JPH1086272A - アルミニウム合金と合成ゴムとの複合部材およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金と合成ゴムとの複合部材およびその製造方法

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JPH1086272A
JPH1086272A JP24458296A JP24458296A JPH1086272A JP H1086272 A JPH1086272 A JP H1086272A JP 24458296 A JP24458296 A JP 24458296A JP 24458296 A JP24458296 A JP 24458296A JP H1086272 A JPH1086272 A JP H1086272A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温条件下において長時間使用されても剥離
しにくく接着性の優れているアルミニウム合金と合成ゴ
ムとの複合部材およびその製造方法を提供すること。 【解決手段】 アルミニウム合金の表面に硫酸陽極酸化
処理を行なってアルマイト被膜を形成した後に、クロム
酸アンモニウムおよび三価クロムイオンを含む水溶液に
浸漬して、前記アルマイト被膜の孔の中にクロメートを
生成させることにより前記アルマイトと前記クロメート
との複合被膜を形成するようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲンが含有され
ている合成ゴムをアルミニウム合金に加硫接着して形成
するアルミニウム合金と合成ゴムとの複合部材およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルミニウム合金に合成ゴム部
材を加硫接着した複合部材が各種の産業分野において広
く利用されている。
【0003】前記アルミニウム合金は、強度に優れてい
るとともに比重も小さく、加工し易く、安価に入手でき
るという特徴を有している。
【0004】また、前記合成ゴムは、弾性域が広く、振
動吸収性に優れているため、部材の振動や連結部材間の
相対移動を吸収するために広く使用されている。
【0005】そして、従来、前記アルミニウム合金に合
成ゴムを加硫接着する際には、一般的に、前記アルミニ
ウム合金の表面にクロム酸塩処理が施されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のクロム
酸塩処理においては、ハロゲンが含有されている合成ゴ
ム、例えば塩素が含有されているヒドリンゴム、塩素化
ポリエチレン、ネオプレンゴム、クロロスルホン化ポリ
エチレンや、フッ素が含有されているフッ素ゴム等をア
ルミニウム合金に加硫接着する複合部材において、合成
ゴムから塩素等のハロゲン元素が離脱しイオン化して、
アルミニウム合金の表面を腐食して前記アルミニウム合
金と前記合成ゴムとを剥離させてしまう場合があり、ア
ルミニウム合金と合成ゴムとの間の接着の耐性に問題が
あった。
【0007】特に、前記ヒドリンゴムは、耐熱性および
ガソリン等の燃料に対する耐燃料油性に優れており、加
工性も良くさらに安価に入手できるという特徴を有して
いるため、自動車のエンジン回りにおけるキャブレター
の出口とエンジンの入口とを連結する連結部材等に利用
されているが、ハロゲンを含有するとともに含水性もあ
るためにアルミニウム合金の腐食が激しく接着性に問題
があった。
【0008】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、高温条件下において長時間使用されても剥離
しにくく接着性の優れているアルミニウム合金と合成ゴ
ムとの複合部材およびその製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係る請求項1に記載のアルミニウム合金と合成
ゴムとの複合部材の特徴は、アルミニウム合金の表面に
硫酸陽極酸化処理を行なってアルマイト被膜を形成した
後に、クロム酸アンモニウムおよび三価クロムイオンを
含む水溶液に浸漬して、前記アルマイト被膜の孔の中に
クロメートを生成させることにより前記アルマイトと前
記クロメートとの複合被膜を形成するようにした点にあ
る。そして、このような構成を採用したことにより、高
温条件下において長時間使用されても剥離しにくく接着
性を向上させることができる。
【0010】また、請求項2に記載のアルミニウム合金
と合成ゴムとの複合部材の特徴は、合成ゴムをヒドリン
ゴムとした点にある。そして、このような構成を採用し
たことにより、耐熱性や耐燃料油性、加工性を向上させ
ることができる。
【0011】また、請求項3に記載のアルミニウム合金
と合成ゴムとの複合部材の製造方法の特徴は、アルミニ
ウム合金の表面に硫酸陽極酸化処理を行なってアルマイ
ト被膜を形成した後に、クロム酸アンモニウムおよび三
価クロムイオンを含む水溶液に浸漬して、前記アルマイ
ト被膜の孔の中にクロメートを生成させることにより前
記アルマイトと前記クロメートの複合被膜を形成した後
に、少なくとも合成ゴムが加硫接着される部分に接着剤
を塗布し、前記合成ゴムを加硫接着するようにした点に
ある。そして、このような製造方法によれば、高温条件
下において長時間使用されても剥離しにくく接着性に優
れている複合部材を得ることができる。
【0012】また、請求項4に記載のアルミニウム合金
と合成ゴムとの複合部材の製造方法の特徴は、合成ゴム
をヒドリンゴムとした点にある。そして、このような製
造方法によれば、耐熱性や耐燃料油性、加工性に優れて
いる複合部材を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
から図5について説明する、図1および図2は本発明の
アルミニウム合金と合成ゴムとの複合部材の1実施形態
を示しており、図3および図4はその製造方法を示して
いる。
【0014】本実施形態においては、アルミニウム合金
と合成ゴムとの複合部材としてキャブレターの出口とエ
ンジンの入口とを連結する連結部材を適用している。
【0015】本実施形態の連結部材1は、図1および図
2に示すように、ダイキャスト等によって成型されてい
るとともに、その表面に表面被膜改質処理により複合被
膜2(薄い膜のため各図には符号のみを示してある)が
施されたアルミニウム合金製の基材3を使用しており、
この基材3の端面にハロゲンが含有されている合成ゴム
部材4としてヒドリンゴム部材4を加硫固着させて形成
されている。前記基材3は、ガソリン等の燃料を通す貫
通孔5を形成する湾曲した円筒部3aと、この円筒部3
aの一端側に形成されていてエンジン側に接続されるフ
ランジ3bと、この円筒部3aの他端側に形成されてい
るフランジ状の加硫時支持部3cとによって形成されて
いる。また、前記ヒドリンゴム部材4はキャブレターの
出口筒(図示せず)が挿入される孔6を有する円筒形を
しており、孔6の内周面は挿入される前記出口筒の外周
面形状と合致するように形成されており、外周面には緊
締用バンド(図示せず)を装着する溝4aが形成されて
いる。そして、ヒドリンゴム部材4はその1端面を基材
3の円筒部3aの貫通孔5が開口している加硫時支持部
3c側の端面に対向させて加硫固着されているととも
に、前記孔6の開口端縁を前記貫通孔5の開口端縁と一
致するように形成されている。
【0016】ここで、前記アルミニウム合金の表面に施
す表面被膜改質処理について説明する。この表面被膜改
質処理は、公知の処理方法(特公平5−7476号公
報)により行なう。すなわち、アルミニウム合金の表面
に硫酸陽極酸化処理を行なってアルマイト被膜を形成し
た後に、0.2〜0.6mol/lのクロム酸アンモニ
ウムおよび0.01〜0.03mol/lの三価クロム
イオンを含む水溶液に80〜100℃にて浸漬して、前
記アルマイト被膜の孔の中にクロメートを生成させる。
この処理により前記アルマイトと前記クロメートとの複
合被膜2が形成される。なお、前記硫酸陽極酸化処理
は、前記アルミニウム合金を15%濃度の硫酸浴で浴温
20℃、浴電圧16Vにて30分間の電解を行なうよう
にする。
【0017】また、前記ヒドリンゴム部材4について説
明する。前記ヒドリンゴムは、エピクロルヒドリンの重
合体からなる合成ゴムであり、耐熱性や耐寒性、耐油
性、耐オゾン性等に優れている。このため、ヒドリンゴ
ムの用途は、燃料ホース、オイルチューブ、エアークリ
ーナジョイントホース、ダイヤフラム、パッキン、二輪
車やスノーモービルや船外機等のキャブインシュレータ
およびシール等の種々のゴム部材に及んでいる。また、
ヒドリンゴムは、その分子構造上、半導電の領域(10
6 〜1012Ω・cm)の体積固有抵抗が得られるため、
複写機やレーザプリンタ等の感光体周辺の帯電ローラ、
転写ローラ、現像ローラ等の弾性体層にも適用されつつ
ある。
【0018】ヒドリンゴムの種類としては、エピクロル
ヒドリンの単独重合体、エピクロルヒドリンとエチレン
オキサイドとの共重合体、エピクロルヒドリンとアリル
グリシジルエーテルとの共重合体、エピクロルヒドリン
とエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルとの
三元共重合体等がある。
【0019】前記エピクロルヒドリンの単独重合体とし
ては、例えば、エピクロマーH(ダイソー株式会社製商
品名)、Hydrin100(ゼオンケミカル社(米
国)製商品名)、Herclor H(ハーキュレス社
(米国)製商品名)等がある。
【0020】また、前記エピクロルヒドリンとエチレン
オキサイドとの共重合体としては、例えば、エピクロマ
ーC(ダイソー株式会社製商品名)、Hydrin20
0(ゼオンケミカル社(米国)製商品名)、Hercl
or C(ハーキュレス社(米国)製商品名)等があ
る。
【0021】また、前記エピクロルヒドリンとアリルグ
リシジルエーテルとの共重合体としては、例えば、エピ
クロマーHG(ダイソー株式会社製商品名)、ゼクロン
1100(日本ゼオン株式会社製商品名)等がある。
【0022】また、前記エピクロルヒドリンとエチレン
オキサイドとアリルグリシジルエーテルとの三元共重合
体としては、例えば、エピクロマーCG(ダイソー株式
会社製商品名)、HydrinT400(ゼオンケミカ
ル社(米国)製商品名)、ゼクロン3100(日本ゼオ
ン株式会社製商品名)等がある。
【0023】なお、アリルグリシジルエーテルを含む不
飽和タイプのヒドリンゴムは、必要に応じて、NBR、
H−NBR、アクリルゴムなどとブレンドしてもよい。
【0024】また、本実施形態におけるヒドリンゴムの
加硫系としては、通常のヒドリンゴム用加硫剤を使用す
ることができる。この加硫剤としては、例えば、エチレ
ンチオウレアと鉛丹(Pb34 )の併用系、ZISN
ET−F(日本ゼオン株式会社製商品名)のような2,
4,6−トリメルカプト−S−トリアジンと酸化マグネ
シウム等の受酸剤の併用系などがある。
【0025】さらに、本実施形態におけるヒドリンゴム
の補強剤及び充填剤の種類としては、例えば、カーボン
ブラック、ニップシルVN3(日本シリカ株式会社製商
品名)等のシリカ系補強剤、炭酸カルシウム、クレー等
があり、必要に応じてジオクチルフタレート等の可塑剤
とともに添加される。
【0026】また、耐熱性の向上などを目的として、前
記ヒドリンゴムには、2−メルカプトベンゾイミダゾー
ル、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等の老化防止
剤がベースゴム100重量部に対して1重量部以下、好
ましくは0.5重量部ほど添加される。
【0027】つぎに、この連結部材1の製造方法を図3
および図4を参照しつつ説明する。
【0028】連結部材1は、図3に示すように、基盤7
上に配設された下型8を用いて前記アルミニウム合金製
の基材3を吊り下げるとともに、前記基材3の貫通孔5
に上型9を挿入して安定的に固定した後、閉空間10内
にヒドリンゴム素材を注入し、その後、このヒドリンゴ
ム部材4を加硫固着させて製造する。
【0029】先ず、両型8、9を説明する。
【0030】一方の下型8は、基盤7の上面に水平方向
に(図3においては右方向)開閉自在に設置されている
分割下型8aと、図示しないノックピン等により固設さ
れた分割下型8bとから形成されている。そして、前記
下型8の内部には前記基材3を余裕をもって収容する基
材収容空間11が形成されるとともに、基材3のフラン
ジ状の加硫時支持部3cを載置して、基材3を径方向に
僅かに移動自在に吊下支持する基材受け部12が内側へ
突設されている。図4により更に説明すると、基材3の
径方向の移動を可能とさせるために、フランジ状の加硫
時支持部3cの外周面と下型8の内周面との間および基
材受け部12の内周面と基材3の外周面との間に、それ
ぞれ所定大のクリアランス16a、16bを形成するよ
うにされている。この基材受け部12の上面には、図4
に示すように、全周に亙る断面山形状の少なくとも1重
のリブ12aが突設されている。このリブ12aは、基
材3の加硫時支持部3cと圧着することにより加硫時支
持部3cに食い込み、閉空間10内のヒドリンゴム素材
が基材収容空間11内へ漏出するのを確実に防止する。
【0031】他方の上型9は、本体9aの下面に下向き
に凸部13が突設されている。この凸部13の外周面の
軸方向中間部は、キャブレターの出口筒の形状に合致す
る形状に形成されており、その先端部には先細り部14
が形成されている。この先細り部14は、前記基材3の
貫通孔5内に挿入された時に、前記貫通孔5の開口端縁
の全周に亙って係合して、前記ヒドリンゴム素材が基材
収容空間11内へ漏出するのを防止するようにテーパ状
に形成されている。この上型9の本体9aには、閉空間
10内へヒドリンゴム素材を注入する注入孔15が穿設
されている。
【0032】したがって、前記閉空間10は基材3、下
型8および上型9により形成されている。
【0033】次に、本実施形態の連結部材1の製造工程
を説明する。
【0034】先ず、ダイキャスト等により所望の形状に
形成した前記アルミニウム合金の基材3を、15%濃度
の硫酸浴で浴温20℃、浴電圧16Vにて30分間の電
解により硫酸陽極酸化処理を行なってアルマイト被膜を
形成する。その後、このアルミニウム合金を0.2〜
0.6mol/lのクロム酸アンモニウムおよび0.0
1〜0.03mol/lの三価クロムイオンを含む水溶
液に80〜100℃にて浸漬して、前記アルマイト被膜
の孔の中にクロメートを生成し、前記アルマイトと前記
クロメートとの複合被膜2を形成する。
【0035】そして、このように表面被膜改質処理を行
なった基材3を前記下型8a、8bを開閉する間に基材
収容空間11内に入れるとともに、基材3の加硫時支持
部3cを基材受け部12上に載置して、基材3を下型8
内に径方向に僅か移動自在に吊下支持する。このとき、
基材3の少なくとも前記ヒドリンゴムが加硫接着される
部分に接着剤を塗布させておく。
【0036】つぎに、上型9を下降させて凸部13を基
材3の貫通孔5内に挿入させて、先細り部14を貫通孔
5の開口端縁に次第に係合させ、基材3を径方向に僅か
移動させるようにしながら凸部13に自動調心させる。
そして、前記上型9の凸部13の先細り部14が所定の
締め代をもって基材3の貫通孔5に係合したところで、
前記上型9の本体9aの下面と前記下型8の上面とが当
接するようになっている。さらに、前記上型9の本体9
aの下面外周部に突設されているテーパ部17にて前記
下型8の分割された両分割下型8a、8bを挟持するよ
うになっている。
【0037】これにより、前記下型8と前記上型9とに
よって基材3を挟持するとともに、前記閉空間10が形
成される。この閉空間10において、基材3の貫通孔5
部分は上型9の凸部13の先細り部14を貫通孔5の開
口端縁に係合させることにより密封され、基材3と下型
8との間は基材3の加硫時支持部3cと下型8の基材受
け部12に形成されたリブ12aとの係合により密封さ
れ、下型8と上型9との間は双方が密着することにより
密封される。
【0038】このようにして密封された閉空間10内
に、上型9の本体9aに穿設されている注入孔15を通
して図示しないインディクションや上型9の上部にヒド
リンゴム素材注入ポットを設けた注入型を上設する等の
公知の手段によりヒドリンゴム素材を注入し、所定時間
加熱することにより閉空間10内のヒドリンゴム素材を
加硫させて、基材3の端面に固着させて、連結部材1を
形成する。
【0039】その後、両型8、9を離間させ、その後、
連結部材1を両型8、9から脱型させる。
【0040】つぎに、本実施形態におけるアルミニウム
合金とハロゲンが含有されている合成ゴムとの複合部材
において、前記アルミニウム合金にアルマイトとクルメ
ートとの複合被膜を形成したことが、アルミニウム合金
と合成ゴム、特にヒドリンゴムとの間の接着の耐性にど
の程度の効果を有するか実験を行なった。
【0041】まず、表面に被膜処理を施したアルミニウ
ム合金が腐食して前記合成ゴムと剥離してしまう過程に
ついて検討した。これを図5(a)乃至図5(d)を参
照しつつ説明する。なお、ここでは前記アルミニウム合
金と前記合成ゴムとの複合部材がエンジンとキャブレタ
ーとをつなぐ連結部材1として使用される場合を想定し
ている。
【0042】図5(a)は前記複合部材からなる連結部
材1が使用される前の状態を示している。アルミニウム
合金の表面には表面被膜処理がされており、この表面被
膜の上に接着剤が塗布されて前記合成ゴムが加硫固着さ
れている。この未使用状態においては、大気中に水分が
存在しているが、前記表面被膜が前記アルミニウム合金
の腐食を防いでいる。
【0043】しかし、前記連結部材1の使用が開始され
ると、図5(b)に示すように、エンジンから熱が前記
連結部材1に伝達されるとともに、前記合成ゴム中のハ
ロゲン元素である塩素が離脱してイオン化し、接着剤層
を通して前記アルミニウム合金の表面被膜を損傷し始め
る。特に、ハロゲンが含有されている合成ゴムとしてヒ
ドリンゴムを使用する場合には、ヒドリンゴムは含水性
を有しているため前記の損傷は促進される。
【0044】さらに、図5(c)に示すように、長時間
にわたり高温下で使用されると、前記アルミニウム合金
の表面被膜が劣化し、クラックが発生する。
【0045】そして、このクラックから、図5(d)に
示すように、前記合成ゴム中の塩素および水分が伝わ
り、前記アルミニウム合金を腐食してこのアルミニウム
合金から前記合成ゴムが剥離することとなる。
【0046】したがって、前記アルミニウム合金と合成
ゴムとの複合部材が錆により剥離してしまうか否かは、
前記アルミニウム合金の表面被膜の特性によるところが
大きいと考えられる。かかる点を考慮して以下のような
実験を行なった。
【0047】すなわち、実験方法としては、複合部材の
テストピースを80℃に加熱した5%塩水溶液に24時
間浸漬し、その後、150℃で24時間乾燥させる。こ
れを1サイクルとして5サイクル繰り返した後に合成ゴ
ムを強制剥離して、アルミニウム合金の錆の状態を観察
した。
【0048】前記テストピースはJIS K 6301
剥離試験片に準じて作製した。但し、合成ゴムの肉厚は
1mmに形成した。テストピースの作製にあたっては、
アルミニウム合金の表面に本実施形態において示した表
面被膜改質処理を行なった後に、フェノール樹脂系の接
着剤を1度塗りし、これにハロゲンが含有されている合
成ゴムとしてヒドリンゴムを加硫接着した。
【0049】また、比較材としてアルミニウム合金の表
面を公知の表面処理手段であるクロム酸塩処理をした複
合部材と、同じく公知の処理手段であるニッケルの無電
解メッキ処理をした複合部材とをそれぞれ前述のテスト
ピースに形成し、同様の防錆性についての実験を行なっ
た。ここで、クロム酸塩処理は、前記アルミニウム合金
の表面を6価クロム化合物の溶液で処理し、金属のクロ
ム酸塩の保護被膜を形成する処理であり、一方、ニッケ
ルの無電解メッキ処理は、前記アルミニウム合金の表面
の金属相互の化学的な還元反応によって、固体の表面に
ニッケル被膜を析出させる処理である。
【0050】以上の3種類のテストピースについて防錆
性の実験を行なった結果を表1に示す。
【0051】 表1において、A、B、C、Dは錆の発生状態の程度を
示しており、「A」は錆の発生がない状態であり、
「B」は表面が部分的にざらついている錆の状態であ
り、「C」は表面が部分的に白くなっている錆の状態で
あり、「D」は表面が白くえぐれている錆の状態であ
る。また、表1中の斜線で表示した欄は自然剥離が生じ
てしまったこと、つまり、アルミニウム合金と合成ゴム
とが剥離したことを示している。したがって、自然剥離
が生じた後は、錆の観察が不可能であるため空欄となっ
ている。
【0052】この表1より、クロム酸塩処理を施したア
ルミニウム合金とヒドリンゴムとの複合部材は、塩水溶
液への浸漬と150℃での乾燥を10サイクル繰り返し
たところで錆の程度がB、すなわち、表面が部分的にざ
らつきはじめて15サイクル繰り返したところで錆の程
度がD、すなわち、表面が白くえぐれてしまい、自然剥
離に至った。
【0053】また、無電解ニッケルメッキ処理を施した
アルミニウム合金とヒドリンゴムとの複合部材は、塩水
溶液への浸漬と150℃での乾燥を5サイクル繰り返し
たところで錆の程度がD、すなわち、表面が白くえぐれ
てしまって自然剥離に至った。
【0054】これに対して、本実施形態の表面被膜改質
処理により複合被膜2を施したアルミニウム合金とヒド
リンゴムとの複合部材は、塩水溶液への浸漬と150℃
での乾燥を25サイクル繰り返しても錆の程度はA、つ
まり、錆が発生しなかった。そして、この25サイクル
繰り返したところで自然剥離に至っているが、これは1
50℃の高温に長時間さらされたために合成ゴムが劣化
してしまったことによる剥離であり、その後の観察が不
可能となった。
【0055】以上の実験結果より、本実施形態における
アルミニウム合金に表面被膜改質処理により複合被膜2
を施した後に、ヒドリンゴムと固着した複合部材のテス
トピースが、クロム酸塩処理を施したアルミニウム合金
またはニッケルの無電解メッキ処理を施したアルミニウ
ム合金にヒドリンゴムを固着した複合部材に比べてきわ
めて防錆効果が高く接着の耐性に優れていることがわか
る。
【0056】したがって、本発明のアルミニウム合金と
合成ゴムとの複合部材およびその製造方法の実施形態に
よれば、防錆性および接着性が高く、高温条件下におい
て長時間使用することができる。このため、通常の自動
車のエンジン回りに使用するだけでなく、バギー車のよ
うに高出力を発揮するためにエンジン回りがより高温と
なる自動車に適した連結部材1を得ることができる。
【0057】なお、本発明は前記実施の形態のものに限
定されるものではなく、必要に応じて種々変更すること
が可能である。
【0058】例えば、電子写真複写機やレーザービーム
プリンタにおける感光体周辺部の帯電ローラ、転写ロー
ラおよび現像ローラにおいて、アルミニウム合金からな
るシャフトに対して、外側のヒドリンゴムからなる弾性
部材を加硫固着したローラに適用してもよい。
【0059】また、本実施形態においては、ハロゲンが
含有されている合成ゴム部材としてヒドリンゴム部材を
例示して説明したが、これに限られるものではなく、前
述した他のハロゲンが含有されている合成ゴム部材を使
用してもよい。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係るアルミニ
ウム合金と合成ゴムとの複合部材およびその製造方法に
よれば、防錆性および接着性に優れている複合部材が得
られ、高温条件下において長時間にわたり連結部材等に
使用することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアルミニウム合金と合成ゴムとの複
合部材の1実施形態を示す側面図
【図2】 図1に示す複合部材の縦断側面図
【図3】 本発明のアルミニウム合金と合成ゴムとの複
合部材の製造工程の型構成を示す縦断側面図
【図4】 図3のA部拡大図
【図5】 (a)はアルミニウム合金と合成ゴムとの複
合部材の未使用状態を示し、(b)は前記複合部材を高
温で使用開始した状態を示し、(c)は前記複合部材を
高温で長時間使用したときの状態を示し、(d)は前記
複合部材が剥離したときの状態を示す
【符号の説明】
1 連結部材(複合部材) 2 複合被膜 3 基材 4 合成ゴム部材(ヒドリンゴム部材) 5 貫通孔 6 孔 8 下型 9 上型 10 閉空間 12 基材受け部 13 凸部 14 先細り部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲンが含有されている合成ゴムをア
    ルミニウム合金に加硫接着して製造するアルミニウム合
    金と合成ゴムとの複合部材において、前記アルミニウム
    合金の表面に硫酸陽極酸化処理を行なってアルマイト被
    膜を形成した後に、クロム酸アンモニウムおよび三価ク
    ロムイオンを含む水溶液に浸漬して、前記アルマイト被
    膜の孔の中にクロメートを生成させることにより前記ア
    ルマイトと前記クロメートとの複合被膜を形成したこと
    を特徴とするアルミニウム合金と合成ゴムとの複合部
    材。
  2. 【請求項2】 前記合成ゴムをヒドリンゴムとしたこと
    を特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金と合成
    ゴムとの複合部材。
  3. 【請求項3】 ハロゲンが含有されている合成ゴムをア
    ルミニウム合金に加硫接着して製造するアルミニウム合
    金と合成ゴムとの複合部材の製造方法において、前記ア
    ルミニウム合金の表面に硫酸陽極酸化処理を行なってア
    ルマイト被膜を形成した後に、クロム酸アンモニウムお
    よび三価クロムイオンを含む水溶液に浸漬して、前記ア
    ルマイト被膜の孔の中にクロメートを生成させることに
    より前記アルマイトと前記クロメートの複合被膜を形成
    した後に、少なくとも合成ゴムが加硫接着される部分に
    接着剤を塗布し、前記合成ゴムを加硫接着するようにし
    たことを特徴とするアルミニウム合金と合成ゴムとの複
    合部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記合成ゴムをヒドリンゴムとしたこと
    を特徴とする請求項3に記載のアルミニウム合金と合成
    ゴムとの複合部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2819595A1 (fr) * 2001-01-12 2002-07-19 Bosch Gmbh Robert Appareil et procede de commande d'un vehicule concu pour un grand nombre de differentes variantes de vehicule
JP2015224371A (ja) * 2014-05-28 2015-12-14 株式会社ブリヂストン アルミ−ゴム複合体及びその製造方法
CN113881355A (zh) * 2020-07-03 2022-01-04 重庆虎溪电机工业有限责任公司 一种粘接铝合金连接环与橡胶圈的方法

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