JPH10251845A - アーク式イオンプレーティング装置 - Google Patents

アーク式イオンプレーティング装置

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JPH10251845A
JPH10251845A JP8450497A JP8450497A JPH10251845A JP H10251845 A JPH10251845 A JP H10251845A JP 8450497 A JP8450497 A JP 8450497A JP 8450497 A JP8450497 A JP 8450497A JP H10251845 A JPH10251845 A JP H10251845A
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JP
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arc
cathode
gas
reactive gas
thin film
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Application number
JP8450497A
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English (en)
Inventor
Naoto Okazaki
尚登 岡崎
Satoshi Otani
聡 大谷
Hiroshi Murakami
浩 村上
Haruo Hiratsuka
治男 平塚
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材の表面に形成される薄膜の平滑性と密着
性とを両立させることができるアーク式イオンプレーテ
ィング装置を提供する。 【解決手段】 このアーク式イオンプレーティング装置
は、真空排気装置6に接続されていて真空容器2内を真
空排気する排気口4を真空容器2の側壁部に設け、この
排気口4内に、アーク式蒸発源10の陰極12を配置し
ている。この陰極12は、排気口4の前方近傍に配置し
ても良い。アーク式蒸発源10を複数台備える場合は、
排気口4を各アーク式蒸発源10に対して設けて、各排
気口4内またはその前方近傍に各アーク式蒸発源10の
陰極12をそれぞれ配置すれば良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アーク式蒸発源
を用いたアーク式イオンプレーティング法によって、工
具等の基材の表面に化合物薄膜を形成するアーク式イオ
ンプレーティング装置に関し、より具体的には、基材の
表面に形成される薄膜の平滑性と密着性とを両立させる
手段に関する。
【0002】
【従来の技術】工具、金型、機械部品等の耐摩耗性、耐
食性等を向上させるために、それらの基材の表面に、耐
摩耗性、耐食性等に優れた化合物薄膜(具体的にはセラ
ミックス薄膜)を形成することが従来から行われてい
る。
【0003】そのための薄膜形成装置の内でも、アーク
放電によって陰極を溶解させて陰極物質を蒸発させるア
ーク式蒸発源を備えていて、このアーク式蒸発源で発生
させた陰極物質イオンを電界によって基材に引き込んで
基材表面に薄膜を形成するアーク式イオンプレーティン
グ装置は、膜の密着性が良い、成膜速度が大きい等の利
点を有している。膜の密着性が良いのは、前記陰極物質
中に含まれている陰極物質イオンを、負バイアス電圧等
による電界によって基材に引き込んで衝突させることが
できるからである。成膜速度が大きいのは、アーク放電
を利用して陰極を溶解させるからである。
【0004】このようなアーク式イオンプレーティング
装置の従来例を図11に示す。この装置は、排気口4を
通して真空排気装置6によって真空に(例えば1×10
-5Torr程度以下の圧力に)排気される真空容器2を
備えている。排気口4は、後述するアーク式蒸発源10
を避けて、真空容器2のスペースの空いている側壁部ま
たは底面部(図示例の場合)に設けられている。
【0005】真空容器2の天井部には、反応性ガス導入
手段としてガス導入口30が設けられており、このガス
導入口30から真空容器2内に反応性ガス28が導入さ
れる。反応性ガス28は、後述するアーク式蒸発源10
の陰極12を構成する物質(例えばTi )と反応するガ
ス(例えばN2 )である。
【0006】真空容器2内には、被処理物である基材2
0を保持するホルダ22が設けられている。このホルダ
22には、直流のバイアス電源26から、通常は例えば
−数百V〜−1000V程度の負のバイアス電圧が印加
される。24は絶縁物である。基材20に対する処理の
均一性を高めるために、ホルダ22およびその上の基材
20を矢印Aのように回転させる場合もある。
【0007】真空容器2の壁面には、ホルダ22上の基
材20に向くように、1台以上の(図示例では3台であ
るが、これに限らない)アーク式蒸発源10が取り付け
られている。各アーク式蒸発源10は、絶縁物16によ
って真空容器2から絶縁された陰極12を有しており、
この陰極12とこの例では陽極を兼ねる真空容器2との
間のアーク放電によって陰極12を溶解させて陰極物質
14を蒸発させる。18は直流のアーク電源である。陰
極12としては通常は金属が用いられる。上記陰極物質
14には、陰極12の近傍に生じるアークプラズマによ
ってイオン化された陰極物質イオン(例えば金属イオ
ン)も含まれている。
【0008】薄膜形成に際しては、通常は、基材20に
対するボンバードを行った後に成膜を行う。即ち、真空
容器2内を十分に(例えば1×10-5Torr以下に)
真空排気した後、真空容器2内に上記のような反応性ガ
ス28を導入すると共に、バイアス電源26からホルダ
22を通じて基材20に比較的大きい、例えば−100
0V程度のバイアス電圧を印加する。その状態で、各ア
ーク式蒸発源10を動作させて、その各陰極12から陰
極物質14を蒸発させてそれに含まれている陰極物質イ
オンを基材20に入射させて基材20に対してボンバー
ドを行い、基材20の表面の清浄化(クリーニング)と
加熱とを行う。
【0009】次いで、バイアス電源26から基材20に
印加するバイアス電圧をボンバード時よりも下げて、例
えば−200V程度に下げて、かつ通常は各アーク電源
18から各アーク式蒸発源10に流すアーク電流をボン
バード時よりも大きくして、基材20に対する成膜を行
う。このとき、各陰極12から蒸発させた陰極物質14
に含まれている陰極物質イオン(例えばTi イオン)
が、基材20に印加した負バイアス電圧によって基材2
0に向けて加速されて衝突すると共に、周りの反応性ガ
ス28(例えばN2 )と反応して、基材20の表面に化
合物薄膜(例えばTiN薄膜)が形成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記アーク式イオンプ
レーティング装置においては、基材20の表面にドロッ
プレット(粗大な陰極粒子)の少ない平滑な薄膜を形成
するためには、ガス導入口30から真空容器2内に導入
する反応性ガス28の流量を大きくする必要がある。こ
れは、反応性ガス28の流量を大きくすると真空容器2
内の反応性ガス圧が上昇して、陰極12構成物質と反応
性ガス28とが反応して元の陰極12よりも融点の高い
化合物層が陰極12の表面に形成されやすくなり、この
化合物層によって、各陰極12の前面にアーク放電の陰
極点が多数生じてアーク電流が多くの陰極点に分散され
るので、陰極表面での粗大溶融部の広がりが抑えられ
(これらの効果はポイゾニング効果と呼ばれる)、これ
によって各陰極12からのドロップレットの発生・飛散
を抑えることができるからである。
【0011】ところが、ガス導入口30から真空容器2
内に導入する反応性ガス28の流量を大きくすると、基
材20に対する薄膜の密着性は低下する。これは、反応
性ガス28の流量を大きくすると真空容器2内の反応性
ガス圧が上昇して、各陰極12から基材20に向けて飛
行する陰極物質イオンが途中で反応性ガス分子と衝突お
よび反応する確率が高くなって、陰極物質イオンの基材
20への入射量や入射エネルギーが減少し、それによっ
て入射イオンによる基材表面の清浄化および活性化が損
なわれ、薄膜の密着性が低下するからである。
【0012】図12に、図11の装置によって形成され
た薄膜(TiN薄膜)の特性の一例を示す。ここでは、
薄膜の密着性をスクラッチ試験によるスクラッチ強度
(N)で評価し、薄膜の平滑性を膜表面の平均粗さRa
(μm)で評価した。ガス導入口30から真空容器2内
に導入する反応性ガス28の流量が20sccm以上に
なると平均粗さが小さくなって平滑性が向上し始めるけ
れども、同時にスクラッチ強度も小さくなって密着性も
低下し始めている。このように、従来のアーク式イオン
プレーティング装置では、基材20の表面に形成される
薄膜の平滑性と密着性とを両立させることはできなかっ
た。
【0013】そこでこの発明は、基材の表面に形成され
る薄膜の平滑性と密着性とを両立させることができるア
ーク式イオンプレーティング装置を提供することを主た
る目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明のアーク式イオ
ンプレーティング装置は、真空容器内を真空排気する真
空排気口を各アーク式蒸発源に対してそれぞれ設けて、
各排気口内またはその前方近傍に各アーク式蒸発源の陰
極をそれぞれ配置していることを特徴としている。
【0015】従来例において薄膜の平滑性と密着性とを
両立させることができなかった原因を追求したところ、
真空容器内に導入された反応性ガスの内でアーク式蒸発
源の陰極表面での化合物層形成に寄与するものの割合が
非常に小さく、陰極表面に化合物層を十分に形成するほ
ど多量に反応性ガスを導入すると、余った反応性ガスに
よって真空容器内全体のガス圧が上昇して、前述した陰
極物質イオンと反応性ガス分子との衝突および反応によ
る薄膜の密着性低下が大きくなるからであることが分か
った。
【0016】これに対してこの発明のように、排気口内
またはその前方近傍にアーク式蒸発源の陰極を配置する
と、真空容器内に導入された反応性ガスは全て排気口か
ら排出されるため、真空容器内に導入された反応性ガス
は必ず陰極付近を通ることになり、陰極表面付近の反応
性ガスの局所的な流量が大きくなる。
【0017】アーク式蒸発源の動作中は、陰極表面では
絶えずアークスポット(陰極点)が移動しており、アー
クスポットが通過した後には、前述した化合物層で覆わ
れていない新鮮な陰極面が露出する。その場合、陰極表
面付近の反応性ガスの局所的な流量が大きいほど、露出
した陰極面を化合物層で再び覆う速度が速く、アークス
ポットが再びそこに来てもドロップレットは生成・飛散
しにくくなる。即ち、この発明のようにすることによっ
て、真空容器内に導入する反応性ガス流量をあまり大き
くしなくても、陰極表面と反応性ガスとの反応性が高ま
り、陰極表面に化合物層を形成しやすくなり、ドロップ
レットの生成・飛散を抑制することができる。その結
果、平滑性の高い薄膜形成が可能になる。
【0018】しかも、真空容器内に導入する反応性ガス
流量をあまり大きくしなくて済むので、真空容器内の反
応性ガス圧の上昇も小さく、従って基材に向けて飛行す
る陰極物質イオンが途中で反応性ガス分子と衝突および
反応する確率が低くなって、陰極物質イオンの基材への
入射量や入射エネルギーが減少する割合が減り、密着性
の高い薄膜形成が可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係るアーク式
イオンプレーティング装置の一例をガスの模式的な流れ
と共に示す概略断面図である。図11の従来例と同一ま
たは相当する部分には同一符号を付し、以下においては
当該従来例との相違点を主に説明する。
【0020】この実施の形態では、真空排気装置6に接
続されていて真空容器2内を真空排気する排気口4を真
空容器2の側壁部に設け、この排気口4内に、前述した
アーク式蒸発源10の陰極12を配置している。
【0021】このような構造にすると、天井部のガス導
入口30から導入された反応性ガス28は、図中に破線
で模式的に示すように、真空容器2内に拡散するけれど
も、最後は排気口4から排出されるため、必ず陰極12
付近を通ることになり、従って陰極12の表面付近での
反応性ガス28の局所的な流量が大きくなる。
【0022】その結果、上に詳述したように、陰極12
からのドロップレットの生成・飛散を抑制して、基材2
0上に平滑性の高い薄膜形成が可能になると共に、陰極
12から基材20に向けて飛行する陰極物質イオンの基
材20への入射量や入射エネルギーの減少を抑えて、基
材20上に密着性の高い薄膜形成が可能になる。
【0023】図2に、図1の装置によって形成された薄
膜(TiN薄膜)の特性の一例を示す。ガス導入口30
から真空容器2内に導入する反応性ガス28の流量を選
ぶことにより、具体的にはこの例では20sccm〜1
00sccmの範囲内にすることにより、スクラッチ強
度が大きくて密着性が高く、しかもドロップレットの平
均粗さが小さくて平滑性の高い薄膜形成が可能であるこ
とが分かる。即ち、薄膜の平滑性と密着性の両立が可能
である。
【0024】なお、前述した図11の従来例における反
応性ガス28の流れを図13中に破線で模式的に示す。
この例では簡略化のためにアーク式蒸発源10を1台で
図示しているけれども、複数台の場合もこれとほぼ同様
になる。真空容器2内に導入された反応性ガス28は、
アーク式蒸発源10を避けて設けられた排気口4から排
出されるため、上記実施の形態の場合と違って、陰極1
2の表面付近で反応性ガス28の局所的な流量が大きく
なることはない。
【0025】アーク式蒸発源10の陰極12は、図3に
示す実施の形態のように、排気口4の前方近傍に配置し
ても良い。この場合も、排気口4から排出される反応性
ガス28は必ず陰極12付近を通るため、陰極12の表
面付近での反応性ガス28の局所的な流量が大きくな
り、図1に示した実施の形態の場合とほぼ同様の効果が
得られる。
【0026】真空容器2内に反応性ガス28を導入する
反応性ガス導入手段として、図4に示す実施の形態のよ
うに、アーク式蒸発源10の陰極12の前面(基材20
に向く面)に反応性ガス28を吹き付けるガス吹付け機
構32を設けても良い。このようにすると、陰極12の
表面付近での反応性ガス28の局所的な流量が大きくな
るだけでなく、陰極12の前面での反応性ガス28の圧
力が上昇し、前述したアークスポット移動後の新鮮な陰
極面を化合物層で覆う速度が更に速くなるので、即ち前
述したポイゾニング効果がより大きくなるので、図1ま
たは図2の実施の形態の場合よりも少量の反応性ガス2
8でドロップレットの生成・飛散を抑制することができ
る。
【0027】なお、陰極12の前面に吹き付けた反応性
ガス28は、図4中に破線で模式的に示すように、基材
20の周囲にも拡散するので、基材20の表面付近で陰
極物質イオンと化合して化合物薄膜を形成するのに必要
な反応性ガス分子は十分に供給される。
【0028】図5に、図4の装置によって形成された薄
膜(TiN薄膜)の特性の一例を示す。薄膜の平滑性と
密着性を両立させることができる反応性ガス28の適正
流量範囲の下限が広がっていることが分かる。即ちこの
例では、10sccm〜100sccmの範囲内で平滑
性と密着性とを両立させることができる。
【0029】上記のようなガス吹付け機構32を設ける
ことに加えて、図6に示す実施の形態のように、真空容
器2内にその壁面部から不活性ガス34を導入する不活
性ガス導入手段として、不活性ガス導入口36を真空容
器2の天井部(図6の例の場合)またはアーク式蒸発源
10が設けられた側壁とは別の(好ましくは基材20を
挟んで対向する)側壁部に設けても良い。不活性ガス3
4は、He 、Ar 、Ne 、Kr 等のような、陰極12を
構成する物質と反応しないガスである。
【0030】このようにすると、図6中に模式的に示す
ように、不活性ガス導入口36から導入され真空容器2
内に拡散して排気口4から排出される不活性ガス34
(実線で示す)の流れによって、ガス吹付け機構32か
ら陰極12に吹き付けられた反応性ガス28(破線で示
す)が基材20側へ拡散するのがある程度抑制されるた
め、不活性ガス34の流量を調整することによって、基
材20の表面付近で陰極物質イオンと化合して化合物薄
膜を形成するのに必要な反応性ガス分子を供給しなが
ら、基材20に向けて飛行する陰極物質イオンが途中で
反応性ガス分子と衝突および反応して減少することを一
層抑制することができるので、基材20に入射する陰極
物質イオンの入射量および入射エネルギーの減少が一層
少なくなり、密着性の一層高い薄膜形成が可能になる。
【0031】図7に、図6の装置によって形成された薄
膜(TiN薄膜)の特性の一例を示す。図5と比べれば
明らかなように、反応性ガス28の流量が10sccm
〜100sccmの範囲において、スクラッチ強度が一
層向上して薄膜の密着性が一層向上していることが分か
る。
【0032】
【実施例】以下に示す実施例は、3台のアーク式蒸発源
10を備えている場合の例であり、真空排気装置6につ
ながる排気口4をこの各アーク式蒸発源10に対してそ
れぞれ設けて、各排気口4内に各アーク式蒸発源10の
陰極12をそれぞれ配置している。図8、図9および図
10の実施例は、前述した図1、図4および図6の装置
にそれぞれ対応している。
【0033】〈実施例1〉図8に示したアーク式イオン
プレーティング装置において、ホルダ22に基材20と
して、超硬合金から成るエンドミルを複数個保持した。
また、各アーク式蒸発源10の陰極としてチタン(Ti
)を用いた。そして、真空容器2内を1×10-5To
rr以下の圧力に真空排気した後、ガス導入口30から
反応性ガス28として窒素ガスを50sccm導入しな
がら、バイアス電源26からホルダ22を通じて基材2
0に−1000Vのバイアス電圧を印加した。その状態
で、各アーク式蒸発源10の陰極12と真空容器2との
間にアーク電源18からアーク電圧を印加して、トリガ
(図示省略)を用いて、各陰極12と真空容器2との間
にアーク放電を発生させた。このときのアーク電流を各
々60Aに設定した。これによって、各陰極12から陰
極物質14を蒸発させてそれに含まれている陰極物質イ
オン(この例ではチタンイオン)を基材20に入射させ
て、基材20に対してボンバードを5分間行った。引き
続いて、基材20に印加するバイアス電圧を−200V
に下げ、かつアーク電流を各々80Aとし、その状態で
30分間成膜を行い、基材20の表面に、陰極物質14
(Ti )と反応性ガス28(N2 )とが反応して成る窒
化チタン(TiN)薄膜を形成した。
【0034】このようにして形成されたTiN薄膜の特
性を表1にまとめて示す。比較例として、図11に示し
た従来装置によって同条件で形成したTiN薄膜の特性
も示す。膜の密着性は、スクラッチ試験によるスクラッ
チ強度(N)で評価した。膜の平滑性は、膜表面の平均
粗さRa(μm)で評価した。
【0035】
【表1】
【0036】このように、実施例1では、比較例に比べ
て、薄膜の密着性が向上すると共に、平滑性が著しく向
上している。
【0037】〈実施例2〉実施例1との相違点を主体に
説明すると、この実施例で用いたアーク式イオンプレー
ティング装置は、図9に示すように、図8に示したガス
導入口30の代わりに、各アーク式蒸発源10に前述し
たようなガス吹付け機構32を設けており、この各ガス
吹付け機構32から反応性ガス28として窒素ガスを各
陰極12に吹き付けることによって、窒素ガスを合計で
50sccm導入しながら、実施例1と同様の処理を行
った。これによって形成されたTiN薄膜の特性を上記
表1に示す。
【0038】この実施例2では、実施例1に比べて、適
正窒素ガス流量範囲の下限が広がっており、少ない窒素
ガス流量によっても、実施例1と同様の効果が得られて
いる。
【0039】〈実施例3〉実施例2との相違点を主体に
説明すると、この実施例で用いたアーク式イオンプレー
ティング装置は、図10に示すように、真空容器2の天
井部に不活性ガス導入口36を更に備えており、三つの
ガス吹付け機構32から反応性ガス28を合計で50s
ccm導入する(吹き付ける)と同時に、不活性ガス導
入口36から不活性ガス34としてアルゴンガスを10
0sccm導入しながら、実施例1および2と同様の処
理を行った。これによって形成されたTiN薄膜の特性
を上記表1に示す。
【0040】この実施例3では、実施例2に比べて、薄
膜の密着性が更に向上している。
【0041】なお、陰極12の材質と反応性ガス28の
種類は、上記例以外のものでも良く、代表的な組み合わ
せの例を表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】また、成膜前のボンバード時には、真空容
器2内にガスを導入しなくても良いし、Ar 等の不活性
ガスを導入しても良い。
【0044】また、アーク式蒸発源10の陰極12の前
面付近には、陰極物質イオンの集まった正電位のクラウ
ドが形成され、基材20のバイアス電圧が0Vであって
も、この正電位による電位差によって陰極物質イオンが
基材20に向けて加速されるので、成膜時に基材20に
印加するバイアス電圧は0Vでも良い。
【0045】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0046】請求項1記載の発明によれば、排気口内ま
たはその前方近傍にアーク式蒸発源の陰極を配置してい
るので、陰極の表面付近での反応性ガスの局所的な流量
が大きくなり、それによって陰極からのドロップレット
の生成・飛散を抑制して、基材上に平滑性の高い薄膜形
成が可能になると共に、陰極から基材に向けて飛行する
陰極物質イオンの基材への入射量や入射エネルギーの減
少を抑えて、基材上に密着性の高い薄膜形成が可能にな
る。即ち、薄膜の平滑性と密着性とを両立させることが
できる。
【0047】その結果例えば、耐久性が高く、しかも仕
上がり品質の高い切削工具等を製作することが可能にな
る。
【0048】請求項2記載の発明によれば、上記のよう
なガス吹付け機構を備えているので、陰極前面での反応
性ガスの圧力を上昇させて陰極表面に化合物層をより効
果的に形成することができ、より少量の反応性ガスでド
ロップレットの生成・飛散を抑制することができる。そ
の結果、薄膜の平滑性と密着性とを両立させることので
きる反応性ガス流量範囲が広がるので、反応性ガス流量
の制御精度が緩和される等の利点が生じる。
【0049】請求項3記載の発明によれば、上記のよう
な不活性ガス導入手段を更に備えているので、それから
導入された不活性ガスによって、ガス吹付け機構から陰
極に吹き付けられた反応性ガスが基材側へ拡散するのが
抑制されるため、陰極から基材に向けて飛行する陰極物
質イオンが途中で反応性ガス分子と衝突・反応して減少
することを一層抑制することができ、基材に入射する陰
極物質イオンの入射量および入射エネルギーの減少が一
層少なくなり、密着性の一層高い薄膜形成が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るアーク式イオンプレーティング
装置の一例をガスの模式的な流れと共に示す概略断面図
である。
【図2】図1の装置によって形成された薄膜の特性の一
例を示す図である。
【図3】この発明に係るアーク式イオンプレーティング
装置の他の例をガスの模式的な流れと共に示す概略断面
図である。
【図4】この発明に係るアーク式イオンプレーティング
装置の更に他の例をガスの模式的な流れと共に示す概略
断面図である。
【図5】図4の装置によって形成された薄膜の特性の一
例を示す図である。
【図6】この発明に係るアーク式イオンプレーティング
装置の更に他の例をガスの模式的な流れと共に示す概略
断面図である。
【図7】図6の装置によって形成された薄膜の特性の一
例を示す図である。
【図8】複数のアーク式蒸発源を備えるアーク式イオン
プレーティング装置の例を示す概略断面図であり、図1
の装置に対応している。
【図9】複数のアーク式蒸発源を備えるアーク式イオン
プレーティング装置の例を示す概略断面図であり、図4
の装置に対応している。
【図10】複数のアーク式蒸発源を備えるアーク式イオ
ンプレーティング装置の例を示す概略断面図であり、図
6の装置に対応している。
【図11】従来のアーク式イオンプレーティング装置の
一例を示す概略断面図である。
【図12】図11の装置によって形成された薄膜の特性
の一例を示す図である。
【図13】図11の装置におけるガスの流れを模式的に
示す図である。
【符号の説明】
2 真空容器 4 排気口 6 真空排気装置 10 アーク式蒸発源 12 陰極 14 陰極物質 20 基材 22 ホルダ 26 バイアス電源 28 反応性ガス 30 ガス導入口 32 ガス吹付け機構 34 不活性ガス 36 不活性ガス導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 治男 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内 (72)発明者 緒方 潔 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空に排気される真空容器と、この真空
    容器内に設けられていて被処理物である基材を保持する
    ホルダと、前記真空容器に、その内部のホルダに保持さ
    れる基材に向けて取り付けられていて、アーク放電によ
    って陰極を溶解させて陰極物質を蒸発させる1台以上の
    アーク式蒸発源と、この各アーク式蒸発源の陰極構成物
    質と反応する反応性ガスを前記真空容器内に導入する反
    応性ガス導入手段とを備えるアーク式イオンプレーティ
    ング装置において、前記真空容器内を真空排気する真空
    排気口を前記各アーク式蒸発源に対してそれぞれ設け
    て、各排気口内またはその前方近傍に各アーク式蒸発源
    の陰極をそれぞれ配置していることを特徴とするアーク
    式イオンプレーティング装置。
  2. 【請求項2】 前記反応性ガス導入手段として、前記各
    アーク式蒸発源の陰極の前面に前記反応性ガスをそれぞ
    れ吹き付けるガス吹付け機構を備えている請求項1記載
    のアーク式イオンプレーティング装置。
  3. 【請求項3】 前記真空容器内にその壁面部から不活性
    ガスを導入する不活性ガス導入手段を更に備えている請
    求項2記載のアーク式イオンプレーティング装置。
JP8450497A 1997-03-17 1997-03-17 アーク式イオンプレーティング装置 Pending JPH10251845A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000056947A1 (en) * 1999-03-23 2000-09-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Vacuum arc evaporation method, vacuum arc evaporation system, and rotary cutting tool

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000056947A1 (en) * 1999-03-23 2000-09-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Vacuum arc evaporation method, vacuum arc evaporation system, and rotary cutting tool
US6592726B1 (en) 1999-03-23 2003-07-15 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Vacuum arc evaporation method, vacuum arc evaporation system, and rotary cutting tool

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