JPH108107A - 焼結体の製造方法 - Google Patents

焼結体の製造方法

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JPH108107A
JPH108107A JP16499696A JP16499696A JPH108107A JP H108107 A JPH108107 A JP H108107A JP 16499696 A JP16499696 A JP 16499696A JP 16499696 A JP16499696 A JP 16499696A JP H108107 A JPH108107 A JP H108107A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高品質のTiまたはTi合金焼結体を高い寸法
精度で容易かつ安価に製造すること。 【解決手段】焼結炉6を用い、TiまたはTi合金粉末
から構成される成形体10を焼結して焼結体を製造す
る。この場合、成形体10は、炭素材料で構成された容
器1内の載置台5上に載置された状態で焼結される。載
置台5は、基材51と、その上側に接合された板状の成
形体接触部52とで構成されている。成形体接触部52
は、酸化物の標準生成自由エネルギー値が焼結温度範囲
で成形体10を構成するTiまたはTi合金より大きい
値を持つ金属の酸化物で構成されている。一度焼結に使
用された載置台5は、成形体接触部52の表面を研削ま
たは研磨した後、再度、新たな成形体10を載置し、焼
結に供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TiまたはTi合
金粉末の成形体を焼結する焼結体の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】TiまたはTi合金は、軽量で強度が高
く、耐食性に優れる等の長所を有する金属材料である
が、その反面、加工性が悪く利用分野や対象物に制限が
ある。
【0003】このようなTiまたはTi合金は、一般に
は、鋳造、鍛造、機械加工等を経て最終製品となるが、
特殊な工具による切削加工や、レーザー加工を施したり
する必要が生じるので、製造が容易ではなく、製造コス
トも高い。特に、複雑で微細な形状への加工には、複雑
な製造工程と高度な技術とを要し、製造コストも大幅に
増大する。
【0004】このような問題を解決する方法として、T
iまたはTi合金粉末を所定の形状に成形(圧粉成形)
し、この成形体を焼結炉で焼結してTiまたはTi合金
の焼結体を製造する方法が提案されている(特開平6−
330105号公報)。
【0005】この方法では、TiまたはTi合金粉末の
成形体を敷板(載置台)上に載せ、さらにこれをチタ
ン、モリブデン、タングステン等の金属やアルミナのよ
うなセラミックスで構成されたケース内に入れて焼結を
行っている。敷板は、アルミナのようなそれ自体は高温
下で安定なセラミックスで構成されている。
【0006】しかしながら、このような材料で構成され
る敷板は、焼結時に、成形体のTiまたはTi合金と反
応し、得られた焼結体中の酸素量を増大させるため、焼
結体が脆化し、強度が低下するという欠点がある。
【0007】さらに、一度使用された敷板は、次の焼結
の際に再使用されるが、敷板表面に前回の焼結の際の反
応生成物が付着していると、その反応生成物が焼結体の
一部と結合し、焼結体表面の性状を悪化させたり、焼結
時の収縮率の不均一により焼結体の寸法精度(形状、寸
法の安定性)を低下させたりするという欠点がある。
【0008】特に、成形体を金属粉末射出成形法により
製造した場合、複雑で微細な形状の焼結体を高い寸法精
度で製造することができるという利点を有するが、この
場合には、前記欠点により、その利点が十分に発揮され
ず、重要な問題であった。
【0009】なお、このような問題を解決する方法とし
て、焼結する毎に敷板を新たなものに交換することが考
えられるが、この場合には、製造コストの上昇を招くと
いう問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高品
質で寸法精度の高いTiまたはTi合金焼結体を容易か
つ安価に製造することができる焼結体の製造方法を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)の本発明により達成される。
【0012】(1) 主にTiまたはTi合金粉末から
構成される成形体を載置台に載置した状態で焼結して焼
結体を製造する焼結体の製造方法であって、前記載置台
の少なくとも前記成形体と接触する成形体接触部が、酸
化物の標準生成自由エネルギー値が焼結温度範囲で前記
成形体を構成する前記TiまたはTi合金より大きい値
を持つ金属の酸化物で構成されており、前記成形体接触
部の表面を研削または研磨して使用することを特徴とす
る焼結体の製造方法。
【0013】(2) 主にTiまたはTi合金粉末から
構成される成形体を載置台に載置した状態で焼結して焼
結体を製造する焼結体の製造方法であって、前記載置台
の少なくとも前記成形体と接触する成形体接触部が、M
g、Ca、ZrおよびYからなる群より選択された少な
くとも1種の酸化物で構成されており、前記成形体接触
部の表面を研削または研磨して使用することを特徴とす
る焼結体の製造方法。
【0014】(3) 前記成形体接触部の表面の研削ま
たは研磨は、焼結を行う毎になされる上記(1)または
(2)に記載の焼結体の製造方法。
【0015】(4) 前記研削または研磨による除去量
は、平均厚さが20〜500μm である上記(1)ない
し(3)のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
【0016】(5) 前記成形体は、炭素材料で構成さ
れる容器に収納された状態で焼結される上記(1)ない
し(4)のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
【0017】(6) 前記容器は、筐体と、該筐体の開
口部を遮蔽する蓋体とで構成されている上記(5)に記
載の焼結体の製造方法。
【0018】(7) 前記容器内にゲッター材を入れた
状態で焼結を行う上記(5)または(6)に記載の焼結
体の製造方法。
【0019】(8) 前記容器内の前記開口部の近傍に
ゲッター材を配置した状態で焼結を行う上記(6)に記
載の焼結体の製造方法。
【0020】(9) 前記ゲッター材の充填量は、前記
成形体の総重量の5〜48%である上記(7)または
(8)に記載の焼結体の製造方法。
【0021】(10) 前記載置台は、成形体接触部と、
該成形体接触部に接合された基材とで構成されている上
記(1)ないし(9)のいずれかに記載の焼結体の製造
方法。
【0022】(11) 前記成形体の焼結雰囲気は、1×
10-2 Torr 以下の真空または不活性ガスである上記
(1)ないし(10)のいずれかに記載の焼結体の製造方
法。
【0023】(12) 前記成形体は、金属粉末射出成形
法により製造されたものである上記(1)ないし(11)
のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の焼結体の製造方法
を添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明す
る。
【0025】[1]成形体の製造 焼結に供される成形体は、(A)金属粉末射出成形法
(MIM:Metal Injection Molding )、(B)圧粉成
形法のいずれの方法で成形されたものでもよい。なお、
金属粉末射出成形法は、複雑で微細な形状の焼結体を高
い寸法精度で製造することができる利点を有するので、
本発明を適用する上でその効果が有効に発揮され、好ま
しい。以下、各方法について順次説明する。
【0026】(A−1) TiまたはTi合金よりなる
金属粉末と結合材(有機バインダー)とを用意し、これ
らを混練機により混練し、混練物(コンパウンド)を得
る。
【0027】Ti合金を構成するTi以外の金属として
は、例えば、Fe、Cr、Pd、Co、Zr、Al、
V、Mo、Sn、Ag、Niのうちの1種または2種以
上が挙げられる。この場合、Ti以外の金属の合計含有
量は、60wt%以下であるのが好ましく、50wt%以下
であるのがより好ましい。
【0028】また、金属粉末中には、O、C、N、H等
の元素が微量(不可避的に)含まれていてもよい。この
場合、これらの各元素の含有量は、O:0.3wt%以
下、C:0.3wt%以下、N:0.5wt%以下、H:
1.0wt%以下であるのが好ましく、また、O、C、
N、Hの合計含有量は、2.3wt%以下であるのが好ま
しい。これらの元素の含有量が多過ぎると、得られた焼
結体の脆化により、強度が低下する。
【0029】金属粉末の平均粒径は、特に限定されない
が、通常、2〜300μm 程度が好ましく、5〜50μ
m 程度がより好ましい。
【0030】一方、結合材としては、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体
などのポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポ
リブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチ
レン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコー
ル、またはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワッ
クス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、
高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミ
ド、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリ
ット酸エステル、セバシン酸エステル等が挙げられ、こ
れらのうちの1種または2種以上を混合して用いること
ができる。
【0031】このような結合材の合計添加量は、4〜2
5wt%程度が好ましく、8〜20wt%程度がより好まし
い。4wt%未満では、成形時における流動性が乏しくな
り、射出成形が不能または困難となるか、あるいは成形
物の組成が不均一となり、25wt%を超えると、射出成
形により得られた成形体を焼成した際の収縮率が増大
し、寸法精度が低下し、また、焼結体における空孔率や
含有C量が増大する傾向を示す。
【0032】なお、混練に際しては、前記金属粉末およ
び結合材の他に、例えば、可塑剤、潤滑剤、酸化防止
剤、脱脂促進剤、界面活性剤等の各種添加物を必要に応
じ添加することができる。
【0033】混練条件は、用いる金属粉末の粒径、結合
材の組成およびその配合量等の諸条件により異なるが、
その一例を挙げれば、混練温度:常温〜160℃程度、
混練時間:20〜210分程度とすることができる。
【0034】(A−2) 前記(A−1)の工程で得ら
れた混練物(または該混練物より造粒されたペレット)
を用いて、射出成形機により射出成形し、所望の形状の
成形体を製造する。この場合、成形金型の選択により、
複雑で微細な形状の成形体をも容易に製造することがで
きる。
【0035】射出成形の成形条件としては、用いる金属
粉末の粒径、結合材の組成およびその配合量等の諸条件
により異なるが、その一例を挙げれば、材料温度(金型
温度)が好ましくは80〜200℃程度、射出圧力が好
ましくは20〜150kgf/cm2 程度とされる。
【0036】(A−3) 前記(A−2)の工程で得ら
れた成形体に脱脂処理(脱バインダー処理)を施す。こ
の脱脂処理としては、非酸化性雰囲気、例えば真空また
は減圧状態下(例えば1×10-1〜1×10-6 Torr )
または窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で、熱
処理を行うことによりなされる。
【0037】この場合、熱処理条件としては、好ましく
は温度50〜700℃程度で3〜72時間程度、より好
ましくは温度60〜550℃程度で6〜36時間程度と
される。
【0038】なお、この脱脂処理は、結合材や添加剤中
の特定成分を所定の溶媒(液体、気体)を用いて溶出さ
せることにより行ってもよい。
【0039】(B−1) 圧粉成形法の場合、前述した
TiまたはTi合金よりなる金属粉末と、成形助剤等の
添加剤とを均一に混合し、この混合物を、加圧成形機の
金型内に充填し、加圧成形する。これにより、所望形状
の成形体を得る。
【0040】成形助剤としては、例えば、各種ワック
ス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)等が
挙げられる。このような成形助剤の添加量は、例えば、
0.5〜5wt%程度とされる。
【0041】また、加圧成形時の材料温度(金型温度)
は、好ましくは常温〜80℃程度、圧力は、好ましくは
20〜120kgf/cm2 程度とされる。
【0042】(B−2) 必要に応じ、前記と同様の脱
脂処理を施す。
【0043】[2]成形体の焼結 以上のようにして得られた成形体を焼結炉で焼成して焼
結し、金属焼結体を製造する。
【0044】図1は、本発明の焼結体の製造方法に用い
られる焼結炉の構造を模式的に示す断面図、図2は、成
形体を収納する容器の構造を示す斜視図である。
【0045】成形体10は、容器1内に収納され、さら
にこの容器1を焼結炉6内に入れ、焼結炉6を作動して
焼結がなされる。
【0046】容器1は、一端側に開口部21を有する筐
体2と、開口部21を遮蔽する蓋体3とで構成されてい
る。図2に示すように、蓋体3は、その四隅において螺
子部材4により筐体2に対し固定され、開口部21を遮
蔽する。蓋体3が開口部21を遮蔽した状態では、容器
1は、密閉状態(または半密閉状態)あるいは筐体2の
蓋体3との接合部を介しての気体の出入りが可及的に抑
制された状態となる。
【0047】また、容器1内の開口部21の近傍、すな
わち蓋体3の裏面付近には、後述するゲッター材11
が、開口部21のほぼ全域を塞ぐように配置されてい
る。ゲッター材11をこのような箇所、すなわち、容器
1の内外における気体の流通が生じ易い箇所に配置する
ことにより、後述するゲッター材11の機能をより有効
に発揮することができ、ゲッター材11の充填量の減少
にも寄与する。
【0048】このような容器1(筐体2および蓋体3)
は、例えば、ステンレス鋼、チタン、モリブデン、タン
グステンまたはこれらを含む合金等の各種金属材料、ア
ルミナ、ジルコニア、マグネシア、カルシア、イットリ
ア等の各種セラミックス、または炭素材料で構成するこ
とができるが、後述する理由から、炭素材料が好まし
い。
【0049】容器1を構成する炭素材料としては、例え
ば、黒鉛(天然または人造)、ガラス状炭素、グラファ
イト、炭素繊維や炭素粉の集合体等が挙げられるが、そ
のなかでも特に、高強度で不純物が少なく、安価である
ことから、黒鉛または黒鉛を主とするものが好ましい。
【0050】また、特に、強度を要する螺子部材4等
は、炭素繊維の集合体を用いるのが好ましい。 黒鉛等
の炭素材料は、熱伝導率が高く、従って、このような材
料で容器1を構成することにより、焼結開始時に、容器
1内の成形体10を迅速かつ均一に加熱し、焼結するこ
とができる。また、黒鉛等の炭素材料は、安価であり、
しかも加工性に優れているため、容器1を容易かつ安価
に製造することができる。
【0051】特に、複雑な形状の容器1を作製する場合
に有利である。一例を挙げれば、容器1の内壁面に、例
えば載置台5を支持するための溝または段差(図示せ
ず)等を形成する場合にも、切削等によりこれらを容易
に加工、形成することができる。
【0052】さらに、黒鉛等の炭素材料は、耐熱性に優
れ、焼結時の熱により変形、変質等の劣化や破損を生じ
ないので、1つの容器1を多数回繰り返し使用すること
ができ、寿命が長い。従って、容器1の劣化による交換
を行う必要がなく(または交換の頻度が少なく)、取扱
性に優れるとともに、更なる製造コストの低減に寄与す
る。
【0053】また、容器1内には、成形体10を載置す
る載置台(セッター)5が、好ましくは着脱自在に設置
されている。載置台5は、好ましくは前述したような炭
素材料よりなる板状の基材51と、この基材51の上側
に接合された板状(層状)の成形体接触部52とで構成
されている。成形体10は、成形体接触部52上に載置
された状態で焼結される。
【0054】成形体接触部52は、酸化物の標準生成自
由エネルギー値が焼結温度範囲で成形体10を構成する
TiまたはTi合金より大きい値を持つ金属の酸化物で
構成されている。このような材料としては、Mg、C
a、ZrおよびYからなる群より選択された少なくとも
1種の酸化物が挙げられ、特に、マグネシア(Mg
O)、カルシア(CaO、CaO2 )、ジルコニア(Z
rO2 )、イットリア(Y2O3 )が好ましい。
【0055】成形体接触部52をこのような材料で構成
することにより、焼結時に成形体10との反応を極力抑
制することができ、特に、成形体10中への酸素(O)
の移行もほとんど生じないので、得られた焼結体中の酸
素濃度を低く抑えることができ、焼結体の脆化による強
度の低下を防止することができるとともに、寸法精度
(形状、寸法の安定性)の向上も図れる。
【0056】本実施例において、成形体接触部52は、
板状(層状)をなしており、その厚さは特に限定されな
いが、通常、2〜10mm程度であるのが好ましく、3〜
5mm程度であるのがより好ましい。成形体接触部52の
厚さが薄過ぎると、その強度が低下し、破損を生じ易
く、また、厚過ぎると、熱損失が大きく、炉内温度の均
一化が得にくいとともに、成形体の収納量が少なくなり
コストの上昇を招く。
【0057】なお、成形体接触部52の形状は、板状
(層状)のものに限定されず、例えば、棒状(線状)、
網目状(交差線状)、複数の突起状等、いかなるもので
もよい。載置台5における基材51は、支持部材として
の機能の他に、成形体接触部52の強度を補強する機能
を有している。
【0058】ゲッター材11は、焼結時に、O、C等の
物質が成形体10へ付着、侵入するのを防止するため
に、これらの物質を事前に吸着(トラップ)するもので
あり、例えば前述したようなTiまたはTi合金、Zr
またはZr合金等で構成されている。また、ゲッター材
11の形態は、表面積を増大するために、多孔質体(ス
ポンジ状)、切削屑、繊維(細線)の集合体、粒状物や
粉末の集合体等で構成されているのが好ましい。
【0059】本発明においては、ゲッター材11を前述
したような箇所に設置すること等により、ゲッター材1
1の容器1への充填量を従来に比べ少なくしても、高品
質の焼結体を製造することができる。すなわち、ゲッタ
ー材11の充填量は、成形体10の総重量の5〜48%
程度とするのが好ましく、10〜40%程度とするのが
より好ましい。5%未満であると、ゲッター材11の機
能が十分に発揮されず、容器1の密閉度が低い場合等
に、得られた焼結体が脆化するおそれがある。また、4
8%を超えると、容器1内におけるゲッター材11の占
有スペースが大きくなり、その分成形体10の収納スペ
ースが小さくなるので、焼結体の製造効率(生産性)の
低下を招く。
【0060】このように、ゲッター材11の充填量が少
ないということは、ゲッター材11の消費量が少ないと
いうことであり、従って、これによるコストの低減も図
れ、しかも、ゲッター材11の充填作業の軽減により、
作業性も向上する。
【0061】なお、容器1の密閉度が高い場合等、他の
条件によっては、ゲッター材11の充填量を成形体10
の総重量の5%未満(0を含む)としてもよいことは、
言うまでもない。
【0062】焼結炉6は、例えばステンレス鋼のような
金属製の外壁7と、外壁7の内側に接合され、好ましく
は炭素材料で構成された内壁8とを有しており、内壁6
2の内側に、容器1を収納し得る空間60が形成されて
いる。また、内壁62の内部の空間60を介して対向す
る位置には、それぞれ、黒鉛ヒーターのようなヒーター
9が設置されている。
【0063】内壁8を構成する炭素材料としては、炭素
繊維(黒鉛繊維等)や炭素粉の集合体が好ましい。内壁
8をこのような炭素材料で構成することにより、前述し
たように、優れた熱伝導性が得られ、また、劣化も生じ
ず、内壁8を容易に製造、加工することができ、そのコ
ストも安価となる。
【0064】このような焼結炉6を用いて初回の焼結を
行う場合には、まず、容器1内の載置台5の成形体接触
部52上に成形体10を所定の配置で載置し、筐体2に
蓋体3を装着して開口部21を遮蔽し、さらにこの容器
1を焼結炉6の空間60に入れ、ヒーター9を作動して
焼結炉6内を所定温度に加熱する。
【0065】このような焼結における焼結条件として
は、好ましくは温度800〜1450℃程度で2〜30
時間程度、より好ましくは温度1000〜1350℃程
度で2.5〜20時間程度とされる。
【0066】この場合、焼結雰囲気(容器1内の雰囲
気)は、非酸化性雰囲気、すなわち真空または減圧状態
下(好ましくは1×10-2 Torr 以下、より好ましくは
1×10-2〜1×10-6 Torr )、あるいは、窒素ガ
ス、アルゴンガス等の不活性ガス中、その他還元性雰囲
気中であるのが好ましい。また、焼結雰囲気は、焼結の
途中で入れ替えられてもよい。
【0067】以上のようにして焼結が完了したら、焼結
炉6から容器1を取り出し、蓋体3を取り外し、容器1
内の焼結体を取り出す。
【0068】焼結炉6および容器1は、再使用に供され
る。本発明では、次回の焼結を行うのに先立ち、載置台
5の成形体接触部52の表面を研削または研磨すること
に特徴を有する。以下、これについて詳述する。
【0069】一度焼結に使用された載置台5の成形体接
触部52は、その表面に、成形体10から離脱したTi
またはTi合金粉末や、成形体10のTiまたはTi合
金との間で反応した反応生成物が付着している。これら
の付着物は、微量ではあるが、付着物が残存した状態の
ままで載置台5を再使用(次回の焼結)すると、新たに
載置された成形体が焼結の際にこの付着物と反応し、結
合する。そのため、得られた焼結体の表面の性状を悪化
させる。また、焼結体の付着物と結合した部分は、焼結
時の収縮が規制され、他所との間で収縮率に差が生じ、
全体として収縮率が不均一となり、その結果、焼結体の
形状や寸法に誤差が生じ、寸法精度が低下する。
【0070】従って、本発明では、一度焼結に使用され
た載置台5の成形体接触部52の表面を研削(切削)ま
たは研磨して、前記付着物を除去し、この状態で次の焼
結を行う。これにより、焼結時に生成された前記付着物
が、次回の焼結の際の焼結体に前述したような悪影響を
及ぼすことが防止される。
【0071】研削または研磨の方法としては、特に限定
されず、公知の研削機(研削工具)、研磨機(研磨工
具)等を用い、あるいは手作業により行うことができ
る。また、研削と研磨とを任意に組み合わせて行っても
よい。
【0072】このような研削または研磨による成形体接
触部52の表面の除去量は、特に限定されないが、通
常、厚さ(平均)0.005〜0.5mm程度とするのが
好ましく、厚さ(平均)0.05〜0.3mm程度とする
のがより好ましい。この除去量が厚さ0.005mm未満
であると、焼結条件等によっては、付着物を十分に除去
しきれないことがあり、また、0.5mmを超えると、成
形体接触部52の消耗量が多くなり、使用できる回数が
少なくなる。
【0073】以上のような成形体接触部52の表面の研
削または研磨は、1回の焼結を行う毎に、すなわち、成
形体10を交換する毎に行うのが好ましい。また、使用
後、成形体接触部52が予め研削または研磨された載置
台5を、焼結を行う毎に交換して使用することもでき
る。
【0074】なお、研削または研磨は、成形体接触部5
2の表面に対し均一に(均一の除去量で)行うのが好ま
しいが、例えば、成形体10を載置する部分のみ研削ま
たは研磨する等、部分的に行ってもよい。
【0075】また、研削または研磨された成形体接触部
52の表面は、平坦面であるのが好ましいが、その面形
状は、これに限定されず、例えば湾曲面であってもよ
い。また、研削または研磨は、平滑面(例えば、表面粗
さRaが50μm 以下)となるように行われるのが好ま
しい。
【0076】以上のような各工程を経て製造された焼結
体は、高品質、すなわち高強度、高硬度で、O、C等の
含有量も低く、また、形状も均一で(バラツキがな
く)、寸法精度も高いものである。
【0077】また、焼結体中の空孔率も低く、強度の向
上等に寄与する。例えば、空孔率を好ましくは10%以
下、より好ましくは1〜5%程度、さらに好ましくは1
〜3.5%程度とすることができる。
【0078】
【実施例】次に、本発明の焼結体の製造方法の具体的実
施例について説明する。
【0079】(実施例1−0、実施例2−0、実施例3
−0、実施例4−0)表1に示す組成の金属粉末と、ア
クリル系樹脂:5wt%およびワックス:5wt%から構成
される結合材と、ジブチルフタレート(可塑剤):1wt
%とを混合し、これらを混練機にて90℃、2時間の条
件で混練した。
【0080】次に、この混練物を用い、射出成形機にて
金属粉末射出成形し、外径30mm、内径20mm、厚さ5
mmのリング形状の成形体を製造した。射出成形時におけ
る成形条件は、金型温度150℃、射出圧力50kgf/cm
2 であった。
【0081】次に、得られた成形体に対し、400℃の
窒素ガス雰囲気中で2時間脱脂した。
【0082】
【表1】
【0083】次に、得られた成形体10kgをゲッター材
2kgとともに黒鉛製の容器に入れ、図1に示す構成の炭
素繊維よりなる内壁と黒鉛ヒータとを有する焼結炉で焼
結して、焼結体を製造した。
【0084】黒鉛製容器は、筐体と蓋体とを有し、蓋体
装着時には実質的に密閉状態を維持可能なものであり、
その容積は、約0.05m3であった。また、黒鉛製容器
内には、黒鉛板と下記表2、表3に示す種々の材料より
なる成形体接触層(厚さ:5mm)とを接合してなる載置
台が着脱自在に設置され、この載置台の成形体接触層
(新品)上に複数の成形体を載置して焼結を行った。
【0085】なお、ゲッター材は、スポンジ状の純チタ
ンを用い、筐体の開口部を塞ぐように配置した。
【0086】また、焼結は、1200℃、3時間の条件
で行い、焼結雰囲気は、5×10-3Torrの真空とした。
【0087】(実施例1−1〜1−4、実施例2−1〜
2−3、実施例3−1〜3−3、実施例4−1〜4−
3)前記各実施例で製造された焼結体を取り出した後、
載置台の成形体接触層(成形体接触部)の表面をポリッ
シャーにより研磨して、平坦かつ平滑(表面粗さRa=
30μm )に仕上げた。なお、このときの成形体接触層
表面の除去量(平均除去厚さ)は、下記表2、表3に示
す通りである。
【0088】この載置台を用い、前記と同様の条件で製
造された成形体を同様の条件で焼結し、焼結体を製造し
た。
【0089】以後、成形体の製造、成形体接触層表面の
研磨およびその研磨済載置台を用いた成形体の焼結を、
前記と同様の条件で繰り返し行い、それぞれについて、
焼結体を製造した。
【0090】(比較例1、2、3、4)実施例1−4、
2−3、3−3、4−3を行った後、それぞれ、成形体
接触層表面の研磨を行わずに、再度、同様の条件で成形
体を焼結し、焼結体を製造した。
【0091】(比較例5)成形体接触層をアルミナ(A
l2 O3 )で構成した以外は実施例1−0等と同様にし
て焼結体を製造した。
【0092】前記各実施例、比較例で得られたリング状
の焼結体について、内径寸法および径の歪み(=最大内
径−最小内径)を測定するとともに、含有するO量と、
空孔率とを分析・測定した。これらの結果を下記表2、
表3に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】表2および表3に示すように、各実施例で
は、いずれも、得られた焼結体は、径の歪みが小さく、
すなわち寸法精度(寸法安定性)が高く、かつ、低O
量、低空孔率を達成している。低O量、低空孔率である
ことは、焼結体の強度を高める。
【0096】これに対し、比較例1〜4では、成形体接
触層表面の研磨を行わなかったため、径の歪みが大き
く、含有O量の増大が認められた。これは、前回の焼結
で成形体接触層に付着、残存した付着物が成形体と反応
し、その一部と結合したためであると推定される。
【0097】また、比較例5では、径の歪みおよび含有
O量がさらに増大している。これは、成形体接触層を構
成するアルミナ中の酸素原子と成形体中のチタンとが反
応したためであると推定される。
【0098】(実施例5−0)実施例1−0等と同様の
条件で、成形体(腕時計ケース)を製造した。なお、成
形体は、外径30mmの円盤状をなしており、その外周部
等に複雑で微細な凹凸が形成されたものである。
【0099】その後、黒鉛製容器の容積を約0.1m3と
し、成形体の総重量を30kg、ゲッター材の充填量を8
kgとした以外は実施例1−0等と同様の条件で、成形体
を焼結した。なお、載置台における成形体接触層の構成
材料は、下記表4に示す通りであり、その厚さは、5mm
とした。
【0100】(実施例5−1〜5−4)前記実施例5−
0で製造された焼結体を取り出した後、載置台の成形体
接触層の表面を砥石により研削後、ポリッシャーにより
研磨して、平坦かつ平滑(表面粗さRa=30μm )に
仕上げた。なお、このときの成形体接触層表面の除去量
(平均除去厚さ)は、下記表4に示す通りである。
【0101】この載置台を用い、前記と同様の条件で製
造された成形体を同様の条件で焼結し、焼結体を製造し
た。
【0102】以後、成形体の製造、接触層表面の研削・
研磨およびその研削・研磨済載置台を用いた成形体の焼
結を前記と同様の条件で繰り返し行い、焼結体を製造し
た。
【0103】(比較例6)実施例5−4を行った後、成
形体接触層表面の研削・研磨を行わずに、再度、同様の
条件で成形体を焼結し、焼結体を製造した。
【0104】前記実施例5−1〜5−4、比較例6で得
られた焼結体(腕時計ケース)について、内径寸法およ
び径の歪み(=最大内径−最小内径)を測定するととも
に、含有するO量と、空孔率とを分析・測定した。これ
らの結果を下記表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】表4に示すように、実施例5−1〜5−4
では、いずれも、得られた焼結体は、径の歪みが小さ
く、すなわち寸法精度(寸法安定性)が高く、かつ、低
O量、低空孔率を達成している。低O量、低空孔率であ
ることは、焼結体の強度を高める。
【0107】これに対し、比較例6では、成形体接触層
表面の研磨を行わなかったため、径の歪みが大きく、含
有O量の増大が認められた。この原因は、前記比較例1
〜4と同様であると考えられる。
【0108】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の焼結体の製
造方法によれば、載置台の成形体接触部の構成材料を適
正に選択し、かつ、その表面を研削または研磨して使用
することにより、高品質、すなわち脆化等の悪影響を及
ぼす物質の含有量が少なく、高強度なTiまたはTi合
金焼結体を、高い寸法精度(形状、寸法の安定性)で、
容易かつ安価に製造することができる。
【0109】従って、特に、金属粉末射出成形法により
製造された成形体のような複雑で微細な形状の成形体を
焼結する場合には、強度および寸法精度の向上が有効に
発揮され、有利である。
【0110】また、成形体を炭素材料で構成される容器
に収納した状態で焼結した場合には、焼結体の製造をよ
り容易かつ安価に行えるとともに、ゲッター材の充填量
が少なくても、上記効果が得られるので、更なる製造コ
ストの低減と、生産性の向上とが図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼結体の製造方法に用いられる焼結炉
の構造を模式的に示す断面図である。
【図2】成形体を収納する容器の構造を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 容器 2 筐体 21 開口部 3 蓋体 4 螺子部材 5 載置台 51 基材 52 成形体接触部 6 焼結炉 7 外壁 8 内壁 9 ヒーター 10 成形体 11 ゲッター材

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主にTiまたはTi合金粉末から構成さ
    れる成形体を載置台に載置した状態で焼結して焼結体を
    製造する焼結体の製造方法であって、 前記載置台の少なくとも前記成形体と接触する成形体接
    触部が、酸化物の標準生成自由エネルギー値が焼結温度
    範囲で前記成形体を構成する前記TiまたはTi合金よ
    り大きい値を持つ金属の酸化物で構成されており、 前記成形体接触部の表面を研削または研磨して使用する
    ことを特徴とする焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 主にTiまたはTi合金粉末から構成さ
    れる成形体を載置台に載置した状態で焼結して焼結体を
    製造する焼結体の製造方法であって、 前記載置台の少なくとも前記成形体と接触する成形体接
    触部が、Mg、Ca、ZrおよびYからなる群より選択
    された少なくとも1種の酸化物で構成されており、 前記成形体接触部の表面を研削または研磨して使用する
    ことを特徴とする焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記成形体接触部の表面の研削または研
    磨は、焼結を行う毎になされる請求項1または2に記載
    の焼結体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記研削または研磨による除去量は、平
    均厚さが20〜500μm である請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記成形体は、炭素材料で構成される容
    器に収納された状態で焼結される請求項1ないし4のい
    ずれかに記載の焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記容器は、筐体と、該筐体の開口部を
    遮蔽する蓋体とで構成されている請求項5に記載の焼結
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記容器内にゲッター材を入れた状態で
    焼結を行う請求項5または6に記載の焼結体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記容器内の前記開口部の近傍にゲッタ
    ー材を配置した状態で焼結を行う請求項6に記載の焼結
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ゲッター材の充填量は、前記成形体
    の総重量の5〜48%である請求項7または8に記載の
    焼結体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記載置台は、成形体接触部と、該成
    形体接触部に接合された基材とで構成されている請求項
    1ないし9のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記成形体の焼結雰囲気は、1×10
    -2 Torr 以下の真空または不活性ガスである請求項1な
    いし10のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記成形体は、金属粉末射出成形法に
    より製造されたものである請求項1ないし11のいずれ
    かに記載の焼結体の製造方法。
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