【発明の詳細な説明】
ケミカルペーパーパルプの漂白方法
本発明は、ケミカルペーパーパルプの漂白方法に関する。
化学反応体の存在下でセルロース材料を蒸解することにより得られる未漂白ケ
ミカルペーパーパルプを、酸化化学生成物の使用を含む脱リグニン化及び漂白処
理段階のシーケンスによって、処理することは既知である。ケミカルパルプ漂白
の慣用シーケンスの第一段階は、蒸解操作後に存在する未漂白パルプの脱リグニ
ン化を完全にする目的を有している。この第一の脱リグニン化段階は、酸性媒質
中で塩素を用いて、或いは、混合物として又はシーケンスにおいて塩素/二酸化
塩素の組み合わせを用いて、未漂白パルプを処理することにより慣用的に実施さ
れ、パルプの残ったリグニンと反応して、クロロリグニンを生ずる。このクロロ
リグニンは、次の処理段階において、アルカリ性媒質にこれらクロロリグニンを
溶かすことによって、パルプから抽出することができる。
種々の理由から、一定の状況で、塩素化反応体を最早必要としない処理によっ
て、この第一の脱リグニン化段階を置き換えることができるのが、有用であると
わかる。
約20年の間、塩素又は塩素/二酸化塩素の組み合わせによるこの第一処理段階
の前に、アルカリ性媒質中で気体酸素を用いる段階をおくことが提案されている
(Kirk-Othmer,Encyclopedia of Chemical Thchnology、第3版 Vol.19,ニュ
ーヨーク、1982、415頁、第3節及び416頁、第1及び第2節)。しかしながら、
目的が機械的特性に損害を与えない高白色度のケミカルパルプを生成することで
ある場合には、この酸素を用いる処理によって得られる脱リグニン化度は十分で
はない。
シーケンスQP及びOQP(略字Qは、金属イオンの金属封鎖剤を用いる段階
を示し、略字Pは、過酸化水素を用いる段階を示し、及び略字Oは、酸素を用い
る段階を示す)に従って、過酸化水素によりクラフトパルプを漂白することが提
案されている(Gellerstedt G.ら、“Chemical Aspects of Hydrogen Peroxide
Bleaching,Prat II,The Bleaching of Kraft Pulps”,Journal of Wood Chem
istry and Technology,Vol.2,No.3,1982,231-250頁、及び、欧州特許出願第
EP-A1-0,456,626号)。さらに、これらの方法は、二酸化塩素等の塩素化反応体
を用いる付随的な段階を含む必要がある。
本発明は、ケミカルペーパーパルプ用の新規な脱リグニン化及び/又は漂白方
法を提供することにより、既知の方法のこれら不利な点を克服して、セルロース
に過度の損傷を与えずに、かつ塩素化反応体を使用せずに、高いレベルの白色度
を達成することができる。
この目的を達成するため、本発明は、塩素化反応体を含まない処理段階のシー
ケンスによって、拡張した蒸解に付されたケミカルペーパーパルプを漂白する方
法であって、該シーケンスが、以下の段階を含み順に実施される方法に関する:
QP
ここで、略字Qは、パルプの遷移金属からのパルプの汚染除去段階を示し、か
つ、略字Pは、アルカリ性の過酸化水素を用いた段階を示す。
ケミカルペーパーパルプとは、アルカリ性媒質中の硫化ナトリウム(クラフト
蒸解又は硫酸塩蒸解)、二酸化硫黄又は酸性媒質中の亜硫酸の金属塩(亜硫酸蒸
解又は重亜硫酸蒸解)等の化学反応体の存在下において、脱リグニン化処理に付
されたパルプを示すと解される。この語はまた、ケミメカニカルパルプ及びセミ
ケミカルパルプ、例えば、本発明の方法により漂白することもできる中性媒質中
で亜硫酸塩を使用して蒸解が行われるパルプ(中性亜硫酸蒸解、NSSC蒸解とも言
アッサムパルプ(Asam pulp)(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistr
y、第5版、Vol.A18、1991、568及び569頁に記載)を示すと解される。
本発明は、特に、クラフト蒸解又は亜硫酸蒸解に付されたパルプに向けられて
いる。
ケミカルパルプの生産に使用される木材の種類は全て、本発明の方法の使用に
適しており、特に、クラフトパルプ及び亜硫酸パルプに使用される木材、即ち、
例えば、様々な種類のマツ類及びモミ類等の針葉樹材、及び、例えば、ブナ類、
ナラ類、ユーカリ類及びシデ類等の広葉樹材が適している。
本発明によれば、パルプを拡張した蒸解に付すことが重要である。拡張した蒸
解とは、方法の物理的なパタメーターと同様に、種々の反応体及び蒸解液の流動
及び再循環を調節して、許容できるレベルにセルロース粘度を維持しながら、改
善した脱リグニン化度を得る目的で方法を変更した、上述のいずれかのケミカル
パルプの蒸解方法を示すと解される。そのようなクラフトパルプの拡張した蒸解
の例としては、M.J.Kocurek,“Pulp and Paper Manufacture”,Vol.5,Alkali
ne Pulping,第3版,マグロウヒル、ニューヨーク、1989、122頁、3節(低リ
グニンパルプ化の変形)の文献に記載されている。一般的に、拡張した蒸解に付
されたパルプは、通常の蒸解に付された同じパルプの30〜50%低いカッパ価を有
している。拡張した蒸解に付されたクラフトパルプは、大抵、針葉樹材の場合に
はカッパ価は20以下であり、広葉樹材の場合には14以下である。
本発明によれば、第一段階は、パルプの遷移金属からのパルプの汚染除去段階
(段階Q)である。本発明によれば、段階Qは、例えばアルカリ金属ピロホスフ
ェート又はメタホスフェート等の無機ホスフェート又はポリホスフェート、例え
ば酒石酸、クエン酸、グルコン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリア
ミン五酢酸及びシクロヘキサンジアミン四酢酸及びそれらの塩等の有機ポリカル
ボン酸塩又はアミノポリカルボン酸塩、ポリ(α−ヒドロキシアクリル酸)及び
その塩、或いは、例えばエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエ
チレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びシクロヘキサンジアミンテ
トラ(メチレンホスホン)酸及びそれらの塩等の有機ポリホスホン酸塩、等の少
なくとも1種の金属封鎖剤を用いてパルプを処理することからなる。エチレンジ
アミン四酢酸(EDTA)及びジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)は、優れた結果
を生ずる。
金属封鎖剤に加えて、段階Qに少量の酸を加えることも可能である。
段階Qはまた、変形として、金属封鎖剤を含まない酸を用いる処理と、次に、
パルプ中に存在するMn量に対するMg量の重量比が少なくとも30であるような量の
可溶性マグネシウム塩を添加する処理からなることもできる。一般に、乾燥パル
プ 100g当たり1〜4gのMgSO4・7H2Oに対応するMg量が、十分な量である。酸
とは、二酸化硫黄及び硫酸、亜硫酸、塩酸、リン酸及び硝酸等の無機無水物又は
無機酸又はそれらの酸塩と、カルボン酸又はホスホン酸等の有機酸又はそれらの
酸塩を示すと解される。硫酸、二酸化硫黄、或いはアルカリ金属又はアルカリ土
類金属の重亜硫酸塩が良く適している。重亜硫酸は、一般式Me(HSO3)n(式中、M
eは原子価nの金属原子を表し、nは値1又は2の整数である)に対応する亜硫
酸の酸塩を示すと解される。
使用する酸の量は、木材の種類と含有する金属不純物量に依存する。一般に、
酸の量は、パルプのpHが約5以上、好ましくは、約 5.5以上となるように用いら
れる。同様に、酸の量はしばしば、該pHが7を越えないように、好ましくは 6.5
を越えないように調節される。段階Qが金属封鎖剤を含まない場合には、媒質を
実質的にさらに酸性、即ちpH5を越えない、好ましくはpH 4.5を越えないように
、該pHを調節する。一般的に、パルプに損傷を与えないようにするために、該pH
が、pH 1.5以下、好ましくはpH 2.0以下に下がるのを防ぐ。
該金属封鎖剤は、一般的に、段階Qにおいて、乾燥パルプ100 g当たり、活性
物質が1.5 gを越えない量で用いられる。大抵は、この量は、乾燥パルプ 100g
当たり金属封鎖剤が 1.0gを越えない量である。
段階Qは、一般的に、大気圧領域の圧力で、かつ、酸及び/又は金属封鎖剤が
適当に有効であるのを確実にするのに十分な温度であって、同時に、セルロース
に損傷を与えないようにし、かつ前記段階で使用する加熱手段のエネルギーコス
トに負担にならないようにするために高過ぎない温度で、実施される。実際には
、温度が少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃であるのが良く適している
。同様に、該温度が 100℃を越えず、好ましくは90℃を越えないのが有利である
。
段階Qの反応時間は、反応の完了を確実とするのに十分でなければならない。
さらに長い反応時間はパルプの脱リグニン化度又はパルプ固有の強度性能に影響
は与えないが、反応を完了するのに必要とされる以上に反応時間を延長すること
は適当でなく、主要コストやパルプを加熱するエネルギーコストを制限する。実
際には、前処理の反応時間は、用いる装置の種類、酸の選択、温度及び圧力に依
存する広い範囲内で、例えば約15分〜数時間の間で、変えることができる。一般
的に、少なくとも10分、好ましくは少なくとも15分の反応時間が、十分な時間で
ある。同様に、前処理の反応時間は、一般的に、60分を越えず、好ましくは40分
を越えない。反応時間約30分で優れた結果が得られている。
段階Qは、一般的に、パルプコンシステンシーが少なくとも固形分2%、好ま
しくは固形分 2.5%で実施される。大抵は、このコンシステンシーは、15%を越
えず、好ましくは10%を越えない。固形分約3%のコンシステンシーで、優れた
結果が得られている。
本発明によれば、第二処理段階は、アルカリ性の過酸化水素を用いる段階であ
る(段階P)。該アルカリの性質は、酸化リグニンを抽出する際に非常に有効で
あって、同時に高い溶解性を示すようなものでなければならない。そのようなア
ルカリの例としては、水酸化ナトリウム水溶液がある。使用するアルカリの量は
、pHを10よりも高く、好ましくはpHを11より高く維持するのに十分な量でなけれ
ばならない。該アルカリ量はまた、該過酸化物が反応終了時に十分に消費される
ことが確実となるように、調節されなければならない。実際には、乾燥パルプ 1
00g当たり1〜4gのアルカリ量が良く適している。これらのアルカリ量に加え
て、乾燥パルプ 100g当たり少なくとも0.3g H2O2、好ましくは乾燥パルプ 100
g当たり少なくとも0.5g H2O2の過酸化水素の量が使用される。過酸化水素量は
また、一般に、乾燥パルプ 100g当たり5.0g H2O2を越えず、好ましくは、乾燥
パルプ100g当たり4.0g H2O2を越えないのが適切である。
段階Pの温度は、少なくとも50℃、好ましくは70℃に維持するように調節され
なければならない。該温度は、150℃、好ましくは135℃を越えてはならない。温
度が、90℃及び120℃で優れた結果が得られている。
本発明の方法の有利な変形は、少なくとも100℃の高温で、該シーケンスの段
階Pを実施することからなる。この変形によれば、この段階Pの温度は、少なく
とも110℃であるのが好ましい。一般的に、該温度は、140℃を越えず、好ましく
は135℃越えない。
段階Pの反応時間は、漂白反応ができる限り完了するのに十分な時間でなけれ
ばらない。しかしながら、パルプ白色度の退行を引き起こすことを覚悟の上で、
この反応時間は過度に大きい量を越えることはできない。実際には、該反応時間
を、少なくとも60分、好ましくは少なくとも90分の値にセットする。大抵は、該
反応時間は、600分、好ましくは、500分を越えてはならない。
段階Pのコンシステンシーは、一般的に、固形分50重量%以下、好ましくは、
固形分40重量%以下が選択される。該コンシステンシーは、しばしば、5%以上
であり、好ましくは8%以上である。
段階Pのコンシステンシーは、変形として、固形分25重量%以上の高い値を選
択するのが有利である。コンシステンシー30%で優れた結果が得られている。
本発明の方法の別の変形では、該シーケンスは、酸素を用いる段階(段階O)
を前に置くことができる。この酸素を用いる段階は、乾燥パルプ重量に対するア
ルカリ化合物重量が、0.5〜5%の間となるような量のアルカリ化合物の存在下
において、20から1000 kPaの間の圧力で、パルプを気体酸素に接触させることに
よって行われる。
酸素を用いる段階の温度は、一般的に、70℃以上、好ましくは、80℃以上でな
けらばならない。この温度はまた、130℃未満、好ましくは120℃未満であるのが
適切である。
酸素を用いる処理の反応時間は、パルプ中に含まれるリグニンと酸素の反応が
完了するのに十分な時間でなければならない。しかしながら、パルプのセルロー
ス鎖構造に損傷を与えるのを覚悟に上で、この反応時間は過度に大きい量を越え
ることはできない。実際には、該反応時間は、少なくとも30分であり、好ましく
は、少なくとも40分である。一般的に、該反応時間は、120分を越えず、好まし
くは、80分を越えない。
酸素を用いるパルプ処理はまた、可溶性マグネシウム塩等のセルロース保護剤
、或いはポリカルボン酸又はポリホスホン酸等の金属封鎖剤の存在下で実施する
こともできる。マグネシウム塩が好ましく、特に、硫酸マグネシウム七水和物を
、乾燥パルプに対して0.02〜1重量%の割合で用いるのが好ましい。
段階Oの際のパルプコンシステンシーは、一般的に、固形分8重量%以上であ
り、好ましくは固形分10重量%以上である。このコンシステンシーは、一般的に
、固形分30重量%を越えず、好ましくは固形分25重量%を越えない。
変形として、段階Oはまた、過酸化水素の存在下で実施することもできる(段
階Op)。段階Oに導入可能な過酸化水素の量は、一般的に、乾燥パルプ 100g
当たり0.2g H 2O2以上であり、大抵は、0.5g以上である。同様に、段階Oに導入
可能な過酸化水素量は、一般的に、乾燥パルプ 100g当たり2.5g H2O2を越えず
、大抵は、2g を越えない。
同様にして、段階Pはまた、気体酸素の存在により強化することもできる(段
階Eop)。この場合に、使用する酸素圧は、大抵は、最低で 20kPaであり、最大
で1000kPa である。
本発明の方法の別の変形では、処理段階のシーケンスのいずれかの時点に、少
なくとも1種の酵素を用いてパルプを処理することからなる付随的な酵素段階を
導入することができる(段階X)。この酵素処理はまた、酸素を用いる任意の前
処理段階の前又は後で、実施することもできる。
酵素は、酵素を用いる処理段階の次の処理段階によって、蒸解操作より生ずる
未漂白ケミカルペーパーパルプ又は酸素を用いる処理段階に既に付されたケミカ
ルペーパーパルプの、脱リグニン化を促進することができるいずれかの酵素を示
すと解される。
好アルカリ酵素、即ち、最大効率が、アルカリpH領域、特にpH 7.5以上にある
酵素を用いるのが好ましい。
本発明の方法に良く適した酵素のカテゴリーは、ヘミセルラーゼである。これ
らの酵素は、パルプ中に存在するリグニンを固定するヘミセルロースと反応する
ことができる。
本発明の方法で使用するヘミセルラーゼは、キシラナーゼ、即ち、リグニンと
炭水化物の残部との間の界面の主要部を構成するキシラン結合を切断することが
できるヘミセルロース分解酵素である。本発明の方法のキシラナーゼの例は、1,
4-β−D−キシランキシラノヒドロラーゼ(EC 3.2.1.8)である。
本発明の方法における好ましいキシラナーゼは、種々の起源のものであること
ができる。特に、それらは、広範囲の細菌及び真菌より分泌されてもよい。
細菌起源のキシラナーゼが、特に有利である。細菌起源のキシラナーゼの中で
は、バチルス(Bacillus)属の細菌により分泌されたキシラナーゼが、良好な結
果を与えている。
バチルス属及びパミルス(pumilus )種の細菌由来のキシラナーゼが、良好な
結
果を与えている。該キシラナーゼの中では、バチルス・パミルス(Bacilluspumil us
)PRL B12 から生じたキシラナーゼが、特に有利である。
本発明のバチルス・パミルス PRL B12由来のキシラナーゼは、バチルス・パミ ルス
PRL B12株から直接生ずることができ、又はキシラン分解をコードしているバチルス
・パミルス PRL B12遺伝子を発現するように遺伝的に前もって操作され
ている異なる微生物の宿主株から生ずることもできる。
他の酵素を含まない純粋なキシラナーゼを使用するのが好ましい。特に、本発
明の方法のキシラナーゼが、セルラーゼを含まず、パルプのセルロースの重合鎖
を破壊しないのが好ましい。
本発明の方法の有利な変形は、少なくとも1種の金属イオンの金属封鎖剤の存
在下で、酵素段階Xを実施することからなる。金属イオンの該金属封鎖剤は、上
述の段階Qに適した金属封鎖剤から有利に選択できる。
少なくとも1種の酵素の存在下で、段階Qを実施することもできる。この場合
には、上述した方法に従って酵素を使用することができる。該シーケンスのいず
れかの段階に酵素段階を加えるとともに、段階Qに酵素を導入することもできる
。
本発明の方法の別の変形は、段階Qと段階Pの間に酸化段階を挿入することか
らなる。酸化化学反応体は全て、この酸化段階の実施に適してしる。ペーパーパ
ルプの脱リグニン化及び漂白に一般的に使用される既知の酸化化学反応体の中で
は、塩素を含まない反応体を使用するのが好ましい。ペルオキシ酸及びオゾンが
、特に好ましい。
ペルオキシ酸は、分子内に、少なくとも1つのヒドロペルオキシ基-O-O-Hを含
む全ての酸、或いはこの酸のアンモニウム又はいずれかの金属塩を示すと解され
る。本発明のペルオキシ酸は、区別なく、有機又は無機ペルオキシ酸族に属する
ことができる。
本発明の変形によれば、該ペルオキシ酸は無機ペルオキシ酸である。本発明の
無機ペルオキシ酸は、1つ又は多数のヒドロペルオキシ基を含むことができる。
しかしながら、単一のヒドロペルオキシ基を含む無機ペルオキシ酸が好ましい。
そのような無機ペルオキシ酸の例は、ペルオキシ酸硫黄、ペルオキシ酸セレン、
ペルオキシ酸テルル、ペルオキシ酸リン、ペルオキシ酸砒素及びペルオキシ酸珪
素である。ペルオキシモノ硫酸で、良好な結果が得られた。
本発明の別の変形によれば、該ペルオキシ酸は有機ペルオキシ酸である。本発
明の有機ペルオキシ酸は、過ギ酸及び脂肪族又は芳香族ペルオキシ酸から選択さ
れる。
有機ペルオキシ酸が、脂肪族ペルオキシ酸である場合は、1〜3つのペルカル
ボキシル基を含むペルオキシ酸から選択される。
単一のペルカルボキシル基を含む脂肪族ペルオキシ酸は、一般的に、炭素原子
が11個未満、好ましくは炭素原子が6個未満の直線又は枝分かれした飽和アルキ
ル鎖を含んでいる。そのようなペルオキシ酸の例は、ペルオキシ酢酸、ペルオキ
シプロパン酸、ペルオキシブタン酸及びペルオキシペンタン酸である。特にペル
オキン二酸は、その有効性及び、調製法が比較的簡潔であるために好ましい。
ペルカルボキシル基を2及び3つ含む脂肪族ペルオキシ酸は、炭素原子が16個
未満の直線又は枝分かれしたアルキル鎖を含む、ジ−及びトリペルオキシカルボ
ン酸から選択される。ジペルオキシ酸の場合は、2つのペルオキシカルボキシル
基が、互いに対しアルファ及びオメガ位に位置する炭素原子を置換するのが好ま
しい。そのようなジペルオキシ酸の例は、1,6-ジペルオキシヘキサン二酸、1,8-
ジペルオキシオクタン二酸、1,10-ジペルオキシデカン二酸及び 1,12-ジペルオ
キシドデカン二酸である。トリペルオキシ酸の例は、トリペルオキシクエン酸で
ある。
芳香族ペルオキシ酸は、ベンゼン環当たり少なくとも1つペルオキシカルボキ
シル基を含むものから選択される。ベンゼン環当たりにペルオキシカルボキシル
基を1つだけ含む芳香族ペルオキシ酸を選択するのが好ましい。そのような酸の
例は、ペルオキシ安息香酸である。
本発明の方法の別の変形は、いずれかの有機官能置換基により置換した有機ペ
ルオキシ酸を選択することからなる。有機官能置換基は、カルボニル基(ケトン
、アルデヒド又はカルボン酸)、アルコール性基、ニトリル、ニトロ、アミン及
びアミド基等の窒素を含む基、並びにスルホ及びメルカプト基等の硫黄を含む基
等の官能基を示すと解される。
種々の有機及び/又は無機のペルオキシ酸の混合物も良く適している。
ペルオキシ酸は、区別なしに、ペルオキシ酸溶液の形態、又は、このペルオキ
シ酸のアンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩の溶液の形態で、
用いることができる。溶液とは、水溶液又は有機溶媒による溶液を示すと解する
。有機溶媒の混合物もまた、本発明のペルオキシ酸を溶かすのに適しており、水
と1つ又は多数の水相溶性有機溶媒との混合物も同様である。水溶液が好ましい
。
酸化段階で使用するペルオキシ酸の量は、広範囲で変えることができる。該量
は、使用する木材の種類、並びに、先行する蒸解及び脱リグニン化処理の効率に
依存する。実際には、一般的に、ペルオキシ酸量は、乾燥パルプ 100g当たり0.
2g H2O2当量以上、好ましくは、乾燥パルプ 100g当たり 0.5g以上が使用され
る。H2O2当量は、同量の活性酸素を含む過酸化水素量を示すと解される。一般的
に、ペルオキシ酸量は、乾燥パルプ 100g当たり3gH2O2当量を越えず、好まし
くは、乾燥パルプ 100g当たり2gH2O2当量を越えない。
ペルオキシ酸を用いる処理段階はまた、例えば、界面活性剤、ペルオキシ酸安
定化剤、セルロース繊維の解重合阻害剤及び腐蝕防止剤等の、ペルオキシ酸と相
溶性の1つ又は多数の添加物の存在下で実施することもできる。そのような添加
剤の例は、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、可溶性Mg塩及び金属イ
オンの金属封鎖剤である。一般則としては、添加物が存在する場合には、使用す
るこれら添加剤の量は、乾燥パルプ 100g当たり3gを越えず、好ましくは、乾
燥パルプ 100g当たり 2.5gを越えない。
本発明のペルオキシ酸を用いる処理段階は、広範囲の温度で実施することがで
きる。一般的に、ペルオキシ酸を用いる処理は、温度が、少なくとも40℃、好ま
しくは少なくとも60℃で実施される。同様に、この温度は、一般的に、100 ℃を
越えず、好ましくは、95℃を越えない。温度が90℃で、良好な結果が得られてい
る。
一般的に、有機ペルオキシ酸を用いる処理は、大気圧で実施する。この処理の
反応時間は、温度、及びパルプ製造に使用する木材の種類、並びに、前に行う蒸
解及び段階の有効性に依存する。反応時間は、約60分から約 500分が、良く適し
ている。反応時間 120分で、優れた結果が得られている。
ペルオキシ酸を用いる処理段階のpHは、同様に、酸性のpH値領域、及びアルカ
リ性のpH領域にあることができる。しかしながら、中位の酸性pH値であるのが好
ましい。実際には、少なくとも 3.5の値に初期pHを合わせるのが好ましい。一般
的に、初期pHは、5を越えない。初期pH4で、良好な結果が得られている。
ペルオキシ酸を用いる処理段階のパルプコンシステンシーは、一般的に、固形
分40重量%以下、好ましくは、固形分30重量%以下が選択される。該コンシステ
ンシーは、たいてい、5%以上であり、8%以上であるのが好ましい。コンシス
テンシー10%で、良好な結果が得られている。
本発明の別の変形によれば、オゾンを用いる処理段階は、乾燥酸素ガスを供給
した電気オゾン発生器から生じたオゾン及び酸素の混合物のガス流に、パルプを
付すことからなる。実験室では、生産量が、50〜100 リットル/時、好ましくは
、70〜90リットル/時である発生器を用いるのが有利である。使用するオゾン量
は、パルプヘオゾン/酸素混合物の流れを通す反応時間を変えることにより、容
易に調節することができる。一般的に、乾燥パルプ 100g当たり、0.4〜2gの
オゾン量を使用するには、反応時間20〜80分で十分である。工業規模では、オゾ
ン発生器の生産量及び処理の反応時間の調節を管理して、実験室で生産するのと
同じ値に、パルプ上に使用するオゾン量をセットする。連続操作技術によって、
工業的環境において、実質的に該処理の反応時間を1分程度の反応時間に減らす
ことができるであろう。
オゾンを用いる処理は、酸性媒質中で実施するのが好ましい。pH値が、0.5〜
5、好ましくは 1.5〜4であるのが良く適している。pH2〜3は、乾燥パルプに
対してSO2が 0.5重量%の割合のH2SO4又はSO2溶液によって、パルプを予め30分
の状態調節処理に付すことにより得られ、固形分3%のコンシステンシーで、極
めて良好な結果が得られている。
オゾンを用いる処理段階のコンシステンシーは、固形分 0.5〜45重量%、好ま
しくは、固形分 0.5〜3重量%(低コンシステンシー装置の場合)又は固形分10
〜15重量%(中間コンシステンシー装置の場合)の範囲から選択されるであろう
。固形分35重量%のコンシステンシーが、実験室の規模では、優れた結果を生じ
ている。
オゾンを用いる処理段階の温度は、処理パルプの機械特性に大きな損害を与え
ることになるのを覚悟して、低く維持しなければならない。この温度は、一般的
に、2〜50℃、好ましくは10〜35℃である。大抵は、オゾンを用いる処理は、室
温で容易に実施される。
本発明の方法の有利な変形は、オゾンとのパルプの接触表面積を増加させるこ
とを意味するパルプを散開させる機械処理(英語の文献では、「フラッフィング
(fluffing)」として知られる)が、オゾンを用いる処理に先行していることから
なる。オゾンを用いる処理の際にパルプコンシステンシーが、少なくとも固形分
15%である場合に、この操作は特に有用である。
本発明の方法は、拡張した蒸解に付された、いずれかのタイプのケミカルパル
プの漂白に適用する。該方法は、クラフトパルプ及び亜硫酸パルプの脱リグニン
化に良く適している。特に、クラフトパルプの処理に良く適している。
以下の例は、いかなる場合においても、本発明の範囲を制限することなく、本
発明を説明する目的で挙げられている。例IR〜3R
(本発明に従わない)
通常のクラフト蒸解に付された針葉樹材パルプのサンプル(ISO標準2470-1977(
F)に従って測定して初期白色度は27.9 °ISO、SCAN標準C1-59に従って測定して
カッパ価は26.7、及びグルコースのユニット数で表し、かつSCAN標準C15-62に従
って測定して重合度は1680である)を、以下の条件下で、3段階のシーケンスO
QPに従って処理した:
第一段階:酸素を用いる段階(段階O):
第二段階:EDTAを用いる段階(段階Q):
第三段階:過酸化水素を用いる段階(段階P):
ここで、Na7DTMPAは、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン)酸の
ヘプタナトリウム塩を表す。
各処理段階の完了の際に、該パルプを室温で脱イオン水を用いて洗浄した。
処理後、カッパ価、パルプ白色度及びその重合度を測定した。結果を次表に示
す。
大量の過酸化水素を使用したにもかかわらず、白色度は、85 °ISO を越える
こ
とができないことがわかる。例4
:(本発明に従う)
拡張したクラフト蒸解及び酸素を用いた工業漂白処理に付された針葉樹材パル
プの別のサンプル(ISO標準2470-1977(F)に従って測定して初期白色度は58.5 °I
SO、SCAN標準C1-59に従って測定してカッパ価は3.7、グルコースのユニット数で
表しかつSCAN標準C15-62に従って測定して重合度は 800である)を、以下の条件
下で、2段階のシーケンスQPに従って処理した:
第一段階:EDTAを用いる段階(段階Q):
第二段階:過酸化水素を用いる段階(段階P):
各処理段階の終了の際に、該パルプを室温で脱イオン水を用いて洗浄した。
処理後、該シーケンスの最後に、カッパ価、パルプ白色度及びその重合度を測
定した。
得られた結果は次のようになった:
例5〜7:(本発明に従う)
例4と同じ酸素を用いて予め漂白したパルプサンプルを、シーケンスQPaa
Pに従って漂白した。略字Paaは、過酢酸を用いる段階を示す。得られた作業
条件は次のようになった:
第一段階:EDTAを用いる段階(段階Q):
第二段階:過酢酸を用いる段階(段階Paa):
ここで、Na7DTMPAは、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン)酸の
ヘプタナトリウム塩を表す。
第三段階:過酸化水素を用いる段階(段階P):
各処理段階の終了の際に、該パルプを室温で脱イオン水を用いて洗浄した。
処理後、シーケンスの最後に、カッパ価、パルプ白色度及びその重合度を測定
した。
得られた結果は次のようになった。
例8〜10:(本発明に従う)
例5〜7と同じ酸素を用いて予め漂白したパルプサンプルを、シーケンスQCA
Pに従って漂白した。得られた作業条件は次のようになった:
第一段階:EDTAを用いる段階(段階Q):
第二段階:カロ酸(Caro's acid)を用いる段階(段階CA):
ここで、Na7DTMPAは、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン)酸の
ヘプタナトリウム塩を表す。
第三段階:過酸化水素を用いる段階(段階P):
各処理段階の終了の際に、該パルプを室温で脱イオン水を用いて洗浄した。
処理後、シーケンスの最後に、カッパ価、パルプ白色度及びその重合度を測定
した。
得られた結果は次のようになった。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,E
E,FI,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MN,
MW,NO,NZ,PL,RO,RU,SD,SI,S
K,TJ,TT,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 トラウトン ニコラス エイ
ベルギー ベー1020 ブリュッセル ブー
ルヴァール エミール ボックスタール
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