【発明の詳細な説明】
フッ素化ニトロ化ベンゼン化合物からのフルオロアニリンの製造法
本発明はフルオロアニリンの製造法に関し、詳細には置換されていてよいフッ
素化ニトロ化ベンゼンからのジフルオロアニリンの製造法に関する。
フルオロアニリンは医薬および植物保護の分野において非常に興味深い合成前
駆体である。
しかし、フルオロアニリンは直接的に合成されず、多段階合成法により得られ
、そのことはこれらの製品を非常に高価なものとしている。これらの化合物の価
格を下げる目的で、収率が特に最終段階においてできるだけ高い工程を用いるこ
とが推奨される。
フルオロアニリンを得るために提案されている様々な合成法は、フッ素化ニト
ロ化化合物を用い、それは次にアミンに還元される。ある入手経路は、フッ素化
され且つ一般に塩素化されたニトロベンゼンを調製し、次に、存在することがで
きる塩素原子を水添分解して、塩素原子を水素原子で置換しながら、水素化操作
に付してニトロ基をアミン基に還元することを含む。
このように、米国特許第4,140,719 号は5-クロロ-2,4- ジフルオロニトロベン
ゼンの水素化を用いる、2,4-ジフルオロアニリンの合成法を記載しており、収率
は84% である。
同様に、米国特許第5,294,742 号は、2,6-ジクロロ-3,5- ジフルオロニトロベ
ンゼンの水素化により3,5-ジフルオロアニリンを提供することを記載しており、
収率は88.9% である。
このような収率は実験室においては許容されるが、利益のある程度の損失を意
味することになり、それは産業用途の観点からは避け
ることが推奨される。
更に、これらの収率は高い転化率を伴い、出発材料の残部はアゾまたはアゾキ
シタイプの化合物に転化されるが、本願発明者により発見されたように、重縮合
によりポリアニリンにも転化され、この副生成物は高度に毒性であると考えられ
ることは注意されるべきである。その存在は、精製後に微量であっても、医薬品
、または、環境に接触する製品(特に農業用製品)の合成におけるフルオロアニ
リンの使用の目的には非常に欠点となる。
この為、本発明の目的は、毒性の副生成物を有意に生成することなく、本質的
に高収率で、フッ素化ニトロ化ベンゼン化合物からフルオロアニリン、特にジフ
ルオロアニリンを製造するための方法を提供することである。
本発明の目的は、詳細には、このようなフッ素化ニトロ化ベンゼンを水素化し
、それにより、前記化合物を還元することが可能であり、そして、必要に応じて
、水添脱フッ素化に対して選択的にフッ素原子以外のハロゲン置換基を水添分解
する方法を提供することである。
このために、本発明の1つの目的は、式(I)の化合物、
(式中、nは1〜5の値であり、
Zは接触水素化条件下で安定な基であり、
pは5−n未満である。)の製造法であり、前記方法によると、式(II)の化
合物、
(式中、n、Zおよびpは上記の通りであり、
Xは水添分解性基であり、
qは0〜5−(n+p)の値である。)を、水素圧力下で、触媒を含む液媒中に
おいて接触水素化に付し、接触還元反応、および、適切ならば水添分解反応を行
うものであり、ここで、
式(II)の化合物は前記液媒中に徐々に導入され、それにより、液体中の式(
II)の化合物の含有率は1000質量ppm以下に維持され、それによって式
(I)の化合物を選択的に生成することを特徴とする。
Xがハロゲン原子、特に、塩素である化合物、特に、クロロジフルオロニトロ
ベンゼンは式(II)の出発化合物として特に対象とされる。
Z基はいずれの炭化水素基であってもよく、非水添分解性であり、即ち、接触
水素化条件下で水素原子により置換されない、少なくとも1個のヘテロ原子を含
んでよい。このような基は特にアルキル基であることができる。
本発明によると、良好な転化率および良好な選択率、そしてこの為、良好な所
望の生成物の収率を得るために、式(II)の化合物
を水素化媒質中に徐々に導入し、それにより、式(II)の化合物の含有率を反
応液体中で1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、特に200〜5
00ppmの範囲に維持する。
連続的にまたは非連続的にベンゼン化合物を水素化媒質中に徐々に導入するこ
とにより、望ましくない副生成物の生成を顕著に回避することができる。
好ましくは、ニトロ化ベンゼン化合物は水素化媒質中に連続的に導入される。
この導入は、式(II)の化合物の液体中の含有率が1000ppm未満に維
持されるように行われなければならない。好ましくは、この含有率は、500p
pm未満、特に200ppm〜500ppmの範囲に維持される。しかし、この
含有率を、特に200ppmよりかなり低い、非常に低い値に維持するように選
択することも等しく可能である。特定の態様において、水素化反応は、有利には
、反応液体中において式(II)の化合物の含有率を測定するための手段、この
測定手段に所望により付される式(II)の化合物を導入するための手段を具備
したチャンバー中で実施されることができる。
有利には、式(II)の化合物は液体水素化媒質中に攪拌しながら徐々に導入
され、それにより、過度に高い濃度を避け、即ち、最大の望ましい濃度を越える
局所濃度を避ける。
好ましくは、式(II)の化合物の水素化を実施する液媒は式(II)の化合
物および様々な反応生成物の両方のための溶剤の液体である。
実際、本発明による方法は、反応が、均質な液媒中、即ち、単一の液相の存在
下での溶液中で行われるときに特に効率的である。この均質な液媒または単相媒
質は、しかしながら、媒質中に懸濁した
固体粒子、即ち、触媒粒子を含んでもよい。
しかし、反応は不均一媒質中で行われてもよく、即ち、もし反応体が媒質中に
不溶性であるかまたは部分的に可溶性であるならば、適切な反応条件は下記に詳
細に提供されるであろう。
溶剤は、好ましくは極性溶剤であり、プロトン性であってもまたは非プロトン
性であってもよい。前記溶剤の比誘電率εは、有利には少なくとも5であり、好
ましくは50以下である。溶剤は少なくとも8、好ましくは9以上のアクセプタ
ー数Aを示す。アクセプター数Aの定義のために、C.Reichardtによる研究、So
lvents and Solvent Effects in Organic Chemistry,第二版、VCH(FRG),1990
,pp.23〜24を参照する。五塩化アンチモンと前記溶剤との組み合わせのエンタ
ルピーの差異(kcal/モルでのΔH)により表現されるドナー数Dが10〜30であ
る溶剤も有利である。メタノールまたは酢酸エチルも特に使用されてよい。溶剤
は、有利には水混和性溶剤から選択できる。
反応がアルコール系媒質中で行われるときに、溶剤による副反応を避けるため
に、媒質のpHを13以下の値に制限することが好ましい。
水素化の条件下で還元されうる硫黄を含む溶剤、例えば、DMSOは避けるべ
きである。というのは、特に、触媒を失活させることができる望ましくない副生
成物をもたらすからである。硫黄含有溶剤、例えば、スルホランは、しかしなが
ら、還元するのが非常に困難であるから許容できる。
一般に、生成物の沸点と十分に異なる沸点を有する溶剤中で反応を実施するこ
とが特に有利であることができ、それにより、反応生成物の単離を蒸留により行
うことができる。
触媒は既知の水素化触媒のいずれかから選択されてよく、特に、
ニッケル若しくはパラジウムまたは白金族金属のような金属であって、必要に応
じて、カーボンブラックおよび/または活性炭のような無機または有機担体上に
担持されたものから選択されてよい。パラジウムは、反応が不均一媒質中で行わ
れ、且つ、少なくとも約100℃〜約150℃の温度で操作するときに反応が可
能であるときに、非常に適切であることが証明されている。
本発明の方法はフルオロニトロベンゼン、即ち、qが0の値である式(II)
の化合物の水素化によるフルオロアニリンの製造に適用できる。
この場合、触媒の選択はあまり重要でなく、そして特にチャコール上に担持さ
れたパラジウムを選択することができる。
式(II)の化合物が水添分解性置換基を有しない、即ち、もしq=0である
ときに、接触水素化はNO2からNH2への還元反応のみを起こす。反応温度条件
は0〜150℃であってよく、好ましくは30℃〜130℃である。
本発明の方法は、また、クロロフルオロニトロベンゼン、即ち、pが0であり
、且つ、XがClである式(II)の化合物の接触水素化によるフルオロアニリ
ンの製造にも適用でき、特に、示したタイプの化合物で、qが1であるもの(ク
ロロジフルオロニトロベンゼン)、または、qが2であるもの(ジクロロジフル
オロニトロベンゼン)、または3であるもの(トリクロロジフルオロニトロベン
ゼン)の接触水素化によるジフルオロアニリンの製造に適用できる。この特定の
場合には、本発明の方法は、ニトロ基をアミノ基に還元し、そして塩素原子を水
添分解する。
ニトロ基のアミノ基への還元およびX基の水添分解は同時にまたは好ましくは
逐次的に起こることができ、ここで、前記還元により、対応するフッ素化され且
つハロゲン化されているアミノ化ベンゼ
ン化合物が遷移的にまたは実際に存在して得られる。水添分解は、中間体または
遷移中間体としてのアミノ化化合物で起こるか、または、ニトロ化化合物の還元
と同時に起こることができる。
好ましくは、qが0でなく、且つ、Xがフッ素以外のハロゲン原子、特に塩素
原子であるときに、水素化条件は、工程a)において、接触還元により式(II
)の化合物から式(III)
の化合物を生成し、次に、工程b)において、水添分解により式(III)の化
合物から式(I)の化合物を生成するように調整される。
水添分解の条件は、同一の触媒が工程(a)および工程(b)の反応をもたら
すようなものであることができる。このような触媒はチャコール上に担持された
パラジウムを含む。
この場合、工程(a)および工程(b)の反応を同時にもたらす接触水素化条
件は50〜130℃の温度であることを含む。この場合、水素圧力は有利には1
05〜5x106Paである。
チャコール上に担持されたパラジウムにより触媒して、工程(a)により式(
II)の化合物の実質的に全てを式(III)の化合物に最初に転化させる水素
化条件は、0〜70℃の温度、特に60℃未満、好ましくは50℃以下の温度で
あることを含む。水素分圧は好ましくは105〜2x106Paである。70℃を
越えると、チャコール上に担持されたパラジウムは工程(b)の反応を効率的
に触媒する。
工程(b)は、80℃を越える温度、特に100℃を越え、更に特に120℃
の温度で行える。水素分圧は有利にはこの工程の間に1.5x106〜5x106
Paである。
水素化条件は、1種の触媒が工程(a)のために使用され、そして、上記と異
なる別の触媒が工程(b)のために使用されるようなものであってもよい。水素
化触媒は、単離されうる式(III)の化合物を最初に選択的に得るように選択
されることができる。この点で、ニッケル、特にラネーニッケル、または、水素
化技術において知られているように被毒された(poisoned)金属触媒、例えば、
被毒されたラネーニッケルが好ましい。FR-A-2,664,590およびFR-A-2,649,979に
記載されているような硫黄で被毒された金属触媒、および、FR-A-2,649,978に記
載されているようなヨウ素で被毒された金属触媒を挙げることができる。若干被
毒された触媒が好ましく、即ち、触媒を完全に不活性なものとするには毒の量が
不十分であることが好ましい。反応は、その後、80℃未満の温度、好ましくは
70℃未満の温度で行われる。水素分圧は好ましくは105〜2x106Paであ
る。
工程(b)の反応は上記の群の一部を形成しておらず、且つ、前記水添分解を
触媒するのに活性である別の触媒を使用することにより行われる。チャコール上
に担持されたパラジウムは特に使用できる。反応は、好ましくは80℃を越え、
特に100℃を越え、更に特には120℃を越える温度で行われる。水素分圧は
この工程(b)において好ましくは1.5x106〜5x106Paである。
式(III)の化合物、即ち、工程(a)の反応によってのみ還元された化合
物を分離することを望む場合には、工程(a)の終了前に、場合によってはこの
中間体製品を合成しながら、蒸留によっ
てこの中間体製品を注意深く分離することができるように、比較的に高い沸点の
溶剤中で反応を行うことが特に有利である。
水素化ガスとしては、純粋水素または水素と不活性ガス、特に窒素との混合物
を使用できる。
上記に示した温度および圧力条件下で、ニトロ基からアミノ基への還元反応(
工程(a))は水素の量が制限されなければ完了する。
X基の水添分解反応は、選択触媒、例えば、部分的に被毒されたラネーニッケ
ルの使用、または、不十分な温度および/または圧力条件の使用により制限され
ることができる。
X基がハロゲン原子であるときに、工程(b)の反応はハロゲン化水素酸の形
態でハロゲン原子を放出する。
開放される酸を中和するために塩基の存在下で反応を行うことは有利である。
一般に、pHは、好ましくは、生成されるアニリンの多量部分、即ち、少なくと
も80%、有利には少なくとも90%が反応媒質中で遊離の形態のままであるよ
うな値に維持されるべきである。
加えられる塩基は好ましくはアルカリ塩基であり、特に、水酸化ナトリウムで
あり、それは水溶液の形態で媒質中に導入されてよい。
アルカリ土類金属酸化物、例えば、特にMgOおよびCaOを使用することも
可能である。これらの化合物は、しかしながら、水中に溶解することが困難であ
るか、または、少なくとも非常に遅い溶解速度を有し、そのため、その使用によ
り、水素化媒質中に多量の固体分を導入し、その為、均質溶液(固体触媒を除く
)に適した条件下で得られるものほど良好な結果を得られないことがある。しか
し、上記で述べたように、適切な条件下での不均一媒質中で問題な
く反応を行うことができる。
別の態様として、酸吸収剤として塩基性イオン交換樹脂を使用することも可能
である。
反応がアルコール媒質中で行われるときに、溶剤に由来する化学種による芳香
環の置換の副反応を避けるために、使用する塩基が比較的に弱いことが好ましく
、特に、そのpKaが少なくともMg2+イオンのpKaと同等であり、且つ、1
3未満であることが好ましく、または、pHが13を越えないように塩基を徐々
に添加することによりpHを調節することが好ましい。緩衝剤を使用することに
よりpHを調節することも可能である。
塩基性水溶液を使用する場合には、水素化が均質溶液中で起こるように水素化
媒質を構成するために水混和性溶剤を選択することが好ましい。
反応の間に、存在する反応体の量は、生成物(例えば、窒素性塩基、または、
ハロゲン化水素、または、導入された塩基と開放されたハロゲン化水素酸の反応
により生じた塩)の濃度が反応媒質中においてこれらの生成物の各々の可溶性限
界未満になるような量であることが好ましい。好ましくは、反応媒質中の固体分
の沈殿は、その可溶性限界の90%未満の値、より特には80%未満の値の溶液
中の化学種の濃度に維持することにより回避される。
この点について、反応媒質中への塩基の添加により行うことができるpHの変
更は、有利なことに、前記可溶性限界を変更し、そして均質溶液中での反応を継
続するのに利用することができる。
しかし、均質媒質中で反応を行うことは必須ではない。反応は約100℃〜約
150℃の温度で、特に工程(b)で反応を行うことにより不均一媒質中での反
応が可能である。パラジウム触媒を使用することが好ましいであろう。
様々な量のいずれかの既知の塩基を使用することができるが、この塩基、例え
ば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが低い溶解度の塩の形態で提供され
るときには、濃度が1モル/l、特に0.5モル/l以下であることが好ましい
。
塩基は、有利には、反応の間に開放されるハロゲン化水素酸と比例して反応媒
質中に導入される。
別の態様として、必要に応じて反応媒質の温度を上げながら、式(II)の化
合物をゆっくりと導入した後に初めて塩基の存在下で反応を実施することが可能
である。この場合、開放されるハロゲン化水素酸に比例して塩基を導入すること
も可能である。
選択触媒が、最初に工程(a)の反応を行うことのみを目的として使用される
ときに、副反応の危険を制限するために、塩基の存在下で反応を行うことは好ま
しい。
式(II)の化合物をゆっくりと導入し終わったときに、それは、反応条件に
よっては、完全にアミンに還元されておりそして反応媒質は式(III)の化合
物のみを含むことができるか、または、式(III)の化合物と式(II)の化
合物との混合物を含むことができる。
添加の最後に反応混合物が式(III)の化合物を含むならば、高収率で式(
I)の化合物を得るために、水素化操作を継続することができる。
この工程で、接触水素化は反応混合物で直接継続することができる。反応(b
)を行うことができない選択触媒により、ここまで反応を行ってきたならば、今
度はこの反応に活性である別の触媒が水素化媒質中に導入されるべきである。
別の態様として、式(I)の化合物および式(III)の化合物の形態、また
は、それらの混合物の形態で、水素化の反応生成物を
分離することも可能である。
式(III)の化合物は、単独で、または、式(I)の化合物との混合物とし
て、水素化触媒および塩基の存在下で、フッ素化アニリンのための溶剤である液
媒を含む水素化チャンバー中で、更なる水素化操作に付される。反応媒質は、最
初の水素化の反応媒質と同一であってもまたは異なっていてもよいが、好ましく
は上記の有利な代替の形態が考えられる(特に、極性溶剤、有利には水混和性で
あるもの等)。
上記の全ての代替の形態は出発ベンゼン化合物の高転化率を達成することが可
能であり、実質的に高収率のフッ素化アニリンを得ることができる。
水素化は、好ましくは、反応(a)および(b)を組み合わせることにより、
単一の媒質中で行われ、それにより、式(I)の化合物が最後に得られる。反応
は、触媒としてチャコール上に担持されたパラジウムの存在下で行われる。触媒
は有利には5〜15%のパラジウムを含むことができる。温度は好ましくは、式
(II)の化合物のゆっくりとした導入の間に70℃未満に維持され、そしてそ
の後、温度は80℃より高い温度、好ましくは100℃〜120℃以上に上げら
れ、反応が完了される。
得られたフッ素化アニリンは、水素化の終了時に、特に蒸留により反応媒質か
ら分離されることができる。
水素化反応の終了時に、反応媒質の50重量%以下の範囲であってよいアミン
の濃度を達成することが可能である。20重量%を越える濃度は非常に容易に達
成される。
反応媒質中で非常に高い濃度の最終生成物を得ることができることにより、装
置の生産性を上げることができ、そのことは、高い収率であることに加えて、本
発明の方法の更なる利点である。
本発明による方法は、式(Ia)の2,4−ジフルオロアニリン
の製造に非常に有利に用いることができ、それは、式(IIa)
(式中、qは0から2の整数であり、場合によって存在する塩素原子はニトロ基
に対してメター位にある。)の化合物の接触水素化により得られる。
これらの化合物の水素化が同一の最終生成物を製造するので、反応はこれらの
化合物の混合物で行われてよい。
スキーム1は、この水素化を使用し、そして非常に単純な前駆体から出発する
、2,4−ジフルオロアニリンの多段階合成を提供する。
2,4−ジフルオロニトロベンゼン、および、3−位または5−位、または、
3−位および5−位で塩素化されている、その誘導体から選ばれる、式(IIa
)
(式中、qは0〜2の値である。)の化合物または式(IIa)の化合物の混合
物は、2,4−ジクロロニトロベンゼン、および、3−位または5−位、または
、3−位および5−位で塩素化されている、その誘導体からそれぞれ選ばれる、
式(IV)
の化合物または式(IV)の化合物の混合物とフッ化物源との反応により得るこ
とができる。
フッ素原子により置換されるのはオルトー位およびパラー位の塩素原子である
。環の電子が乏しいほど、他のCl置換基に対して、置換が容易である。
フッ素化物源としては、アルカリ金属フッ化物、特に、フッ化カリウム若しく
はフッ化セシウム、または、第四級アンモニウムフッ化物を、フッ素により置換
される2個のオルトおよびパラ塩素原子に対して計算される量の若干の過剰量で
、従来から使用している。
反応は、上記に示した比誘電率εおよびドナー数Dを特に示す、当業者に知ら
れている乾燥極性非プロトン性溶剤中で行われる。
式(IV)の化合物または式(IV)の化合物の混合物は、式(V)の化合物
であって、1,3−ジクロロベンゼン、および、2−位若しくは4−位、または
2−位および4−位で塩素化された、その誘導体からそれぞれ選択されたもの、
またはそれらの化合物の混合物と、芳香族化合物のニトロ化のための試薬、特に
、硝酸との反応により有利に得られる。
ニトロ基は、1,2,3−トリクロロベンゼンの6−位に96%まで、そして
1,2,4−トリクロロベンゼンの5−位に90%まで導入される。
式(V)のどの塩素化ベンゼン化合物を反応シーケンスの最初に使用しても、
最終生成物は式(Ia)の2,4−ジフルオロアニリンである。この為、様々な
塩素化ベンゼン化合物を含む出発混合物を用いても、問題がなく反応を実施する
ことが可能である。
同様に、本発明による方法は、式(Ib)の3,5−ジフルオロアニリンの製
造に適用できる。
その方法は、2−クロロ−3,5−ジフルオロニトロベンゼン、および、4−位
若しくは6−位または4−位および6−位において塩素化された、その誘導体か
ら選ばれた、式(IIb)の化合物または式(IIb)の化合物の混合物
(式中、qは0〜2の値である。)の接触水素化によるものである。
スキーム2は、この水素化を用い、且つ、非常に単純な前駆体から出発した、
3,5−ジフルオロアニリンの多段階合成のための2つの経路を提供する。
2−クロロ−3,5ジフルオロニトロベンゼン、および、4−位
若しくは6−位または4−位および6−位において塩素化された、その誘導体か
ら選ばれる、式(IIb)の化合物または式(IIb)の化合物の混合物、
(式中、qは0〜2の値である。)は、2−アミノ−3,5−ジフルオロニトロ
ベンゼン、および、4−位若しくは6−位または4−位および6−位において塩
素化された、その誘導体からそれぞれ選ばれる、式(VI)の化合物または式(
VI)の化合物の混合物
と、塩化第一銅とを、亜硝酸イオン源、特に、亜硝酸または酸媒質中の亜硝酸ナ
トリウムの存在下で反応させることにより得ることができる。
サンドメイヤー反応の名称で知られているこの反応は、アミン基の窒素原子上
でのジアゾ化をもたらし、このアゾ基が次に塩素原子により置換される。
この反応は、上記の化合物で特に有効であることが判明し、そして本願発明者
は非常に高い反応収率、90%をかなり越える収率を
観測することができた。
式(VI)の化合物または式(VI)の化合物の混合物は、2,4−ジフルオ
ロアニリン、および、3−位若しくは5−位または3−位および5−位において
塩素化された、その誘導体からそれぞれ選ばれた式(VII)
の化合物または式(VII)の化合物の混合物と、芳香族化合物のニトロ化のた
めの試薬、特に、硝酸とを反応させることにより得られる。
このニトロ化反応を行うための最も良好な媒質の1つは、硝酸、硫酸およびカ
ルボン酸を含む媒質である。
有利には、反応混合物は高い比率の水を含むこともでき、水は、そのままで、
または、上記の無機酸のうちのいずれかの溶液により導入されてよい。
有利には、出発材料を勿論考慮に入れない反応媒質の水の含有量は、使用され
る純粋な硝酸の量の1/10〜1倍である。
65%硝酸を用いることにより導入される水の量は満足できる結果をもたらす
。
好ましくは、ニトロ化反応の前に、アニリンのアミノ基はアシル化により脱活
性化できる。アシル基は、酸無水物若しくは酸ハロゲン化物またはモノアミド化
により炭酸から得られた化合物と、アニリンとの反応により従来のように導入で
きる。
しかし、ニトロ化反応の条件下でアニリドが安定であることは好ましい。
アニリンを再生するためのアニリドの開裂反応は、ニトロ化の反応系と同一の
反応系において行うことができる。そうするためには、必要に応じて特定の量の
水を添加した後に、ニトロ化により得られた反応混合物を少なくとも50℃、好
ましくは少なくとも80℃に加熱することで十分である。
アニリドを含むか、またはそれを含まない、ニトロ化反応からの生成物はニト
ロアニリン塩の形態で最終製品になる。この塩は、サンドメイヤー反応でニトロ
アニリンと同様に使用できる。
別の態様において、式(IIb)の化合物または式(IIb)の化合物の混合
物は、ニトロ化反応およびサンドメイヤー反応の順序を逆にして、式(VII)
の化合物から得ることができる。
このように、2−クロロ−3,5−ジフルオロベンゼン、および、4−位若し
くは6−位または4−位および6−位において塩素化された、その誘導体から選
ばれる、式(IIb)
(式中、qは0〜2の値を有する。)の化合物または式(IIb)の化合物の混
合物は、1−クロロ−2,4−ジフルオロベンゼン、および、3−位若しくは5
−位および3−位および5−位において塩素化された、その誘導体からそれぞれ
選ばれる、式(VIII)
の化合物または式(VIII)の化合物の混合物と、芳香族のニトロ化のための
試薬、特に、硝酸とを反応させることにより得ることができる。
2個のフッ素原子に対してメタ−位のニトロ化は容易に且つ位置選択的に行わ
れる。
式(VIII)の化合物または式(VIII)の化合物の混合物は、好ましく
は、2,4−ジフルオロアニリン、および、3−位若しくは5−位または3−位
および5−位において塩素化された、その誘導体からそれぞれ選ばれた式(VI
I)
の化合物または式(VII)の化合物の混合物をサンドメイヤー反応に付すこと
により得られる。
この別の態様は、上記で説明した反応シーケンスに対して非常に有利である。
というのは、アニリドへの転化によるニトロ基の存在下でのアミンの保護の段階
を避けることができるからである。この
保護段階は高価な試薬を使用し、且つ、アニリドの形態で保護されたクロロフル
オロニトロアニリンへのサンドメイヤー反応を行う間に生じたエフルエントを処
理する必要があることを意味する。
式(VII)の化合物および式(VII)の化合物の混合物は、有利には、2
,4−ジフルオロニトロベンゼン、および、3−位若しくは5−位または3−位
および5−位において塩素化された、その誘導体から選ばれる、式(IIa)
(式中、qは0〜2の値である。)の化合物または式(IIa)の化合物の混合
物を、上記に説明したように、特に、本発明による接触水素化法により、水素化
させることにより得ることができる。
ニトロ基からアミノ基への還元のための既知のいずれの方法を用いてもよいが
、但し、この方法はハロゲン、特に、フッ素の置換基に影響を及ぼすものでない
。
この点に関して、室温における接触水素化による還元を挙げることができ、こ
こで、触媒はパラジウムまたはラネーニッケルであってよい。
しかし、本発明による還元条件を用いること、特に、還元の選択性があり、且
つ、脱塩素化が可能でない、若干被毒された触媒を用いることにより還元を行う
ことは好ましい。
このようにして、良好な収率で、単純な前駆体、即ち、1,3−ジクロロベン
ゼン、1,2,3−および1,2,4−トリクロロベ
ンゼン、並びに、1,2,3,4−テトラクロロベンゼン、またはそれらの混合
物から2,4−および3,5−ジフルオロアニリンを調製することが可能である
。というのは、全ての前駆体は同一の主要最終生成物を生じるからである。反応
のシーケンスは、各段階で各中間体生成物を単離することにより行える。そうす
るためには、通常の溶剤系(universal solvent system)を使用するであろう。
スルホランは非常に好適である。しかし、反応混合物は副生成物、特に硫黄含有
生成物を含まないように注意する。この副生成物は水素化反応の触媒に対して有
毒であるか、または毒を発生することができる。
このように、本発明による2,4−ジフルオロアニリンの製造方法は、
(i)1,2,3−トリクロロベンゼンと、ニトロ化試薬、特に、硝酸とを反
応させて、2,3,4−トリクロロニトロベンゼン(A)を生成させること、
(ii)(A)とフッ化カリウムとを混合して、3−クロロ−2,4−ジフル
オロニトロベンゼンを生成させること、および、
(iii)上記の方法により(B)を接触水素化させること、を含むことがで
きる。
この方法は、工程(i)において、1,2,4−トリクロロベンゼンまたは1
,2,3,4−トリクロロベンゼン、或いは、1,2,3−トリクロロベンゼン
、1,2,4−トリクロロベンゼンおよび1,2,3,4−テトラクロロベンゼ
ンから選ばれた少なくとも2種の製品の混合物を用いることにより2,4−ジフ
ルオロアニリンを合成することも可能である。中間体生成物または中間体生成物
の混合物は、工程(ii)および(iii)で同一の試薬と反応して、工程(i
ii)の終了時に、主として2,4−ジフルオロアニ
リンを生じる。可能な副生成物異性体、2,6−ジフルオロアニリンまたは3,
5−ジフルオロアニリンは蒸留により容易に分離できる。
同様に、本発明による3,5−ジフルオロアニリンの製造方法は、次の一連の
工程を含むか、または、2,4−ジクロロ−3,5−ジフルオロニトロベンゼン
を調製するためのこれらの1つまたは幾つかの工程を別の順序で含むことができ
る。
(i)1,2,3−トリクロロベンゼンと、ニトロ化試薬、特に硝酸とを反応
させて、3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼン(A)を生成させるこ
と、
(ii)(A)とフッ化カリウムとを混合し、3−クロロ−2,4−ジフルオ
ロニトロベンゼン(B)を生成させること、
(iii)塩素原子に影響を及ぼさない条件下で、特に、上記の方法により、
(B)を接触水素化させて、3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロアニリン(
C)を生成させること、
(iv)(C)と3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロアニリンとニトロ化
試薬とを反応させて、3−クロロ−2,4−ジフルオロ−6−ニトロアニリン(
D)を生成させること、
(v)(D)を、塩化第一銅および硝酸イオン源、特に亜硝酸と混合させ、2
,4−ジクロロ−3,5−ジフルオロニトロベンゼン(E)を生成させること、
および、最後に、
(vi)上記の方法により(E)を接触水素化させること。
この方法により、工程(i)において、1,2,4−トリクロロベンゼンまた
は1,2,3,4−トリクロロベンゼン、或いは、1,2,3−トリクロロベン
ゼン、1,2,4−トリクロロベンゼンおよび1,2,3,4−テトラクロロベ
ンゼンから選ばれた少なくとも2種の製品の混合物を用いることにより3,5−
ジフルオロア
ニリンを調製することが可能である。全ての出発材料は工程(vi)の終了時に
主として3,5−ジフルオロアニリンを生じる。出発材料の混合物を用いるとき
には、この混合物は、どのような比率であっても、主として3,5−ジフルオロ
アニリンを含む最終生成物を生じる。可能な副生成物の異性体、2,6−ジフル
オロアニリンまたは2,4−ジフルオロアニリンは蒸留により容易に分離できる
。
この方法により、3,5−ジフルオロアニリンを高収率で得られる。更に、既
知の方法に対して、この方法は、副生成物としてNO2Clを開放する脱クロロ
ニトロ化反応を伴わないという利点を有する。この爆発性の副生成物は、これま
で、3,5−ジフルオロアニリンの工業合成の可能性を制限してきた。上記の方
法は、3,5−ジフルオロアニリンの工業合成の問題に対する確実且つ経済的に
実現可能な解決法を提供する。
工程(i)および(ii)を含む上記のタイプの方法は、工程(iii)の水
素化の条件の単純な変更により、同一の工業装置を用いて、2,4−ジフルオロ
アニリンを同様に良好に製造することができるという利点を有する。この多目的
装置を有する技術者は要求に応じて容易に製造を適合させることができる。
本発明による3,5−ジフルオロアニリンを製造するための別の方法は、
(i)1,2,4−トリクロロベンゼン、または、3−位において塩素化され
たその誘導体と、ニトロ化試薬、特に、硝酸とを反応させること、
(ii)このように得られた、2,4,5−トリクロロニトロベンゼン、また
は、3−位において塩素化されたその誘導体と、フッ化カリウムとを混合するこ
と、
(iii)このようにして得られた5−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベ
ンゼン、または、3−位において塩素化されたその誘導体を、塩素原子に影響を
及ぼさない条件下で、特に、上記に記載の方法により接触水素化させること、
(iv)このようにして得られた5−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン、
または、3−位において塩素化されたその誘導体と、塩化第一銅とを、亜硝酸イ
オン源、特に亜硝酸の存在下で反応させること、および、
(v)このようにして得られた2,6−ジクロロ−3,5−ジフルオロニトロ
ベンゼン、または、4−位において塩素化されたその誘導体を、上記に記載の方
法により接触水素化させること、
を含むことができる。
この方法は、驚くべきことに、非常に高い位置選択性の反応のみを伴い、この
方法により、工業用途に使用できる良好な収率および生産コストで、3,5−ジ
フルオロアニリンを得ることが可能である。このケースでも、主成分が非常に支
配的な最終生成物を得るために、出発材料の混合物を使用することが可能である
。これらの方法の特徴により、ジクロロベンゼンの逐次的な塩素化から得られる
塩素化ベンゼン化合物の異性体の混合物の価値を上げることが可能である。この
ように、オルト−、メタ−またはパラ−ジクロロベンゼンのモノ塩素化は、1,
2,3−および1,2,4−トリクロロベンゼンの混合物をもたらし、それは更
に塩素原子により置換されて、1,2,3,4−テトラクロロベンゼンを生成す
ることができる。
本発明は次の実施例により更に例示されるであろう。
実施例
例1〜4:
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの3−クロロ−2,4−ジフル
オロアニリンへの還元
0.18gのラネーニッケルを、1000回転/分で攪拌されている、ステン
レススチール製の反応器中の100mlのメタノール中に入れる。反応器は反応
器の圧力を制御し、且つ、消費された水素の量を測定することができる能力(供
給および減圧ゲージ)を有し、圧力下での注入のためのポンプを具備している。
反応器を窒素で3回パージし、そしてその後、水素で3回パージする。
反応器の温度を50℃にし、そして、1.5x106Paの水素圧を導入した
。これらの条件が整ったときに、メタノール中の18g(0.093モル)の3
−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの溶液50mlを28ml/時の
速度で注入する。
温度および圧力条件を注入の間を通して一定に維持し、3−クロロ−2,4−
ジフルオロニトロベンゼンの濃度を注入の流速により500ppm未満の値に維
持する。
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの導入の終了後に、水素化条
件を、反応の完了を示す、更なる水素の消費の観測ない状態で1時間維持した。
溶剤の単純な蒸留により、15.3gの非常に薄い色の生成物を分離し、その
生成物は99.5%の3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンを含み、そして
0.02%のみの2,4−ジフルオロアニリンを含む。
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの転化率は100%であり、
そして3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン収率は99.6%である。
反応の速度(出発材料の消失)は約0.2モルh-1g-1触媒であった。
例2
媒質が反応条件下で常に水素で飽和されるように優れた気体/液体移動を行う
プロペラで攪拌されている300mlの反応器中で反応を行う。
120mlの酢酸エチルおよび0.18gのラネーニッケルであって、エタノ
ールおよび酢酸エチルで事前に洗浄されたものを反応器に装填する。窒素による
空気の除去、その後、水素による窒素の除去後、50℃の温度で、1.5x106
Pa絶対圧下で水素により加圧する。80mlの酢酸エチル中に溶解した0.
093モルの3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの溶液を225分
にわたって注入する。
水素消費量は、3モル/モル・ニトロ化誘導体の化学量論量に対応して不変で
ある。
適切な分析手段(連続電位測定および気相クロマトグラフィ−GPC)により
、ニトロ化誘導体の濃度は500ppm以下に維持されていることを確認する。
ニトロ化誘導体の注入を中止した後、温度および圧力条件を水素消費が観測さ
れない状態で更に15分間維持される。
3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの収率は(GPCにより定量的に測
定して)99.6%である。0.4%の2,4−ジフルオロアニリンの生成も観
測され、この生成物は3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの水添脱塩素化
により生じるものである。
例3
例2のように反応を行うが、溶剤として水/メタノール(10/90体積基準
)混合物中で、触媒として10%のPdを含むチャコ
ール上に担持されたパラジウムを用いる。
100mlの水/メタノール混合物および200mgの触媒を反応器に装填す
る。
反応器を水素で4x105Paに加圧し、そして60℃に加熱する。3−クロ
ロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼン(0.18モル)を70mlのメタノー
ル中に溶解させ、そして150分間にわたって反応器に注入する。
ニトロ化誘導体の濃度は水素化の間を通して500ppm未満である。
3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン収率(GPCにより定量的に測定し
て)は88.5%である。3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの水添脱塩
素化から生じる2,4−ジフルオロアニリンも10.2%存在する。
この例は、チャコール上に担持したパラジウムの触媒はニトロ基の還元および
水素による塩素原子の置換の両方を触媒することができることを示す。
液媒および触媒中のフッ素化物の分析は、水添脱塩素化は、使用したニトロ化
誘導体に対して0.1%であることを示す。
例4
反応を例2のように行うが、異なる装填物および条件である。
180mlのメタノール/水の混合物(66/34の体積比)および300m
gのラネーニッケルを反応器に装填する。反応器を水素で2x106Paに加圧
し、そして60℃に加熱する。その後、圧力を2.2x106Paで一定に維持
する。
70mlのメタノール中の0.155モルの3−クロロ−2,4−ジフルオロ
ニトロベンゼンの溶液を270分間にわたって注入する。
3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの収率は87%であり、そして2,
4−ジフルオロアニリンの収率は13%である。
比較例1〜3
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの水素化を行うが、全てのニ
トロ化ベンゼン化合物を反応の最初に反応器に入れる。
比較例1
10gの3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼン(0.049モル)
を、13mlのクロロベンゼン、0.8mlの水および5%の白金を含有するチ
ャコールで担持した白金0.08gとともに、ステンレススチール製のオートク
レーブ中の38mlのエタノール中に入れ、このオートクレーブは振盪運動によ
り攪拌されており、それはオートクレーブ中の圧力を制御し、そして消費した水
素の量を測定することができる能力を備えている。クロロベンゼンを用いて、早
過ぎる脱ハロゲン化を防止する。
オートクレーブを窒素で3回パージし、そして水素で3回パージする。
オートクレーブの温度を35℃にし、そして水素圧力を4.2x106Paと
する。水素を連続的に導入することにより圧力をこの値に維持するが、温度は反
応の発熱のために50℃に上昇する。
この時間の後、出発材料である3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼ
ンの転化率が100%であることを確認する。3−クロロ−2,4−ジフルオロ
アニリンの生成率を同様に測定し、そして81%の値であり、転化生成物の残り
は様々な生成物からなり、アゾ基若しくはアゾキシ基を含み、場合によっては塩
素およびフッ素を失ったハロゲン化ニトロ化ベンゼン化合物を含む。3−クロロ
−2,4−ジフルオロアニリンは蒸留、その後、塩化水素化の形態
でサリフィケーション(salification)に付し、そして更に蒸留により単離され
ることができる。しかし、これらの精製操作は収率を約50%に落とす。
反応の速度は0.83モルh-1g-1触媒であった。
比較例2
3.7gの3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼン(0.018モル
)を、5%のパラジウムを含有するチャコール上に担持したパラジウム30mg
とともに、ステンレススチール製のオートクレーブ中の4%の水を含むメタノー
ル100ml中に入れ、このオートクレーブは振盪運動により攪拌されており、
それはオートクレーブ中の圧力を制御し、そして消費した水素の量を測定するこ
とができる能力を備えている。
オートクレーブの温度を35℃にし、そして水素圧力を1x105Paとする
。圧力および温度を400分間維持する。
この加熱時間の後、出発材料である3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベ
ンゼンの転化率が100%であることを確認する。3−クロロ−2,4−ジフル
オロアニリンの生成率を同様に測定し、そして84%の値であり、転化生成物の
残りは比較例1と同一の生成物である。
反応の速度は0.1モルh-1g-1触媒であった。
比較例3
90mgの触媒および14.8gの3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベ
ンゼンを用いて比較例2を繰り返す。
反応時間は400分である。ニトロ化誘導体の転化率は100%である。3−
クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの収率は57%である。残りは比較例1お
よび2の副生成物からなる。
比較例4(例3に対する)
この比較例において、反応媒質中の3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベ
ンゼンの含有率が1000ppm未満であるという条件を観測しないが、徐々に
3−クロロ−2,4−ジフルオロニロロベンゼンを導入しながら水素化を行う。
10%のパラジウムを含有するチャコール上に担持されたパラジウム0.20
gを300mlのステンレス製反応器中の90mlのメタノールおよび10ml
の水の中に入れ、ステンレススチール製の反応器は加圧下での注入のためのポン
プを備えており、且つ、反応器中の圧力を制御し、且つ消費された水素の量を測
定する能力を備えている。
反応器を窒素で3回パージし、そして水素で3回パージする。
反応器の温度を60℃にし、そして水素圧力を3x105Paにする。これら
の条件が整ったときに、メタノール中の39g(0.2モル)の3−クロロ−2
,4−ジフルオロニトロベンゼンの溶液50mlを28ml/時の速度で注入す
る。
注入の間を通して温度および圧力を一定に維持する。
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの導入の終了後に、反応が完
了したことを示す、更なる水素の消費を観測しない状態で1時間、水素化条件を
維持する。
薄い色の生成物を溶剤の単純な蒸留により分離する。
アニリンの生成の合計収率を測定し、そしてそれは88%である。
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの転化率は100%である。
例1は、比較例1、2および3と比較したときに、ニトロ化化合物の濃度を1
000ppm未満に維持して、出発材料を徐々に注入することにより、還元性水
素化反応の収率の顕著な改善を明らかに
示す。
例5〜8: 3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの2,4−ジフルオロア
ニリンへの水添脱ハロゲン化(水添脱塩素化)例5
例1の3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン1.64g、22ml中で、
10%のパラジウムを含有するチャコール上で担持されたパラジウム0.05g
、および、1モル/リットルの水酸化ナトリウム溶液11mg(0.0011モ
ル)を、The Company Prolabo により販売されている、振盪により攪拌される1
25mlの攪拌ボム(オートクレーブ)に装填する。
密閉したオートクレーブを3x105Paの圧力で3回窒素でパージし、そし
てその後、3x105Paの圧力で水素で3回パージする。
オートクレーブ中の圧力を25分間にわたって2x106Pa水素にし、そし
て温度を90℃にする。これらの条件を3時間維持する。
この後、3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの転化率は気相クロマトグ
ラフィーにより98%であると測定される。
2,4−ジフルオロアニリンの収率は97.5%である。
反応速度は0.065モルh-1g-1触媒であった。
3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンからの接触水素化による2,
4−ジフルオロアニリンの調製のための例1および2の全体としての収率は97
.1%である。
例6
メタノール44ml、水22ml、ラネーニッケル0.1g、水酸化ナトリウ
ム0.022モルおよび3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリン0.02モル
を、プロペラで攪拌している反応器に装
填した。このプロペラは、媒質が常に水素で飽和されるように、反応条件下で水
素気体/液体の移動を行うものである。
水素圧力下で90℃への加熱を行い、90℃で7.5x105Pa絶対圧で一
定に維持する。
3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの2,4−ジフルオロアニリンへの
最終の転化率は75.5%である。2,4−ジフルオロアニリンの収率は転化生
成物に対して80%であり、そして20%のアニリンが存在する。
ラネーニッケルは水添脱塩素化を実施するのに殆ど有効でなく、更に、これら
の条件下で2,4−ジフルオロアニリンの水添脱フッ素化をかなりの程度触媒す
る。
例7
メタノール88ml、水44ml、10%のパラジウムを含有するチャコール
上に担持されたパラジウム0.2g、および、3−クロロ−2,4−ジフルオロ
アニリン0.04モルを例6と同一の反応器に装填する。
水素圧は90℃に加熱された反応器に導入する。水素圧を90℃で1.9x1
06Pa絶対圧で一定に維持する。反応の間、例6におけるクロロジフルオロア
ニリンの量のために使用される量に匹敵する量に達するまで塩酸が生成するのに
比例して水酸化ナトリウムを添加する。
3時間後、3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンの転化率は100%であ
り、そして2,4−ジフルオロアニリンの収率は99%である。転化生成物の残
り(1%)は4−フルオロアニリンおよび微量のアニリンからなる。
例8
例7を125℃で2x106Paの水素下で繰り返す。2時間後
、2,4−ジフルオロアニリンの収率は99.2%であり、4−フルオロアニリ
ンの収率は0.8%である。
例9: 単一の反応器中で、還元反応およびその後の脱塩素化反応を継続して行
う、3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンから2,4−ジフルオロア
ニリンへの水素化
メタノール160mlおよび水30ml、並びに、10%のパラジウムを含有
するチャコール上に担持されたパラジウム0.2gを例1に記載した反応器に装
填する。メタノール100ml中の3−クロロ−2,4−ジフルオロニトロベン
ゼン0.207モルの溶液を5時間にわたって導入する。反応器を2x106P
aで加圧し、一定に維持し、そしてその温度は60℃である。この時間の後に水
素化は完了し、0.22モルの水酸化ナトリウムを濃厚な溶液の形態で添加し、
そして2x106Pa水素を維持しながら120℃で加熱を行う。
5時間の反応の後、気相クロマトグラフィーによる測定は、使用した3−クロ
ロ−2,4−ジフルオロニトロベンゼンの転化率が100%であり、そして2,
4−ジフルオロアニリンは使用した3−クロロ−2,4−ジフルオロアニリンに
対して95%であることを示す。2,4−ジフルオロアニリンは蒸留により容易
に単離されることができる。
例10: 水酸化ナトリウムの存在下での2,6−ジクロロ−3,5−ジフルオ
ロアニリンの3,5−ジフルオロアニリンへの水添脱塩素
13/1の重量比のメタノール/水の混合物中の2,6−ジクロロ−3,5−
ジフルオロアニリンの約30重量%水溶液30gを150mlの反応器に装填す
る。10%のパラジウムを含有するチャコール上に担持されたパラジウムの触媒
0.25gおよび30%水
酸化ナトリウム水溶液12gを添加する。反応器を窒素下および水素下でパージ
する。反応器を2x106Pa水素で120℃にする。2時間後に反応は終了す
る:転化率は100%であり、そして3,5−ジフルオロアニリンの収率は90
%である。
転化生成物の残りは塩基性メタノール系媒質中での求核芳香族置換により生成
されたフルオロメトキシアニリンを含む。
この副反応は次の例において示すような、より弱い塩基を使用することにより
回避できる。
例11:酸化マグネシウムの存在下での2,6−ジクロロ−3,5ジフルオロア
ニリンの3,5−ジフルオロアニリンへの水添脱塩素化
14/1の重量比のメタノール/水の混合物中の2,6−ジクロロ−3,5−
ジフルオロアニリンの20重量%溶液45gを150mlの反応器に装填する。
10%のパラジウムを含有するチャコール上に担持されたパラジウム0.25g
および10%水性酸化マグネシウム懸濁液(MgO)18gを添加する。反応器
を窒素でパージし、次に水素でパージする。反応を6時間後に止める:転化率は
97.2%であり、そして3,5−ジフルオロアニリンの転化収率は80.1%
である。他の転化生成物は依然としてモノ塩素化されている誘導体(2−クロロ
−3,5−ジフルオロアニリン)であり、水素化を継続することにより3,5−
ジフルオロアニリンへと転化されることができるものである。この場合、酸化マ
グネシウムの低い塩基性のために、溶剤による求核芳香族置換の副反応は起こら
ない。温度条件は問題なく酸化マグネシウム懸濁液の存在下で反応を行うことが
可能なものである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U
G),AL,AM,AU,BB,BG,BR,BY,C
A,CN,CZ,EE,FI,GE,HU,IS,JP
,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,
LV,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,P
L,RO,RU,SG,SI,SK,TJ,TM,TT
,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 メルシー,クロード
フランス国,エフ−69005 リオン,アブ
ニュ デュ ポイン デュ ジュール,85