JPH1077416A5 - - Google Patents

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JPH1077416A5
JPH1077416A5 JP1996230558A JP23055896A JPH1077416A5 JP H1077416 A5 JPH1077416 A5 JP H1077416A5 JP 1996230558 A JP1996230558 A JP 1996230558A JP 23055896 A JP23055896 A JP 23055896A JP H1077416 A5 JPH1077416 A5 JP H1077416A5
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無機層状化合物を媒体に分散させた分散組成物の製造方法該製造方法によって得られた分散組成物および該分散組成物から得られた積層体に関するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は、無機層状化合物と媒体とを混合した組成物を、細管中を高速通過させながら分割し、再合流させて組成物同士を衝突させることにより分散処理する方法であって、該細管中の最大圧力条件が100kgf/cm 以上であることを特徴とする無機層状化合物及び媒体からなる分散組成物の製造方法、該製造方法によって得られた分散組成物およびその用途に関するものである。本発明の分散組成物を用いて得られる成形品または積層体は、HAZEが15以下と極めて優れた透明性を有するものである。本発明において、無機層状化合物および媒体を高圧分散装置で処理する際に、100kg/cm 以上の圧力条件下で処理することで、成形品または積層体に加工したときの透明性により優れた組成物が得られ、また無機層状化合物の配向性制御に優れることから、ガスバリア性、防曇効果に優れており、屈折率異方性についても好ましいものである。
【0010】
無機層状化合物の粒径は、フィルムとした際の製膜性ないし成形性の点からは、後述する方法により測定した無機層状化合物の粒径は、分散樹脂組成物としての製膜性ないし成形性の点で、通常、5μm以下であることが好ましい。分散樹脂組成物の透明性の点からは、この粒径は2μm以下であることが好ましく、透明性が重視される用途、例えば食品包装用途に用いる場合には、この粒径は1μm以下であることが更に好ましい。
【0015】
本発明に用いられる媒体は特に限定されないが、本発明の分散組成物を形成した際に、少なくとも一部溶解しているか、均一に分散しているものが好ましく用いられる。例えば、樹脂、重合性官能基を有する単量体が挙げられる。かかる樹脂としてはポリビニルアルコールおよびその類縁体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系樹脂、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサン、セルロース等の多糖類およびその化学修飾物、ポリ−3−ヒドロキシブチレートおよび3−ヒドロキシブチレート−3−ヒドロキシアクリレート共重合体等の微生物産生ポリエステル、ポリ乳酸等の生分解性脂肪族ポリエステル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリヒドロキシ安息香酸等のポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド、ジエチレントリアミン−アジピン酸共重合体及びその塩等のアミド系樹脂、アラミド系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、エチレン−アクリル酸共重合体およびその塩などのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレンないしアクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート樹、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック樹脂、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピリジンおよびその塩、ポリエチレンイミンおよびその塩、ポリアリルアミンおよびその塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルスルホン酸およびその塩、ポリビニルチオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の水素結合性基やイオン性基を分子中に有する樹脂があげられる。ここに水素結合性基とは、炭素以外の原子(ヘテロ原子)に直接結合した水素を少なくとも1個有する基をいう。この水素結合性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、スルホン基、リン酸基等があげられる。また、イオン性基とは、水中において水分子の水和が可能な程度に局在化した「正または負」の少なくとも一方の電荷を有する基をいう。このようなイオン性基としては、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられる。
【0025】
本発明の分散組成物が分散液の状態である場合には、無機層状化合物を含む全固形分(無機層状化合物、樹脂、単量体等)濃度としては特に限定されるものではない。もちろん全固形分濃度を低下させれば分散は容易になるが、分散液をコーティングしたりするときの乾燥能力が膨大になるなどの点で不利となるので全固形分濃度はできるだけ高いことが望ましい。媒体、無機層状化合物の濃度は、通常、1〜70重量%であり、3〜20重量%が好ましく、4〜10重量%がより好ましい。分散組成物を用いて形成した成形品あるいは積層体中の無機層状化合物/樹脂(または重合性官能基を有する単量体)組成としては下記の通りである。無機層状化合物/樹脂の体積比(「仕込み」の際の比率)が通常、1/100〜100/1の範囲、好ましくは、5/95〜50/50の範囲、さらに好ましくは、10/90〜30/70の範囲である。また、この体積比が5/95〜30/70の範囲は、膜ないし成形物としての柔軟性の点で有利である。上記した無機層状化合物/樹脂の体積比(体積分率)が1/100より小さい場合には、無機層状化合物が付与すべき性質(例えば気体遮断性など)が低下する傾向にある。一方、該体積比が100/1を越えると、製膜性ないし成形性が低下する傾向がある。また、成形品または積層体としたときの折り曲げによる物性低下を抑制する点からは、体積比が7/93以上であることが好ましい。一方、本発明の分散組成物からなる層の柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の点からは、体積比が17/83以下であることが好ましい。すなわち、(無機層状化合物/樹脂)の体積比が7/93〜17/83の範囲は、柔軟性ないし基材からの剥離性の抑制の点からまた、折り曲げによる物性低下の抑制の点から、特に好ましい。このような体積比は、これらの成分の「仕込み」の際の重量比の分子(無機層状化合物の重量)および分母(媒体の重量)の値を、それぞれの密度で割り算して求めることができる。媒体(特に樹脂、例えばポリビニルアルコール)の密度は、一般に、結晶化度によって若干異なる場合があるが、上記体積比の計算においては、例えば、ポリビニルアルコールの結晶化度を50%と仮定して計算することができる。
【0026】
本発明において透明性を表わす指標としてHAZE(曇度)を用いるが、このHAZEを求めるには、本発明の分散組成物を基材上に製膜した成形品、あるいは基材にコーティングした積層体であって、最外層に該分散組成物の乾燥膜がある状態の測定値を求め、基材全体を基材と屈折率の同じ媒体中に浸漬した状態で測定した値を引いた結果を用いる。本発明の成形品あるいは積層体は、製品特に包装用途において外観を考慮したとき、HAZEについては25%以下が好ましく、さらには20%以下、特に15%以下が好ましい。
【0027】
本発明の分散組成物には、塗れ性、粘度調整の目的で各種溶剤を配合したり、必要に応じて添加剤を配合することができる。添加剤の一例としては顔料、界面活性剤、防かび剤、防腐剤、架橋剤、消泡剤、酸化防止剤などが挙げられる。顔料としてはプライマー用防錆顔料として、クロム酸ストロンチウム、クロム酸亜鉛、燐酸亜鉛、鉛丹、亜鉛華、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩などが挙げられる。着色顔料として、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクドリン、インダンスロン、イソインドリノン、ベリレン、アンスラピリミジン、ベンズイミダゾロン、カーボンブラック、二酸化チタン、黒鉛、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄などが挙げられる。金属箔顔料として、アルミニウム箔、ブロンズ箔、錫箔、金箔、銀箔、銅箔、金属チタン箔、ステンレススチール箔、ニッケル箔、クロム箔、及び上述した金属の合金箔、プラスチックで被覆した金属箔などが挙げられる。光輝性顔料として、マイカ箔、箔状フタロシアニンブルー等が挙げられる。体質顔料としては、炭酸カルシウム、石膏、クレー、タルク等が挙げられる。
【0033】
本発明の分散組成物を製造するに際しては、高圧分散装置で処理することを特徴としている。配合の順序としては様々な方法が用いられる。例えば、媒体が樹脂水溶液あるいは樹脂分散液の場合には、水に対してまず樹脂を加え溶解、分散させ、次いで無機層状化合物を加え分散させる方法、他にも、無機層状化合物、樹脂の順で加える方法、無機層状化合物の分散液と樹脂の水溶液や分散液を混合する方法など複数の方法があるが、どの配合順序の方法を用いてもよい。また複数種類の樹脂、無機層状化合物を用いてもかまわないし、それぞれの原料を複数回にわたって加えてもかまわない。高圧分散装置で処理する前の段階における、無機層状化合物と媒体との混合の方法については特に限定されない。混合用の釜は温度制御用に温水やスチームなどの熱媒を通じることのできるジャケットを外壁に備えたものなどが好ましい。また、泡のかみこみや分散の均一化をはかる観点から、釜内部にバッフルのあるものなどが使用され、同様の理由から、分散翼の位置は釜の中心ではなく少しずらす(偏芯)ほうが好ましい。ただし、固形分濃度が比較的高くかつ分散良好な分散組成物を得るためには、無機層状化合物、媒体を混合した組成物を用い、泡をかみこみにくいように、内部を200mmHg以下に減圧した釜内で4000〜7000rpmの高速撹拌する方法が高い剪断力による効果を得やすい。
【0034】
ついで、無機層状化合物と媒体を混合した組成物を高圧分散装置で処理する。本発明で用いる高圧分散装置は、無機層状化合物と媒体を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧分散装置で処理する場合に、例えば、管径1〜1000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が100kgf/cm 以上である。またその際、最高到達速度が100m/sec以上に達するもの、伝熱速度が100kcal/hr以上に達するものが好ましい。
【0036】
本発明の分散組成物はそれ自身をキャスト製膜法などにより成型品とすることができる。また、積層体の製造方法としては特に限定はされず、積層体の少なくとも一層、特に中間体に用いられる。積層体を得るには、水を含む組成物を乾燥しフィルム化(キャスト製膜などの方法)したものを後から基材に貼合する方法、基材に含水組成物をコーティングする方法などが通常用いられる。分散組成物を乾燥させて得たフィルムを用いて積層体を得る方法には、共押出法、溶融コーティング法、押出ラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。これらの積層体は、フィルム、シート、チューブ、カップ、ボトル等に成形できる。成形法としては熱溶融させることにより、Tダイ成形、インフレーション成形、射出成形、ブロー成形、延伸ブロー成形等の通常の成形法が使用できる。また、フィルムまたはシートは、一般的に行われる延伸加工、例えば一軸延伸、ゾーン延伸、フラット逐次延伸、フラット同時二軸延伸、チューブラー同時延伸を施すことができる。コーティングにより積層体を得る方法としては、ダイレクトグラビア法やリバースグラビア法及びマイクログラビア法、2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法、及びドクターナイフ法やダイコート法、ディップコート法、バーコーティング法やこれらを組み合わせたコーティング法などの方法が挙げられる。
【0037】
本発明の分散組成物から形成される層の膜厚は、積層体の目的とする性質によって適宜選択でき特に制限はされない。通常、乾燥厚みで30μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。下限については特に制限はないが、効果を得るためには1nm以上、さらには10nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
【0038】
本発明の分散組成物と共に積層体を形成する基材は、特に限定されず、フィルム状、シート状、ボトル状、トレイ状など特に形態に制限はない。その材質としては、樹脂、紙、アルミ箔、木材、布、不織布等の公知ないし一般的なものを目的・用途に応じて使用可能である。特にフィルム状である場合、無延伸である以外に、1軸、2軸に延伸されていてもよい。もちろん公知の下塗りやコロナ処理などがされていてもよく、これら表面処理は発明の目的を損しない範囲でフィルム状のみならずそれ以外の形態の基材についてなされていてもよい。
【0040】
本発明の分散組成物より得られる成形品あるいは積層体は、包装、液晶表示、施設園芸をはじめとする種々の用途に用いられる。例えば、無機層状化合物の複屈折を利用した位相差フィルムや層状構造による低分子拡散遅延効果を利用した気体・低分子拡散遮断性フィルム・成型品、などに用いることができる。気体遮断性フィルムとして食品・医薬品の包装用途に用いる場合、このフィルムに対して印刷や他のフィルムを更に積層することによって成型品として用いることができる。また本発明で得られる分散組成物は、特開平06−082779号公報に記載の用法、用途で無機層状化合物に合成ヘクトライト、媒体としてポリビニルアルコール樹脂水溶液を使用し、高圧分散装置処理することにより得られる分散組成物を成形し液晶表示装置に用いることができる。かかる液晶表示装置は、無機層状化合物の微細な分散状態や配向性の制御により、透明性、製膜性に優れた特性を有する。また無機層状化合物の層間に樹脂を複合させることにより、面内屈折率と厚み方向の屈折率が異なることで、面内に屈折率異方性がほとんどなく厚み方向の屈折率異方性が大きい、複屈折性、視野角度特性に優れた成形品あるいは積層体が得られる。さらに本発明で得られる分散組成物は、特開平08−53558号公報に記載の用法、用途で、無機層状化合物に合成ヘクトライト、媒体としてポリビニルアルコール水溶液を使用し、高圧分散装置で処理した分散組成物を用いて、施設園芸用途に用いることができる。本発明の製造法により得られた分散組成物を用いた成形品あるいは積層体は、無機層状化合物の微細な分散構造とバインダーとしての樹脂の複合により、優れた防曇効果の速効性と持続性を有し、なおかつ塗布膜の接着強度に優れたフィルムを得ることが可能になる。
【0041】
以下に本発明で用いる各物性測定法について説明する。
[平均粒径を求める方法]
分散組成物中の無機粒子の平均粒径を求める方法は、回折/散乱法による方法、動的光散乱法による方法、電気抵抗変化による方法、顕微鏡撮影後画像処理による方法などが可能である。動的光散乱法では複数の成分からなる媒体と、無機粒子が共存している場合、見かけ液粘度が単一の媒体と変わってしまうために評価しにくく、電気抵抗変化による方法は組成物の電解質濃度などに制限があり、顕微鏡撮影後画像処理による方法は分解能の問題があり、それぞれ使いづらい。回折/散乱法による方法は、媒体に実質上散乱が少なく(透明ということ)、粒子由来の散乱が支配的である場合には、媒体の成分数に関わらず無機粒子の粒度分布のみの情報が得られるため、比較的好ましく用いられる。
【0042】
[回折/散乱法による粒度分布・平均粒径測定]
回折/散乱法による粒度分布・平均粒径測定は分散組成物に光を通過させたときに得られる回折/散乱パターンをミー散乱理論などを用いてパターンに最も矛盾のない粒度分布を計算することによりなされる。市販の装置としては、コールター社製 レーザー回折・光散乱法 粒度測定装置LS230、LS200、LS100、島津製作所製 レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2000、SALD2000A、SALD3000、堀場製作所製レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置LA910、LA700、LA500、日機装製 マイクロトラックSPA、マイクロトラックFRA、などがあげられる。本発明の分散組成物は希釈なしで測定することが好ましい。散乱が強すぎて光透過性の低い液の場合は、光路長を短くとることで分散組成物を希釈なしで測定できる(例えば堀場製作所製LA910の場合にはバッチ式セル、ペーストセルなどで著しく光路長を短縮できる)。またこの測定方法では、粒子間距離が光源の波長以下であれば無機粒子を分離して識別できなくなってくるため、ある程度の距離(例えばサブミクロン以下)を隔てて(間に樹脂などを介在して)近接している複数の粒子は一つの粒子と認識する。このため、粒子同士の凝集による分散不良だけでなく、樹脂などを介在することで生じる分散不良についても本方法で評価することができる。
【0043】
[アスペクト比決定方法]
アスペクト比(Z)とは、Z=L/aの関係から求められる比である。ここに、Lは、分散組成物中、上記した回折/散乱法による粒径測定法により求めた無機層状化合物の粒径(体積基準のメジアン径)であり、aは、無機層状化合物の単位厚みである。この「単位厚みa」は、後述する粉末X線回析法等によって、無機層状化合物単独の測定に基づいて決められる値である。より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線回折ピークの強度をとった図2のグラフに模式的に示すように、観測される回折ピークのうち最も低角側のピークに対応する角度θから、Braggの式(nλ=2Dsinθ、n=1,2,3・・・)に基づいて求められる間隔を、「単位厚さa」とする(粉末X線回析法の詳細については、例えば、塩川二朗監修「機器分析の手引き(a)」69頁(1985年)化学同人社発行を参照することができる)。 媒体が樹脂のみのときの分散組成物を粉末X線回析した際には、樹脂媒体中における無機層状化合物の面間隔dを求めることが可能である。より具体的には、横軸に2θ、縦軸にX線回折ピークの強度をとった図3のグラフに模式的に示すように、上記した「単位厚さa」に対応する回折ピーク位置より、低角(間隔が大きい)側に観測される回折ピークのうち、最も低角側のピークに対応する間隔を「面間隔d」(a<d)とする。図4のグラフに模式的に示すように、上記「面間隔d」に対応するピークがハロー(ないしバックグラウンド)と重なって検出することが困難な場合においては、2θdより低角側のベースラインを除いた部分の面積を、「面間隔d」に対応するピークとしている。ここに、「θd」は、「(単位長さa)+(樹脂1本鎖の幅)」に相当する回折角である(この面間隔dの決定法の詳細については、例えば、岩生周一ら編、「粘土の事典」、35頁以下および271頁以下、1985年、(株)朝倉書店を参照することができる)。このように分散樹脂組成物の粉末X線回析において観測される回折ピーク(面間隔Sdに対応)の「積分強度」は、基準となる回折ピーク(「面間隔a」に対応)の積分強度に対する相対比で2以上(更には10以上)であることが好ましい。 通常は、上記した面間隔dと「単位厚さa」との差、すなわちk=(d−a)の値(「長さ」に換算した場合)は、 樹脂組成物を構成する樹脂1本鎖の幅に等しいかこれより大である(k=(d−a)≧樹脂1本鎖の幅)。このような「樹脂1本鎖の幅」は、シミュレーション計算等により求めることが可能であるが(例えば、「高分子化学序論」、103〜110頁、1981年、化学同人を参照)、ポリビニルアルコールの場合には4〜5オングストロームである(水分子では2〜3オングストローム)。上記したアスペクト比Z=L/aは、必ずしも、分散樹脂組成物中の無機層状化合物の「真のアスペクト比」と等しいとは限らないが、下記の理由により、このアスペクト比Zをもって「真のアスペクト比」を近似することには妥当性がある。すなわち、分散樹脂組成物中の無機層状化合物の「真のアスペクト比」は直接測定がきわめて困難である。一方、分散樹脂組成物の粉末X線回析法により求められる面間隔dと、無機層状化合物単独の粉末X線回析測定により求められる「単位厚みa」との間にa<dなる関係があり、且つ(d−a)の値が該分散組成物中の樹脂1本鎖の幅以上である場合には、分散樹脂組成物中において、無機層状化合物の層間に樹脂が挿入されていることとなる。したがって、分散樹脂組成物中の無機層状化合物の厚みを上記「単位厚みa」で近似すること、すなわち分散樹脂組成物中の「真のアスペクト比」を、上記した無機層状化合物の分散液中での「アスペクト比Z」で近似することには、充分な妥当性がある。上述したように、分散樹脂組成物中での真の粒径測定はきわめて困難であるが、樹脂中での無機層状化合物の粒径は、媒体が樹脂/溶媒のときの無機層状化合物の粒径とかなり近いと考えることができる。但し、回折/散乱法で求められる分散液中での粒径Lは、無機層状化合物の長径Lmaxを越える可能性はかなり低いと考えられるため、真のアスペクト比(Lmax/a)が、本発明で用いる「アスペクト比Z」を下回る(Lmax/a<Z)可能性は、理論的にはかなり低い。上述した2つの点から、本発明で用いるアスペクト比の定義Zは、充分な妥当性を有するものと考えられる。本発明において、「アスペクト比」または「粒径」とは、上記で定義した「アスペクト比Z」、または「回折/散乱法で求めた粒径L」を意味する。
【0045】
[酸素透過度]
本発明の成形品または積層体は、無機層状化合物を用いた分散組成物を乾燥薄膜化してなる場合に、酸素遮断性を有するが、23℃、95%RH下での酸素透過度が1μmあたり30cc/m ・day・atm以下であり、20cc/m ・day・atm以下であることが好ましい。上記成形品または積層体は酸素遮断性に優れているのみならず、その他の気体分子、例えば、ヘリウム、窒素、炭酸ガス、水、リモネン、メントールなど低分子の香気成分などの遮断性にも著しく優れている。
【0046】
【発明の効果】
本発明の分散組成物を用いてなる成形体や積層体は、優れた透明性を発揮し、さらに優れた気体遮断性、水蒸気遮断性を有することから、食品包装をはじめ種々の用途に供することができる。また本発明の分散組成物を用いてなる成形体や積層体は、バリア性の観点からアルミ箔やガラスなどの金属や無機材料を必須としている用途にも用いることができ、かつ透明性にも優れている。なお、金属の不透明性やセラミックの脆さなどの弱点については、分散樹脂組成物である本発明がそれらより優れていることは言うまでもない。また本発明の製造法によれば、液作製における撹拌時間の短縮や高濃度均一分散液の作製といった効果も得られる。そのほかにも視野角度特性に優れた液晶表示装置や、防曇性に優れた施設園芸用途など幅広い用途に供される。

Claims (8)

  1. 無機層状化合物と媒体とを混合した組成物を、細管中を高速通過させながら分割し、再合流させて組成物同士を衝突させることにより分散処理する方法であって、該細管中の最大圧力条件が100kgf/cm 以上であることを特徴とする無機層状化合物及び媒体からなる分散組成物の製造方法。
  2. 無機層状化合物と媒体とを混合した組成物を、細管中を高速通過させながら分割し、再合流させて組成物同士を衝突させることにより分散処理した分散組成物であって、該細管中の最大圧力条件が100kgf/cm 以上であることを特徴とする無機層状化合物及び媒体からなる分散組成物。
  3. 媒体が樹脂、溶媒中に溶解または分散させた樹脂、重合性官能基を有する単量体、あるいは溶媒中に溶解または分散させた重合性官能基を有する単量体であることを特徴とする請求項2に記載の分散組成物。
  4. 無機層状化合物/樹脂または重合性官能基を有する単量体の体積配合比が100/1〜1/100の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の分散組成物。
  5. 無機層状化合物のアスペクト比が200以上3000以下であることを特徴とする請求項2に記載の分散組成物。
  6. 媒体中に分散した無機層状化合物の粒径が1μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の分散組成物。
  7. 請求項2〜6いずれか1項に記載の分散組成物を用いて作製した乾燥膜を最外層に用いた積層体のHAZEが15%以下であることを特徴とする積層体。
  8. 請求項2〜6いずれか1項に記載の分散組成物を用いて得られた層を有する積層 体において、該分散組成物を用いて得られた層の厚み1μmあたりの23℃95%RHでの酸素透過度が、30cc/m ・day・atm以下であることを特徴とする積層体。
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