JPH11207489A - サブマージアーク溶接用の高温焼成型フラックスおよびその製造方法 - Google Patents

サブマージアーク溶接用の高温焼成型フラックスおよびその製造方法

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JPH11207489A
JPH11207489A JP10013881A JP1388198A JPH11207489A JP H11207489 A JPH11207489 A JP H11207489A JP 10013881 A JP10013881 A JP 10013881A JP 1388198 A JP1388198 A JP 1388198A JP H11207489 A JPH11207489 A JP H11207489A
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浩史 矢埜
Shuichi Sakaguchi
修一 阪口
Nobuo Tezuka
伸夫 手塚
Kaname Nishio
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速でサブマージアーク溶接する場合等にお
いても、ガスの発生を効果的に抑制して、耐ポックマー
ク性を向上させると共に、優れた溶接作業性を得る。 【解決手段】 サブマージアーク溶接用の高温焼成型フ
ラックスにおいて、粒子径が 500μm 以上のフラックス
粒に対して粒径:10〜106 μm のFe−Si粒子が占める割
合を、体積比率でフラックス粒子1個当たり 0.5〜20.0
%の範囲に制限する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、サブマージアー
ク溶接用の高温焼成型フラックスおよびその製造方法に
関し、特に建築用鉄骨の梁などに用いられる溶接組立式
H型部材の隅肉継手溶接を高速でサブマージアーク溶接
する場合等において、欠陥のない溶接部が安定して得ら
れる優れた溶接作業性と共に、耐ポックマーク性の有利
な向上を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】サブマージアーク溶接(潜弧溶接)用フ
ラックスは、その製造方法の違いにより、溶融型フラッ
クス、焼成型フラックス(焼結型フラックスも含む。以
下同じ)および原料混合型フラックスの3種に大別さ
れ、それぞれ酸化ケイ素(SiO2)を主体とし、それに酸
化マンガン(MnO, Mn3O4など)、酸化カルシウム(CaO)
、アルミナ(Al2O3) およびその他の酸化物、ふっ化物
等を添加配合して製造されている。
【0003】これらのうち焼成型フラックスは、一般
に、酸化物やふっ化物等の原料粉に結合剤(バインダ
ー)として珪酸ソーダなどを添加し、混練、造粒、乾
燥、焼成という工程を経て製造されるため、溶融型フラ
ックスに比べて比較的簡単な設備で製造でき、安価であ
るという利点がある。また、脱酸剤や合金元素の添加が
可能で、溶接金属成分を調整でき、しかも混合型フラッ
クスに比べて原料の偏析が起こらないという利点もあ
る。
【0004】しかしながら、原料によってフラックスの
品質ひいては溶接部の特性が大きく変化する。例えば、
ピットやポックマーク等の溶接欠陥が溶接部に発生す
る。これらの溶接欠陥は、原料中の結晶水等の水分また
は原料酸化物が酸素源となり、溶接時に生じるCO,CO2
ガスに起因して発生するものである。
【0005】上記の問題に対して、低温(700℃以下) で
焼成する低温焼成型フラックスでは、フラックス中に炭
酸塩や脱酸剤などを添加することによって耐溶接欠陥性
の改善を図ってきた。それに対し、高温(700〜1000℃)
で焼成する高温焼成型フラックスは、炭酸塩を用いずに
溶着金属の低水素化が図れるため、高速溶接性に優れる
ものの、使用可能な脱酸剤の種類が非常に限られている
こともあって、耐ポックマーク性に劣る。しかも、その
検討はほとんど行われていないのが現状である。
【0006】脱酸を目的として金属粉を添加する例とし
ては、例えば特公昭32-409号公報や特公昭44−13249 号
公報に、Fe−SiおよびSi−Mnの例が記載されている。高
温焼成型フラックスでは、高温焼成時に脱酸剤が変質
(酸化や窒化)して脱酸剤としての作用効果が得られな
くなる場合が多いことから、脱酸剤として使用されてい
るのはこの2種類が主である。しかしながら、このFe−
SiおよびSi−Mnを脱酸剤として用いた場合でも、高温焼
成条件等により脱酸剤が変質したり、フラックスを繰り
返し使用した場合に安定して良好な耐ポックマーク性や
優れた溶接作業性が得られないなどの問題を残してい
た。
【0007】その他、特開昭61−196289号公報には、高
温焼成型フラックスとして、Fe−SiやSi−Mnとは別に、
脱酸剤または合金剤としてAl,Mg,TiおよびCa等の金属
粉を利用することが記載されているが、この技術は、こ
れらの金属粉を焼成後のベースフラックスに添加混合す
るいわゆる混合型であり、従って、溶接箇所に散布した
際にフラックス原料の偏析が起こり易いという、混合型
に特有の欠点である不均一性が解消されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、脱酸剤として使用するFe−
Siのフラックス粒子内における分散状態を的確に制御す
ることにより、ポックマーク等の溶接欠陥の発生を効果
的に防止し、ひいては高能率で優れた溶接作業性を有
し、かつ良好な耐ポックマーク性を得ることができるサ
ブマージアーク溶接用の高温焼成型フラックスを、その
有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、高温
焼成型フラックスの耐ポックマーク性の改善を目的とし
て、溶接時の発生ガスについて鋭意検討した結果、発生
ガスの抑制には脱酸剤であるFe−Siを効果的にフラック
ス中に添加することが極めて有効であることの知見を得
た。そこで、さらに発明者らは、高温焼成型フラックス
へのFe−Siの添加方法について種々検討した結果、特定
の成分および粒度分布を有するFe−Siを適正量添加すれ
ば、溶接時におけるガスの発生を適切に抑制して、耐ポ
ックマーク性を効果的に改善し得ることの知見を得た。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0010】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1.フラックス原料粉末を造粒後、700 ℃以上の温度で
焼成したサブマージアーク溶接用の高温焼成型フラック
スであって、粒子径が 500μm 以上のフラックス粒にお
いて、該フラックス粒に対する粒径:10〜106 μm のFe
−Si粒子が占める割合が、体積比率でフラックス粒子1
個当たり 0.5〜20.0%であることを特徴とするサブマー
ジアーク溶接用の高温焼成型フラックス。
【0011】2.上記1において、全Fe−Si粒子に対す
る粒径が 106μm を超えるFe−Si粒子の割合が、体積比
率で2%以下であるサブマージアーク溶接用の高温焼成
型フラックス。
【0012】3.上記1または2において、全フラック
ス粒子に対する粒子径が 500μm 以上のフラックス粒子
の割合が、重量比率で70%以上であるサブマージアーク
溶接用の高温焼成型フラックス。
【0013】4.上記1,2または3において、フラッ
クス成分がtotal SiO2:30〜70wt%、マンガン酸化物(M
nO換算で):5〜40wt%、MgO :3〜30wt%、Al2O3 :
2〜20wt%、CaO :10wt%以下、CaF2:15wt%以下を含
む組成になることを特徴とするサブマージアーク溶接用
の高温焼成型フラックス。
【0014】5.Si:30〜80wt%を含有し、かつ粒径:
106 μm 超が重量比率で10%以下、粒径:45μm 未満が
重量比率で50%以下の粒度分布を有するFe−Si粒子を、
脱酸剤として1〜8wt%の割合で配合したフラックス原
料を、造粒後、700 ℃以上の温度で焼成したことを特徴
とするサブマージアーク溶接用の高温焼成型フラックス
の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。最初に、この発明を由来するに至った経緯を実験結
果に基づいて説明する。まず、ポックマークの発生個数
と脱酸剤の粒度との関係について調査した。表1に示す
組成になるフラックス原料を、珪酸ソーダを結合剤とし
て12〜100メッシュに造粒し、750 ℃,1hの条件で焼
成した。表1中、フェロシリコンとしては粒度分布を種
々に調整したFe−76%Siを用いた。これらのフラックス
と2%Mn系ワイヤ(4.8mmφ)を用い、溶接電流:900
A、溶接電圧:40V、溶接速度:60cm/minの溶接条件
で、SS400 相当の鋼板に対して下向き隅肉シングル溶接
を行い、ポックマークの発生状況について調査した。得
られた結果を表2に示す。表2より明らかなように、脱
酸剤の粒度構成がポックマーク発生個数に及ぼす影響は
極めて大きい。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】次に、フラックスを繰り返し使用したとき
のポックマーク発生状況とフラックス粒子内における脱
酸剤の分散状態との関係について検討した。その結果、
フラックス粒子内におけるFe−Siの分散状態が極めて重
要であることが明らかとなった。表3に、フラックスを
繰り返し使用したときのフラックス粒子内のFe−Si粒子
の体積比率とポックマーク発生個数との関係について調
査した結果を示す。
【0019】
【表3】
【0020】同表において、フラックス粒子内のFe−Si
粒子の体積比率は、粒子径が 500μm 以上のフラックス
粒子について測定したものである。また、これらのフラ
ックス粒子は、表2にNo.1で示したフェロシリコンをさ
らに篩い分けして用い、フラックス粒子内におけるFe−
Siの分散状態を変化させた。フラックスは、結合剤とし
て珪酸ソーダを用いて作製し、12〜100 メッシュに整粒
後、850 ℃, 10min の条件で焼成したものである。表3
から明らかなように、フラックス粒子内のFe−Si粒子の
体積割合がフラックスを繰り返し使用したときのポック
マーク発生個数に及ぼす影響は極めて大きい。
【0021】このように、ポックマークの発生を抑制す
るには、フラックス中に添加する脱酸剤であるFe−Siに
ついて、その添加量、Fe−Siの成分および粒度構成もさ
ることながら、フラックス粒子への分散状態が特に重要
で、以下の要件を満足させることが肝要であることが判
明した。
【0022】500 μm 以上の粒子径を有するフラックス
粒において、該フラックス粒子に対する粒径:10〜106
μm のFe−Si粒子が占める割合:体積比率でフラックス
粒子1個当たり 0.5〜20.0% 500μm 以上の粒子径を有するフラックス粒において、
該フラックス粒子におけるFe−Si粒子が占める割合が、
体積比率でフラックス粒子1個当たり 0.5%に満たない
と、フラックスを繰り返し使用した際、溶接時の発生ガ
ス抑制効果が小さく、溶接ビードにポックマークが発生
する。一方、20.0%を超えるとフラックス中におけるFe
−Si添加量が増大するため、それに伴ってフラックス中
鉄分が増大し、これが原因となって溶接ビード表面性状
の劣化を招く。それ故、この発明では、500 μm 以上の
粒子径を有するフラックス粒子に対する粒径:10〜106
μm のFe−Si粒子が占める割合を、フラックス粒子1個
当たり0.5〜20.0%(好ましくは 1.0〜17.5%)の範囲
に限定したのである。
【0023】なお、フラックス粒子に対する分散状態を
制御すべきFe−Si粒子の粒径を10〜106 μm の範囲に限
定したのは、粒径が10μm 未満のFe−Si粒子は焼成時に
変質(酸化)し易く、安定してフラックス粒子内に分散
させることが難しいため、脱酸効果への影響が小さいか
らであり、一方 106μm を超えるFe−Si粒子はFe−Si中
のSiが溶着金属中に固溶する割合が高くなり、フラック
ス粒子内に分散させても溶接時の脱酸効果が小さいから
である。
【0024】また、焼成後のフラックスにおいて、粒径
が 106μm を超えるFe−Si粒子の割合がFe−Si粒子全体
に対し、体積比率で2%を超えると脱酸効果の低下が生
じ、特にフラックスの繰り返し使用においてこの傾向が
顕著となり、ポックマークが出易くなるので、粒径が 1
06μm を超えるFe−Si粒子の割合は体積比率で2%以下
とすることが好ましい。さらに、Fe−Si粒子の分散状態
を制御すべきフラックス粒子の大きさとして、粒径が 5
00μm 以上のフラックス粒子に限定したのは、粒径が 5
00μm 以上のフラックス粒子は繰り返し使用した時の粒
径変化が比較的小さいので、繰り返し使用時の耐ポック
マーク性を安定して得るためのFe−Si粒子の分散状態を
制御すべき大きさとして最適であることの理由による。
【0025】また、全フラックス粒子に対する粒子径が
500μm 以上のフラックス粒子の割合は、重量比率で70
%以上とすることが好ましい。というのは、この割合が
70%に満たないと、溶接部に散布したフラックス充填層
のガス抜け不良により、耐ポックマーク性が劣化するか
らである。
【0026】次に、この発明に従う製造方法について説
明する。まず、原料の配合時に、脱酸剤として用いるFe
−Siがそなえるべき条件について説明する。 Fe−Si中のSi含有量:30〜80wt% Si含有量が80wt%を超えると高温焼成時に細かいFe−Si
粒子が酸化消失するため、80wt%以下とした。また、Si
含有量が30wt%未満では溶接時の脱酸効果を出すために
Fe−Siを多量に添加する必要が生じ、この多量添加によ
りフラックス中鉄分が増大し、これが原因となって溶接
ビード表面性状が劣化するので、30wt%以上とした。
【0027】Fe−Siの粒度構成:106 μm を超える粒子
の割合が10wt%以下で、かつ45μm 未満の粒子の割合が
50wt%以下 Fe−Siの粒子のうち、106 μm を超える粒子の割合が10
wt%を超えると繰り返し利用していくうちに脱酸効果お
よび脱酸効率が低下して、ポックマークが出易くなるた
め、10wt%以下に限定した。一方45μm 未満の粒子の割
合が50wt%以上になると高温焼成時に細かいFe−Siの粒
子が酸化消失するため、50wt%以下に限定した。
【0028】フラックス中におけるFe−Si含有量:1〜
8wt% フラックス全体に対するFe−Si含有量が1wt%に満たな
いと所望の脱酸効果が得られず、一方8wt%を超えて添
加しても脱酸効果は飽和に達するので、Fe−Si含有量は
1〜8wt%の範囲に限定した。
【0029】上記の条件をそなえたFe−Siを用いること
により、粒子径が 500μm 以上のフラックス粒におい
て、該フラックス粒に対する10〜106 μm のFe−Si粒子
が占める割合を体積比率でフラックス粒子1個当たり
0.5〜20.0%とすることができる。また、全Fe−Si粒子
に対する、粒径が 106μm を超えるFe−Si粒子の割合
を、体積比率で2%以下とするには、原料の配合時に 1
06μm を超える粒子の割合を少なめ(8%以下、より好
ましくは5%以下)にすれば良い。さらに、全フラック
ス粒子に対する粒子径が 500μm 以上のフラックス粒子
の割合を、重量比率で70%以上とするには、造粒後の整
粒処理条件を適宜調整することにより達成できる。
【0030】この発明では、サブマージアーク溶接用フ
ラックス中に脱酸剤として添加するFe−Si粒子につい
て、そのフラックス粒子への分散状態、成分、粒度構成
および添加量について上記の要件を満足させれば、所望
の効果を得ることができるが、焼成型フラックスのその
他の代表組成については、次のとおりである。
【0031】total SiO2:30〜70wt% まず、SiO2は、造滓剤としてビード外観を良好に保つた
めに必要であり、特に高速隅肉溶接のようにビード端部
のなじみが重要な場合には、含有量が30wt%未満では良
好なビード形状が保持できず、一方70wt%を超えて多量
に含まれると粘性が高くなりすぎてかえってビード外観
が乱れ易くなるだけでなく、スラグの剥離性が劣化する
などの不具合が生じるので、total SiO2量は30〜70wt%
程度とするのが好ましい。
【0032】マンガン酸化物(MnO換算で):5〜40wt
% 隅肉溶接用フラックスとしては、溶接速度が速くなって
もビード端部のなじみが良好である必要がある。そのた
めには、Mn酸化物を含有するスラグとすることが好適で
あるが、添加量がMnO量換算で5wt%に満たないとその
効果が認められず、一方40wt%を超えて含有されると溶
融池でCO反応が激しくなる結果、ビード外観が劣化する
ので、Mn酸化物量は5〜40wt%程度とすることが好まし
い。
【0033】MgO:3〜30wt% MgOは、スラグの融点および粘性を調整し、スラグ剥離
性を確保するのに有用な成分であるが、3%未満では十
分な効果が得られず、一方30wt%を超えると粘性が低下
しすぎたり、融点が上昇しすぎてビード外観が劣化しが
ちとなるので、MgO量は3〜30wt%程度とするのが望ま
しい。
【0034】Al2O3 :2〜20wt% Al2O3 は、スラグの粘性および融点を調整する上で重要
な成分であるが、2wt%未満ではその添加効果に乏し
く、一方20wt%を超えると融点が上昇しすぎてビード形
状の劣化を招くので、含有量は2〜20wt%程度とするの
が望ましい。
【0035】CaO:10wt%以下 CaOは、スラグの流動性に影響を及ぼす成分であり、10
wt%を超えて多量に含有されると流動性が阻害されてビ
ード形状の劣化を招くので、CaOは10wt%以下とするの
が好ましい。
【0036】CaF2:15wt%以下 CaF2は、スラグの流動性を向上させる成分であるが、15
wt%を超えるとスラグの流動性が過度に上昇するので、
CaF2は15wt%以下とするのが好ましい。
【0037】以上、代表的なフラックス組成について説
明したが、その他にも、通常、フラックスに用られる成
分を添加しても差し支えない。かような成分としては、
TiO2, BaO,CaO,ZrO,B2O3,TiおよびAlなどがあ
る。例えばTiO2は、溶接中に還元され、溶接金属中へTi
が移行して、溶接金属の靱性を向上させる作用がある。
しかしながら、10wt%を超えるとかえって靱性を劣化さ
せる。また、BaO,ZrOは、スラグの塩基度や融点を調
整するために添加する。しかしながら、5wt%を超える
添加はいずれもビード外観やスラグ剥離性を劣化させ
る。さらに、B2O3は、溶接中に還元反応により、Bが溶
接金属中に移行して溶接金属の靱性改善に寄与する。し
かしながら、4wt%を超えると溶着金属の凝固割れを助
長する。
【0038】上述した好適組成となるようにフラックス
原料粉を配合し、前述した成分および粒度構成に調整さ
れたFe−Siを適正量添加して、結合剤と共に混練したの
ち、造粒し、ついで焼成する。造粒法はとくに限定しな
いが、転動式造粒機や押し出し式造粒機を用いるのが好
適である。造粒したのち、ダストの除去や粗大粒の解砕
などの整粒処理を行って、粒子径:0.075 〜2.5mm の大
きさの粒子にするのが好ましい。なお、結合剤(バイン
ダー)としては、ポリビニルアルコールなどの水溶液や
水ガラスが好適である。中でも、従来から用いられてい
るSiO2とNa2Oのモル比:1〜5の珪酸ソーダが有利に適
合する。また使用量は原料1kg当たり80〜150cc程度で
よい。また、焼成温度については、焼成温度が 700℃を
下回るとバインダーより持ち込まれた水分の乾燥が不十
分となり、溶着金属中拡散性水素の増加を招くので、焼
成温度は 700℃以上とする必要がある。
【0039】なお、フラックス粒子に対するFe−Si粒子
が占める割合および 106μm を超えるFe−Si粒子の全Fe
−Si粒子に対する割合の算出は、フラックス断面を観察
して行った。観察には、光学顕微鏡または電子顕微鏡の
どちらを用いてもかまわず、どちらの場合も観察倍率は
10〜100 倍で行った。試験片は、樹脂などにフラックス
を埋め込み、研磨して作製した。フラックス粒子および
Fe−Si粒子の体積は、観察像より画像解析処理装置を用
いてフラックス粒子およびFe−Si粒子の面積を求め、面
積が等価となる円の直径を計算し、その値を用いて算出
した。測定は不作為に選んだ20個以上のフラックス粒に
ついて実施した。他の原料粒子内のFe−Si粒子は、エネ
ルギー分散型X線分析装置などで容易に判別することが
できる。
【0040】ここで、粒子径および粒径は、それぞれの
粒子の直径を表す。粒子径 500μm以上のフラックス粒
子の割合は、JIS Z 8801に適合するふるいを用いJIS Z
2601の規定に準じて粒度分布を測定することにより、求
めた。
【0041】
【実施例】実施例1 所定の成分組成に調整したフラックス原料に、表4に示
す組成の溶接スラグ(250 μm 以下に粉砕したもの)を
30wt%添加し、常法にしたがって混練、造粒、乾燥、焼
成、粒度調整を行い、表5に示す成分組成のフラックス
を得た。なお、Fe−Siは、106 μm を超えるものが10wt
%以下、45μm 未満のものが50wt%以下の粒度分布を有
し、Si含有量が18〜76wt%のものを用いた。焼成条件は
875℃,10min とした。これらのフラックスと2%Mn系
ワイヤ(4.0mmφ) を用いて、溶接電流:850 A、溶接電
圧:40V、溶接速度:50 cm/min の溶接条件で、SM400
相当の鋼板に対して下向き隅肉溶接を行い、ビード外観
について調査した。ビード外観についての観察結果を表
6に示す。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】表6から明らかなように、Fe−Siの成分、
添加量およびフラックス粒子への分散状態がこの発明の
適正範囲を満足する適合例のフラックスを用いた場合に
は、良好なビート外観を得ることができた。これに対
し、Fe−Si中のSi含有量が適正範囲に満たない比較例1
およびFe−Siの添加量が少なすぎる比較例3はいずれ
も、ポックマークの発生個数がこの発明例に比べると非
常に多かった。また、Fe−Siの添加量が多すぎる比較例
2は、ポックマークの発生個数は少なかったものの、ビ
ード表面性状が格段に劣っており、ビード手直しを要す
るために溶接作業性が悪く、溶接能率が低下した。
【0046】実施例2 実施例1と同じフラックス原料に、粒度分布を種々に変
化させたFe−46%Siを6wt%添加配合したのち、実施例
1と同様にして高温焼成型フラックスを作製した。その
後、これらのフラックスを使用して、実施例1と同じ条
件で下向き隅肉溶接を実施したときの、ビード外観につ
いての調査した結果を 表7に示す。
【0047】
【表7】
【0048】表7から明らかなように、この発明の要件
を満足するフラックスを用いた場合には、良好なビード
外観を得ることができた。
【0049】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、高速溶接
時においても、ガスの発生を効果的に抑制して、耐ポッ
クマーク性に優れるだけでなく、良好な溶接作業性を有
するサブマージアーク溶接用の高温焼成型フラックスを
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 手塚 伸夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 西尾 要 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フラックス原料粉末を造粒後、700 ℃以
    上の温度で焼成したサブマージアーク溶接用の高温焼成
    型フラックスであって、 粒子径が 500μm 以上のフラックス粒において、該フラ
    ックス粒に対する粒径:10〜106 μm のFe−Si粒子が占
    める割合が、体積比率でフラックス粒子1個当たり 0.5
    〜20.0%であることを特徴とするサブマージアーク溶接
    用の高温焼成型フラックス。
  2. 【請求項2】 請求項1において、全Fe−Si粒子に対す
    る粒径が 106μm を超えるFe−Si粒子の割合が、体積比
    率で2%以下であるサブマージアーク溶接用の高温焼成
    型フラックス。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、全フラック
    ス粒子に対する粒子径が 500μm 以上のフラックス粒子
    の割合が、重量比率で70%以上であるサブマージアーク
    溶接用の高温焼成型フラックス。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、フラッ
    クス成分が total SiO2:30〜70wt%、 マンガン酸化物(MnO換算で):5〜40wt%、 MgO :3〜30wt%、 Al2O3 :2〜20wt%、 CaO :10wt%以下、 CaF2:15wt%以下 を含む組成になることを特徴とするサブマージアーク溶
    接用の高温焼成型フラックス。
  5. 【請求項5】 Si:30〜80wt%を含有し、かつ粒径:10
    6 μm 超が重量比率で10%以下、粒径:45μm 未満が重
    量比率で50%以下の粒度分布を有するFe−Si粒子を、脱
    酸剤として1〜8wt%の割合で配合したフラックス原料
    を、造粒後、700 ℃以上の温度で焼成したことを特徴と
    するサブマージアーク溶接用の高温焼成型フラックスの
    製造方法。
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