細胞株から精製された外因性SCPFの存在下で開始した。組換えIL-3またはIL-6に
応答して迅速に増大した培養物とは異なって、SCPFを与えた培養物は、次いでSC
PFに応答して増殖し得るCD34+細胞の残余集団を初期のうちに細胞死に至らせた
。SCPF処理細胞は、IL-3またはIL-6で成長した培養物と対比して、形態学におい
てより均質である。しかし、SCPF処理した培養物は、細胞表面マーカー発現に基
づいて2つの細胞集団を生じた。両方の集団がCD34を発現するが、1つの集団は
CD38およびHLA-DR発現についてネガティブであり、そしてもう一方は低レベルで
両方のマーカーを発現した。従って、まとめると、細胞は、他の分化シグナルに
応答するそれらの能力を保持するが、SCPFは分化を起こさずにCD34+骨髄細胞の
増殖を誘導する自己分泌成長因子である。この因子は培養細胞の悪性トランスフ
ォーメーションを誘導しない。なぜならば、SCPFを除去すると、CD34+細胞の生
存力が急速に低下したからである。
さらに、SCPFは、他のコロニー刺激因子と組合せて使用する場合、骨髄細胞に
おける刺激効果を増加し得る。しかし、SCPF生物学的活性は、GM-CSF、G-CSF、M
-CSF、およびIL-3を含む公知の造血成長因子と同様ではない。さらに、ヒトGM-C
SF、G-CSF、M-CSF、およびIL-3に特異的な抗体は、SCPFの生物学的活性を中和し
ない。さらに、抗SCPF抗体は、最近同定された幹細胞因子(SCF)の機能を阻害し
ない。このSCFは、c-kitオンコジーンによりコードされたレセプターに対するリ
ガンドであることが示されている(Yokotaら、1984,Proc.Natl.Acad.Sci.U.
S.A.81:1070; Williamsら、1990,Cell 63:167; Zseboら、1990,Cell 63:195)
。
ネズミ751細胞により生成したSCPFを、以下の実施例に記載のとおり、ML-1細
胞株の単離を促進するために用いた。ML-1細胞株は、SCPF活性に対する標的細胞
およびヒトSCPFの供給源の両方である。ML-1細胞ライゼートから得られるSCPFは
、以下に記載した尿素の存在下での2次元ゲル電気泳動により決定されるように
23kDaの分子量および約7.7のpIを示す。ML-1により生成されたSCPFは、SAM.1抗
体(751細胞由来のSCPFに対して生じた)と反応し、以下に記載のとおりヒト標的
細胞でアッセイした場合の生物学的活性を示す。
5.3.SCPFコード化配列の単離
cDNAの調製のためのメッセンジャーRNA(mRNA)は、SCPFを生成する細胞供給源
から得られ得るが、SCPFについてのゲノム配列は任意の細胞供給源から得られ得
る。例えば、ML-1、751-NA、751-LIV、または751-LN細胞は、SCPFについてのコ
ード化配列の供給源としておよび/もしくはcDNAまたはゲノムライブラリーの調
製のために用いられ得る。SCPFコード化配列を含む遺伝学的に設計された微生物
または細胞株は、この目的のためにDNAの便利な供給源として使用され得る。
cDNAまたはゲノムライブラリーのいずれかが、当該分野で周知の技術を用いて
生成されるDNAフラグメントから調製され得る。SCPFをコードするフラグメント
は、精製タンパク質から得られるアミノ酸配列情報に基づくSCPF配列の一部分と
相同なヌクレオチドプローブを用いてこのようなライブラリーをスクリーニング
することにより同定され得る。あるいは、抗体プローブは、λgt11のような発現
クローニング方法により生成されるライブラリーをスクリーニングするために使
用され得る(YoungおよびDavis,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:1194-1198)
。コード化配列の部分は、クローニングおよび発現に用いられ得るが、完全長の
ク
ローン、すなわち、SCPFの全コード化領域を含むクローンが発現のために好まし
いとされ得る。これらの目的に対し、DNAの単離、適切な制限フラグメントの生
成、クローンおよびライブラリーの構築、および組換え体のスクリーニングのた
めの当業者に周知の技術が用いられ得る。オリゴヌクレオチド配列を用いて、ポ
リメラーゼ連鎖反応により、独特な遺伝子配列のコピー数を増加させ得る。この
アプローチは、縮重オリゴヌクレオチドを用いて得られるより特異的なプローブ
を提供し得る。例えば、Maniatisら、1989,Molecular Cloning,A Laboratory
Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.に記載の技術を参照。
SCPFコード化配列を同定およびクローン化するために選択される方法にかかわ
らず、発現クローニング方法は、スクリーニングする労力を十分に減少させるた
めに用いられ得る。最近、抗体遺伝子をクローニングおよび発現するための1工
程手順が報告された(McCaffertyら、1990,Nature 348:552-554; WinterおよびM
ilstein,1991,Nature 349:293-299)。この技術に基づき、SCPF遺伝子は、同様
に、λまたはfdのようなバクテリオファージのコートタンパク質遺伝子に近接す
る部位でベクターに直接クローン化され得る。SCPF遺伝子を有するファージは、
その表面で融合タンパク質を発現するので、SCPF特異的抗体を含むカラムが、結
合活性でファージ粒子を選択および単離するために使用され得る。Lambda-Zap-b
luescript(Stratagene,La Jolla,CA)を用いる市販の発現クローニング系はま
た、SCPF cDNAライブラリーのクローニングおよび抗体スクリーニングのために
使用され得る。過渡的な遺伝子発現系は、正確なSCPF遺伝子を同定するために用
いられ得る。例えば、COS細胞系(例えば、GerardおよびGluzman,1986,Mol.Ce
ll.Biol.6(12)4570-4577)が使用され得る。
ヌクレオチドコード化配列の縮重のために、任意のSCPF遺伝子産物のアミノ酸
配列をコードする他のDNA配列は、SCPFのクローニングおよび発現のために本発
明の実施において用いられ得る。例えば、SCPEアミノ酸配列をコードするヌクレ
オチド配列、もしくはSCPF遺伝子またはそのcDNAに選択的にハイブリダイズする
ヌクレオチド配列が、SCPFのクローニングおよび発現のために用いられ得る。こ
のような配列の改変は、同じまたは機能的に等価な遺伝子産物をコードする配列
を生じる異なるヌクレオチド残基の欠失、付加、または置換を含む。遺伝子産物
は、配列内にアミノ酸残基の欠失、付加、または置換を含み得、サイレント変化
を生じ、生物活性産物を生産する。このようなアミノ酸置換は、関連する残基の
極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質の類似性
に基づき行われ得る。例えば、負に荷電したアミノ酸は、アスパラギン酸および
グルタミン酸を含む;正に荷電したアミノ酸はリジンおよびアルギニンを含む;
類似の親水性値を有する荷電していない極性頭基を有するアミノ酸は以下を含む
:ロイシン、イソロイシン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グル
タミン;セリン、トレオニン;フェニルアラニン、チロシン。
さらに、コード化SCPFタンパク質の生物学的活性を実質的に変化しない構造的
な改変を含む他のDNA配列もまた、本発明の実施において用いられ得る。このよ
うな改変は、プロセッシング部位の付加および/またはグリコシル化部位の除去
を作製するような、SCPFにおけるアミノ酸残基の付加、欠失、または置換を含む
が、これらに限定されない。例えば、特定のタンパク質のN結合グリコシル化部
位の除去により、酵母発現系で特に有用である発現産物のグリコシル化が減少す
る。
5.4.組換えDNA技術によるSCPFの発現
生物学的に活性なSCPFを発現させるために、SCPFをコードしているヌクレオチ
ド配列、または機能的に等価のヌクレオチド配列が、適切な発現ベクター、すな
わち、挿入コード化配列の転写および翻訳の必須要素を含むベクターに挿入され
る。SCPFコード化配列の改変型が、発現産物の安定性、生産、精製、または収量
を増大させるように設計され得た。例えば、SCPFおよび異種タンパク質を含む融
合タンパク質または開裂可能な融合タンパク質の発現が設計され得る。このよう
な融合タンパク質は、アフィニティークロマトグラフィーにより容易に単離され
得る;例えば、異種タンパク質に特異的なカラム上での固定による。開裂部位が
、SCPF部分と異種タンパク質との間に作られる場合、SCPFタンパク質は、開裂部
位を分断する適切な酵素または薬剤での処理によりクロマトグラフィーカラムか
ら放出され得る(例えば、Boothら、1988,Immunol.Lett.19:65-70;およびGard
ellaら、1990,J.Biol.Chem.265:15854-15859を参照)。
当業者に周知である方法が、SCPFコード化配列および適切な転写/翻訳制御シ
グナルを含む発現ベクターを構築するために使用され得る。これらの方法は、イ
ンビトロでの組換えDNA技術、合成技術、およびインビボでの組換え/遺伝子技
術を含む。例えば、Maniatisら、1989 Molecular Cloning A Laboratory Manual
,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.に記載の技術を参照。
種々の宿主発現ベクター系が、SCPFコード化配列を発現するために用いられ得
る。これらは、以下のような微生物を含むがこれらに限定されない; SCPFコー
ド化配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミド
DNA発現ベクターを用いて形質転換した細菌;SCPFコード化配列を含む組換え酵母
発現ベクターを用いて形質転換した酵母;組換えウイルス発現ベクター(例えば、
カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染さ
せたまたはSCPFコード化配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Ti
プラスミド)を用いて形質転換した植物細胞系; SCPFコード化配列を含む組換え
ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;も
しくはSCPFコード化配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、レトロウ
イルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス)を感染させた動物細胞系、また
は安定な発現のために設計された形質転換動物細胞系。SCPFは、炭水化物を含む
ことが確認されないので、細菌発現系ならびに翻訳時および翻訳後の改変を提供
する細菌発現系の両方が用いられ得る;例えば、哺乳動物、昆虫、酵母、または
植物の発現系。
用いる宿主/ベクター系に依存して、多数の適切な転写および翻訳要素は、構
成性プロモーターおよび誘導性プロモーター、転写エンハンサー要素、転写ター
ミネーターなどを含み、発現ベクターで用いられ得る(例えば、Bitterら、1987,
Methods in Enzymology 153:516-544参照)。例えば、細菌系でクローニングする
場合、誘導性プロモーター、例えば、バクテリオファージγのpL、pIac、ptrp、
ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などが用いられ得る。哺乳動物細胞系
にクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、
メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例
えば、レトロウイルス長末端反復;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニア
ウイルス7.5Kプロモーター)が用いられ得る。組換えDNAまたは合成技術によ
り生成されるプロモーターもまた、挿入SCPFコード化配列の転写を提供するため
に用いられ得る。
細菌系において、多数の発現ベクターが、発現されるSCPFの意図される使用に
依存して有利に選択され得る。例えば、大量のSCPFを生成する場合、容易に精製
される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指向するベクターが所望され得る
。SCPFの回収を助ける開裂部位を含むように設計されるベクターが好ましい。こ
のようなベクターは、E. coli発現ベクターpUR278(Rutherら、1983,EMBO J.2
:1791)、E. coli発現ベクターpUR278では、SCPFコード化配列がlac Z コード化
領域とインフレームでベクターに連結され得、そのため、ハイブリッドSCPF-lac
Zタンパク質が生成される; pINベクター(InouyeおよびInouye,1985,Nucleic
acids Res 13:3101-3109; Van HeekeおよびSchuster,1989,J.Biol.Chem.26
4:5503-5509);などを含むがこれに限定されない。。
酵母では、構成性または誘導性プロモーターを含む多数のベクターが用いられ
得る。概説については以下を参照のこと、Current Protocols in Molecular Bio
logy,Vol.2,1988,Ausubelら編、Greene Publish.Assoc.& Wiley Intersci
ence,Ch.13; Grantら、1987,Expression and Secretion Vectors for Yeast
,Methods in Enzymology,WuおよびGrossman編、31987,Acad.Press,N.Y.,V
ol.153,pp.516-544; Glover,1986,DNA Cloning,Vol.II,IRL Press,Wash
.,D.C.,Ch.3; およびBitter,1987,Heterologous Gene Expression in Yeas
t,Methods in Enzymology,BergerおよびKimmel編、Acad.Press,N.Y.,Vol.
152,pp.673-684; およびThe Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces
,1982,Strathernら編、Cold Spring Harbor Press,Vol.IおよびII。構成性
酵母プロモーター(例えばADHまたはLEU2)、もしくは誘導性プロモーター(例えば
GAL)が、用いられ得る(Cloning in Yeast,Ch.3,R.Rothstein,DNA Cloning
Vol.II,A Practical Approach,DM Glover編、1986,IRL Press,Wash.,D.C.)
。あるいは、ベクターは酵母染色体に外来性DNA配列の組み込みを促進するため
に用いられ得る。
植物発現ベクターを用いる場合、SCPFコード化配列の発現は、任意の多数のプ
ロモーターにより操作され得る。例えば、ウイルスプロモーター、例えば、CaMV
の35S RNAおよび19S RNAプロモーター(Brissonら、1984,Nature 310:511-514)
、またはTMVのコートタンパク質プロモーター(Takamatsuら、1987,EMBO J.6:3
07-311)が用いられ得る;あるいは、植物プロモーター、例えば、RUBISCOの小サ
ブユニット(Coruzziら、1984,EMBO J.3:1671-1680; Broglieら、1984,Scienc
e 224:838-843);または熱ショックプロモーター、例えば、ダイズhsp17.5-Eまた
はhsp17.3-B(Gurleyら、1986,Mol.Cell.Biol.6:559-565)が用いられ得る。
これらの構築物は、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接
DNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを用い
て、植物細胞に導入され得る。このような技術の概説については以下を参照のこ
と、例えば、WeissbachおよびWeissbach,1988,Methods for Plant Molecular
Biology,Academic Press,NY,Section VIII,pp.421-463;および Griersonお
よびCorey,1988,Plant Molecular Biology,第2版,Blackie,London,Ch.7
-9。
SCPFを発現するために用いられ得る別の発現系は昆虫系である。1つのこのよ
うな系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝
子を発現するベクターとして用いられる。このウイルスは、Spodoptera frugipe rda
細胞で成長する。SCPFコード化配列は、ウイルスの非必須領域(例えば、ポリ
ヘドリン遺伝子)にクローン化され得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、ポリ
ヘドリンプロモーター)の制御下に置かれ得る。SCPFコード化配列の挿入の成功
により、ポリヘドリン遺伝子の不活化および非閉塞性組換えウイルス(すなわち
、ポリヘドリン遺伝子によりコードされたタンパク質性コートを欠くウイルス)
の生産を生じ得る。次いで、これらの組換えウイルスを用いて、挿入遺伝子が発
現されるSpodoptera frugiperda細胞に感染させる。(例えば、Smithら、1983,J
.Viol.46:584; Smith,米国特許第4,215,051号参照)。
真核生物系、および好ましくは哺乳動物発現系は、発現した哺乳動物タンパク
質の適切な翻訳後改変を生じさせ得る。一次転写物の適切なプロセッシング、グ
リコシル化、リン酸化、および有利には遺伝子産物の分泌の細胞機構を有する真
核生物細胞は、SCPFの発現のための宿主細胞として用いられ得る。宿主細胞株は
好ましいとされ得る。このような宿主細胞株は、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、M
DCK、-293、およびWI38を含むがこれらに限定されない。
発現を指向するために組換えウイルスまたはウイルス要素を用いる哺乳動物細
胞系が設計され得る。例えば、アデノウイルス発現ベクターを用いる場合、SCPF
コード化配列はアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモータ
ーおよび三部分リーダー配列に連結され得る。次いで、このキメラ遺伝子は、ア
デノウイルスゲノムにインビトロまたはインビボでの組換えにより挿入され得る
。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)における挿入により、
生存し得そして感染宿主でSCPFタンパク質を発現し得る組換えウイルスを生じる
(例えば、LoganおよびShenk,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81: 3655-3659
参照)。あるいは、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーターが用いられ得る。(例え
ば、Mackettら、1982,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79: 7415-7419; Mackettら
、1984,J.Virol.49: 857-864; Panicaliら、1982,Proc.Natl.Acad.Sci.
USA 79: 4927-4931参照)。染色体外要素として複製する能力を有するウシパピロ
ーマウイルスに基づくベクターが特に興味深い(Sarverら、1981,Mol.Cell.Bi
ol.1: 486)。このDNAがマウス細胞に侵入した後しばらくして、プラスミドは約
100〜200コピー/細胞まで複製する。挿入cDNAの転写は、宿主染色体へのプラス
ミドの組み込みを必要としない。従って、高レベルの発現を生じる。これらのベ
クターは、選択マーカー、例えば、neo遺伝子をプラスミドに含むことにより、
安定な発現のために用いられ得る。あるいは、レトロウイルスゲノムは、宿主細
胞にSCPF遺伝子の発現を導入および指向し得るベクターとして用いるために改変
され得る(ConeおよびMulligan,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6349-63
53)。高レベルの発現はまた、メタロチオニンIIAプロモーターおよび熱ショック
プロモーターを含むがこれらに限定されない誘導性プロモーターを用いて達成さ
れ得る。
組換えタンパク質の長期の高収量生産のために、安定な発現が好ましい。ウイ
ルス複製起点を含む発現ベクターを用いるよりむしろ、宿主細胞は適切な発現制
御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリ
アデニル化部位など)および選択マーカーにより制御されるSCPF cDNAを用いて形
質転換され得る。組換えプラスミドの選択マーカーは、選択に対する耐性を与え
、そして細胞に対し、細胞の染色体にプラスミドを安定に組み込ませ成長させて
、
順番にクローン化され得そして細胞株に広がり得る病巣を形成させる。例えば、
外来DNA導入後、作製された細胞は、栄養豊富な培地で1〜2日間培養され得、次
いで選択培地に切り換えられる。以下を含むがこれらに限定されない多数の選択
系が用いられ得る:単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977,C
ell 11: 223)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(S
zybalskaおよびSzybalski,1962,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 48: 2026)、お
よびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980,Cell 22: 817)
遺伝子は、それぞれtk、hgprt-、またはaprt-細胞で使用され得る。また、代謝
拮抗物質耐性は、以下の遺伝子に関する選択性の基準として用いられ得る: dhfr
遺伝子はメトトレキセートに対する耐性を与える(Wiglerら、1980,Natl.Acad
.Sci.USA 77: 3567; O'Hareら、1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78: 1527
); gpt遺伝子はマイコフェノール酸に対する耐性を与える(MulliganおよびBerg
,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78: 2072; neo遺伝子はアミノグリコシド
G-418に対する耐性を与える(Colberre-Garapinら、1981,J.Mol.Biol.150:
1); およびhygro遺伝子はヒグロマイシンに対する耐性を与える(Santerreら、19
84,Gene 30: 147)。最近さらに別の選択遺伝子が記載された:すなわちtrpBは
、細胞にトリプトファンの代わりにインドールを利用させる; hisDは、細胞にヒ
スチジンの代わりにヒスチノールを利用させる(HartmanおよびMulligan,1988,
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85: 8047); およびODC(オルニチンデカルボキシラ
ーゼ)は、オルニチンデカルボキシラーゼインヒビター、2-(ジフルオロメチル)-
DL-オルニチン、DFMOに対する耐性を与える(McConlogue L.,1987,Current Com
munications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory編)。
5.5.SCPFの生成
本発明は、膜結合形態および分泌形態の両方のSCPFに関する。SCPFは751およ
びML1細胞株により天然に分泌される。SCPFは、継続的な細胞株の馴化培地から
単離され得、そして種々のタンパク質精製手順を用いて均質になるまで精製され
得る。あるいは、SCPFは、組換えDNA技術により、または化学合成方法により生
成され得る。
5.5.1.SCPFの精製
SCPFは、SCPFを分泌する細胞、すなわち、細胞株または遺伝的に設計した組換
え宿主細胞発現系のいずれかの培養上清から精製され得る。特定の実施態様では
、以下の実施例のように、751細胞株の馴化培地が回収され、SCPFはSDS調製ゲル
電気泳動により精製される。あるいは、751またはML-1細胞ライゼートが、SCPF
についての供給源として用いられ得る。SCPFはまた、抗SCPF抗体を用いて免疫ア
フィニティー法により精製され得る。さらに、SCPFは等電点電気泳動法を用いて
精製され得る。
細胞の粗培養培地からSCPFを精製する方法は、クローン化した発現産物の精製
のために適合させ得る。さらに、SCPFコード化配列が開裂可能な融合タンパク質
をコードするように設計される場合、SCPFの精製はアフィニティー精製技術を用
いて容易に達成され得る。例えば、プロテアーゼ因子Xa開裂認識配列は、SCPFの
カルボキシル末端とマルトース結合タンパク質との間に設計され得る。得られた
融合タンパク質は、マルトース結合タンパク質が結合するアミロースを結合させ
たカラムを用いて容易に精製され得る。次いで、SCPF融合タンパク質は、マルト
ース含有緩衝液を用いてカラムから溶出され、続いて因子Xaで処理される。開裂
されたSCPFは、マルトース結合タンパク質を除去するために第二のアミロースカ
ラム(New England Biolabs,Beverly,MA)を通過させることによりさらに精製さ
れる。本発明のこの局面を用いて、任意の開裂部位または酵素開裂基質は、SCPF
配列と精製のために用いられ得た結合パートナーを有する第二ペプチドまたはタ
ンパク質との間に設計され得る。例えば、免疫アフィニティーカラムを調製し得
るための任意の抗原。
本発明のSCPFを単離するために用いられ得る手順は、タンパク質物質の分離の
ために一般に用いられる手順を含み、例えば、タンパク質用の一般的な沈澱剤を
用いるSCPF含有サンプルの処理、続いて、分画技術(例えばイオン交換クロマト
グラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、限外濾過、およびそれらの種
々の組合せ)を含む。SCPFは、例えば、米国特許第4,885,236号および第4,882,26
8号に記載の方法により細胞懸濁液から精製され得る。本発明のポリペプチドの
精製の他の方法は、当業者に公知であり得る(例えば、本明細書に参考として援
用されるCurrent Protocols in Immunology,Coliganら編、1992参照)。
SCPF含有画分は、適切な条件下でSDS-PAGEに供せられ得、そしてSCPF活性を含
むゲルスライスまたはSCPFの分子量に相当するゲルスライスが回収される。SDS-
PAGEは、Laemmliら、(Nature,227:680,1970)の方法に従って行われる。適切な
範囲内の条件の変化は、精製手順内に含まれると理解されている。
SDS-PAGEからのSCPF含有画分は単離され得、そしてさらにO'Farrell(J.Biol
.Chem.250:4007,1975)の方法により2次元ゲル電気泳動に供され得る。第一
次元等電点ゲルは、約3.8〜約8.0の間のpI値を有するタンパク質を分析するため
に、広範囲な両性電解質を用いる標準方法により実行される。pH 2〜11の両性電
解質溶液は、目的のタンパク質のpIに依存して、種々の量で添加される。狭いpH
での広い増大した分析が所望される場合、狭い範囲の両性電解質は2:1の割合で
広範囲な両性電解質に添加され得る。好ましくは、SCPFおよびその対応するイソ
型は、約5〜約9のpI、さらに特には約7〜約8のpIを有するタンパク質を分離する
両性電解質を用いて分析される。第二次元ゲルは、10〜20%アクリルアミドゲル
として流すが、しかし、任意の従来のスラブゲルが用いられ得る。
2次元ゲル電気泳動により分解したタンパク質は、クマシーブルー染色および
銀染色のような標準方法により検出され得る。あるいは、ゲル中のタンパク質は
、ブロットトランスファーメンブランに電気泳動的に移し得、Indiaインクまた
はコロイド状ゴールドを用いる染色、またはウエスタンブロッティングにより検
出され得る。好ましくは、本発明のSCPFは、本発明の抗体を用いてウエスタンブ
ロッティングにより検出される。
SCPF含有画分はまた、逆相HPLCに供され得、そして例えば、アセトニトリルを
用いて溶出され得る。得られたSCPFは、N末端アミノ酸配列を決定するに十分に
純粋である。この溶液は、真空下で乾燥され、少量のアセトニトリル95%+TFA(
0.08%)に再度溶解される。次いで、濃縮したサンプルは、フェニルチオヒダン
トイン(PTH)分析器に連結するシークエンサーに導入される。
ゲル精製したサイトカイン(例えば、本発明のSCPF)の生物学的活性は、指標細
胞株の増殖の刺激(および/または阻害)についてのバイオアッセイでテストされ
得る。例えば、SCPF活性は、ML1、KG-1a、または部分精製CD34+骨髄細胞でアッ
セイされ得る。
5.5.2 化学的合成方法
SCPF分子はまた、そのアミノ酸配列を基にして、固相化学的合成技術により全
体的にまたは部分的に生成され得る。(Creighton,1983,Proteins Structures
and Molecular Principles,W.H.Freeman and Co.,N.Y.pp.50-60;Stewart
およびYoung,1984,Peptide Synthesis,第2版,Pierce Chemical co.を参照)
。このアプローチは、SCPFの1以上の生物学的に活性な領域に対応するそのセグ
メントを生成するのに特に有用である。
5.6. 抗SCPF抗体産生
本発明の範囲の中には、SCPFまたはその関連タンパク質を認識するポリクロー
ナル抗体およびモノクローナル抗体の産生がある。
当該分野で公知の種々の手法が、SCPFのエピトープに対するポリクローナル抗
体の産生に用いられ得る。抗体の産生のために、種々の宿主動物がSCPFタンパク
質またはSCPFペプチドの注射により免疫化され得、それらにはウサギ、ハムスタ
ー、マウス、ラットなどが含まれるが、これらに限定されない。宿主の種類に応
じて種々のアジュバントを用い、免疫応答を高め得、それらには、フロイント(
完全および不完全)、鉱物性(mineral)ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、表
面活性物質(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール(pluronic poly
ol)、ポリアニオン、ペプチド、油型乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン
、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(
bacille Calmette-Guerin))およびCorynebacterium parvum)が挙げられるがこ
れらに限定されない。
本発明の特定の実施態様において、SCPF特異的抗体の生成のため、ゲル精製さ
れたSCPFを用いてウサギを免疫化した。そのような抗血清の1つ(SAM.1)には、S
CPFと特異的に反応し、それによる自己分泌様式での751細胞増殖の刺激の際にそ
の活性が阻害される抗体が含まれることが示された。セクション7.2.2(後出)
を参照されたい。
SCPFのエピトープに対するモノクローナル抗体は、培養物中での継続的な細胞
株による抗体分子の産生を提供する任意の技術を用いることにより調製され得る
。これらにはKohlerおよびMilstein(1975,Nature 256,495-497)により初めて記
載
されたハイブリドーマ技術、およびより最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技術(K
osborら、1983,Immunology Today 4:72;Coteら、1983,Proc.Natl.Acad.Sc
i.80:2026-2030)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985,Monoclonal An
tibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96)が挙げられるが
、これらに限定されない。適当な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子とと
もにヒト抗体分子からの遺伝子をスプライシングすることによる「キメラ抗体」
の産生に開発された技術を用い得る(例えば、Morrisonら、1984,Proc.Natl.
Acad.Sci.,81:6851-6855;Neubergerら、1984,Nature,312:604-608;Takeda
ら、1985,Nature 314:452-454)。さらに、一本鎖抗体の産生について記載され
た技術(米国特許第4,946,778号)が一本鎖抗体を産生するために適応される。
分子の結合部位を含む抗体フラグメントは、既知の方法により生成され得る。
例えばそのようなフラグメントにはF(ab')2フラグメント(抗体分子のペプシン
消化により生成され得る)およびFabフラグメント(F(ab')2フラグメントのジス
ルフィド架橋を還元することにより生成され得る)が挙げられるが、これらに限
定されない。
SCPFに対する抗体は、成熟形態、前駆体形態、およびサブ成分形態で、膜に結
合したSCPFまたは分泌されたSCPFの、質的な検出および量的な検出において、SC
PFタンパク質のアフィニティー精製において、SCPF生合成、代謝、および機能の
解明において、ならびに免疫原性エピトープをコードする遺伝子配列のSCPF発現
ライブラリーのスクリーニングにおいて、その使用が見出され得る。SCPFに対す
る抗体はまた、胚細胞または他の腫瘍の診断および治療剤としても有用であり得
る。
5.7. SCPFの使用
SCPFの機能的活性および標的細胞特異性は、インビトロおよびインビボでの幅
広い使用を提供する。成長刺激活性を示すSCPF、またはそのフラグメントおよび
誘導体を含む任意の化合物を、単独で、あるいは他の生物学的に活性な成長因子
、インヒビター、もしくは免疫調整剤とともに、本発明の実施および方法におい
て用い得る。SCPF、SCPF関連分子、およびその組成物は、造血幹細胞を含むがそ
れに限定されない胚/幹細胞の増殖を増大させることにおいて特に有用であり得
る。
造血幹細胞に外因性遺伝子を安定に組み込むことを達成しようとする最近の試
みにおける主な障害は、既知のサイトカインには、そのような細胞を分化するこ
となく増殖する刺激能力がないということである。SCPFは、精製CD34+細胞を細
胞周期に入るように誘導して、長期培養において増殖させ得ることが示された(
セクション7.2.5.、後出)。鎌状細胞貧血を含むがそれに限定されない造血疾患
の遺伝子治療における使用のために、SCPFを用いて幹細胞の遺伝子操作を容易に
し得る。
SCPFが自己分泌成長因子であり、また造血系統の細胞上で働くという発見は、
SCPFが異なる組織起源の原始胚/幹細胞に特異的なサイトカインであり得るとい
うことを意味する。幹細胞集団は脳、肝臓、および皮膚を含む種々の器官および
組織に存在するということが示された。さらに、脱毛もまた、毛包を取り巻く幹
細胞の増殖の欠陥に関係する。従って、SCPFは、脱毛を含むがそれに限定されな
い、幹細胞集団(その起源組織に関係なく)の成長を必要とする状態を処置する
ために有用な物質であり得る。
さらに、SCPFレセプターを発現する細胞が、標識したSCPFまたはSCPF関連分子
をレセプター結合アッセイにおいて用いることにより、あるいはSCPFレセプター
自体を指向する抗体を用いることにより検出され得る。細胞は、SCPFに対するレ
セプターの存在および密度によって区別され得、それによりそのような細胞のSC
PFの生物学的活性に対する応答性を予測し得る。
5.8. 胚細胞由来のサイトカインを同定する方法
本発明は、種々の胚/幹細胞に関する生物学的活性を有する成長因子もしくは
サイトカインの同定および単離の新規なアプローチを示す。任意の胚細胞腫瘍は
、手術用材料から入手し得、本発明の実施のためのインビトロ培養用に調製され
得る。この細胞株は、特定のマーカーの発現もしくは特定の成長因子に対する応
答を基にして選択され得、そして粘着性および非粘着性の両方の細胞集団が維持
され得る。確立された細胞株の組織系統の特徴付けは、白血球抗原および中間フ
ィラメントを含む種々の細胞表面要素および内部の細胞骨格要素(internal cyto
skeltal element)に対する抗体を用いるフローサイトメトリー分析により決定さ
れ得る。さらに、オンコジーン(c-myc、c-fms、c-ras、c-myb、c-fos、c-src、
c-
erb、c-neu、c-ros、およびc-sisを含む)は、分子プローブの使用により試験さ
れ得る。
確立された細胞株により産生される新規なサイトカインを同定するために、細
胞は代謝的に標識されそして分泌されたタンパク質はSDS-PAGEにより分析され得
る。あるいは、培養上清は、生物学的アッセイにおいて特定のサイトカインに応
答することが公知であるインジケーターとして用いられる種々の細胞タイプに作
用させる(apply)ことにより直接分析され得る。主要なタンパク質をSDS-PAGEに
よりおよび/または生物学的活性により同定したら、そのタンパク質は、SDS-分
離用(preparative)ゲル、イオン交換クロマトグラフィー、および等電点ゲルに
より精製され得る(セクション5.5.1、後出参照)。タンパク質の純度SDS-PAGE
により確認され、タンパク質アッセイにより定量化され、それらの活性はバイオ
アッセイにおいて確認され、そしてポリクローナル抗体およびモノクローナル抗
体の産生のための免疫原として用いられ得る。
精製されたタンパク質はさらに、異なる組織タイプの種々のインジケーター細
胞株の増殖の刺激および/または阻害をバイオアッセイにおいてテストされ得る
。放射性標識されたタンパク質もまた用いられ、アフィニティー標識のような方
法により、それらの細胞表面レセプターが同定され得る。サイトカインの生合成
経路の研究、そのタンパク質のアフィニティー精製、およびコード化配列の分子
クローニングに対する発現ライブラリーの免疫スクリーニングのために、サイト
カインに対する特定の抗体が用いられ、膜形態および分泌形態のサイトカインが
、例えば先に記載したアプローチおよび技術を用いて、同定および定量され得る
。
6.実施例:SCPFを産生する751細胞株の生成
以下のセクションは、胚細胞腫瘍株の確立途上で発見された751細胞株を記載
する。751細胞株の成長はこれまて記載されなかった1以上の成長因子によって
調節される。
6.1. 材料および方法
6.1.1. 細胞培養
751細胞株を、10%ウシ胎児血清、L-グルタミン、および抗生物質(ペニシリ
ン/ストレプトマイシン)を補充したRPMI1640中で維持した。生存率および細胞
濃度をトリパンブルー排除を用いて評価した。細胞濃度を1×105細胞/mlとな
るように調整して75cmの細胞培養フラスコに播き、次いで、空気中5%CO2の雰
囲気下で37℃でインキュベートした。
6.1.2. 動物
3重免疫不全(triple-immune-deficient)by/mu/xidの雌のマウス(BNXマウス
)をHarlan Sprague Dawley Inc.,INより入手し、無菌動物コロニー中に維持し
た。マウスには滅菌Rodent Bloxおよび酸性化した水を無制限に与え、7〜9週
齢で実験に用いた。
6.1.3. インビトロ細胞増殖速度実験(kinetics)
751細胞株のインビトロ増殖速度実験を以下のように行った。初期の増殖曲線
の研究を行って、開始時の最適な細胞濃度を得た。従って、初期の増殖曲線は、
5×103、5×104、および1×105細胞/ウェルで行った(run)。細胞計測は、12
時間の間隔で7日間行った。全ての細胞数/サンプルは、3組で行った。これら
の予備研究は、続く全ての増殖曲線の最適な細胞数が5×104であることを明ら
かにした。次いで、最終濃度(容量2ml中の)が5×104/ウェルとなるように7
51細胞を12ウェルのプレートに播いた。全ての計測は12時間の間隔で7日間行い
、そして生存率%も記録した。全ての細胞数/サンプルを3組で行った。
6.1.4. インビボ細胞増殖速度実験(kinetics)
751細胞株がBNXマウスに移植され得る能力をテストした。腫瘍成長の速度を測
定するために、751-NA細胞株のLog10連続希釈物をBNXマウスの後躯の皮下に接種
した(.1ml)。希釈物当たり8匹のマウスを用いた。接種したマウスの腫瘍の出現
を1週間に2回検査した。一旦腫瘍が顕性になると、腫瘍のサイズをカリパスを
用いて2日毎に測定した。腫瘍の測定は、2つの直交する直径を測定することに
よって行い、腫瘍の面積はその2つの値を一緒に乗じることにより推定した。
6.1.5. フローサイトメトリー分析
751細胞もしくはML-1細胞を、以下の白血球細胞表面マーカーに特異的なモノ
クローナル抗体を用いてスクリーニングした:CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、
CD10、CD14、CD19、CD20、CD33、CD34、CD38、CD56、HLAクラスIおよびクラスII
。
これらの抗体は、Becton Dickinson,CAにより入手可能であった。フローサイト
メトリー分析を以下のように行った(Griebelら、1988)。751腫瘍細胞を遠心分
離し(1,000rpm、10分間)、そして0.2%ゼラチン、1mMアジ化ナトリウム、およ
び2%正常ウサギ血清を含む0.1M PBS中に2×107の濃度で再懸濁した。50μlの
細胞懸濁液を、96ウェル平底マイクロタイタープレート中の50μlの適切なモノ
クローナル抗体に添加し、4℃で30分間インキュベートした。次いで、この細胞
を氷冷PBS-ゼラチンで3回洗浄し、そしてFITCで標識したF(ab)'2ヤギ抗マウス
免疫グロブリン(重鎖および軽鎖特異的)(Cooper Biomedical,Malvern,PA)
100μl(PBS-ゼラチンで1/75に希釈されている)と一緒にさらに30分間4℃でイ
ンキュベートした。全てのサンプルから、2ミリミクロンを通す前濾過により細
胞凝集体を除去した。FACS分析の直前にナイロンモノフィラメントメッシュにか
けた(Small Parts Inc.,Miami,FL)。非特異的標識を検出するために、適切
なコントロールを含んだ。これらのコントロールにおいて、骨髄は、FITCで標識
したF(ab)'2単独または無関係な抗原に特異的なモノクローナル抗体とマッチし
たイソタイプとのいずれかと反応した。FITCで標識した751腫瘍細胞を、Becton
Dickinson Fac-Scanフローサイトメーターを用いて分析した。20,000細胞からの
データを集めてモノクローナル抗体の反応性のパターンを分析した。フォワード
アングル光散乱(forward angle light scatter)(FALS)対90%光散乱(LI90)の2
パラメーター分析を用いてFALS対蛍光のブロットを排除し、蛍光対細胞数のヒス
トグラムとした。データはまた、所定の表現型マーカーに対してポジティブであ
った細胞の%として得た。
種々の抗原に対する抗体は、販売元から購入した:抗サイトケラチン、抗NF20
0、抗NF160、抗NF68(Sigma,St.Louis,MO);抗ビメンチン(Boeringer Mannh
eim);抗GFAPおよび抗NSE(Dakopatts,Glostrup,Denmark)。FITC結合二次抗
体試薬は、Sigmaから購入した。
6.2 結果
6.2.1. 病歴
1989年に、19才の白人女性が彼女のかかりつけの医師に頭痛および複視を訴え
た。彼女はCTスキャンにより大きな鞍上塊を有していると診断された。この塊を
外科的に小さくして腹膜腔脳室内(ventriculoperitoneal(VP))シャントをその場
所に入れた。術後の局所的放射線照射により総用量5000cGyが投与された。彼女
が1年後に再び頭痛を訴えるまで、残った腫瘍をコントロールしながら見かけ上
健康であった。彼女はまたVPシャントに沿って多数の皮下の塊を見出された。身
体検査は彼女の頭蓋骨の右側のVPシャントの近くに1つ、およびシャントのチュ
ーブに沿って胸郭(chest wall)上に2つの塊があることを明らかにした。彼女の
頭部のCTスキャンは、シャントの近くに局所的な再発および軟組織塊があること
を明らかにした。さらに、彼女の腹部には転移した沈着物が見出された。この頭
蓋骨上の病巣を吸引した;この領域からの細胞の細胞の性質(cytology)は、胚細
胞腫瘍と一致していた。1990年2月、さらに組織の性質(histology)を定義するた
めに、胸郭の塊の1つを切除した。腫瘍の組織学的検査は、非胚細胞腫(non-ger
minomatous)混合胚細胞腫瘍が小さな原始細胞の顕著な集団を有し、1989年に行
われた始めのバイオプシーと類似していることを明らかにした。
6.2.2. 751細胞株の起源
1990年2月の手術の時に、小部分の胸郭の腫瘍を、細胞単離および細胞培養中
でのインビトロ増殖のために、研究所へ送付した。腫瘍は約3mmの部分に分かれ
ていた。細切した腫瘍をベルセン(versene)-トリプシンを用いて37℃で10分間制
限消化した。酵素処理の後、未消化の組織を沈降によって除去し、上清の流体を
集め、遠心分離し、そして細胞ペレットを回収した。細胞ペレットを再懸濁し成
長培地で培養した。
一次培養物を毎日試験し、培地を週毎に交換した。元の細胞培養物は、プラス
チック皿に粘着細胞および非粘着細胞のどちらも含んでいた。次の2カ月間にわ
たり、形態的に異なる細胞タイプの数は、共培養物として複製している2つの明
確な集団のみが現れる時点まで減衰した。一つは粘着細胞として成長し、もう一
つは非粘着細胞として成長していた。この胚細胞株を培養して約16週経ったとき
、非粘着細胞は粘着集団より成長しており、限界希釈によってクローン化されて
主な細胞タイプとなり、751-NAと名付けられた。驚くべきことに、751-NAは、核
型分析および種々の細胞酵素のネズミイソ型の発現により決定されたとおりネズ
ミ細胞株であることが見出された。751-NAは、前述の成長培地を用いて多重細胞
集
団継代(multiple-cell-population passage)によりインビトロ培養で、安定な形
態で維持された。751-NA細胞株からネズミ腫瘍モデルを発生させるために、細胞
をベージュ色でヌードなx-染色体性免疫不全(BNX)マウスの皮下組織に注入し、
(組織学的外見は元の患者の腫瘍と類似している)胚細胞腫瘍を発生させた。BN
Xマウス由来の皮下部位の腫瘍は無菌的に除去され、ベルゼントリプシン処理さ
れて(前出)、新規な非粘着細胞株がインビトロ培養において再確立された;75
1-MUと名付けられた。肝臓およびリンパ節ドレナージ中の転移した沈着物からさ
らに2つの細胞株を確立し、それぞれ751-LIVおよび751-LNと名付けた。
6.2.3. 751細胞株の特徴付け
確立された751細胞株の特徴付けは、増殖速度および表現型の両方を試験した
。インビトロでの増殖は、増殖曲線分析を用いて試験し、遅滞期をほとんど有さ
ないか全く有さないユニークな増殖パターンを示したが、生存率は始めに対数増
殖し、短い定常期に続いて劇的に減少した。成長の速さは7〜8時間の対数期の
間の倍加時間を計算することにより示す。
インビボの細胞株の増殖を、BNXネズミモデルを用いて評価した。マウスに注
入された場合の細胞の増殖速度を測定するために、種々の751細胞株の連続的な
対数希釈物を、後躯の皮下組織に接種した。マウスを1週間に2回検査し、そし
て腫瘍の2つの直交する直径を測定した。接種物からは、接種後20日で顕性の10
0細胞くらいの腫瘍が生じたことが見出された。報告されたほとんどのネズミの
腫瘍モデルで見出されたように、1×103細胞の接種により、2〜3ヶ月ではな
くむしろたった7日間で腫瘍が生じた。さらに、報告されたほとんどの腫瘍は5
×105細胞より少ない接種物では成長しない。
この細胞集団(751-NA、751-LIV、751-LN)の起源を決定するために、神経外
胚葉胚細胞、ニューロン系統、およびグリア細胞系統に特異な細胞決定基に対す
るポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の両方を用いて、細胞をフロー
サイトメトリーにより分析した。以下の抗体を用いて、この研究を完遂した:胎
盤アルカリホスファターゼ(PAP)およびヒト絨毛性ゴナドトロピン(XCG)をマーカ
ーとして用いて、非ニューロン細胞の胚細胞を検出した;サイトケラチン(抗ヒ
トまたは抗ラット)およびビメンチン(抗ヒト)を神経外胚葉起源の胚細胞のマ
ーカーとして用いた;グリア線維酸性タンパク質(Glial Fibrally Acidic Prote
in:GFAP)をグリア系統のマーカーとした;および神経特異的エノラーゼ(NSE)、
ならびに神経フィラメントタンパク質(NFP)-68,150および200をニューロン系統
の細胞のマーカーとした。結果は、細胞集団(751-NA、751-MU、751-LN)が、適
切な条件下で、ニューロン系統またはグリア系統のいずれかの細胞を形成し得る
原始脳胚細胞であることを示した(図1参照)。
751細胞のさらなるフローサイトメトリー表現型決定は、以下に対応する抗体
によるポジティブな蛍光細胞の以下の平均%(括弧内)を示した:抗ラットサイ
トケラチン8(0.86);抗ラットサイトケラチン19(0.40);抗ヒトビメンチン(1.29
);マウス抗ヒトモノクローナルNF-68(33.16);ウサギ抗ヒトポリクローナルNF-
150(64.54);マウス抗ヒトモノクローナルNF160(8.50);マウス抗ヒトモノクロ
ーナルNF-200(61.13);HPAP(56.28);ウサギ抗ヒトポリクローナルGFAP(67.69)
;ウサギ抗ヒトポリクローナルNSE(78.34);およびヤギ抗ヒトHCG(50.04)。
最初の研究は、751細胞株がHPCA-1(CD-34)を含む任意の公知のヒト白血球マー
カーを発現するかどうかを確かめるために設計された。CD45、CD19、CD20、CD3
、CD4、CD8、CD2、CD5、CD7、CD10、CD14、CD71、およびCD34の発現に関する751
細胞株のFACS分析は、この原始細胞株がCD34マーカーを含む全ての白血球マーカ
ーが全くないことを示した。しかし、続く核型分析は、751細胞がネズミである
ことを明らかにした。従って、751細胞によって産生されるSCPFは、起源がネズ
ミであることが予想される。驚くべきことに、「ネズミ」SCPFは、ヒト標的細胞
に対して生物学的活性を有する。
6.2.4. 751細胞株によるオンコジーン発現
細胞の悪性の表現型の発現におけるプロトオンコジーンの役割(インビトロお
よびインビボの両方)を、多くの細胞培養系において調査した。多くの異なるオ
ンコジーンに対するDNAプローブを用いて、ノーザン分析を行った。これらの分
析は、751細胞がオンコジーンc-mycならびにオンコジーンレセプターc-fmsのmRN
Aを十分に含んでいることを示した。これは、特に重要である。なぜなら、c-fms
オンコジーンはマクロファージ−コロニー刺激因子(M-CSF)のレセプターとして
供されるからである。M-CSFレセプターは、脳内の小グリア細胞(microglia)に関
しては記載されているが、神経起源の原始細胞におけるその存在は未だに報告さ
れていない。しかし、M-CSFレセプターは、骨髄内の前駆細胞上に見出され、そ
して単球/マクロファージ細胞の系統特異的分化に関与する成長因子の一つであ
る。このレセプターの発現は、原始胚細胞の増殖および分化におけるM-CSFの役
割を示す。
7.実施例:751細胞株に由来する幹細胞増殖因子
以下に記載する実験は、SCPFが分泌される場合には32kDaであり、そして細胞
に結合する場合には37kDaであることを示す。精製したタンパク質の2次元ゲル
電気泳動は、PIが約7.0〜8.0の範囲のタンパク質の複数のイソ型の存在を示す。
7.1. 材料および方法
7.1.1. 放射性標識およびポリアクリルアミドゲル電気泳動
751細胞株を、30mlの培養フラスコ中で、106細胞/m.の密度になるまで、10%
ウシ胎児血清および抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン)を補充したDu
lbeccoの最少必須培地(DMEM)中で成長させた。一旦必要な密度が達成されたら、
細胞を成長培地がなくなるように洗浄し、そしてメチオニンを含まない75%DMEM
にメチオニンおよび2%の[35S]-メチオニン(Amersham,IL)を含む25%DMEMを補
充して再培養し、そして再インキュベートした。24時間間隔で、上清を採取し、
非粘着細胞を除くように成形し、そして-20℃で保存した。次いで、この35Sで標
識された上清をサンプル緩衝液(Tris-HCl、2−メルカプトエタノール、10%グ
リセロール、2% SDS、および0.001%ブロモフェノールブルー)に添加し、そ
して100℃で5分間加熱した。次いで、このサンプルをSDS-PAGEに適用して先に
記載したように電気泳動した。電気泳動後、ゲルをTCA(10%、w/v);氷酢酸(10%
、v/v)およびメタノール(30%、v/v)中で固定した。固定後、ゲルをFluoro-hanceTM
(Research Products Inc.,Prospect IL)にさらに30分間浸漬した。ゲルを取り
出して、ファイバー紙(予め湿潤させた)上に置き、そして真空下で加熱しなが
ら(60℃)乾燥させた。乾燥後、このゲルを高速X線フィールド(field)(Kodak
X-omat AR)に曝し、-70℃で24〜48時間保持し、その後オートラジオグラフを現
像して分析した。
751細胞株の細胞ライゼート、精製タンパク質、および上清を、電気泳動用緩
衝液で溶解し、Laemmeli(1970)の不連続緩衝液システムを用いて12%SDS-ポリア
クリルアミドゲルで分析した。他に言及しない限り、電気泳動は変性条件下で行
った。各実験において、分子量マーカー(Bio Rad Laboratories)を同時に泳動し
、そしてクマシーブルーで染色することにより可視化した。
7.1.2. SCPFのゲル精製
無血清上清を、培養48時間後の751-NA細胞から採取した。上清をSavant濃縮を
用いて20倍に濃縮し、次いで透析した。次いで、濃縮されたサンプルを12%の分
離SDS-PAGEにかけた。SDSゲル電気泳動の後、このゲルを0.3M CuCI2によるネガ
ティブ染色を行った。目的のタンパク質のバンドをゲルから取り出し、小断片に
切って200μlの溶出緩衝液(g25mM Tris-グリシン、pH8.3)と一緒に透析バッグ(1
2-14,000分子量区分)に入れた。次いで、このサンプルを100V、4℃で18時間電
気溶出(electro-eluted)した。電気溶出後、電流を30〜40秒間逆流させて透析バ
ッグを取り出し、サンプルを採取して一晩透析した。全ての水簸(elutriation)
調製物を、免疫原として用いる前にSDS-PAGEにより純度に関して検査するか、ま
たは細胞増殖アッセイにおける使用に関して検査した。
7.1.3. 抗SCPF抗体の調製物
ニュージーランドシロウサギを免疫前に採血し、そして免疫前血清を用いて基
線を確立した。ウサギをRibiアジュバントを含む751細胞株由来の7μgの精製SC
PFポリペプチドで皮下に免疫化した。最初の注射の2週間後に、ウサギにポリペ
プチドおよびRibiアジュバントを含む第2回目の注射を行った。ウサギは免疫原
およびRibiアジュバントにより最低5回の皮下接種を受けた。ウサギを各接種時
点で採血し、そしてその血清を、32kDaのタンパク質に反応性である抗体の存在
についてウエスタンブロットにより試験した。32kDaのタンパク質に特異的な抗
体を高濃度に含む全血清をアリコートし、そして-70℃で保存した。
7.1.4. ウエスタン免疫ブロッティング
751-NA腫瘍細胞株の細胞ライゼートを電気泳動緩衝液中に調製し、そしてタン
パク質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(laemmeli,1970)を用いて分離
した。ゲル中に存在するタンパク質を、Towbinら、1979によって記載された技術
に基づいて、Bio-Rad Semi-Dry Transblot Apparatusを用いて、ニトロセルロー
スに移した。このゲルをエレクトロブロット緩衝液(25mM Tris、192mM グリシ
ン、および5%v/vメタノール、pH8.3)で平衡化した。ニトロセルロールメンブ
ランもまたこの緩衝液で平衡化した。平衡化した後、ニトロセルロースメンブラ
ンをプラチナ陽極上の濾紙の上に置き、次いでゲルを一番上に置いて次に予め浸
漬した濾紙を置いた。陰極を配置した後、サンプルを25ボルトで35〜40分間ブロ
ット/電気泳動した。移動後、メンブラン/ブロットを、ゼラチンおよびTween2
0を含むリン酸緩衝化生理食塩水(PBS-gel-tween)で4回洗浄した。このブロット
を、予めPBS-Tweenで希釈したウサギポリクローナル抗体と共に一晩インキュベ
ートした。インキュベーションの後、このブロットをPBS-Gel-Tweenで4回洗浄
し、次いでペルオキシダーゼで標識したヤギ抗ウサギ抗体(Sigma,St.Louis,M
O)と一緒に1時間インキュベートした。次に、PBS-Tweenで2回洗浄し、その後P
BSのみで2回洗浄した。基質(0.05%(w/v)4−クロロ−1−ナフトールおよび3
0%H2O2)を添加しそしてブロットを暗所で室温で60分間インキュベートした。
ポジティブな反応は暗青色のバンドの出現により示された。
7.1.5. クロノジェニックアッセイ
751腫瘍株は、10%FBSを補充したメチルセルロース含有DMEM中でコロニー(12
8細胞/コロニーより多い)を形成し得る。103細胞を1.0mlのメチルセルロース
に添加し、これにさらに32kDaタンパク質に対するポリクローナルウサギ抗体の
種々の希釈物を100μlの容量で添加した。このサンプルを十分混合して、20mmペ
トリ皿に播き、そして空気中5%CO2雰囲気下で37℃でインキュベート(inoculat
ed)した。培養48時間後に、倒立光学顕微鏡でコロニーの数を計数した。
種々のコロニー刺激因子に特異的な抗体をGenzyme(Boston,MA)から購入した
。
7.1.6. 長期培養物(Gordon型培養物)
ヒト造血幹細胞を長期インビトロ培養で増殖させるために、可溶性因子および
細胞接触依存性因子を提供するために粘着細胞集団が必要とされる。ヒト骨髄吸
引物(marrow aspirate)を保存料を含まないヘパリンを含む培地中に回収し、そ
して25cm2組織培養フラスコ中の長期培養培地に希釈して最終容量8ml(2×107
の有核細胞を含む)となるようにした(Gordonら、1987、Exp.Hematol.15:772)
。
成長培地は、イノシトール(40mg/ml)、葉酸(10mg/ml)、ヒドロコルチゾン(10-6M
)、2−メルカプトエタノール(2×10-4M)、およびウマ血清とFBSとを1:1で混合
して最終血清濃度が25%となるようにしたものを補充したα-MEMから構成されて
いる。付着を容易にするために、培養物を37℃で置いた。4日後、この培地およ
び非粘着細胞を回収し、Ficoll/Hypaqueで遠心分離して顆粒球および赤血球を除
き、そして低い密度の画分を培養フラスコに戻した。その後、集密的粘着細胞単
層が形成されるまで、成長培地の半分および非粘着細胞を1週間毎に新鮮な培地
と交換した。
培地および非粘着細胞を長期培養物から取り出し、そして2mlの新鮮な培地を
添加した。次いで、このフラスコに2000ラドで放射線照射して粘着層内に存在す
る造血細胞を除去した。放射線照射後、この培地を取り出し、精製した細胞集団
を含む8mlの新鮮な培地と交換して、それらが培養物中で骨髄造血を再構成して
開始するかどうかを決定した。コントロールとして、いくつかの長期培養物を培
地のみで再構成し、放射線照射が全ての造血前駆体を排除するのに十分であるこ
とを示した(ネガティブコントロール)。さらに、いくつかの長期培養物を正常
骨髄細胞で再構成した(ポジティブコントロール)。再構成に続いて、培地の半
分および非粘着細胞を毎週採取し、計数して、成長因子を含むメチルセルロース
培養物中に播いた。さらに、特定の時点で、培養フラスコを犠牲にして、粘着細
胞をトリプシン処理し、造血コロニーアッセイのために単一細胞懸濁物を得た。
7.1.7. インビトロ前駆細胞アッセイ
以下のアッセイは、細胞のCFU活性の測定に用いた標準プロトコルであった。
コロニー形成前単位(Pre-CFU)アッセイを設計してヒト骨髄の初期造血前駆体
を検出した(Smithら、1991、Blood、77:2122)。単離された細胞をrIL-1α(100U/
ml)およびrIL-3(50ng/ML)と一緒にインキュベートし、培養7日後に採取し計数
した。1×105細胞は、0.36%アガロース中の1000U/mlの組換えGM-CSFとともに
播かれ、コロニー(>50細胞)を、インキュベーション後14日間計数した。
骨髄単球/赤血球前駆細胞(CFU-GEMM)および赤血球系の前駆細胞(BFU-E)を検
出するために、組み合わせたCFU-GEMM/BFU-Eアッセイを用いた(Ashら、1981、B
lood 58:309)。簡潔に述べると、1×105の精製幹細胞を、直径35mmのプレート
に、5×105M 2−メルカプトエタノール、30% FBS、100U/mlのヒトrIL-3およ
び1.0U/mlのEpoおよび0.9%メチルセルロースを補充した総容量1.0mlのIscove改
変Dulbecco培地中に播いた。培養物を、空気中に5%CO2および10%O2を含む湿潤
雰囲気下で14日間37℃でインキュベートした。コロニー(>50細胞)を倒立顕微
鏡を用いて計数した。
CFU-GMの代表である初期造血前駆体もまた検出された(Iscoveら、1971、Blood
37:1)。簡潔に述べると、1×105精製幹細胞を、2% FBS、0.6%L-グルタミン
、0.9%メチルセルロース、および100U/mlのヒト組換えrIL-3を補充したα-MEM総
容量1.0mlで直径35mmのペトリ皿に播いた。培養物をCFU-GEMMアッセイに関して
記載したようにインキュベートし、そして倒立顕微鏡を用いてコロニーを計数し
た。
7.2. 結果
7.2.1. SCPFの生物化学的同定
751細胞株によって分泌されるタンパク質を可視化するために、パルスチェイ
ス実験を[35S]−メチオニンを用いて行った。細胞をメチオニンを含まない培地
中で12時間標識し、その後細胞をメチオニンを含む非放射性の成長培地に置いた
。次いで、35Sで標識した上清をSDS-PAGEにかけた。1つの主要なタンパク質は7
51腫瘍細胞から分泌されることが見出され、計算された見かけの分子量(回帰分
析による)は32kDaであることを示した。さらに、このタンパク質の最大分泌は
培養後24〜36時間で起こることが見出された(図2)。
このタンパク質の単離は、分泌されたポリペプチドをSDS-PAGEによって分離し
、分子量マーカーと比較した移動度によって32kDaのポリペプチドを同定するこ
とにより達成した。一旦同定すると、タンパク質をエレクトロブロットによりニ
トロセルロースに移し、そして32kDaタンパク質に相当する領域を切り出してジ
メチルスルホキシド(DMSO)中で溶解した。これを生成されるポリクローナル抗体
の生成のためにウサギに接種した。
抗体の特異性は、ウエスタン免疫ブロット技術を用いて、751-LNの全細胞ライ
ゼートに対してテストした。この系では、タンパク質をBio-Rad semi-dry trans
fer apparatusを用いてニトロセルロースに移し、次いで、改変した比色定量ELI
SAに供した。ポジティブバンド反応は、暗青色バンドの出現により示された。こ
れらのアッセイは、見かけの分子量が37kDa(回帰分析により計測)の単一のタ
ンパク質と特異的に反応するポリクローナル抗体を示した(図3)。このことは
、分泌されたタンパク質の分子量(32kDa)に関連して次のことを示唆する:(1
)シグナル配列は分泌されたタンパク質を細胞表面に輸送するために存在する;
(2)分子に対するトランスメンブラン成分は、タンパク質を膜に固定(anchor)
する;および(3)このタンパク質には2つの形態が存在し、1つは膜結合種(3
7kDa)であり、他方は分子量が32kDaの可溶性細胞外種である。両形態は、正常な
胚細胞発生の間に、細胞−細胞相互作用に追加的に関与する膜結合形態をとりな
から「成長因子」として作用し得る。
7.2.2. SCPFによる胚細胞腫瘍株の自己分泌成長調節
細胞株751によって産生された32kDaタンパク質に対して誘導されたポリクロー
ナル抗体を用いて、メチルセルロース中でコロニー阻害アッセイを行った。先の
実験で、751細胞がメチルセルロース中で48時間以内に50細胞より多いコロニー
を形成することを示した。もし32kDaのタンパク質が、腫瘍細胞の成長を調節す
る自己分泌因子なら、タンパク質がその細胞レセプターに結合することをブロッ
クすることにより細胞の複製およびコロニーの成長が減少するはずである。ウサ
ギポリクローナル抗32kDa抗体の連続希釈を用いて、751-NA、751-MU、および751
-LN腫瘍細胞を種々の血清希釈物を含むメチルセルロース中に混合して、37℃で4
8時間インキュベートし、次いで新しく形成されたコロニーを計数した。1/20の
逆希釈(reciprocal dilution)のとき、抗体はコロニー形成を98%阻害した。こ
の阻害は、抗体濃度依存性を示し、著しい阻害(>25%)は1/120の血清希釈で生
じた。1/20希釈の正常ウサギ血清は、コロニー形成をブロックしなかった(図4
)。さらに、抗37kDa抗体が細胞増殖をブロックする能力を3Hチミジン取り込み
アッセイにおいてテストした(図5)。この図は、抗体が実際に細胞増殖を阻害
すること、ならびに751-Mu MetおよびBo Bm.1細胞のみが阻害されたので、この
阻害が胚/幹細胞に対して特異的であることを示す。A251神経芽細胞腫細胞株は
阻害されなかった。
7.2.3. SCPFとヒト骨髄細胞集団との相互作用
以下に記載した実験結果は、抗SCPF抗体(SAM.1)が骨髄細胞の小集団と特異的
に相互作用していること、さらに、この集団がCD34+の区分に入るようであるこ
とを示す。最終的には、抗SCPFはCD34タンパク質とは異なるマーカーを認識し、
そして幹細胞集団の概要説明に重要であり得る。
751細胞の原始的性質により、およびそれが自己分泌成長因子(SCPF)により調
節されるようなので、以下の実験は、精製された天然のタンパク質が骨髄細胞と
相互作用するかどうかを決定するために設計された。この相互作用は(1)骨髄
−メチルセルロースクロノジェニックアッセイ;(2)3H−チミジン取り込みア
ッセイ;および(3)フローサイトメトリーを用いて分析した。図3は、クマシ
ーブルーで染色したSDS-PAGEゲルおよびこれらのアッセイに用いた精製された天
然の37kDaタンパク質のSAM.1ポリクローナル抗体を用いたウエスタンブロットを
示す。37kDaに移動した単一のバンドがゲル上に存在した(図3A)。SAM.1抗体
と反応させた場合のこのゲルのニトロセルロースブロットは、同じ位置のバンド
を明らかにした(図3B)。精製したSCPFを種々の濃度でクロノジェニックアッ
セイに用いた場合(表1)、はっきりとした形態のコロニーは観察されなかった
。
しかし、これらのアッセイにおいて、非常に散開したクラスター内の芽様細胞(b
last-like cell)が観察された。これらの芽様細胞をクロノジェニックアッセイ
から取り出し、間質供給層(stromal feeder layer)ありまたはなしで懸濁培養内
に入れ、SCPFを用いて増殖させた。間質供給層なしの懸濁物を、培養後96時間で
採取し、モノクローナル抗体HPCA-1(抗CD34)を用いるフローサイトメトリー分析
を行った。イソ型のコントロールをネガティブコントロールとして用い、W6/32
(抗ヒトHLAクラス1)モノクローナルをポジティブコントロールとした。図6
は、これらの細胞のフローサイトメトリー分析である。全ての細胞は、W6/32抗H
LAクラスIで染色され、さらに、高い%の細胞が抗CD34とも反応した。そのこと
は、必ずしも全ての細胞がCD34+ではないことを明らかにした。これは、(1)
懸濁培養での増殖の前に、クロノジェニックアッセイから非CD34+細胞が除去さ
れること、または(2)懸濁培養中に細胞が分化することに起因し得る。しかし
、これは、SCPFタンパク質がCD34+表現型の細胞と相互作用することを示す。間
質供給層を有する長期培養に入れた細胞(図7)を、Gordon培養条件下での継続
的な増殖について分析した。
図7は、これらの細胞がSCPF非存在下で長期Gordon培養中で増殖したことを示
す。間質細胞は、良好な増殖および生存を維持するために、可溶性因子にも細胞
−細胞接触にも重要であるようである。間質馴化培地に与えられた細胞は増殖も
生存もしなかった。細胞を72時間目にGordon培養から取り出し、そして組換えGM
-CSF存在下での複製効率をテストした(表2)。
コロニーアッセイにおいて誘導させ、次いで、Gordon培養中で増殖させた細胞は
、GM-CSFに応答し得、そして顆粒球(G)、単球(M)、および混合GM細胞のコロニー
を形成し得た。従って、そのことは、それらが系統分化を受けて骨髄細胞になる
能力を示す。3Hチミジン取り込みによって測定されたように、骨髄細胞の増殖も
またSCPFが骨髄起源の細胞を増殖へ誘導することを示した(図8)。
先の実験から、SCPFが骨髄細胞集団と相互作用することは明らかである。ポリ
クローナルウサギ抗体(SAM.1)が、細胞株751由来のSCPFに対して産生され、そし
てそのSCPFが細胞に結合したので、骨髄細胞のフローサイトメトリー分析を行っ
て、SCPFと相互作用する骨髄中の細胞の表現型の性質を確かめた。SAM.1がヒト
骨髄細胞を認識する能力を、粘着力が涸渇したヒト骨髄細胞およびヒトの臍帯血
の両方を新規な造血幹細胞の供給源として用いてテストした。図9は、SAM.1が
骨髄中の細胞の非常に少ない集団(2.5%)および臍帯血中の非常に少ない細胞集団
(1.96%)に結合することを示す。この集団を明確にする試みにおいて、二色FACS
分析を、抗CD34フィコエリトリン(PE)標識抗体およびSAM.1蛍光イソチオシアネ
ート(FITC)システムを用いて行った(図10)。これらの実験および751細胞がCD3
4を発現せず、その結果、SAM.1がCD34マーカー自身を指向しないという先の所見
から、SAM.1は、CD34マーカーおよびSCPFの両方を同時に発現する細胞集団を認
識することが明らかである。
CD34+およびSCPF+である細胞集団は、試験した全細胞集団の1.65%を示す(図
10)。SAM.1がネズミ、ウシ、およびヒツジの骨髄中の細胞集団を認識する能力
もまたフローサイトメトリーにより試験した。全ての場合において、SAM.1は、
これらの非ヒト種の骨髄由来の任意の有意な細胞集団を認識しなかった。
フローサイトメトリー研究を、抗SCPF抗体を用いて精製CD34+細胞に関して行
った。CD34+集団を、抗CD34モノクローナル抗体とカップリングさせた免疫磁気
ビーズを用いて正常ヒト骨髄から分離し、フローサイトメトリーに用いるまで液
体窒素で保存した(Kesslerら、1987、Blood 70:321)。単色分析および二色分析
のどちらに関しても、SAM.1はCD34選択集団を認識した(図11)。さらに、SAM.1
と抗CD34との間には競合はない(図12)。これらの実験において、CD34+細胞はS
AM.1のみまたはSAM.1/抗CD34の混合物とともにインキュベートした。図12から
観察し得るように、抗CD34は、SAM.1がこれらの細胞に結合する能力に干渉しな
かった。これらの実験を、CD34+細胞を抗CD34単独またはSAM.1/抗CD34の混合物
とともにインキュベートすること以外は反復した。図12Aに示すように、SAM.1は
、抗CD34抗体の結合に干渉しなかった。このことは、SAM.1抗体が異なる細胞表
面抗原を認識することをさらに示す。
7.2.4. 751細胞由来のSCPFを用いるCD34+細胞の長期培養
CD34+細胞の長期培養は、外因的に添加した精製天然SCPFの存在下で開始した
。外因的に添加した成長因子がないコントロール培養、ならびに100U/mlのイン
ターロイキン3(IL-3)および100U/mlのインターロイキン6(IL-6)を有する培養
を含んだ。精製CD34+細胞を200,000細胞/mlで24ウェルプレートのウェルに播き
、適切な成長因子を添加した。種々の濃度の精製SCPF(1μg/ml〜10ng/ml)を添
加した。3日毎に、培養培地を交換し、外因性の成長因子を添加した。全ての培
養を毎日試験して細胞の生存および状態を評価した。
これらの研究の結果を図13にまとめた。IL-3またはIL-6を与えた培養物は、非
生存細胞がほとんど存在せずに急速に増殖した。7日目までに培養物は継代を必
要とした。一方、SCPF処理した培養物は、急速に細胞生存率が減少し、その結果
、7日目までにわずか10〜15%の細胞が生存するのみであった。しかし、この残
ったCD34+細胞集団は今やSCPF応答性であり、12週間にわたって培養物中で増殖
した。コントロール培養(成長因子なし)は、それらが最終的に死滅するまで3
週間維持した。IL-3もしくはIL-6を与えた細胞は混合した形態であり、粘着細胞
および非粘着細胞の両方を含んでいた。細胞遠心分離(cytocentrifuged)調製物
は、培養物が多くの成熟顆粒球細胞ならびに成熟芽様細胞を含むことを示す。こ
れらのIL-3およびIL-6処理細胞を16週間まで継続的に維持した。SCPF処理した細
胞はサイズがより均一であり、全て単核で外見は芽様であり、そして非粘着性で
ある。用量応答実験から、SCPFの最適濃度は50ng/mlと10ng/mlとの間にあるよう
である。
培養12週間後、SCPF処理したCD34+細胞を、CD34、CD38、およびDR/HLAクラスI
I発現の有無に関してフローサイトメトリーによって試験した。図14および15に
示したデータは、SCPFで増殖したCD34+細胞が、サイズに基づくと2つの形態の
集団からなることを示す。図14(ゲート領域C)は、表現型がCD34+、CD38-、お
よびDR-である小さな細胞を示す。大きな集団(図15−ゲート領域B)は、CD34+
、CD38low、およびDRlowである。従って、SCPFは、インビトロ培養物中のCD34+
細胞がCD34+の表現型を維持している間は、その増殖を誘導し得る--すなわち、C
D34+細胞は分化せずに増殖する。SCPFで増殖したCD34+細胞およびIL-3で増殖し
たCD34+細胞の両方の複製効率を培養8週間後にテストした(表3)。
データは、IL-3存在下で増殖した細胞の複製が乏しい(組換えIL-3およびGM-CSF
を用いる)ことをさらに示唆する。一方、SCPFで処理したCD34+細胞は、IL-3お
よびGM-CSF存在下で良好な複製効率であり、そのことは、SCPFで増殖させた細胞
の原始的性質をさらに示す。SCPFは、CD34+細胞にいかなる悪性の表現型も与え
ない。なぜなら、CD34+細胞は、SCPFがなくなると4〜5日後に死滅するからで
ある。
主なシグナルとして、この成長因子が骨髄幹細胞と相互作用する能力に関して
行った研究は、SCPFがBFUコロニーおよびCFU-GMコロニーのどちらも誘導し得る
ことを示す(図16および17)。SCPFは、CFU-GEMMを誘導し得るようではない。し
かし、この因子は、コロニー刺激因子(GM-CSF、IL-3およびEPO)の混合物の活性
を促進し得、それによりBFUコロニー(図16AおよびC)、CFU-GMコロニー(図17A
およびC)、ならびにCFU-GEMMコロニー(図18AおよびC)に対するCSF活性を著し
く増加させる。
7.2.5. SCPFによるCD34+細胞の細胞周期への誘導
以下の実験により、SCPFおよびIL-3が精製CD34+骨髄細胞を複製に誘導する能
力を分析した。結果は、SCPFおよびIL-3はどちらも、単独で与えられた場合に、
細胞周期に入るために細胞を刺激し得たことを示す。これらの2つのサイトカイ
ンを組み合わせて培養細胞に添加する場合、G2期にある細胞の%の増加にさらな
る効果がある(表4)。
7.2.6. 抗体阻害研究
以下の研究は、SCPFにより誘導された芽細胞コロニーの形成を中和するために
ヒトGM-CSF、G-CSF、M-CSF、およびIL-3に特異的なポリクローナル抗体のメチル
セルロース骨髄コロニーアッセイにおける使用を試験した(表5)。
データは、これらのポリクローナル抗体がSCPFによる芽細胞コロニーの誘導を中
和し得なかったが、SAM.1はそれらの誘導を中和し得たことを示す。しかし、SAM
.1抗体は、GM-CSFおよびIL-3のヒト幹細胞因子(SCF)促進を阻害し得なかった。
このことは、SCPFが公知のCSFと同一ではないこと、およびSAM.1抗体がSCFの機
能を阻害しないので、SCPFはSCFとは機能的に異なるようであることを示す。
7.2.7. 二次元ゲル電気泳動
化学物質。アクリルアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、尿素、過硫
酸アンモニウム、N,N,N,N,-テトラメチルエチレンジアミン、およびAG 501-X8分
析用混合床樹脂をBio-Rad(Rockville Centre,NY)から購入した。Pharmalyte
pH 3-10およびBiolyte pH 3-10両性電解質ならびに分子量標準(Mr 20,100、ト
リプシンインヒビター(大豆);24,000、トリプシノーゲン;29,000、カルボニ
ッックアンヒドラーゼ;36,000、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナー
ゼ;45,000、アルブミン(卵);66,000、アルブミン(ウシ);97,400、ホスホ
リラーゼB;116,000、β-ガラクトシダーゼ)をSigma Chemical Co.(St.Loui
s,MO)から購入した。BCA Protein Assay ReagentsをPierce(Rockford,IL)
から購入した。全ての他の化学物質は分析用でありFisher ScientificまたはSig
ma Chemical Co.のいずれかから購入した。
第一次元。等電点電気泳動ゲル(IEF)(O'Farrell,J.Biol.Chem.,250:40
09,1975)を内径0.3cmの11cm長のガラス管中で作製し、底部をパラフィルムで
密封した。チューブゲルは、4%アクリルアミド、9M尿素、2%Nonidet P-40
、および2%両性電解質を含み、これを2段階で調製した。第1に以下の成分を
混合し、AG 501-X8樹脂(45mg/ml混合物)の存在下で約10分間穏やかに撹拌した
:アクリルアミドストック溶液(38%(w/v)アクリルアミドおよび2%(w/v)
N,N'-メチレンビスアクリルアミド(H2O中))2.5ml、10%(w/v)Nonidet P-40
(H2O中)5.0ml、尿素13.75g、およびH2O 3.75ml。次いでアクリルアミド混合物
をガラスウール栓を通して濾過し、樹脂を除去した。第2に各タンパク質につい
て、4.23mlアクリルアミド混合物、5% pH 3-10 両性電解質(50%Pharmalytes
および50%Biolytes)、適当な容量の可溶化タンパク質サンプル、および脱イオ
ン水を混合することによりゲルを調製し、全容量4.98mlを得た。約2分間脱気
した後、調製したばかりの10%(w/v)過硫酸アンモニウム5.0μlおよびN,N,N,N
-テトラメチルエチレンジアミン3.5μlを添加した。迅速にゲルをキャストし(0
.76mlゲル混合物/チューブ)、脱イオン水を重層し、そして3時間重合させた
。全てのタンパク質サンプルを、ゲル混合物に添加する前に、13,000×gで3分
間遠心分離した。
このチューブを、Bio-Rad Model 155ゲル電気泳動セル(下方(陽極)チャン
バーに0.01Mリン酸、上方(陰極)チャンバーに脱気した0.02M水酸化ナトリウ
ムを含む)中に置いた。等電点電気泳動を室温で18時間350Vの一定電圧下で行
った。等電点電気泳動が完了した後、空気充填シリンジ/ゴム管状アセンブリを
チューブの塩基性側の末端に取り付け、少量の圧力を加えることにより、ゲルを
穏やかにガラス管から外した。IEFのpHグラジエントを表面電極(Bio-Rad)を用
いて決定した。次いでゲルを5.0ml平衡緩衝液(0.062MTris-HCl、pH6.8中2.3%
ドデシル硫酸ナトリウム、5%β-メルカプトエタノール、および10%(v/v)グ
リセロール)中で10分間穏やかに撹拌し、またはエタノール/ドライアイス浴で
急速に凍結し、使用するまで-70℃で保存した。
第二次元。サンプルをLaemmliの方法に従って4%アクリルアミド濃縮用ゲル
を用いて10%ゲル(1.5mm厚さ、14.5cm長さ)上でスラブSDS-PAGEにより分離し
た。第一次元IEFゲルおよび分子量標準(平衡緩衝液中1%アガロースに埋包さ
れた)を0.125MTris-HCl、pH6.8中1%アガロースを用いて濃縮用ゲルにつなげ
た。電気泳動を、染料がゲルの約100%の長さまで流れるまで、100mA/ゲルの一
定電流を用いて室温(20〜25℃)で行った。
固定および染色。二次元スラブゲル内で分離したタンパク質をメタノール/酢
酸/水(40/10/50)中で一晩固定した。固定ゲルを標準法によりクマシーブルー
で染色するか、または以下の変法に従って銀染色した。固定ゲルを染色前に最低
1時間、20%エタノールを3回交換して洗浄した。染色は標準法により行った(
Merrilら、Methods Enzymol.,104:441,1984)。ゲルを絶えず穏やかに撹拌しな
がら30〜45分間染色した。次いで、染色したゲルを染色を発色させる前に20%エ
タノールを2回交換して総計で20分間洗浄した。ゲルをエタノール/酢酸/水(
20/10/70)中に置くことにより染色の発色を停止させた。バックグラウンド
染色は、ゲルをKodak Rapid Fixer(フィルム強度)に2〜5分間置くことによ
り除去した。次いで、ゲルを総計で30分間水を3回交換し、その後5分間Kodak
ハイポ清浄剤中で洗浄して、ゲルから固定液を除去した。ハイポ清浄剤を、最小
限1時間20%エタノールを3回交換して洗浄することにより、ゲルから除去した
。最後に、各ゲルを2枚のBioGelWrap(BioDesign,Inc.,Carmel,NY)間に挟
み込むことにより染色ゲルを室温で乾燥した。
染色ゲルの撮影。銀染色ゲルの直接現像をKodak Electrophoresis Duplicatin
g Filmを用いて製造者の指示に従って行った。このフィルムはゲルに見出される
タンパク質を永久的に記録し、照明ボックスの助けによりいくつかのゲルにわた
ってタンパク質パターンの視覚マッチングを行い得る。いくつかの場合では、Ko
dak Ektapan 4×5インチシートフィルムを用いてゲルを撮影し、16×20インチ
のオルトフィルム上に現像した。得られた現像写真は、透明フィルム基材上に大
きな黒点としてタンパク質のスポットを示した。これらの現像写真を大判にする
と試験が容易であり、そしてタンパク質パターンの違いを正確に直接現像写真上
に記録できた。
7.2.8 SCPF活性についてのバイオアッセイ
SDS-PAGEゲル(1-Dまたは2-Dのいすれか)から溶出したタンパク質中のSCPFの
存在または非存在を、本発明者らの研究室において生育させたCD34+細胞株(ML-
1)による[3H]−メチルチミジン([3H]Tdr)取り込みを用いる増殖アッセイ
において測定した(セクション8.1を参照のこと)。あるいは、他のCD34+細胞(
例えばKG-1a CD34+細胞(ATCC CCL 246.1))がアッセイに用いられてSCPF活性
について調製物をテストした。
簡単にいえば、1×105ML-1細胞を、10%FBSおよびL-グルタミンを含有するIs
coves改変Dulbecco培地を入れた丸底96ウエルマイクロタイタープレートのウエ
ル中に100μl/ウエルの容量で播種した。連続2倍希釈した推定SCPFタンパク質
調製物をウエルに3つ組で添加した(100μl/ウエル)。次いで、培養物を大気
中5%CO2の湿潤雰囲気下で37℃で48時間インキュベートした。インキュベート
した後、培養物を培養の最後の16〜18時間ウエル当たり1μCiの[3H]-Tdrで標
識した。ラジオアイソトープ取り込み量を液体シンチレーション計数により定
量した。表6および7は、それぞれKG-1aおよびML-1細胞を用いるバイオアッセ
イについてのトリチウム化チミジン取り込みを示す。SDS-PAGEの37kDタンパク質
から単離した推定SCPF(セクション7.1.2.を参照のこと)の2倍希釈物をテスト
し、そしてトリチウム化チミジン取り込みの結果はSCPF生物活性が調製物中に存
在することを示した(コントロールと比較)。
SDS-PAGE上で同定された37kDタンパク質から単離した調製物を用いて、2-Dゲ
ルを流した。クマシーブルーで染色した後、複数のSCPFイソ型が2-Dゲル上で同
定された。ゲルを切片に分け、8枚のタンパク質含有スライスを取り出した。タ
ンパク質を8枚のスライスから上述の7.1.2.に記載のようにして溶出した。バイ
オアッセイを各スライスからの溶出タンパク質に関して行った。トリチウム化チ
ミジンの取り込みは、スライス4番において見られたイソ型から生成されたタン
パク質調製物と相関した(表8、データはCPMで示す)。スライス4番において
同定されたSCPFイソ型は、表面電極分析により決定されるように、pH 7.0〜8.0
の範囲のタンパク質を表す。この画分の生物活性は、バイオアッセイにおいてサ
イトカインの2倍希釈物により見られるように典型的な希釈効果を示した。
表8で同定された生物活性データは、SAM.1抗体を用いるウエスタンブロット
分析によりさらに確認された。上述のように流した二次元ゲル(pHグラジエント
ゲルおよび続く分子量ゲル)をニトロセルロースフィルターまたはPVDFフィルタ
ー上にブロットし、そして一次抗体としてSAM.1および二次抗体としてアルカリ
ホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギIgG(H & L)を用いて標準ハイブリダイゼーシ
ョン法を用いてハイブリダイズした(BioRad)。このデータは、抗体がpH範囲が
7.0〜8.0のタンパク質と強く反応することを明らかにし、このpH範囲は、SCPF生
物活性を示した領域と一致した。
SCPFは、SAM.1または他のSCPF特異的抗体を用いて、標準免疫アフィニティー
法により2-Dゲル上で別々のスポットから、均一になるまでさらに精製した(Cur
rent Protocols in Immunology,第8章、Coligen,ら,編、1992)。SCPFは免疫
アフィニティーマトリックスから溶出され、次いで上述のように等電点電気泳動
にかけられるか、好ましくはpH範囲はpH6〜8のより狭い範囲で行う。ゲル中で
分離したタンパク質は、次いで上述のバイオアッセイにおいてSCPF生物活性につ
いてスクリーニングされ得る。
7.2.9 ネズミ751細胞株由来のSCPFの配列分析
37kDaタンパク質の17kDaフラグメントを、RPMI-1640培地中で生育させた751細
胞の調整無血清上清から濃縮および精製した。簡単にいえば、751細胞を10%FCS
含有RPMI-1640培地中で約80%集密になるまで増殖させた。次いで培養物を2回P
BSで洗浄し無血清RPMI中で培養した。インキュベートしてから12時間後、細胞を
回収し、上清を集め、4℃での低速遠心分離により清澄化した。上清を凍結乾燥
して乾燥させ、-20℃で保存した。凍結乾燥したタンパク質を0.1%トリフルオロ
酢酸(pH1.9)中に再懸濁し、4℃で一晩透析し、その後低速遠心分離した。
約200μlの調製物を0.1%TFA、pH1.9中で平衡化した逆相HPLCカラム(Waters
,Novapak-C18)に注入し、そして0.1%TFA、pH1.9中の0〜20%のアセトニトリ
ルの直線グラジエントで10分間で溶出し、次いで0.1%TFA、pH1.9中の20%〜60
%のアセトニトリルで1時間溶出した。画分を集め、各々のアリコートをSAM.1
抗体を用いるウエスタン分析を用いて分析した。SAM.1ポジティブポリペプチド
は、30〜33%アセトニトリルの範囲で溶出した。次いで、サンプルをSDS-PAGEに
より精製した。
SAM.1ポジティブポリペプチドは約17kDに移動した。このバンドをSDSゲルから
切り出し、リジル-Cエンドペプチダーゼで消化してフラグメントを形成させた。
このフラグメントを逆相C8カラム(Waters)上で分画した。次いで、ペプチドを
自動アミノ酸シーケンサーを用いて記載されるように配列決定した(Hunkapelle
rら,「Methods of Protein Microcharacterization,Gas-phase protein/pepti
de sequencer」、D.E.Shireley,編、Clifton,NJ,Humana Press,223〜247頁
、1986)。
タンパク質データベース(Dayhoff)検索により独特である4つのペプチドを
抗ペプチド抗血清の産生のために合成した。抗体を、以下のようにしてペプチド
に対して生じさせた(ウサギにおいて、HTI Bio-Products,Ramona,CA)。0日
目の初回免疫は完全フロイントアジュバント(CFA)中に乳化した300μg抗原で
あった。21、42、および63日目に行ったブースト免疫は、不完全フロイントアジ
ュバント(IFA)中に乳化した300μg抗原であった。ウサギを各接種時点ならび
に接種後の49、77、および84日目に採血し、そして血清を、SCPFタンパク質に反
応性の抗体の存在について751細胞ライゼートを用いてウエスタンブロットによ
りテストした。
ペプチドKDRGAGALに対して合成した抗体は、ウエスタンブロット上て2つのタ
ンパク質(17kDaおよび37kDa)と特異的に反応した。図19は、以下の細胞ライ
ゼートとの抗ペプチド血清反応性のウエスタンブロット分析を示す:レーン1、
2、および3:それぞれ15μl、30μl、および40μlの751細胞ライゼート(RPMI
+10%FBS);レーン4、5、および6:それぞれ15μl、30μl、および40μlの
751細胞ライゼート(RPMI+10%FBS)+50%無血清上清(ML-1細胞由来);レー
ン7、8、および9は、ネガティブコントロールとして免疫前血清を用いてブロ
ットして30μlの751NA細胞ライゼートを示す。
37kDaのバンドをゲルから切り出し、上記のようにして抽出し、そして以下の8
.4に記載のようにして造血細胞のコロニーアッセイにより生物活性についてテス
トした。
7.2.10 他の成長因子との相乗作用についてのアッセイ
ML-1細胞株を、ヒト死体椎体由来の骨髄から免疫選抜したCD34+から単離およ
び精製した(セクション8.1を参照のこと)。免疫選抜したCD34+細胞をサイトカ
インに曝す前および後にCD34-PE、CD38-FITC、およびCr-PerCPで染色した。CD34+
細胞(2×105個)を種々のサイトカインを単独または組み合わせて添加したま
たは添加しない1.0mlのDulbecco培地中で培養した(表9および表10を参照の
こと)。細胞を培養前に数え、そして培養6日後に再度数えた。次いで、細胞を
SCPF抗体SAM.1で染色し、FACS分析にかけた。CD34+細胞を、サイド光散乱(side
scatter)およびPE蛍光に従って、リストモードでゲートした。2つの異なるサ
イズのCD34+細胞集団(大および小)が、フォワード光散乱(forward light sca
tter)に基づいて同定された。これらの細胞をCD38およびDr発現について分析し
た。データを大および小CD34+細胞集団についてそれぞれ表9および10中に示
す。これらの結果はSCPFおよびIL-3が、それらが単独で与えられた場合、細胞周
期に入るように細胞を刺激し得たことを示す。SCPF+IL-3の組合せは、大CD34+
細胞の総数ならびに小CD34+細胞の総数の増大において相加的そしておそらく相
乗的な作用を有する。
8.実施例:ヒトML-1細胞株由来幹細胞増殖因子
以下に記載の実験は、ヒト細胞株ML-1由来のSCPFが、約23kDaの分子量および
約7.7のpI(尿素の存在下の2Dゲル電気泳動により決定された)ならびに約27kDa
(一次元ゲル電気泳動から決定された)を有することを示す。
8.1 ML-1細胞株の起源
CD34+富化骨髄細胞の不均一な集団をヒト死体椎体から調製した(一般的にLa
Russa,ら,Exp.Hem.,20:442,1992;Stanley,ら,J.Immunol.,149:689,199
2;Kessler,ら,Blood(増補1)、70:321a,1987)。これらの細胞を、20%ウ
シ胎児血清(FBS)、L-グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、および1
00ng/ml 細胞株751由来SCPFを補足したIscoves改変Dubbeccos最少必須培地(IMD
M)において、大気中5%CO2雰囲気下で37℃でインビトロ培養した。
3日ごとに外因性の細胞株751由来SCPFを42日間にわたって補足した(100ng/m
l)。この期間中、細胞の計数を毎日単位で行った。生存細胞数は培養9〜10日
頃減少した。細胞増殖によって示されるように、培養ほぼ14日目に、細胞は細胞
株751由来SCPFに応答性になるようであった。
初期培養から42日後、残存細胞を、細胞株751由来SCPF(100ng/ml)を1週間
に一度補足した上記培地において継代培養し、維持した。継代培養からほぼ4〜
6週間、細胞は外因性の細胞株751由来SCPFの非存在下で成長し得ることが明ら
かとなった。このことは細胞株(ML-1)がそれ自身の成長因子を生産し得ること
を示唆した。次いで、ML-1細胞株を分析し、存在する固有の細胞表面マーカーの
レパートリーを決定し、CD34+、HLA-、DR+、CD38-、CD2-、CD3-、CD4-、およびC
D8-であることが分かった。表11は、フローサイトメトリー表現型分析の結果
を示す。
さらに、ML-1細胞を核型分析し、種々の逆位および転座が見られた。特定のパ
ターンは、以下の通りである:46,XY,del(4q),-5,del(7q),-8,+i(8q)x2,
-12,+der(12)t(8q;12q),del(16q),-17,+der(17)t(5q;17q),20p+。
8.2 SCPFのゲル精製
ML-1細胞を後期対数期まで成長させ、そして2μg/mlアプロチニンを含有する
TBS中0.1%Triton X-100で可溶化した。細胞ライゼートを、分子量の概算値を得
るためにID Tris-トリシンゲル(Schaggerおよびvon Jagow,Anal.Biochem.,1 66
:368,1987)上で、そして等電点の概算値を得るために等電点電気泳動ゲル(
pI 3〜10、FMC)上で電気泳動した。
全細胞ライゼートのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)中での一次元ゲル電気泳
動をTris-トリシンゲル(Schaggerおよびvon Jagow,Anal.Biochem.,166:368
,1987)を用いて行った。アクリルアミド濃度は、濃縮用ゲルについては5%T
、3%Cであり、分離用ゲルについては10%T、3%Cであった。ゲルをクマシ
ーブルーで染色するか、あるいはImmobilon-P(PVDF)膜にブロットし、抗SCPF
抗体(SAM.1)を用いてウエスタン法によりプローブした。ウエスタンブロット
は標準法により行った。PVDF膜を、0.05%Tween-20を含有するTris生理食塩水、
pH
8中で作製された5%blotto(Carnation脱脂粉乳)でブロックした。一次抗体
(SAM.1)をblottoで1/1,000に希釈し、室温で2時間または低温下で一晩ブロ
ットと共にインキュベートした。二次抗体を、アルカリホスファターゼ結合抗ウ
サギ抗体であり、これをblottoで1/5,000に希釈し、上述と同様にしてブロッ
トとインキュベートした。免疫応答性タンパク質は、ブロットをアルカリホスフ
ァターゼに対する基質と標準法によりインキュベートすることにより明らかにさ
れた。新鮮な調製物において、抗体は、約27kDaの1つのバンドを明らかにした
。他方で、4℃で短時間保存した調製物は2つのバンドを生じ、これは主要バン
ドは約27kDaであり、そして別の弱いバンドはほぼ14.5kDaのバンドであった。14
.5kDaバンドの強度は保存が長いほど増大し、これによりこのバンドはある種の
タンパク質分解事象により27kDaバンドから誘導されたことが示唆された。
ヒトSCPFのpIを決定するために、まずトリトンライゼートをAmiconミクロ濃縮
器に通して画分を濃縮し、0.06%CHAPSを含有する10mM Tris緩衝液(pH 7)で塩
を取り除いた。タンパク質を、平床電気泳動(BioRad)によりIsoGel Agarose I
EF(FMC)ゲル(pI範囲3〜10)を用いて等電点に集めた。等電点に集めた後、
タンパク質を、Tris生理食塩水、pH 7.5中で30分間圧ブロットすることによりIm
mobilon P膜に移した。SCPFを、抗SCPF抗体(SAM.1)およびアルカリホスファタ
ーゼ結合二次抗体を用いてウエスタンブロットにより同定した。この方法を用い
て、2つのバンドがpI 5.15(14.5kDa)およびpI 9(27kDa)で同定された。
2Dゲル電気泳動については、上述のようにして0.1%Triton X-100中に可溶化
した細胞ライゼート由来のタンパク質を、Semple-Rowlandら,Electrophoresis
,12:307,1991の手順に従って2Dゲル電気泳動により分離した。第一次元は、pH
が5と9との間に及ぶ7M尿素中5%アクリルアミド等電点電気泳動ゲルであっ
た。キャリア両性電解質(Pharmacia)をpH範囲3〜10の4%v/v濃度で用いた。
300μgの全タンパク質を第一次元ゲル混合物に重合前に添加した。サンプルを室
温で16時間750vで泳動し、最後に1時間1000vで泳動した。pHを表面電極を用い
て測定した。第二次元は、12%アクリルアミドSDSスラブゲル(厚さ1mm)であり
、これをブロモフェノールブルー染料マーカーがゲルの底に達するまで一定電流
(20mA/ゲル)で泳動した。ゲルをクマシーブルーまたは銀のいずれかで染色す
るか(Wrayら,Anal.Biochem.118:197,1981)、あるいはImmobilon P(PVDF
)膜(Millipore)に電気ブロットした。分子量標準(200、97、69、46、30、お
よび21.5kDa、Amarsham Rainbowマーカー)を第二次元においてゲルに目盛りを
つけるために用いた。
2Dゲルおよびブロットは、全細胞ライゼート中で2つのスポットのみが抗体と
相互作用することを示した。このゲルを8M尿素中で流してタンパク質構造を分
離させると、完全分子に埋め込まれたいくつかのアミノ酸が暴露された。その結
果、小さなバンドは、17kDaの見かけ分子量および約7.05のpIを有していた。大
きなバンドは23kDaの見かけ分子量および約7.7のpIを有していた。平床IEFゲル
と2Dゲルとにおいて得られる値の差異は、おそらく尿素の存在による。平床IEF
系では、尿素が用いられないので、その結果、タンパク質は折り畳みが解除され
ない。
Aurodyeで染色した同じゲルおよびブロッティング後の銀染色ゲルの第2ブロ
ットの試験は、23kDaの分子量を有する十分に分解された強いスポットおよび17k
Daのやや弱い強度のスポットを明らかにし、これらのスポットは抗体により明ら
かにされた位置に相当する。これらのスポットはまた、クマシーブルーで染色し
た伴ゲルにおいても見られた。
8.3 SCPFのイオン交換精製
SCPFをDEAEセルロース(DE52、Whatman)およびCM-セルロース(BioRad、充填
済カラム)上のクロマトグラフィーでML-1ライゼートから精製した。14.5kDaタ
ンパク質(pI 5.15)は10mM Tris-HCl、pH 7、0.06% CHAPS、および1mM PMSF
中でDEAEに吸着した。カラムを0〜1.0MのNaCl直線グラジエントで展開した。1
4.5kDaタンパク質は0.2Mと0.35Mとの間のNaClで溶出した。27kDaタンパク質(
pI 9)は、DEAEに結合しなかったが、他方大部分の細胞性タンパク質は結合し
、従ってこの工程で除去される。素通り画分を集め、10mM MES、pH 6.0に対して
透析し、そして同じ緩衝液で平衡化したCM-セルロース上でクロマトグラフィー
によって分析した。CM-セルロースカラムもまた上述と同様にNaCl直線グラジエ
ントて展開した。再度、27kDaタンパク質は、これらの条件下ではこのカラムに
認められる程度には結合しないが、結合した細胞性タンパク質の第2のセット
から分離される。
サンプルを、タンパク質を結合させるMono Sカラムを通してクロマトグラフィ
ーから回収した。このカラムをNaClの直線グラジエント(0.1から0.5M)で50分
間展開する。2つのタンパク質ピークが抗SAM抗体と十分に交差反応した。第1
のピークは50mM NaClで溶出し、そして第2のピークは100mM NaClで溶出した。
第2のピークは、ウエスタンブロット上で抗体とのより強い反応を与えた。2つ
の画分は、2-Dゲル電気泳動および抗SAM抗体を用いるウエスタンブロット分析に
より決定されたいくつかの同じタンパク質を含有していた。
8.4 ML-1由来のヒトSCPFの生物活性
上述した平床免疫電気泳動ゲル由来の画分を、市販のバイオアッセイ法(Alma
r Biosciences Inc.,Sacramento,CA)を用いてテストした。このアッセイは、
代謝活性の検出に基づいて蛍光/比色成長指標を取り込む。このレドックス指標
は、細胞成長培地が細胞増殖によって還元されると、蛍光を発光し、そして変色
を生じさせる。
KG-1A細胞(ATCC CCL 246-1)を容量100μlで96ウエルマイクロプレートに1
×105細胞/ウエルで播種した。2組のウエルにサンプル希釈液(100μl)を添
加し、増殖速度の増大により示されるように生物活性についてテストした。次い
で、プレートを空気中5%CO2の湿潤雰囲気下で37℃で48時間インキュベートし
た。インキュベートした後、Alamar blue試薬を培養容量の10%に等しい量(20
μl)で添加し、このプレートをさらに6時間インキュベーターに戻した。変色
は570nmの波長で測定した。バックグラウンド吸光度を600nmで測定し、そしてこ
れを差し引いた。図20AおよびBに示したデータはバックグラウンドを差し引
いた吸光度である。テストしたサンプルはIEFゲルのpH 9.0(A)および5.0(B
)由来の領域であった(これらはML-1細胞からのライゼートが等電点で集められ
た領域である)。これらの領域(I-9.1〜I-9.4およびI-5.1〜I-5.6)はまた、SA
M.1抗体を用いて免疫反応性についても分析した(ウエスタンブロット分析)。
生物活性はpI-9.0領域でのみ見られた。サンプルI-9.3が最大の生物活性を有す
るようであった。テストしたpI 5.0画分のいずれにおいても活性は見られなかっ
た。このバイオアッセイ法を用いて、上述した2-Dゲルから単離および精製した
タンパク質(pI 7.7、23kDa)がヒトSCPFペプチドであることが分かる。
さらに、クロマトグラフィー後に回収した部分精製調製物を、免疫選抜ヒト骨
髄CD34+細胞の細胞増殖の刺激について、既出の記載のようにして、クロノジェ
ニックアッセイにおいてテストした(Colony Assays of Hematopoietic Cells U
sing Methylcellulose Media.An Introductory Technical Manual.Prepared b
y the staff of the Terry Fox Laboratory Media Preparation Service,Vanco
uver,B.C.,Canada V5Z 1L3,1992を参照のこと)。簡単にいえば、希釈細胞を
、培養皿で必要とされた最終濃度の10倍でReady-Mix Methylcelluloseを予め分
注したチューブに添加した(例えば、2組のアッセイ培養が所望される場合、3
mlのReady-Mixを入れた15ml容チューブに1mlあたり2×106細胞を0.3mlを添加
するか、または4組のアッセイが所望される場合、5mlのReady-Mixを入れた15m
l容チューブに0.5mlを添加することによる)。これにより1.1mlの最終プレート
混合物当たり2×105細胞の最終濃度が得られる。10倍濃度の細胞懸濁液を加え
ることにより、細胞は最終容量の10分の1の容量で加えられる。Ready-Mix Meth
ylcelluloseを大量に購入した場合(例えば1ボトル当たり100ml)、この全体の
量を、16ゲージの平端針をつけた5ml容のディスポーザブルシリンジを用いて、
15ml容チューブに5ml容量のうち3mlとして前もって分注しておかねばならない
。細胞をチューブに添加した直後、内容物を強くボルテックス撹拌して、細胞を
むらなく懸濁させた(3mlの最終メチルセルロース混合物の約3分の2がチュー
ブの側壁に付着している)。ボルテックス撹拌した後、チューブを数分間放置し
、存在するいかなる大きな気泡をも表面に浮き上がらせる(5分で十分である)
。(これは細胞が培養される混合物であるため、細胞は、必要であれば、プレー
トする前に室温で数時間この状態で、続くコロニー形成に悪影響を及ぼさずに放
置され得ることに留意されたい)。次に、最終細胞含有混合物を1.1ml容量で、
滅菌35mmペトリ皿中にプレートした。プレートした各チューブについて、16ゲー
ジ平端針をとりつけた新たな滅菌ディスポーザブル3ml容シリンジを用いた。次
いで、この皿を100mmペトリ皿の中に2つずつ置いた。3番目の35mm皿(蓋なし
)を水皿のために加えた。水皿の目的は、続く2〜3週間のインキュベート期間
の間、最大湿度が得られるようにすることである。アッセイ培養に用いられる35
mm
ペトリ皿は、それらが線維芽細胞を付着および成長させ得ないことについて予備
テストした。これは、骨髄細胞がたいていの供給者により市販されているいわゆ
るペトリ(非組織培養用)皿において培養される場合に容易に生じ、そしてこれ
が生じる場合、造血コロニー形成はしばしばあいまいになるか、または阻害さえ
される。皿を回転および傾斜させることにより、粘性のメチルセルロース混合物
が各皿の表面にわたって均一に広がり、メニスカスを皿の全ての面の壁に付着さ
せる。3mlの滅菌水を各水皿に添加した。
培養物を37℃湿潤インキュベーター中の水平なトレー上に置き、大気中5%CO2
の内部雰囲気を維持した。インキュベーション10〜12日後、培養皿を取り出し
、1度に1つずつ60mm区画化組織培養皿の中に置き(蓋をつけたまま)、倒立顕
微鏡を用いてインサイチュでのコロニーを記録した。コロニー数は、最も多い成
熟型の赤血球コロニー形成細胞由来(すなわちCFU-Eおよび成熟BFU-E由来)のよ
り小さい赤血球コロニーを含んでいた。次いで、皿をさらに8〜10日間インキュ
ベーターに戻した。この時間の最後で、より大きな赤血球コロニー(原始BFU-E
由来)、全顆粒球形成コロニー(CFU-GM由来)、および多系統細胞含有コロニー
(CFU-GEMM由来)は同じ皿において最も容易に区別され、そして最も正確に計数
された。
調製物は、短期間(3日)および長期増殖アッセイにおいてDNA合成を5〜10
倍刺激することを示した。この約23kDaの画分はまた、上述のようにして骨髄細
胞および臍帯血液細胞のメチルセルロースに基づくアッセイにおいてCFU-GEMM、
CFU-GM、およびBFU-E前駆細胞数を増大させた。臍帯血由来CD34+細胞をこの画分
で処理したとき、CD34+/CD38-表現型を有する細胞の5倍の増大が12日間にわた
って観察された。
タンパク質スポットはまた、50mM NaClおよび100mM NaClでMono Sカラムから
溶出した物質の2-Dゲルから切り出し、各画分を用いて刺激したPDL-1(CD34+)
細胞を用いる標準コロニー形成アッセイを用いて生物活性について分析した。あ
るいは、生物活性は、トリチウム化チミジン取り込みまたは比色アッセイにより
測定され得、これは上述したように、単離したばかりの34+または当業者に公知
の他の利用可能なCD34+細胞を用いて行われ得る。生物活性を、50mMで溶出した
ピークから同定されたSAM.1反応性スポットおよび100mMで溶出したピークから同
定されたSAM.1反応性スポットについて測定した。100mM画分における主要スポッ
トのみが単離され、PDL-1生物活性アッセイにより、ポジティブであることが分
かった。これらのタンパク質を配列決定し、いくつかは脂質結合性タンパク質で
あることが分かった。
50mM画分からSCPFについて予想される分子量範囲に分離した約13個のスポット
(図21)もまた単離し、生物活性についてテストした。ゲルのウエスタンブロ
ットは、いくつかのスポットがSAM.1抗体と相互作用することを示した。伴ゲル
をPVDFに対して電気ブロットし、そしてクマシーブルーで染色した(例えば、Co
ligan,ら,1992,前出、Unit 8.10,参考として援用)。スポット9は、抗体ポ
ジティブであり、これを伴われるPVDFブロットから切り出した。スポット9はま
た生物活性であることが見出されたが、このタンパク質はN末端でブロックされ
ていたので、配列分析を行うことはできなかった。スポット9におけるタンパク
質の配列は現在では慣例的な方法により決定され得、この方法としては、酵素分
解フラグメント化およびタンパク質がブロックされるときに通常用いられる標準
法によるペプチド配列分析が挙げられる。このような方法は当業者に周知である
。スポット8は、SAM.1抗体とは反応性ではなかったが、PDL-1アッセイにおいて
生物活性であった。スポット8の配列分析は、これがマンガン(Mn)スーパーオ
キシドジスムターゼであることを明らかにした。
関連SCPFスポットのpIは、2-Dゲル電気泳動により決定されるように、図20
に示す。pIは、サンプルが尿素で変性された後、2-Dゲルから決定した。(これ
は、IEFにより分析した場合(ここではタンパク質は尿素で変性されていない)
の天然状態のタンパク質とは異なる)。13個のスポットは約6.2〜7.8の範囲のpI
および23〜27kDa範囲のMWを有していた。
8.5 SCPFと種々のサイトカインに対する抗体との反応性
SCPFが既に同定されたサイトカインであるかまたは新規なタンパク質であるか
を決定するために、ウエスタンブロット分析を行った。表12は、抗SAM.1、抗h
IL-3、抗hIL-11、抗hGM-CSF、抗hSCF、抗hIL-1a、抗hIL-β、および抗hG-CSFと
それら自身(ポジティブコントロールとして)およびSCPFとの反応性の結果を示
す。SAM.1以外の抗体はどれもSCPFと反応しなかった。
9.細胞株の寄託
751細胞株およびML-1細胞株はアメリカンタイプカルチャーコレクション(Ame
rican Type Culture Collection,Rockville,MD)に寄託されており、以下の受
諾番号を有する:細胞株
受諾番号
751-NA-15 CRL 10992
ML-1 CRL 11451
本発明は、本発明の個々の局面の1つの説明として意図されている記載の特定
の実施態様によって限定されず、そして機能的に等価な任意の細胞株、DNA構築
物、または因子は本発明の範囲内にある。実際、本明細書中に示されそして記載
されている説明に加えてなされる本発明の種々の改変は、前述の記載および添付
の図面から当業者に明らかとなるものである。このような改変は添付の請求の範
囲の範囲内にあることが意図される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
A61K 39/395 ADU 9356−4H C07K 16/24
ADV 9637−4B C12P 21/00 A
C07H 21/04 9358−4B 21/08
C07K 14/52 0276−2J G01N 33/53 D
16/24 9281−4B C12N 5/00 E
C12N 5/06 9051−4C A61K 37/02 ACC
C12P 21/00 AAA
21/08 ABD
G01N 33/53 ABY
//(C12P 21/00
C12R 1:91)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ローマン,パトリシア ディー.
アメリカ合衆国 フロリダ 32817,オー
ランド,ミッション ベイ ブールバード
3396,アパートメント 187
(72)発明者 デンスロー,ナンシー ディー.
アメリカ合衆国 フロリダ 32607,ゲイ
ンズビル,エヌ.ダブリュー.7ティーエ
イチ プレイス 3515