JPH107922A - 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物の製造方法

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JPH107922A
JPH107922A JP16795596A JP16795596A JPH107922A JP H107922 A JPH107922 A JP H107922A JP 16795596 A JP16795596 A JP 16795596A JP 16795596 A JP16795596 A JP 16795596A JP H107922 A JPH107922 A JP H107922A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
polymer
resin composition
group
weight
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JP16795596A
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English (en)
Inventor
Yoshitomo Nakada
善知 中田
Susumu Inaoka
享 稲岡
Kazuchika Fujioka
和親 藤岡
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、成形性を有すると共に、耐衝撃性が
さらに向上した熱可塑性樹脂組成物を安定に得る。 【解決手段】 官能基を有するポリマー(B)と、熱可
塑性樹脂(C)とを配合してなる熱可塑性樹脂組成物を
製造する際に、上記官能基と反応する反応性基(a)を
有する高分子相溶化剤(A)と熱可塑性樹脂(C)とを
互いに混合した後、ポリマー(B)をさらに混合して得
られる熱可塑性樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、加工性、
成形性などに優れると共に、耐衝撃性等の機械的性質に
優れた熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、互いに異なる各ポリマー同士を混
合するポリマーアロイ化技術により、従来知られていな
い物性を有する樹脂組成物が製品として上市されてい
る。例えば、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styren
e)樹脂やHIPS(High ImpactPolyStyrene)樹脂に代
表されるゴム強化スチレン系樹脂は、耐衝撃性、剛性、
寸法安定性等の機械的性質、加工性などの成形上の性
質、光沢性などの外観的性質に優れ、自動車部品、事務
機部品、雑貨など広範な分野に採用されているが、耐熱
性や耐薬品性に劣るため自動車分野などへの使用には制
限があるという問題点を有している。
【0003】そこで、上記問題点を回避するために、ゴ
ム強化スチレン系樹脂に対する、様々なポリマーアロイ
による改良が検討されてきており、例えば、耐熱性の改
良のためポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、
ポリアリレート等とのポリマーアロイ、耐薬品性の改良
のためにポリアミド、飽和ポリエステルとのポリマーア
ロイといった、エンジニアリングプラスチック等とのポ
リマーアロイが主に検討されている。
【0004】これらのような複数のポリマーを配合して
ポリマーアロイを作製する場合、各ポリマーが互いに非
相溶なとき、非相溶同士の各ポリマーを単純に混合する
だけでは、所望する耐衝撃性などの物性が十分に得られ
ないため、さらに相溶化剤を用いることが通例となって
いる。このような相溶化剤には、非反応性相溶化剤と、
反応性相溶化剤とが知られており、反応性相溶化剤の方
が比較的低添加量にて効果を上げることができると言わ
れている。
【0005】例えば、特公平7−25979号公報(特
開平3−76743号公報)においては、ゴム強化スチ
レン系樹脂と、エンジニアリングプラスチックと、反応
性相溶化剤としてのスチレン−アクリロニトリル系オキ
サゾリンポリマーとを配合したポリマーアロイとしての
熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来公報の熱可塑性樹脂組成物の製造方法では、反応性相
溶化剤は、混練時に、エンジニアリングプラスチックと
のみ反応して相溶効果が十分でなかったり、エンジニア
リングプラスチックを極端に増粘させたりする不都合を
生じるケースがある。
【0007】このことから、上記従来方法では、反応性
相溶化剤を添加することで、ゴム強化スチレン系樹脂と
エンジニアリングプラスチックとを互いに相溶させるこ
とができることがあるものの、上記ケースが生じた場
合、得られた熱可塑性樹脂組成物において十分な耐衝撃
性が得られないことがあるという問題を有している。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本願発明者ら
は、上記の問題を解決するため、鋭意検討した結果、官
能基を有するエンジニアリングプラスチックス等のポリ
マー(B)と、ポリマー(B)以外の熱可塑性樹脂
(C)とを配合してなる熱可塑性樹脂組成物を製造する
際に、上記官能基と反応する反応性基を有する高分子相
溶化剤(A)と、熱可塑性樹脂(C)とを互いに混合し
た後、ポリマー(B)をさらに混合することにより、優
れた物性を備えた熱可塑性樹脂組成物が得られることを
見出した。
【0009】特に、本願発明者らは、熱可塑性樹脂
(C)としてのゴム強化スチレン系樹脂と、官能基を有
するポリマー(B)とを混合して熱可塑性樹脂組成物を
製造する際に、ゴム強化スチレン系樹脂に対し相溶性が
高く、上記官能基と反応する特定の反応性基、例えばオ
キサゾリン基やエポキシ基を有するように変性された高
分子相溶化剤(A)とゴム強化スチレン系樹脂とを互い
に混合した後、上記ポリマー(B)をさらに混合するこ
とにより、成型時の流動性低下を抑制することができる
と共に、耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られ
ることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
は、以上の課題を解決するために、官能基を有するポリ
マー(B)と熱可塑性樹脂(C)とを配合して、耐衝撃
性などの物性を改善した熱可塑性樹脂組成物を製造する
際に、上記官能基と反応する反応性基(a)を有する高
分子相溶化剤(A)と熱可塑性樹脂(C)とを互いに混
合した後、ポリマー(B)をさらに混合することを特徴
としている。
【0011】上記方法によれば、ポリマー(B)と熱可
塑性樹脂(C)とを配合する際に、高分子相溶化剤
(A)と熱可塑性樹脂(C)とを互いに混合し、続い
て、ポリマー(B)をさらに混合することにより、加工
性、成形性、耐熱性に優れると共に、耐衝撃性が著しく
向上された耐衝撃性等の機械的性質に優れた熱可塑性樹
脂組成物を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態につ
いて詳しく説明する。本発明の熱可塑性樹脂組成物の製
造方法は、加工性、成形性、耐熱性、耐衝撃性をさらに
付与するために、ゴム強化スチレン系樹脂等の熱可塑性
樹脂(C)と官能基を有するポリマー(B)とを配合し
てなる熱可塑性樹脂組成物の製造方法において、耐衝撃
性等の機械的性質などの物性をさらに改善するために、
上記官能基と反応する反応性基(a)を有する高分子相
溶化剤(A)と熱可塑性樹脂(C)とを互いに混合した
後、ポリマー(B)をさらに混合する方法である。
【0013】本発明で用いられる高分子相溶化剤(A)
と、上記高分子相溶化剤(A)と相溶性が高い熱可塑性
樹脂(C)とを先に互いに混合した後、官能基を有する
ポリマー(B)をさらに混合する方法としては、特に制
限されないが、例えば、1)高分子相溶化剤(A)と熱
可塑性樹脂(C)とを公知の方法によりプレ混練した
後、さらにポリマー(B)と混練する方法、2)高分子
相溶化剤(A)と熱可塑性樹脂(C)とをまず混練し、
ポリマー(B)をサイドフィーダーにより供給しながら
混練する方法、3)高分子相溶化剤(A)を溶媒に溶解
した高分子相溶化剤(A)溶液と、熱可塑性樹脂(C)
を溶媒に溶解した熱可塑性樹脂(C)溶液とを溶液状態
にて混合した後、上記各溶媒を留去し、続いて、ポリマ
ー(B)を混練する方法等を用いることができる。
【0014】上記の熱可塑性樹脂(C)としては、熱可
塑性樹脂(C)の溶解度パラメーターが、高分子相溶化
剤(A)の溶解度パラメータに対して±2( cal/cm3)
1/2以内である、高分子相溶化剤(A)に対する相溶性
のよいものを用いることが好ましく、具体的には、特
に、ゴム強化スチレン系樹脂が好ましい。
【0015】本発明において用いられる高分子相溶化剤
(A)としては、後述する反応性基(a)を有するモノ
マー、および上記モノマーと共重合可能なビニル系モノ
マーからなる単量体成分を共重合してなる共重合体が好
ましい。
【0016】高分子相溶化剤(A)と熱可塑性樹脂
(C)との間の相溶性は、高分子相溶化剤(A)の組成
の変化により当然ながら変化するため、上記両者間にお
いて好ましい組合せがある。
【0017】このような組合せとして、高分子相溶化剤
(A)の調製に用いたビニル系モノマーが、スチレン/
アクリロニトリル=75/25やメチルメタクリレート
である場合、熱可塑性樹脂(C)としてはABS樹脂、
ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレングリ
コール等が好ましいものとして挙げられる。
【0018】また、上記の他の組合せとして、高分子相
溶化剤(A)の調製に用いたビニル系モノマーが、スチ
レンである場合、熱可塑性樹脂(C)としては、ポリス
チレン、前述のHIPS、ポリフェニレンエーテル等が
好ましいものとして挙げられる。
【0019】前記溶解度パラメーターとは、化合物の極
性を表す尺度として一般的に用いられているパラメータ
ーであり、本発明では、Small の計算式に Hoyの凝集エ
ネルギー定数を代入して導いた値〔単位( cal/cm3)
1/2 〕を用いている。
【0020】また、本発明の製造方法は、ポリマー
(B)と熱可塑性樹脂(C)とが実質的に互いに非相溶
性である場合、特に有効なものとなっている。この場合
の「相溶する」という意味は、各ポリマーを互いに混合
したとき、完全もしくはほとんど各ポリマー同士が互い
に混和することを意味しており、一方のポリマー中に他
のポリマーが単に分散した海島構造、連続層構造、複合
分散相構造などをとって混ざることを意味しない。
【0021】前記ビニル系モノマーとしては、不飽和カ
ルボン酸アルキルエステル系単量体、芳香族ビニル系単
量体、シアン化ビニル系単量体、およびマレイミド系単
量体を挙げることができる。これらビニル系モノマー
は、1種類のみを用いてもよいし、適宜、2種類以上を
混合して用いてもよい。
【0022】上記不飽和カルボン酸アルキルエステル系
単量体としては、特に限定されるものではないが、具体
的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メ
タ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メ
タ)アクリレート、iso-ノニル(メタ)アクリレート、
ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート等が挙げられる。これら不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル系単量体は、1種類のみを用いてもよい
し、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。これら不
飽和カルボン酸エステル系単量体の中でも、脂肪族アル
キル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルメタクリ
レートが最も好ましい。
【0023】前記の芳香族ビニル系単量体としては、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン等を挙げることが
できる。これら単量体は、1種類のみを用いてもよい
し、適宜、2種類以上を混合して用いてもよい。これら
の中でも、スチレンが特に好ましい。
【0024】前記のシアン化ビニル系単量体としては、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ
る。これら単量体は、1種類のみを用いてもよいし、適
宜、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中で
も、アクリロニトリルが特に好ましい。
【0025】前記のマレイミド系単量体としては、マレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミ
ド、N−シクロヘキシルマレイミドを挙げることがで
き、これら単量体は、1種類のみを用いてもよいし、適
宜、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中で
も、N−フェニルマレイミドが特に好ましい。
【0026】また、前記反応性基(a)としては、具体
的には、オキサゾリン基、エポキシ基、酸無水物基、イ
ソシアナート基等が挙げられる。これら反応性基(a)
を含む単量体は、1種類のみを用いてもよいし、適宜、
2種類以上を混合して用いてもよい。これら反応性基
(a)の中では、好ましくはオキサゾリン基および/ま
たはエポキシ基であり、より好ましくはオキサゾリン基
である。
【0027】上記オキサゾリン基やエポキシ基は、広く
酸や酸無水物基、アミノ基、水酸基、チオール基等の官
能基と反応することができる。特に、オキサゾリン基は
非常に反応性が高く、また、自己反応によるゲル化が生
じ難いという利点も有している。
【0028】上記反応性基(a)を含む単量体のうち、
例えばオキサゾリン基含有単量体としては、具体的に
は、2-ビニル−2-オキサゾリン、5-メチル−2-ビニル−
2-オキサゾリン、4,4-ジメチル−2-ビニル−2-オキサゾ
リン、4,4-ジメチル−2-ビニル−5,5-ジヒドロ-4H-1,3-
オキサジン、4,4,6-トリメチル−2-ビニル−5,6-ジヒド
ロ-4H-1,3-オキサジン、2-イソプロペニル−2-オキサゾ
リン、4,4-ジメチル−2-イソプロペニル−2-オキサゾリ
ン等のビニルオキサゾリンが挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。これらオキサゾリン基含有単量体の
なかでも、2-イソプロペニル−2-オキサゾリンが、入手
が容易であり、また、反応性が良好であるため好まし
い。
【0029】また、エポキシ基含有単量体としては、具
体的には、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グ
リシジル等の不飽和有機酸のグリシジルエステル類;ア
リルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等が
挙げられるが、特に限定されるものではない。これらエ
ポキシ基含有単量体のなかでも、アクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸グリシジルが好ましい。
【0030】酸無水物基含有単量体としては、具体的に
は、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタ
コン酸等が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。また、イソシアネート基含有単量体としては、具体
的には、例えば、ビニルイソシアネート等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。
【0031】前記単量体成分中におけるこれら反応性基
(a)を含む単量体の含有量は、0.1 重量%〜20重量%
であることが好ましく、さらに好ましくは1重量%〜10
重量%である。
【0032】これら反応性基(a)を含む単量体の含有
量が0.1 重量%未満であれば、得られる熱可塑性樹脂組
成物の耐衝撃性等の物性を充分に向上させることができ
なくなるので好ましくない。一方、上記反応性基(a)
を含む単量体の含有量が20重量%を越えると、加工性や
成形性が低下する虞れがあるので好ましくない。
【0033】上記高分子相溶化剤(A)の製造方法とし
ては、特に限定されるものではなく、例えば、乳化重
合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合等、従来公知の種々
の方法を採用することができる。
【0034】上記高分子相溶化剤(A)の作製におい
て、溶液重合法を採用して各単量体を共重合させる場合
に用いることができる溶媒としては、例えば、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸
ブチル等の酢酸エステル類;メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のケトン類;イソプロパノール、
n-ブタノール、iso-ブタノール等の脂肪族アルコール
類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアル
キルエーテル等が挙げられるが、特に限定されるもので
はない。これら溶媒は、1種類のみを用いてもよく、ま
た、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。なお、こ
れら溶媒の使用量は、特に限定されるものではない。
【0035】また、各単量体を共重合させる際には、重
合開始剤を用いることができる。上記重合開始剤として
は、具体的には、例えば、アゾビスイソブチロニトリ
ル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t-ブチルパーオキ
サイド等のラジカル重合開始剤等が挙げられるが、特に
限定されるものではない。また、重合開始剤の使用量
は、特に限定されるものではない。
【0036】さらに、重合反応には、分子量や固有粘度
を調節する目的で、α−メチルスチレンダイマー等の連
鎖移動剤や重合調節剤を用いてもよい。また、固有粘度
を調整する目的で、重合反応後、得られた共重合体を熱
処理しても構わない。
【0037】上記の反応を行う際の反応温度や反応時間
は、特に限定されるものではなく、用いる単量体や重合
開始剤の種類等に応じて、重合反応が完結するように、
適宜設定すればよい。
【0038】このようにして得られた高分子相溶化剤
(A)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜1,000,000 の
範囲内であることが好ましく、また、その固有粘度(極
限粘度数)は、 0.1〜0.35の範囲内であることが望まし
い。
【0039】上記固有粘度〔η〕とは、濃度の異なる溶
液の各粘度を測定し、それぞれの溶液の(ηsp/c)あ
るいは(lnηr /c)と容積濃度との関係において、適
当な方法でcを0に外挿することによって求められる値
を示す。なお、溶液の粘度をη、溶媒の粘度をη0 とす
るとき、相対粘度を示すηr は、η/η0 であり、比粘
度を示すηspは、{ηsp=(η−η0 )/η0 =ηr
1}により求められる。また、cは溶液の容積濃度(溶
質重量/溶媒容積)を示す。
【0040】上記固有粘度は、具体的には、上記高分子
相溶化剤(A)を、例えばジメチルホルムアミドに溶解
させて、例えば濃度1g/100ml 、0.5 g/100ml 、0.
3 g/100ml の濃度の異なる3種類の溶液を作製し、こ
れらの溶液を30℃にそれぞれ調整した後、ウベローデ粘
度計により粘度をそれぞれ測定し、濃度と粘度との関係
式を求め、その関係式に対し濃度0を外挿することによ
って求められる。
【0041】上記高分子相溶化剤(A)の固有粘度や重
量平均分子量が上記の範囲内にあることで、得られる熱
可塑性樹脂組成物の流動性が、成形に必要な程度以下に
低下することを抑えることができると共に、耐熱性や耐
溶剤性、加工性等の各種物性を低下させることなく、耐
衝撃性を充分に向上させることができる。これにより、
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法では、耐衝撃性
に優れると共に、耐熱性、耐溶剤性、および加工性等の
物性、および耐衝撃性とのバランスのとれた熱可塑性樹
脂組成物が安定に得られる。
【0042】また、ポリマー(B)としては、熱可塑性
樹脂(C)と異なり、上記反応性基(a)と反応する官
能基を有するポリマーであれば、特に限定されるもので
はないが、好ましくは、カルボキシル基、水酸基、アミ
ノ基からなる官能基群より選ばれる少なくとも1種の官
能基を有するポリマーを挙げることができる。
【0043】つまり、例えば、オキサゾリン基と反応す
る官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、酸無水
物基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、
ハロゲン基、水酸基、チオール基等が挙げられる。ま
た、オキサゾリン基、エポキシ基と反応する官能基とし
ては、例えば、カルボキシル基等の酸基、酸無水物基、
アミノ基、水酸基、チオール基等が挙げられる。また、
酸無水物基と反応する官能基としては、例えば、アミノ
基や水酸基が挙げられる。
【0044】このようなポリマー(B)としては、具体
的には結晶性ポリマーやエンジニアリングプラスチック
が挙げられ、例えばポリカーボネート、ポリアミド、飽
和ポリエステル、ポリフェニレンエーテルおよびポリア
リレート等が挙げられる。
【0045】上記ポリマー(B)のうち、カルボキシル
基を少なくとも有するポリマーとしては、例えば、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
等の熱可塑性ポリエステル;酸変性ポリエチレン等の各
種酸変性樹脂などが挙げられる。
【0046】上記酸変性樹脂についてさらに具体的に挙
げるならば、酸基含有単量体(例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、
2-ノルボルネン−5,6-ジカルボン酸等の不飽和モノおよ
びジカルボン酸等)を共重合性成分として共重合した重
合体(例えば、エチレンアクリル酸共重合体、酸変性A
S(Acrylonitrile-Styrene )樹脂等)、上記酸基含有
単量体をグラフト共重合することにより酸変性した変性
ポリオレフィン、および、酸変性PPE(PolyPhenylen
e Ether)樹脂等が挙げられる。これらポリマー(B)
は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混
合して用いてもよい。
【0047】また、水酸基を少なくとも有するポリマー
(B)としては、具体的には、例えば、前記の熱可塑性
ポリエステル;二価のフェノールとホスゲンやジフェニ
ルカーボネート等のカーボネート先駆体との反応によっ
て得られる芳香族ポリカーボネート等のポリカーボネー
ト;水酸基含有単量体を共重合成分として共重合して得
られた共重合体等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。これらポリマー(B)は、1種類のみを用い
てもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
【0048】上記水酸基含有単量体としては、具体的に
は、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシメチ
ルベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4
−ヒドロキシメチルベンジルメタクリレート等が挙げら
れるが特に限定されるものではない。
【0049】アミノ基を少なくとも有するポリマー
(B)としては、具体的には、例えば、ナイロン6、ナ
イロン66、6/66共重合ナイロン、ナイロン46、ナイロン
12等のポリアミド;アミノ基含有単量体を共重合して得
られた共重合体等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。これらポリマー(B)は、1種類のみを用い
てもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
上記アミノ基含有単量体としては、具体的には、例え
ば、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。
【0050】前記ゴム強化スチレン系樹脂としては、特
に限定されるものではないが、例えば、ABS(Acrylo
nitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、AES(Acrylonitr
ile-EPDM-Styrene)樹脂、AAS(Acrylonitrile-Acry
lic-Styrene)樹脂、HIPS樹脂、MBS(Methylmetha
crylate-Butadiene-Styrene)樹脂等、ゴム状重合体の存
在下で芳香族ビニル系単量体および必要に応じて上記芳
香族ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体
(以下、他のビニル系単量体と記す)を重合してなるグ
ラフト共重合体を含む重合体が挙げられる。
【0051】上記ゴム状重合体としては、特に限定され
るものではないが、具体的には、例えば、ポリブタジエ
ン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アク
リロニトリル共重合体等のジエン系ゴム;エチレン−プ
ロピレン共重合体、エチレン−プロピレン非共役ジエン
共重合体、アクリル系ゴム、塩素化ポリエチレン等の非
ジエン系ゴム等が挙げられる。これらゴム状重合体は、
1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を適宜混合し
て用いてもよい。
【0052】上記ゴム状重合体の製造方法としては、特
に限定されるものではなく、乳化重合、溶液重合、懸濁
重合、塊状重合等、従来公知の種々の方法を用いことが
できる。また、上記ゴム状重合体を得る際の重合条件
は、特に限定されるものではない。
【0053】前記の芳香族ビニル系単量体としては、特
に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ス
チレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m
−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−メチルス
チレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレ
ン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレ
ン、ジブロモスチレン等が挙げられる。これら芳香族ビ
ニル系単量体は、1種類のみを用いてもよいし、2種類
以上を適宜混合して用いてもよい。これら芳香族ビニル
系単量体のなかでも、スチレン、α−メチルスチレンが
特に好適に用いられる。
【0054】前記の他のビニル系単量体としては、特に
限定されるものではないが、具体的には、例えば、前述
のシアン化ビニル系単量体;前述の不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル;前述のマレイミド系単量体などが挙げ
られる。これら他のビニル系単量体は、1種類のみを用
いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。これら他のビニル系単量体のなかでも、アクリロニ
トリル、メチルメタクリレート、N−フェニルマレイミ
ドが特に好適に用いられる。
【0055】上記グラフト共重合体の製造方法、即ち、
ゴム状重合体の存在下で、芳香族ビニル系単量体および
必要に応じて他のビニル系単量体を重合させる重合方法
としては、特に限定されるものではなく、乳化重合、溶
液重合、懸濁重合、塊状重合等、従来公知の種々の方法
を用いることができる。
【0056】上記グラフト共重合体を得る際の各単量体
(芳香族ビニル系単量体および他のビニル系単量体)と
ゴム状重合体との配合割合は、特に限定されるものでは
ないが、上記各単量体の合計量80重量%〜20重量%、ゴ
ム状重合体20重量%〜80重量%となるように配合するこ
とが好ましい。さらに、上記配合割合以外の重合条件
は、特に限定されるものではなく、上記の重合反応が完
了するように適宜設定される。
【0057】また、上記ゴム強化スチレン系樹脂とし
て、芳香族ビニル系単量体および必要に応じて他のビニ
ル系単量体を重合してなる芳香族ビニル系重合体と、上
記グラフト共重合体との混合物を用いてもよい。
【0058】上記芳香族ビニル系重合体の原料として用
いられる芳香族ビニル系単量体および他のビニル系単量
体としては、上記グラフト共重合体の製造において例示
した単量体と同様の単量体を用いることができる。ま
た、上記芳香族ビニル系重合体の製造方法としては、特
に限定されるものではなく、乳化重合、溶液重合、懸濁
重合、塊状重合等、従来公知の種々の方法を用いること
ができる。
【0059】上記芳香族ビニル系重合体とグラフト共重
合体との混合物を得る際の芳香族ビニル系単量体と他の
ビニル系単量体との配合割合は、特に限定されるもので
はないが、芳香族ビニル系単量体10重量%〜 100重量
%、他のビニル系単量体90重量%〜0重量%となるよう
に配合することが好ましく、芳香族ビニル系単量体30重
量%〜70重量%、他のビニル系単量体70重量%〜30重量
%となるように配合することがさらに好ましい。
【0060】前述の熱可塑性樹脂(C)とポリマー
(B)との配合割合は、特に限定されるものではない
が、ポリマー(B)90重量部〜10重量部に対して、熱可
塑性樹脂(C)10重量部〜90重量部の割合で配合するこ
とが好ましい。
【0061】上記熱可塑性樹脂(C)の配合割合が、10
重量部より少なければ、得られる熱可塑性樹脂組成物
が、耐衝撃性や加工性等の物性を充分に発揮することが
できないので好ましくない。一方、上記熱可塑性樹脂
(C)の配合割合が90重量%より多ければ、上記熱可塑
性樹脂組成物が、耐熱性や耐溶剤性等の物性を充分に発
揮することができないので好ましくない。
【0062】高分子相溶化剤(A)、ポリマー(B)、
および熱可塑性樹脂(C)の割合は、高分子相溶化剤
(A) 0.1重量%〜20重量%、ポリマー(B) 9.9重量
%〜90重量%と、熱可塑性樹脂(C)90重量%〜 9.9重
量%が望ましい。
【0063】また、上記熱可塑性樹脂(C)とポリマー
(B)と高分子相溶化剤(A)との合計量に対する上記
高分子相溶化剤(A)が有する反応性基(a)の量は、
0を越えて0.05モル/kg以下であることが好ましい。
【0064】上記熱可塑性樹脂(C)とポリマー(B)
と高分子相溶化剤(A)との合計量に対する上記高分子
相溶化剤(A)が有する反応性基(a)の量が0.05モル
/kgを越えると、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐熱
性、耐溶剤性、および加工性等の物性が低下する虞れが
あるので好ましくない。
【0065】上記熱可塑性樹脂(C)と高分子相溶化剤
(A)とを互いに混合するときや、さらにポリマー
(B)を混合するときは、上記三者における形状などの
状態が特に限定されるものではなく、ペレット、ビー
ズ、パウダー等、種々の状態でそれぞれ混合することが
できる。上記三者の混合には、具体的には、例えば、バ
ンバリーミキサー等の高速攪拌機、ロール、1軸あるい
は多軸の押出機等、従来公知の混練機を用いることがで
きるが、特に限定されるものではない。
【0066】上記ポリマー(B)と高分子相溶化剤
(A)との組み合わせは、特に限定されるものではない
が、上記ポリマー(B)がカルボキシル基を有するポリ
マーであり、高分子相溶化剤(A)がオキサゾリン基お
よび/またはエポキシ基を有する共重合体である組み合
わせが、得られる熱可塑性樹脂組成物の物性からみて特
に好ましい。
【0067】さらに、上記ポリマー(B)がカルボキシ
ル基を有するポリマーであり、高分子相溶化剤(A)が
オキサゾリン基を有する共重合体である組み合わせが、
上記オキサゾリン基の反応が非常に早いため、本願発明
の製造方法を用いることによって、優れた物性を有する
熱可塑性樹脂組成物が安定に得られることから好まし
い。
【0068】また、上記各樹脂組成物には、必要に応じ
て、顔料や染料、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、金
属フレーク等の補強材や充填材、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑
剤、難燃剤等の従来公知の種々の添加剤を添加してもよ
い。これら添加剤は、一種類のみを用いてもよいし、二
種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、これら添
加剤の添加量は、特に限定されるものではない。また、
所望する物性に応じて、上記樹脂組成物に、ポリアセタ
ール、ポリメチルメタクリレート、塩化ビニル等の、他
の熱可塑性樹脂を適宜配合してもよい。
【0069】以上のような本発明にかかる熱可塑性樹脂
組成物は、例えば、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等の家庭電
気器具、自動車の内外装部品、雑貨用、家具建材等とい
った、耐熱性、成形性、加工性、耐薬品性、および耐衝
撃性等の物性を必要とする広範な用途に利用され得るも
のとなっている。
【0070】
【実施例】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を、
以下、各実施例および比較例により、さらに具体的に説
明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるもので
はない。なお、本明細書では、記載の「部」および
「%」は、重量基準にて表したものである。
【0071】〔実施例1〕熱可塑性樹脂組成物の製造方
法は、オキサゾリン基を有し、反応性相溶化剤としての
高分子相溶化剤(A)(以下、RASという)と、熱可
塑性樹脂(C)としてのABS樹脂(JSR社製、AB
S10)とを互いに混練した混合物を得た後、その混合
物に対し、上記オキサゾリン基と反応する酸基を有する
ポリマー(B)としてのPBT樹脂(PolyButyreneTere
phthalate 、三菱エンジニアリングプラスチック社製、
ノバドゥール5010)を混練して、物性が改善され、
かつ、耐衝撃性がさらに向上した熱可塑性樹脂組成物を
安定に得る方法である。
【0072】まず、上記RASについて説明すると、7
0部のスチレンと、25部のアクリロニトリルと、5部
のIPO(IsoPropenylOxazoline) とを、溶液重合によ
り共重合して、重量平均分子量(Mw)が100,00
0、数平均分子量(Mn)が45,000、固有粘度
〔η〕が0.35であるRASが得られた(重合収率9
8%)。
【0073】続いて、固有粘度〔η〕が0.35である
2.5部のRASと、50部のABS樹脂とを、2軸混
練機を用い、回転数150rpm、温度240℃にて予
め混練するプレ混練した後、さらに50部のPBT樹脂
を加えて同様に混練して、本実施例1の熱可塑性樹脂組
成物(1)を得た。
【0074】次に、上記のプレ混練と異なる他の混練方
法を用いた各例を、比較例1〜3として説明すると、3
成分を同時に混練する例として、まず、上記RASに代
えてAS(スチレン/アクリロニトリル=75/25)
を用い、ABS/PBT/AS=50/50/5の割合
にて同時に配合し互いに混練して、比較例1の比較熱可
塑性樹脂組成物(1)を得た。
【0075】また、特公平7−25979号公報に記載
の熱可塑性樹脂組成物に相当するものとして、ABS/
PBT/RAS/AS=50/50/3/2の割合にて
同時に配合し互いに混練して、比較例2の比較熱可塑性
樹脂組成物(2)を得た。
【0076】さらに、ABS/PBT/RAS/AS=
50/50/3/2の割合にて同時に配合し、互いに高
速混練(回転数200rpm)して、比較例3の比較熱
可塑性樹脂組成物(3)を得た。
【0077】上記実施例の熱可塑性樹脂組成物(1)お
よび各比較熱可塑性樹脂組成物(1)〜(3)につい
て、耐熱性を示す熱変形温度(HDT、Hot Distortion
Temperature) 、成形性および加工性を示す流動性(M
FR、Melt Flow Rate)、耐衝撃性を示すアイゾット
(izod)衝撃強度をそれぞれ下記の各測定方法にしたが
って測定した。それらの結果を表1に示した。
【0078】
【表1】
【0079】上記表1に記載の結果から明らかなよう
に、各比較熱可塑性樹脂組成物(1)〜(3)に対し、
上記熱可塑性樹脂組成物(1)は、耐熱性を維持しなが
ら、5以上のMFRといった所定の成形性や加工性を示
し、さらに、耐衝撃性が向上したものとなっていること
が判る。
【0080】なお、熱可塑性樹脂組成物のMFRが5未
満の場合、上記熱可塑性樹脂組成物に対し、優れた成形
性や加工性を付与するためには、加工温度を上げて流動
性を向上させる必要があり、よって樹脂の熱分解などの
不都合を生じる。一方、MFRが大きく、例えば20以
上となった場合では、加工温度を下げて流動性を調整す
ればよく、よって上記MFRについて上限を設ける必要
はない。
【0081】また、上記実施例1に記載の熱可塑性樹脂
組成物(1)に用いたRASの調製方法において、開始
剤濃度と重合条件を代え、他の条件を同様にして調製す
ることにより、重量平均分子量(Mw)が45,00
0、数平均分子量(Mn)が22,000、固有粘度
〔η〕が0.1であるRASが得られた(重合収率98
%)。このRASを用いて、同様に、本願にかかる他の
熱可塑性樹脂組成物を調製したところ、上記熱可塑性樹
脂組成物(1)と同様な物性値が得られた。
【0082】上記の耐衝撃性、耐熱性、および成形性
は、以下の方法により評価した。耐衝撃性は、JIS K 71
10に記載の2号試験片を用い、JIS K 7110に基づき実施
して測定された。すなわち、得られた熱可塑性樹脂組成
物を成形して得られた試験片のいわゆる1/4"ノッチ付き
アイゾット衝撃強度を測定することによって評価され
た。
【0083】つまり、中央にV字形のノッチ(切込み)
を入れた試験片を、一端で支え、ノッチと同じ側からハ
ンマーで打撃し、その破損によって吸収されたエネルギ
ーの大きさを算出し、その大きさから耐衝撃性を示すア
イゾット衝撃強度が算出された。
【0084】耐熱性は、JIS K 7207に基づいて、得られ
た熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた試験片の熱変
形温度(荷重たわみ温度)を測定することによって評価
された。つまり、上記熱可塑性樹脂組成物から作製され
た試験片(12.5mm×6mm)を、その長手方向両端を固定
し、試験片の中央部に 18.5kgf/cm2 の応力の相当する
荷重を厚さ方向に加えながら、2℃/min の速度で昇温
させ、試験片に0.26mmのたわみを生ずる時の温度をもっ
て荷重たわみ温度とした。
【0085】成形性および加工性は、JIS K 7210に基づ
き、得られた熱可塑性樹脂組成物の流動性を測定するこ
とによって評価された。つまり、得られた熱可塑性樹脂
組成物を、温度 240℃、荷重10kgの条件下で所定の試験
装置から押し出し、10分間当たりの押し出し量(MF
R)を求めた。MFRの値は、大きいほど流動性が高い
ものであることを示す。
【0086】また、RASの固有粘度〔η〕は、以下の
方法により求められた。先ず、得られたRASをジメチ
ルホルムアミドに溶解させて、濃度1g/100ml 、 0.5
g/100ml 、 0.3g/100ml の3種の溶液をそれぞれ作
製した。次いで、この3種の溶液を温度30℃にそれぞ
れ調整した後、ウベローデ粘度計によりそれらの粘度を
それぞれ測定し、それらの粘度から得られた濃度と粘度
との関係を示す関係式に対し、濃度0を外挿することに
よって、RASの固有粘度〔η〕を求めた。
【0087】重量平均分子量(Mw)は、GPC法を用
い、下記の条件で測定された。 装置 :ポンプ、カラムオーブン(東ソー:HLC−8020) 溶媒 :THF 流量 :1ml/min 打ち込み量 : 0.2〜0.5wt%70μl カラム:東ソー サンプル側 ガードカラムHx−H、 カラムG6000H2本、G5000H、G4000H G3000H、G1000H リファレンス側 GRCXLL、GRCXLH カラム温度40℃ 検出 :検知器RI屈折率計 標準 :TSK standard Polystyrene ところで、特公平7−25979号公報に記載の熱可塑
性樹脂組成物では、耐衝撃性が改良されるものの、未だ
充分な改良がなされているとは言い難い。そこで、充分
な耐衝撃性の改質効果を得ようとして、上記従来の熱可
塑性樹脂組成物に対し、相溶化剤をさらに多く加えて
も、耐衝撃性のさらなる改善は望めないものであり、ま
た、多量の相溶化剤の添加は、流動性等の加工性の低下
という問題点を招来するものであった。
【0088】また、一般的に、相溶化剤の添加量を抑え
る目的で、相溶化剤中の官能基の含有量を高くする試み
がなされている。しかしながら、この場合は、混練時に
副反応が生じ易く、やはり熱可塑性樹脂組成物全体の流
動性が低下する。このため、加工性が損なわれるという
問題点を有している。
【0089】これに対し、本発明の熱可塑性樹脂組成物
の製造方法では、上記各問題点を回避、つまり、RAS
の添加量を低減して、成形性などの物性の低下を、実用
上支障がない程度に抑えることができると共に、耐熱性
を維持でき、かつ、耐衝撃性が従来より向上した熱可塑
性樹脂組成物を安定に得ることが可能となる。
【0090】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法
は、以上のように、官能基を有するポリマー(B)と、
熱可塑性樹脂(C)とを配合してなる熱可塑性樹脂組成
物を製造する際に、上記官能基と反応する反応性基
(a)を有する高分子相溶化剤(A)と熱可塑性樹脂
(C)とを互いに混合した後、ポリマー(B)をさらに
混合する方法である。
【0091】それゆえ、上記方法では、ポリマー(B)
をさらに混合する前に、予め、高分子相溶化剤(A)と
熱可塑性樹脂(C)とを互いに混合したことにより、熱
可塑性樹脂(C)と、ポリマー(B)との間の相溶性を
高分子相溶化剤(A)によって確保できて、耐熱性、成
形性、耐薬品性に優れると共に、耐衝撃性をさらに向上
させた熱可塑性樹脂組成物を安定に製造することができ
る。
【0092】この結果、上記方法では、上記のように、
耐熱性、成形性、耐薬品性、さらに耐衝撃性が優れるこ
とによって、自動車部品等の各種の工業部品用材料とし
て好適に用いられる熱可塑性樹脂組成物を安定に得るこ
とができるという効果を奏する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】官能基を有するポリマー(B)と上記ポリ
    マー(B)と異なる熱可塑性樹脂(C)とを配合して熱
    可塑性樹脂組成物を製造する際に、上記官能基と反応す
    る反応性基(a)を有する高分子相溶化剤(A)と熱可
    塑性樹脂(C)とを互いに混合した後、ポリマー(B)
    をさらに混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物
    の製造方法。
  2. 【請求項2】高分子相溶化剤(A)は、反応性基(a)
    を有するモノマー0.1重量%〜20重量%、共重合可
    能なビニル系モノマー99.9重量%〜80重量%から
    得られる共重合体であることを特徴とする請求項1記載
    の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂(C)は、熱可塑性樹脂
    (C)の溶解度パラメータが、高分子相溶化剤(A)の
    溶解度パラメータに対し±2(cal/cm3)1/2 以内であ
    る相溶性の高いものであることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂(C)は、ゴム強化スチレン
    系樹脂であることを特徴とする請求項1、2または3記
    載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】高分子相溶化剤(A)とポリマー(B)と
    熱可塑性樹脂(C)との配合割合は、高分子相溶化剤
    (A)0.1重量%〜20重量%、ポリマー(B)9.
    9重量%〜90重量%と、熱可塑性樹脂(C)90重量
    %〜9.9重量%であることを特徴とする請求項1、
    2、3または4記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】反応性基(a)は、オキサゾリン基あるい
    はエポキシ基であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4または5記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】ポリマー(B)と熱可塑性樹脂(C)と
    は、実質的に互いに非相溶であることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5または6記載の熱可塑性樹脂組成
    物の製造方法。
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