JPH0953123A - 加工性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

加工性に優れた熱延鋼板の製造方法

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JPH0953123A
JPH0953123A JP7206229A JP20622995A JPH0953123A JP H0953123 A JPH0953123 A JP H0953123A JP 7206229 A JP7206229 A JP 7206229A JP 20622995 A JP20622995 A JP 20622995A JP H0953123 A JPH0953123 A JP H0953123A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ar3 点を効果的に低下させることによっ
て、加工性に優れた熱延鋼板、特に板厚の薄い熱延鋼板
およびこれを低コストで安定して製造する技術を提供す
る。 【解決手段】 一定量以上のCとBを添加した鋼を用い
て、仕上げ熱延における中段および後段の圧延条件を限
定することによりAr3 点を低下させる。これにより、
加工性に優れた熱延鋼板を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性に優れた熱
延鋼板を低コストで製造する方法に関わり、その用途
は、自動車、家電、建材、容器等である。また、これを
冷間圧延用の素材として用いることも可能である。
【0002】
【従来の技術】近年、自動者用鋼板に代表される加工用
鋼板の分野においては、素材費削減の観点から、従来よ
り用いられてきた冷延鋼板に代わって、薄手熱延鋼板の
需要が増加しつつする。しかしながら、このような薄手
熱延鋼板においては、圧延時の冷却が著しく速く進行す
るため、仕上げ温度がAr3 変態点(以下、Ar3 点)
を大きく下回ることが多く、伸びの劣化、材質特性の異
方性、操業の不安定性等の問題の原因となっていた。
【0003】このような問題を改善すべく、Ar3 点を
低下させる目的でBを添加した熱延鋼板が開発されてい
る。特開昭63−76822号公報は、その代表的な技
術で、極低炭素鋼あるいは、低炭素鋼に0.0015〜
0.0045%のBを添加し、仕上げ温度をAr3 点以
上とすることにより、優れた加工性を有する熱延鋼板を
得るものである。
【0004】また、特開昭63−216925号公報、
特開昭63−143224号公報、特開昭63−143
225号公報には、Bの効果を助長する技術として、T
iやNbを添加する方法や熱延加熱温度を限定する方法
についての開示がある。さらに、特開平2−10461
4号公報には、B添加鋼における材質の異方性を改善す
るために、仕上げ圧延の最終スタンドでの圧下率を規定
する技術が開示されている。
【0005】このようにBはAr3 点を低下させるた
め、熱延の仕上げ温度をAr3 点以上とすることによ
り、板厚方向に均一な組織を得ることが可能となる。し
かしながら、Bの効果は、熱間圧延の最終仕上げ条件の
みならず、圧延途中の製造条件によって大きく変化する
ことが新たに明らかとなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の薄手熱延鋼板に
おいては、板厚が薄いために冷却が速く進行し、熱延仕
上げ温度がAr3 点を大きく下回り、加工性の劣化を招
いたり、操業を不安定にする要因となっていた。本発明
の目的は、BによるAr3 点の低下量を従来よりも大き
くさせることにより、加工性に優れた薄手熱延鋼板を安
定して得るための製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による加工性に優
れた熱延鋼板の製造方法は以下の通りである。 (1)重量%で、C=0.01〜0.15%、Mn=
0.03〜2.0%、Si≦0.5%、Al=0.00
3〜0.2%、P≦0.10%、S≦0.02%、N≦
0.007%、B≦0.0015超〜0.01%を満た
す範囲で含有し、残部は鉄および不可避的不純物よりな
るスラブの熱間圧延に際し、X段からなる仕上げ熱延機
の(X−4)段目および(X−3)段目の圧延を、84
0℃以上940℃未満の温度範囲で、かつそこでの圧下
率で合計で60%以上とし、(X−2)と(X−1)段
目の圧下率を合計で45%以下とし、最終仕上げ圧延温
度を(Ar3 点−20℃)以上とすることを特徴とする
加工性に優れた熱延鋼板の製造方法。
【0008】(2)さらに重量%で、Ti=0.003
〜0.05%、Nb=0.003〜0.05%のうち1
種または2種を含有することを特徴とする上記(1)記
載の加工性に優れた熱延鋼板の製造方法。 (3)粗圧延した粗バーをコイル状に巻取った後、巻戻
し、巻終わり端より連続的に仕上げ熱延を行うことを特
徴とする上記(1)または(2)記載の加工性に優れた
熱延鋼板の製造方法。
【0009】(4)粗圧延した粗バーをコイル状に巻取
った後、巻戻し、その巻終わり端と先行する粗バーの末
端とを接合し、連続的に仕上げ熱延を行うことを特徴と
する上記(1)または(2)記載の加工性に優れた熱延
鋼板の製造方法。
【0010】本発明における熱延鋼板の製造方法は、C
量,B量、さらに仕上げ熱延中の圧下配分を限定するこ
とにより、Ar3 点を効率的に低下させることにより加
工性に優れた熱延鋼板を製造するものである。以下に本
発明における限定理由を述べる。
【0011】まず化学成分の限定理由について述べる。
Cは、本発明において最も重要な元素の1つである。C
は、単独またはBとの複合添加によって、Ar3 点を低
下させる効果を有する。したがって、0.01%以上添
加する。0.01%未満の添加では、Ar3 点を低下さ
せる効果が顕著でなく、また、脱炭コストの上昇を招
く。一方、Cが0.15%を超えると加工性や時効性の
劣化を招くので、これを上限とする。Ar3 点を低下さ
せ、優れた加工性を確保するために好ましいCの範囲
は、0.02超〜0.08%未満である。
【0012】Siは、その量の増加にともなって降伏強
度が上昇し、伸びが低下し、Ar3点を上昇させ、表面
スケール起因の疵を誘発し、さらにメッキ性を損なうの
で0.5%以下とする。さらに優れた表面性状を確保
し、Ar3 点を高くせず、優れた延性を得るための好ま
しい範囲は0.05%以下である。
【0013】Mnは、Ar3 点を低下させるのに有効な
元素であるので、積極的に添加してもよい。ただし、
2.0%を超えると合金コストが著しく上昇し、伸びや
メッキ性の劣化を招くのでこれを上限とする。また、
0.03%未満では、固溶Sに基づく熱間脆化を誘発
し、また製鋼コストを上昇させるので、これを下限とす
る。特にAr3 点を著しく低下させたり、強度を高める
必要がない場合には、0.10超〜0.70%未満が好
ましい範囲である。
【0014】Pは、偏析の激しい元素であるため、0.
10%超では熱間割れの原因となり、2次加工性も著し
く阻害される。さらに、Ar3 点も上昇してしまう。ま
た、溶融亜鉛メッキの合金化速度が著しく遅滞化される
ため0.10%以下とする。したがって、特に強度を上
昇させる必要のない場合には、0.03%以下が適正な
範囲である。
【0015】Sは、その添加量を0.02%以下とす
る。S量が0.02%超では、熱間割れが生じ易くな
る。優れた延性を確保し、また、MnがAr3 点を低下
させる効果を助長するためのSの好ましい範囲は0.0
10%以下である。
【0016】Alは、少なくとも0.003%を添加す
る。Alが0.003%未満では、NがAlN以外にB
Nを形成してしまい、Bの効果が低下する。しかし、
0.2%を超えるとコストアップとなるばかりか介在物
の増加を招き、加工性を劣化させる。Bの効果をさらに
顕著にするための好ましい範囲は0.01〜0.1%で
ある。
【0017】Nは、その増加とともにAl等の窒化物形
成元素を増量しなければならずコスト高となるし、BN
として析出するB量が増加し、Ar3 点を低下させるの
に有効な固溶B量が減ってしまうので少ないほど望まし
い。したがって、0.007%以下とする。Bの低Ar
3 化効果を助長するためには、Nは0.0025%未満
とするのが好ましい。
【0018】Bは、本発明において最も重要な元素の1
つである。Bは、Cとの複合添加によって、Ar3 点を
顕著に低下させる効果を有する。したがって、0.00
15%超添加する。0.0015%以下の添加では、A
3 点を低下させる効果が顕著でなく、Ar3 点を83
0℃以下とすることが困難となる。一方、Bが0.01
%を超えると加工性の劣化を招くので、これを上限とす
る。Ar3 点を充分に低減させ、優れた加工性を確保す
るために好ましいBの範囲は、0.0020超〜0.0
050%未満である。
【0019】さらに、BとCは、B(%)×C(%)
が、4×10-5以上となるように添加することが望まし
い。すなわち、BやCは、いずれもAr3 点を低下させ
る元素であるが、両者が複合添加されてより顕著な効果
を発現するからである。B(%)×C(%)>8×10
-4がさらに好ましい範囲である。
【0020】Ti,Nbは、0.003〜0.05%の
範囲で添加してもよい。Ti,Nbはそれ自身がAr3
点を低下させる効果を有する他、Nを化合物として固定
する効果を有し、BNとして析出するB量を減少させる
ことを通じてAr3 点を低下させる。0.003%未満
の添加では、Ar3 点を低下させる効果が充分ではな
く、0.05%超添加しても大きな効果はなく、微細析
出物が増加し、加工性を劣化させたり、コストアップを
招くのでこれを上限とする。Bの低Ar3 化効果を発現
させ、優れた加工性を得るためには0.005超〜0.
025%未満がより好ましい範囲である。さらに、Ar
3 点を低下させる元素である、Cr,Ni,Cu,V,
Mo,Zr,Wを1種類以上合計で1%以下添加しても
よい。
【0021】上記成分を得るための原料は特に限定しな
いが、鉄鉱石を原料として、高炉転炉法により成分を調
製する方法以外にスクラップを原料としてもよいし、こ
れを電気炉で溶製してもよい。スクラップを原料の全部
または一部として使用する際には、Cu,Cr,Ni,
Sn,Sb,Zn,Pb,Mo等のトランプエレメント
を含有してもよい。
【0022】次に製造プロセスに関する限定理由を述べ
る。熱間圧延に供するスラブは、特に限定するものでは
ない。すなわち、鋳型鋳造鋳塊、連続鋳造スラブや薄ス
ラブキャスターで製造したものなどであればよい。ま
た、鋳造後に直ちに熱間圧延を行う、連続鋳造−直接圧
延(CC−DR)のようなプロセスにも適合する。
【0023】熱間圧延における加熱温度は、1000〜
1350℃の範囲で、仕上げ熱延温度をAr3 点以上と
するために必要な温度とすればよい。固溶Bを確保する
観点で、加熱温度は1200℃超とすることが好まし
い。
【0024】熱間圧延の粗圧延終了後には、一度巻取っ
てもよい。このときの巻取り条件は特に限定するもので
はないが、曲率半径が2.0m以下、1100℃以下9
50℃以上の温度で0.5秒以上保持するのがよい。こ
れによってAlN、さらにはTi,Nbを添加する際に
はTiN,NbN等が析出、粗大化するため、BNの形
成が抑制され、かつ材質も良好になる。
【0025】巻取り後は、加熱炉内で積極的に加熱して
もよいし、ボックス内で加熱を行わずに保温してもよい
し、単に大気中で巻取ってもよい。加熱炉や保温ボック
スを用いる際には雰囲気をアルゴンガス、窒素ガス、水
素ガス等あるいはこれらの混合ガス等の不活性雰囲気と
することも、優れた表面特性や板厚精度を確保する観点
で好ましい。このように粗バーを巻取った場合には、再
度巻戻し、巻戻し端より仕上げ圧延機に装入する。
【0026】粗バーの巻取り、巻戻し後には、その先端
部と先行する粗バーの後端部とを接合して、連続的に仕
上げ熱延を行ってもよい。これによって、端部材質の劣
化によって生ずる歩留まりの低下を防止することができ
る。さらに、本発明の特徴である仕上げ中段の大圧下、
後段の軽圧下という条件のときには、特に連続熱延を行
うことで板厚精度や操業安定性が向上する。粗バーの接
合方法は特に限定されるものではないが、レーザー溶
接、アーク溶接、フラッシュバット溶接、圧接等で行う
のが好ましい。
【0027】熱間圧延における仕上げ圧延の条件は、本
発明において特に重要である。まず、X段(通常、Xは
6または7)からなる仕上げ圧延において、(X−4)
および(X−3)段目を840℃以上940℃未満の温
度域にて圧下率を合計で60%以上とし、(X−2)と
(X−1)段目の圧下率を合計で45%以下とすること
が必要である。
【0028】ここで合計の圧下率R(%)とは、(X−
4)段手前の板厚t1(mm)、(X−3)段直後の板厚
t2(mm)とすると、R(%)=(t1−t2)/t1
×100または、(X−4)段目の圧下率r1(%)、
(X−3)段目の圧下率r2(%)としたとき、R
(%)={1−(1−r1/100)(1−r2/10
0)}×100と定義される。
【0029】(X−4)および(X−3)段での圧下率
を大きくすることによりγの再結晶を促進させ、かつ結
晶粒成長を促すことにより、変態の核生成サイトである
結晶粒界面積が減じ、同時に結晶粒界のB濃度が高くな
ることでAr3 点が顕著に低下すると思われる。圧下率
が合計で60%未満ではこの効果が顕著ではない。
【0030】さらに、(X−4)段と(X−3)段の合
計圧下率が一定の場合には、前段側、すなわち、(X−
4)段での圧下を高くする方がよい。これは前段側すな
わち所定の範囲内でより高温側で大圧下する方が再結
晶、粒成長の促進に有利であるためと思われる。(X−
4)段目の加工は45%以上とすることが望ましい。ま
た、(X−4)と(X−3)段の圧延は840℃以上9
40℃未満の温度域で行う。
【0031】この温度が840℃未満では、γの再結
晶、粒成長が進行し難く、Ar3 点が充分に低下せず、
仕上げ圧延途中でAr3 点を大きく下回ってしまうた
め、優れた材質が確保できず、また、操業も不安定とな
る。一方、(X−4)と(X−3)段の温度が940℃
以上となると、動的回復により再結晶、粒成長が起こり
難くなる。γの再結晶、粒成長を促進するためには、8
60℃以上930℃未満がさらに好ましい範囲である。
【0032】仕上げ後段では温度が低いため、大圧下し
ても再結晶、粒成長が充分に進まなかったり、再結晶し
ても結晶粒径が著しく微細となりむしろAr3 点が高く
なってしまう。したがって、(X−2)段および(X−
1)段の合計の圧下率を45%以下の軽圧下とするのが
よい。このような仕上げ後段の軽圧下は、仕上げ中段で
形成された再結晶組織の粒成長を促す作用を有する他
に、操業の安定性にも効果がある。仕上げ中段で形成さ
れた組織の微細化を抑制するためには35%以下とする
のがより効果的である。
【0033】仕上げ熱延中の880℃以下での冷却速度
は、30℃/s超とするのが好ましい。30℃/s以下で
は、たとえC量とB量が適当であっても、Ar3 点が充
分に低下せず、圧延中にAr3 点を下回ったり、製品板
の結晶粒径が著しく微細になったりすることがある。A
3 点をより効果的に低下させるためには、冷却速度を
40℃/s以上とすることが好ましい。冷却速度の上限は
操業の安定性や鋼板の加工性の観点から100℃/s程度
までとするのがよい。
【0034】最終仕上げ圧延温度は、(Ar3 点−20
℃)以上とする。(Ar3 点−20℃)未満では、表層
に粗大粒が形成されて材質が劣化したり、加工時に肌荒
れが生じたり、また、操業が不安定になったりする。ま
た、材質(伸び、r値等)の異方性も大きくなる。これ
らの観点で、Ar3 点以上とするのがさらに望ましい。
【0035】仕上げ熱延後の冷却速度は、特に限定する
ものではないが、材質上は、なるべく徐冷するのがよ
い。これは、冷却速度が速すぎると、粒成長が起き難
く、著しく微細な結晶粒になったり、一部だけが粒成長
して混粒組織となったりして、鋼板の加工性が劣悪なも
のとなる。
【0036】熱延後の巻取り温度も特に限定するもので
はない。しかし、時効性を確保するためには250℃以
上で巻取り、また、粒成長を促し、より優れた加工性を
確保するためには550℃以上で巻取るのがよい。さら
に、優れた深絞り性の必要な冷延鋼板用の素材として用
いる場合には、650℃以上で巻取ることが好ましい。
【0037】調質圧延は目的に応じて行う。すなわち、
形状矯正や表面粗度の調整、さらには時効性の確保の観
点から圧下率0.5%以上の調質圧延を施すことが好ま
しい。なお、調質圧延は、仕上げ熱延後にインラインで
行ってもよいし、巻取り後や酸洗後にオフラインで行っ
てもよい。巻取り後には酸洗してもよい。
【0038】本発明による熱延鋼板は、巻取り後や酸洗
後あるいは調質圧延後にそのまま製品としてもよいし、
これに種々の表面処理を施してもよい。さらに、この熱
延鋼板を冷延素材として用いても構わない。例えば、缶
用の冷延素材として用いれば、異方性の小さい(耳高さ
の低い)冷延板を製造することができる。本発明におけ
る熱延鋼板は、延性、張出し成形性、穴拡げ性等の加工
性に優れ、かつ常温非時効性をも兼ね備えている。
【0039】
【実施例】
(実施例1)0.05%C−0.25%Mn−0.00
25%Bを主成分とする鋼における7段からなる仕上げ
熱延を行う際に3段目および4段目相当の加工の合計の
圧下率とAr3 点との関係について検討した結果が図2
である。仕上げ相当の加工熱処理は、図1に示す条件で
実験室的に行った。
【0040】すなわち、1250℃で加熱した後、97
0〜840℃の温度でパス間時間を5〜0.5sとする
6段の加工を行った。加工を6段としたのは、7段の仕
上げ圧延を行う際に7段目入り側でAr3 点を大きく下
回らないことが重要であるので、6段加工後のAr3
を調査するためである。
【0041】なお、3段目および4段目の合計の圧下率
(R(%)とする)とは、3段目手前の板厚t1(m
m)、4段直後の板厚t2(mm)とすると、R(%)=
(t1−t2)/t1×100または、(X−4)段目
の圧下率r1(%)、(X−3)段目の圧下率r2
(%)としたとき、R(%)={1−(1−r1/10
0)(1−r2/100)}×100で定義される。図
2より明らかなとおり、このRが60%以上となるとA
3 点の低下に顕著な効果があることが明らかとなっ
た。
【0042】(実施例2)表1に示す化学成分を有する
極低炭素鋼および低炭素鋼を真空溶解にて溶製し、熱間
圧延を施した。熱間圧延条件は、加熱温度1210℃、
7段からなる仕上げ熱延における3段目と4段目の圧下
率を合計で75%、なお、3段目と4段目の圧延は、8
50〜940℃の間で行った。5段目、6段目の圧下率
を合計で30%とした。
【0043】仕上げ熱延中の880℃以下での平均冷却
速度は約38℃/s、仕上げ圧延後から巻取りまでの平均
冷却速度は約16℃/s、巻取り相当処理温度は640℃
である。なお、板厚は0.8〜1.4mmとし、仕上げ最
終圧延温度は750〜820℃とした。
【0044】巻取り後、酸洗し、圧下率1.0%の調質
圧延を施し、引張試験に供した。ここで、引張試験は、
JIS5号試験片を用いて行った。Ar3 点の測定は1
〜6段目の仕上げ圧延と同等の加工熱処理を施して、変
態による膨張量を測定することにより行った。
【0045】表2から明らかなように、本発明の成分を
有する鋼を適切な条件で熱延した場合には、優れた材質
を得られることが分かる。これに対して、比較例では、
Ar3 点が充分に低下しないため、仕上げ温度がAr3
点を大きく下回り、材質が劣悪なものになった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】(実施例3)表3に示した鋼を実機にて出
鋼し、加熱温度1210℃、巻取り温度600℃とする
実機熱間圧延を施した。7段からなる仕上げ圧延におけ
る各段入り側の温度および圧下率を種々変化させた。
【0049】このとき仕上げ圧延中880℃以下での平
均冷却速度は約35℃/s、仕上げ圧延後、巻取りまでの
平均冷却速度は約15℃/sとした。巻取り後、酸洗し、
圧下率0.8%の調質圧延を施し、引張試験に供した。
ここで、引張試験は、JIS5号試験片を用いて行っ
た。
【0050】表4から明らかなように、本発明の熱延条
件、すなわち、中段での大圧下、後段で軽圧下すること
により、優れた材質を得られることが分かる。これに対
して、比較例では、仕上げ温度を確保することができ
ず、したがって材質が著しく劣化した。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】(実施例4)実施例3の表3に示した成分
を有するスラブを実験室熱間圧延に供した。加熱温度1
260℃とし、粗圧延終了後、1050℃に到達と同時
に曲率1mの曲げ加工を行い、1050℃の保熱炉に装
入し、90秒間保持し、炉より取り出した後曲げ戻し、
6段の仕上げ熱延を行った。2段目は、入り側温度92
0℃、圧延率50%、3段目は温度910℃、圧下率4
0%、4段および5段の合計の圧下率は32%とした。
【0057】また、仕上げ圧延では、粗バーの末端部を
先行材および後続材に接合して連続的に仕上げる熱延も
行った。また、比較として粗圧延後に曲げ、保熱炉での
保持、巻戻しを行わず、かつ先行材、後続材との接合も
行わない単独での熱延も行った。仕上げ熱延中の880
℃以下での冷却速度は41〜45℃とした。
【0058】仕上げ温度は種々変化させ、仕上げ後の平
均冷却速度は、約12℃/s(放冷)とした。調質圧延の
圧下率は、1.2%とし、板厚は1.2mmとした。巻取
り温度は、580℃とした。
【0059】なお、仕上げを連続的に行った際の仕上げ
最先端および最末端部相当位置(表5)とは、先行材、
後続材との接合を行って仕上げた熱延鋼板の長手方向に
おいて、接合を行わずに圧延したときの最先端、最末端
に相当する位置のことである。すなわち、接合部に近い
位置に相当する。ただし、接合時の熱影響部からは離れ
た場所の材質を評価した。
【0060】表5から明らかなように、粗圧延と仕上げ
圧延の間に所定の条件内で曲げ加工と保持を行うこと
で、材質がさらに向上することが分かる。さらに、連続
的に仕上げ熱延を施すとより一層、長手方向に均一でか
つ優れた延性が得られることが分かる。
【0061】
【表8】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、Ar3 点を効果的に低
下させることによって、加工性に優れた熱延鋼板を低コ
ストで安定して得ることができ、冷延鋼板の代替として
使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上げ3,4段の合計圧下率がAr3 点に及ぼ
す影響を検討するための加工熱処理履歴を表す。
【図2】仕上げ3,4段の合計圧下率とAr3 点との関
係の図表を表す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/14 C22C 38/14 (72)発明者 橋本 夏子 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 土師 純治 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C =0.01〜0.15%、 Mn=0.03〜2.0%、 Si≦0.5%、 Al=0.003〜0.2%、 P ≦0.10%、 S ≦0.02%、 N ≦0.007%、 B ≦0.0015超〜0.01%を満たす範囲で含有
    し、 残部は鉄および不可避的不純物よりなるスラブの熱間圧
    延に際し、X段からなる仕上げ熱延機の(X−4)段目
    および(X−3)段目の圧延を、840℃以上940℃
    未満の温度範囲で、かつそこでの圧下率で合計で60%
    以上とし、(X−2)と(X−1)段目の圧下率を合計
    で45%以下とし、最終仕上げ圧延温度を(Ar3 点−
    20℃)以上とすることを特徴とする加工性に優れた熱
    延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに重量%で、Ti=0.003〜
    0.05%、Nb=0.003〜0.05%のうち1種
    または2種を含有することを特徴とする請求項1記載の
    加工性に優れた熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 粗圧延した粗バーをコイル状に巻取った
    後、巻戻し、巻終わり端より連続的に仕上げ熱延を行う
    ことを特徴とする請求項1または2記載の加工性に優れ
    た熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 粗圧延した粗バーをコイル状に巻取った
    後、巻戻し、その巻終わり端と先行する粗バーの末端と
    を接合し、連続的に仕上げ熱延を行うことを特徴とする
    請求項1または2記載の加工性に優れた熱延鋼板の製造
    方法。
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