JPH11199324A - 窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体およびその製造方法

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JPH11199324A
JPH11199324A JP10000054A JP5498A JPH11199324A JP H11199324 A JPH11199324 A JP H11199324A JP 10000054 A JP10000054 A JP 10000054A JP 5498 A JP5498 A JP 5498A JP H11199324 A JPH11199324 A JP H11199324A
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aln
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JP10000054A
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Shinji Uchida
真治 内田
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Fuji Electric Co Ltd
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Fuji Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】機械的強度が大で、熱伝導が良好な窒化アルミ
ニウム焼結体を得る。 【解決手段】AlN粉末にY2 3 粉末を添加して焼結
するAlN焼結体の製造方法において、Y2 3 以外の
原料に由来する酸素添加量とY2 3 粉末の添加量との
質量比を1:3〜1:5の範囲とすることによって、Y
−Alの複合酸化物であるY3 Al5 12とYAlO3
との混合相からなる結晶粒界相を生じさせ、150W/
(m・K)以上の高熱伝導率で、450MPa以上の高
強度の基板とする。AlN粉末にYF3 粉末を添加して
焼結するAlN焼結体の製造方法においては、原料に由
来する酸素添加量とYF3 粉末の添加量との質量比を
1:2〜1:4の範囲とすれば、同様に高強度の基板と
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばパワートラ
ンジスタモジュールなどにおいて半導体チップを搭載す
る、機械的強度および熱伝導性が良好な窒化アルミニウ
ム焼結体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量のトランジスタ、IGBT(絶縁
ゲートバイポーラトランジスタ)等のパワーモジュール
には、絶縁放熱基板としてセラミックスが使われてい
る。セラミックスとしては、絶縁性が良好であり熱伝導
率が高く強度も高いことから酸化アルミニウム(以下A
2 3 と記す)が広く使用されてきた。近年、パワー
モジュールの小型化、高機能化に向けて放熱性改善のた
めに、さらに熱伝導率が高い絶縁材料として窒化アルミ
ニウム(以下AlNと記す)が使用されつつある。
【0003】通常、AlN粉末単独で常圧では緻密な焼
結体を得ることが困難である。イットリウム(以下Yと
記す)やランタン(La)等の希土類元素の酸化物や弗
化物、カルシウム(Ca)等のアルカリ土類元素の酸化
物や弗化物等の焼結助剤を添加して焼結を行っている。
特に、焼結助剤の中で酸化イットリウム(以下Y2 3
と記す)や弗化イットリウム(以下YF3 と記す)を使
用すると、AlNを1800℃程度の比較的低温で緻密
化でき、高い熱伝導率を有する焼結体が得られることが
知られている。これは、焼成時にY2 3 やYF3 の焼
結助剤が、AlN粉末の極く表面層付近に存在する酸化
物あるいは酸窒化物と反応して、Y−Al−O系からな
る複合酸化物の液相を生成し、液相焼結により常圧での
焼結が可能になるためと考えられている。またこの時、
AlN粒子に含まれる酸素を粒界に排出することなどに
より、高い熱伝導率が得られると考えられる。一般に、
原料として用いる市販のAlN粉末中には、0.5〜1
質量%の酸素が含まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、市販されている
AlN焼結体は、4点曲げ強度が300〜350MPa
程度である。特にパワーモジュールの絶縁放熱基板とし
て用いた場合、金属電極接合時の応力により破壊した
り、電極接合後のヒートサイクルで電極との熱膨張差か
ら生じる応力により破壊したり、ネジ締め付け時に破壊
したりと、その信頼性に問題があった。そのため、高強
度のAlN焼結体が求められていた。
【0005】本発明の目的は、機械的強度が大で、しか
も熱伝導率が良好なAlN焼結体およびその製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】AlN焼結体の破断面の
観察から、AlNの結晶粒径が5μmより大きい結晶粒
からなる場合には、その破壊は粒内での破壊が支配的で
あり、5μm以下の小さい結晶粒からなる場合には、そ
の破壊は粒界での破壊が支配的であることがわかった。
よって、結晶粒径を5μm以下にするとともに粒界を強
固にすることによって機械的強度を向上させることがで
きると考えられる。
【0007】粒界破壊の場合の機械的強度と粒界相の関
係から、粒界相にY4 Al2 9 なる複合酸化物が存在
すると低強度となることがわかった。そして、Y3 Al
5 12、或いはYAlO3 なる複合酸化物が粒界に単独
で存在する場合に比べ、Y3Al5 12とYAlO3
が共存した時の方が、高強度となることがわかった。ま
た、粒界相の組成の変化は、以上のように機械的強度へ
の影響が大きいものの、熱伝導率に対しては影響が小さ
いことがわかった。
【0008】このような状況下において、上記の課題解
決のため本発明は、結晶粒界相が主としてY−Alの複
合酸化物であるY3 Al5 12とYAlO3 との混合相
からなるAlN焼結体において、結晶粒界相中にジルコ
ニウム、ハフニウム、ホウ素のいずれかの窒化物粒子、
酸窒化物粒子を有するものとする。そのような窒化物粒
子、酸窒化物粒子が結晶粒界相中に存在すれば、結晶粒
成長を抑制し、また粒界での亀裂の進行を妨げる効果を
持ち、更に高強度化する。
【0009】AlN粉末にY2 3 粉末を添加して焼結
するAlN焼結体の製造方法においては、Y2 3 以外
の原料に由来する添加酸素量とY2 3 添加量との質量
比を1:3〜1:5の範囲とするのがよく、AlN粉末
にYF3 粉末を添加して焼結するAlN焼結体の製造方
法においては、原料に由来する添加酸素量とYF3 粉末
の添加量との質量比を1:2〜1:4の範囲とするのが
よい。
【0010】そのような範囲とすれば、Y3 Al5 12
とYAlO3 とが共存した粒界相となり、他のY4 Al
2 9 なる複合酸化物や、Y3 Al5 12、或いはYA
lO 3 が粒界に単独で存在する場合に比べ、高強度とな
る。AlN粉末を粉砕することにより、添加酸素量を調
整することもできる。粉砕すればAlN粉末の粒径が小
さくなり比表面積が大きくなるため吸着酸素或いは水分
量が増し、反応して生じる酸化アルミニウム(以下Al
2 3 と記す)も増える。そのAl2 3 とY2 3
ら複合酸化物Y3 Al5 12、YAlO3 を生じる。ま
たこの場合、原料の結晶粒径が小さいため比較的低温で
焼結される。微細粒の焼結では、粒界相の総量が相対的
に増加するので、比較的低温で焼結でき、焼結体の粒径
も小さいままで、空孔の無い焼結緻密化が可能である。
【0011】Al2 3 或いはジルコニウム(Zr)、
ハフニウム(Hf)、ホウ素(B)のいずれかの酸化物
またはそれらの複数の酸化物を添加することにより、添
加酸素量を調整することもできる。酸素供給元として、
焼結温度、雰囲気中で、Alより還元しやすい元素の酸
化物を加えれば、還元されてY3 Al5 12とYAlO
3 とが共存した粒界相となる。特に、ZrやHfやBの
酸化物や複合酸化物の場合には、還元されて窒化物また
は酸窒化物となり、AlN焼結体中の粒界に微粒子で高
分散状態として存在し、その粒子が焼結時のAlNの粒
成長を妨げるため、小さい粒径の焼結体が得られる。ま
た、粒界での亀裂の進行を妨げる効果を持つ。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る実験の結果およ
び実施例を説明する。なお、以下に示す組成比は、特に
ことわる場合を除きAlN粉末に対する重量%で表した
が、質量比でも同じである。 [実験1]AlN焼結体の熱的、機械的特性を評価する
ために、AlNに加える焼結助剤としてY2 3 量を
2.5〜5%の間でほぼ0.5%毎に加えたセラミック
ス基板試料を作製した。
【0013】市販の平均粒径2.0μmのAlN粉末を
準備した。このAlN粉末は、酸素窒素分析計により分
析したところ、0.85%の酸素を含有していることが
わかった。そのAlN粉末に、焼結助剤として平均粒径
1μmのY2 3 を2.5〜5%添加し、さらにバイン
ダーとしてポリビニルアルコール(以下PVAと略す)
を5%添加して乳鉢にて混合した後、メッシュ造粒し
て、混合粉末を調製した。
【0014】その混合粉末を金型に入れ、約100MP
aの圧力で角棒状および円盤状にプレス成形をおこな
い、電気炉を用いて450〜500℃、大気中で2時
間、仮焼成して成形体中のバインダーを除去した。その
後、窒化ホウ素(以下BNと記す)製の箱に入れ、BN
製のセッター板と敷き粉を用いて、カーボンヒータ電気
炉で窒素雰囲気中、1780〜1820℃、2時間焼結
した。焼結温度は、Y2 3 の添加量に応じて、空孔が
消滅する温度とした。例えば、添加量3%の場合は18
20℃である。それより高温で焼成すると、粒成長が進
行し結晶粒径が5μm以上になり粒内破壊が顕著に見ら
れるようになる。そして強度も低下する。
【0015】得られた3×4×40mmの角棒状のAl
N焼結体を、面取り加工(C0.2)し、JIS−R−
1601に準じて四点曲げ強度試験を行った。一方、円
盤状のAlN焼結体を直径10mm、厚さ3mmに加工
して、レーザーフラッシュ法により室温での熱伝導率を
求めた。また、走査型電子顕微鏡(以下SEMと記す)
観察により空孔の有無を観察し、粉末X線回折(以下X
RDと記す)測定により第二相の組成を決定した。
【0016】また、これらの試料について、それぞれ常
法に従って観察試料等を作製し、透過型電子顕微鏡(以
下TEMと記す)観察と、粒内と粒界部についての電子
線回折をおこなった。その結果、結晶粒内はAlNであ
り、粒界および三重点に析出した相である粒界相が、X
RD測定により決定した第二相であることが確認され
た。
【0017】表1に試料組成および評価結果をまとめた
【0018】
【表1】 試料番号1〜6は、Y2 3 の添加量を2.5〜5%の
範囲で変えたものである。表1に示す結果より、Y2
3 の添加量が増すと、曲げ強度が増大し、3.5%で最
大490MPaに達した後、次第に低下している。この
間で、熱伝導率は、180W/(m・K)で変わってい
ない。すなわち、熱伝導率が150W/(m・K)以上
で、曲げ強度が450MPa以上を良好とすると、Y2
3 の添加量としては3〜4%が適することがわかる。
この範囲の最後の欄に○印を付した。
【0019】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあり、そのことが曲げ強度の
高い理由と考えられる。Y2 3 の3〜4%の添加量
は、原料AlNの酸素含有量0.85%に対して、3.
5〜4.7倍に相当する。実験1より大きい粒径のAl
N粉末を用い、それに応じて粒界相がY3 Al512
YAlO3 との混合相になるようにY2 3 添加量を調
整すると、含有酸素量が少ないため、焼結時に粒界相を
形成する液相量が少な過ぎて、焼結体中に空孔が若干残
留しており、そのため強度が少し低下した。
【0020】[実験2]実験1で使用した市販の平均粒
径2.0μmのAlN粉末を、更にボールミルで粉砕し
たものを出発原料として、実験をおこなった。市販の平
均粒径2.0μmのAlN粉末200gとイソプロピル
アルコール(IPA)を、直径10mmで純度99.9
%のアルミナボールとともに内径80mmで容量500
mlのポリエチレン製ポットに入れ、120rpmの回
転速度で6時間または12時間粉砕した。
【0021】ボールミルで6、12時間粉砕したものに
ついて、レーザ散乱法による粒径の測定と酸素窒素分析
計による酸素量分析をおこなった。その結果、6時間粉
砕のものは平均粒径が1.5μm、酸素量が1.15%
であり、12時間のものは平均粒径が1.2μm、酸素
量が1.8%であった。ボールミルで粉砕したAlN粉
末に、焼結助剤としてY2 3 粉末を、6時間のものに
ついては3〜6%、12時間のものについては4〜10
%添加し、10rpmのゆっくりした回転速度で混合し
た。それを乾燥し、さらにバインダとしてPVAを5%
添加し、乳鉢にて混合、メッシュ造粒して、混合粉末を
調整した。この後の試料作製方法と評価方法は、実験1
と同様におこなった。
【0022】表2に試料組成および評価結果をまとめた
【0023】
【表2】 試料番号1〜4は、粉砕時間6時間でY2 3 の添加量
3〜6%に対応している。表2に示す結果より、Y2
3 の添加量が増すと、曲げ強度が増大し、5%で最大5
20MPaに達した後、低下している。熱伝導率は、こ
の間でやや低下して175W/(m・K)になってい
る。熱伝導率が150W/(m・K)以上で、曲げ強度
が450MPa以上を良好とすると、Y2 3 の添加量
が4〜5%が適することがわかる。この範囲の最後の欄
に○印を付した。
【0024】試料番号5〜8は、粉砕時間12時間でY
2 3 の添加量4〜10%に対応している。Y2 3
添加量が増すと、曲げ強度が増大し、8%で最大520
MPaに達した後、低下している。熱伝導率は、この間
で更に低下して170W/(m・K)になっているが、
150W/(m・K)よりはまだ十分大きい。熱伝導率
が150W/(m・K)以上で、曲げ強度が450MP
a以上を良好とすると、Y2 3 の添加量が6〜8%が
適することがわかる。この範囲の最後の欄に○印を付し
た。
【0025】ボールミル粉砕を行ったことにより、原料
AlN粉末の酸素量が実験1の0.85%から1.15
%、1.8%に増加した。そして、それに応じて実験1
の最適範囲よりY2 3 量を増した領域で、曲げ強度が
大きく、熱伝導度も高いAlN焼結体が得られることが
わかる。但し、Y2 3 の添加量は、原料AlNの酸素
含有量に対する比として見ると、6時間粉砕のもので
3.5〜4.3倍、12時間粉砕のもので3.3〜4.
4倍と実験1の場合とほぼ同じ範囲である。
【0026】すなわち、Y2 3 の添加量に対して、一
定の割合の酸素を供給することによって、450MPa
以上の機械的強度と150W/(m・K)以上熱伝導率
とをもつAlN焼結体が得られ、その割合は、酸素量に
対して、Y2 3 の添加量が3〜5倍の比率であるとい
える。○印の試料ではいずれも粒界相がY3 Al5 12
とYAlO3 との共存状態にある。しかも、原料AlN
の酸素含有量およびY2 3 の添加量は実験1より多く
なっているので、粒界相の総量が増大していると考えら
れ、そのことが曲げ強度が、最大500MPa以上と実
験1より高い水準にある理由と考えられる。
【0027】また、粒界相の総量が増大していることに
より、焼成温度1800℃以下で緻密化でき、もともと
の原料粉末の粒径が小さい効果も加わって、平均2μm
程度の小さい粒径からなる焼結体となっていた。これも
実験1のものより高強度になった理由の一つと考えられ
る。 [実験3]焼結助剤として実験1のY2 3 に代えてY
3 を1.5〜4%添加する実験をおこなった。他の試
料作製方法は、実験1と同様とした。評価方法も、実験
1と同様に、四点曲げ強度試験、レーザーフラッシュ法
による熱伝導率測定、SEM観察、XRD法による測定
粒界相の組成同定を行った。
【0028】表3に試料組成および評価結果をまとめた
【0029】
【表3】 試料番号1〜6は、YF3 の添加量1.5〜4%に対応
している。表3に示す結果より、YF3 の添加量が増す
と、曲げ強度が増大し、2.5%で最大490MPaに
達した後、低下している。熱伝導率は、この間で変わら
ず180W/(m・K)である。熱伝導率が150W/
(m・K)以上で、曲げ強度が450MPa以上を良好
とすると、YF3 の添加量が2〜3%が適することがわ
かる。この範囲の最後の欄に○印を付した。
【0030】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前二例と同様であっ
た。YF3 の2〜3%の添加量は、原料AlNの酸素含
有量0.85%に対して、2.4〜3.5倍に相当す
る。また、実験2と同様のボールミルで粉砕したAlN
粉末を用いて、YF3 を焼成助剤として焼結する実験を
おこなったところ、やはり、AlN粉末中の酸素量に対
してYF3 量を2〜4倍として焼結したAlN焼結体
が、曲げ強度、熱伝導率の両者がともに良いという結果
を示した。
【0031】すなわち、YF3 の添加量に対して、一定
の割合の酸素を供給することによって、450MPa以
上の機械的強度と150W/(m・K)以上熱伝導率と
をもつAlN焼結体が得られ、その割合は、酸素量に対
して、YF3 の添加量が1:2〜1:4の範囲であると
いえる。AlN粉末を更に粉砕して添加酸素量を調節す
るこの方法は、添加される酸素の分散が均一になされる
ので、粒界相の分布も均一になされるので、強度も全体
的に強化される。
【0032】[実験4]市販の平均粒径2.0μmのA
lN粉末に、焼結助剤としてY2 3 を3〜7%添加
し、更に粒径50〜100nmの酸化ジルコニウム(以
下ZrO2 と記す)を0.5〜4%添加して焼結したA
lN焼結体の熱的、機械的特性を評価した。他の試料作
製方法は、実験1と同様とした。評価方法も、実験1と
同様に、四点曲げ強度試験、レーザーフラッシュ法によ
る熱伝導率測定、SEM観察、XRD法による測定粒界
相の組成同定を行った。
【0033】試料について、TEM観察し、電子線回折
を行った。その結果、粒内はAlNであり、粒界および
三重点にY−Al−O複合酸化物と窒化ジルコニウムが
確認された。また、酸素、窒素分析計により分析した結
果、焼結体に含まれる酸素の総量は、出発原料のものと
変わらなかった。この結果から、ZrO2 が酸素発生源
となり、AlN、または、Y−Al−O複合酸化物に酸
素を供給したと考えられる。
【0034】この場合も、微粒子のZrO2 粉末を添加
しているので、反応が均一におこなわれ、粒界相の分布
も均一であった。 [実験4−1]Y2 3 添加量を5%で一定とし、Zr
2 を0.5〜4%添加して焼結したAlN焼結体の熱
的、機械的特性を評価した結果を表4に示す。
【0035】
【表4】 試料番号1〜5は、ZrO2 の添加量0.5〜4%に対
応している。 ZrO 2 から供給される酸素をAlNに
対する質量比で計算すると、ZrO2 を0.5〜4%添
加した場合、酸素の供給分としては、0.13〜1.0
4%となる。表4に示す結果より、ZrO2 の添加量が
増すと、曲げ強度が増大し、2%で最大600MPaに
達した後、低下している。
【0036】これは、窒化ジルコニウム粒子が粒界に存
在することで、粒界での亀裂の進行を妨げる効果を持
ち、更に高強度化したと考えられる。熱伝導率は、この
間で180〜145W/(m・K)と次第に低下してい
る。熱伝導率が150W/(m・K)以上で、曲げ強度
が450MPa以上を良好とすると、ZrO2 の添加量
が1.0〜3.0%が適することがわかる。この範囲の
最後の欄に○印を付した。
【0037】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前の例と同様であっ
た。Y2 3 の添加量5%は、AlN粉末とZrO2
1.0〜3.0%添加に由来する酸素量に対して、3.
2〜4.6倍に相当する。Y2 3 量の添加量が多いた
め、実験1の時よりも粒界相の総量が増し、焼成温度も
1800℃以下で緻密化できた。また、窒化ジルコニウ
ム粒子が焼結時のAlNの粒成長を妨げるため、2μm
程度の小さい粒径の焼結体となっていた。これらも高強
度に寄与していると考えられる。
【0038】[実験4−2]ZrO2 添加量を2.0%
と固定し、Y2 3 を3.0〜7.0%添加して焼結し
たAlN焼結体の熱的、機械的特性を評価した結果も表
4に示した。試料番号6〜10は、Y2 3 の添加量
3.0〜7.0%に対応している。Y 2 3 の添加量が
増すと、曲げ強度が増大し、5%で最大600MPaに
達した後、低下している。窒化ジルコニウム粒子が粒界
に存在することで、高強度化したと考えられる。熱伝導
率は、この間で170〜160W/(m・K)と余り変
わらない。熱伝導率が150W/(m・K)以上で、曲
げ強度が450MPa以上を良好とすると、Y2 3
添加量が4.0〜6.0%が適することがわかる。この
範囲の最後の欄に○印を付した。
【0039】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前の例と同様であっ
た。Y2 3 の添加量4.0〜6.0%は、AlN粉末
とZrO2 の2.0%添加に由来する酸素量に対して、
3.0〜4.5倍に相当する。すなわち、Y2 3 の添
加量に対して、一定の割合の酸素を供給することによっ
て、450MPa以上の機械的強度と150W/(m・
K)以上熱伝導率とをもつAlN焼結体が得られ、その
割合は、酸素量に対して、Y2 3 の添加量が3〜5倍
の比率であるといえる。特に酸素をZrO2 の添加によ
って供給することにより、窒化ジルコニウム粒子が析出
し、更に高強度が得られる。
【0040】[実験5] [実験5−1]市販の平均粒径2.0μmのAlN粉末
に、焼結助剤としてY2 3 を5%添加し、更に粒径5
0〜100nmの酸化ハフニウム(以下HfO2 と記
す)を0.5〜4%添加して焼結したAlN焼結体の熱
的、機械的特性を評価した。他の試料作製方法は、実験
4−1と同様とした。評価方法も、実験1と同様に、四
点曲げ強度試験、レーザーフラッシュ法による熱伝導率
測定、SEM観察、XRD法による粒界相の組成同定を
行った。
【0041】評価した結果を表5に示す。
【0042】
【表5】 試料番号1〜5は、HfO2 の添加量0.5〜8%に対
応している。 HfO 2 から供給される酸素をAlNに
対する質量比で計算すると、HfO2 を0.5〜8%添
加した場合、酸素の供給分としては、0.08〜1.2
2%となる。表5に示す結果より、HfO2 の添加量が
増すと、曲げ強度が増大し、2%で最大580MPaに
達した後、低下している。この場合も窒化ハフニウム粒
子が粒界に存在することで、粒界での亀裂の進行を妨げ
る効果を持ち、更に高強度化したと考えられる。熱伝導
率は、この間で170〜140W/(m・K)と次第に
低下している。熱伝導率が150W/(m・K)以上
で、曲げ強度が450MPa以上を良好とすると、Hf
2 の添加量が1.0〜3.0%が適することがわか
る。この範囲の最後の欄に○印を付した。
【0043】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前の例と同様であっ
た。Y2 3 の添加量5%は、AlN粉末とHfO2
1.0〜4.0%添加に由来する酸素量に対して、3.
4〜5.0倍に相当する。 [実験5−2]市販の平均粒径2.0μmのAlN粉末
に、焼結助剤としてY2 3 を5%添加し、更に微粒の
ZrO2 とHfO2 とを0.5〜5%添加して焼結した
AlN焼結体の熱的、機械的特性を評価した。ZrO2
とHfO2 との添加量の割合は、1対1とした。
【0044】焼結した試料について評価した結果を表5
に示した。試料番号6〜10は、ZrO2 とHfO2
の添加量0.5〜5%に対応している。それらの酸化物
から供給される酸素をAlNに対する質量比として計算
すると、それらの酸化物を0.5〜5%添加した場合、
酸素の供給分としては、0.10〜0.96%となる。
表5に示す結果より、ZrO2 とHfO2 との添加量が
増すと、曲げ強度が増大し、2%で最大590MPaに
達した後、低下している。この場合も窒化ジルコニウ
ム、窒化ハフニウム粒子が粒界に存在することで、粒界
での亀裂の進行を妨げる効果を持ち、更に高強度化した
と考えられる。熱伝導率は、この間で175〜140W
/(m・K)と次第に低下している。熱伝導率が150
W/(m・K)以上で、曲げ強度が450MPa以上を
良好とすると、ZrO2 とHfO2 の添加量が1.0〜
4.0%が適することがわかる。この範囲の最後の欄に
○印を付した。
【0045】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前の例と同様であっ
た。Y2 3 の添加量5%は、AlN粉末とZrO2
HfO2 の1.0〜4.0%添加に由来する酸素量に対
して、3.1〜4.8倍に相当する。すなわち、Y2
3 の添加量に対して、一定の割合の酸素を供給すること
によって、450MPa以上の機械的強度と150W/
(m・K)以上熱伝導率とをもつAlN焼結体が得ら
れ、その割合は、酸素量に対して、Y2 3 の添加量が
3〜5倍の比率であるといえる。
【0046】特に酸素をHfO2 の添加、またはZrO
2 とHfO2 の添加によって供給することにより、窒化
ハフニウム粒子または窒化ジルコニウム粒子と窒化ハフ
ニウム粒子とが析出し、更に高強度が得られる。 [実験6]市販の平均粒径2.0μmのAlN粉末に、
焼結助剤としてY2 3 を5%添加し、更に50〜10
0nmの酸化ほう素(以下B2 3 と記す)を0.1〜
1.5%添加して焼結した窒化アルミニウム焼結体の熱
的、機械的特性を焼結した。他の試料作製方法は、実験
4−1と同様とした。評価方法も、実験4−1と同様と
した。
【0047】評価した結果を表6に示す。
【0048】
【表6】 試料番号1〜6は、B2 3 の添加量0.1〜1.5%
に対応している。B23 から供給される酸素をAlN
に対する質量比として計算すると、B2 3 を0.1〜
1.5%添加した場合、酸素の供給分としては、0.0
7〜1.03%となる。表6に示す結果より、B2 3
の添加量が増すと、曲げ強度が増大し、0.5%で最大
550MPaに達した後、低下している。この場合も窒
化ほう素粒子が粒界に存在することで、粒界での亀裂の
進行を妨げる効果を持ち、更に高強度化したと考えられ
る。熱伝導率は、この間で175〜150W/(m・
K)と次第に低下している。熱伝導率が150W/(m
・K)以上で、曲げ強度が450MPa以上を良好とす
ると、B2 3 の添加量が0.25〜1.0%が適する
ことがわかる。この範囲の最後の欄に○印を付した。
【0049】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前の例と同様であっ
た。Y2 3 の添加量5%は、AlN粉末とB2 3
0.25〜1.00%添加に由来する酸素量に対して、
3.2〜4.9倍に相当する。すなわち、Y2 3 の添
加量に対して、一定の割合の酸素を供給することによっ
て、450MPa以上の機械的強度と150W/(m・
K)以上熱伝導率とをもつAlN焼結体が得られ、その
割合は、酸素量に対して、Y2 3 の添加量が3〜5倍
の比率であるといえる。特に酸素をB2 3 の添加によ
って供給することにより、窒化ほう素粒子が析出し、高
強度が得られる。
【0050】ZrO2 、HfO2 、B2 3 のように焼
結温度、雰囲気で還元され、窒化物となるような金属酸
化物は同様に使用できるであろうと類推される。 [実験7]市販の平均粒径2.0μmのAlN粉末に、
焼結助剤としてY2 3 を5%添加し、更に50〜10
0nmのAl2 3 を0.25〜2.5%添加して焼結
したAlN焼結体の熱的、機械的特性を評価した。他の
試料作製方法は、実験4−1と同様とした。評価方法
も、実験4−1と同様とした。
【0051】評価した結果を表7に示す。
【0052】
【表7】 試料番号1〜6は、Al2 3 の添加量0.25〜2.
5%に対応している。Al2 3 から供給される酸素を
AlNに対する質量比としてで計算すると、Al2 3
を0.25〜2.5%添加した場合、酸素の供給分とし
ては、0.12〜1.18%となる。表7に示す結果よ
り、Al2 3 の添加量が増すと、曲げ強度が増大し、
1%で最大520MPaに達した後、低下している。こ
の場合は、窒化物粒子が粒界に存在しないので、強度は
比較的小さくなったと考えられる。熱伝導率は、この間
で180〜170W/(m・K)と次第に低下してい
る。熱伝導率が150W/(m・K)以上で、曲げ強度
が450MPa以上を良好とすると、Al2 3 の添加
量が0.5〜1.5%が適することがわかる。この範囲
の最後の欄に○印を付した。
【0053】この範囲では、粒界相がY3 Al5 12
YAlO3 との共存状態にあるのは前の例と同様であっ
た。この場合も、微粒子のAl2 3 粉末を添加してい
るので、粒界相の分布も均一であった。Y2 3 の添加
量5%は、AlN粉末とAl2 3 の0.5〜1.5%
添加に由来する酸素量に対して、3.2〜4.6倍に相
当する。
【0054】すなわち、Y2 3 の添加量に対して、一
定の割合の酸素を供給することによって、450MPa
以上の機械的強度と150W/(m・K)以上熱伝導率
とをもつAlN焼結体が得られ、その割合は、酸素量に
対して、Y2 3 の添加量が3〜5倍の比率であるとい
える。 [実施例]平均粒径2.0μmのAlN粉末に、焼結助
剤として5%のY2 3 粉末および粒径50〜100n
mのZrO2 を2%添加し、さらにバインダーとしてポ
リビニルアルコールを5%添加して乳鉢にて混合した
後、メッシュ造粒して、混合粉末を調製した。その混合
粉末を金型に入れ、約100MPaの圧力でプレス成形
をおこない、電気炉を用いて450〜500℃、大気中
で2時間、仮焼成して成形体中のバインダーを除去した
後、窒化ホウ素(以下BNと記す)製の箱に入れ、BN
製のセッター板と敷き粉を用いて、カーボンヒータ電気
炉で窒素雰囲気中、1800℃、2時間焼結して、Al
N基板(板厚0.63mm)を作製した。
【0055】このようにして製造されたAlN基板は、
熱伝導率が175W/(m・K)で、四点曲げ強度が6
00MPaであり、実際に、そのAlN基板を使用して
トランジスタモジュールを試作し、実用できるものであ
ることを確認した。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、A
lN粉末にY2 3 粉末を添加して焼結するAlN焼結
体の製造方法において、Y2 3 以外の原料に由来する
添加酸素量とY2 3 粉末の添加量との質量比を1:3
〜1:5の範囲とすることによって、結晶粒界相が主と
してY−Alの複合酸化物であるY3 Al5 12とYA
lO3 との混合相からなり、150W/(m・K)以上
の高熱伝導率で、450MPa以上と従来のAlN焼結
体より30%以上高強度の基板とすることができること
を示した。
【0057】AlN粉末にYF3 粉末を添加して焼結す
るAlN焼結体の製造方法においては、原料に由来する
添加酸素量とYF3 粉末の添加量との質量比を1:2〜
1:4の範囲とすれば、同様のAlN焼結体より30%
以上高強度の基板とすることができる。Y2 3 以外の
酸素添加の方法としては、AlN粉末を粉砕して表面の
Al23 の量を増したり、ZrO2 、HfO2 、B2
3 、Al2 3 等の酸化物を加えても良い。特にZr
2 、HfO2 、B2 3 の場合は、粒界相に窒化物の
微粒子が分散し、結晶の粒成長を抑制し、またクラック
の伝播を防止して、更に高強度化する効果がある。
【0058】機械的強度と高熱伝導率の優れた本発明に
かかる焼結体を、例えば半導体装置用基板として用いれ
ば、ヒートサイクルに対して強く、パワーデバイスのパ
ッケージや放熱フィンなどに最適である。特にパワート
ランジスタモジュールなどの基板に適用することで、半
導体装置の小型化、低コスト化並びに電流容量の増大等
が図れる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶粒界相が主としてイットリウム−アル
    ミニウムの複合酸化物であるY3 Al5 12とYAlO
    3 との混合相からなる窒化アルミニウム焼結体におい
    て、結晶粒界相中にジルコニウム、ハフニウム、ホウ素
    のいずれかの窒化物粒子、酸窒化物粒子を有することを
    特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】窒化アルミニウム粉末に酸化イットリウム
    粉末を添加して焼結する窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法において、酸化イットリウム以外の原料に由来する
    添加酸素量と酸化イットリウム粉末の添加量との質量比
    を1:3〜1:5の範囲とすることを特徴とする窒化ア
    ルミニウム焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】窒化アルミニウム粉末に弗化イットリウム
    粉末を添加して焼結する窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法において、原料に由来する添加酸素量と弗化イット
    リウム粉末の添加量との質量比を1:2〜1:4の範囲
    とすることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】窒化アルミニウム粉末を粉砕することによ
    り、添加酸素量を調整することを特徴とする請求項2ま
    たは3に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】酸化アルミニウムを添加することにより、
    添加酸素量を調整することを特徴とする請求項2または
    3に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  6. 【請求項6】ジルコニウム、ハフニウム、ホウ素のいず
    れかの酸化物またはそれらの複数の酸化物を添加するこ
    とにより、添加酸素量を調整することを特徴とする請求
    項2または3に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方
    法。
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