JPH11241606A - 可変動弁機構 - Google Patents

可変動弁機構

Info

Publication number
JPH11241606A
JPH11241606A JP4552398A JP4552398A JPH11241606A JP H11241606 A JPH11241606 A JP H11241606A JP 4552398 A JP4552398 A JP 4552398A JP 4552398 A JP4552398 A JP 4552398A JP H11241606 A JPH11241606 A JP H11241606A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
lock
oil
hole
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP4552398A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinichi Murata
真一 村田
Atsushi Isomoto
淳 磯本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP4552398A priority Critical patent/JPH11241606A/ja
Publication of JPH11241606A publication Critical patent/JPH11241606A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カム位相可変装置の回転バランスを高めて、
同装置の回転振動を防止する。 【解決手段】 カム位相可変装置は、内燃機関のクラン
ク軸と同期回転するカムプーリと一体回転可能なベーン
ハウジング(32)と、該ハウジングに対して相対回転
可能かつカムシャフトと一体回転可能に設けられたベー
ンロータ(40)とを有している。ベーンロータには4
つのベーン(44)が装置回転中心に関して同一円周上
に等角度間隔で設けられ、各ベーンにはロック機構(7
0)が設けられている。直径方向に互いに対向する2つ
のベーンの一方のロック機構は他方のベーンのロック機
構に対するバランス手段として機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のクラン
ク軸と同期回転可能な回転伝達部材に対するカムシャフ
トの回転位相を油圧により可変調整する可変動弁機構に
関し、特に、ベーン部材をロックするロック機構の配設
に伴うカムシャフト回転軸線まわりの回転バランスの変
化を補償して回転振動を防止したベーン式カム位相可変
装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】油圧ベーン式カム位相可変装置
は、クランク軸と同期回転する回転伝達部材と一体回転
可能な収容部材と、この収容部材内に収容されたベーン
を有しカムシャフトと一体回転可能なベーン部材とを含
み、ベーンと収容部材との間に形成された油室に対して
圧油を給排することによりカム位相を変化させて吸気弁
と排気弁とのバルブオーバラップ期間を可変調整するも
ので、エンジン始動性やエンジン出力の向上に寄与す
る。油圧ベーン式カム位相可変装置には、比較的廉価に
製造可能であるという利点がある一方で、エンジン始動
時にカム位相が変動するという欠点がある。
【0003】すなわち、エンジンの運転停止に伴ってカ
ム位相可変装置の油室への圧油供給が停止すると、エン
ジン上部に位置する油室内の圧油がシリンダヘッド内へ
抜け、圧油を介するベーンと収容部材との結合が解除さ
れ、ベーンは収容部材内で自由に回転可能になる。この
様な状態でのエンジン始動中、吸気弁または排気弁の開
弁から最大リフトまでの期間ではカム回転を抑制する負
の駆動トルクがカムを介してカムシャフトに加わり、最
大リフトから閉弁までの期間ではカム回転を促進する正
の駆動トルクがカムシャフトに加わる。この結果、圧油
による拘束のないベーンが収容部材内で移動してカム位
相が変動し、失火が発生し易くなる。
【0004】上記の駆動トルクによるカム位相ずれを防
止するため、特開平9−60508号公報に記載のバル
ブタイミング調整装置は、ベーンロータ9(この参照符
号は公報に記載のものである)を最遅角位置にロックす
るロック機構を有している。ベーンロータ9のベーン9
a、9bは、チェーンスプロケット1及びフロントプレ
ート4と共にハウジング部材を構成するシューハウジン
グ3のシュー3a、3bにより形成された扇状空間部に
収容されている。
【0005】上記のロック機構は、一方のベーン9aに
形成した収容孔8に収容される大径部とフロントプレー
ト4に形成したストッパ穴20に嵌合する小径部とから
なるストッパピストン7と、収容孔内に配されピストン
7をフロントプレート側へ付勢するスプリング18と、
収容孔内でピストン小径部とベーン内壁との間に介在す
るガイドリング19とを有している。ガイドリングとピ
ストン大径部との間においてベーンロータには遅角油圧
室に連通する油圧室23が形成され、ストッパ穴とピス
トン小径部との間においてフロントプレートには進角油
圧室に連通する油圧室24が形成されている。そして、
油圧室23、24への圧油供給がなくかつベーンが最遅
角位置にあるときにスプリング18の付勢力によりピス
トン7がストッパ穴20に嵌合する一方、いずれかの油
圧室に圧油が供給されたときにピストンがストッパ穴か
ら離脱してロックが解除される。
【0006】上記のバルブタイミング調整装置では、一
方のベーン9aのみにロック機構が設けられるため、ロ
ック機構の配設に伴ってカムシャフト回転軸線まわりの
装置全体の回転バランスが悪化する。また、特開平1−
92504号公報に記載された弁開閉時期制御装置は、
クランクプーリに連結されたタイミングプーリ1を備
え、該プーリの内周部1aにはカムシャフト4と一体の
内部ロータ3が相対回転可能に嵌合され、内部ロータ3
の板状ベーン2は、プーリ内周部1aに形成されたオイ
ル溝に挿入されている。各ベーンの両側に形成された圧
力室8、8aの一方へオイルが供給されると、プーリ内
周部の収容穴に配されたノックピン22または22’が
スプリング23の付勢力に抗して内部ロータ3の穴24
または24’から離脱してベーンが回転し、タイミング
プーリに対するカムシャフトの回転位相が変化する。ノ
ックピン22または22’が穴24’または24に整合
する位置までベーンが回転すると、ノックピン22また
は22’がスプリング23の付勢力を受けて穴24’ま
たは24に嵌入して、変化後の回転位相が維持される。
【0007】上記の弁開閉時期制御装置では、一方のノ
ックピン22または22’が穴24または24’に嵌入
すると他方のノックピンは穴から必ず離脱するため、ロ
ック機構22、22’、24及び24’の配設に伴って
カムシャフト軸線まわりの装置全体の回転バランスが悪
化する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来装置のロック
機構において、ベーン内に摺動可能に配されベーンをロ
ックするストッパピストンやノックピン(より一般的に
は可動体)には摺動摩擦力や回転トルクが加わるので、
一般に、ストッパピストンやノックピンを鉄系材料で構
成してその機械的強度や耐摩耗性を図る必要があり、そ
の重量ひいては回転慣性が大きくなる。この様なストッ
パピストンやノックピンを含むロック機構を設けること
により装置の回転バランスが悪化すると、装置に発生し
た回転振動がカムシャフトに伝わり、エンジンに振動が
生じる。また、カムシャフト軸受けに偏荷重が加わり、
カムシャフト軸受けにフリクション増大や焼き付きが生
じることがある。更には、カムシャフトに回転変動が生
じて吸排気弁のリフト量が設計どおりに変化せずにエン
ジン運転が不調になることがある。
【0009】本発明の目的は、ロック機構の配設に伴う
回転バランスの変化を補償して回転振動の発生を防止す
るようにした可変動弁機構を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の可変動弁機構
は、内燃機関のクランク軸から回転力が伝達される回転
伝達部材と一体回転可能な収容部材内に、或いは、カム
シャフトと一体回転可能でかつ収容部材に対して相対回
転可能なベーン部材内に移動可能に配された可動体を有
しベーン部材を収容部材に対して解除可能にロックする
ロック機構と、このロック機構の配設に伴うカムシャフ
トまわりの回転バランスの変化を補償するバランス手段
とを備えることを特徴とする。
【0011】上記構成の可変動弁機構では、ロック機構
の配設に伴って可変動弁機構に生じるカムシャフトまわ
りの回転バランス変化がバランス手段により補償されて
可変動弁機構全体の回転バランス取りが予めなされてい
る。このため、可変動弁機構の回転振動は少なく、内燃
機関の振動が防止または低減される。また、可変動弁機
構の回転振動に起因するカムシャフト軸受けへの偏荷重
の印加が防止または低減されるので、カムシャフト軸受
けでのフリクション増大や焼き付き、更には、カムシャ
フトの回転変動に起因するエンジン運転の不調が防止さ
れる。
【0012】本発明において、好ましくは、ベーン部材
は、周方向に等角度間隔で設けられた複数のベーン部を
有し、収容部材は、ベーン部と同数のベーン収容部を有
し、可変動弁機構は一つ以上のロック機構を有する。各
ロック機構の可動体は、複数のベーン部または複数のベ
ーン収容部のうちの一つに配される。好ましくは、この
可動体が配されるベーン部を収容するベーン収容部、ま
たは、可動体が配されるベーン収容部に収容されるベー
ン部には、可動体が離脱可能に嵌入するロック穴が形成
される。各ロック機構に対応するバランス手段は、複数
のベーン部または複数のベーン収容部のうち、このロッ
ク機構を設けたベーン部またはベーン収容部以外の一つ
以上のベーン部または一つ以上のベーン収容部に設けら
れる。
【0013】この様に、本発明では、ロック機構の数
は、一つでも良く、複数でも良い。ロック機構の数を少
なくすることにより低コスト化が図られる。また、一つ
のロック機構に対応するバランス手段の数は、一つでも
良く、複数であっても良い。換言すれば、ベーン部が奇
数個である場合または偶数個である場合のいずれにおい
ても可変動弁機構全体の回転バランスをとることができ
る。
【0014】最も単純には、複数のベーン部または複数
のベーン収容部の全てにロック機構の可動体が配され
る。ベーン部同士は互いに等しい周方向角度間隔でベー
ン部材に設けられると共に互いに同一形状・寸法にされ
る。ベーン収容部同士についても同様である。また、ロ
ック機構は、互いに同一構成にされ、また、可変動弁機
構の回転軸線ひいてはカムシャフト回転軸線に関して同
一円周上に互いに等角度間隔で配される。
【0015】この好適態様では、それぞれのロック機構
は、ロック動作およびロック解除動作するばかりでな
く、バランス手段としても機能する。この様にロック機
構にロック機能とバランス取り機能とを併有させると、
装置構成が単純になり、装置が低廉になる。ベーン部
は、奇数個でも偶数個でも良い。例えば、ベーン部が偶
数個設けられる場合、すなわち、偶数個のベーン部がカ
ムシャフト回転軸線に関して同一円周上に等角度間隔で
ベーン部材に設けられる場合、カムシャフト回転軸線に
関して直径方向に互いに対向する2つのベーン部が一組
または複数組得られる。ベーン収容部についても同様で
ある。この様な構成において偶数個のベーン部または偶
数個のベーン収容部の全てにロック機構を設けると、各
組のロック機構を構成する2つのロック機構は、直径方
向に互いに対向して配され、回転バランス上は互いに反
対方向に作用する。換言すれば、一方のロック機構は、
他方のロック機構に対するバランス手段として作用す
る。
【0016】本発明の別の態様では、バランス手段の各
々は、ベーン部またはベーン収容部(例えば、ロック機
構付きベーン部またはロック機構付きベーン収容部に直
径方向に対向するベーン部またはベーン収容部)を例え
ば穴加工により除肉したり或いは追加ウエイトを付与す
ることにより構成される。本発明において、ロック機構
は種々に構成可能である。
【0017】好ましくは、ロック機構は、ベーン部材内
に配された可動体を付勢手段により付勢して収容部材の
ロック穴へ可動体を嵌入させてロック動作し、遅角側油
室への油圧供給時と進角側油室への油圧供給時に油圧を
ロック穴へ導いて可動体をロック穴から離脱させてロッ
ク解除動作する。この好適態様では、ベーン部材が相対
回転して可動体がロック穴に整合すると、遅角側または
進角側油室への油圧供給がなければ、付勢手段の付勢力
により可動体がロック穴に嵌入してベーン部材がロック
される。一方、遅角側または進角側油室への油圧供給が
行われると、いずれの場合にも油圧がロック穴へ導入さ
れて可動体が反ロック穴側へ付勢され、可動体がロック
穴から離脱してロックが解除される。この様に、遅角側
油室からの油圧と進角側油室からの油圧をロック穴とい
う同一部位にロック解除油圧として作用させるため、ロ
ック解除油圧供給経路の大部分が一系統にまとめられて
ロック機構がコンパクトになり、可変動弁機構の小型軽
量化が図られる。
【0018】上記の好適態様において、好ましくは、進
角側油室への油圧供給と遅角側油室への油圧供給に応じ
て進角側または遅角側油室からの油圧をロック穴へ選択
的に導入する切替バルブが設けられる。例えば、切替バ
ルブは、ベーン部に形成したバルブピストン孔に収容さ
れたバルブピストンを有する。バルブピストン孔は、ベ
ーン部および可動体のそれぞれに形成したロック解除油
圧供給用の油路を介してロック穴に連通すると共に進角
側油室および遅角側油室に連通可能にされている。進角
側油室への油圧供給時、バルブピストンは、進角側油室
とバルブピストン孔とを連通させると共に遅角側油室と
バルブピストン孔との連通を遮断する。遅角側油室への
油圧供給時、バルブピストンは、遅角側油室とバルブピ
ストン孔とを連通させると共に進角側油室とバルブピス
トン孔との連通を遮断する。
【0019】この好適態様によれば、ロック穴への油圧
導入すなわちロック解除を的確に行える。また、切替バ
ルブをベーン部に設けることができる。更には、ロック
解除油圧供給経路の大部分が一系統にまとめられる。本
発明の別の態様では、ロック機構は、油圧供給手段から
ベーン部と収容部材との間の遅角側油室への圧油供給に
よりベーン部材が所定遅角位置まで回転したときに可動
体をロック穴に嵌入させる一方、ベーン部と収容部材と
の間の進角側油室への油圧供給により可動体をロック穴
から離脱させる。
【0020】この好適態様では、遅角側油室への圧油供
給によりベーン部材が収容部材に対して相対回転すると
共に、可動体の一端部に圧油が供給されて可動体がロッ
ク穴側へ付勢される。従って、可動体がロック穴に整合
すると、可動体がロック穴に嵌入してベーン部材がロッ
クされる。一方、進角側油室への圧油供給に伴って可動
体の他端部に圧油が供給されて可動体が反ロック穴側へ
付勢されると、可動体がロック穴から離脱してロックが
解除される。この様に、スプリングなどの付勢手段、な
らびに、ロック解除用の複数系統の圧油供給系を用いず
に、ベーン部材のロック及びロック解除が行われる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施形態によ
る可変動弁機構としてのベーン式カム位相可変装置を説
明する。本実施形態のカム位相可変装置は、DOHCエ
ンジンの吸気側カムシャフトに付設されて排気弁に対す
る吸気弁のオーバラップ量を可変制御するもので、以下
の説明では吸気弁側の構成を主に説明する。但し、本装
置は、エンジンの排気側または吸排気側の双方に配設可
能である。
【0022】図1において、DOHCエンジンのシリン
ダヘッドとその上方に配されたロッカーカバー2(二点
鎖線で模式的に示す)との接合部位には、吸気側のカム
シャフト10を回転自在に支持するカムジャーナル15
が設けられている。カムシャフト10には、ロッカアー
ムを介して吸気弁に当接するカム4が形成され、カムシ
ャフト10の回転につれて吸気弁が開閉するようになっ
ている。
【0023】エンジンのクランク軸(図示略)は、ベル
トやチェーンなどの回転力伝達要素(図示略)を介して
吸気側のカムプーリやカムスプロケット(回転伝達部材
20)に連結されている。本実施形態の回転力伝達要素
は、軽量化及びコスト低減を図るため例えば合成樹脂製
の歯付きベルトにより構成され、回転伝達部材20はカ
ムプーリで構成されている。カムプーリ20は、円板状
の主体部22と、歯付きベルトと噛み合う歯付きフラン
ジ24と、カムシャフト10の端部に外嵌されたボス部
26とを有している。即ち、カムプーリ20は、カムシ
ャフト10と同軸に配されると共にカムシャフト10に
より回転可能に支持され、歯付きベルトを介して伝達さ
れるクランク軸の回転力を受けて回転するようになって
いる。
【0024】本実施形態のカム位相可変装置は、後で詳
述するように装置各部の回転慣性、重量及び外形寸法の
低減ならびに装置の回転バランスの向上をも企図してい
る。これに関連して、カムプーリ主体部22の外周側に
は、カムプーリ20の回転慣性及び重量の低減のため、
例えば4つの溝孔22a(図2)が形成されている。図
2中、参照符号20aは、クランク軸に対するカムシャ
フト10の位相差決めに供されるマークを示す。
【0025】カムプーリ20のボス部26及びカムジャ
ーナル15の対向周面間には、エンジン外部への油漏れ
を防止するリング状のオイルシール17が配されてい
る。カムシャフト10回りの潤滑などに用いられた油
は、カムジャーナル15に形成された油路15cを介し
てエンジン内部に戻される。カム位相可変装置は、例え
ば4本のボルト23(図4)によりカムプーリ主体部2
2の外方端面に固定されてカムプーリ20と一体回転可
能なベーンハウジング(収容部材)30と、ボルト14
によりカムシャフト10の端面に固定されてカムシャフ
ト10と一体に回転可能なベーンロータ(ベーン部材)
40とを有し、両要素30、40はカムシャフト10お
よびカムプーリ20と同軸に配されている。ベーンハウ
ジング30およびベーンロータ40は、例えばアルミニ
ウムなどを基材とする軽合金からなる素材を押し出し成
形したもので、重量及び回転慣性の低減が図られてい
る。この様に回転慣性が小さいカム位相可変装置にあっ
ては、クランク軸とカムプーリ20とを連結する回転力
伝達要素に加わる負荷が小さくなり、従って、この回転
力伝達要素を上記のようなベルトで構成可能になる。な
お、以下において、カム位相可変装置での要素配列や回
転バランス等に関連して、要素10,20,30及び4
0を一括してカム駆動系と称することがある。
【0026】ベーンロータ40は、これを収容するベー
ンハウジング30との間に供給される圧油を介してベー
ンハウジング30と駆動的に連結された状態でハウジン
グ30と一体に回転するようにされている。クランク軸
の回転力は、カムプーリ20、ベーンハウジング30お
よびベーンロータ40を介してカムシャフト10へ伝達
される。
【0027】カムプーリ20は、カムシャフト10に嵌
合する上記のボス部26を有し、カムシャフト10に対
して相対回転可能になっている。また、ベーンロータ4
0は、ハウジング30内で該ハウジングに対して例えば
約40度の所定角度範囲内で回動可能になっている。そ
して、ベーンロータ40がハウジング30内で回動する
と、カムプーリ20に対するカムシャフト10の回転位
相が変化して、吸気弁と排気弁とのバルブオーバラップ
量が変化することになる。本実施形態では、ベーンロー
タ40が図7に示す最遅角側の回動位置をとったときに
バルブオーバラップ量を略ゼロにしてエンジンの始動性
向上を図る一方、エンジン回転の上昇につれてバルブオ
ーバラップ量を増大させて吸気効率向上を図るようにし
ている。
【0028】詳しくは、ベーンロータ40は、円筒状の
主体部42と、ロータ主体部42の周面に等角度間隔で
設けられた例えば4つのベーン44とを有している(図
2)。ロータ主体部42のカムシャフト側の端面にはピ
ン穴42bが形成され、このピン穴42bに整合してカ
ムシャフト10の対向端面にピン孔が形成されている。
そして、両ピン穴に配されるピン8により、カムシャフ
ト10に対するベーンロータ40の取付位置を位置決め
するようにしている。
【0029】ベーン44は、ベーンロータ主体部42か
ら半径方向外方へ延びている。各ベーン44は、縦断面
でみて先細形状(本実施形態では略台形状)に形成さ
れ、これにより、半径方向外方部位でのベーン44の重
量が低減され、従って、ベーン44の回転慣性が大幅に
低減される。また、各ベーン44は、ベーンロータ回転
中心を通るベーン長手方向軸線に関して対称な断面形状
を有している。この様な先細形状のベーン44を周方向
に等間隔に設けたベーンロータ40は、回転慣性が小さ
く、しかも、ベーンロータ回転中心ひいてはカム駆動系
10、20、30及び40の回転軸線まわりの回転バラ
ンスに富み、回転振動が抑制される。
【0030】ベーンハウジング30は、ハウジング本体
32とハウジング端壁34とを有している。ハウジング
本体32はベーン数と同数(例えば4つ)の周壁部32
aを有し、各ハウジング周壁部32aの両縁から一対の
隔壁32b、32cが互いに平行にベーンロータ半径方
向内方へ延びている。また、隔壁32bの内面は、ベー
ンロータ回転中心を通りかつ隔壁32bと直交する仮想
平面に関してこの隔壁32bと対称に配される隔壁32
cの内面と面一をなしている。隔壁32bの内方端部
は、この隔壁32bとベーンロータ周方向に隣る隔壁3
2cの内方端部に結合されている(以下、相隣る隔壁の
結合部を隔壁結合部32dと称する)。ハウジング30
において、隔壁結合部32dの内周面は縦断面円弧状に
形成されてベーンロータ主体部42の外周面に摺接して
おり、ベーンロータ40を回転自在に支持している。隔
壁結合部32dには、ボルト23が挿通するボルト孔2
3aが形成されている。
【0031】上述のようにベーン44が先細形状である
ので、カム位相可変範囲を所要のものにしつつ、ハウジ
ング周壁部32aの周方向長さを短くすることができ
る。このため、ハウジング30の回転慣性を低減するべ
く、隔壁結合部32d回りでハウジング30の半径方向
外方部分を除肉可能になる。すなわち、除肉された隔壁
結合部32dの外面は、ハウジング周壁部32aよりも
半径方向内方に位置して例えばカムプーリ22の溝孔2
2a画成面に沿って延びている。
【0032】ベーンハウジング30の各対の隔壁32
b、32cは、ハウジング端壁34及びカムプーリ主体
部22と協働してベーン44を収容するベーン収容室を
画成している。換言すれば、本実施形態のカムプーリ主
体部22は、ハウジング要素32及び34と共に収容部
材を構成している。ベーン44の先端周面とハウジング
周壁部32aの内周面との間にはシール49が配され、
このシール49とベーン44とにより、ベーン収容室は
進角側油室47と遅角側油室48との2つに区分されて
いる。即ち、ベーンハウジング30とベーンロータ40
との間には各ベーン44を挟んで4対の油室47,48
が画成されている。そして、両油室47、48の所要の
一方に圧油を供給することにより、ハウジング30内で
ベーンロータ30を回動させるようにしている。
【0033】本実施形態では、後述のように、エンジン
に通常装備される油ポンプを圧油供給源として利用して
いる。この様な場合、油圧増大によるベーンロータ回転
力の増大には制約がある。そこで、本実施形態では、ベ
ーン数を例えば4つと比較的多くしてベーン全体の合計
受圧面を広くし、圧油の給排に伴って発生するベーンロ
ータ回転力を大きなものにしている。
【0034】本実施形態によるベーンハウジング30及
びベーンロータ40は、上記のように押し出し成形によ
り得られるもので、両要素30、40の対向面などは必
要に応じてブローチ盤などを用いて切削加工される。上
記のように一対の隔壁32b、32cを互いに平行に設
けると共にそれぞれの内面がベーンロータ直径方向に対
向する一対の隔壁32c、32bの内面と同一平面上に
配されるように設けることにより、ブローチ加工が容易
になると共に加工精度が向上し、また、加工面の検査が
容易になる。例えば、図13に二点鎖線で模式的に示す
検査治具81を用いてベーンロータ直径方向に対向する
2対の隔壁の加工面の検査を一度に行え、別の検査治具
82を用いて2つの隔壁の加工面を一度に検査できる。
【0035】次に、油室47、48に対する圧油の給排
について説明する。図1に示すように、カムジャーナル
15には、カムシャフト10の長手方向軸線に略直交し
てそれぞれ延びる第1及び第2油路15a、15bが形
成されている。油路15a、15bの外方端は、オイル
コントロールバルブ(OCV)50の第1及び第2出口
ポート51、52にそれぞれ連通している。OCV50
の第1入口ポート53は、油タンク60から汲み上げた
油を加圧する油ポンプ62の吐出側に連通する油供給パ
イプ63に接続され、第2入口ポート54はリターンパ
イプ64に接続されている。後述のように第1油路15
aは遅角側油室47に連通しており、OCV50が図1
に示す切換位置(遅角位置)50aをとって第1入口ポ
ート53と第1出口ポート51とが連通すると共に第2
入口ポート54と第2出口ポート52とが連通したと
き、油ポンプ62からの圧油が遅角側油室48に供給さ
れるようになっている。一方、OCV50が別の切換位
置(進角位置)50bをとって第1入口ポート53と第
2出口ポート52とが連通すると共に第2入口ポート5
4と第1出口ポート51とが連通したとき、進角側油室
47への圧油供給が行われる。そして、OCV50を例
えば電子制御ユニット(図示略)によりエンジン回転数
に応じてデューティ制御して油室47,48に対する圧
油の給排を制御し、カムシャフト10に対するカムプー
リ20の回転位相を可変制御するようにしている。ま
た、OCV50が中立位置50cをとって入口ポート5
3、54と出口ポート51、52との連通が遮断される
と、回転位相が維持されることになる。即ち、OCV
は、油ポンプ62等と共にベーンロータ40を必要に応
じて油圧により遅角側または進角側へ回転させる油圧供
給手段を構成している。
【0036】カムジャーナル15に形成され圧油給排経
路の一部を構成する第1及び第2油路15a、15bの
内方端は、カムシャフト10の周面に形成された第1及
び第2環状溝11a、11bにそれぞれ開口している。
カムシャフト10には、第1環状溝11aからカムシャ
フト軸線の手前までそれぞれ延びる第1半径方向孔12
aと、第2環状溝11bからカムシャフト軸線まで延び
る第2半径方向孔12bとがカムシャフト半径方向に形
成されている。第1半径方向孔12aはベーン数と同数
設けられている。カムシャフト10が如何なる回転位置
をとったときにも、孔12aは第1環状溝11aに連通
し、孔12bは第2環状溝11bに連通している。ま
た、カムシャフト10には、孔12a、12bの内方端
からカムシャフト端面までそれぞれ延びる第1及び第2
長手方向孔13a、13bがカムシャフト軸線方向に形
成されている。第2長手方向孔13bはカムシャフト軸
線上に一つ設けられ、第1長手方向孔13aはカムシャ
フト軸線から偏倚した半径方向位置においてベーン数と
同数設けられている。
【0037】第2長手方向孔13bは段付き孔であっ
て、第2半径方向孔12bに連通する小径部と、六角穴
付きの中空ボルト14が螺着される大径部とを有してい
る。中空ボルト14は、ベーンロータ主体部42にこれ
と同軸に形成された段付き貫通孔42a内に配され、中
空ボルト14の頭部は、段付き貫通孔42aの大径部に
収容されている。中空ボルト14の中空部14aは、ベ
ーンロータ主体部42の内周面(段付き貫通孔42a形
成面)と、ハウジング端壁34の中央部のネジ孔35に
螺着された六角穴付きボルト36の内方端面と、中空ボ
ルト14の頭部外面とにより画成される断面U字状の油
路41に連通している(図1)。
【0038】油室47,48への圧油給排経路に関連し
て、ベーンロータ40において、ロータ主体部42に
は、カムシャフト10の4つの第1長手方向孔13aに
整合して4つの短い第1長手方向孔45aがベーンロー
タ軸線方向に形成され、また、それぞれの孔45aから
ベーンロータ半径方向外方に延びる4つの第1半径方向
孔46aが形成されている(図1)。孔46aの外方端
は、ベーン44の根元付近でロータ主体部42の外周面
に開口して遅角側油室48に連通している。また、第1
半径方向孔46aに関して反カムシャフト側に偏倚した
ベーンロータ厚さ方向位置において、ベーンロータ主体
部42には第2半径方向孔46bがベーンロータ半径方
向に形成されている。孔46bは、その内方端がロータ
主体部42の段付き貫通孔42aの大径部に開口し、そ
の外方端がベーン44の根元付近においてロータ主体部
42の外周面に開口して進角側油室47に連通してい
る。
【0039】上記の環状溝、半径方向孔および長手方向
孔は、油路15aまたは15bと油室48または47と
を連通させる油路を構成している。図2から明らかなよ
うに、4つの第1半径方向孔46aのうちベーンロータ
直径方向に対向するもの同士は、同一直線上に延びてい
る。即ち、一対の孔46aはベーンロータ回転中心を通
る一つの直線上に設けられ、別の一対の孔46aはベー
ンロータ回転中心を通り上記の直線に直交する別の直線
上に設けられている。この様な孔配列によれば、同一直
線上に配列すべき一対の孔46aを一回の孔加工で同時
に形成して加工コスト低減を図れる。また、各対の孔4
6aが、ベーンロータ40の回転中心(カム駆動系の回
転軸線)に関して対称に配されているので、4つの孔4
6aをベーンロータ40に形成した場合にも、ベーンロ
ータ回転中心に対するベーンロータ40の回転バランス
(カム駆動系の回転バランス)が損なわれることがな
い。
【0040】カム位相可変装置は、吸気弁と排気弁との
オーバラップ量を最小値(たとえばゼロ)にするべくベ
ーン44を最遅角側回転位置にロックするためのロック
機構を有している。図2及び図3に示すように、本実施
形態の装置は、ベーン数と同数(例えば4つ)のロック
機構を有している。各ロック機構のロックピン(可動
体)70は、ベーン厚さ方向にベーン44を貫通して形
成されたロックピン孔44a内に移動自在に配されてい
る。
【0041】ロックピン70は、図5に示すように、進
角側油室47への圧油供給によりカムプーリ主体部22
側(ロック解除方向)へ移動する一方、遅角側油室48
への圧油供給によりハウジング端壁34側(ロック方
向)へ移動するようにされている。そして、ロックピン
70が最遅角側回転位置付近まで移動したとき、ロック
ピン70のカムプーリ主体部側の先端部70aが、カム
プーリ主体部22の対向端面に形成されたロック穴22
bに嵌入してロックピン70がロックされるようになっ
ている。
【0042】このロック状態では、ベーンハウジング3
0からベーンロータ40に加えられる回転トルクは4つ
のロックピン70で分担される。このときにロックピン
70に加わる剪断力に耐えるように、ロックピン70は
例えば鉄系材料で構成されている。この場合、カム位相
可変装置単体でロックピン70をロックピン孔44a内
で移動させる必要が生じた際に磁石を用いてこれを行え
る。
【0043】このロック機構は、ロックピン70をロッ
ク穴22b側へ付勢する上で、遅角側油室48へ圧油を
供給する以外には、特別な付勢手段たとえばスプリング
を用いていない。この様にロックピン付勢用スプリング
が不要なので、ロックピン70にスプリング収容空間を
形成する必要がなく、その分だけロックピン長さを短く
でき、従って、ロックピン孔44aが形成されるベーン
44(ベーンロータ40)の厚さを薄くできる。このた
め、ベーンロータ40の重量ならびに回転慣性を低減で
き、カム位相可変装置全体の外形寸法を小さくできる。
また、カム位相可変装置の組立時のスプリング組み込み
が不要なので、装置の組立てが簡単になる。更に、スプ
リングの圧縮動作を円滑にするべくスプリングに加わる
背圧を除去するための呼吸孔(油路)を設ける必要がな
く、ベーン44を簡便に製作可能になる。また、呼吸孔
から油分が排出されないので、油分による劣化を来すお
それのあるベルトを回転力伝達要素として使用可能にな
る。
【0044】進角側油室47からロックピン70への圧
油印加のため、各ベーン44のカムプーリ主体部22側
の端面には第1油通路44cが形成されている。第1油
通路44cは、ベーンロータ厚さ方向断面(図3)でみ
てロックピン孔44aからベーンロータ半径方向外方へ
延び、また、ベーンロータ横断面(図2)でみてロック
ピン孔44aからベーン長手方向軸線に対して斜め外方
に延びて進角側油室47に開口している。進角側油室4
7からのロック解除用の圧油は、第1油通路44cを介
してロックピン70のカムプーリ主体部22側の先端部
70aの受圧面(詳細な図示は省略)に加えられ、ロッ
クピン70をロックピン長手方向軸線に沿ってロック解
除方向へ移動させるように作用する。
【0045】遅角室側油室48からロックピン70への
圧油印加のため、各ベーン44のハウジング端壁34側
の端面には第2油通路44dが形成されている。第2油
通路44dは、ベーンロータ厚さ方向断面(図3)でみ
てロックピン孔44aからベーンロータ半径方向外方へ
延び、また、ベーンロータ横断面(図2)でみてロック
ピン孔44aからベーン長手方向軸線に対して斜め外方
へかつ第1油通路44cと反対方向に延びて遅角側油室
48に開口している。遅角側油室48からのロック用の
圧油は、第2油通路44dを介してロックピン70のハ
ウジング端壁34側の基端部70bの受圧面(詳細な図
示は省略)に加えられ、ロックピン70をロックピン長
手方向軸線に沿ってロック方向へ移動させるように作用
する。ロックピン70がロック穴22bに整合したベー
ン回動位置にあれば(図7)、遅角側油室48から供給
される圧油を受けて、ロックピン70の先端部70aが
ロック穴22bに嵌入することになる(図6及び図
7)。
【0046】上述のようにロックピン孔44aおよび油
通路44c、44dはベーン厚さ方向すなわちカムシャ
フト軸線方向に延びている。従って、ベーンロータ40
をカム軸方向に型抜きする場合、これらの要素44a、
44c、44dを同時に形成可能であり、必要に応じて
仕上げ加工を行うことになる。上記の4つのロックピン
孔44aは、ベーンロータ回転中心に関して同一円周上
に等角度間隔で設けられ、しかも、ベーン長手方向軸線
上に設けられている。換言すれば、4つのロックピン孔
44aのうちベーンロータ直径方向に対向するもの同士
は、ベーンロータ回転中心に関して対称に配されてい
る。従って、ロックピン孔44aに収容されるロックピ
ン70もベーンロータ回転中心に関して対称に配されて
いる。上記のロック穴22b、油通路44c及び44d
に関しても、ベーンロータ直径方向に対向するもの同士
はベーンロータ回転中心に関して対称に配されている。
【0047】上述のように、ロック機構の各種要素を好
ましくは油路を含めてロータベーン回転中心に関して対
称に設けることにより、または、複数の同一要素を少な
くともロータベーン回転中心に関して同一円周上にかつ
互いに等角度間隔で設けることにより、ロック機構の配
設に伴うベーンロータ回転中心(カム駆動系の回転軸
線)に関するベーンロータ40の回転バランス悪化を回
避することができる。
【0048】上記のロック機構配列において、ベーンロ
ータ直径方向に互いに対向するロック機構の一方は、他
方のロック機構のバランス取り手段(バランス手段)と
して機能すると考えることもできる。すなわち、一つの
ベーンにロック機構を配設するとベーンロータ40の回
転バランスはその分悪化(より一般的には変化)するの
であるが、このベーンとベーンロータ直径方向に対向す
る別のベーンに同一構成のロック機構を設けることによ
りその様な回転バランスの悪化が補償される。換言すれ
ば、ベーン全てにロック機構を設けない場合にあって
は、ロック機構を設けたベーンとベーンロータ直径方向
に対向して配されるベーンに、回転バランス上でロック
機構と等価の作用を奏する回転バランス手段を設けるこ
とにより、ロック機構の配設に伴う回転バランス悪化を
補償できる。より広義には、或るベーンにロック機構を
設けたことによる回転バランスの悪化(変化)を、それ
以外の一つまたは2つ以上のベーンに回転バランス手段
を設けることにより補償可能である。例えば、3枚ベー
ンの一つにロック機構を設けた場合、残りの2つのベー
ンにバランス手段を形成する。回転バランス手段は、ロ
ック機構形成部位に対応する部位におけるベーンの除肉
やベーンへの追加ウエイトの付与により実現可能であ
る。なお、バランス手段をハウジング30に設けても良
い。
【0049】上記のように、本実施形態のロック機構
は、ベーン44が最遅角側回転位置をとったときにロッ
ク動作するように設けられている。但し、実際には、ロ
ック穴22bは、その長手方向軸線がベーン44の最遅
角側回動位置よりも僅かに進角側へ偏倚した位置に合致
するように形成されている(図11)。その一方で、遅
角側油室48への油圧供給により、ベーン44が最遅角
側回動位置(図11)またはその手前の位置(図12)
まで回動した場合にも、最遅角位置の少し手前に設けら
れたロック穴22bにロックピン先端部70aが円滑に
嵌入するように、ロックピン先端部70aの周面には先
細のテーパが付けられ、ロック穴22bの周面にもロッ
ク穴底面側に行くほど先細になるテーパが付けられてい
る。
【0050】ロック穴22bの形成位置ならびにロック
ピン先端部70a及びロック穴22bの形状を上述のよ
うに設定することにより、ロック機構のロック動作時に
は、ロックピン70およびロック穴22bの調芯作用に
よりベーン44は最遅角側回動位置よりも僅かに進角側
のロック位置にロックされることになる。この結果、ロ
ック動作完了状態において、ベーン44とベーンハウジ
ング隔壁32bの対向面同士間にクリアランスが付与さ
れる。この様な構成によれば、ロック穴22bを、ベー
ン44の最遅角側回動位置に合致する位置に形成してロ
ック動作完了状態においてベーン44がベーンハウジン
グ隔壁32bに密着するような構成に比べて、ロック穴
形成位置やベーン及びベーンハウジング隔壁についての
許容加工誤差を大きな値に設定することができ加工時間
及び加工コストを低減できると共に、ロック解除時にお
ける進角側油室47からの油圧供給に対するロック機構
の立ち上がり特性(ロック穴22bからのロックピン7
0の離脱容易性)が向上する。また、エンジン始動時、
ベーン44とハウジング30との衝突による打音の発生
が防止される。
【0051】本実施形態では、ロックピン先端部70a
の周面およびカムプーリ主体部22の周面にクラウニン
グを付けるようにしている。詳しくは、ロックピン先端
部70aは、その直径がロックピン先端面側ほど小さく
なると共にこのロックピン直径低減率がロックピン先端
面側ほど大きくなるような外形形状(複合曲面)に形成
されている。換言すれば、ロックピン先端部70aの周
面は、長手方向断面(図8)でみて、ロックピン先端面
側ほど曲率が小さくなる複合円弧状に形成されている。
一方、ロック穴22bの周面は、ロック穴底面側では外
側に凸でかつ曲率が小さい円弧状に形成され、ロック穴
開口面側では外側に凹でかつ曲率がやや大きい円弧状に
形成されている。
【0052】ロックピン先端部70aの周面およびロッ
ク穴22bの周面に上記のようなクラウニングを付けた
構成によれば、ロックピン70、ロックピン孔44aま
たはロック穴22bなどの加工誤差に起因してロックピ
ン孔44aやロックピン70の軸線とロック穴22bの
軸線とが正確に合致していない場合にも、ロック状態に
おいて(図9)、ロックピン先端部70aとロック穴2
2bとが、互いに面接触または線接触するようになる。
従って、ロックピン先端部70aとロック穴22bとの
点接触によるロックピン70やカムプーリ主体部22の
ロック穴形成部位の摩耗が防止される。なお、上述した
クラウニングは、ロックピン先端部70aの周面または
カムプーリ主体部22の周面の何れか一方に付けても良
い。
【0053】以下、上記構成のカム位相可変装置の作用
を説明する。エンジン運転中、エンジン回転数が略一定
であって現在のカム位相(吸排気弁のオーバラップ量)
が適正であれば、オイルコントロールバルブ50は、そ
の入口ポート53、54と出口ポート51、52との連
通が遮断される中立位置50cに保持される。この場
合、進角側及び遅角側油室47、48に対する圧油の給
排がなされず、カム位相可変装置のベーン44は油室4
7、48に満たされた油により移動不能に拘束される。
この結果、ベーンハウジング30とベーンロータ40と
の相対回転位置が固定されてカム位相が維持された状態
で、クランク軸の回転に同期してカムプーリ20、ベー
ンハウジング30、ベーンロータ40及びカムシャフト
10が回転し、カムシャフト10のカム4により吸気弁
が開閉される。上述のように、ベーンハウジング30お
よびベーンロータ40の各部は、ベーンロータ回転中心
に関する回転バランスを考慮して構成されており、従っ
て、要素30及び40の回転に伴う回転振動は充分に抑
制される。また、ベーンハウジング30及びベーンロー
タ40の回転慣性が小さいので、歯付きベルトに加わる
負担は小さくなる。
【0054】その後、エンジン回転が上昇すると、オイ
ルコントロールバルブ50は、第1入口ポート53と第
2出口ポート52とが連通すると共に第2入口ポート5
4と第1出口ポート51とが連通する進角位置50bに
切り換えられる。この結果、油ポンプ62からの圧油
は、カムジャーナル15の第2油路15bとカムシャフ
ト10の第2環状溝11b、第2半径方向孔12b及び
第2長手方向孔13bとを介して中空ボルト14の中空
部14aへ流入し、更に、油路41とベーンロータ主体
部42の第2半径方向孔46bとを介して進角側油室4
7に供給される。油室47への圧油供給により、ベーン
44に進角方向(ハウジング隔壁32c側)への付勢力
が作用し、ベーン44は遅角側油室48内の油を排出し
つつベーンハウジング30のベーン収容室内で進角方向
へ移動する。この結果、ベーンロータ40はベーンハウ
ジング30と共に回転しつつ、ハウジング30に対して
進角方向へ相対回転し、カム位相が進角される。ベーン
ロータ40の慣性が小さいので、油室47への油圧供給
に対して応答性良くベーンロータは相対回転を開始す
る。
【0055】進角方向へのベーン44の移動中、遅角側
油室48内の油は、ベーンロータ主体部42の第1半径
方向孔46a及び第1長手方向孔45aを介してカムシ
ャフト10の第1長手方向孔13aに流入し、次いで、
カムシャフト10の第1半径方向孔12aおよび第1環
状溝11aとカムジャーナル15の第1油路15aとオ
イルコントロールバルブ50を介してシリンダヘッド内
へ排出され、油タンク60へ戻る。
【0056】また、上記のように進角側油室47へ圧油
が供給されると、ベーン44のカムプーリ主体部22側
端面の第1油通路44cを介して油室47からロックピ
ン先端部70aの受圧面に圧油が供給され、ロックピン
70をロック解除方向(ロックピン基端部70b側)へ
付勢する。このとき、ロックピン70は既にロック解除
状態にあるので、このロック解除状態が維持される(図
2および図10)。
【0057】その後、エンジン回転が低下すると、オイ
ルコントロールバルブ50は、第1入口ポート53と第
1出口ポート51とが連通すると共に第2入口ポート5
4と第2出口ポート52とが連通する図1に示す遅角位
置50aに切り換えられる。この結果、油ポンプ62か
らの圧油は、オイルコントロールバルブ50が進角位置
にある場合の油排出経路に対応する経路を逆方向に辿っ
て遅角側油室48に供給される。油室48への圧油供給
により、ベーン44に遅角方向(ハウジング隔壁32b
側)への付勢力が作用し、ベーン44は進角側油室47
内の油を排出しつつベーンハウジング30のベーン収容
室内で遅角方向へ移動する。この結果、ベーンロータ4
0はベーンハウジング30と共に回転しつつ、ハウジン
グ30に対して遅角方向へ相対回転し、カム位相が遅角
される。ベーンロータ40の慣性が小さいので、油室4
8への油圧供給に対して応答性良くベーンロータは相対
回転を開始する。進角側油室47からの油排出は、オイ
ルコントロールバルブ50が進角位置にある場合の圧油
供給経路に対応する経路を逆方向に辿って行われ、圧油
が油タンク60へ戻る。
【0058】また、遅角側油室48への圧油供給時、ベ
ーン44のハウジング端壁34側端面の第2油通路44
dを介して油室48からロックピン基端部70bの受圧
面に圧油が供給され、ロックピン70をロック方向(ロ
ックピン先端部70a側)へ付勢するが、エンジンがア
イドル運転されていなければロックピン70はロック穴
22bと整合しておらず、ロックピン70はロック穴2
2bに嵌入することはない。すなわち、ロックピン70
は、その先端部70aがカムプーリ主体部22に当接さ
せたロック解除状態に維持される(図2および図1
0)。
【0059】エンジンを運転停止させる直前では、エン
ジンはアイドル運転されている。このアイドル運転中、
ベーン収容室内でベーン44が最遅角位置まで回動する
ように、図1に示す遅角位置にあるオイルコントロール
バルブ50を介して油ポンプ62から遅角側油室48へ
圧油が供給される。この結果、ロックピン70はロック
穴22bに略整合する(図11及び図12に二点鎖線で
示す)。このとき、ベーン44の第2油通路44dを介
して油室48からロックピン基端部70bの受圧面に圧
油が供給されているので、ロックピン70がロック方向
へ付勢されており、ロックピン70は、ロック穴22b
内の油およびベーン44の第1油通路44c内の油を上
述の遅角側油室48からの油排出経路に沿って排出しつ
つ、ロック穴22bに嵌入する(図9)。この結果、ベ
ーン44は最遅角位置にロックされる(図7)。ロック
穴22bへのロックピン70の嵌入は、両要素22b、
70の調芯作用により円滑に行われる(図11及び図1
2)。
【0060】エンジンが運転停止状態にある間、ロック
ピン70はロック穴22bに嵌入したままであり(図7
及び図9)、ベーン44は最遅角位置にロックされてい
る。このエンジン停止中、カムジャーナル15よりも上
方位置にある進角側および遅角側油室47、48内の油
はシリンダヘッド内に抜けるが、ベーン44のロック状
態は維持される。
【0061】次のエンジン始動時、ベーン44はエンジ
ン始動に適した最遅角位置にロックされており、エンジ
ンは失火発生を伴うことなく円滑に始動する。また、ロ
ック状態のベーン44とハウジング隔壁32bとの間に
は僅かなクリアランスが付与されているので、エンジン
始動時に吸気弁側からカムに正負トルクが加えられても
ベーン44とハウジング隔壁32bとが衝突することは
なく、打音が発生しない。
【0062】上記第1実施形態のカム位相可変装置は、
種々に変形可能である。例えば、上記第1実施形態では
4枚ベーンのカム位相可変装置を説明したが、ベーン数
は4つに限定されない。第1実施形態の変形例に係る2
枚ベーンの装置を図14に例示する。この装置はベーン
44が2つである点を除き上記実施形態のものと略同一
構成であり、実施形態のものに対応する要素を図14に
同一符号で示し、説明を省略する。上記第1実施形態に
ついて説明したように、この変形例においても、2つの
ベーン44の一方に設けられたロック機構は、他方のベ
ーン44に設けたロック機構に対するバランス手段とし
て機能する。すなわち、一方のロック機構は、他方のロ
ック機構を配設したことによってカム位相可変装置に生
じるカムシャフト回転中心に関する回転バランスの変化
を補償するように作用する。
【0063】また、ロック機構がロック状態にあるエン
ジン始動時に吸気弁または排気弁からカムシャフトを介
してロック機構に駆動トルクが加わるが、このときのロ
ック機構の負担を軽減するために、特開平8−1211
23号公報で提案されているパイロット式逆止弁を上記
実施形態によるカム位相可変装置に組み込むようにして
も良い。この場合、一方のパイロット式逆止弁は、カム
ジャーナル15の油路15aと遅角側油室48とを連通
する油経路に配され、例えばベーン44の油路46aに
配される。他方のパイロット式逆止弁は、油路15bと
進角側油室47とを連通する油経路たとえば油路46b
に配される。
【0064】以下、本発明の第2実施形態による可変動
弁機構としてのベーン式カム位相可変装置を説明する。
スプリングなどの付勢手段を用いずにベーンロータを最
遅角位置にロックするように構成された第1実施形態に
比べ、本実施形態の装置は、ロックピンをスプリングの
バネ力によりロック方向に付勢するようにした点が主に
相違する。
【0065】以下において、第1実施形態のものと同一
または類似の構成(主として図1に対応する)について
は説明を省略し、主にロック機構について説明する。図
15ないし図17に示すように、本実施形態の装置は、
ベーン数と同数(例えば2つ)のロック機構を有し、各
ロック機構はロックピン(可動体)70とスプリング
(付勢手段)80とを有している。上記第1実施形態の
変形例の場合と同様、本実施形態においても、2つのベ
ーンの一方に設けられたロック機構は、他方のベーンに
設けられたロック機構に対するバランス手段として機能
する。
【0066】各ロック機構のロックピン70は、ベーン
厚さ方向にベーン44を貫通して形成されたロックピン
孔44a内に移動自在に配されている。ロックピン70
のハウジング端壁側半部には、スプリング80を収容す
るスプリング室(収容室)71がロックピン長手方向に
形成されている。ロックピン70は、スプリング80に
より、カムプーリ主体部22に形成されたロック穴22
b側(ロック方向)へ常時付勢されており、ベーンロー
タ40が最遅角側回転位置まで移動したとき、ロック穴
への油圧供給がなければ、ロックピン先端部70aがロ
ック穴22bに嵌入して、ベーンロータ40を最遅角位
置にロックするようになっている(図17及び図1
9)。
【0067】ロックピン70は、進角側及び遅角側油室
47、48のいずれか一方への圧油供給に応じてハウジ
ング端壁34側へ移動して、ロックを解除するようにな
っている。本実施形態では、進角側油室47への圧油供
給および遅角側油室48への圧油供給に応動する切替バ
ルブにより、進角側油室47と遅角側油室48との連通
を遮断しつつ、進角側油室47または遅角側油室48か
らの圧油をロック穴22b内へロック解除用油圧として
選択的に導入するようにしている。この様に、油室4
7、48からのロック解除用油圧をロック機構の同一部
位(ロック穴)に導入する構成によれば、ロック解除用
油圧経路の相当部分を一系統に集約でき、ロック機構を
コンパクトにでき、設計自由度が向上し、また、加工が
簡便になり、ロック機構の配設に伴うベーンロータ40
の回転アンバランスを低減できる。
【0068】図17に示すように、切替バルブはストレ
ートピンからなるバルブピストン(弁体)90を有し、
バルブピストン90は、ロックピン孔44aよりも半径
方向外方位置においてベーン厚さ方向(カムシャフト軸
線方向)にベーン44を貫通して延びるバルブピストン
孔44b内に移動自在に配されている。バルブピストン
90を例えば円筒状のストレートピンで構成すると、バ
ルブピストン孔44bを例えば直円筒状の孔にでき、従
って、ピストン90及びピストン孔44bの加工が容易
になると共に切替バルブの配設に伴うベーンロータ40
の回転アンバランスを低減でき、また、要素90、44
b間からの圧油漏れが少なくなるので、ピストン90の
圧油選択動作(ピストン孔内でのピストン移動)が迅速
に行われる。バルブピストン90をベーン44内部に配
置した構成では、ピストン孔44bをベーン44を貫通
して設けることができ、有底のピストン孔をベーンハウ
ジング側に設ける場合に比べてピストン孔44bの加工
が容易になる。そして、ピストン90をカムシャフト軸
線方向に配置すると、ベーンロータ40の回転に伴って
ピストン90に加わる遠心力は、ベーンロータ周方向す
なわちピストン直径方向に作用するので、ピストンはベ
ーンにより支持され、この遠心力に起因してピストン孔
44b内で移動することがない。すなわち、圧油選択の
ためのピストン90のピストン孔内での移動は遠心力の
影響を受けずに的確かつ円滑に行われる。また、ピスト
ン90はその移動限界位置ではハウジング端壁34また
はプーリ主体部22に当接するので、ピストンの抜け止
めを設ける必要もない。
【0069】図18に示すように、各ベーン44のハウ
ジング端壁34側の端面及びカムプーリ主体部22側の
端面には、ロック解除油圧供給用の油通路44c、44
dがそれぞれ形成されている。油通路44cの両端は進
角側油室47及びバルブピストン孔44bに開口し、油
通路44dの両端は遅角側油室48及びバルブピストン
孔44bに開口している。このバルブピストン孔44b
は、ロック穴22bに連通している。すなわち、ロック
解除油圧供給用の油通路44eがベーン44に形成さ
れ、油通路72及び73がロックピン70に形成されて
いる。油通路44eはベーン長手方向軸線に沿って延
び、その両端はバルブピストン孔44bおよびロックピ
ン孔44aにそれぞれ開口している。油通路72はロッ
クピン直径方向に形成され、その両端はロックピン70
の外周面にそれぞれ開口している。油通路72の開口端
は拡径されており、ロックピン70が図16に示すロッ
ク解除位置にあるか或いは図17に示すロック位置にあ
るかにかかわらず、油通路44eと油通路72とが連通
するようになっている。油通路73はロックピン長手方
向軸線に沿って延び、その両端は油通路72およびロッ
ク穴22bにそれぞれ開口している。
【0070】ロック解除時の背圧除去のため、各ベーン
44のハウジング端壁側にはスプリング室71に連通す
る溝44iが形成され、また、この溝44iに連通する
呼吸孔44jがベーン44に形成されている(図1
7)。呼吸孔44jはベーン厚さ方向に延びて、カムシ
ャフト10の先端面周縁に環状に形成された面取り部分
10aに開口している。この面取り部分10aは、カム
シャフト10の先端部にカムシャフト軸線方向に形成さ
れた呼吸穴10bとこの呼吸穴10bからカムシャフト
外周面に向けて半径方向外方へ延びる呼吸穴10c(図
16)とを介して、環状空間10dに連通している。環
状空間10dは、カムシャフト10、カムジャーナル1
5及びオイルシール17により画成されている。上記要
素44i、44j、10a、10b及び10cは、スプ
リング室71を環状空間10dに連通させる連通路を構
成している。環状空間10dは、カムジャーナル15の
油路15cを介してエンジン内部に連通している。
【0071】上記構成において、油通路44cを介して
進角側油室47からバルブピストン孔44bに圧油が供
給されると、バルブピストン90がカムプーリ主体部2
2側へ移動し(図18)、油通路44dと油通路44e
との連通がピストン90により遮断されると共に油通路
44cと油通路44eとがピストン孔44bを介して連
通し、油室47からの圧油は、ベーン44の油通路44
eとロックピン70の油通路72、73とを介してロッ
ク穴22b内に流入する。また、油通路44dを介して
遅角側油室48からバルブ44bに圧油が供給される
と、バルブピストン90がハウジング端壁34側へ移動
し、圧油が油通路44e、72及び73を介してロック
穴22b内に流入する。油室47または48からロック
穴へ供給された圧油は、ロックピン70をスプリング8
0のバネ力に抗してハウジング端壁側へ付勢する。この
とき、スプリング室71内の油は、ベーン44の溝44
i及び呼吸孔44jとカムシャフト10の面取り部分1
0a、呼吸穴10b、10cとを介して環状空間10d
へ排出され、更に、カムジャーナル15の油路15cを
介してエンジン内部へ戻される。この結果、ロックピン
70は、スプリング室71内の油による背圧を受けずに
ロック穴22bから離脱し、ロック解除が円滑に行われ
る。また、スプリング室71内の油がシリンダヘッドカ
バー内の環状空間10dに排出されるので、油分による
歯付きベルト6の劣化は生じない。
【0072】図17中、参照符号44hは、ロック解除
油圧供給用の油通路44eを加工するときの加工孔を表
す。すなわち、孔44h及び油通路44eを一回のドリ
ル加工でベーン44の頂面側から形成可能である。加工
孔44hの両端はベーン44の頂面およびピストン孔4
4bに開口しており、進角側または遅角側油室47、4
8からピストン孔44bに供給された圧油は加工孔44
hを介してベーンシール49の直下に作用し、ベーンシ
ール49のシール性を向上させる。
【0073】本実施形態のカム位相可変装置の作用は、
第1実施形態のものと略同一であり、以下、簡略に説明
する。エンジン運転中、エンジン回転数が略一定であれ
ば、オイルコントロールバルブ50は中立位置50cに
保持され、ベーンハウジング30とベーンロータ40と
の相対回転位置が固定されてカム位相が維持された状態
で、クランク軸の回転に同期してカムプーリ20、ベー
ンハウジング30、ベーンロータ40及びカムシャフト
10が回転し、カムシャフト10のカム4により吸気弁
が開閉される。
【0074】その後、エンジン回転の上昇に応じて、オ
イルコントロールバルブ50が進角位置50bに切り換
えられると、油ポンプ62からの圧油は進角側油室47
に供給され、ベーン44はベーン収容室内で進角方向へ
移動し、カム位相が進角される。また、上記のように進
角側油室47へ圧油が供給されると、既に述べたよう
に、油室47内の圧油は、油通路44c、44e、72
及び73を介してロック穴22b内に流入して、ロック
ピン70をロック解除方向へ付勢する。このとき、ロッ
クピン70は既にロック解除状態にあるので、このロッ
ク解除状態が維持される(図15および図16)。
【0075】その後、エンジン回転の低下に応じてオイ
ルコントロールバルブ50が遅角位置50aに切り換え
られると、油ポンプ62からの圧油は遅角側油室48に
供給され、ベーン44はベーン収容室内で遅角方向へ移
動し、カム位相が遅角される。また、遅角側油室48へ
の圧油供給時、既に述べたように、油室48内の圧油
は、油通路44d、44e、72及び73を介してロッ
ク穴22b内に流入して、ロックピン70をロック解除
方向へ付勢し、これによりロック解除状態にされる(図
15および図16)。
【0076】エンジンを運転停止させる直前では、エン
ジンはアイドル運転されている。このアイドル運転中、
ベーン収容室内でベーン44が最遅角位置まで回動する
ように、遅角位置にあるオイルコントロールバルブ50
を介して油ポンプ62から遅角側油室48へ圧油が供給
され、ベーンロータ40が最遅角位置に保持される。こ
のときロックピン70はロック穴22bに略整合する
が、油室48からロック穴22bへの圧油供給によりロ
ック解除状態が維持される。
【0077】エンジンが運転停止状態にある間、ロック
ピン70はスプリング80のバネ力を受けてロック穴2
2bに嵌入し(図19)、ベーン44は最遅角位置にロ
ックされる。このエンジン停止中、カムジャーナル15
よりも上方位置にある進角側および遅角側油室47、4
8内の油はシリンダヘッド内に抜けるが、ベーン44の
ロック状態はスプリング80のバネ力により維持され
る。従って、次のエンジン始動時、ベーン44はエンジ
ン始動に適した最遅角位置にロックされており、エンジ
ンは失火発生を伴うことなく円滑に始動する。
【0078】第2実施形態に係るカム位相可変装置は、
種々に変形可能である。例えば、上記第2実施形態では
2枚ベーンのカム位相可変装置を説明したが、ベーン数
は2つに限定されない。第2実施形態の変形例に係る4
枚ベーンの装置を図20に例示する。この装置はベーン
44が4つである点を除き上記第2実施形態のものと略
同一構成であり、実施形態のものに対応する要素を図2
0に同一符号で示し、説明を省略する。上記第2実施形
態の場合と同様、この変形例においても、2つのベーン
の一方に設けられたロック機構は、他方のベーンに設け
られたロック機構に対するバランス手段として機能す
る。エンジンに通常装備される油ポンプを圧油供給源と
して利用した場合、油圧増大によるベーンロータ回転力
の増大には制約があるが、ベーン数を増加させると、ベ
ーン全体の合計受圧面が広くなり、圧油の給排に伴って
発生するベーンロータ回転力を大きなものにできる。図
20の変形例では直径方向に対向する2つのベーンのみ
にロック機構を設けたが、全てのベーンにロック機構を
設けても良い。この場合、直径方向に互いに対向する2
つのロック機構が2組設けられることになる。そして、
各組のロック機構の一方は、他方のロック機構に対する
バランス手段として機能する。
【0079】本発明の装置は、第1及び第2実施形態ま
たはその変形例に限定されず、更に変形可能である。例
えば、第1実施形態、その変形例および第2実施形態で
は、4枚または2枚の、すなわち偶数個のベーンの全て
にロック機構を設けてロック機構同士で回転バランスを
とるようにしている。このバランス取り原理に基づき、
奇数個のベーンを等角度間隔で設けた装置において全て
のベーンにロック機構を同一円周上に設けて回転バラン
スをとるようにしても良い。
【0080】この様なロック機構配列の場合、各ロック
機構は、ロック機能と回転バランス取り機能とを併有す
るものとなっている。しかしながら、本発明において、
ロック機構に両機能を併有させて回転バランスをとるこ
とは必須ではない。すなわち、バランスウエイトやバラ
ンス穴などのバランス手段を、ロック機構と別個独立に
設けても良い。
【0081】例えば、2枚または4枚ベーンのうち直径
方向に対向する2つにロック機構を設けて各ロック機構
を他方のロック機構に対するバランス手段として作用さ
せる第2実施形態やその変形例において、直径方向に対
向する2つのベーンの一方にのみロック機構を設けると
共に、他方のベーンにバランスウエイトを埋設しても良
い。好ましくは、ロック機構と同一円周上に形成された
穴にバランスウエイトを配設する。このバランスウエイ
トは、ロック機構の配設により装置に生じた回転バラン
ス変化を相殺するように作用する。
【0082】以下、バランス手段の別の態様を更に説明
する。図21は第1実施形態の変形例に係るものであっ
て、ロックピン70などのロック機構の主要部が4枚ベ
ーンのひとつに設けられると共にロック穴がベーンハウ
ジング30に形成されている。以下において、この様な
装置構成の場合、ロック機構が一つのベーンに設けられ
ているという。図21のものでは、ロック機構の配設に
伴う回転バランス変化を補償するべく、ロック機構を設
けたベーンに直径方向に対向するベーン収容室の両側の
溝穴22’aは、二点鎖線で示す溝穴22aのものに比
べて、ハウジング隔壁33b、33cから離隔した周方
向位置で終端をなし、従って、切り欠き面積が少なくな
っている。このため、溝穴22’aによるベーン回転慣
性・重量低減作用は溝穴22aのものよりも小さい。換
言すれば、ロック機構に対向するベーン収容室の両側に
肉部(バランスウエイト)101を設けたことになる。
【0083】図22は第1実施形態の別の変形例に係
り、4枚ベーンのひとつに設けたロック機構による回転
バランス変化を補償するべく、ロックピン70よりも半
径方向外方位置において上記の一つのベーン44にバラ
ンス穴102が設けられている。この様なバランス取り
原理は、ベーンが偶数枚か奇数枚かにかかわらず、種々
のカム位相可変装置に適用可能である。
【0084】なお、ロック機構を設けたベーンにバラン
ス穴102を設けることは必須ではない。例えば、偶数
枚ベーンを有するカム位相可変装置において、ロック機
構を設けたベーンに隣る2つのベーンのそれぞれにバラ
ンス穴を設けても良く、両バランス穴は好ましくはロッ
ク機構と同一円周上に形成される。図23は第1実施形
態の更に別の変形例に係り、5枚ベーンのうちの、互い
に144度の軸線角度をなす2つにロック機構が設けら
れている。そして、2つのロック機構の配設に伴う回転
バランス変化を補償するべく、両ベーンの間のベーン4
4にはロック機構と同一円周上にバランス穴102が形
成されている。
【0085】図24のものでは、5枚ベーンの一つにロ
ック機構が設けられ、また、このベーン44との間に1
44度の軸線角度をなして直径方向反対側にそれぞれ配
された2つのベーン44にバランスウエイト103が設
けられている。付言すれば、本発明の装置を回転数があ
まり高くないエンジンに適用する場合には、ベーンにロ
ック機構を設けると共にハウジング側にバランス手段を
設けても良く、或いは、これとは逆にハウジング側にロ
ック機構を設けると共にベーンにバランス手段を設けて
も良く、いずれの構成によってもほぼバランスが保たれ
る。なお、この場合において、高回転域で使用する遅角
側でバランスを調整するのが好ましい。
【0086】しかし、高回転エンジンに使用する場合、
ベーンとハウジングの位相が変化しても常にバランスを
保つには、ベーンにロック機構を有する構成ではベーン
にバランス手段を設けるのが良く、ハウジング側にロッ
ク機構を有する構成ではハウジング側にバランス手段を
設けるのが良い。
【0087】
【発明の効果】本発明の可変動弁機構は、内燃機関のク
ランク軸から回転力が伝達される回転伝達部材と一体回
転可能な収容部材内に、或いは、カムシャフトと一体回
転可能でかつ収容部材に対して相対回転可能なベーン部
材内に移動可能に配された可動体を有しベーン部材を収
容部材に対して解除可能にロックするロック機構と、こ
のロック機構によるカムシャフトまわりの回転バランス
の変化を補償するバランス手段とを備えるので、ロック
機構の配設に伴って可変動弁機構に生じるカムシャフト
まわりの回転バランス変化をバランス手段を配設するこ
とにより補償できる。この結果、可変動弁機構は全体と
して回転バランスに富み、可変動弁機構の回転振動およ
びこれに起因する内燃機関の振動を防止または低減でき
る。また、可変動弁機構の回転振動に起因するカムシャ
フト軸受けへの偏荷重の印加を防止または低減でき、カ
ムシャフト軸受けでのフリクション増大や焼き付き、更
には、カムシャフトの回転変動に起因するエンジン運転
の不調を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるカム位相可変装置
を図2のI−I線に沿って示す断面図である。
【図2】図3のII−II線に沿うカム位相可変装置の
横断面図である。
【図3】ロック解除状態のカム位相可変装置を示す、図
4のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】カム位相可変装置の端面図である。
【図5】図2のV−V線に沿う断面図である。
【図6】カム位相可変装置の断面図である。
【図7】ロック状態のカム位相可変装置を示す、図6の
VII−VII線に沿う断面図である。
【図8】ロックピン先端部およびロック穴の形状を示す
一部断面拡大図である。
【図9】ロックピンをロック状態で示す拡大部分断面図
である。
【図10】ロックピンをロック解除状態で示す拡大部分
断面図である。
【図11】ロック穴形成位置をロックピンおよびロック
穴の調芯作用を示す拡大部分断面図である。
【図12】ロックピンおよびロック穴の調芯作用を示す
拡大部分断面図である。
【図13】カム位相可変装置のハウジングの検査容易性
を示す平面図である。
【図14】本発明の第1実施形態の変形例に係るカム位
相可変装置の横断面図である。
【図15】カム位相可変装置を図16のXV−XV線に
沿って示す横断面図である。
【図16】カム位相可変装置を図15のXVI−XVI
線に沿って示す断面図である。
【図17】カム位相可変装置の部分拡大断面図である。
【図18】図15のXVIII−XVIII線に沿う断
面図である。
【図19】カム位相可変装置をロック状態で示す横断面
図である。
【図20】本発明の第2実施形態の変形例による4枚ベ
ーン式カム位相可変装置を示す横断面図である。
【図21】第1実施形態の変形例に係る4枚ベーン式カ
ム位相可変装置を示す横断面図である。
【図22】第1実施形態の別の変形例に係る4枚ベーン
式カム位相可変装置の横断面図である。
【図23】第1実施形態の別の変形例に係る5枚ベーン
式カム位相可変装置の横断面図である。
【図24】第1実施形態の更に別の変形例に係る5枚ベ
ーン式カム位相可変装置の横断面図である。
【符号の説明】
4 カム 10 カムシャフト 11a、11b、12a、12b、13a、13b、1
4a、15a、15b、41、45a、46a、46b
油路 20 カムプーリ 22b ロック穴 30 ベーンハウジング 40 ベーンロータ 44 ベーン 44a ロックピン孔 44b バルブピストン孔 44c、44d、44e 油通路 47 進角側油室 48 遅角側油室 50 オイルコントロールバルブ 62 油ポンプ 70 ロックピン 71 スプリング室 72、73 油通路 80 スプリング 90 バルブピストン

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のクランク軸から回転力が伝達
    される回転伝達部材と一体回転可能な収容部材と、 上記収容部材内に配され上記収容部材との間に遅角側油
    室及び進角側油室を画成するベーン部を有し、上記内燃
    機関の吸気弁または排気弁を開閉するカム部が形成され
    たカムシャフトと一体回転可能でかつ上記収容部材に対
    して相対回転可能なベーン部材と、 上記遅角側油室または上記進角側油室に油圧を選択的に
    供給する油圧供給手段と、 上記ベーン部材または上記収容部材内に移動可能に配さ
    れた可動体により上記ベーン部材を上記収容部材に対し
    て解除可能にロックするロック機構と、 上記ロック機構の配設に伴う上記カムシャフトまわりの
    回転バランスの変化を補償するバランス手段とを備える
    ことを特徴とする可変動弁機構。
JP4552398A 1998-02-26 1998-02-26 可変動弁機構 Pending JPH11241606A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4552398A JPH11241606A (ja) 1998-02-26 1998-02-26 可変動弁機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4552398A JPH11241606A (ja) 1998-02-26 1998-02-26 可変動弁機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11241606A true JPH11241606A (ja) 1999-09-07

Family

ID=12721782

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4552398A Pending JPH11241606A (ja) 1998-02-26 1998-02-26 可変動弁機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11241606A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11311108A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Toyota Motor Corp 回転位相差可変装置用ハウジング、回転位相差可変装置用ロータ、回転位相差可変装置および製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11311108A (ja) * 1998-04-27 1999-11-09 Toyota Motor Corp 回転位相差可変装置用ハウジング、回転位相差可変装置用ロータ、回転位相差可変装置および製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0915234B1 (en) Valve timing changing apparatus for internal combustion engine
US7182052B2 (en) Valve timing controller
EP2357325B1 (en) Internal combustion engine with variable valve device
EP0857858A1 (en) Valve timing control device
JP2005002992A (ja) 位相器
JP4016020B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
EP0821138A1 (en) Valve timing control devices
JP2947165B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング変更装置
US7143729B2 (en) Valve timing regulating apparatus with improved phase control response
JP3823451B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
EP0777037B2 (en) Intenal combustion engine with valve timing control device
JP2000002104A (ja) 内燃機関用バルブタイミング調整装置。
JPH08121122A (ja) 内燃機関用バルブタイミング調整装置
JP3498784B2 (ja) 可変動弁機構
JPH1113430A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
CN106062323A (zh) 阀正时控制装置
JP3424732B2 (ja) 可変動弁機構
JPH11241606A (ja) 可変動弁機構
JPH11218008A (ja) 可変動弁機構
JP4389259B2 (ja) バルブタイミング調整装置
JPH11223111A (ja) 可変動弁機構
JPH07139327A (ja) バルブタイミング制御装置付エンジンにおけるカムシャフト
JPH10159519A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JPH11229829A (ja) 可変動弁機構
US10570785B2 (en) Hydrostatic camshaft phaser

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031127

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040114