JPH10237012A - アクリル酸の回収方法 - Google Patents

アクリル酸の回収方法

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JPH10237012A
JPH10237012A JP4614797A JP4614797A JPH10237012A JP H10237012 A JPH10237012 A JP H10237012A JP 4614797 A JP4614797 A JP 4614797A JP 4614797 A JP4614797 A JP 4614797A JP H10237012 A JPH10237012 A JP H10237012A
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隆裕 武田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロピレンおよび/またはアクロレインを接
触気相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と接触
させてアクリル酸水溶液として捕集し、このアクリル酸
水溶液を共沸分離塔に導入して、ここで共沸蒸留によっ
てアクリル酸を分離、回収する際に、共沸分離塔内での
アクリル酸の重合を防止して、長期にわたり安定してア
クリル酸を効率よく回収する方法を提供する。 【解決手段】 共沸溶剤として、例えば、アクリル酸エ
チルおよびメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも
一種とトルエンおよびヘプタンから選ばれる少なくとも
一種とを含む混合溶剤を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル酸の回収方
法に関する。詳しくは、本発明はプロピレンおよび/ま
たはアクロレインを分子状酸素含有ガスを用いて接触気
相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と接触させ
て捕集し、得られるアクリル酸水溶液を特定の共沸溶剤
の存在下に蒸留してアクリル酸を効率よく分離、回収す
る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレンおよび/またはアクロレイン
を接触気相酸化してアクリル酸を製造することは工業的
に広く行われている。この方法は、通常、プロピレンお
よび/またはアクロレインを分子状酸素を用いて接触気
相酸化する酸化工程、この接触気相酸化により得られる
アクリル酸含有ガスを水と接触させて捕集する捕集工
程、および捕集工程で得られるアクリル酸水溶液からア
クリル酸を分離、回収する回収工程からなる。
【0003】ところで、上記アクリル酸含有ガス中には
酢酸、ギ酸、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなど
の副生物が含まれており、これらのなかでも酢酸の量が
比較的多い。このため、高純度のアクリル酸を得るため
には、酢酸を除去する必要があるが、アクリル酸中の酢
酸を蒸留によって除去しようとすると、蒸留温度が高く
なり(酢酸の沸点は118.1℃)、アクリル酸の重合
が起こり易くなる。また、アクリル酸と酢酸とは比揮発
度が小さいため、単純に蒸留によって分離することは困
難であるなどの問題がある。
【0004】そこで、アクリル酸水溶液から高純度のア
クリル酸を分離、回収するために、すなわちアクリル酸
を酢酸および水から分離し、実質的に酢酸および水を含
まない高純度のアクリル酸を回収するために、アクリル
酸水溶液を共沸分離塔に導き、ここで共沸溶剤の存在下
に蒸留を行い、酢酸−水−溶剤からなる三成分系の共沸
蒸留を利用して、共沸分離塔の塔頂から酢酸、水および
溶剤の共沸混合物を留出させ、塔底からはアクリル酸を
得る、いわゆる共沸脱水法が採用されている。なお、酢
酸以外の不純物はいずれも低沸点のため共沸蒸留によら
なくても容易に除去することができる。
【0005】例えば、特公昭63−10691号公報に
は、共沸溶剤としてトルエンなどの炭化水素を加えて共
沸蒸留を行う方法が記載されている。
【0006】特公昭46−34691および特公昭46
−18967号公報には、共沸溶剤として酢酸エチル、
酢酸ブチル、ジブチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサ
ン、ヘプタン、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ルなどを用いる方法が記載されている。
【0007】また、特開平5−246941号公報に
は、共沸溶剤としてジエチルケトン、メチルプロピルケ
トン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブ
チルケトンおよび酢酸n−プロピルから得らばれる少な
くとも一つとトルエン、ヘプタンおよびメチルシクロヘ
キサンから選ばれる少なくとも一つとを組み合せ使用す
る方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの研究によれば、前記従来方法には次のような種々
の問題があることが判明した。
【0009】すなわち、特公昭63−10691号公報
記載の方法の場合、酢酸の分離が十分でないことから、
共沸分離塔および酢酸を分離するための酢酸分離塔にお
ける2回の蒸留操作が必要となる。また、共沸分離塔の
塔底付近までトルエンなどの難水溶性の共沸溶剤が存在
するために、共沸分離塔内の液が油相および水相の2相
に分離してしまい、重合防止剤が均一に溶解せず、水相
において高濃度に分配したアクリル酸が重合を起こし易
くなる。
【0010】特公昭46−34691および特公昭46
−18967号公報記載の共沸溶剤を用いる場合、一回
の蒸留操作で高純度のアクリル酸を回収しようとして
も、酢酸、水および溶剤のいずれかの分離が不十分であ
り、そこから高沸点不純物を除去しても高純度のアクリ
ル酸製品は得られない。
【0011】また、特開平5−246941号公報に記
載のように1回の蒸留操作で高純度のアクリル酸を回収
する方法の場合、共沸分離塔内、特にその中段から上段
にかけてアクリル酸が高濃度に存在するために塔内にお
けるアクリル酸の重合性が無視できなくなることもあ
る。このように、共沸分離塔におけるアクリル酸の重合
性が高いと塔内でアクリル酸のポリマーが堆積して共沸
分離塔の長期連続運転が困難となる。
【0012】かくして、本発明は、上記従来技術の問題
点を解決し、アクリル酸水溶液を共沸分離塔に導入して
共沸蒸留により脱水する際に、共沸分離塔内におけるア
クリル酸の重合を防止するものであり、しかも酢酸を酢
酸−水−溶剤からなる共沸混合物として共沸分離塔の塔
頂から留去することにより、実質的に酢酸を含まない高
純度のアクリル酸を塔底から効率よく回収する方法を提
供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、共沸溶剤として、アクリル酸エチル、メタクリル酸
メチル、アクリル酸ビニル、酢酸アリル、酢酸イソプロ
ペニル、プロピオン酸ビニルおよびクロトン酸メチルか
ら選ばれる少くとも一種とトルエン、ヘプタン、1−ヘ
プテン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプテン、シク
ロヘプタジエン、シクロヘプタトリエン、2,4−ジメ
チル−1,3−ペンタジエン、メチルシクロヘキセンお
よびメチレンシクロヘキサンから選ばれる少なくとも一
種とを含む混合溶剤、好ましくはアクリル酸エチルおよ
びメタクリル酸メチルから選ばれる少なくとも一種とト
ルエンおよびヘプタンから選ばれる少なくとも一種とを
含む混合溶剤を使用することにより上記課題が解決でき
ることを知り、この知見に基づいて本発明を完成するに
至った。
【0014】すなわち、本発明は、プロピレンおよび/
またはアクロレインを接触気相酸化して得られるアクリ
ル酸含有ガスを水と接触させてアクリル酸水溶液として
捕集し、このアクリル酸水溶液を共沸分離塔に導入し、
共沸溶剤の存在下に蒸留してアクリル酸を分離、回収す
る際に、上記共沸溶剤として下記の溶剤Aおよび溶剤B
を含む混合溶剤を用いることを特徴とするアクリル酸の
回収方法である。
【0015】溶剤A:アクリル酸エチル、メタクリル酸
メチル、アクリル酸ビニル、酢酸アリル、酢酸イソプロ
ペニル、プロピオン酸ビニルおよびクロトン酸メチルか
ら選ばれる少なくとも一種。
【0016】溶剤B:トルエン、ヘプタン、1−ヘプテ
ン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプテン、シクロヘ
プタジエン、シクロヘプタトリエン、2,4−ジメチル
−1,3−ペンタジエン、メチルシクロヘキセンおよび
メチレンシクロヘキサンから選ばれる少なくとも一種。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、アクリル酸水溶
液を共沸分離塔に導入し、ここで共沸溶剤の存在下に蒸
留してアクリル酸を分離、回収する際に、共沸溶剤とし
て、前記の溶剤Aと溶剤Bとを含む混合溶剤を用いる点
にある。
【0018】本発明の混合溶剤を使用することにより、
共沸分離塔内におけるアクリル酸の重合を効果的に防止
することができる。
【0019】また、本発明の混合溶剤を使用することに
より、共沸分離塔における1回の蒸留操作により、共沸
分離塔の塔頂から酢酸、水および溶剤を留出させ、塔底
からは実質的に酢酸を含まない高純度のアクリル酸を回
収することができる。したがって、本発明の方法によれ
ば、共沸分離塔におけるアクリル酸水溶液の蒸留によ
り、しかもアクリル酸の重合を防止しながら、実質的に
酢酸を含まない高純度のアクリル酸を分離、回収するこ
とができる。
【0020】また、本発明の混合溶剤は、共沸分離塔の
塔底から酢酸を含む粗アクリル酸を回収し、これを酢酸
分離塔に導入して酢酸を分離し、実質的に酢酸を含まな
い高純度のアクリル酸を得るという、2回の蒸留操作に
より高純度のアクリル酸を製造する場合にも適用するこ
とができる。この場合も、共沸分離塔内でのアクリル酸
の重合を効果的に防止することができる。したがって、
本発明の方法によれば、共沸分離塔および酢酸分離塔に
おける2回の蒸留により、しかも共沸分離塔内でのアク
リル酸の重合を防止しながら、実質的に酢酸を含まない
高純度のアクリル酸を分離、回収することができる。
【0021】上記1回の蒸留操作でアクリル酸を回収す
る方法、あるいは2回の蒸留操作によってアクリル酸を
回収する方法のいずれの方法を選択するかは酢酸回収の
必要性の有無、排水処理法などを考慮して適宜決定する
ことができる。
【0022】溶剤Aのうちでもアクリル酸エチルおよび
メタクリル酸メチルが好適に用いられる。また、溶剤B
のうちでもトルエンおよびヘプタンが好適に用いられ
る。
【0023】したがって、本発明の混合溶剤の好適例と
しては、アクリル酸エチル+トルエン、アクリル酸エチ
ル+ヘプタン、メタクリル酸メチル+トルエン、メタク
リル酸メチル+ヘプタン、アクリル酸エチル+メタクリ
ル酸メチル+トルエン、アクリル酸エチル+メタクリル
酸メチル+ヘプタン、およびアクリル酸エチル+メタク
リル酸メチル+トルエン+ヘプタンを挙げることができ
る。
【0024】上記アクリル酸エチル、メタクリル酸メチ
ル、トルエンおよびヘプタンはいずれも工業的に入手可
能なものをそのまま使用することができる。
【0025】溶剤Aと溶剤Bとの混合比率は、重量比で
10:90〜75:25、好ましくは20:80〜5
0:50である。溶剤Aの割合が多すぎると共沸分離塔
の塔底における酢酸濃度が高くなり、アクリル酸水溶液
から1回の蒸留により実質的に酢酸を含まない高純度の
アクリル酸を得るのが困難となる。一方、溶剤Bの割合
が多すぎると、共沸分離塔内で液が油相および水相に分
離して、アクリル酸の重合を防止することができなくな
る。
【0026】図1は、1回の蒸留操作により高純度のア
クリル酸を回収する方法の工程図であり、以下、この図
1に基づいて本発明を説明する。
【0027】プロピレンおよび/またはアクロレインを
分子状酸素を用いて接触気相酸化して得たアクリル酸含
有ガスをライン1からアクリル酸捕集塔101に導入
し、ライン2から導入した水と接触させてライン4から
アクリル酸および酢酸などの副生物を含むアクリル酸水
溶液を得る。ライン2からアクリル酸捕集塔101に供
給する水としては、ライン13から水を供給して用いて
もよいが、後述するように溶剤回収塔103の塔底から
排出される酢酸水溶液を用いるのが好適である。アクリ
ル酸水溶液はそのまま共沸蒸留塔102に導入するが、
必要に応じて、アクロレイン放散塔(図示してない)に
導入してアクリル酸水溶液中に溶解しているアクロレイ
ンを放散させた後に共沸蒸留塔102に導入してもよ
い。この場合、放散したアクロレインを回収して反応系
に循環するのがよい。
【0028】共沸分離塔102では、アクリル酸水溶液
をライン4から、共沸溶剤をライン5からそれぞれ供給
して蒸留を行い、塔頂から酢酸、水および共沸溶剤から
なる共沸混合物を留出させ、塔底からは実質的に酢酸を
含まないアクリル酸が得られる。
【0029】共沸分離塔102に供給するアクリル酸水
溶液の組成は、ライン2からアクリル酸捕集塔101に
供給する水の量やその他の運転条件で変化するが、通常
行われているアクリル酸の製造条件下では、アクリル酸
50〜80重量%、酢酸2〜5重量%および水20〜4
0重量%(合計100重量%)の範囲のものが一般的で
ある。
【0030】共沸分離塔102の塔頂から留出した実質
的に酢酸、水および共沸溶剤からなる共沸混合物は貯槽
20に導入し、ここで主として共沸溶剤からなる有機相
と、主として酢酸および水からなる水相とに分離する。
有機相はライン5を経て共沸分離塔102に循環する。
一方、水相はライン8を経て溶剤回収塔103に導入し
て、蒸留し、この溶剤回収塔の塔頂から共沸溶剤を留出
させ、ライン9を経て貯槽20に戻し、塔底からはライ
ン14を経て実質的に酢酸および水からなる酢酸水溶液
を抜きだして系外に排出する。なお、酢酸水溶液はライ
ン10からアクリル酸捕集塔101に循環させて、ライ
ン1からのアクリル酸含有ガスと接触させる捕集水とし
て用いることによって有効に活用することができる。
【0031】共沸分離塔102の塔底から抜き出したア
クリル酸は酢酸を実質的に含まない高純度なものであ
り、ライン15を経てエステル化工程に送り、そのまま
アクリル酸エステルの製造原料として用いることができ
る。
【0032】なお、更に高純度のアクリル酸製品を得る
ために、共沸分離塔102の塔底から抜き出したアクリ
ル酸をライン7を経て高沸点物分離塔104に導入して
蒸留してもよい。高沸点物分離塔の塔底からはライン1
2を経て重合防止剤などの高沸点物を抜き出し、塔頂か
らライン11を経て高純度のアクリル酸製品を得る。な
お、上記各工程における運転は、この種のプロセスに一
般に用いられている条件下に行うことができる。例え
ば、共沸分離塔102の場合、次のような条件下(定常
運転時)に運転することにより、酢酸濃度が0.05重
量%以下の高純度のアクリル酸が得られる。
【0033】操作圧力:100〜200mmHg、 塔頂部温度:45〜55℃、 アクリル酸水溶液供給部(水溶液供給段)温度:70〜
90℃、 塔底部温度:100〜110℃、 還流比(単位時間当りの還流液の全モル数/単位時間当
りの留出液の全モル数):1.1〜1.6 また、共沸分離塔におけるアクリル酸の重合を防止する
ために、通常、重合防止剤を添加するが、本発明におい
ても、これら一般に用いられている重合防止剤を添加す
るのがよい。
【0034】上記1回の蒸留操作により高純度のアクリ
ル酸を得る方法は、酢酸分離塔が不必要となりアクリル
酸製造工程を簡略化できて、アクリル酸の製造コストを
著しく低減させることができるとの利点がある。
【0035】次に、2回の蒸留操作により高純度のアク
リル酸を得る方法は、図1に示した1回の蒸留操作によ
り高純度のアクリル酸を得る工程図において、共沸分離
塔102の底部から抜き出した酢酸を含む粗アクリル酸
から酢酸を分離するための酢酸分離塔を設ける点を除け
ば、基本的には図1と同じ工程にしたがって行うことが
できる。
【0036】すなわち、共沸分離塔102の底部から抜
き出した粗アクリル酸を酢酸分離塔に導入し、ここで酢
酸を分離して、実質的に酢酸を含まない高純度のアクリ
ル酸を回収する。この高純度のアクリル酸はエステル化
工程に送り、そのままアクリル酸エステルの製造原料と
して用いることができる。もちろん、この高純度のアク
リル酸をさらに高沸点物分離塔104に導入して、高沸
点物を分離し、更に高純度のアクリル酸製品とすること
もできる。
【0037】上記2回の蒸留操作によりアクリル酸を分
離、回収する際の共沸分離塔102の運転条件について
は、塔底から抜き出す粗アクリル酸中の酢酸濃度などに
より変わるので一概に特定できないが、例えば次の条件
下(定常運転時)に運転することができる。
【0038】操作圧力:100〜200mmHg、 塔頂部温度:40〜50℃、 アクリル酸水溶液供給部(供給段)温度:45〜70
℃、 塔底部温度:95〜105℃、 還流比(単位時間当りの還流液の全モル数/単位時間当
りの留出液の全モル数):1.0〜1.3 上記のような条件下で蒸留することにより、酢酸濃度が
1〜9重量%の粗アクリル酸が得られる。
【0039】上記の粗アクリル酸をさらに酢酸分離塔に
導入し、ここで酢酸を分離することにより高純度アクリ
ル酸を得ることができる。なお、酢酸分離塔における蒸
留操作は常法により一般に用いられている条件下に実施
することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0041】実施例1 図1に示す工程にしたがってアクリル酸の回収を行っ
た。
【0042】プロピレンを分子状酸素含有ガスにより接
触気相酸化して得た混合ガスをアクリル酸捕集塔101
に導いて水と接触させて捕集した。この捕集したアクリ
ル酸水溶液をアクロレイン放散塔(図示してない)に導
いてアクロレインを放散させ、水30重量%、酢酸3.
0重量%を含むアクリル酸水溶液を得た。このアクリル
酸水溶液を段数50段、段間隔147mmのシーブトレ
ーを備え、塔頂部に留出管、中央部に原料供給管、塔底
部に塔底液抜き出し管を備えた共沸分離塔102に導入
し、共沸溶剤としてメタクリル酸メチルとトルエンとの
混合溶剤(混合重量比35:65)用いて、このアクリ
ル酸水溶液の蒸留を行った。
【0043】使用した重合防止剤の量はアクリル酸蒸発
蒸気量に対して、ジブチルジチオカルバミン酸銅が15
ppm、酢酸マンガンが22.5ppm、ハイドロキノ
ンが75ppm、フェノチアジンが75ppmであり、
酢酸マンガンは原料供給管より原料に溶解した形で、そ
の他は塔頂より還流液に溶解した形で塔内に供給した。
また、アクリル酸蒸発蒸気量に対して0.3容量%の分
子状酸素を塔底部に供給した。なお、ここにいう蒸発蒸
気量とは、蒸留塔のリボイラーから加えられた熱量に相
当して、塔底から蒸発するモノマーの蒸気の総量を意味
する。
【0044】定常運転時における運転状態は、共沸分離
塔102の塔頂温度50℃、塔底温度105℃、塔頂圧
力160mmHg、還流比(単位時間当りの還流液の全
モル数/単位時間当りの留出液の全モル数)1.32、
ライン4からのアクリル酸水溶液供給量9.3リットル
/時であった。ライン8の水相は酢酸7.6重量%、ア
クリル酸0.6重量%を含み、一方共沸分離塔102の
塔底からライン15を経て抜き出される液はアクリル酸
96.9重量%、酢酸0.03重量%、その他3.10
重量%を含み、溶剤は検出限界(1ppm)以下であっ
た。
【0045】ライン8から得られた水相は溶剤回収塔1
03に導入され、その塔頂からライン9を経て溶剤が回
収され、一方塔底からは酢酸水溶液がライン14を経由
して取り出される。その組成は酢酸8.1重量%、アク
リル酸0.64重量%、水残余であり、アクリル酸捕集
塔101にリサイクルし、接触気相酸化後の混合ガスと
接触させる為の吸収捕集剤として使用した。
【0046】上記の条件で共沸分離塔102を約14日
間連続運転したところ、常に安定した状態が得られ、運
転停止後、蒸留塔内の点検を行なった結果においても重
合物の発生は全く認められなかった。
【0047】比較例1 実施例1において、共沸溶剤としてメタクリル酸メチル
のみを用い、還流比を1.24にした以外は実施例1と
同様にしてアクリル酸水溶液の共沸蒸留運転を行なっ
た。
【0048】定常運転時におけるライン8の水相は酢酸
6.3重量%、アクリル酸4.5重量%を含み、アクリ
ル酸は実施例1の約8倍も多かった。一方、共沸分離塔
102の塔底からライン15を経て抜き出される液はア
クリル酸96.2重量%、酢酸0.3重量%、その他
3.5重量%を含んでおり、酢酸は実施例1の10倍も
多かった。
【0049】上記の条件で共沸分離塔102を連続運転
したところ、運転開始から5日後に塔内の圧損失が認め
られ運転を継続することが困難であった。運転を停止
し、解体点検を実施したところ、塔内にポップコーンポ
リマーの生成を認めた。
【0050】このようにメタクリル酸メチルのみの使用
では共沸分離塔102において高純度のアクリル酸を回
収しようとすると塔内でのアクリル酸の重合を防止する
ことは不可能であった。
【0051】比較例2 実施例1において共沸溶剤としてメチルイソブチルケト
ンとトルエンの混合溶剤(混合重量比65:35)を用
い、還流比を1.42にした以外は実施例1と同様にし
てアクリル酸水溶液の蒸留運転を行なった。
【0052】定常運転時におけるライン8の水相は酢酸
6.9重量%、アクリル酸0.5重量%を含み、一方共
沸分離塔102の塔底からライン15を経て抜き出され
る液はアクリル酸96.9重量%、酢酸0.08重量
%、溶剤0.002重量%、その他3.02重量%を含
んでいた。
【0053】上記の条件で共沸分離塔102を約14日
間連続運転したところ、ほとんど安定した状態が得られ
たが、運転停止後に蒸留塔内の解体点検を行なったとこ
ろ、塔内に少量のポップコーンポリマーの生成が認めら
れた。
【0054】実施例2 実施例1において共沸溶剤としてアクリル酸エチルとト
ルエンの混合溶剤(混合重量比35:65)を用いた以
外は実施例1と同様にしてアクリル酸水溶液の蒸留運転
を行なった。
【0055】定常運転時におけるライン8の水相は酢酸
7.3重量%、アクリル酸0.5重量%を含み、一方共
沸分離塔102の塔底からライン15を経て抜き出され
る液はアクリル酸97.2重量%、酢酸 0.03重量
%、その他2.80重量%を含み、溶剤は検出限界(1
ppm)以下であった。
【0056】上記の条件で共沸分離塔102を約14日
間連続運転したところ、常に安定した状態が得られ、運
転停止後、蒸留塔内の点検を行なった結果においても重
合物の発生は全く認められなかった。
【0057】比較例3 実施例1において、共沸溶剤としてアクリル酸エチルの
みを用い、還流比を1.24にした以外は実施例1と同
様にしてアクリル酸水溶液の蒸留運転を行なった。
【0058】定常運転時におけるライン8の水相は酢酸
6.5重量%、アクリル酸4.9重量%を含みアクリル
酸は実施例1の約8倍も多かった。一方、共沸分離塔1
02の塔底からライン15を経て抜き出される液はアク
リル酸96.5重量%、酢酸0.3重量%、その他3.
2重量%を含んでおり、酢酸は実施例1の10倍も多か
った。上記の条件で共沸分離塔102を連続運転したと
ころ、運転開始から6日後に塔内の圧損失が認められ運
転を継続することが困難であった。運転を停止し、解体
点検を実施したところ、塔内にポップコーンポリマーの
生成が認められた。
【0059】このようにアクリル酸エチルのみの使用で
は共沸分離塔102において高純度のアクリル酸を回収
しようとすると塔内でのアクリル酸の重合を防止するこ
とは不可能であった。
【0060】実施例3 実施例1において共沸溶剤としてアクリル酸エチルとヘ
プタンの混合溶剤(混合重量比35:65)を用い、還
流比を1.24にした以外は実施例1と同様にしてアク
リル酸水溶液の蒸留運転を行なった。
【0061】定常運転時におけるライン8の水相は酢酸
7.6重量%、アクリル酸0.5重量%を含み、一方共
沸分離塔102の塔底からライン15を経て抜き出され
る液はアクリル酸97.1重量%、酢酸0.05重量
%、その他2.85重量%を含み、溶剤は検出限界(1
ppm)以下であった。
【0062】上記の条件で共沸分離塔102を約14日
間連続運転したところ、常に安定した状態が得られ、運
転停止後、蒸留塔内の点検を行なった結果においても重
合物の発生は全く認められなかった。
【0063】実施例4 実施例1において共沸溶剤としてメタクリル酸メチルと
ヘプタンの混合溶剤(混合重量比35:65)を用い、
還流比を1.24にした以外は実施例1と同様にしてア
クリル酸水溶液の蒸留運転を行なった。
【0064】定常運転時におけるライン8の水相は酢酸
7.3重量%、アクリル酸0.6重量%を含み、一方共
沸分離塔102の塔底からライン15を経て抜き出され
る液はアクリル酸97.2重量%、酢酸0.04重量
%、その他2.76重量%を含み、溶剤は検出限界(1
ppm)以下であった。
【0065】上記の条件で共沸分離塔102を約14日
間連続運転したところ、常に安定した状態が得られ、運
転停止後、蒸留塔内の点検を行なった結果においても重
合物の発生は全く認められなかった。
【0066】実施例5 プロピレンを分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化し
て得た混合ガスをアクリル酸捕集塔に導いて水と接触さ
せて捕集したアクリル酸水溶液をアクロレイン放散塔に
導いてアクロレインを放散させ、水30重量%、酢酸
3.0重量%を含むアクリル酸水溶液を得た。段数50
段、段間隔147mmのシーブトレーを備え、塔頂部に
留出管、中央部に原料供給管、塔底部に塔底液抜き出し
管を備えた共沸分離塔を用い、共沸溶剤としてメタクリ
ル酸メチルとトルエンとの混合溶剤(混合重量比35:
65)を用いて、このアクリル酸水溶液の蒸留運転を行
った。
【0067】使用した重合防止剤の量はアクリル酸蒸発
蒸気量に対して、ジブチルジチオカルバミン酸銅が15
ppm、ハイドロキノンが150ppmであり、いずれ
も塔頂より還流液に溶解した形で塔内に供給した。ま
た、アクリル酸蒸発蒸気量に対して0.3容量%の分子
状酸素を塔底部に供給した。
【0068】定常運転時における運転状態は、共沸分離
塔の塔頂温度47℃、塔底温度102℃、塔頂圧力16
0mmHg、還流比(単位時間当りの還流液の全モル数
/単位時間当りの留出液の全モル数)1.17、アクリ
ル酸水溶液供給量10.7リットル/時であった。この
共沸分離塔の塔頂より得られた水相は酢酸1.5重量
%、アクリル酸0.7重量%を含み、一方塔底から経て
抜き出される液はアクリル酸95.1重量%、酢酸2.
2重量%、その他2.7重量%を含んでいた。
【0069】上記の条件で共沸分離塔を約14日間連続
運転したところ、常に安定した状態が得られ、運転停止
後、蒸留塔内の点検を行なった結果においても重合物の
発生は全く認められなかった。
【0070】比較例4 実施例5において、共沸溶剤としてトルエンのみを用
い、還流比を1.20にした以外は実施例5と同様にし
てアクリル酸水溶液の共沸蒸留運転を行なった。定常運
転時における共沸分離塔の塔頂より得られる水相は酢酸
4.2重量%、アクリル酸0.4重量%を含み、塔底よ
り抜き出される液はアクリル酸94.1重量%、酢酸
1.8重量%、その他4.1重量%を含んでいた。
【0071】上記の条件で共沸分離塔を連続運転したと
ころ、運転開始から4日後に塔内の圧損失が認められ運
転を継続することが困難であった。運転を停止し、解体
点検を実施したところ、塔内に粘性ポリマーの生成を認
めた。
【0072】比較例5 実施例1において、共沸溶剤としてメタクリル酸エチル
とトルエンとの混合溶剤(混合重量比50:50)を用
い、還流比を1.01にした以外は実施例1と同様にし
てアクリル酸水溶液の共沸蒸留運転を行なった。
【0073】定常状態におけるライン8の水相は酢酸
7.0重量%、アクリル酸1.3重量%を含み、アクリ
ル酸は実施例1の2倍であった。一方、共沸分離塔10
2の塔底からライン15を経て抜き出される液はアクリ
ル酸96.5重量%、酢酸0.12重量%、溶剤0.0
05重量%、その他3.38重量%を含んでおり、酢酸
は実施例1より一桁多く、溶剤は実施例1の50倍以上
であった。
【0074】このように炭素数6のメタクリル酸エチル
とトルエンとの混合溶剤を使用した場合、一回の蒸留操
作では十分な品質のアクリル酸を得ることができなかっ
た。 比較例6 実施例1において、共沸溶剤としてアクリル酸プロピル
とヘプタンとの混合溶剤(混合重量比50:50)を用
い、還流比を1.08にした以外は実施例1と同様にし
てアクリル酸水溶液の共沸蒸留運転を行なった。
【0075】定常状態におけるライン8の水相は酢酸
6.7重量%、アクリル酸1.5重量%を含み、アクリ
ル酸は実施例1の2倍であった。一方、共沸分離塔10
2の塔底からライン15を経て抜き出される液はアクリ
ル酸96.3重量%、酢酸0.15重量%、溶剤0.0
1重量%、その他3.54重量%を含んでおり、酢酸は
実施例1より一桁多く、溶剤は実施例1の100倍以上
であった。
【0076】このように炭素数6のアクリル酸プロピル
とヘプタンとの混合溶剤を使用した場合、一回の蒸留操
作では十分な品質のアクリル酸を得ることができなかっ
た。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、特定の共沸溶剤を使用
することにより、共沸分離塔におけるアクリル酸の重合
を効果的に防止することができる。このため、共沸分離
塔の長期連続運転が可能となった。
【0078】また、本発明の共沸溶剤を用いることによ
り、共沸分離塔で酢酸などの副生物を含むアクリル酸水
溶液を蒸留して、塔頂から酢酸、水および共沸溶剤から
なる共沸混合物を留出させ、塔底から実質的に酢酸を含
まない高純度のアクリル酸を分離、回収するという、1
回の蒸留操作により、実質的に酢酸を含まない高純度の
アクリル酸を得ることができる。
【0079】また、共沸分離塔で酢酸などの副生物を含
むアクリル酸水溶液を蒸留して、塔頂から水および共沸
溶剤、または水、共沸溶剤および酢酸の一部からなる共
沸混合物を留出させ、塔底から残りの酢酸を含む粗アク
リル酸を分離し、この粗アクリル酸を酢酸分離塔に導
き、ここで酢酸を分離して、実質的に酢酸を含まない高
純度のアクリル酸を回収するという、2回の蒸留操作に
より、実質的に酢酸を含まない高純度のアクリル酸を得
ることができる。
【0080】そして、上記1回および2回の蒸留操作に
よるアクリル酸の回収方法のいずれにおいても、共沸分
離塔におけるアクリル酸の重合を効果的に防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一つの工程図である。
【符号の説明】
1〜15 ライン 101 アクリル酸捕集塔 102 共沸分離塔 103 溶剤回収塔 104 高沸点物分離塔 20 貯槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武田 隆裕 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内 (72)発明者 上岡 正敏 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 株式会社日本触媒内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレンおよび/またはアクロレイン
    を接触気相酸化して得られるアクリル酸含有ガスを水と
    接触させてアクリル酸水溶液として捕集し、このアクリ
    ル酸水溶液を共沸分離塔に導入し、共沸溶剤の存在下に
    蒸留してアクリル酸を分離、回収する際に、上記共沸溶
    剤として下記の溶剤Aおよび溶剤Bを含む混合溶剤を用
    いることを特徴とするアクリル酸の回収方法。 溶剤A:アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アク
    リル酸ビニル、酢酸アリル、酢酸イソプロペニル、プロ
    ピオン酸ビニルおよびクロトン酸メチルから選ばれる少
    なくとも一種。 溶剤B:トルエン、ヘプタン、1−ヘプテン、メチルシ
    クロヘキサン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、
    シクロヘプタトリエン、2,4−ジメチル−1,3−ペ
    ンタジエン、メチルシクロヘキセンおよびメチレンシク
    ロヘキサンから選ばれる少なくとも一種。
  2. 【請求項2】 溶剤Aがアクリル酸エチルおよびメタク
    リル酸メチルから選ばれる少なくとも一種であり、溶剤
    Bがトルエンおよびヘプタンから選ばれる少なくとも一
    種である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 溶剤Aと溶剤Bとの混合比率が重量比で
    10:90〜75:25である請求項1または2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 共沸蒸留塔の塔頂から酢酸を留出させ、
    塔底から実質的に酢酸を含まないアクリル酸を得る請求
    項1、2または3記載の方法。
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