JPH11236264A - 誘電体磁器組成物、積層セラミクスコンデンサとその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器組成物、積層セラミクスコンデンサとその製造方法

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JPH11236264A
JPH11236264A JP10244603A JP24460398A JPH11236264A JP H11236264 A JPH11236264 A JP H11236264A JP 10244603 A JP10244603 A JP 10244603A JP 24460398 A JP24460398 A JP 24460398A JP H11236264 A JPH11236264 A JP H11236264A
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mol
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系のバインダを使用して良好にスラリー化
可能であり、急速焼成でもクラックを生じることなく良
好に焼結可能で、バレル処理後にチッピングが生じにく
い誘電体磁器組成物を提供することにより、大型の場合
でも耐圧に優れ、JISのB特性を満たすことが可能な
積層セラミクスコンデンサを提供する。 【解決手段】 (Ba1-x Cax )TiO3 、但し、
0.005≦x≦0.05、の組成式で表される組成物
に、MnO−CoO−MgOからなる添加物を0.00
2〜0.02含むと共にY2 3 添加物を0.025以
下含み、さらに、SiO2 −Al2 3 −BaO−Ca
O−Ta2 5 からなるガラス成分を0.005〜0.
05加えたことを特徴とする誘電体磁器組成物を用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミクスコ
ンデンサ用の誘電体磁器組成物、その組成物を用いた積
層セラミクスコンデンサとその製造方法に関する。特
に、誘電体磁器組成物の組成を改善してコンデンサ製造
時における熱効率および量産性を向上するための技術に
関する。
【0002】
【従来の技術】小型・高性能化の要求に伴い、積層セラ
ミックコンデンサ(MLC)においては、近年、ますま
す小型化、多層化が進展しており、積層数についても2
00層を超えるものが現れている。このMLCの製造方
法としては、これまではスクリーン印刷機を用いたウェ
ットスタック法やグリーンシートを積層するドライスタ
ック法が採用されてきた。これらの方法では、誘電体粉
末に有機バインダや可塑剤、有機溶剤を混合してペ―ス
トやスラリーを作製し、これらを乾燥して誘電体シート
を作製している。
【0003】しかしながら、これらの方法では、多量の
有機溶剤を使用するために、その蒸発管理が難しいのみ
ならず、人体や環境に与える影響も無視できず、環境面
で大きな社会問題となっていた。また、ドライスタック
法では、ベースフイルムとしてポリプロピレン(PP)
やポリエチレン(PET)フィルムを使用するために、
誘電体シートが5ミクロン以下に薄層化するに従い、フ
ィルムの廃棄の問題が生じていた。これに対して、前述
のスクリーン印刷機を用いたウェットスタック法では、
PETフイルムを使用しないことからフイルム廃棄の問
題は生じないが、5ミクロン以下の厚みでピンホールの
ない均一な誘電体シートを作製することは原理的に困難
であった。
【0004】これらの従来の製造方法の問題点を解決す
るために、本発明者等はすでに水系バインダを使用可能
な新規な製造方法(特願平9−33759号)を提案し
ている。
【0005】また、従来、積層コンデンサの焼成に当た
っては、ジルコニアやマグネシアの磁器セッター上に未
焼成のチップを整列し、300℃前後で脱脂した後に、
トンネル炉やバッチ炉を用いて昇温速度50〜200℃
/時間で1300℃前後まで昇温し、数時間保持後に降
温速度50〜200℃/時間で降温して焼成を行ってい
る。
【0006】これに対して、最近では、地球温暖化の環
境問題の改善のために、熱効率の良い製造プロセスが要
望されている。例えば、MLC製造の熱効率の改善のた
めに600℃〜1500℃/時間の速度で昇温や降温を
行い、短時間で焼成を達成する方法も提案されている。
この急速焼成を実現するためのセッター材料として、急
激な熱衝撃に耐える白金、ニクロム、モリブデン、タン
グステン系金属からなる金属ベースの焼成用セッターお
よびこれにジルコニア、マグネシア等のセラミクスをコ
ートした材料等、各種のセッター材料が提案されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、MLC
製造の熱効率を改善するために、通常用いられる誘電体
材料(例えば、特開昭47−35751号、特願昭59
−220745号、特願昭60−8999号等)を用い
て、600℃〜1500℃/時間の速度で昇温、降温を
行い、短時間で焼成した場合には、焼成後の素子にクラ
ックが生じやすいという欠点があった。このクラック発
生の問題は、特に、5.0×5.7×2.0mmサイズ
で5ミクロン以下の誘電体層を有するような大型のML
Cを製造する場合には特に顕著であった。
【0008】また、MLC製造に当たり、水系バインダ
を用いて従来のJISのB特性(容量変化率が±10%
以下、−25℃〜+85℃)のチタン酸バリウム系材料
のスラリー化を行った場合には、さらに次のような問題
が生じていた。
【0009】まず、前述の誘電体材料では、通常用いら
れるアクリル樹脂を用いたバンイダーの場合にはスラリ
ーの泡が立ちやすく、またピンホールが出やすい欠点が
あった。また、得られた素子の端面研磨のために湿式バ
レル処理を行うとチッピングが生じ易いという欠点が存
在していた。これらの欠点は特に水系バインダを用いた
時に顕在化し、量産上の大きな問題点であった。これら
の欠陥以外にも、特に、5.0×5.7×2.0mmサ
イズで5ミクロン以下の誘電体層を有するような大型の
MLCを製造する場合には、絶縁耐圧が200V以下に
低下する問題点が存在していた。
【0010】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
水系のバインダを使用して良好にスラリー化可能であ
り、急速焼成でもクラックを生じることなく良好に焼結
可能で、バレル処理後にチッピングが生じにくく、積層
セラミクスコンデンサ用として好適な誘電体磁器組成物
を提供することである。
【0011】本発明の別の目的は、そのような組成物を
用いて、大型の場合でも耐圧に優れ、JISのB特性を
満たすことが可能な、高性能で信頼性の高い積層セラミ
クスコンデンサを提供することであり、さらに、そのよ
うな優れた積層セラミクスコンデンサを製造可能な、熱
効率、量産性、および環境性に優れた製造方法を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を達成すべく検討した結果、請求項1に記載の通り、
誘電体材料として、(Ba1-x Cax )TiO3 、但
し、0.005≦x≦0.05、の組成式で表される組
成物に、MnO−CoO−MgOからなる添加物を0.
2〜2mol%含むと共にY2 3 添加物を2.5mo
l%以下含み、さらに、SiO2 −Al2 3 −BaO
−CaO−Ta2 5 からなるガラス成分を0.5〜5
mol%加えたことを特徴とする誘電体磁器組成物を用
いることにより、上記課題を達成し得ることを見出し
た。
【0013】このような誘電体磁器組成物は、水系のバ
インダを使用して良好にスラリー化可能であり、急速焼
成でもクラックを生じることなく良好に焼結可能であ
る。ここで、各組成の範囲は、次の理由によって決定さ
れている。
【0014】まず、Baを置換するCaの量を0.5〜
5mol%の範囲としたのは、Ca量が0.5mol%
より少ないと、還元雰囲気での焼成時における絶縁抵抗
の低下を防ぐことが困難であり、また逆に、Ca量が5
mol%より多いと、誘電率を3000以上に保ちなが
ら容量温度特性をB特性に維持することが困難となるた
めである。
【0015】次に、MnO−CoO−MgOからなる添
加物の量を0.2〜2mol%としたのは、0.2mo
l%より少ないと、還元雰囲気での焼成時における絶縁
抵抗の低下を防ぐことが困難であるばかりでなく、誘電
体層の厚さが5ミクロン以下の場合に誘電損失が3%以
上となってしまい、また逆に、この成分の添加量が2m
ol%より多いと、誘電率が3000未満となり、小型
・大容量化が困難となるためである。
【0016】また、Y2 3 添加物の量を2.5mol
%以下としたのは、この添加物が2.5mol%より多
いと、誘電率が3000より低くなり、温度特性がB特
性を満たさなくなるためである。
【0017】続いて、SiO2 −Al2 3 −BaO−
CaO−Ta2 5 からなるガラス成分の量を0.5〜
5mol%としたのは、次の理由による。すなわち、こ
のガラス成分の量が0.5mol%より少ないと、13
00℃以下での焼成が困難となり、さらに、600℃/
時間を超える急速な昇温、降温の焼成プロファイルを用
いた時に、素子にクラックが生じやすくなるためであ
る。また、水系バインダを用いた場合に泡の発生が多く
なるばかりでなく、誘電体シートにピンホールが出やす
くなり、MLCを焼成した後にバレル処理を行った場合
のチッピングが多くなるためである。逆に、このガラス
成分の量が5mol%より多いと、誘電率が低下するば
かりでなく、焼成体同士やジルコニアセッターとの融着
が激しくなってしまうためである。
【0018】請求項2に記載の誘電体磁器組成物は、請
求項1に記載の組成物において、さらに、MnO−Co
O−MgOの各成分が、それぞれ、MnO=0.05〜
0.5mol%、CoO=0.05〜0.5mol%、
MgO=0.1〜1.5mol%であることを特徴とし
ている。
【0019】この構成によれば、次のような作用が得ら
れる。すなわち、請求項1に記載の組成物において、M
nO−CoO−MgOからなる添加物の量は、上記のよ
うに0.002〜0.02の範囲に限定され、その各成
分の具体的な量は適宜設定可能であるが、請求項2に記
載の範囲に限定することが望ましい。さらに言えば、こ
の添加物の構成比率は、MnO−CoO/MgO≧0.
5となることが望ましい。
【0020】請求項3に記載の誘電体磁器組成物は、請
求項1に記載の組成物において、さらに、SiO2 −A
2 3 −BaO−CaO−Ta2 5 の各成分が、そ
れぞれ、SiO2 =0.5〜3mol%、Al2 3
0.05〜0.5mol%、BaO=0.5〜2mol
%、CaO=0.5〜2mol%、Ta2 5 =0.0
5〜0.5mol%であり、平均粒径が0.5ミクロン
以下のガラス成分であることを特徴としている。
【0021】この構成によれば、次のような作用が得ら
れる。すなわち、請求項1に記載の組成物において、S
iO2 −Al2 3 −BaO−CaO−Ta2 5 から
なるガラス成分の量は、上記のように0.005〜0.
05の範囲に限定され、その平均粒径や各成分の具体的
な量は適宜設定可能であるが、具体的には、請求項3に
記載の範囲に限定することが望ましい。
【0022】すなわち、ガラス成分の平均粒径を0.5
ミクロン以下としたのは、特に誘電体層を5ミクロンレ
ベルまで薄層化した場合に、ガラス成分の平均粒径をこ
のように限定することにより、耐圧が400V以上とな
る優れたMLCを実現できるためである。これに対し
て、SiO2 およびAl2 3 の量を上記の範囲に限定
したのは、この範囲外ではガラス化が困難になるためで
あり、BaOおよびCaOの量を上記の範囲に限定した
のは、この範囲外では誘電率が小さくなるためである。
【0023】また、Ta2 5 の量を上記の範囲に限定
したのは、0.05mol%より少ないとバレル処理時
のチッピングが多くなり、また耐圧も十分な値が得られ
ないばかりでなく、急速焼成時のクラックが生じるため
である。また逆に、0.5mol%より多い場合には、
容量温度特性がB特性を満たさないためである。
【0024】このガラス成分は、すでに仮焼された基本
成分である(Ba1-x Cax )TiO3 、但し、0.0
05≦x≦0.05、の組成式で表される組成物に、M
nO−CoO−MgOからなる添加物を0.2〜2mo
l%含むと共にY2 3 添加物を2.5mol%以下含
む仮焼粉に添加することが望ましい。
【0025】このような組成範囲にすることにより、1
300℃以下の還元雰囲気焼成温度で、良く知られてい
るJISのB特性を持つ誘電体材料を容易に得ることが
できる。すなわち、JISのB特性誘電体の基本的な性
能である1012Ωcmより大きな絶縁抵抗、5%以下の
小さな誘電損失、優れた高温負荷寿命特性、および30
00以上の大きな誘電率を満たしながらB特性の容量温
度範囲(±10%以内)を持つ誘電体材料を得ることが
できる。
【0026】請求項4に記載の製造方法は、内部電極と
誘電体を交互に積層して積層体を形成し、この積層体を
焼成して積層セラミクスコンデンサを製造する方法にお
いて、請求項1から請求項3に記載された誘電体磁器組
成物の中から選択された組成物を誘電体として使用する
ことを特徴としている。この方法によれば、請求項1〜
3に記載された組成物が、水系のバインダを使用して良
好にスラリー化可能であり、急速焼成でもクラックを生
じることなく良好に焼結可能である。すなわち、この組
成物を用いて急速焼成を行うことができるため、熱効率
を改善でき、それによって環境性を向上できると共に、
ピンホールやチッピングを防止して電気的特性を向上で
きる。
【0027】請求項5に記載の製造方法は、請求項4に
記載の方法において、積層体として、上記組成物からな
る誘電体と、NiおよびNi−Ta合金からなる少なく
とも2層の内部電極を有する積層体を形成することを特
徴としている。この方法によれば、NiおよびNi−T
a合金からなる少なくとも2層の内部電極を有すること
により、コンデンサの信頼性を向上できる。具体的に
は、Niに対して10%以下のTaを添加することによ
り、3ミクロン以下の誘電体層を持つMLCにおいても
250V以上の耐圧を持つMLCを作製することができ
る。しかし、金属の電気抵抗の観点からはTaの添加量
は3%以下が望ましい。
【0028】請求項6に記載の製造方法は、請求項4に
記載の方法において、上記積層体を、1200〜130
0℃、酸素分圧10-8〜10-13 atmの還元雰囲気で
焼成し、その後に、600〜1100℃、2×10-1
1×10-7atmの酸素分圧の雰囲気で熱処理すること
を特徴としている。この方法によれば、上記組成物を1
300℃以下の還元雰囲気で焼成することで、JISの
B特性を持つ誘電体層を効率よく生成することができる
ため、電気的特性に優れたMLCを効率よく作製するこ
とができる。したがって、熱効率および環境性を向上で
きる。
【0029】請求項7に記載の方法は、請求項4に記載
の方法において、上記積層体を、上記誘電体磁器組成物
の焼結粒子が0.2〜2ミクロンとなる条件で焼成し、
熱処理することを特徴としている。この方法によれば、
誘電体組成の焼結粒子を0.2〜2ミクロンとすること
により、特に誘電体層を5ミクロンレベルまで薄層化し
た場合に、焼結粒子の粒径をこのように限定することに
より、耐圧の優れたMLCを実現できる。
【0030】請求項8に記載の方法は、請求項4に記載
の方法において、上記誘電体磁器組成物をスラリー化す
る際に分散媒体として水系溶剤を用いることを特徴とし
ている。この方法によれば、誘電体磁器組成物を水系溶
剤を用いて良好にスラリー化可能であり、泡の発生等を
抑えてピンホールの発生を防止でき、焼成後のバレル処
理時におけるチッピングの発生を防止できるため、量産
性を向上できる。また、有機溶剤を使用する場合に比べ
て、環境性を格段に向上できる。
【0031】請求項9に記載の方法は、請求項4に記載
の方法において、上記積層体を、金属板セッター上に置
き、600〜1500℃/時間の昇温速度で1200〜
1300℃まで昇温させ、数時間保持し、その後に、6
00〜1500℃/時間の降温速度で室温まで降下させ
ることを特徴としている。この方法によれば、急速焼成
を行うことにより、熱効率を向上でき、それによって環
境性を向上できる。
【0032】請求項10に記載の方法は、請求項9に記
載の方法において、上記金属板セッターが、W、Mo、
Pt、Ni−Cr−Fe系、およびFe−Cr−Co−
Al系のいずれか一つを含む金属板であることを特徴と
している。この方法によれば、金属板セッターの材料を
限定したことにより、急速焼成時の急激な熱衝撃に対し
ても金属板セッターの変形や破損等の発生を防止できる
ため、その上に置いた積層体を良好に保持することがで
き、MLCを良好に製造することができる。
【0033】請求項11に記載の方法は、請求項9に記
載の方法において、上記金属板セッターが、W、Mo、
Pt、Ni−Cr−Fe系、およびFe−Cr−Co−
Al系のいずれか一つを含む金属板であり、その上部が
セラミクスでコートされていることを特徴としている。
この方法によれば、金属板セッターの材料を限定し、さ
らに、その上部をセラミクスでコートしたことにより、
急速焼成時の急激な熱衝撃に対しても金属板セッターの
変形や破損等の発生を防止できるため、その上に置いた
積層体を良好に保持することができ、MLCを良好に製
造することができる。
【0034】請求項12に記載の積層セラミクスコンデ
ンサは、請求項4から請求項11に記載の方法の中から
選択された方法により製造されたことを特徴としてい
る。すなわち、請求項4〜11の各製造方法は、前述し
た通り、熱効率、量産性、および環境性に優れた製造方
法であり、そのような優れた製造方法によって、優れた
電気的特性を持つ、小型・高性能で信頼性の高い積層セ
ラミクスコンデンサを得ることができる。特に、本発明
は、誘電体層を5ミクロンレベルまで薄層化した小型・
多層の積層セラミクスコンデンサに好適である。
【0035】
【実施例】以下には、本発明の具体的実施例を挙げ、本
発明をさらに詳細に説明する。
【0036】[1.製造工程] [誘電体スラリーの作製]誘電体ベース材料の作製に当
たっては、まず、粒径0.2〜1ミクロンのBaTiO
3 、CaTiO3 、(MgCO3 4 ・Mg(OH)2
・5H2 O、MnCO3 、Co2 3 ,Y2 3 、の各
材料粉末をそれぞれ所定量秤量した。そして、これらの
材料をボールミルにより16時間湿式混合し、次いでス
プレードライヤーで乾燥させて、1000〜1200℃
で2時間の仮焼を行った。その後にボールミルを用いて
粉砕を行い、平均粒径が0.3〜1.0ミクロンの誘電
体ベース材料を得た。
【0037】ガラス成分材料の作製に当たっては、ま
ず、SiO2 、BaCO3 、CaCO3 、Al2 3
よびTa2 5 、の各材料粉末をそれぞれ所定量秤量し
た。そして、これらの材料を白金るつぼに入れ、130
0℃で4時間の溶融を行い、得られた溶解物を水中に投
下してガラス化した。その後にジェットミルなどの粉砕
機を用いて平均粒径が0.2〜0.5ミクロンのガラス
粉末を得た。
【0038】以上のようにして得られた誘電体ベース材
料とガラス粉末から、各材料の混合比率の異なる複数の
誘電体原料を作製した。各誘電体原料1000gに対し
て、水とエチルアルコールおよび分散剤を80:19:
1で混合した溶剤を700g入れ、ホモジナイザーを用
いて分散させた。この混合物を、通常の良く知られてい
る分散方法であるボールミルやアトリッションミルを用
いて20時間分散させた後、さらに水性エマルジョンと
アクリル樹脂と可塑剤を含む溶液を入れて、複数種類の
スラリーを作製した。なお、これらのスラリーの粘性
は、いずれも約200cpsに調整した。
【0039】[グリーンチップの作製]得られた誘電体
スラリーを用いて、ドクターブレード装置により、PE
Tフィルム上に5〜10ミクロンの厚さを持つグリーン
シートを作製した。このグリーンシート上に、内部電極
用ペーストを2ミクロンの厚さで印刷した。ここで、内
部電極用ペーストとしては、平均粒径0.5ミクロンの
Ni粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチルセルロ
ース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量部に溶
解したもの)40重量部、およびブチルカルビトール1
0重量部を、3本ロールにより混練し、ペースト化した
ものを使用した。次いで、PETフィルムからシートを
剥離して積層し、80℃で1トンの静水圧を用いて加圧
接着してグリーンチップを得た。積層数は100層とし
た。
【0040】[切断・熱処理]図1に示すように、得ら
れたグリーンチップを所定サイズに切断して、これらの
チップ1をPt金属板上にジルコニアをコートしてなる
セッター2に搭載し、 脱バインダ処理、焼成、およびアニールを下記の
条件にて連続的に行ない、コンデンサチップ体を作製し
た。
【0041】脱バインダ処理 「昇温速度:15℃/時間、保持温度:280℃、温度
保持時間:8時間、雰囲気ガス:空気中」 焼成 「昇温速度:1000℃/時間、保持温度:1280
℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:1000℃/時
間、雰囲気ガス:加湿したN2 とH2 との混合ガス、酸
素分圧:10-12 atm」(ただし、実施例21の試料
については、1240℃で焼成を行った。) アニール 「保持温度:1000℃、温度保持時間:8時間、昇
温、降温速度:600℃/時間、雰囲気ガス:加湿した
2 ガス、酸素分圧:10-6atm」 なお、この一連の処理において、それぞれの雰囲気ガス
の加湿にはウェッターを用いた。
【0042】[バレル処理・外部電極の形成]得られた
コンデンサチップ体の端面をバレル処理により研磨した
後、この端面に外部電極用ペーストを転写した。ここ
で、外部電極用ペーストとしては、平均粒径0.5ミク
ロンのCu粒子100重量部と、有機ビヒクル(エチル
セルロース樹脂8重量部をブチルカルビトール92重量
部に溶解したもの)35重量部、およびブチルカルビト
ール7重量部とを混練し、ペースト化したものを使用し
た。次いで、このコンデンサチップ体を、N2 +H2
囲気中で800℃にて10分間焼成して外部電極を形成
し、積層型セラミックチップコンデンサのサンプルを得
た。
【0043】[2.誘電体組成の差異による特性比較]
以上の製造工程によって、3.2×1.6mmおよび
5.0×5.7mmという2種類のサイズのサンプルを
製造した。これらのサンプルにおいて、有効誘電体層の
厚さは5ミクロン、積層数は100層であり、内部電極
層の厚さは約1.5ミクロンであった。次の表1は、こ
のようにして得られた各サンプルの誘電体層の組成を示
している。
【0044】
【表1】
【0045】この表1において、実施例1〜21は、本
発明に係る組成であり、参考例1〜10は、本発明の範
囲外の組成である。そして、この表1に示すような誘電
体組成を持つ複数のサンプルの各々について、グリーン
シートのピンホール、焼成後のクラック数、バレル処理
後のチッピング数の外観検査を行うと共に、容量の温度
特性、誘電率、誘電損失、耐圧、絶縁抵抗等を測定した
ところ、下記の表2に示すような結果が得られた。な
お、この場合の検査および測定の詳細は、次の通りであ
る。
【0046】外観検査 グリーンシートのピンホールは、シートを1cm2 に切
断して50倍の顕微鏡で観察し、ピンホールの有無を調
べた。ピンホールがある場合には、その数を記載した。
焼成後のクラック数は、各組成毎に20個のサンプルを
使用して、目視により各組成20個中におけるクラック
発生数をそれぞれ求めた。バレル後のチッピング数は、
各組成毎に20個のサンプルを使用して、回転バレル装
置に1mm径のアルミナボールと800番のアルミナ研
磨剤を入れ、60rpmで3時間回転させてバレル処理
を行い、その後に肉眼でエッジの欠けを観察し、各組成
20個中におけるチッピング発生数をそれぞれ求めた。
【0047】容量の温度特性 容量の温度特性は、JISのB特性を満足するか否かを
調べた。具体的には、LCRメータにより、−25〜8
5℃について測定電圧1Vで容量を測定し、容量変化率
が±10%以内(基準温度20℃)を満足するか否かを
調べた。満足する場合を○、満足しない場合を×とし
た。
【0048】比誘電率εsおよび誘電損失 20℃における静電容量を測定し、電極面積と誘電体の
厚みから比誘電率を測定した。
【0049】耐圧 素子に電圧を印可して電流が10mA以上が流れた電圧
を耐圧とした。測定数は各組成毎に5個として、その平
均を求めた。
【0050】
【表2】
【0051】この表2から明らかなように、本発明に係
る誘電体組成を持つサンプル(実施例1〜21)の各特
性は、いずれも本発明の範囲外の誘電体組成を持つサン
プル(参考例1〜10)に比べて格段に優れている。
【0052】すなわち、実施例1〜21の各特性から明
らかなように、本発明に係る誘電体組成を用いた場合に
は、1000℃/時間の昇温のような急速な焼成条件で
焼成を行っても素子にクラックが生じることはなく、バ
レル処理後のチッピングも生じない。また、水系バイン
ダを用いてシート成形を行ってもピンホールの発生が極
めて少なく、結果として、大型サイズでも耐圧に優れた
MLCを製造することができる。
【0053】[3.内部電極組成の差異による特性比
較]以下には、前述した製造工程によって得られたサン
プルのように内部電極にNiを用いた場合と、Ni−T
aの合金を用いた場合との比較について説明する。一例
として、表1に示す実施例8と同じ誘電体組成を持ち、
内部電極に1%のTaを添加したNi金属を用いたサン
プルを実施例22として、表2と同様の特性を調べたと
ころ、下記の表3に示すような結果が得られた。
【0054】すなわち、表3は、内部電極用金属の組成
のみが異なる以外は全く同じ条件で作製された、本発明
に係る同じ誘電体組成を持つ同サイズの2種類のサンプ
ルとして、Ni金属のみを用いた実施例8と、1%のT
aを添加したNi金属を用いた実施例22の各特性をそ
れぞれ示している。
【0055】
【表3】
【0056】この表3から明らかなように、実施例22
の耐圧や絶縁抵抗は、実施例8に比べて大幅に向上して
いる。このことは、内部電極用金属として、Ni金属の
みを用いた場合よりも、Ni−Ta合金を用いることに
よって、耐圧を向上でき、さらに、絶縁抵抗を向上でき
ることを実証するものである。さらに、200℃で50
Vを印加する高温加速寿命試験を行ったところ、絶縁抵
抗が106 Ω以下に低下するまでの時間は、実施例8で
は平均10時間であるのに対して、実施例22では平均
20時間まで向上していた。これらの結果から、内部電
極用金属として、Ni−Ta合金を用いることによっ
て、各種の特性を向上できることは明らかである。
【0057】[4.バインダの差異による特性比較]以
下には、前述した製造工程によって得られたサンプルの
ように誘電体組成物をスラリー化する際のバインダとし
て水系バインダを用いた場合と、有機溶剤を用いた場合
との比較について説明する。一例として、表1に示す実
施例8と同じ誘電体組成について有機溶剤を用いたサン
プルを実施例23とし、また、参考例5と同じ誘電体組
成について有機溶剤を用いたサンプルを参考例11とし
て、表2と同様の特性を調べたところ、下記の表4に示
すような結果が得られた。
【0058】すなわち、表4は、バインダが異なる以外
は全く同じ条件で作製された、本発明に係る同じ誘電体
組成を持つ同サイズの2種類のサンプルとして、水系バ
インダを用いた実施例8と有機溶剤を用いた実施例23
の各特性をそれぞれ示すと共に、本発明の範囲外の同じ
誘電体組成を持つ同サイズの2種類のサンプルとして、
水系バインダを用いた参考例5と有機溶剤を用いた参考
例11の各特性をそれぞれ示している。
【0059】
【表4】
【0060】この表4から明らかなように、有機溶剤を
用いて作製した実施例23の特性は、水系バインダを用
いて作製した実施例8とほぼ同等である。これに対し
て、本発明の範囲外の誘電体組成を用いた参考例5およ
び参考例11においては、水系バインダを用いた場合と
有機溶剤を用いた場合との間の差が大きい上、得られた
特性も十分ではない。このことは、本発明に係る組成物
を用いることにより、バインダの種類に関わらず、良好
な特性を安定して得られることを実証するものである。
【0061】[5.他の作用・効果]さらに、前記製造
工程中においては、誘電体のガラス成分材料として、S
iO2 、BaCO3 、CaCO3 、Al2 3 およびT
2 5 、の各材料粉末をそれぞれ用いたが、本発明に
おいて、誘電体ベース材料であるチタン酸バリウム系材
料にガラス成分としてTa2 5 を添加することは必須
である。このようにTa2 5 を添加することにより、
粒界に選択的にTa2 5 を析出させることが可能とな
る。ガラス成分として、Ta2 5 を含まない材料を添
加した場合には、その効果がかなり小さくなる。
【0062】[6.他の実施例]なお、本発明は、前記
実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他
にも多種多様な変形例を実施可能である。例えば、誘電
体磁器組成物の具体的な組成は、本発明の範囲内で適宜
選択可能である。同様に、電極用金属の組成やバインダ
の組成等も、適宜選択可能である。さらに、具体的な製
造工程や各工程の条件も適宜選択可能である。例えば、
脱バインダ処理や焼成、アニールにおける温度条件や昇
温・降温速度条件、雰囲気ガス条件等は、適宜選択可能
である。これに関連して、前記実施例においては、還元
雰囲気での焼成について説明したが、酸化雰囲気でも同
等な特性が得られることは明らかである。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
水系のバインダを使用して良好にスラリー化可能であ
り、急速焼成でもクラックを生じることなく良好に焼結
可能で、バレル処理後にチッピングが生じにくく、積層
セラミクスコンデンサ用として好適な誘電体磁器組成物
を提供することができる。
【0064】そして、そのような組成物を用いて、大型
の場合でも耐圧に優れ、JISのB特性を満たすことが
可能な、高性能で信頼性の高い積層セラミクスコンデン
サを提供することができる。さらに、そのような優れた
積層セラミクスコンデンサを製造可能な、熱効率、量産
性、および環境性に優れた製造方法を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミクスコンデンサの製造
工程を示す概念図である。
【符号の説明】
1…チップ 2…セッター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東海林 大成 東京都青梅市東青梅1丁目167番地の1 日本ケミコン株式会社内 (72)発明者 仲野 裕一 東京都青梅市東青梅1丁目167番地の1 日本ケミコン株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (Ba1-x Cax )TiO3 、但し、
    0.005≦x≦0.05、の組成式で表される組成物
    に、MnO−CoO−MgOからなる添加物を0.2〜
    2mol%含むと共にY2 3 添加物を2.5mol%
    以下含み、さらに、SiO2 −Al2 3 −BaO−C
    aO−Ta2 5 からなるガラス成分を0.5〜5mo
    l%加えたことを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 上記組成物のMnO−CoO−MgOの
    各成分が、それぞれ、MnO=0.05〜0.5mol
    %、CoO=0.05〜0.5mol%、MgO=0.
    1〜1.5mol%であることを特徴とする請求項1記
    載の誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 上記組成物のSiO2 −Al2 3 −B
    aO−CaO−Ta2 5 の各成分が、それぞれ、Si
    2 =0.5〜3mol%、Al2 3 =0.05〜
    0.5mol%、BaO=0.5〜2mol%、CaO
    =0.5〜2mol%、Ta2 5 =0.05〜0.5
    mol%であり、平均粒径が0.5ミクロン以下のガラ
    ス成分であることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁
    器組成物。
  4. 【請求項4】 内部電極と誘電体を交互に積層して積層
    体を形成し、この積層体を焼成して積層セラミクスコン
    デンサを製造する方法において、 上記請求項1から請求項3に記載された誘電体磁器組成
    物の中から選択された組成物を誘電体として使用するこ
    とを特徴とする積層セラミクスコンデンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記積層体として、上記組成物からなる
    誘電体と、NiおよびNi−Ta合金からなる少なくと
    も2層の内部電極を有する積層体を形成することを特徴
    とする請求項4記載の積層セラミクスコンデンサの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 上記積層体を、1200〜1300℃、
    酸素分圧10-8〜10-13 atmの還元雰囲気で焼成
    し、その後に、600〜1100℃、2×10-1〜1×
    10-7atmの酸素分圧の雰囲気で熱処理することを特
    徴とする請求項4記載の積層セラミクスコンデンサの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 上記積層体を、上記誘電体磁器組成物の
    焼結粒子が0.2〜2ミクロンとなる条件で焼成し、熱
    処理することを特徴とする請求項4記載の積層セラミク
    スコンデンサの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記誘電体磁器組成物をスラリー化する
    際に分散媒体として水系溶剤を用いることを特徴とする
    請求項4記載の積層セラミクスコンデンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記積層体を、金属板セッター上に置
    き、600〜1500℃/時間の昇温速度で1200〜
    1300℃まで昇温させ、数時間保持し、その後に、6
    00〜1500℃/時間の降温速度で室温まで降下させ
    ることを特徴とする請求項4記載の積層セラミクスコン
    デンサの製造方法。
  10. 【請求項10】 上記金属板セッターが、W、Mo、P
    t、Ni−Cr−Fe系、およびFe−Cr−Co−A
    l系のいずれか一つを含む金属板であることを特徴とす
    る請求項9記載の積層セラミクスコンデンサの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 上記金属板セッターが、W、Mo、P
    t、Ni−Cr−Fe系、およびFe−Cr−Co−A
    l系のいずれか一つを含む金属板であり、その上部がセ
    ラミクスでコートされていることを特徴とする請求項9
    記載の積層セラミクスコンデンサの製造方法。
  12. 【請求項12】 上記請求項4から請求項11に記載の
    方法の中から選択された方法により製造されたことを特
    徴とする積層セラミクスコンデンサ。
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